JPH06102736B2 - 高分子複合体およびその製法 - Google Patents

高分子複合体およびその製法

Info

Publication number
JPH06102736B2
JPH06102736B2 JP1049136A JP4913689A JPH06102736B2 JP H06102736 B2 JPH06102736 B2 JP H06102736B2 JP 1049136 A JP1049136 A JP 1049136A JP 4913689 A JP4913689 A JP 4913689A JP H06102736 B2 JPH06102736 B2 JP H06102736B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
chitosan
pectin
solution
polymer
polymer composite
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP1049136A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH02227464A (ja
Inventor
尚三 佐藤
正敏 真部
裕志 浅野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nitta Gelatin Inc
Original Assignee
Nitta Gelatin Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nitta Gelatin Inc filed Critical Nitta Gelatin Inc
Priority to JP1049136A priority Critical patent/JPH06102736B2/ja
Publication of JPH02227464A publication Critical patent/JPH02227464A/ja
Publication of JPH06102736B2 publication Critical patent/JPH06102736B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Processing Of Meat And Fish (AREA)
  • Meat, Egg Or Seafood Products (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、高分子膜などに用いられる新規な高分子複
合体とその製法に関する。
〔従来の技術〕
従来、ペクチン膜、キトサン膜、カラギーナン膜および
プルラン膜などの高分子膜が、食品用のケーシングおよ
び包装フィルムなどに利用されている。
高分子膜は、たとえば、ペクチン、キトサン、カラギー
ナン、プルランなどの高分子物質の溶液を薄層にして乾
燥、固化させることにより作られている。
〔発明が解決しようとする課題〕
従来の高分子膜は、水、水溶液、有機溶媒などに対する
耐性(耐溶媒性)が欠けており、水、酸溶液、塩基溶液
などにより容易に溶解したり、破損したりするといった
問題を有する。また、高分子膜は、メンブランフィルタ
ーなどに使用されることもあるが、この場合にも、耐溶
媒性が弱いという欠点が問題になる。
そこで、この発明は、耐溶媒性を有する高分子複合体を
提供することを第1の課題とし、耐溶媒性を有する高分
子複合体が容易に得られる高分子複合体の製法を提供す
ることを第2の課題とする。
〔課題を解決するための手段〕
上記第1の課題を解決するために、請求項1記載の発明
にかかる高分子複合体は、キトサンとペクチンとの中和
塩からなるものとされている。
請求項2記載の発明にかかる高分子複合体は、キトサン
とペクチンとの中和塩からなり、薄膜とされている。
請求項3記載の発明にかかる高分子複合体は、キトサン
とペクチンとの中和塩からなり、食品のケーシングとさ
れている。
請求項4記載の発明にかかる高分子複合体は、さらに、
ペクチンとして低メトキシルペクチンが用いられてい
る。
上記第2の課題を解決するために、請求項5記載の発明
にかかる高分子複合体の製法は、キトサンの酸溶液とペ
クチン溶液とを混合してキトサンとペクチンとの中和塩
を生成させる工程を備えていることを特徴とする。
請求項6記載の発明にかかる高分子複合体の製法は、キ
トサンとペクチンとの中和塩からなる高分子複合体をい
ったんギ酸に溶解してなる溶液から薄膜化を行うことを
特徴とする。
さらに、請求項7記載の発明にかかる高分子複合体の製
法は、キトサンの酸溶液およびペクチン溶液のうちのい
ずれか一方の溶液を薄層にしたものと、もう一方の溶液
とを接触させ、キトサンとペクチンとの中和塩を生成さ
せる工程を備えていることを特徴とする。
キトサンは、分子中にアミノ基を有しており、酸に溶解
したときに正電荷を持つ高分子電解質である。キトサン
は、たとえば、キチン質を脱アセチル化することにより
得られる。この発明に用いるキトサンは、脱アセチル化
の程度は特に制限されない。発明者らの研究によれば、
キトサンの脱アセチル化度が高分子複合体(キトサン−
ペクチン複合体)の生成にほとんど影響を及ぼしていな
い、と考えられるからである。
ペクチンは、分子中にカルボキシル基を有しており、水
に溶解したときに負電荷を持つ高分子電解質である。ペ
クチンは、カルボキシル基のエステル化(メチルエステ
ル化)の程度により、高メチキシルペクチン(以下、
「HMP」と略す)、低メトキシルペクチン(以下、「LM
P」と略す)と称される。この発明では、HMPおよびLMP
のいずれを用いてもよいが、キトサンとペクチンとの中
和塩からなる高分子複合体の生成率がより高いという
点、耐酸性および耐アルカリ性をより良くするという
点、および、大きな分子量を有する物質の透過性を低く
するという点からは、LMPを用いる方が好ましい。ただ
し、前記高分子複合体の膨潤率を大きくするという点か
らは、HMPを用いる方が好ましい。なお、前記高分子複
合体の薄膜を透過可能な分子量は、ペクチンのメトキシ
ル含量を変えることによりコントロールすることが可能
である。
キトサンとペクチンとの中和塩からなる高分子複合体
は、たとえば、次のようにして作られる。キトサンの酸
溶液およびペクチン溶液を別々に調製し、両溶液を所望
の割合で混合する。混合には、攪拌などの操作を行って
もよい。キトサンとペクチンとの反応は、中和反応であ
るため、反応時間および反応温度には特に制限はない。
キトサンと酸溶液とペクチン溶液との混合割合は、この
発明では特に制限はなく、どんな割合であっても前記中
和塩が生成する。ただし、前記中和塩の生成率を高くす
るという点からは、次のようにするのが好ましい。すな
わち、ペクチン構成単位(グルクチュロン酸)とキトサ
ン構成単位(グルコサミン)が1:1で反応するとし、ペ
クチンのエステル化度が1〜100、かつ、キトサンの脱
アセチル化度が50〜100であるとすると、キトサンとペ
クチンのモル比〔P/(P+K)〕が、 となるようにするのが好ましい。ここで、Pはペクチン
のモノサッカライドの平均分子量当たりのモル数、Kは
キトサンのモノサッカライドの平均分子量当たりのモル
数である。このモル比の範囲を外れると、前記中和塩の
生成率がより低くなることがある。
キトサンは、一般に水に溶けにくいが、酸溶液には溶解
するので、酸溶液に溶解させるのが好ましい。酸溶液と
しては、塩酸などの無機酸、酢酸などの有機酸が使用さ
れるが、塩酸および酢酸のうち酢酸を用いる方が、中和
塩の生成率が高くなり、好ましい。また、キトサンの酸
溶液のpHが強酸性側から弱酸性側になるにしたがって、
中和塩の生成率が高くなる傾向がある。特に、ペクチン
としてHMPを用いたときにその傾向が顕著である。した
がって、この発明では、キトサンの酸溶液のpHの値を弱
酸性側に設定する方が好ましい。
ペクチンは水に可溶であり、水に溶解させるのがよい
が、水以外のものに溶解させてもよい。
したがって、キトサンとペクチンとを別々に包装して高
分子複合体製造のための材料として供給することができ
る。この場合、キトサンを固形のままにしておいてもよ
いが、上記酸溶液に溶解したものにしておいてもよい。
また、ペクチンも固形のままにしておいてもよいが、上
記のように溶液にしておいてもよい。さらには、前記高
分子複合体生成後に使用するギ酸も含めてひとまとまり
のセットとして供給することも可能である。
キトサンの酸溶液とペクチン溶液とを混合すると、沈澱
物が生じる。この沈澱物を遠心分離、ろ別などの方法に
より回収し、適宜洗浄して乾燥させる。前記沈澱物の形
状は、生成時の溶液のpHにより異なり、たとえば、低pH
の場合には繊維状、高pH(ただし、pH6以下の酸性領域
下)の場合には非結晶状を呈する。
前記沈澱物は、キトサンとペクチンとの中和塩である。
この中和塩は、キトサンのアミノ基とペクチンのカルボ
キシル基とがイオン結合を形成していて、同イオン結合
が解離しにくいので、水に不溶である。また、前記中和
塩は、ジメチルスルホキサイド(DMSO)、N,N−ジメチ
ルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド
(DMA)などの有機溶媒、水酸化ナトリウムや水酸化カ
リウムなどのアルカリ溶液とアセトンなどの有機溶媒と
の混合溶媒にも不溶であり、耐溶媒性の良好なものでな
る。ただし、前記中和塩は、ギ酸には容易に溶解する。
このため、前記中和塩からなる高分子複合体は、ギ酸に
溶解して加工したり、利用したりすることができる。
キトサンとペクチンとの中和塩からなる高分子複合体
は、たとえば、薄膜、および、食品のケーシングなどに
用いられる。前記高分子複合体の薄膜は、フィルム、メ
ンブランなどと称されるものも含まれ、その形状も平面
状のものに限られず、筒状などの形状であってもよい。
前記高分子複合体の薄膜は、たとえば、ろ過膜やケーシ
ング材料などに利用される。また、前記高分子複合体を
食品のケーシングにしたものは、同複合体だけからなっ
ていてもよいが、着色剤やその他食品に配合されうる物
質を含んでいてもよい。前記食品としては、たとえば、
ハム・ソーセージ類など食用の蛋白質を含む練り製品な
どがあるが、他のものであってもよい。また、前記高分
子複合体は、ナイロン(ポリアミド)繊維の紡糸方法を
応用して繊維とすることもできる。
前記高分子複合体を薄膜にしたり、食品のケーシングに
したりするには、たとえば、つぎの方法が採られるが、
これらに限るものではない。第1の方法は、前記高分子
複合体をいったんギ酸に溶解し、この溶液を薄層にして
乾燥固化するのである。第2の方法は、キトサンの酸溶
液およびペクチン溶液のうちいずれか一方の溶液を薄層
にし、この薄層にしたものと、もう一方の溶液とを接触
させ、キトサンとペクチンとの中和塩を薄膜状で生成さ
せ、乾燥するのである。溶液を薄層にするには、塗布、
流延などの方法、あるいは、筒状に溶液を流出して凝固
させるといった方法など適宜の方法を採ることができ
る。前記着色剤として酸性染料を使用すれば、キトサン
のアミノ基と反応するので、ボイルクッキング時でも色
落ちしないように着色することができる。食用の酸性染
料としては、たとえば、赤色2号、102号、104号、105
号および106号、黄色4号および5号、青色1号および
2号、緑色3号などが挙げられるが、これらに限定され
ない。食用の酸性染料を用いる場合、前記ペクチン溶液
に同酸性染料を配合しておけば、同ペクチン溶液とキト
サン溶液とを接触したときに、ペクチンとキトサンの中
和反応とともにキトサンのアミノ基に酸性染料が付着し
て着色を行うことができる。塗布および流延などを行う
場合、離型性の良い支持体に対して行ったり、食品の成
形体などに対して塗布したり、浸漬して付着させたり、
食品を流動物にしたものを押出すときにその周囲に溶液
が付着するように押出したりすることができる。キトサ
ンとペクチンとの中和塩が生成した後、必要に応じて、
水洗などの洗浄(または、精製)、物性改良のための付
加的工程を施してもよい。
この発明の高分子複合体は、キトサンとペクチンとの中
和塩のみからなっているものだけでなく、不純物や、こ
の発明の効果を失わない範囲で他の配合物を含んでいて
もよい。
〔作用〕
キトサンとペクチンとの反応により生成した中和塩は、
キトサンのアミノ基とペクチンのカルボキシル基とのイ
オン結合が強く、水に不溶であり、耐酸性、耐塩基性、
耐有機溶媒性を有する。したがって、キトサンとペクチ
ンとの中和塩からなる高分子複合体は、耐溶媒性の良い
ものである。
〔実施例〕
以下に、この発明の具体的な実施例および比較例を示す
が、この発明は下記実施例に限定されない。
実施例および比較例では、下記のペクチンおよびキトサ
ンを用いた。
HMP LMP キトサンA キトサンD (A)ペクチンの種類、キトサンの種類およびモル比を
種々変えたときの高分子複合体の生成。
−実施例1〜12− 第1表に示すペクチン溶液(脱イオン水に溶解)20mlに
第1表に示すキトサン溶液(0.2重量%酢酸溶液に溶
解)20mlを加え、ただちに攪拌し、室温で放置して反応
させた。反応により得られた生成物を10000rpmで10分間
の遠心分離にかけ、沈澱物を取り出して、適量の0.2重
量%酢酸と脱イオン水で洗浄して東洋ロ紙No.6でろ別
し、100℃で一夜電気乾燥器中で乾燥させた。これによ
り、第1表に示す収率で高分子複合体(キトサン−ペク
チン複合体)を得た。
(B)高分子複合体を薄膜として得る場合の第1の方
法。
−実施例13− HMP溶液(1000ppm)をガラスシャーレに敷いたテフロン
(デュポン社(アメリカ合衆国)製四フッ化エチレン樹
脂)シート上に塗布し、そのままの状態で、キトサンD
溶液(1000ppm)に10分間浸漬してペクチンとキトサン
とを反応させた。反応後、キトサン溶液から取り出し、
室温で乾燥させた。その後、脱イオン水に一日間浸漬し
てから自然乾燥し、テフロンシートからはがして高分子
複合体の薄膜を得た。
−実施例14− キトサンA溶液(1000ppm)をガラスシャーレに敷いた
テフロン(デュポン社(アメリカ合衆国)製四フッ化エ
チレン樹脂)シート上に塗布し、そのままの状態で、HM
P溶液(1000ppm)に10分間浸漬してペクチンとキトサン
とを反応させた。反応後、キトサン溶液から取り出し、
室温で乾燥させた。その後、実施例13と同様にして高分
子複合体の薄膜を得た。
−実施例15− 実施例13において、HMPの代わりにLMPを用いたこと以外
は、実施例13と同様にして高分子複合体の薄膜を得た。
−実施例16− 実施例14において、HMPの代わりにLMPを用いたこと、お
よび、キトサンAの代わりにキトサンDを用いたこと以
外は、実施例13と同様にして高分子複合体の薄膜を得
た。
上記実施例で得られた高分子複合体を赤外吸収スペクト
ルで分析したところ、すべての複合体で、ペクチンの未
解離のカルボキシル基の存在に基づく1740cm-1の吸収の
減少と、キトサンの未解離のアミノ基に基づく1620cm-1
の吸収の消失が認められた。また、カルボキシル基とア
ミノ基のイオン結合によるものと思われる1600cm-1の吸
収が認められた。
上記実施例において、前記室温放置の時間をゼロから30
0分間まで種々変えてみたところ、高分子複合体の生成
にはほとんど影響がみられなかった。
また、上記実施例において、それぞれ、ペクチン溶液と
キトサン溶液の両液の温度を10℃から90℃まで種々変え
たみたところ、高分子複合体の生成にはほとんど影響が
みられなかった。
実施例1〜16の各高分子複合体について、耐溶媒性を調
べた。また、HMP、LMPおよびキトサンAをそれぞれ比較
例1、2および3として耐溶媒性を調べた。耐溶媒性
は、DMSO、DMF、DMA、ギ酸、水、酢酸(濃度0.1N)、塩
酸(濃度0.1N)および水酸化ナトリウム水溶液(濃度0.
1N)を室温(R:30℃)および温度50℃に30分間加熱して
(H)、それぞれの溶媒に高分子複合体を適当な時間浸
し、溶解する(×)か否(○)か一部溶解する(△)か
を判定した。結果を第1表および第2表に示した。
第1,2表からわかるように、キトサンの脱アセチル化度
は、高分子複合体生成に影響していない。実施例の各高
分子複合体は、ギ酸に完全溶解し、HMP使用の場合には
0.1N塩酸に溶解するが、他の溶媒には不溶であった。
(C)高分子複合体を薄膜として得る場合の第2の方
法。
−実施例17〜20− 実施例2、4、8および10の各高分子複合体250mgをギ
酸25mlに溶解して溶液を調製した。この溶液をガラスシ
ャーレに敷いたテフロン(デュポン社(アメリカ合衆
国)製四フッ化エチレン樹脂)シート上に流延し、室温
で乾燥した。その後、脱イオン水に一日間浸漬してから
自然乾燥して高分子複合体の薄膜を得た。
上記実施例で得られた各薄膜は、半透明で、やや褐色を
呈しており、厚みは約50〜250μmであった。
実施例17〜20の各薄膜および比較例1〜3の各高分子に
ついて、耐酸性および耐アルカリ性を調べ、結果第3表
に示した。
耐酸性および耐アルカリ性は、薄膜を塩酸中(pH=1.
0、2.0、3.0、4.0、5.0および6.0にそれぞれ調整したも
の)および水酸化ナトリウム水溶液(pH=8.0、9.0、1
0.0、11.0、12.0および13.0にそれぞれ調整したもの)
に適当な時間浸漬し、外観変化の有無を調べ、有を×
で、無を○で示した。
第3表からわかるように、実施例の高分子複合体は、比
較例の高分子よりも耐酸性および耐アルカリ性に優れて
いる。
実施例17〜20の各高分子複合体について、膨潤性、引張
強度および伸び率をそれぞれ調べ、結果を第4表に示し
た。
膨潤性は、高分子複合体の薄膜をそれぞれ一定の大きさ
に切り、これを脱イオン水に1日間浸漬する前と浸漬し
た後に重量測定し、重量比で膨潤率を求めて示した。
引張強度および伸び率は、島津オートグラフ(F245−2
−1)を用いて調べた。つかみ間距離は10mm/分で行っ
た。膜片は長さ35mm、幅15mmとし、その厚みをソニーマ
イクロメート(M−30)を用いて測定した。引張強度は
次式から求めた。
引張強度=測定値/断面積〔kg/cm2第4表からわかるように、ペクチンとしてHMPを用いた
ものは、1日間浸漬すると、390〜400%の重量増加がみ
られたのに対し、LMPを用いたものは、それが120〜130
%であり、HMPを用いる方が膨潤率の高いことがわか
る。引張強度および伸び率は、HMPを用いた方がLMPを用
いたものよりも大きかったが、これはペクチンの平均分
子量によるものと考えられる。
実施例17および18の各高分子複合体について、物質の透
過性をそれぞれ調べ、結果を第5表に示した。
物質の透過性は、つぎのようにして調べた。中央部が薄
膜で仕切られたダイヤフラム型の実験装置を用い、薄膜
はオー−リング(O−リング)によって挟み、外部と絶
縁した。装置の実効透過面積は2.55cm2であった。実験
は、室温で静置法により行った。膜の片方側にそれぞれ
分子量の異なるものを溶かした脱イオン水(1重量%溶
液)を15ml入れ、もう片方側に脱イオン水を15ml入れ
た。直ちに0.1mlずつの溶液を膜の両方側から採取して
初期濃度を測定し、以後適当な時間経過(150〜200時
間)をみて両方の液を0.1mlずつ採取して、それぞれの
試料を定量した。試料は、グルコース、マルトース、α
−シクロデキストリン(α−CD)、牛血清アルブミン
(BSA)を用いた。グルコース、マルトースおよびα−C
Dはフェノーネ硫酸法、BSAはローリー(Lowry)法によ
り定量した。
第5表からわかるように、実施例の膜は、物質(溶質)
の透過性に差が見られ、LMPを用いた方がHMPを用いたも
のよりも緻密であると考えられる。この結果から、この
発明の高分子複合体の薄膜は、分子量分画などのための
ろ過膜などに有用であり、ペクチンのメトキシル含量を
変えることはよりその分子量を調節することができると
考えられる。なお、キトサンの脱アセチル化度または複
合体生成時のpHによる、耐酸性および耐アルカリ性、膨
潤性、ならびに、引張強度および伸び率への影響はほと
んど認められなかった。
(D)高分子複合体を薄膜として得る場合の第3の方
法。
−実施例21− LMP溶液(2.0重量%)を円状の開口を持つノズルから円
筒状になるようにして、キトサンD溶液(1.0重量%と
なるように0.2重量%酢酸溶液に溶解したもの)中に押
出し、同キトサン溶液に10分間浸漬してペクチンとキト
サンとを反応させた。反応後、キトサン溶液から取り出
し、室温で乾燥させた。その後は、実施例13と同様にし
て円筒状の高分子複合体の薄膜を得た。
−実施例22− 実施例21において、LMP溶液に0.1重量%の割合で赤色2
号酸性染料を添加したこと以外は、実施例21と同様にし
て円筒状の赤色の高分子複合体の薄膜を得た。
(E)高分子複合体をソーセージのケーシングとして得
る場合の方法。
−実施例23− HMP溶液(1000ppm)とキトサンD溶液(1000ppm)をモ
ル比0.6で反応させ、0.2重量%酢酸溶液と脱イオン水と
で精製した後、ギ酸に溶解させ、円筒状薄膜に成形した
ケーシングにソーセージ生地を6kg/cm2の圧力で充填
し、常法によりケーシング入りのソーセージを作製し
た。
−実施例24− ソーセージ生地をスタッファーにより、キトサンD溶液
(1.0重量%)中に押出し、浸漬させた。ついで、2.0重
量%HMP溶液に10分間浸漬し、これを取り出し、水洗
し、乾燥後、常法によりケーシング入りのソーセージを
作製した。
−実施例25− ソーセージ生地をスタッファーにより、キトサンD溶液
(1.0重量%)中に押出し、浸漬させた。ついで、0.1重
量%の割合で赤色2号酸性染料を含む2.0重量%HMP溶液
に10分間浸漬し、これを取り出し、水栓し、乾燥後、常
法によりケーシング入りのソーセージを作製した。
−実施例26− ソーセージ生地をスタッファーにより、2.0重量%HMP溶
液中に押出し、浸漬させた。ついで、キトサンA溶液
(1.0重量%)に10分間浸漬し、これを取り出し、水洗
し、乾燥後、常法によりケーシング入りのソーセージを
作製した。
−実施例27− ソーセージ生地をスタッファーにより、0.1重量%の割
合で赤色2号酸性染料を含む2.0重量%HMP溶液中に押出
し、浸漬させた。ついで、キトサンA溶液(1.0重量
%)に10分間浸漬し、これを取り出し、水洗し、乾燥
後、常法によりケーシング入りのソーセージを作製し
た。
実施例23では、従来のケーシング材料を用いたときと同
様にソーセージが得られ、ソーセージ生地充填時に破損
しなかった。
なお、実施例23〜27で用いたソーセージ生地は、下記の
配合であった。
なお、実施例24〜27のようにしてソーセージ生地を押し
出す場合、ソーセージ生地を押し出すと同時にその周囲
にキトサン溶液またはペクチン溶液がコーティングされ
ているように押出してもよい。
〔発明の効果〕
請求項1から3までの各項記載の発明にかかる高分子複
合体は、以上に述べたように、キトサンとペクチンとの
中和塩からなるので、耐溶媒性が良好である。
請求項4記載の発明にかかる高分子複合体は、LMPを用
いているので、より耐酸性が良い。
請求項5から7記載の各発明にかかる高分子複合体の製
法は、以上に述べたように、耐溶媒性の良好な高分子複
合体が容易に得られる。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−159430(JP,A) 特開 昭63−36767(JP,A) 特開 昭63−164838(JP,A)

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】キトサンとペクチンの中和塩からなる高分
    子複合体。
  2. 【請求項2】薄膜である請求項1記載の高分子複合体。
  3. 【請求項3】食品のケーシングである請求項1記載の高
    分子複合体。
  4. 【請求項4】ペクチンが低メトキシルペクチンである請
    求項1から3までのいずれかに記載の高分子複合体。
  5. 【請求項5】請求項1記載の高分子複合体を得るにあた
    り、キトサンの酸溶液とペクチン溶液とを混合してキト
    サンとペクチンとの中和塩を生成させる工程を備えてい
    ることを特徴とする高分子複合体の製法。
  6. 【請求項6】請求項2または3記載の高分子複合体を得
    るにあたり、キトサンとペクチンとの中和塩からなる高
    分子複合体をいったんギ酸に溶解してなる溶液から薄膜
    化を行うことを特徴とする高分子複合体の製法。
  7. 【請求項7】請求項2または3記載の高分子複合体を得
    るにあたり、キトサンの酸溶液およびペクチン溶液のう
    ちのいずれか一方の溶液を薄層にしたものと、もう一方
    の溶液とを接触させ、キトサンとペクチンとの中和塩を
    生成させる工程を備えていることを特徴とする高分子複
    合体の製法。
JP1049136A 1989-02-28 1989-02-28 高分子複合体およびその製法 Expired - Fee Related JPH06102736B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1049136A JPH06102736B2 (ja) 1989-02-28 1989-02-28 高分子複合体およびその製法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1049136A JPH06102736B2 (ja) 1989-02-28 1989-02-28 高分子複合体およびその製法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH02227464A JPH02227464A (ja) 1990-09-10
JPH06102736B2 true JPH06102736B2 (ja) 1994-12-14

Family

ID=12822654

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP1049136A Expired - Fee Related JPH06102736B2 (ja) 1989-02-28 1989-02-28 高分子複合体およびその製法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH06102736B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5919574A (en) * 1995-12-29 1999-07-06 The United States Of America, As Represented By The Secretary Of Agriculture Biodegradable laminated films fabricated from pectin and chitosan

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS61159430A (ja) * 1985-01-07 1986-07-19 Daicel Chem Ind Ltd 再分散懸濁性の良好なキチン又はキトサン組成物の製法
JPH07121200B2 (ja) * 1986-08-01 1995-12-25 ダイセル化学工業株式会社 水に容易に分散する可食性フイルム
JPS63164838A (ja) * 1986-12-27 1988-07-08 Unie Koroido Kk 燻製食品の外皮

Also Published As

Publication number Publication date
JPH02227464A (ja) 1990-09-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CA1158235A (en) Chitin containing poly-ion complex
US5093486A (en) Modified chitin for biocompatible dialysis membranes ii and process for preparation of modified cellulose and modified chitin for use therewith
JPH024427A (ja) 血液透析用透析膜
US5695800A (en) Method of preparing a food product encased in a glucomannan film
JPH01261401A (ja) 生体適合性透析膜及びその製法
JPS6146565B2 (ja)
JPH0611810B2 (ja) 多孔性キチン成形体及びその製造方法
CN103980717B (zh) 一种明胶共混天然多糖改性胶囊
JPS6250498B2 (ja)
JPH06102736B2 (ja) 高分子複合体およびその製法
JPS6214903A (ja) 疎水性の微孔性濾過膜を親水化する方法
JP2754162B2 (ja) キチンスポンジ,キチン紙,キチンフィルムの製造方法
JPS6261603B2 (ja)
JPH05329341A (ja) セルロース性の平坦膜の生体適合性を改善する方法
JPH09165404A (ja) 表面n−チオカルバモイル化キトサン成形体およびその製造方法
JPH02211228A (ja) 血液透析用生体適合性透析膜
JP2686041B2 (ja) キトサン系成形体
JPH0625433A (ja) 耐水性の良好なキトサン系成形体およびその製造法
IE41744B1 (en) Coated cellulosic article and process for its manufacture
EP0323224B1 (en) Polyvinyl formal ultrafiltration membrane and process for producing the same
FI77681B (fi) Kitosanprodukter, i synnerhet filmer, och foerfarande foer deras framstaellning.
JPS6044502A (ja) セルロ−ス誘導体及びその製造方法
KR950004916B1 (ko) 키틴 및 그 유도체 막의 제조방법
JPH02104366A (ja) 血液透析用透析膜
JPS6086126A (ja) キチン膜

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081214

Year of fee payment: 14

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees