JPH0611920B2 - 半田付け性に優れた複層めっき鋼板 - Google Patents

半田付け性に優れた複層めっき鋼板

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JPH0611920B2 JP62201023A JP20102387A JPH0611920B2 JP H0611920 B2 JPH0611920 B2 JP H0611920B2 JP 62201023 A JP62201023 A JP 62201023A JP 20102387 A JP20102387 A JP 20102387A JP H0611920 B2 JPH0611920 B2 JP H0611920B2
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Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は半田用鋼板に係り、半田の広がり、半田強度
（以下、半田性と略す）、耐食性、加工性経時性、半田
浴へのZnの溶け込みの抑制および経済性に優れたZn単独
めっき、あるいはZn系合金めっきを下層とした半田付け
性に優れた複層めっき鋼板に関する。
［従来の技術］ 半田の可能な鋼板として、Snめっき鋼板、Pb-Sn合金め
っき鋼板、Cuめっき鋼板が広く知られている。Snめっき
鋼板、Cuめっき鋼板は半田性に優れているが、これらの
標準電極電位（以下、電位と略す）はいずれも鋼板のFe
よりも貴であるため、めっきにピンホールが存在すると
その部分からFeが溶出し、赤錆が発生し易い。これらを
解消するためには高価な金属のめっき量を３０g/m2以上
にしなければならず、経済性の点から非常に不利であ
る。また、Cuめっき鋼板は表面が酸化され易く、変色し
半田性が著しく低下する。したがって、耐食性の向上の
ため、クロメート処理が施されている。しかし、耐食性
を改善するためにはクロメート量がCrとして０．０５mg
/dm2以上必要であるが、半田性に対しては著しく悪影響
を及ぼすので好ましくない。Pb-Sn合金めっき鋼板につ
いては、成形加工時に加工屑が発生し加工部品に付着す
る。このことが商品化した場合、加工屑によりショート
の原因となる。また、Pb公害も無視することはできな
い。
［発明が解決しようとする問題点］ 前述のごとく、半田性、耐食性、加工性、経時性、半田
浴へのZnの溶け込みおよび経済性に優れためっき鋼板を
得るためには、安価な金属で経済性に優れ、Feの電位よ
り卑であるZnに注目して半田性、耐食性、経時性を向上
させる必要がある。しかし、公知の方法では半田性と耐
食性の向上は相反する傾向があるので、半田性と耐食性
の優れた鋼板を得ることは困難である。
したがって、めっき層の改善が必要である。
［問題を解決するための手段］ 本発明によるめっき層の改善は、鋼板上に、下層として
１〜50g/m2のFeの電位より卑で、安価な金属であるZnあ
るいはZnを主成分とした合金めっきと、中間層として、
その上に、0.1〜10g/m2のFe,NiまたはCoの単独めっき、
あるいはこれらの合金めっきと上層（最外層）に0.05〜
５g/m2のZn,Sn,Cuの単独めっき、あるいは合金めっきか
らなることを特徴とする。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明において、下層のZnめっき、あるいはZn合金めっ
きは公知のめっき浴で差し支えないが、Znめっきあるい
はZn合金めっき浴中にAl2(SO4)3などの平滑剤が添加さ
れている場合、Al3+イオンがめっき層中に析出し半田に
悪影響を及ぼすので好ましくない。同様に、ケイ酸およ
びその塩、ホウ酸およびその塩の添加は好ましくない。
Zn系合金めっきの場合、Ni,Co,Fe,Cu,Snが含まれるが、
めっき浴中に、Cr6+,Mo6+イオンが多く存在すると、耐
食性に対して効果的であるが、半田性に対して好ましく
ない。また、めっき層がFeより貴の場合、耐食性の効果
が減少する。めっき層は１g/m2以下になると下地めっき
としての効果が少なく、赤錆が発生し易い。５０g/m2以
上になると効果は飽和し経済性の点から好ましくない。
下層のめっき層のみでも、十分半田用鋼板として使用で
きる場合もあるが、最近、半田の自動化によって連続的
に半田処理が行われるようになった。そこで半田時に半
田浴へのZnの溶け込みが問題になる場合がある。半田浴
にZnが存在すると、ツララの原因となり好ましくないと
されている。したがって、Znの半田浴への溶け込みと耐
食性の改善から、その中間層に、Feめっき、Niめっき、
Coめっき、あるいはこれらの合金めっきを施すことが望
ましい。中間層にSnあるいはPb-Snめっきを施しても、Z
nの半田浴への溶け込みを抑制することはできない。
Fe,Ni,Coの単独めっきあるいは合金めっきの場合、例え
ば、ワット浴のように浴中に、ホウ酸を含むものはホウ
酸がめっき層中に析出し、半田性に悪影響を及ぼすので
好ましくない。また、これらのめっきはZnに対して貴で
なければ耐食性への効果は認められない。めっき量が0.
1g/m2以下の場合はZnの半田浴への溶け込みは抑制でき
ず、耐食性への効果も認められない。また、１０g/m2以
上になると経済性に不利である。合金めっきの場合、効
果は単独めっきと同程度であるので作業性の点から単独
めっきの方が好ましい。
次に、半田性を更に改善するために０．０５〜５g/m2の
Znめっき、Snめっき、Cuめっきあるいはこれらの合金め
っきが施される。合金めっきには前記金属のほかにPb,N
i,Coの一種以上が含まれるが、その成分はZn,Sn,Cuの重
量を超えてはならない。それ以上になると、半田性が低
下する。めっき量が0.05g/m2以下では効果が見られず、
５g/m2以上では効果は飽和するので経済的に不利であ
る。
［作用］ 本発明の複層めっきによって、第２表に示すように、半
田性、耐食性、加工性、経時性および経済性が著しく向
上する結果が得られた。特性が向上する理由は明らかで
ないが、その理由として、中間のめっき層は下層のZnあ
るいはZn合金めっきに比べて高温高湿の雰囲気にさらさ
れた時、Ni,Coあるいはこれらの合金は酸化の成長が前
者に比べて遅く、黒錆や白錆の発生を抑制している。そ
の結果として、鋼板のFeの溶出が抑えられているものと
考えられる。また、表面の酸化の成長がZnやZnの合金め
っきに比べて遅いため、半田性の経時による低下が小さ
いものと考えられる。また、Ni,Coあるいはこれらの合
金めっき浴中にホウ酸やAl3+を含む場合は半田性が著し
く低下し、半田部のピンホールの原因となる。これは共
析により半田の濡れを悪くしているものと考えられる。
上層（最外層）のZn,Sn,Cuあるいはこれらを主成分とし
た合金めっきは耐食性と半田性が改善されるが、この場
合、Ni,Coあるいはこれらの合金めっき層は半田時に半
田浴へのZnの溶解を抑制する。つまりバリヤー層として
の働きをする。
前述のごとく、ホウ酸およびホウ酸塩やAl3+イオンを含
まないめっき浴で半田付け性に優れた複層めっき鋼板を
得ることができる。めっき量の組合わせは使用環境によ
って任意に組合わせることができる。つまり使用環境の
厳しくないところでは経済性を考慮して、めっき量を薄
くすることができる。
このようにして作成しためっき鋼板は、そのまま使用し
てもよいが、半田性を損なわないように後処理を施すこ
とが好ましい。例えば、ポリエチレングリコールアルキ
ルフェニールエーテルを乾燥厚み０．５μｍ塗布すると
効果的である。
本発明は、かかる知見のもとになされたものであって、
本発明の処理をすることによって、半田性、耐食性、加
工性、経時性および経済性に優れた複層めっき鋼板を連
続的に生産することができる。
［実施例］ 以下、本発明の効果を実施例１〜８により説明する。
特性評価 （１）半田広がり：250℃に保持した半田浴上に50mm×5
0mmの試験片を静止し、その上に重量0.4gでハゼ折りし
たやに入り半田（JIS Z３２８３、RH50）を置き、１５
秒後の半田広がり面積を測定し評価した。 ○：広がり
面積200mm2以上、×：50mm2以下） （２）半田強度：0.18mmの銅細線２０芯を試験片に置
き、半田ゴテにてやに入り半田（RH50）を用いて、半田
付けを行い、銅線を試験片と逆方向にして、平行に引張
って強制的に破壊を試み、その状態を評価した。○：破
壊なし、×：完全破壊 （３）耐食性：ＪＩＳ Ｚ ２３７１による塩水噴霧試
験を２サイクル行い（１サイクル：８時間噴霧、１６時
間停止）、赤錆発生の有無によって評価した。○：赤錆
なし、×：全面赤錆 （４）加工性：エリクセン張出し（Ｅｒ＝７mm）、およ
びデュポン衝撃（1/2″×１kg×３０cm）を行い、セロ
テープで加工部のめっきの密着性を評価した。○：剥離
なし （５）経時変化：恒温恒湿（60℃、RH95％以上）で1,00
0時間経時後の外観（変色）を観察しさらに前述の半田
広がり性を評価した。○：変色なし、×全面変色 （６）半田浴中へのZnの溶け込み：めっき鋼板の５cm×
５cmケミコフラックス（ケミコート株式会社）に１秒浸
漬し、直ちにＨ６０Ａの250℃の半田浴中に５秒浸漬
し、引きあげた試料を塩酸で溶解後、原子吸光分析法で
Znを分析し、半田 浴中へのZnの溶け込み量を算出した。○：０〜20％、
△：20〜50％、×：50〜100％ 表２の実施例１〜８に示したように、本発明のめっきは
耐食性、半田性、経時性、経済性、半田浴中へのZnの溶
け込みにおいて優れた効果を示した。
［発明の効果］ 本発明の複層めっき鋼板は、半田付け性のみならず耐食
性、経時性および半田浴へのZnの溶け込みの抑制に優れ
ているので、これらの諸特性の要求される半田の可能な
鋼板として広く用いられる。
フロントページの続き (72)発明者 近藤 嘉一 山口県下松市大字西豊井1651番地 (56)参考文献 特開 昭57−92192（ＪＰ，Ａ) 特開 昭56−55592（ＪＰ，Ａ) 特公 昭60−56436（ＪＰ，Ｂ２)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】鋼板上に、下層として１〜50g/m2のZn単独
    めっき、あるいはZnにNi,Co,Fe,Cu,Snの一種以上を含む
    合金めっきと中間層に0.1〜10g/m2のFe,NiまたはCoの単
    独あるいは合金めっきと上層（最外層）に0.05〜５g/m2
    のZn,Sn,Cu単独あるいは合金めっき、または、これらの
    金属とPb,Co,Niの一種以上を含む合金めっきからなる半
    田付け性に優れた複層めっき鋼板。
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