JPH06122138A - プラスチック成形機用複合シリンダ - Google Patents

プラスチック成形機用複合シリンダ

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JPH06122138A
JPH06122138A JP4274118A JP27411892A JPH06122138A JP H06122138 A JPH06122138 A JP H06122138A JP 4274118 A JP4274118 A JP 4274118A JP 27411892 A JP27411892 A JP 27411892A JP H06122138 A JPH06122138 A JP H06122138A
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weight
base material
cylinder
less
lining layer
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JP4274118A
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Kenji Maruta
賢二 丸田
Satoshi Fukui
福井  聡
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Proterial Ltd
Original Assignee
Hitachi Metals Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐摩耗性及び耐食性に優れたHIP焼結合金
のライニング層を有する複合シリンダを提供する。 【構成】 この複合シリンダは、合金鋼からなる中空円
筒形状のシリンダ母材の内面に、重量比でB 1.5〜4
%、C 0.7%以下、Si 1〜4%、Mn 2%以下、Cr
5〜20%、Fe 5%以下、Cu 5〜20%、W 3〜15%、
Co 5〜20%、残部実質的にNi及び不可避的不純物元
素からなる合金のアトマイズ粉を、HIP処理により拡
散接合したライニング層を有する。シリンダ母材はCr
−Mo鋼、又はNi−Cr−Mo鋼であって、熱処理を
施したシリンダ母材の金属組織はベイナイト 20%以
上、残部ソルバイトからなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プラスチック用の射出
成形機、押出成形機等に用いる複合シリンダに関し、特
に耐摩耗性および耐食性に優れた複合シリンダに関す
る。
【0002】
【従来の技術】プラスチック等の射出成形あるいは押出
成形に使用される成形機用のシリンダには、加熱成形中
の樹脂または樹脂に加えた添加剤等による腐食あるいは
摩耗を防止するため、鋼材からなる中空円筒状のシリン
ダ母材の内面に、耐摩耗性と耐食性とを兼備する合金材
料を遠心鋳造法によりライニングする構造のものが用い
られている(特開昭62−89835号、特開平2−1
75828号公報等)。しかしながら、上述のような成
形機用の複合シリンダを遠心鋳造法により作製する場合
は、溶着反応時にライニング層を形成する合金材料にシ
リンダ母材を形成する鋼材のFeが侵入する。このFe
の侵入はライニング層とシリンダ母材との完全な溶着を
遂行するために必要であるが、Feが増加するとライニ
ング層の硬度を低下させると共に、また耐食性を劣化さ
せてしまうという問題がある。また、近年プラスチック
は、用途が多種多様化し、様々な特殊樹脂を用いたり、
様々な添加剤を混合するようになってきているため、成
形機用の複合シリンダ内ライニング層の耐摩耗性及び耐
食性を、さらに向上させるべき要求が高まってきてい
る。このためには合金成分を多量に配合したり、耐摩耗
成分を多量に添加したりする必要があるが、遠心鋳造法
では、偏析や分散性等の問題のため、必ずしもこれらの
要求を満足させることができない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の目的
は、ライニング層が、各種合金のアトマイズ粉末をHI
P処理により母材内面に拡散接合されており、かつ優れ
た耐摩耗性及び耐食性を有するような組成とすることが
できる複合シリンダを提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題に鑑み鋭意研究
の結果、本発明者は、ライニング層を形成する合金材料
の組成を最適化するとともに、その合金材料をHIPプ
ロセスによりシリンダ母材の内面上で加圧焼結して拡散
接合することにより、ライニング層には前記シリンダ母
材からFeが侵入せず、かつライニング層は優れた耐摩
耗性及び耐食性を有することを発見し、本発明に想到し
た。
【0005】すなわち、本発明のライニング層とシリン
ダ母材とからなる複合シリンダは、前記ライニング層
が、B 1.5〜4.0 重量%、C 0.7 重量%以下、Si 1.
0〜4.0重量%、Mn 2.0 重量%以下、Cr 5.0〜20.0
重量%、Fe 5.0〜 重量%以下、Cu 5.0〜20.0 重量
%、W 3.0〜15.0 重量%、Co 5.0〜20.0 重量%、残
部実質的にNi及び不可避的不純物からなるNi基合金
のアトマイズ粉末を、HIPプロセスにより前記シリン
ダ母材内面上で加圧焼結して拡散接合したことを特徴と
する。
【0006】
【実施例及び作用】まず本実施例に用いる耐摩耗性及び
耐食性を有するライニング層を構成する合金成分につい
て説明する。Bの含有率は 1.5〜4.0 重量%である。B
は組織中に高硬度のほう化物を形成し、合金の耐摩耗性
及び耐食性を向上させる作用を有するが、1.5重量%未
満ではその効果が得られず、また 4.0重量%を超えると
合金の強度を劣化させてしまう。好ましくは、2.0〜3.0
重量%である。Cの含有率は 0.7 重量%以下である。
CはCrと炭化物を形成し、基地の硬さと強度を増大さ
せ、耐摩耗性を向上させる作用を有するが、0.7 重量%
を超えると合金の硬さ及び強度を低下させてしまう。好
ましくは、0.2〜0.5重量%である。Siの含有率は 1.0
〜4.0 重量%である。Siは、耐摩耗性を向上させる作
用を有するとともに、アトマイズ処理により合金粉末を
得る際に粉末粒径を均一化する作用を有するが、1.0重
量%未満ではその効果が得られず、また 4.0重量%を超
えると合金の靱性を損なってしまう。Mnの含有率は
2.0重量%以下である。Mnは、脱酸剤として作用する
とともに、不純物として混入するSによる影響を防止す
る作用を有するが、2.0重量%を超えると合金の靱性及
び耐食性をそこなってしまう。好ましくは、1.0〜1.5重
量%である。Crの含有率は 5.0〜20.0 重量%であ
る。Crは、C、Bと結合して炭化物、ほう化物を形成
し、耐摩耗性を向上させる作用を有するが、20.0 重量
%を超えると合金の靱性を低下させてしまう。5.0重量
%未満ではその効果を発揮しない。好ましくは、10.0〜
15.0重量%である。Feの含有率は 5.0 重量%以下で
ある。Feは耐食性を向上させる作用を有するが、Fe
の含有量が5.0重量%を超えると硬さが低下するととも
に、酸に対する耐食性を低下させてしまう。好ましく
は、1.0重量%以下である。Cuの含有率は 5.0〜20.0
重量%である。Cuは、強度を増加させまた酸に対する
耐食性を向上させる作用を有するが、5.0重量%未満で
はその効果が得られず、また 20.0重量%を超えると合
金の硬さを著しく低下させると共にCu偏析が生ずるの
で好ましくない。好ましくは、5.0〜15.0重量%であ
る。Wの含有率は 3.0〜15.0 重量%である。WはCと
結合してWCを形成すると共にB、Crと硼化物を形成
し、耐摩耗性を向上させると共にCuと相乗的に作用し
て耐食性を向上させる。また、組織微細化作用を有する
ので高強度を与えるが、 3.0重量%未満ではその効果が
得られず、また15.0重量%を超えて添加してもそれ以上
の効果はあまり認められない。好ましくは、5.0〜10.0
重量%である。Coの含有率は 5.0〜20.0 重量%であ
る。CoはCr、B、Wと硼化物を形成し、耐摩耗性と
耐食性を向上させるが、Co含有量の増大にともなう製
造原価の上昇による経済的効果を損なうので、Coの上
限を 20.0重量%とする。5.0重量%未満ではその効果が
得られない。好ましくは、5.0〜15.0重量%である。N
iは、耐摩耗性、耐食性を与えるため基合金成分として
残量%とする。
【0007】また本実施例においては、上述した成分組
成の原料を溶融し、ガスアトマイズ法により粉末化す
る。ガスアトマイズ法は、Arガス等を用い、通常の方
法により行うことができる。アトマイズ粉末の粒径は、
HIPが可能である限り、特に限定されないが、組成の
均一性を高めるために、5〜10μm程度であるのが好ま
しい。
【0008】さらに本実施例においては、上述の合金粉
末に、周期律表のIVa族、Va族あるいはVIa族に属
する元素の炭化物からなる微粒子を均一に分散させるこ
とにより、耐摩耗性をさらに向上することができる。上
記炭化物からなる微粒子を含有する場合、含有率は、ラ
イニング層を形成する合金材料 100重量部当たり、5〜6
0重量部であるのが好ましい。5重量部未満であると耐摩
耗性の向上に寄与しないし、60重量部を超えると機械的
強度の低下が大きいため好ましくない。またこの場合
は、前記炭化物からなる微粒子の粒径が 5〜100μmで
あるのが好ましい。5μm未満であると均一に分散せ
ず、また 100μmを超えるとライニング層の強度が低下
するため好ましくない。
【0009】次に本発明の複合シリンダについて、その
製造方法の一例を説明する。図1はシリンダ母材内にラ
イニング層形成用芯金を挿入した状態を示す概略断面図
であり、合金粉末充填前の状態を示すものである。図1
に示すように、ホッパー用開口部41を有し、高強度鋼材
等からなるシリンダ母材1の内側に、複合シリンダのラ
イニング層を形成するための芯金2を挿入することによ
り、シリンダ母材1と芯金2との間に合金粉末充填用の環
状の中空部3を形成する。芯金2の両端及びシリンダ母材
1の両端をともに、蓋4、5を溶接等で接合することによ
りシールする。この場合、ライニング用の合金粉末は開
口部41より入れることになるが、場合によっては、蓋
4、5の一方を合金粉末充填後にシールするようにしても
よい。合金粉末の充填はシリンダ母材に振動を適当に与
えることにより行うのが好ましい。最後にホッパー用開
口部41も、蓋8を溶接等で接合することによりシールす
る。なお芯金2及び蓋4、5は軟鋼等により作製すること
ができる。また芯金2は図1の例示のように中空である
必要はなく、中実であってもよい。
【0010】図2は、このようにして合金粉末3aが充填
された状態のシリンダを示す概略断面図である。合金粉
末が密封充填されたシリンダは、図3に示すような構造
のHIP装置7内に、装填され、HIP処理が行われる
が、通常のHIP処理条件は、温度900〜1,050℃、圧力
1,000〜1,500atmであり、アルゴン等の不活性ガス雰囲
気中で1〜5時間行う。なお図3における白抜矢印は、接
合体6に加わる圧力の方向を概略的に示している。HI
P処理を行った後の接合体6については、切削加工等に
より蓋4、蓋5を除去する。次いで、芯金2を除去し、シ
リンダ内面の仕上げを行う。
【0011】以上により作製される複合シリンダは、ラ
イニング層がHIPプロセスにより形成されるため、F
eがシリンダ母材から侵入することがなく、優れた硬度
及び耐食性を有する。またライニング層は、上述した耐
食性、耐摩耗性合金材料により形成されているため、優
れた耐摩耗性及び耐食性を有することは言うまでもな
い。なお上述した本実施例の複合シリンダに、適当な熱
処理を施し、シリンダ母材を所望の組織にすることによ
り、シリンダ母材の強度を向上させ、ライニング層の耐
クラック性を向上させることも可能である。
【0012】このような熱処理を施す場合に最適なシリ
ンダ母材について説明する。シリンダ母材として、亜共
析合金鋼を用いることが好ましい。
【0013】合金鋼として、Cr−Mo鋼を用いる場
合、化学成分の含有率はC 0.3〜0.5重量%、Si 0.15
〜0.35 重量%、Mn 0.3〜1.5 重量%、P 0.03 重量
%以下、S 0.03 重量%以下、Cr 0.7〜1.5 重量%、
Mo 0.1〜0.5 重量%とするのが強度上好ましい。日本
工業規格(JIS G 4105)に規定されるSCM440、SCM445相当
のCr−Mo鋼が、強度上特に好ましい。合金鋼とし
て、Ni−Cr−Mo鋼を用いる場合、化学成分の含有
率はC 0.3〜0.5 重量%、Si 0.15〜0.35 重量%、M
n 0.3〜1.5 重量%、P 0.03 重量%以下、S 0.03 重
量%以下、Ni 3.0重量%以下、Cr 0.7〜1.5 重量
%、Mo 0.1〜0.5 重量%とするのが強度上好ましい。
日本工業規格(JIS G 4103)に規定される SNCM439 相当
のNi−Cr−Mo鋼が、強度上特に好ましい。
【0014】また本実施例においては、上述したような
シリンダ母材に適当な熱処理を施すことにより、その組
織を強度上有利な構成にするが、この場合、組織の 20
%以上をベイナイトにより形成し、残部をソルバイトに
より形成するのが好ましい。組織のベイナイトが 20%
未満であると十分な強度が得られず好ましくない。
【0015】以上に示す組織構成とするために、本実施
例においては、上述した複合シリンダに熱処理を施す
が、この熱処理方法を図4に示す熱処理パターンによ
り、以下に説明する。ここで、図4の横軸は時間、縦軸
は温度を示しており、また熱処理パターン上のAは焼入
加熱工程、Bは冷却工程、Cは保持工程、Dは焼戻し加
熱工程、Eはアニール工程、Fは室温までの冷却工程を
示している。本実施例においては、Aに示す焼入加熱工
程により、複合シリンダを形成し、その後Bに示す冷却
工程において、ベイナイト変態を起こす温度領域まで冷
却するが、この時の冷却速度は 40〜100℃/分である。
冷却速度が 40℃/分未満であると、トルースタイトを
生じ、また100℃/分を超えると、ライニング層の内面
に割れが生じやすくなる。
【0016】次いでCに示すように保持工程において、
ベイナイト変態を起こす領域は 300〜550℃である。ベ
イナイト変態を起こす領域が 300℃未満であると低温で
のシリンダ母材の変態膨張によりライニング層の内面に
割れが生じやすくなり、また550℃を超えるとパーライ
トが生じる。また保持工程における保持時間は10分以上
である。保持時間が、10分未満であると、シリンダ母材
のベイナイト量が20%未満となり、十分な強度が得られ
なくなる。
【0017】次いでDに示すようにアニール温度まで加
熱を行うが、この時、加熱速度は 1〜10℃/分である。
加熱速度が 1℃/分未満であると、シリンダ母材のベイ
ナイト量が過多となり、ライニング層の内面に割れを発
生しやすくなる、また10℃/分を超えると、逆にベイナ
イト量が不足して強度が得られなくなる。次いでEに示
すようにアニールを行うが、この時、アニール温度は 5
50〜650℃である。アニール温度が 550℃未満であると
残留応力除去というアニールの目的を果たず、また 650
℃を超えると金属組織に影響をおよぼす。またアニール
時間は 1〜5時間である。アニール時間が1時間未満で
あると十分に残留応力を除去できず、また5時間を超え
ても、その効果に著しい変化はない。
【0018】最後にFに示すように室温まで冷却する。
以上により形成される本実施例における複合シリンダ
は、シリンダ母材の強度が著しく向上するため、ライニ
ング層が優れた疲労強度、特に耐クラック性を有する構
造になる。
【0019】
【実施例】以下の具体的実施例により本発明を詳細に説
明する。 (実施例1)図2に示す構造の接合体を上述の方法によ
り作製したが、ライニング層を形成する合金材料とし
て、B 2.0 重量%、C 0.2 重量%、Si 3.0 重量
%、Mn1.0 重量%、Cr 10.0 重量%、Fe 0.5 重
量%、Cu 10.0 重量%、W 5.0重量%、、Co 10.0
重量%、残部実質的にNi及び不可避的不純物からなる
合金のアトマイズ粉末を用い、またシリンダ母材として
SCM440を用いた。また、上記接合体6を図3に示すよう
な構造のHIP装置内において、HIP処理を施した
が、この時のHIP処理条件は、Arガス雰囲気中、温
度 1,000℃、圧力 1,000atm、4時間とし、複合シリン
ダを得た。
【0020】(実施例2)実施例1と同様に、接合体6
を作製したが、ライニング層を形成する合金材料とし
て、B 2.3 重量%、C 0.3 重量%、Si 3.0 重量
%、Mn 1.0 重量%、Cr 15.0 重量%、Fe 0.5 重
量%、Cu 10.0 重量%、W 7.0 重量%、、Co 10.0
重量%、残部実質的にNi及び不可避的不純物からな
る合金のアトマイズ粉末に、さらにWCからなる 5〜30
μm微粒子をアトマイズ粉末 100重量部当り、20重量部
均一に分散させた。またシリンダ母材としてSNCM439を
用いた。次いで、アトマイズ粉末が密封された上記接合
体を図3に示すような構造のHIP装置内に、装填し、
HIP処理を施した。この時のHIP処理条件は、温度
1,000℃、圧力 1,000atmであり、Arの不活性ガス雰囲
気中で4時間行うことにより複合シリンダを得た。
【0021】(実施例3)実施例1と同様の複合シリン
ダにさらに熱処理を施した。この時の熱処理条件は、加
熱温度 900℃(図4に示すA)、冷却速度 80℃/分
(図4に示すB)、ベイナイト変態を起こす温度 500
℃、保持時間 20分(図4に示すC)、加熱速度 5℃/
分(図4に示すD)、アニール温度 630℃、保持時間5
時間(図4に示すE)、であった。以上により形成され
た複合シリンダのシリンダ母材の組織は、約50%のソル
バイトとからなっていた。
【0022】(実施例4)実施例2と同様の複合シリン
ダにさらに熱処理を施した。この時の熱処理条件は、加
熱温度 870℃(図4に示すA)、冷却速度 50℃/分
(図4に示すB)、ベイナイト変態を起こす温度 450
℃、保持時間 20分(図4に示すC)、加熱速度 5℃/
分(図4に示すD)、アニール温度 600℃、保持時間5
時間(図4に示すE)、であった。以上により形成され
た複合シリンダのシリンダ母材の組織は、約60%のソル
バイトとからなっていた。
【0023】上述した本実施例の複合シリンダについ
て、ライニング層の耐摩耗性、耐食性、及びシリンダ母
材の強度を測定した。耐摩耗性については、成形機用シ
リンダから、10mm×15mm×10mmの大きさの試料を作製
し、♯400の研磨紙に、荷重 2.0Kgで押圧し、480mの距
離を摺動させた後にライニング材の摩耗量を調べた。こ
の結果を、後述する比較例の結果を10とした時の相対値
によって表し、耐摩耗性を評価した。耐食性について
は、成形機用シリンダライニング層から 4.0mm×1.5mm
×10mmの大きさの試料を作製し、50℃の10% HF 水溶液
中に24時間浸漬した後に、ライニング材の腐食減量率を
調べた。この結果を、後述する比較例の結果を10とした
時の相対値によって表し、耐食性を評価した。シリンダ
母材の強度については、母材から引張試験材料を作製成
し、引張試験を行い、母材強度として最も重要な 0.2%
耐力を計測した。これらの結果を表1及び表2に示す。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【0026】表1及び表2から明らかなように、実施例
1、2の複合シリンダにおいては、窒化鋼シリンダに比
べて、ライニング層が優れた耐摩耗性及び耐食性を有し
ていた。また実施例3、4の複合シリンダにおいては、
適当な熱処理が施されているために、シリンダ母材の強
度が著しく向上していることがわかる。そのため、ライ
ニング層にかかる歪みが小さくなり、疲労強度及び耐ク
ラック性が向上すると考えられる。なお本実施例におい
ては、単軸の複合シリンダを例にとり説明したが、複数
軸の複合シリンダとすることも可能であり、この場合も
良好な効果を発揮することは勿論である。なお、本発明
の複合シリンダは、使用時において、スクリュ及びチェ
ックリングとのなじみが良い。
【0027】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の複合シリ
ンダにおいては、ライニング層を、上述した耐食性、耐
摩耗性を付加するのに最適な成分組成の合金材料により
形成し、かつその合金材料がHIPプロセスによりシリ
ンダ母材に加圧焼結して拡散接合した構造になってお
り、優れた耐摩耗性及び耐食性を有する。なお、熱処理
を施したシリンダ母材はその強度が著しく向上している
ので、ライニング層にかかる歪が小さくなる。つまり、
疲労強度及び耐クラック性の向上が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】シリンダ母材内に芯金を挿入した状態を示す概
略断面図である。
【図2】シリンダ内にライニング用合金粉末を充填した
状態を示す概略断面図である。
【図3】本発明の複合シリンダを製造するためのHIP
装置を示す概略断面図である。
【図4】本発明の一実施例による複合シリンダの熱処理
パターン図である。
【符号の説明】
1:シリンダ母材 2:芯金
3:中空部 3a:合金粉末 4,5,8:蓋
6:接合体 7:HIP装置 31,32:端部 4
1:ホッパー用開口部

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 合金鋼からなる中空円筒形状のシリンダ
    母材と、当該シリンダ母材の内面に存するライニング層
    とを有する複合シリンダにおいて、前記ライニング層
    が、B 1.5〜4.0 重量%、C 0.7 重量%以下、Si 1.
    0〜4.0 重量%、Mn 2.0 重量%以下、Cr 5.0〜20.0
    重量%、Fe 5.0 重量%以下、Cu5.0〜20.0 重量
    %、W 3.0〜15.0 重量%、Co 5.0〜20.0 重量%、残
    部実質的にNi及び不可避的不純物からなるNi基合金
    のアトマイズ粉末を、HIPプロセスにより前記シリン
    ダ母材内面上で加圧焼結して拡散接合したことを特徴と
    する複合シリンダ。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の複合シリンダにおい
    て、前記ライニング層が、前記アトマイズ粉末 100 重
    量部当り、IVa族、Va族あるいはVIa族に属する元
    素の炭化物の微粒子 5〜60 重量部を均一に分散させて
    なることを特徴とする複合シリンダ。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の複合シリンダにおい
    て、前記炭化物からなる微粒子の粒径が 5〜100 μmで
    あることを特徴とする複合シリンダ。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれかに記載の複合
    シリンダにおいて、前記シリンダ母材の組織は、ベイナ
    イト20%以上、残部ソルバイトからなることを特徴とす
    る複合シリンダ。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の複合シリンダにおい
    て、前記シリンダ母材は、C 0.3〜0.5 重量%、Si
    0.15〜0.35 重量%、Mn 0.3〜1.5 重量%、P0.03 重
    量%以下、S 0.03 重量%以下、Cr 0.7〜1.5 重量
    %、Mo 0.1〜0.5 重量%、残部実質的にFe及び不可
    避的不純物からなるCr−Mo鋼であることを特徴とす
    る複合シリンダ。
  6. 【請求項6】 請求項4に記載の複合シリンダにおい
    て、前記シリンダ母材は、C 0.3〜0.5 重量%、Si
    0.15〜0.35 重量%、Mn 0.3〜1.5 重量%、P0.03 重
    量%以下、S 0.03 重量%以下、Ni 3.0 重量%以
    下、Cr 0.7〜1.5重量%、Mo 0.1〜0.5 重量%、残
    部実質的にFe及び不可避的不純物からなるNi−Cr
    −Mo鋼であることを特徴とする複合シリンダ。
JP4274118A 1992-10-13 1992-10-13 プラスチック成形機用複合シリンダ Pending JPH06122138A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009024198A (ja) * 2007-07-18 2009-02-05 Sanyo Special Steel Co Ltd Ni−W系中間層用スパッタリングターゲット材の製造方法

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