JPH06145488A - ポリエステル組成物およびそれからなるフィルム - Google Patents

ポリエステル組成物およびそれからなるフィルム

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JPH06145488A
JPH06145488A JP30135692A JP30135692A JPH06145488A JP H06145488 A JPH06145488 A JP H06145488A JP 30135692 A JP30135692 A JP 30135692A JP 30135692 A JP30135692 A JP 30135692A JP H06145488 A JPH06145488 A JP H06145488A
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acid
film
polyester
particles
layer
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Masatoshi Aoyama
雅俊 青山
Masaru Suzuki
勝 鈴木
Katsunori Oshima
桂典 大島
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 少なくとも一方が3価以上である多価アルコ
ールと多塩基酸との重縮合物からなる高分子粒子を含有
してなるポリエステル組成物およびそれからなるフィル
ム。 【効果】 本発明の熱可塑性ポリエステル組成物は、含
有する高分子粒子のポリエステルとの親和性が優れるた
め、フィルムに成形した際、高速走行時に粒子が脱落し
にくく、粒子による磁性面傷が発生しにくい。したがっ
て、粒子の脱落による白粉の発生、磁性面傷などの悪化
を防止することができ、フィルムの製造時の工程汚染の
防止や、特に磁気テープなどの製品としての好適な使用
を可能とするものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フィルムにした際の特
に高速走行時における耐削れ性、耐磁性面傷に優れるポ
リエステル組成物およびそれからなるフィルムに関す
る。
【0002】
【従来の技術】一般にポリエステル、例えばポリエチレ
ンテレフタレートは優れた力学特性、化学特性を有して
おり、フィルム、繊維などの成形品として広く用いられ
ている。そして、ポリエステル成形品に加工して使用す
る際には、その滑り性や耐削れ性が製造工程、各種用途
における加工工程での作業性に大きな影響を及ぼすこと
になる。例えば、磁気テープのベースフィルムとして使
用する際に、それらの特性が不足すると、磁気テープの
製造工程中にコーティングロールとフィルムとの間の摩
擦が大きくなり、フィルムにしわや擦り傷が生じたりす
る。また、フィルムの摩擦粉が発生しやすくなり、磁性
層を塗布する工程で塗布抜けが生じ、その結果、磁気記
録の抜け(ドロップ・アウト)などを引き起こす原因と
なる。さらに、磁性剤塗布・カレンダー工程後の巻き取
り時に磁性面と非磁性面が擦れて磁性面に傷が生じ、製
品として使用時にドロップ・アウトなど画質の低下が起
こるという欠点が最近問題となってきている。
【0003】従来、フィルムの滑り性を向上させる方法
としては、二酸化チタン、炭酸カルシウム、二酸化ケイ
素などの無機粒子をポリエステル中に含有させることが
数多く提案されている。しかし、これらの無機粒子はポ
リエステルとの親和性が低いために、例えばフィルムと
して使用する際に、磁性層を塗布する工程でのカレンダ
ー処理やフィルム走行時のロールとの接触、巻き取り時
のフィルム同志の接触などによる外力が加わると、容易
に脱落を生じ、削れ物の発生、滑り性の悪化や表面の傷
の発生の原因となる。このように削れ物の発生が多く、
表面に傷が生じると、磁性層を塗布する工程における塗
布抜け、使用時におけるドロップ・アウトの原因とな
る。さらに、磁性層を塗布する工程でのカレンダーロー
ルの汚れは、磁気記録フィルムを製造する上で作業性を
著しく悪化させる。このように、ポリエステルとの親和
性が低いために生ずる磁性面傷、削れ性を改善すること
が望まれていた。
【0004】粒子とポリエステルの親和性を改良するた
めの手法としては、無機粒子の表面処理、有機粒子の使
用などが提案されている。無機粒子の表面処理として
は、例えば、特開昭63−128031号公報にポリア
クリル酸系ポリマによる表面処理、特開昭62−235
353号公報、特開昭63−234039号公報にリン
化合物による表面処理、特開昭62−223239号公
報、特開昭63−312345号公報にカップリング剤
による表面処理、特開昭63−304038号公報にシ
ラン化合物による表面処理、特開昭63−280763
号公報にグリコールによるグラフト化での表面処理がそ
れぞれ提案されているが、これらの方法を採用しても十
分な親和性を得ることは難しく、耐削れ性はいずれも十
分でない。また、有機粒子としては種々のものが提案さ
れており、例えば、特開昭49−117550号公報
(ポリエチレンテレフタレート粒子、ポリ−1,4−ビ
ス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンテレフタレート
粒子)、特開昭61−174254号公報(メラミン/
ホルムアルデヒド共重合体粒子、フェノール/ホルムア
ルデヒド共重合体粒子など)、特開平2−189359
号公報(ビニル化合物/ジビニルベンゼン共重合体粒
子、ジカルボン酸/アクリレート共重合体粒子など)な
どが挙げられるが、これらの有機粒子であっても、高度
な耐削れ性が要求される用途においては、ポリエステル
との親和性が不十分であって、製品として使用する際に
は耐削れ性が不十分であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは鋭意検討
した結果、特定の組成からなる高分子粒子を使用するこ
とによって、フィルムとしたときの高速走行時における
耐削れ性、耐磁性面傷を大幅に改良することができるこ
とを見出した。本発明の目的は、前述の従来の技術の欠
点を解消することにあり、フィルムに成形したときの高
速走行時の耐削れ性、耐磁性面傷に優れたポリエステル
組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記した本発明の目的
は、平均粒子径0.01〜5μmの高分子粒子を0.0
05〜10重量%含有する芳香族ジカルボン酸とグリコ
ールとを主たる構成成分とするポリエステル組成物であ
って、該高分子粒子が、少なくとも一方が3価以上であ
る多価アルコールと多塩基酸とを主たる構成成分とする
ポリエステル樹脂からなることを特徴とするポリエステ
ル組成物およびそれからなるフィルムによって達成され
る。
【0007】本発明において用いられるポリエステル
は、芳香族ジカルボン酸を主たる酸成分とするジカルボ
ン酸およびそのエステル形成性誘導体とグリコールから
製造される。本発明における芳香族ジカルボン酸として
は、例えばテレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボ
ン酸、ジフェニルジカルボン酸、イソフタル酸などを挙
げることができる。本発明におけるグリコール成分とし
ては、例えばエチレングリコール、ブタンジオール、テ
トラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコールな
どの脂肪族グリコール、あるいはシクロヘキサンジメタ
ノールなどの脂環族ジオールなどを挙げることができ
る。本発明におけるポリエステルとしては、例えばアル
キレンテレフタレートまたはアルキレンナフタレートを
主たる構成成分とするものが好ましい。また、これらの
ポリエステルは、ホモポリエステルであってもコポリエ
ステルであってもよい。共重合成分の例としては、アジ
ピン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸、ヘキサ
ヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの
脂環族ジカルボン酸、ポリエチングリコール、ポリプロ
ピレングリコール、5−ナトリウムスルホイソフタル酸
などが挙げられる。
【0008】本発明の高分子粒子は、少なくとも一方が
3価以上である多価アルコール(A)と多塩基酸(B)
とを主たる構成成分とするポリエステル樹脂からなる。
【0009】多塩基酸(B)とは一分子内に少なくとも
2個以上のカルボキシル基を有する化合物であって、具
体的にはテレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン
酸、ジフェニルカルボン酸、イソフタル酸、フタル酸、
コハク酸、アジピン酸、セバシン酸あるいはこれらのエ
ステル形成性誘導体などを挙げることができ、さらに3
価以上の化合物としては、ヘミメリト酸、トリメシン
酸、トリメリト酸、プレニト酸、ピロメリット酸、メロ
ファン酸あるいはこれらのエステル形成性誘導体などを
挙げることができる。特に、多塩基酸(B)としては、
テレフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボ
ン酸、コハク酸、トリメリト酸、ピロメリット酸あるい
はこれらのエステル形成性誘導体が好ましい。
【0010】多価アルコール(A)とは一分子内に少な
くとも2個以上の水酸基を有する化合物であって、具体
的にはエチレングリコール、ジエチレングリコール、ブ
タンジオール、プロピレングリコール、トリメチレング
リコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレン
グリコール、シクロヘキサンジメタノールなどを挙げる
ことができ、さらに3価以上の化合物としては、グリセ
リン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパ
ン、トリメチロールブタン、トリメチロールベンゼン、
ヘキサントリオール、ペンタエリトリトール、ソルビッ
ト、テトラメチロールシクロヘキサノールなどを挙げる
ことができる。特に、エチレングリコール、グリセリ
ン、トリメチロールエタン、ペンタエリトリトールが好
ましい。
【0011】前記多価アルコール(A)および多塩基酸
(B)から縮合物を得る方法は、従来公知のポリエステ
ル樹脂の合成方法を用いることができる。また、多価ア
ルコール(A)または多塩基酸(B)が複数種の化合物
から成っていても良い。
【0012】該縮合物からなる高分子粒子は、該縮合物
のペレットをロールミルあるいはサンドミル、ボールミ
ルなどの媒体型ミルなどによって粉砕あるいはさらにデ
カンターなどにより分級して調製する方法、または該縮
合物の合成反応を多価アルコール(A)、多塩基酸
(B)に対して不活性な溶媒中で行なうことによって直
接微細な粒子を調製する方法などによって得ることがで
きる。
【0013】本発明の高分子粒子の平均粒子径は0.0
1〜5μm、好ましくは0.03〜1μmである。0.
01μm未満の場合にはフィルムとしたときの滑り性が
不十分となり、5μmを越える場合には本発明の目的と
する耐削れ性が発現しなくなる。
【0014】本発明の架橋高分子粒子のポリエステル組
成物中の含有量は、ポリエステル100重量部に対して
0.005〜10重量部、好ましくは0.01〜5重量
部である。
【0015】高分子粒子をポリエステルへ含有せしめる
ための添加方法、添加時期については、従来公知の方
法、例えば粉体やグリコールスラリーの形態でポリエス
テルの反応系に添加する方法や、粉体や低沸点溶媒を用
いたスラリーの形態でポリエステルに練り込む方法をと
ることが可能である。また、高分子粒子をスラリー系と
して反応系やポリマに添加する場合には、ドデシルベン
ゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウムな
どのアニオン系界面活性剤、ポリオキシエチレンノニル
フェニルエーテル、ポリエチリレングリコールモノステ
アレートなどのノニオン界面活性剤、ポリビニルピロリ
ドン、ポリビニルアルコール、カルボキシルメチルセル
ロースなどの分散剤を含んでいてもよい。
【0016】さらに、本発明のポリエステルには、ポリ
エステルの製造時に通常使用されるリチウム、ナトリウ
ム、カルシウム、マグネシウム、マンガン、亜鉛、アン
チモン、ゲルマニウム、チタンなどの化合物の金属化合
物触媒、着色防止剤としてのリン化合物、本発明の高分
子粒子以外に酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭
酸カルシウムなどの無機粒子、またはアルカリ金属およ
びアルカル土類金属の少なくとも一種とリンを構成成分
の一部とするポリエステル重合反応系内で析出してくる
粒子、すなわち内部粒子などの不活性粒子などを含有し
ていてもよい。また、本発明の高分子粒子を同時に複数
種含有してもよい。
【0017】無機粒子または内部粒子と高分子粒子を含
有した組成物を製造する方法としては、例えばポリエス
テルの反応系にこれらの両者を添加する方法をとること
もできるし、別々にポリマーに各粒子を配合したマスタ
チップをブレンドし、溶融混練する方法をとることもで
きる。
【0018】本発明のポリエステル組成物は、単層、積
層どちらのフィルムにも適用できるが、走行性、削れ性
の点から、本発明の組成物からなるフィルムを少なくと
も1層に積層しているフィルムが好ましい。ここでいう
積層したフィルムとは、フィルムの厚み方向に少なくと
も2層の構造を持つものであり、3層以上の構造を持つ
ものもこの範疇にはいる。さらには、少なくとも片面の
最表層部分が本発明のポリエステルフィルムからなるこ
とが走行性の点で好ましい。また、両面を本発明のポリ
エステルフィルムとした積層フィルムは特に好ましい。
【0019】積層フィルムの形態としては、各種のもの
が可能である。例えば、2層積層フィルムの場合、単に
本発明の高分子粒子を含有する層(X層)と他の層(Y
層)との2層積層構成でもよく、X層表面にコーティン
グ層(例えば易接着層)を設けた積層構成、Y層表面に
コーティング層(例えば易接着層)を設けた積層構成、
Y層表面にバックコート層を設けた積層構成などを採る
ことができる。また3層積層フィルムの場合、単にX層
/Y層/X層の3層積層構成としたもの、該3層積層構
成の片側のX層表面にコーティング層を設けた積層構
成、両側のX層表面に(積層フィルムの両面に)コーテ
ィング層を設けた積層構成などを採ることができる。こ
の場合、X層の厚みとしては0.1〜1.5μm、コー
ティング層の厚みとしては0.01〜1μm程度が好ま
しい。4層以上の積層フィルムは場合、基本的には上記
の3層積層フィルムにおけるY層(中間層)の数が増え
ていくだけなので、X層とコーティング層との位置関係
は3層積層フィルムにおける場合と同じである。
【0020】このような積層フィルムの形態を採る場合
には、積層フィルムの厚みをt(μm)とすると、本発
明の高分子粒子の平均粒子径D(μm)との間には次の
関係が成立することが好ましい。 0.1≦t/D≦100
【0021】このような複合したフィルムを作る方法を
具体的に述べる。まず、ポリエステルのペレットを所定
の割合で混合し、乾燥した後、公知の溶融積層用押出機
に供給し、スリット状のダイからシート状に押し出し、
キャスティングロール上で冷却固化せしめて未延伸フィ
ルムを作る。すなわち、2または3台以上の押出機、2
層以上のマニホールドまたは合流ブロック(例えば角型
合流部を有する合流ブロック)を用いて積層し、口金か
ら2層以上のシートを押し出し、キャスティングロール
で冷却して未延伸フィルムを作る。この場合、ポリマー
流路にスタティックミキサー、ギアポンプを設置するこ
と、または最表層積層部側のポリマーを押し出す押出機
の溶融温度を基層部側より5〜10℃低くすることが、
フィルム厚みの均一性を向上させるのに有効である。
【0022】次に、未延伸フィルムを二軸延伸し、二軸
配向せしめる。延伸方法としては、逐次二軸延伸法また
は同時二軸延伸法を用いることができる。ただし、最初
に長手方向、次に幅方向の延伸を行なう逐次二軸延伸法
を用い、長手方向の延伸を3段階以上に分けて、総縦延
伸倍率を3.5〜6.5倍で行なう方法は特に好まし
い。長手方向延伸温度はポリエステルの種類によって異
なり、一概には言えないが、通常、その1段目を50〜
130℃とし、2段目以降はそれより高くすることが有
効である。長手方向延伸速度は5000〜50000%
/分の範囲が好適である。幅方向の延伸方法としてはス
テンタを用いる方法が一般的である。延伸倍率は3.0
〜5.0倍の範囲が適当である。幅方向の延伸速度は1
000〜20000%/分、温度は80〜160℃の範
囲が好適である。次に、この延伸フィルムを熱処理す
る。この場合の熱処理温度は170〜220℃、特に1
80〜200℃、時間は0.2〜20秒の範囲が好適で
ある。
【0023】フィルムの表面粗さとしては、中心線平均
粗さRaと最大高さRtの比である表面粗さパラメータ
Rt/Raが好ましくは40以下、さらには30以下、
特には20以下であることが耐削れ性が良好となる点で
好ましい。さらに、本発明のフィルムの表面突起高さの
分布については、20nm以上の高さを持つものを突起
高さとして定義し、その相対標準偏差が1.0以下であ
ると、突起高さの均一性、削れ性が良好となるため好ま
しい。
【0024】本発明における物性値の測定方法ならびに
効果の評価方法は次のとおりである。 A.粒子特性 (1)粒子径 電子顕微鏡で20000〜50000倍におけるポリマ
ーまたはフィルム中の粒子の写真撮影(写真サイズ8c
m×10cmを30枚)を行ない、高分子粒子の円相当
直径を測定し、数基準の平均粒子径を求めた。
【0025】B.ポリマ特性 (1)固有粘度 o−クロロフェノールを溶媒として25℃にて測定し
た。
【0026】C.フィルム特性 (1)表面粗さパラメータRa、Rt 小坂研究所製の高精度薄膜段差測定器ET−10を用い
て測定した。Raは中心線平均粗さ、Rtは最大高さ
で、粗さ曲線の最大の山と最深の谷の距離を表わす。測
定条件は下記のとおりであり、20回の測定の平均値を
もって値とした。 ・触針先端半径:0.5μm ・触針荷重 :5mg ・測定長 :1mm ・カットオフ値:0.08mm なお、各パラメータの定義の詳細は、例えば、奈良治郎
著「表面粗さの測定・評価法」(総合技術センター、1
983)に示されている。
【0027】(2)積層厚さ フィルム中に最も多く含有する粒子が架橋高分子粒子の
場合、表面からエッチングしながらXPS(X線光電子
分光法)、IR(赤外分光法)あるいはコンフォーカル
顕微鏡などで、その粒子濃度のデプスプロファイルを測
定する。片面に積層したフィルムにおける表層では、表
面という界面のために粒子濃度は低く、表面から遠ざか
るにつれて粒子濃度は高くなる。
【0028】本発明の片面に積層したフィルムの場合
は、深さ〔I〕で一旦極大値となった粒子濃度がまた減
少し始める。この濃度分布曲線をもとに極大値の粒子濃
度の1/2になる深さ〔II〕(ここでII>I)を積
層厚さとした。さらに、他の積層フィルムについては、
粒子濃度が表われるところから同様の解析を行ない求め
た。さらに、無機粒子などが含有されている場合には、
二次イオン質量分析装置(SIMS)を用いて、フィル
ム中の粒子のうち最も高濃度の粒子に起因する元素とポ
リエステルの炭素元素の濃度比(M/C)を粒子濃
度とし、ポリエステルX層の表面から深さ(厚さ)方向
の分析を行なう。そして上記同様の手法から積層厚さが
得られる。なお、フィルム断面観察あるいは薄膜段差測
定器などによって求めることもできる。
【0029】(3)走行性 フィルム幅1/2インチにスリットし、テープ走行性試
験機TBT−300型[(株)横浜システム研究所製]
を使用し、20℃、60%RH雰囲気で走行させ、初期
の摩擦係数μkを下式より求めた。なお、ガイド径は6
mmφであり、ガイド材質はSUS27(表面粗度0.
2S)、巻き付け角は180°、走行速度は3.3cm
/秒である。 μk=0.733×log(T1 /T2 ) T1 :出側張力 T2 :入側張力 上記μkが0.35以下であるものは滑り性良好であ
る。ここで、μkが0.35より大きくなると、フィル
ム加工時または製品としたときの滑り性が極端に悪くな
る。
【0030】(4)削れ性(高速走行) フィルムを1/2インチにスリットしたテープ状ロール
を、ステンレス鋼SUS−304製ガイドロールに巻き
付け角60°、250m/分の速度、張力95gで50
0mにわたって擦り付け、ガイドロール表面に発生する
白粉量によって次のようにランク付けした。A、B級の
ものを合格とした。 A級………白粉発生まったくなし B級………白粉発生少量あり C級………白粉発生やや多量あり D級………白粉発生多量あり
【0031】(5)磁性面傷 市販のビデオテープを、磁性面を表にして張力100g
で直径7mmのピンの円周方向にテープの長手方向を巻
き付ける。さらに、幅1/2のテープ状にスリットした
評価フィルムを、巻き付け角120°、張力50gでビ
デオテープの長手方向に重ね併せて巻き付け、評価フィ
ルムを走行速度200cm/分で5cmを10往復走行
させる。このとき、磁性面に発生した傷を微分干渉顕微
鏡で観察倍率50倍で観察し、ほとんど傷が入っていな
い場合を磁性面傷良好、20本以上の傷が入っている場
合を磁性面傷不良とした。
【0032】
【実施例】以下、実施例で本発明をさらに詳述する。 実施例1 固有粘度0.670dl/gのポリエチレンテレフタレ
ートチップをベントタイプ二軸押出機を使用して溶融状
態とし、20重量%濃度の水スラリーとして分散させた
無水フタル酸とグリセリンとの重縮合反応によって得ら
れた平均粒子径0.5μmの高分子粒子をポリエステル
組成物中で0.5重量%になるように添加する。ベント
ロを10Torrの真空度に保持し、樹脂温度を280
℃で溶融押出して、高分子粒子を含有するポリエチレン
テレフタレート組成物(I)を得た。得られたポリマー
の固有粘度は0.620dl/gであった。
【0033】このポリエチレンテレフタレート組成物
(I)を、290℃で溶融押出して静電印加キャスト法
を用いて未延伸フィルムとした。次いで、長手方向に4
倍、幅方向に3.6倍延伸後、定長下で200℃、5秒
間熱処理し、厚さ10μmのフィルムを得た。このフィ
ルムは、表1に示すようにRa=0.013、Rt=
0.270、滑り性はμk=0.23、削れ性A級、磁
性面傷良好であった。
【0034】実施例2 フタル酸とペンタエリトリトールから重縮合反応によっ
て得られる高分子粒子を用いる以外は、実施例1と同様
にしてフィルムを得た。表1に示すとおり、耐削れ性、
磁性面傷とも良好であった。
【0035】実施例3 粒子の組成がテレフタル酸/トリメリット酸/エチレン
グリコールである高分子粒子を用い、実施例1と同様に
してポリエチレンテレフタレート組成物(III)を得
た。
【0036】一方、テレフタル酸ジメチル100重量
部、エチレングリコール70重量部、エステル交換反応
触媒として酢酸マグネシウム0.06重量部、重合触媒
として三酸化アンチモン0.03重量部、耐熱安定剤と
してトリメチルホスフェート0.03重量部を用いて、
通常の方法で固有粘度0.650dl/gのポリエチレ
ンテレフタレート(II)を得た。次いで、ポリエチレ
ンテレフタレート(II)の上に、ポリエチレンテレフ
タレート組成物(III)を290℃で溶融押出して、
静電印加キャスト法を用いて積層未延伸フィルムとし
た。
【0037】この未延伸フィルムを長手方向に120℃
で3.9倍に延伸した。この一軸フィルムをステンター
を用いて幅方向に111℃で3.6倍に延伸し、定長下
で200℃にて5秒間熱処理し、厚さ10.0μm(積
層厚み1.0μm)のフィルムを得た。表1に示すよう
に、得られたフィルムの積層部における高分子粒子の含
有量は0.6重量%であり、フィルム特性は、表1に示
すようにRa=0.013、Rt=0.270、μk=
0.23、耐削れ性A級、磁性面傷良好であった。
【0038】比較例1 D=0.45μmの球状二酸化ケイ素粒子を用いて実施
例1と同様にしてフィルムを得たところ、表2に示すよ
うに親和性が低く、粒子が多く脱落し、削れ性C級、磁
性面傷不良となった。
【0039】比較例2 市販のジビニルベンゼン(ジビニルベンゼン55%、エ
チルビニルベゼン40%、エチルベンゼン5%)を用い
て製造した架橋高分子粒子を使用し(架橋度55重量
%)、実施例1と同様にフィルム化したところ、表2に
示すように削れ性が悪化した。
【0040】比較例3〜4 実施例1における粒子の粒径または添加量を変えてフィ
ルムを得たが、表2に示すように耐削れ性、磁性面傷が
悪化した。
【0041】
【表1】
【表2】
【0042】
【発明の効果】本発明の熱可塑性ポリエステル組成物
は、特定の組成の高分子粒子を含有しているので、該粒
子とポリエステルとの親和性に優れるため、フィルムに
成形した際、高速走行時に粒子が脱落しにくく、粒子に
よる磁性面傷が発生しにくい。したがって、従来各種の
粒子を添加したときに問題となっていた粒子の脱落によ
る白粉の発生、磁性面傷などの悪化を防止することがで
き、フィルムの製造時の工程汚染の防止や、特に磁気テ
ープなどの製品としての好適な使用を可能とするもので
ある。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均粒子径0.01〜5μmの高分子粒
    子を0.005〜10重量%含有する芳香族ジカルボン
    酸とグリコールとを主たる構成成分とするポリエステル
    組成物であって、該高分子粒子が、少なくとも一方が3
    価以上である多価アルコールと多塩基酸とを主たる構成
    成分とするポリエステル樹脂からなることを特徴とする
    ポリエステル組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1のポリエステル組成物からなる
    ことを特徴とするフィルム。
JP30135692A 1992-11-11 1992-11-11 ポリエステル組成物およびそれからなるフィルム Pending JPH06145488A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100368571B1 (ko) * 2000-07-31 2003-01-24 주식회사 코스모링크 개질된 절연전선 피복용 폴리에스테르 수지 및 이를이용하여 제조된 다층 절연전선
KR100602280B1 (ko) * 1998-12-31 2006-12-22 에스케이케미칼주식회사 코팅용 공중합 폴리에스테르 수지 조성물

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