JPH0616826Y2 - 車両用シフトロック装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［考案の目的］ （産業上の利用分野） この考案はオートマッチク（Ａ／Ｔ）トランスミッショ
ンを搭載した自動車等の車両用シフトロック装置の改良
に関する。

（従来の技術） 一般に、オートマッチク（Ａ／Ｔ）トランスミッション
を搭載した自動車等の車両には運転ポジションを選択す
るシフトレバーが装着されており、このシフトレバーの
レバー操作によって例えばＰポジション（パーキング位
置）、Ｒポジション（バック位置）、Ｎポジション（ニ
ュートラル位置）、Ｄポジション（ドライブ位置）、２
ポジション（セカンド位置）、Ｌポジション（ロー位
置）等の各運転ポジションを適宜選択できるようになっ
ている。

第３図および第４図はこの種のオートマッチク（Ａ／
Ｔ）トランスミッションを搭載した車両のシフトレバー
装置本体１の要部の概略構成を示すもので、２はシフト
レバー、３はシフトレバー２のシフト操作位置を規制す
るディテントプレートである。この場合、ディテントプ
レート３は車体側の取付けブラケット４に固定されてい
る。さらに、この取付けブラケット４にはシフトレバー
２の基端部が回動軸５を中心に枢支されている。

また、ディテントプレート３の板面にはディテント溝６
が形成されている。このディテント溝６内にはシフトレ
バー２の中途部に突設されたディテントピン７が挿入さ
れている。このディテントピン７はシフトレバー２の軸
方向に沿って延設された長穴内にスライド自在に挿入さ
れており、常時は図示しないばね部材によってシフトレ
バー２の頭部方向に向けて付勢されている。さらに、シ
フトレバー２の頭部には操作ぼたん８が突没自在に装着
されている。そして、この操作ぼたん８の押し込み操作
にともないディテントピン７が付勢力に抗して下方向に
向けて移動操作されるようになっている。

また、ディテント溝６には回動軸５側に対して外側の溝
縁部に複数段の段部９ａ，９ｂ，９ｃ，９ｄが形成され
ており、第５図に示すようにこれらの各段部９ａ，９
ｂ，９ｃ，９ｄにＰポジション１０ａ、Ｒポジション１
ｂ、Ｎポジション１０ｃ、Ｄポジション１０ｄ、２ポジ
ション１０ｅ、Ｌポジション１０ｆ等の各運転ポジショ
ンがそれぞれ設定されている。さらに、ディテント溝６
の内側の溝縁部には回動軸５を中心とする円弧に沿って
シフトレバー２のディテントピン７を各運転ポジション
間で移動させるピン移動通路１１が形成されている。そ
して、シフトレバー２の操作ぼたん８が押し込み操作さ
れていない通常位置ではシフトレバー２のディテントピ
ン７はばね部材の付勢力によってディテント溝６のＰポ
ジション１０ａ、Ｒポジション１０ｂ、Ｎポジション１
０ｃ、Ｄポジション１０ｄ、２ポジション１０ｅ、Ｌポ
ジション１０ｆ等の何れかの運転ポジション（選択位
置）で保持されるようになっている。また、シフトレバ
ー２の操作ぼたん８の押し込み操作にともないディテン
トピン７を付勢力に抗して下方向に向けて移動させるこ
とにより、ディテント溝６の所定の設定運転ポジション
で保持される選択位置から各設定運転ポジション間で移
動可能な通路位置まで移動操作させるようになってい
る。そして、このピン移動通路１１に沿ってディテント
ピン７を移動操作させてシフトレバー２を任意の運転ポ
ジションにシフト操作させるようになっている。

ところで、オートマッチク（Ａ／Ｔ）トランスミッショ
ンを搭載した車両の急発進対策として第６図に示すよう
に例えばシフトロック用のソレノイド１２を設け、この
ソレノイド１２の可動軸１２ａの進退動作にともないデ
ィテントプレート３のディテント溝６における段部９ａ
の開口部を開閉させ、Ｐポジション１０ａ位置に挿入さ
れたディテントピン７のロック動作およびロック解除動
作を行なうシフトロック装置が開発されている。この場
合、例えばディテント溝６のＰポジション１０ａ位置に
ディテントピン７が挿入された状態でソレノイド１２の
可動軸１２ａをディテント溝６内に突出させて段部９ａ
の開口部を閉塞させるディテントピン７のロック動作を
行ない、ディテントピン７がＰポジション１０ａ以外の
位置に移動することを防止するようにしている。さら
に、ディテント溝６のＰポジション１０ａ位置にディテ
ントピン７が挿入された状態で、例えばブレーキペダル
の踏込み操作が行われた場合にはこのブレーキペタルの
踏込み操作にともないソレノイド１２の可動軸１２ａを
ディテント溝６内から退避させて段部９ａの開口部を解
放させるディテントピン７のロック解除動作を行ないデ
ィテントピン７が任意の運転ポジションに自由に移動で
きるようにしている。

また、この種のシフトロック装置としてシフトロック用
のソレノイド１２の代わりにシフトレバー２をパーキン
グ位置でロックするロック位置からこのロックを解除す
るロック解除位置まで突没可能なロックピンを設け、こ
のロックピンを突没自在に保持する保持部材の内部にロ
ックピンをロック位置側に突出させる方向に付勢するば
ね部材を配設するとともに、一端がブレーキペダル側、
他端がロックピン側にそれぞれ連結され、ブレーキペダ
ルの踏込み動作にともないロックピンを付勢力に抗して
ロック解除方向に移動操作するケーブル等のロック解除
部材を設け、ブレーキペダルの踏込み動作力を利用して
シフトロックを解除するケーブル式の構成のものが考え
られている。しかしながら、上記構成のものにあっては
例えばロックピンやケーブルが固着したり、ケーブルが
切断したようなシフトロック装置の故障時にはブレーキ
ペダルを踏込み操作してもロックピンをロック解除方向
へ移動させることができなくなり、ロックピンがばね部
材の付勢力によってロック位置側に突出された状態で保
持されてしまうので、シフトレバー２をパーキング位置
からこのパーキング位置以外の任意の運転ポジションに
移動させることがてきなくなる問題があった。

（考案が解決しようとする課題） ケーブル式のシフトロック装置を採用した場合には例え
ばケーブルやロックピンが固着したり、ケーブルが切断
したようなシフトロック装置の故障時にはブレーキペダ
ルを踏込み操作してもロックピンをロック解除方向へ移
動させることができなくなり、ロックピンがばね部材の
付勢力によってロック位置側に突出された状態で保持さ
れてしまうので、シフトレバー２をパーキング位置から
このパーキング位置以外の任意の運転ポジションに移動
させることができなくなる問題があった。

この考案は上記事情に着目してなされたもので、シフト
ロック装置本体の故障時にシフトレバーをパーキング位
置からこのパーキング位置以外の任意の運転ポジション
に移動させることができなくなることを防止して使い易
さを高めることができる車両用シフトロック装置を提供
することを目的とするものである。

［考案の構成］ （課題を解決するための手段） この考案はシフトレバーをパーキング位置でロックする
ロック位置からこのロックを解除するロック解除位置ま
で突没可能なロックピンの保持部材の内部にロックピン
をロック位置側に突出させる方向に付勢するばね部材を
配設し、ブレーキペダルの踏込み動作にともないロック
ピンを付勢力に抗してロック解除方向に移動操作するロ
ック解除部材を設けるとともに、ロックピン保持部材を
正規の設置位置から任意の離脱位置までディテントピン
の係止解除動作方向に回動自在に支持する支持部材およ
び常時にロックピン保持部材を正規の設置位置で保持
し、シフトレバーの操作ボタンに通常の操作力よりも大
きい過大力が作用した場合にロックピン保持部材を任意
の離脱位置まで移動可能な状態に設定されたばね部材に
よって形成される位置保持部材をそれぞれ設けたもので
ある。

（作用） シフトロック装置本体に故障がない通常状態では位置保
持部材のばね力によってロックピン保持部材を正規の設
置位置で保持させるとともに、シフトロック装置本体の
故障時にシフトレバーの操作ボタンに通常の操作力より
も大きい過大力が作用した場合にはこの過大な操作力に
よって位置保持部材のばね力に抗してロックピン保持部
材を任意の離脱位置まで移動させることにより、シフト
ロック装置本体の故障時にシフトレバーをパーキング位
置からこのパーキング位置以外の任意の運転ポジション
に移動させることができなくなることを防止するように
したものである。

（実施例） 以下、この考案の一実施例を第１図および第２図を参照
して説明する。なお、第１図および第２図中で、第３図
乃至第６図と同一部分には同一の符号を付してその説明
を省略する。第１図はオートマッチク（Ａ／Ｔ）トラン
スミッションを搭載した車両のシフトロック装置全体の
概略構成を示すもので、２１はシフトレバー２をパーキ
ング位置でロックするロック位置からこのロックを解除
するロック解除位置まで突没可能に設けられたロックピ
ン、２２はこのロックピン２１の保持部材である。この
保持部材２２はロックピン２１を突没自在に保持するも
のである。さらに、この保持部材２２の内部にはロック
ピン２１をロック位置側に突出させる方向に付勢するば
ね部材（図示せず）が配設されている。

また、この保持部材２２は例えばディテントプレート３
等の固定部に回動軸（支持部材）２３を介して回動自在
に支持されている。この場合、ディテントプレート３に
は保持部材２２を正規の設置位置で係止するストッパ２
４が固定されている。そして、保持部材２２はこのスト
ッパ２４に圧接されて係止される正規の設置位置から任
意の離脱位置までディテントピン７の係止解除動作方向
に沿って回動軸２３を中心に回動自在に支持されてい
る。さらに、回動軸２３には第２図に示すようにねじり
コイルばねによって形成されるばね部材（位置保持部
材）２５が装着されている。このばね部材２５の一端２
５ａはディテントプレート３の取付け孔２６内に挿入さ
れているとともに、他端２５ｂは保持部材２２に当接状
態で係合されている。そして、このばね部材２５のばね
力によって常時はロックピン保持部材２２を正規の設置
位置で保持するようにしている。この場合、ばね部材２
５のばね力はパーキング位置で保持されているシフトレ
バー２をパーキング位置以外の任意の運転ポジションに
シフト操作する場合にシフトレバー２の操作ボタン８の
押し込み操作力が通常状態の場合には変形することな
く、このシフトレバー２の操作ボタン８の押し込み操作
力が通常の操作力よりも大きい過大力が作用した場合に
ロックピン保持部材２２を任意の離脱位置まで移動可能
な状態に設定されている。

一方、２６はブレーキペダル、２７はこのブレーキペダ
ル２６の支持アームである。この支持アーム２７の上端
部は車体側の支持ブラケット２８に回動軸２９を介して
回動自在に支持されている。さらに、この回動軸２９の
一端には操作レバー３０が固定されている。この操作レ
バー３０にはシフトロックケーブル（ロック解除部材）
３１に一端が連結されている。このシフトロックケーブ
ル３１の他端はロックピン２１側に連結されている。そ
して、ロックピン２１はブレーキペダル２６が踏込み動
作されていない状態では保持部材２２内のばね部材の付
勢力によってロック位置側に突出状態で保持されるとと
もに、ブレーキペダル２６の踏込み動作にともないロッ
クピン２１を付勢力に抗してロック解除方向に移動操作
させるようにしている。なお、３２はキーインターロッ
ク機構を備えたキーシリンダ、３３はこのキーシリンダ
３２内に挿脱可能に挿入されるキーである。

次に、上記構成の作用について説明する。

まず、車両の駐車時にはシフトレバー２がパーキング位
置にシフト操作された状態で保持される。この状態では
ロックピン２１が保持部材２２内のばね部材の付勢力に
よってロック位置側に突出状態で保持されている。その
ため、ディテント溝６のＰポジション１０ａ内に挿入さ
れたシフトレバー２のディテントピン７の下降動作がこ
のロックピン２１によって防止され、シフトレバー２が
パーキング位置でロックされる。したがって、この状態
でシフトレバー２の操作ぼたん８を通常の操作力で押し
込み操作した場合であってもディテントピン７を下降さ
せることができないので、シフトレバー２をパーキング
位置でロックさせた状態でエンジンの始動動作を行なわ
せることができる。

そして、エンジン始動後、ブレーキペダル２６が踏込み
動作されるとこの踏込み力によって操作レバー２９が第
１図中で時計回り方向に回動駆動される。さらに、この
操作レバー２９の回動動作にともないシフトロックケー
ブル３１のインナケーブルを介してロックピン２１がロ
ック解除方向に移動される。そのため、この状態でシフ
トレバー２の操作ぼたん８を押し込み操作させることに
より、ディテント溝６のＰポジション１０ａ内に挿入さ
れたシフトレバー２のディテントピン７をピン移動通路
１１位置まで下降させ、このピン移動通路１１に沿って
移動させることができ、シフトレバー２をパーキング位
置以外の任意の運転ポジションに移動させることができ
る。したがって、シフトレバー２をパーキング位置から
パーキング位置以外の任意の運転ポジションに移動させ
る場合には必ずブレーキペダル２６を踏込み操作させる
ことができるので、車両の急発進を確実に防止すること
ができる。

また、ブレーキペダル２６の踏込み動作が終了するとロ
ックピン２１が保持部材２２内のばね部材の付勢力によ
ってロック位置側に突出された状態に復帰され、この状
態で待機される。そして、シフトレバー２をパーキング
位置以外の任意の運転ポジションからパーキング位置に
移動させる場合にはシフトレバー２の操作ぼたん８を押
し込み操作させた状態でシフトレバー２のディテントピ
ン７をピン移動通路１１に沿ってディテント溝６のＰポ
ジション１０ａ側に移動させる。このディテントピン７
の移動動作にともないディテントピン７によってロック
ピン２１をばね部材の付勢力に抗してロック解除位置方
向に押圧する。そして、ディテント溝６のＰポジション
１０ａと対応する位置でシフトレバー２の操作ぼたん８
から手指を離すことにより、シフトレバー２のディテン
トピン７を上昇させてディテント溝６のＰポジション１
０ａ内に挿入させることができ、シフトレバー２をパー
キング位置にシフト操作された状態で保持させることが
できる。この場合、シフトレバー２のディテントピン７
の上昇によってロックピン２１をロック解除位置方向に
押圧する押圧力がなくなるとばね部材の付勢力によって
ロックピン２１が再びロック位置方向に突出し、シフト
レバー２がパーキング位置にシフト操作された状態でロ
ックされるようになっている。

一方、例えば保持部材２２とロックピン２１との固着等
のシフトロック装置本体の故障が発生し、ブレーキペダ
ル２６を踏込み操作してもロックピン２１をロック解除
方向へ移動させることができなくなった場合にはシフト
レバー２の操作ボタン８を通常の操作力よりも大きい力
で押圧させる。このようにシフトレバー２の操作ボタン
８に通常の操作力よりも大きい過大力が作用した場合に
はこの過大な操作力によってばね部材２５のばね力に抗
してロックピン保持部材２２を回動軸２３を中心に第１
図中で時計回り方向に回動させ、ロックピン保持部材２
２を任意の離脱位置まで移動させることができる。その
ため、シフトロック装置本体の故障特に従来のようにシ
フトレバー２をパーキング位置からこのパーキング位置
以外の任意の運転ポジションに移動させることができな
くなることを防止することができる。

なお、この考案は上記実施例に限定されるものではな
い。例えば、上記実施例では位置保持部材をねじりコイ
ルばねによって形成した場合について示したが、引張り
コイルばね、圧縮ばね等によってこの位置保持部材を形
成してもよい。さらに、その他この考案の要旨を逸脱し
ない範囲で種々変形実施できることは勿論である。

［考案の効果］ この考案によればシフトレバーをパーキング位置でロッ
クするロック位置からこのロックを解除するロック解除
位置まで突没可能なロックピンの保持部材の内部にロッ
クピンをロック位置側に突出させる方向に付勢するばね
部材を配設し、ブレーキペダルの踏込み動作にともない
ロックピンを付勢力に抗してロック解除方向に移動操作
するロック解除部材を設けるとともに、ロックピン保持
部材を正規の設置位置から任意の離脱位置までディテン
トピンの係止解除動作方向に回動自在に支持する支持部
材および常時はロックピン保持部材を正規の設置位置で
保持し、シフトレバーの操作ボタンに通常の操作力より
も大きい過大力が作用した場合にロックピン保持部材を
任意の離脱位置まで移動可能な状態に設定されたばね部
材によって形成される位置保持部材をそれぞれ設けたの
で、シフトロック装置本体の故障時にシフトレバーをパ
ーキング位置からこのパーキング位置以外の任意の運転
ポジションに移動させることができなくなることを防止
して使い易さを高めることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図はこの考案の一実施例を示すもの
で、第１図は装置全体の概略構成を示す正面図、第２図
は要部の側面図、第３図乃至第５図はシフトレバー装置
本体を示すもので、第３図は要部の正面図、第４図は同
側面図、第５図はディテントプレートのディテント溝を
示す正面図、第６図は従来のシフトロック装置を示す要
部の正面図である。 ２……シフトレバー、６……ディテント溝、７……ディ
テントピン、８……操作ぼたん、２１……ロックピン、
２２……保持部材、２３……回動軸、２５……ばね部材
（位置保持部材）、３１……シフトロックケーブル（ロ
ック解除部材）。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】車両を駐車するパーキング位置とこのパー
   キング位置以外の任意の運転ポジションとの間でシフト
   操作可能に設けられたシフトレバーと、このシフトレバ
   ーの運転ポジションを設定するディテント溝内に係脱可
   能に係合され、前記シフトレバーを各運転ポジションで
   係止するディテントピンと、前記シフトレバーに装着さ
   れ、押し込み操作にともない前記ディテントピンを係止
   解除方向に移動する操作ぼたんと、このシフトレバーを
   前記パーキング位置でロックするロック位置からこのロ
   ックを解除するロック解除位置まで突没可能に設けられ
   たロックピンと、このロックピンを突没自在に保持する
   保持部材と、この保持部材の内部に配設され、前記ロッ
   クピンをロック位置側に突出させる方向に付勢するばね
   部材と、一端がブレーキペダル側、他端が前記ロックピ
   ン側にそれぞれ連結され、前記ブレーキペダルの踏込み
   動作にともない前記ロックピンを付勢力に抗してロック
   解除方向に移動操作するロック解除部材と、前記ロック
   ピン保持部材を正規の設置位置から任意の離脱位置まで
   前記ディテントピンの係止解除動作方向に回動自在に支
   持する支持部材と、常時は前記ロックピン保持部材を正
   規の設置位置で保持し、前記シフトレバーの操作ボタン
   に通常の操作力よりも大きい過大力が作用した場合に前
   記ロックピン保持部材を任意の離脱位置まで移動可能な
   状態に設定されたばね部材によって形成される位置保持
   部材とを具備したことを特徴とする車両用シフトロック
   装置。