JPH06110209A - ポジ型感光性アニオン電着塗料樹脂組成物、これを用いた電着塗装浴、電着塗装法及びプリント配線板の製造法 - Google Patents

ポジ型感光性アニオン電着塗料樹脂組成物、これを用いた電着塗装浴、電着塗装法及びプリント配線板の製造法

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JPH06110209A
JPH06110209A JP4258239A JP25823992A JPH06110209A JP H06110209 A JPH06110209 A JP H06110209A JP 4258239 A JP4258239 A JP 4258239A JP 25823992 A JP25823992 A JP 25823992A JP H06110209 A JPH06110209 A JP H06110209A
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JP
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electrodeposition coating
acid
polymer
group
resin composition
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JP4258239A
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English (en)
Inventor
Masahiko Ko
昌彦 広
Satohiko Akahori
聡彦 赤堀
Hideaki Uehara
秀秋 上原
Shigeo Tachiki
繁雄 立木
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Showa Denko Materials Co Ltd
Original Assignee
Hitachi Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 電着塗装浴の安定性及び電着塗装性が良好
で、かつ、得られた電着塗装膜が高感度、高解像度であ
るポジ型感光性アニオン電着塗料樹脂組成物を提供す
る。 【構成】 (a)アクリル酸及び/又はメタクリル酸を
共重合した酸価20〜300のポリマーを塩基性の有機
化合物で中和したポリマー、(b)酸に対して不安定な
基を有する化合物並びに(c)活性光線の照射により酸
を発生する化合物を含有してなるポジ型感光性アニオン
電着塗料樹脂組成物、これを用いた電着塗装浴、電着塗
装法及びプリント配線板の製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポジ型感光性アニオン
電着塗料樹脂組成物、これを用いた電着塗装浴、電着塗
装法及びプリント配線板の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、基板表面にレジストパターンを形
成する方法として、基板表面に感光層を形成し、ついで
活性光線を照射後、現像する方法がよく用いられてい
る。この工程における感光層の形成には種々の方法が採
用されている。例えばディップコート、ロールコート、
カーテンコート等の感光性樹脂組成物溶液(塗液)を用
いる方法、あるいは感光層を基材フィルム上にあらかじ
め形成したもの(以下、感光性フィルムと略す)を基板
表面にラミネーター等を用いて積層する方法などが知ら
れている。これらの方法のうち、感光性フィルムを用い
る方法は簡便に均一な厚みの感光層が形成できることか
ら、現在、特にプリント配線板製造の分野では主流の方
法として採用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】最近、プリント配線板
の高密度、高精度化が進むに伴い、レジストパターンは
より高品質のものが必要となってきている。即ち、ピン
ホールがなく、下地の基板表面によく密着したレジスト
パターンであることが望まれている。かかる要求に対し
て現在主流となっている感光性フィルムを積層する方法
では限界のあることが知られている。この方法では、基
板製造時の打痕、研磨の不均一性、基板内層のガラス布
の網目、表面への銅めっきのピット等の不均一等によっ
て生起する基板表面の凹凸への追従性が乏しく、十分な
密着性を得ることが困難である。この困難は感光性フィ
ルムの積層を減圧下で行うこと(特公昭59−3740
号公報参照)によってある程度回避できるが、これには
特殊で高価な装置が必要となる。
【0004】このようなことが理由となって、近年再び
ディップコート、ロールコート、カーテンコート等の溶
液塗工の方法が見直されるようになってきた。しかしこ
れらの塗工方法では、膜厚の制御が困難、膜厚の均一性
が不十分、ピンホールの発生等の問題がある。
【0005】そこで最近新たな方法として電着塗装によ
り感光膜を形成する方法が提案されている(特開昭62
−235496号公報参照)。この方法によるとレジ
ストの密着性が向上する、基板表面の凹凸への追従性
が良好、短時間で膜厚の均一な感光膜を形成できる、
塗液が水溶液のため、作業環境の汚染が防止でき、防
災上にも問題がない等の利点がある。
【0006】そのため特にスルーホールを有するプリン
ト配線板の製造に有効と考えられるポジ型の感光性電着
塗料については従来から幾つかの提案がなされている。
それらの大半はキノンジアジド基を感光基として用いて
いるが、光感度が低いこと及び感光材料の水分散安定性
や耐加水分解性が劣るなどの問題があった。
【0007】一方、近年、半導体素子、磁気バブルメモ
リー、集積回路等の電子部品を製造するためのパターン
形成法として、活性光線の照射により酸を発生する化合
物と、その発生した酸により分解して現像液への溶解性
が高まる性質を示す化合物とを組み合わせた化学増幅系
ポジ型感光材料が数多く報告されている。これらの方法
によれば、従来のキノンジアジド基を用いた方法に比
べ、大幅な高感度化が期待できる。しかしながら、それ
らの材料系を電着塗料化し、実用化した例は現在のとこ
ろみられない。
【0008】従来から報告されている化学増幅系ポジ型
感光材料は、通常、有機溶媒に溶解して塗布法により塗
膜(感光膜)を形成するため、そのままでは水分散せ
ず、また、何らかの方法で水分散ができても、容易には
電着塗料樹脂組成物としては使用できない。電着塗料化
のためには、組成物の水への分散性、分散後の水に対す
る安定性(水分散安定性と耐加水分解性)、電着塗装性
そして電着塗装後の膜の感光特性など全てを考慮する必
要があり、従来の化学増幅系ポジ型感光材料を根本的に
手直しする必要があった。本発明はこれらの点を全て考
慮し、高感度、高解像度といった良好な感光特性を示
し、しかも、電着塗装浴の安定性(感光材料の水分散安
定性と耐加水分解性)及び電着塗装性についても良好な
ポジ型感光性電着塗料の開発を目的としたものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、(a)アクリ
ル酸及び/又はメタクリル酸を共重合した酸価20〜3
00のポリマーを塩基性の有機化合物で中和したポリマ
ー、(b)酸に対して不安定な基を有する化合物並びに
(c)活性光線の照射により酸を発生する化合物を含有
してなるポジ型感光性アニオン電着塗料樹脂組成物及び
これを用いた電着塗装浴に関する。また、本発明は、前
記電着塗装浴に表面が導電性の基板を浸漬し、これを陽
極として直流電圧を印加することを特徴とする電着塗装
法及び該法で得られた電着塗装膜を露光、現像すること
を特徴とするプリント配線板の製造法に関する。
【0010】本発明は、化学増幅系ポジ型感光材料の高
感度である点を生かしつつ、これに根本的に手を加え
て、感光材料の水分散性、水分散安定性、耐加水分解性
を大幅に改良し、更に、電着塗装性を考慮し、クーロン
効率の高いポジ型感光性電着塗料へと発展させたもので
ある。その結果、従来のナフトキノンジアジド系感光材
料を主成分としたポジ型感光性電着塗料のもつ低感度及
び感光材料の水分散安定性や耐加水分解性が劣るという
問題点が著しく改善される。また、酸に対して不安定な
基を有する重合性モノマーと、アクリル酸及び/又はメ
タクリル酸などのカルボン酸を有する重合性モノマーと
を一緒に共重合したポリマーを用いたポジ型感光性アニ
オン電着塗料樹脂組成物と比べると、(a)成分のカル
ボン酸を有するポリマー(電着塗装性付与成分)と
(b)成分の酸に対して不安定な基を有する化合物(ポ
ジ型感光性付与成分)とを分けて用いた本発明のポジ型
感光性アニオン電着塗料樹脂組成物は、詳細な理由は不
明だが、その電着浴の水分散安定性がさらに向上し、ま
た、電着塗装後に得られた電着塗装膜(レジスト膜)の
高感度もより向上される。前者は、カルボン酸を有する
重合性モノマーと酸に対して不安定な基を有する重合性
モノマーを共重合しているため、後者に比べてポリマー
自体が硬いこと、また、後者は、材料を機能分離したこ
とにより、電着塗装性付与成分のポリマーがポジ型感光
性付与成分の化合物を包み込む形で存在していること
が、本発明の樹脂組成物のより大きな効果を発現してい
ると考えられる。
【0011】以下に、本発明の内容について詳細に説明
する。 (a)の成分であるポリマーはアクリル酸及び/又はメ
タクリル酸を必須成分として共重合した酸価20〜30
0のポリマーを塩基性の有機化合物で中和したポリマー
である。アクリル酸及びメタクリル酸は単独でもしくは
両者を組み合わせて用いることができ、その使用量は、
ポリマーの酸価が20〜300の範囲となるよう適宜使
用される。ポリマーの酸価が20未満では感光性電着塗
料樹脂組成物に塩基性の有機化合物を加えた後、水を加
えて水分散させる際の水分散安定性が悪く、組成物が沈
降しやすい。またポリマーの酸価が300を越えると電
着膜の外観が劣りやすい。
【0012】中和前のポリマーは、アクリル酸及び/又
はメタクリル酸以外に、例えば、メチルアクリレート、
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチル
メタクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルア
クリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアク
リレート、n−ヘキシルアクリレート、n−オクチルア
クリレート、n−オクチルメタクリレート、n−デシル
メタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−
エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリ
レート、アクリロニトリル、スチレン、塩化ビニル等の
重合性モノマーを一種類以上共重合することにより得ら
れる。中でも、ホモポリマーのガラス転移温度が0℃以
下となるエチルアクリレート、n−ブチルアクリレー
ト、2−エチルヘキシルアクリレートなどを共重合させ
ると、電着塗装浴の水分散安定性や電着塗装性が良好と
なり、望ましい。
【0013】中和前のポリマーの合成は前記の重合性モ
ノマーを有機溶媒中でアゾビスイソブチロニトリル、ア
ゾビスジメチルバレロニトリル、過酸化ベンゾイル等の
重合開始剤を用いて一般的な溶液重合により得ることが
できる。この場合、用いる有機溶媒は電着塗料に供する
ことを考えてジオキサン、エチレングリコールモノメチ
ルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテ
ル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチ
レングリコールモノアセテート、ジエチレングリコール
モノエチルエーテルアセテート等の親水性の有機溶媒を
主に用いることが好ましい。もしトルエン、キシレン、
ベンゼン等の疎水性の有機溶媒を主に用いた場合には、
ポリマー合成後、溶媒を留去して前記の親水性溶媒に置
き換える必要がある。中和前のポリマーの重量平均分子
量(標準ポリスチレン換算)は20,000〜150,
000の範囲とすることが好ましい。20,000未満
では電着塗装浴の水分散安定性が低下し、また、レジス
トの機械的強度が弱くなる傾向があり、150,000
を越えると電着塗装性が劣り、塗膜の外観が劣る傾向が
ある。
【0014】(a)成分であるポリマーの使用量は
(a)成分及び(b)成分の総量100重量部に対して
40〜85重量部とすることが好ましく、55〜75重
量部の範囲とすることがより好ましい。使用量が40重
量部未満では、電着塗装浴の水分散が難しくレジストの
機械的強度が弱く、強じん性が劣る傾向があり、また8
5重量部を越えると(b)成分である酸に対して不安定
な基を有する化合物の割合が減って光に対する感度が低
下する傾向がある。
【0015】(a)成分のポリマーを得るにあたって、
塩基性の有機化合物で中和する方法は、特に制限はな
く、中和前のポリマー溶液に塩基性の有機化合物を加え
て中和してもよいし、また、後述する(b)、(c)成
分を中和前のポリマーに混合した溶液に塩基性の有機化
合物を加えて中和してもよい。いずれにしても、中和前
のポリマー中のカルボキシル基を塩基性の有機化合物で
中和することにより、水溶化又は水分散化を容易にした
ポリマーを(a)成分のポリマーとすることで電着塗装
浴を調整することができる。
【0016】ここで用いる塩基性の有機化合物としては
特に制限はないが、例えば、トリエチルアミン、ジエチ
ルアミン、ジエチルモノエタノールアミン、ジメチルモ
ノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノ
ールアミン、ジイソプロピルアミン等が挙げられ、これ
らは単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることが
できる。
【0017】これら塩基性の有機化合物の使用量は、中
和前のポリマー中のカルボキシル基1当量に対して0.
2〜1.0当量の範囲とすることが好ましい。0.2当
量未満では電着塗装浴の水分散安定性が低下する傾向が
あり、1.0当量を越えると電着塗装後の塗膜厚が薄く
なり、塗膜の外観が低下する傾向がある。
【0018】(b)成分の酸に対して不安定な基を有す
る化合物とは、1分子中に1個以上の酸に対して不安定
な基を有していれば他に制限はなく、各種の化合物を使
用することができる。
【0019】酸に対して不安定な基としては、酸が存在
すると、容易に分解する基であればよく、例えば、t−
ブチルエステル基、t−アミルエステル基、イソボルニ
ルエステル基、テトラヒドロピラニルエステル基、t−
ブチルカーボネート基、t−アルミカーボネート基、イ
ソボルニルカーボネート基、トリメチルシロキシ基、テ
トラヒドロフラニルエステル基、アセタール基、ケター
ル基、オルトエステル基、エノールエーテル基などが挙
げられる。これらの酸に対して不安定な基のうち、特
に、光感度及び電着塗装浴の安定性の面からt−アミル
エステル基、t−ブチルエステル基及びテトラヒドロピ
ラニルエステル基が好ましい。
【0020】(b)成分として、酸に対して不安定な基
を有する化合物が低分子化合物の場合には、例えば、下
記の式で示される化合物が用いられる。
【0021】
【化3】
【0022】
【化4】
【0023】
【化5】
【0024】
【化6】
【0025】
【化7】
【0026】また、(b)成分には、酸に対して不安定
な基を有する重合性モノマーを単独重合又は他の重合性
モノマーと共重合したポリマーを用いることもできる。
酸に対して不安定な基を有する重合性モノマーとして
は、例えば、下記の構造式の化合物が挙げられる。構造
式中のRは、例えば、t−アミル基、t−ブチル基、テ
トラヒドロピラニル基などを表わす。
【0027】
【化8】
【0028】中でも、電着塗装浴の安定性や光感度を考
慮すると、t−アミルアクリレート、t−アミルメタク
リレート、t−ブチルアクリレート、t−ブチルメタク
リレート、テトラヒドロピラニルアクリレート、テトラ
ヒドロピラニルメタクリレート等が好ましい。
【0029】これらの酸に対して不安定な基を有する重
合性モノマーと共重合させる他の重合性モノマーとして
は、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレ
ート、n−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシル
メタクリレート、ラウリルメタクリレート、ベンジルメ
タクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、エチル
アクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘ
キシルアクリレート、ラウリルアクリレート、ベンジル
アクリレート、シクロヘキシルアクリレート、アクリロ
ニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、ジアセトン
アクリルアミド、ビニルトルエンなどが挙げられる。た
だし、前記他の重合性モノマーから、アクリル酸もしく
はメタクリル酸などカルボン酸を有する重合性モノマー
は除かれる。他の重合性モノマーは、1種以上を併用し
て共重合させることができる。これら他の重合性モノマ
ーの共重合量は、共重合体を構成する全モノマーの総量
100重量部のうち80重量部以下とすることが好まし
い。80重量部を越えると、光感度が低くなる傾向があ
る。(b)成分中にアクリル酸、メタクリル酸等のカル
ボン酸を有する重合性モノマーを共重合させると、電着
塗装浴中で(b)成分が(a)成分のポリマーと遊離し
て存在し、電着塗装時の (a)成分と(b)成分の共
進性の違い(電気泳動の速度の違い)から、得られた電
着膜中の(a)成分と(b)成分の比率が変化してしま
う可能性があり好ましくない。
【0030】酸に対して不安定な基を有する重合性モノ
マーの単独重合又は他の重合性モノマーとの共重合の方
法は、前述した(a)成分のポリマーの合成方法と基本
的には同じである。ただし、このように重合により得た
(b)成分は低分子量重合体であることが好ましく、そ
の場合の重量平均分子量は、400〜10,000の範
囲が好ましく、800〜4,000がより好ましい。重
量平均分子量が400未満では、未反応の重合性モノマ
ーが残存している可能性があり、ポジ型としての感光特
性を損う傾向がある。また、重量平均分子量が10,0
00を越えると、(a)成分であるポリマーとの相溶性
や電着塗装浴の水分散性が低下する傾向がある。したが
って、(b)成分のポリマーの合成方法は、(a)成分
のポリマーを合成する場合に比べて、例えば、重合開始
剤を増量したり、重合温度を高めるなど、低分子量重合
体を得る条件とする必要がある。更には、ハロゲン化合
物や、チオール誘導体などの連鎖移動剤を用いての連鎖
移動重合を行うことにより、目的とする低分子量重合体
を得ることもできる。このような低分子量重合体を
(b)成分として用いることは、電着塗装浴の水分散安
定性、電着塗装性及びレジストの感光特性等の点から好
ましい。(b)成分の酸に対して不安定な基を有する化
合物は1種類でもよく、また、2種類以上併用して用い
ることもできる。
【0031】(b)成分である酸に対して不安定な基を
有する化合物の使用量は、(a)成分及び(b)成分の
総量100重量部に対して15〜60重量部とすること
が好ましく、25〜45重量部の範囲とすることがより
好ましい。使用量が15重量部未満では、レジストの光
に対する感度が低下する傾向があり、また、60重量部
を越えると、電着塗装浴の水分散性が低下し、また、レ
ジストの機械的強度が弱く、強じん性が劣る傾向があ
る。
【0032】(c)成分の活性光線の照射により酸を発
生する化合物について説明する。活性光線の照射により
酸を発生する化合物としては、例えば、
【0033】
【化9】 等のトリハロメチル基で置換されたオキサジアゾール誘
導体、
【0034】
【化10】 等のトリハロメチル基で置換されたs−トリアジン誘導
体、
【0035】
【化11】 等のヨードニウム塩、
【0036】
【化12】 等のスルホニウム塩、
【0037】
【化13】 等のジスルホン誘導体、
【0038】
【化14】 等のイミドスルホネート誘導体などが挙げられる。
【0039】これらの中でも下記一般式(I)で表わさ
れる化合物又は一般式(II)で表わされる化合物は長
波長領域に光感度を有することから好適である。
【化15】 〔式中、R1はアルキル基を表す〕
【0040】
【化16】 〔式中、R1はアルキル基を表わし、R2は水素、アルキ
ル基、アルコキシ基又はアリール基を表わし、XはI又
はSを表わし、nは2又は3を表わす〕これらの化合物
の代表例を以下に列挙する。
【0041】
【化17】
【0042】
【化18】
【0043】
【化19】
【0044】
【化20】
【0045】
【化21】
【0046】これらの活性光線の照射により酸を生成す
る化合物(c)は、(a)、(b)及び(c)成分の総
量100重量部に対して0.1〜30重量部の範囲で使
用することが好ましく、1〜15重量部の範囲で使用す
ることがより好ましい。この使用量が0.1重量部未満
では、レジストの光感度が低すぎ、30重量部を越える
と、レジストの熱安定性が低下し、レジストパターンの
解像度が低下する傾向がある。
【0047】本発明のポジ型感光性アニオン電着塗料樹
脂組成物には、前記活性光線の照射により酸を発生する
化合物の酸生成効率を増大させる化合物を含有させるこ
とができる。このような増感剤としては、例えば、アン
トラセン、フェナンスレン、ピレン、チオキサントン、
ベンゾフェノン、アンスロン、ミヒラーケトン、9−フ
ルオレノン、フェノチアジンなどを挙げることができ
る。これら増感剤の使用量と活性光線の照射により酸を
発生する化合物との配合割合は、モル比(増感剤/活性
光線の照射により酸を発生する化合物)で0.01/1
〜20/1であることが好ましく、0.1/1〜5/1
であることがより好ましく、0.1/1〜1/1である
ことが特に好ましい。
【0048】本発明におけるポジ型感光性アニオン電着
塗料樹脂組成物には、さらに染料、顔料、可塑剤、接着
促進剤、表面平滑剤、分散剤、無機充填剤などを適宜配
合することができる。
【0049】以上述べた本発明のポジ型感光性アニオン
電着塗料樹脂組成物を電着塗料化するには、まず、前記
の各種成分を親水性有機溶媒に均一に溶解させることが
好ましいが、必ずしもこれにこだわる必要はない。ここ
でいう親水性有機溶媒とは、例えば、ジオキサン、エチ
レングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコ
ールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチ
ルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテ
ル、ジエチレングリコールなどが挙げられる。これら溶
媒は、単独であるいは2種以上を混合して用いることが
でき、その使用量は、全固形分100重量部に対して3
00重量部以下の範囲が好ましい。
【0050】次に、この溶液に塩基性の有機化合物を加
えて(a)成分であるポリマー中に含まれるカルボキシ
ル基を中和することにより、組成物の水溶化又は水分散
化を容易にする。もちろん、予め(a)成分のポリマー
を塩基性の有機化合物で中和しておいてもよいことは前
述したとおりである。用いる塩基性の有機化合物の例示
や使用量も前述のとおりである。
【0051】次に、水を加えてポジ型感光性アニオン電
着塗料樹脂組成物を水に溶解又は分散させて電着塗装浴
を作製する。電着塗装浴の固形分は、通常5〜20重量
%、また、pHは6.0〜10.0の範囲が好ましい。
pHが6.0未満では分散が悪化し、電気泳動し難くな
るおそれがあり、pHが10.0を越えると一旦電着し
た膜が再溶解し、結果として膜が形成されないことがあ
る。pHを上記の好ましい範囲に合わせるために後から
前記の塩基を加えて調節してもよい。
【0052】また、ポジ型感光性アニオン電着塗料樹脂
組成物の水分散性や分散安定性を高めるために、非イオ
ン性、陽イオン性、陰イオン性等の界面活性剤を適宜加
えることができる。さらに、電着塗装時の塗布量を多く
するために、トルエン、キシレン、2−エチルヘキシル
アルコールなどの疎水性溶媒も適宜加えることができ
る。
【0053】このようにして得られた電着塗装浴を用い
て基板表面(この場合、少なくとも基板表面は、鉄、ア
ルミニウム、銅、亜鉛、その他の金属及び合金などの金
属あるいは他の導電材料(例えば、ポリピロール)で被
覆されていて、導電性を示すことが必要)に電着塗装す
るには、基板を陽極として電着塗装浴中に浸漬し、例え
ば、40〜400Vの直流電圧又は、20〜400mA
/dm2の直流電流を10秒〜5分間印加して行われ
る。このときの電着塗装浴の温度を15〜30℃に管理
することが望ましい。
【0054】電着塗装後、電着塗装浴から被塗物を引き
上げ、水洗、水切りした後、熱風等で乾燥する。この
際、乾燥温度が高いと、ポジ型感光性アニオン電着塗料
樹脂組成物中の酸に対して不安定な基が分解するおそれ
があるので、通常110℃以下で乾燥することが好まし
い。
【0055】こうして得られる塗膜(感光層)の厚さ
は、2〜50μmとすることが好ましい。膜厚が2μm
未満であると耐現像液性が低く、また、例えば、プリン
ト配線板の製造に用いる場合には、レジストパターンを
形成した後エッチング処理する際に耐エッチング液性や
エッチファクターが劣る傾向があり、また、膜厚が50
μmを越えるとレジストパターンの解像度が低下するこ
とがある。
【0056】次いで、該塗膜に活性光線を画像状に照射
し、露光部に酸を発生させた後、場合により、60〜1
50℃で1〜40分間加熱後、現像により露光部を除去
してレジストパターンを得ることができる。活性光線の
光源としては、例えば、水銀灯、キセノンランプ、メタ
ルハライドランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク
灯、g線、i線、deep−UV線、さらにはヘリウム
ネオンレーザー、アルゴンイオンレーザー、クリプトン
イオンレーザー、ヘリウム、カドミウムイオンレーザ
ー、KrFエキシマレーザーなどの高密度エネルギービ
ームを使用することもできる。
【0057】現像に用いる現像液としては、メタ珪酸ナ
トリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化
カリウム等の無機アルカリあるいはテトラアルキルアン
モニウム塩等の有機アルカリの水溶液が好ましい。これ
らアルカリ水溶液の濃度は、0.1〜15重量%である
のが好ましく、0.5〜5重量%であることがより好ま
しい。0.1重量%未満では、露光部を短時間に完全に
除去することが困難であり、また、15重量%を越える
と、未露光部も一部侵されるおそれがある。現像方法
は、上記現像液を吹き付けるか又は現像液に侵漬するこ
とによって行われる。
【0058】
【実施例】次に、実施例及び比較例により本発明をさら
に具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定さ
れるものではない。 (a)成分であるポリマーの合成例 ポリマー(a−1)の合成 撹拌機、還流冷却器、温度計、滴下ロート及び窒素ガス
導入管を備えたフラスコにジオキサン1,130gを加
え、撹拌しながら窒素ガスを吹き込み、90℃に加温し
た。温度が90℃で一定になったところで、メタクリル
酸169g、メチルメタクリレート250g、n−ブチ
ルアクリレート381g、エチルメタクリレート200
g及びアゾビスイソブチロニトリル10gを混合した液
を2.5時間かけてフラスコ内に滴下し、その後90℃
で撹拌しながら3時間保温した。3時間後にアゾビスイ
ソブチロニトリル3gをジオキサン100gに溶かした
溶液を10分かけてフラスコ内に滴下し、その後90℃
で撹拌しながら4時間保温した。
【0059】このようにして得られたポリマー(a−
1)の重量平均分子量は55,000、酸価は110で
あった。またポリマー溶液の固形分は45.1重量%で
あった。
【0060】ポリマー(a−2)の合成 ポリマー(a−1)の合成と同様の装置を備えたフラス
コに、プロピレングリコールモノメチルエーテル1,1
30gを加え撹拌しながら窒素ガスを吹き込み、90℃
に加温した。温度が90℃で一定になったところで、メ
タクリル酸230g、メチルメタクリレート367g、
エチルアクリレート250g、2−エチルヘキシルアク
リレート153g及びアゾビスイソブチロニトリル10
gを混合した液を2時間かけてフラスコ内に滴下した。
その後90℃で撹拌しながら3時間保温した。3時間後
にアゾビスジメチルバレロニトリル5gをプロピレング
リコールモノメチルエーテル100gに混合した液を1
0分かけてフラスコ内に滴下し、その後90℃で撹拌し
ながら4時間保温した。
【0061】このようにして得られたポリマー(a−
2)の重量平均分子量は41,000、酸価は158で
あった。またポリマー溶液の固形分は45.3重量%で
あった。
【0062】(b)成分の低分子量重合体の合成例 低分子量重合体(b−1)の合成 ポリマー(a−1)の合成と同様の装置を備えたフラス
コに、プロピレングリコールモノメチルエーテル600
gを加え撹拌しながら窒素ガスを吹き込み、100℃に
加温した。温度が100℃で一定になったところで、t
−アミルメタクリレート400g及びアゾビスジメチル
バレロニトリル60gを混合した液を2時間かけてフラ
スコ内に滴下した。その後100℃で8時間保温後、溶
剤を留去した。このようにして得られた低分子量重合体
(b−1)の重量平均分子量は2600であった。
【0063】低分子量重合体(b−2)の合成 ポリマー(a−1)の合成と同様の装置を備えたフラス
コに、プロピレングリコールモノメチルエーテル800
g及び連鎖移動剤である2−エチルヘキシルチオグリコ
レート200gを加え撹拌しながら窒素ガスを吹き込
み、80℃に加温した。温度が80℃で一定になったと
ころで、テトラヒドロピラニルメタクリレート400g
及びアゾビスジメチルバレロニトリル55gを混合した
液を2時間かけてフラスコ内に滴下した。その後80℃
で8時間保温後、溶剤及び連鎖移動剤を留去した。この
ようにして得られた低分子量重合体(b−2)の重量平
均分子量は1,800であった。
【0064】低分子量重合体(b−3)の合成 ポリマー(a−1)の合成と同様の装置を備えたフラス
コに、プロピレングリコールモノメチルエーテル600
gを加え撹拌しながら窒素ガスを吹き込み、100℃に
加温した。温度が100℃で一定になったところで、t
−ブチルメタクリレート300g、2−エチルヘキシル
アクリレート100g及びアゾビスジメチルバレロニト
リル40gを混合した液を2時間かけてフラスコ内に滴
下した。その後100℃で8時間保温後、溶剤を留去し
た。このようにして得られた低分子量重合体(b−3)
の重量平均分子量は4,500であった。
【0065】低分子量重合体(b−4)の合成 ポリマー(a−1)の合成と同様の装置を備えたフラス
コに、プロピレングリコールモノメチルエーテル600
gを加え撹拌しながら窒素ガスを吹き込み、90℃に加
温した。温度が90℃で一定になったところで、t−ア
ミルアクリレート270g、n−ブチルアクリレート5
0g、エチルアクリレート80g及びアゾビスジメチル
バレロニトリル20gを混合した液を2時間かけてフラ
スコ内に滴下した。その後90℃で8時間保温後、溶剤
を留去した。このようにして得られた低分子量重合体
(b−4)の重量平均分子量は7,200であった。
【0066】低分子量重合体(b−5)の合成 ポリマー(a−1)の合成と同様の装置を備えたフラス
コに、プロピレングリコールモノメチルエーテル600
g及び連鎖移動剤である2−エチルヘキシルチオグリコ
レート150gを加え撹拌しながら窒素ガスを吹き込
み、115℃に加温した。温度が115℃で一定になっ
たところで、t−アミルメタクリレート400g及びア
ゾビスジメチルバレロニトリル60gを混合した液を2
時間かけてフラスコ内に滴下した。その後115℃で8
時間保温後、溶剤及び連鎖移動剤を留去した。このよう
にして得られた低分子量重合体(b−5)の重量平均分
子量は900であった。
【0067】実施例1 ポリマー(a−1)の溶液443g(固形分200g)
に、低分子量重合体(b−1)150g、(c)成分と
して、本文中例示化合物(I−7)25g及びプロピレ
ングリコールモノメチルエーテル230gを加えて溶解
した。さらにトリエチルアミン32gを加えて中和した
後、液を撹拌しながら蒸留水2,900gを徐々に滴下
して加えていき、電着塗装浴(pH8.1)を得た。
【0068】実施例2 ポリマー(a−1)の溶液443g(固形分200g)
に、低分子量重合体(b−3)100g、(c)成分と
して、本文中例示化合物(II−3)26g及びプロピ
レングリコールモノメチルエーテル180gを加えて溶
解した。さらにトリエチルアミン28gを加えて中和し
た後、液を撹拌しながら蒸留水2,500gを徐々に滴
下して加えていき、電着塗装浴(pH8.1)を得た。
【0069】実施例3 ポリマー(a−1)の溶液443g(固形分200g)
に、低分子量重合体(b−4)140g、(c)成分と
して、本文中例示化合物(II−6)32g及びプロピ
レングリコールモノメチルエーテル215gとプロピレ
ングリコールモノプロピルエーテル43gの混合溶剤を
加えて溶解した。さらにジエチルモノエタノールアミン
36gを加えて中和した後、液を撹拌しながら蒸留水
2,850gを徐々に滴下して加えていき、電着塗装浴
(pH8.2)を得た。
【0070】実施例4 ポリマー(a−1)の溶液443g(固形分200g)
に、低分子量重合体(b−5)80g、(c)成分とし
て、本文中例示化合物(I−5)16g及びプロピレン
グリコールモノメチルエーテル150gを加えて溶解し
た。さらにトリエチルアミン28gを加えて中和した
後、液を撹拌しながら蒸留水2,300gを徐々に滴下
して加えていき、電着塗装浴(pH8.1)を得た。
【0071】実施例5 ポリマー(a−2)の溶液442g(固形分200g)
に、低分子量重合体(b−2)200g、(c)成分と
して、本文中例示化合物(II−12)20g及びプロ
ピレングリコールモノメチルエーテル280gを加えて
溶解した。さらにジメチルモノエタノールアミン25g
を加えて中和した後、液を撹拌しながら蒸留水3,40
0gを徐々に滴下して加えていき、電着塗装浴(pH
7.8)を得た。
【0072】実施例6 ポリマー(a−2)の溶液442g(固形分200g)
に、(b)成分の低分子化合物であるジ−t−アミルテ
レフタレート200g、(c)成分として、本文中例示
化合物(I−7)17g及びジオキサン200gとプロ
ピレングリコールモノメチルエーテル50gの混合溶剤
を加えて溶解した。さらにトリエチルアミン20gを加
えて中和した後、液を撹拌しながら蒸留水2,900g
を徐々に滴下して加えていき、電着塗装浴(pH7.
7)を得た。
【0073】実施例7 ポリマー(a−2)の溶液442g(固形分200g)
に、(b)成分の低分子化合物であるジ−テトラヒドロ
ピラニルテレフタレート30g、低分子量重合体(b−
3)120g、低分子量重合体(b−5)60g、
(c)成分として本文中例示化合物(I−7)25g及
びプロピレングリコールモノメチルエーテル300gを
加えて溶解した。さらにトリエチルアミン25gを加え
て中和した後、液を撹拌しながら蒸留水3,100gを
徐々に滴下して加えていき、電着塗装浴(pH7.8)
を得た。
【0074】比較例1 没食子酸−2−エチルヘキシル141g及び1,2−ナ
フトキノンジアジド−5−スルホン酸クロリド402g
をジオキサン4,000gに溶かした溶液を撹拌しなが
ら、40℃に加温し、これにトリエチルアミン160g
を1時間かけて滴下した。滴下後40℃でさらに5時間
反応させた後、反応物を0.1Nの塩酸水溶液に注入
し、得られた沈殿物を精製、濾過して没食子酸−2−エ
チルヘキシルと1,2−ナフトキノンジアジド−5−ス
ルホン酸とのエステル化合物435gを得た。
【0075】ポリマー(a−1)の溶液443g(固形
分200g)に、上記のナフトキノンジアジド化合物6
0g、ジオキサン110gを加えて溶解した。さらにト
リエチルアミン28gを加えて中和した後、液を撹拌し
ながら蒸留水2,000gを徐々に滴下して加えてい
き、電着塗装浴(pH8.0)を得た。
【0076】比較例2 ポリ(p−ビニルフェノール)、(商品名、リンカー
M、重量平均分子量1,600、丸善石油化学製)12
0g及び1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン
酸クロリド170gをジオキサン3,000gに溶かし
た溶液を撹拌しながら、40℃に加温し、これに10%
の炭酸ソーダ水溶液650gを1時間かけて滴下した。
滴下後、撹拌しながらさらに40℃で3時間反応させた
後、反応物を0.1Nの塩酸水溶液に注入し、得られた
沈殿物を精製、濾過して、ポリ(p−ビニルフェノー
ル)のヒドロキシル基の46.5当量%がナフトキノン
ジアジド基で置換されたナフトキノンジアジド化合物2
20gを得た。
【0077】ポリマー(a−2)の溶液442g(固形
分200g)に、上記のナフトキノンジアジド化合物8
0g、ジオキサン120gを加えて溶解した。さらにト
リエチルアミン22gを加えて中和した後、液を撹拌し
ながら蒸留水2,200gを徐々に滴下して加えてい
き、電着塗装浴(pH7.9)を得た。
【0078】比較例3 ポリマー(a−1)の合成と同様の装置を備えたフラス
コに、プロピレングリコールモノプロピルエーテル11
30gを加え撹拌しながら窒素ガスを吹き込み、100
℃の温度に加熱した。温度が100℃一定になったとこ
ろで、メタクリル酸54g、t−ブチルメタクリレート
290g、n−ブチルアクリレート200g、メチルメ
タクリレート256g、エチルアクリレート200g及
びアゾビスイソブチロニトリル10gを混合した液を3
時間かけてフラスコに滴下した。その後100℃で3時
間撹拌しながら保温した。3時間後にアゾビスデメチル
バレロニトリル3gをプロピレングリコールモノプロピ
ルエーテル100gに溶かした溶液を10分かけてフラ
スコに滴下し、その後再び100℃で4時間撹拌しなが
ら保温した。このようにして得られたポリマーの重量平
均分子量は31,000、酸価は36.1であった。ま
たポリマー溶液の固形分は45.1重量%であった。
【0079】上記のポリマー溶液666gに、本文中例
示化合物(I−5)24g及びジオキサン200gを加
えて溶解した。さらにトリエチルアミン20gを加えて
中和した後、液を撹拌しながら蒸留水2300gを徐々
に滴下して加えていき、電着塗装浴(pH8.9)を得
た。
【0080】上記の実施例1〜7及び比較例1〜3の各
電着塗装浴(各電着塗装浴の安定性を表1に示す)にガ
ラスエポキシ銅張積層板(日立化成工業(株)製MCL
−E−61)を陽極として、ステンレス板(SUS30
4、形状200mm×75mm×1mm)を陰極として
浸漬し、電着塗装膜(レジスト膜)の膜厚が8μmとな
るように25℃の温度で直流電圧を3分間印加し、各銅
張積層板の表面に電着塗装膜を形成した(各印加電圧を
表1に示す)。この後、水洗し、水切り後80℃で15
分乾燥した。
【0081】これらにフォトマスクを介して3kW超高
圧水銀灯で、ステップタブレット(光学密度0.05を
1段目とし、1段ごとに0.15ずつ増加するフォトマ
スクを使用)で、6段を得るための光量を露光し、実施
例1〜7及び比較例3の場合には、さらに130℃で1
0分加熱した(各露光量を表1に示す)。
【0082】基板を冷却後、1重量%の炭酸ナトリウム
水溶液でスプレー現像(スプレー圧力1.0kg/cm
2)した。このときのレジストパターンの解像度を表1
に示す。
【0083】
【表1】
【0084】注1)電着塗装浴を建浴後、25℃で静置
し、沈殿物が発生するまでの日数を評価 注2)電着塗装浴を建浴後、25℃で静置し、電着塗装浴
を逆相液体クロマトグラフィ及びゲルパーミェーション
クロマトグラフィ分析を行い、実施例1〜7の場合は、
(b)成分及び(c)成分について、比較例1〜2の場
合は、ナフトキノンジアジド化合物について、また、比
較例3の場合はポリマーについて加水分解の有無を調べ
た。各クロマトグラフィ分析の結果により、加水分解が
起こり始めたことを確認するまでの日数を評価した。 注3)電着塗装時の印加電圧、レジストの露光量及び解像
度はすべて電着塗装浴を建浴直後に電着塗装し電着塗装
膜を得た場合の各データを示す。 実施例1〜7の場合については経日した電着塗装浴を用
いても各データに変化は認められないが、比較例1〜2
の場合は、経日により電着塗装性及びレジストの感光特
性は変化し、特に、ナフトキノンジアジド化合物が加水
分解を始めると各特性は著しく低下した。
【0085】表1から明らかなように、実施例1〜7に
示された本発明になる電着塗装浴の安定性は極めて良好
で、また、低電圧で所定の膜厚を形成できることから電
着塗装性も良好である。得られたレジストの感光特性
も、光感度は高く、高解像度のレジストパターンが形成
できた。しかるに、比較例1〜2に示されたナフトキノ
ンジアジド系感光材料を含む従来のポジ型感光性電着塗
料では、電着塗装浴の安定性、電着塗装性及び感光特性
のどれもが、本発明になる実施例1〜7に比べて劣って
いることが分かる。一方、比較例3は、カルボン酸と酸
に対して不安定な基、ここではt−ブチルエステル基を
一つのポリマーに有した場合を示している。全般的に比
較例1〜2に比べて良好な特性を有しているが、電着塗
装浴の水分散安定性と光感度の点で本発明になる実施例
1〜7に比べて劣ることがわかる。
【0086】実施例1〜7で得られた高解像度のレジス
トパターンが表面に形成された銅張積層板を、塩化第二
銅水溶液によりエッチングし、さらに5重量%の水酸化
ナトリウム水溶液でレジスト剥離を行った結果、高密度
のプリント配線板を得ることができた。
【0087】
【発明の効果】本発明になるポジ型感光性アニオン電着
塗料樹脂組成物を用いた電着塗装浴の安定性は極めて高
い。この電着塗装浴の電着塗装性は良好で、得られた電
着塗装膜の感光特性は極めて優れており、高解像度のレ
ジストパターンを形成できる。このようなレジストパタ
ーンをレリーフとして使用でき、また、銅張積層板を基
体として用いてエッチング又はめっき用等によりレジス
トパターンの形成を行うことによって、極めて高精度高
密度のプリント配線板を製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G03F 7/004 503 7/033 H05K 3/06 6921−4E (72)発明者 立木 繁雄 茨城県日立市東町四丁目13番1号 日立化 成工業株式会社茨城研究所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)アクリル酸及び/又はメタクリル
    酸を共重合した酸価20〜300のポリマーを塩基性の
    有機化合物で中和したポリマー、(b)酸に対して不安
    定な基を有する化合物並びに(c)活性光線の照射によ
    り酸を発生する化合物を含有してなるポジ型感光性アニ
    オン電着塗料樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 (b)成分における酸に対して不安定な
    基がt−アミルエステル基、t−ブチルエステル基及び
    テトラヒドロピラニルエステル基からなる群より選ばれ
    た少なくとも1種の基である請求項1記載のポジ型感光
    性アニオン電着塗料樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 (b)成分の酸に対して不安定な基を有
    する化合物が、酸に対して不安定な基を有する重合性モ
    ノマーを単独重合又は他の重合性モノマーと共重合した
    重量平均分子量が400〜10,000の低分子量重合
    体である請求項1又は2記載のポジ型感光性アニオン電
    着塗料樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 (c)成分の活性光線の照射により酸を
    発生する化合物が下記一般式(I)で表わされる化合物
    及び/又は一般式(II)で表わされる請求項1、2又は
    3記載のポジ型感光性アニオン電着塗料樹脂組成物。 【化1】 (式中、R1はアルキル基を表わす) 【化2】 (式中、R1はアルキル基を表わし、R2は水素、アルキ
    ル基、アルコキシ基又はアリール基を表わし、XはI又
    はSを表わし、nは2又は3を表わす)
  5. 【請求項5】 請求項1、2、3又は4記載のポジ型感
    光性アニオン電着塗料樹脂組成物を含む電着塗装浴。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の電着塗装浴に表面が導電
    性の基板を浸漬し、これを陽極として直流電圧を印加す
    ることを特徴とする電着塗装法。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の方法により基板上に電着
    塗装された電着塗装膜を露光し、現像することを特徴と
    するプリント配線板の製造法。
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