JPH0616946A - アスファルト混和物 - Google Patents

アスファルト混和物

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JPH0616946A
JPH0616946A JP40518890A JP40518890A JPH0616946A JP H0616946 A JPH0616946 A JP H0616946A JP 40518890 A JP40518890 A JP 40518890A JP 40518890 A JP40518890 A JP 40518890A JP H0616946 A JPH0616946 A JP H0616946A
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JP
Japan
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asphalt
acid
acetate
curing
emulsion
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JP40518890A
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Inventor
Akihiro Moriyoshi
昭博 森吉
Ichiro Fukai
一郎 深井
Hiroshi Hashimoto
洋 橋本
Akira Shimizu
亮 清水
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SWCC Corp
Original Assignee
Showa Electric Wire and Cable Co
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 アスファルト系乳剤を主剤とし、かつ酸無水
物、酸塩化物、酸アミドおよび酸アジドの群から選ばれ
た少なくとも 1種の硬化剤と、アセテート系溶剤とを含
有する。 【効果】 アセテート系溶剤の硬化剤に対する緩衝作用
により硬化時間を遅延させることができる。したがっ
て、アセテート系溶剤を適宜選択使用することにより容
易に硬化速度を調節でき、しかも他の特性が損なわれる
こともない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、コンクリ―ト構体やア
スファルト舗装道路の亀裂補修等に適したアスファルト
混和物に係り、特に硬化時間、可使時間の調節を容易に
したアスファルト混和物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来よりコンクリート構体やアスファル
ト舗装道路の目地材、亀裂補修材等として、溶融アスフ
ァルト、溶融アスファルトにゴムラテックスを混合した
ゴムラテックス混合溶融アスファルト、あるいは溶融ア
スファルトを乳化剤により水中に分散させたアスファル
ト乳剤が一般に使用されている。
【0003】しかしながら、溶融アスファルトは、注入
後直ちに冷却固化するため、亀裂の奥底部にまで十分充
填することができないという難点があり、またゴムラテ
ックスを混合した溶融アスファルトは、作業性が悪いう
え作業に危険をともなうという難点があった。
【0004】これに対し、アスファルト乳剤は、取扱い
が容易かつ安全なうえ、浸透性に優れ亀裂の奥底部にま
で十分充填することができるという利点を有している。
しかしながらその反面、硬化時間が通常 1週間以上と長
く、かつ水分含有率が高いため硬化後の体積減少が著し
く再度補修を必要とする場合が少なくないという難点が
あった。また注入後すぐに降雨があると乳化剤が分離し
て亀裂から流出してしまうという問題もあった。
【0005】そこで、硬化速度が早く、しかも浸透性や
取扱い性に優れた材料の開発が要望され、種々のものが
提案されてきている。本発明者らも鋭意研究を重ね、ア
スファルト乳剤もしくはさらにゴムラテックスが配合さ
れたゴムアスファルト乳剤に、酸無水物、または酸無水
物とイソシアネートとを配合したアスファルト混和物を
開発し、前に提案した。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、硬化速度に
ついては、用途によって 1分程度の速硬性が要求される
場合もあれば、30〜60分程度の可使時間を必要とする場
合もある。また硬化速度は施工環境条件によって影響を
受ける場合が多く、たとえば夏期に可使時間30分程度、
硬化時間60分程度であったものが、冬期には可使時間 1
20分程度、硬化時間 240分程度にまで伸びてしまうこと
もある。このような点から亀裂補修材等の材料としては
硬化速度を容易かつ確実に制御し得、しかもそれによっ
て不都合の生じることのないものであることが望まし
い。
【0007】しかしながら、従来のものにはこのような
条件を満たすものはなく、たとえば、上記アスファルト
混和物の場合、酸無水物の配合量を変えるか、酸無水物
とイソシアネートの配合比を変えることによって硬化速
度を調節することができるが、それぞれ次のような不都
合があった。
【0008】すなわち、酸無水物の配合量を変える方法
では、わずかな量の変化で硬化時間が大きく変わるため
細かい調節が困難である。また、硬化と未硬化の変異点
が明瞭で、わずかな量の変化で未硬化を招くおそれがあ
る。他方、酸無水物とイソシアネートの配合比を変える
方法では、イソシアネートの配合量を多くすることによ
って硬化時間を遅延することができるものの、あまり多
くするとイソシアネートと水との反応で生ずる炭酸ガス
のために発泡して強度の弱い硬化体となるため、硬化時
間の調節が限定されるという問題がある。さらにいずれ
の方法も硬化剤の組成を変える方法であるため、調製に
手間がかかるという問題もある。
【0009】本発明はこのような従来技術の課題に対処
してなされたもので、総じて硬化速度が早く、しかもそ
の硬化速度を容易に何ら不都合を招くことなく調節で
き、用途や作業環境の変化に迅速に対応しうるアスファ
ルト混和物を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明のアスファルト混
和物は、アスファルト系乳剤を主剤とし、かつ酸無水
物、酸塩化物、酸アミドおよび酸アジドの群から選ばれ
た少なくとも 1種の硬化剤と、アセテート系溶剤とを含
有することを特徴としている。
【0011】本発明の主剤を成すアスファルト系乳剤と
しては、従来より一般に使用されている、天然アスファ
ルト、石油アスファルトのようなアスファルトを溶融し
乳化剤により乳化させたアスファルト乳剤や、ゴムラテ
ックスに加熱溶融したアスファルトを配合し、さらに乳
化剤と分散安定剤を混合して乳化させたゴム・アスファ
ルト乳剤を例示することができる。
【0012】本発明においては、アスファルト系乳剤と
して、次に詳述するような(a)アスファルト乳剤およ
び/またはゴム・アスファルト乳剤と、(b)少なくと
もアクリル酸化合物またはメタクリル酸化合物の 1種以
上を重合成分とする共重合体のアニオン性エマルジョン
とを混合してなるものの使用が、硬化速度、浸透性、固
化体の機械的特性、接着性等の点から特に適している。
なお以下に示す重量部および重量比はすべて固形分換算
値である。
【0013】すなわち(a)のアスファルト乳剤として
は、前述した、天然アスファルト、石油アスファルト等
を溶融しこれを乳化剤により乳化させたもののうち、と
くにアニオン性乳化剤により乳化させたものが、浸透性
や作業性に優れており好ましい。
【0014】またゴム、アスファルト乳剤としては、ゴ
ムラテックス 100重量部(以下、単に部と示す。)に加
熱溶融したアスファルト 100〜1200部を配合し、さらに
アニオン性乳化剤と分散安定剤を混合した含有水分量 8
〜35重量%(以下、単に%と示す。)のアニオン性の高
濃度エマルジョンが好適する。ゴムラテックスとして
は、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR) 、ビニルピリ
ジンSBR 、カルボキシ変性SBR 、アクリロニトリル・ブ
タジエン共重合体(NBR)等がある。アスファルトとして
は天然アスファルト、石油アスファルトのいずれでもよ
く、これらのストレ−トアスファルト、ブロ−ンアスフ
ァルト、その他が単独または混合して使用されてよい。
乳化剤としては、脂肪酸塩、高級アルコ−ル硫酸エステ
ル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ロジン酸塩等の
アニオン性乳化剤が好適する。分散安定剤としては,無
機系ではベントナイト、クレ−等があり、有機系ではポ
リビニルアルコ−ル、メチルセルロ−ス、ヒドロキシエ
チルセルロ−ス、カルボキシメチルセルロ−ス、ポリア
クリル酸ソ−ダ、デンプン、カゼイン等がある。これら
は単独または混合して使用され、得られるゴム・アスフ
ァルト乳剤の安定性を良好にする。
【0015】(b)のアニオン性エマルジョンは、アク
リル酸化合物またはメタクリル酸化合物の 1種以上と、
必要に応じて配合される他の重合成分、たとえばスチレ
ンや酢酸ビニルと、水と乳化剤とを混合し、この混合液
に過硫酸アンモニウムのような酸性触媒を添加して温水
中で攪拌することにより重合させ、次いでアンモニア水
のようなアルカリで中和してpHを 7より大として反応を
停止させることにより得られる。
【0016】アクリル酸化合物およびメタクリル酸化合
物としては、アクリル酸、アクリル酸エステル、ポリア
クリル酸ソ−ダ、アクリル酸塩類モノマ−、アクリル酸
ジメチルアミノエチルエステル、アクリル酸イソブチ
ル、アクリル酸ジエチレングリコ−ルエトキシレ−ト、
2-エトキシエチルアクリレ−ト、エポキシアクリレ−
ト、n-エステルアクリレ−ト、テトラヒドロフルフリル
アクリレ−ト、トリメチロ−ルプロパントリアクリレ−
ト、2-ヒドロキシエチルアクリレ−ト、2-ヒドロキシプ
ロピルアクリレ−ト、1,4-ブタンジオ−ルジアクリレ−
ト、1,6-ヘキサンジオ−ルジアクリレ−ト、ペンタエリ
スリト−ルトリアクリレ−ト、ラウリル−トリデシル
(混合)アクリレ−ト、メチルメタクリレ−ト(メタク
リル酸t−ブチル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メ
タクリル酸トリデシル、メタクリル酸ステアリル、メタ
クリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸、メタクリル酸
2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ジメチルアミノエ
チル、テトラヒドメタクリル酸フルフリル、ジメタクリ
ル酸エチレン、ジメタクリル酸テトラエチレングリコ−
ル、ジメタクリル酸1,3-ブチレン、トリメタクリル酸ト
リメチロ−ルプロパン、グリシジルメタクリレ−ト、n-
ブチルメタクリレ−ト、イソブチルメタクリレ−ト、2-
ヒドロキシエチルメタクリレ−ト、ラウリルメタクリレ
−ト等がある。このような(b)のアニオン性エマルジ
ョンは、硬化直後の硬化体の機械強度、接着力等を向上
させる効果を有する。
【0017】(b)のアニオン性エマルジョンの配合量
は、(a)のアスファルト乳剤等の固形分 100部あたり
0.1 〜100 部の範囲が適しており、より好ましくは0.5
〜20部である。
【0018】(a)のアスファルト乳剤等と(b)のア
ニオン性エマルジョンとが配合されたアスファルト系乳
剤には、固化体の弾性等の機械的特性を向上させるため
に、ゴムラテックス、たとえばSBR 、ビニルピリジンSB
R 、カルボキシ変性SBR 、NBR 、天然ゴム等のラテック
スが配合されてもよい。SBR ラテックスとしては、SBR
ラテックス及びカルボキシ変性SBR ラテックスを単独あ
るいは混合して用いるのが望ましい。混合する場合、カ
ルボキシ変性SBR ラテックスの割合を多くすると、得ら
れるアスファルト系エマルジョンの固化後の引張り強度
と弾性が高くなるので、用途に応じて適宜配合比を変え
ればよい。
【0019】(b)のアニオン性エマルジョンとこのゴ
ムラテックスとの混合比は、重量比で1:100 〜240:100
の範囲が好ましい。なおこのようなゴムラテックスを配
合する場合には、(a)のアスファルト乳剤等の配合量
と、(b)のアニオン性エマルジョンとゴムラテックス
の合計配合量が、重量比で99:1〜70:30 の範囲とするこ
とが好ましい。
【0020】上記アスファルト系乳剤には、以上の成分
の他にさらに、耐候性、耐寒性、柔軟性の向上をはかる
ために、老化防止剤や可塑剤を、含有するゴム成分の 5
%以下の割合で添加することができる。可塑剤としては
ポリブテン−1やフタル酸エステル系化合物(フタル酸
ジオクチルヘキシル、フタル酸ジメチル等)、脂肪族二
塩基酸エステル系化合物(コハク酸ジイソデシル等)、
グリコ−ルエステル系化合物(ジエチレングリコ−ルジ
ベンゾエ−ト等)、脂肪酸エステル系化合物(オレイン
酸ブチル等)、リン酸エステル系化合物(トリクレジル
等)等がある。また硬化促進剤、増量剤、あるいは増粘
剤として、アルミナやマグネシア、酸化鉄等の金属酸化
物、金属粉末、石粉(炭酸カルシウム粉末)、砕石粉、
砂利、木粉(もみがら、おがくず等)、セメント、クレ
−等の充填剤を、本発明の効果を阻害しない範囲で添加
することができる。
【0021】また本発明で硬化剤として使用される酸無
水物としては、メチルテトラヒドロ無水フタル酸(Me-T
HPA)、4-メチルヘキサヒドロ無水フタル酸(4Me-HHPA)、
ドデセニル無水コハク酸(DDSA)、ヘキサヒドロ無水フタ
ル酸(HHPA)(以上、常温で液体)、無水フタル酸(PAC)
、無水マレイン酸(MAC) 、無水コハク酸、ブタンテト
ラカルボン酸二無水物(BTA) 、ビシクロ[2,2,2]-オクト
-(7)- エン-2,3,5,6- テトラカルボン酸二無水物、ピロ
メリット酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸
二無水物、3,3 ′,4,4′- ベンゾフェノンテトラカルボ
ン酸二無水物、2,2 ′,3,3′- ジフェニルテトラカルボ
ン酸二無水物、エチレングリコールビスアンヒドロトリ
メリテート(以上、常温で固体)、メチル・エンドメチ
レンテトラヒドロ無水フタル酸(MEMTHPA) (常温で液
体)等があげられる。
【0022】また酸塩化物、酸アミドおよび酸アジドは
それぞれ、R- COCl、R- CONH2 、R- CON3
の構造を持つカルボン酸誘導体であり、RがHまたはC
1〜10程度のアルキル基、アリール基等のものを広く使
用することができる。具体的には、酸塩化物としては、
塩化アセチル、塩化プロピオニル、塩化ブチリル、塩化
オキサリル、塩化ベンゾイル、塩化フタロイル等が、ま
た酸アミドとしては、ホルムアミド、アセトアミド、プ
ロピオンアミド、ブチロアミド、ベンズアミド、フェナ
セトアミド、ニコチンアミド等が、さらに酸アジドとし
ては、ギ酸アジド、アシルアミノ酸アジド等があげられ
る。
【0023】これらの酸無水物、酸塩化物、酸アミドお
よび酸アジドは、単独で使用してもよく、混合して使用
するようにしてもよい。またその配合量は、アスファル
ト系乳剤の固形分 100部あたり0.01〜10部が適当であ
る。好ましくは 0.1〜5 部の範囲である。
【0024】このような酸無水物、酸塩化物、酸アミド
および酸アジドは、水と反応してカルボン酸を生じるの
で、上記アスファルト系乳剤のように O/W 型(水中に
オイル粒子が分散している型)エマルジョンに添加すれ
ば、水と反応して水分量を減少させ、かつ酸を生成する
のでエマルジョン全体のpHを下げ、これを W/O 型(オ
イル中に水粒子が分散している型)に転相させ、全体を
速やかに硬化させることができる。
【0025】本発明においては、上記酸無水物、酸塩化
物、酸アミド、酸アジドとともに、さらにイソシアネー
トを配合することができる。このイソシアネートとして
は、1価のイソシアン酸ドデシル、p-イソシアナトトル
エン、イソシアン酸クロロフェニル、イソシアン酸ベン
ジル(BZI) 、イソシアン酸アリル等、 2価のトリレンジ
イソシアネート(TDI) 、4,4 ′- ジフェニルメタンジイ
ソシアネート(MDI) 、4,4 ′- ジフェニルエーテルイソ
シアネート、 3,3′- ジメチル-4,4′- ジフェニルメタ
ンジイソシアネート、3,3 ′- ジメトキシ-4,4′- ジフ
ェニルメタンジイソシアネート、3,3 ′- ジメチル-4,
4′- ジフェニルプロパンジイソシアネート、 3,3′-
ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3 ′- ジフェニ
ルスルホンジイソシアネート、3,3 ′- ジフェニルスル
ファイドジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシア
ネート(HMDI)、ノナメチレンジイソシアネート、3-メチ
ル-ヘプタメチレンジイソシアネート、2,11- ドデカン
ジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネー
ト等、 3価のデスモジュールR (DD-R)、デスモジュール
DR、デスモジュールTH(以上いずれもバイエル社 商品
名)等がある。またこれらの 2〜3 量体や、たとえばコ
ロラートEH、ダルトセック2170(以上、日本ポリウレタ
ン社製 商品名)等のいわゆるブロックイソシアネート
も使用することができる。このイソシアネートの配合量
は、炭酸ガス発生による発泡を避けるために、アスファ
ルト系乳剤の固形分 100部あたり 100部未満とすること
が望ましい。
【0026】このようなイソシアネートは、水と反応し
てウレア中間体を経た後、アミンと二酸化炭素を生成し
エマルジョン中の水分を減少させる働きをするが、酸を
生成しないので、酸無水物や酸アミド等ほど転相硬化反
応は早くない。したがってイソシアネートを添加するこ
とにより転相硬化時間を遅くすることができる。
【0027】なお微粉末状のシリカゲル、活性アルミ
ナ、ゼオライト、活性炭等の吸水性物質も、転相助剤と
して酸無水物等とともに配合してもよい。
【0028】次に、第3成分として配合するアセテート
系溶剤は、本発明のアスファルト混和物の硬化時間を調
節するうえで重要な役割を成すものである。すなわち、
アセテート系溶剤が水中で解離して生じる酢酸イオン
(CH3 COO - )が酸無水物等の硬化剤による急激なPH変
化を抑え、これによって硬化を遅延する。このことは、
アセテート系溶剤の水への溶解度が硬化時間に大きく影
響することを意味し、水への溶解度が大きくなればなる
ほど硬化時間が長くなる。したがって用いる主剤や硬化
剤等の組成が同じ場合に、このアセテート系溶剤の種類
や配合をかえることにより、所望の硬化時間を得ること
が可能となる。このようなアセテート系溶剤としては、
例えば、2-メトキシエチルアセテート、2-エトキシエチ
ルアセテート、2-ブトキシエチルアセテート、2-フェノ
キシエチルアセテート、シアノ酢酸メチル、メトキシブ
チルアセテート、3-メチル-3- メトキシブチルアセテー
ト、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジ
エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジ
エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ア
セト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、プロピレングリコ
ールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコール
エチルエーテルアセテート等が例示され、所望の硬化時
間が得られるように適宜選択されて使用される。これら
は単独で使用してもよく、混合して使用してもよい。な
お、硬化時間は前述したように、使用する主剤、硬化
剤、他の配合剤の種類や配合量、さらには使用温度によ
っても変化するため、これらの点を考慮して、その種類
や配合量を決定するようにする。ただし配合量は、アス
ファルト系乳剤の固形分 100部に対して30部以下とする
ことが望ましく、これを越えると転相反応終了後も十分
な硬度が得られなくなる。
【0029】本発明においては、キシレンやトルエン等
の非極性溶剤をアセテート系溶剤とともに配合すること
もできる。
【0030】本発明のアスファルト混和物を得るには、
予め調製したアスファルト系乳剤に、酸無水物、酸塩化
物、酸アミドおよび酸アジドの群から選ばれた少なくと
も 1種の硬化剤と、アセテート系溶剤、および必要に応
じて配合される他の配合剤とをそのまま添加し混合すれ
ばよいが、硬化剤その他の配合剤を予めアセテート系溶
剤および必要に応じて配合される他の溶剤に溶解または
分散させておき、これをアスファルト系乳剤に添加する
ようにしてもよい。
【0031】本発明のアスファルト混和物は、各成分の
混合とともに、アセテート系溶剤により大きく基定され
た硬化速度をもって転相硬化を開始し、全体が均一かつ
十分な機械的強度をもって硬化する。この硬化体は時間
の経過とともに内部の水がさらに揮散して完全硬化し、
機械的特性をはじめ優れた特性を有する固化体が形成さ
れる。
【0032】
【作用】本発明のアスファルト混和物では、水をマトリ
ックスとする O/W 型からアスファルト成分をマトリッ
クスとする W/O 型に転相し、速やかに全体が均一かつ
十分な機械的強度をもって硬化するが、アセテート系溶
剤が配合されており、その緩衝作用によって転相硬化時
間が遅延し、可使時間が長くなる。したがって使用する
アセテート系溶剤の水への溶解度を調整するだけで、容
易に所望の硬化時間、可使時間に調節することができ
る。しかもこの調節は、従来の硬化剤の組成を変える方
法に比べ、微調節が可能であり、未硬化を招くこともな
い。また硬化体の特性が低下することもない。さらに硬
化剤の組成は変更する必要がないので、調製が容易であ
る。
【0033】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。 実施例1〜13 表1に示す配合で各成分を混合してアスファルト混和物
を調製した。次いで、得られた各アスファルト混和物の
転相硬化時間を調べた。すなわちアスファルト混和物30
g を容積200cc のポリ容器内にとり、20℃における転相
硬化に至る時間を測定した。結果を表1の下欄に示す。 (以下余白)
【0034】
【表1】 (配合欄の数値はいず
れも重量部を示す。)
【0035】 実 施 例 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 アスファルト乳剤 *1 100 100 100 100 100 ゴムアスファルト 乳剤 *2 100 100 100 100 100 100 100 100 90 酸無水物 Me-THPA 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 〃 4-Me-HHPA 0.5 〃 DDSA 0.4 0.4 0.4 0.3 0.3 0.3 イソシアネートMDI 2.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 〃 HDI 1.0 1.5 1.5 1.5 アセテート系溶剤A*3 3.5 4.5 4.0 〃 B*4 4.5 3.6 2.0 〃 C*5 4.5 4.0 2.0 2.0 〃 D*6 4.5 3.6 〃 E*7 4.5 3.6 キシレン 2.0 転相硬化時間(分) 30 32 18 60 24 21 35 23 48 31 75 40 50 20 ℃ *1 固形分60% 、アニオン性 *2 SBR 25% 混入、固形分80% 、アニオン性 *3 2-エトキシエチルアセテート:水への溶解度(20
℃) 22.9% *4 2-ブトキシエチルアセテート:水への溶解度(20
℃) 1.1% *5 ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテー
ト:水への溶解度(20 ℃) ∞ *6 アセト酢酸エチル :水への溶解度(20
℃) 12.0% *7 ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテー
ト:水への溶解度(20 ℃) 6.8% 表からも明らかなように本発明のアスファルト混和物
は、他の組成、条件が同じ場合に使用アセテート系溶剤
の種類によって硬化時間が異なっており、したがってこ
のようにアセテート系溶剤を、配合成分の種類や配合
比、施工環境温度を考慮して適宜選択調製することによ
り、容易に硬化時間、可使時間を調整することができ
る。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように本発明のアスファル
ト混和物は、アスファルト系乳剤と、酸無水物、酸塩化
物、酸アミドおよび酸アジドの群から選ばれた少なくと
も 1種の硬化剤により、速やかに全体が均一かつ十分な
機械的強度をもって硬化するが、加えて、アセテート系
溶剤が配合されており、その緩衝作用により硬化速度は
アセテート系溶剤の水への溶解度に大きく依存する。し
たがってこのアセテート系溶剤を適宜選択使用すること
により、他の組成を変えることなく容易に硬化時間、可
使時間を調節することができる。しかも、それによって
硬化体の強度不足等の不都合を招くこともなく、用途や
作業環境の変化に迅速に対応することができる。
【0037】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08K 5/28 (72)発明者 森吉 昭博 北海道札幌市豊平区清田2条1丁目9番地 10号 (72)発明者 深井 一郎 北海道札幌市南区真駒内柏丘9丁目1の7 (72)発明者 橋本 洋 神奈川県川崎市川崎区小田栄2丁目1番1 号 昭和電線電纜株式会社内 (72)発明者 清水 亮 神奈川県川崎市川崎区小田栄2丁目1番1 号 昭和電線電纜株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アスファルト系乳剤を主剤とし、かつ酸
    無水物、酸塩化物、酸アミドおよび酸アジドの群から選
    ばれた少なくとも 1種の硬化剤と、アセテート系溶剤と
    を含有することを特徴とするアスファルト混和物。
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