JPH059654A - 研削性のすぐれた耐摩耐衝撃工具鋼 - Google Patents

研削性のすぐれた耐摩耐衝撃工具鋼

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JPH059654A
JPH059654A JP3185860A JP18586091A JPH059654A JP H059654 A JPH059654 A JP H059654A JP 3185860 A JP3185860 A JP 3185860A JP 18586091 A JP18586091 A JP 18586091A JP H059654 A JPH059654 A JP H059654A
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JP
Japan
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wear
grindability
tool steel
steel
veneer
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Pending
Application number
JP3185860A
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English (en)
Inventor
Yasuo Tanaka
康夫 田中
Yoshinobu Takabayashi
良信 高林
Taisuke Miyaji
泰輔 宮地
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Nachi Fujikoshi Corp
Original Assignee
Nachi Fujikoshi Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 原木からベニヤ板を切削するために用いられ
るベニヤレースナイフを製造するのに好適な研削性のす
ぐれた耐衝撃工具鋼を得る。 【構成】 C:0.60〜0.70%,Si:0.8〜
1.7%,Mn:0.4〜1.0%,Cr:0.3〜
1.0%,Mo:0.4〜1.0%,W:0.6〜1.
2%,V:0.1〜0.5,Nb:0.05〜0.3
%,残部鉄及び不可避不純物からなり、必要に応じC
o:1.0〜3.0%,を含むようにする。 【効果】 ベニヤレースナイフに必要な硬さと靱性が得
られる。また、研削割れの発生率も低く抑えることがで
き、優れた研削性を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,木工加工業で木材から
ベニヤ板を製造するときに使用されるベニヤレ─スナイ
フに好適な研削性にすぐれた耐摩耐衝撃工具鋼に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ベニヤレ─スナイフは刃部と台金からな
り、各々の材料を鍛接した後、加工熱処理を経てレ─ス
取り付け部の加工と刃部研削加工を行って製品とされ
る。またベニヤレ─スナイフを使つてベニヤ板を加工し
ていく場合,刃先の摩耗がある程度進行すると再研削を
行い、これによつて初期の刃先形状に復元させた後、再
使用される。従来刃部の材質は,JISに示される切削
工具用合金工具鋼や耐衝撃用合金工具鋼,あるいは特公
昭54─4322に開示される合金が代表例としてあげ
られる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】一般に、ベニヤレ─ス
ナイフは鋭利な刃先をもつが、原木の硬軟や木節、伐採
運搬時に介入した砂礫類、木材の外形の不安定等の要因
からくる切削時の強い衝撃、切削されたベニヤ板とノ─
ズによる刃押されを受ける。したがつて,刃部材質は,
切れ味は勿論であるが切削耐久性にすぐれるものでなけ
ればならない。また使用後の再研摩にあつては研削性も
良好でなければならない。このような条件を満たすため
には,刃部には必要な硬さと耐摩耗性,靱性にすぐれし
かも研削割れの発生しにくい性質が必要となる。例え
ば、JIS G4404で規定される切削用合金工具鋼
は,鋭利な刃先形成と高い硬さが得られる点で有効であ
るものの、靱性が低いために刃部に強い衝撃を受けた場
合には刃欠けを生じるという欠点があつた。同じくJI
S G4404で規定する耐衝撃用合金工具鋼を使用し
た場合は,オ─スフォ─ミングや鍛造焼入等の加工熱処
理後の到達硬さが低いために使用時刃曲がりの発生や早
期摩耗という問題があつた。また特公昭54─4322
に開示された合金は,加工熱処理に対する適性と刃先強
度に改善効果を認めるものの刃部の再研削条件によつて
はしばしば研削割れのトラブルを生じるという欠点があ
つた。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は,従来鋼
に見られるそれぞれの欠点を解消しベニヤレ─スナイフ
として好適な研削性にすぐれた耐摩耐衝撃工具鋼を提供
しようとするものである。本発明者等は,ベニヤレ─ス
ナイフの性能を決定づける刃欠け,刃曲がり,摩耗,研
削割れ等の要因に対し刃材のマトリツクス強度,即ち熱
処理後の残留オ─ステナイトの低減,マルテンサイトの
粗さと結晶粒度の微細化および適正量の微細な炭化物分
布が有効である判断した。その手段としてSi,Cr,
Mo,W,V,Co等を添加し鍛造焼入後その全量をマ
トリツクスへ固溶させるとともにNbの添加によつて硬
質の微細な炭化物を分布させた成分バランスを求めた。
特にW,Mo,Cr,Vは,炭化物形成傾向が強くその
残留が刃先の微小チツピングや研削性へのマイナス作用
をなすため抑制手段としての成分バランスは本発明の重
要なポイントとなる。
【0005】即ち、本発明鋼は,重量比率において,
C:0.60〜0.75%,Si:0.8〜1.7%,
Mn:0.4〜1.0%,Cr:0.3〜1.0%,M
o:0.4〜1.0%,W:0.6〜1.2%,V:
0.1〜0.5%,Nb:0.05〜0.3%,残部鉄
および不可避の不純物からなり、必要に応じCo:1.
0〜3.0%,を含む研削性のすぐれた耐摩耐衝撃工具
鋼である。
【0006】次に本発明の成分限定理由について述べ
る。C:Cはマトリツクス強化元素として,Ac1変態
点以上のオ─ステナイト領域においてマトリツクスへ固
溶し、焼入焼もどし後のマルテンサイト変態によつて硬
さを高めることによりベニヤレースナイフの切削耐久性
を増す。また一部はNbと炭化物を形成し耐摩耗性を向
上させる。0.60%以下では必要な硬さが得られず刃
曲がり,摩耗の原因となる。0.75%以上では鍛接
性,耐衝撃性を低下させ焼入焼もどし後の残留オ─ステ
ナイトを増加せしめて刃欠けや研削性を劣化させるので
その範囲を0.60〜0.75%とする。
【0007】Si:Siは製鋼上脱酸剤として作用す
る。同時にマトリツクスへ固溶することにより焼もどし
軟化抵抗を高め鋼の降伏比をも改善する。0.8%以下
ではその効果が得られず1.7%以上では熱間加工性を
害するのでその範囲を0.8〜1.7%とする。
【0008】Mn:MnはSiと同様に製鋼上脱酸剤と
して作用するとともに鋼の焼入性を改善する。0.4%
以下ではその効果は得られず1.0%以上では残留オ─
ステナイトを増加させるのでその範囲を0.4〜1.0
%とする。
【0009】Cr:Crは焼入性を高めるとともにオ─
ステナイトに固溶し鋼の耐力を向上させる。0.3%以
下ではその効果が期待できず1.0%以上では残留オ─
ステナイトを増し一部炭化物としても残り刃曲がりや研
削性に影響をおよぼすためその範囲を0.3〜1.0%
とする。
【0010】Mo:Moは焼入性を改善するとともに焼
もどし軟化抵抗を高め、研削時の熱歪みに対して応力レ
ベルを向上させる。また焼入温度範囲を広げ結晶粒の粗
大化を防止する作用がある。0.4%以下ではその効果
はなく1.0%以上では顕著な向上がみられないので、
その範囲を0.4〜1.0%とする。
【0011】W:Wはマルテンサイト組織の微細化と焼
もどし軟化抵抗を高めることにより刃先強度を向上させ
る。0.6%以下 ではその効果がなく1.2%以上で
は多量の未溶解のWC炭化物を分布させ、本発明の目的
の一つである研削性の向上にマイナス作用をなすため、
その範囲を0.6〜1.2%に限定する。
【0012】V:Vは結晶粒の調整と成長の抑制効果が
あり耐衝撃性を付与する。また耐摩耗性を向上させる。
本発明のVは,オ─ステナイト中へ固溶して鋼の組織調
整をなすために添加するもので多量の添加は安定な
(V,W)Cを生成しやすく,かつその残留傾向を高め
これがマトリツクスのCを吸収することにより強度低下
と研削性を阻害するのでその範囲を0.1〜0.5%に
限定する。
【0013】Nb:Nbは安定なNbCを形成すること
により耐摩耗性に寄与する。また(V,W)Cの生成を
抑制する作用によりオ─ステナイト中のCを固定し切削
耐久性を増す。Nb0.05%以下では耐摩耗性の効果
はみられず0.3%以上ではNbCの粗大化をまねき刃
先チツピングや研削性を害するのでその範囲を0.05
〜0.3%に限定する。
【0014】Co:Coは本発明鋼において必要に応じ
添加する。Coは,マトリツクスに全量固溶し、鋼の変
態点を高めて研削時に発生する熱歪みに対して軟化抵抗
を増す。その結果ベニヤレ─スナイフの組織の劣化を防
止し、研削性を向上させる。またオ─ステナイトへのC
r,Mo,W,V等の固溶を促進する作用があるためマ
トリツクスの強化に有効である。1%以下ではその効果
が少なく3%以上では鋼の靱性を害するとともに経済性
をも損なうのでその範囲を1.0〜3.0%に限定す
る。
【0015】
【実施例】表1は高周波炉で400Kgの鋼塊を溶製
後,鍛造,圧延をへて25×110×720mmの平鋼
とした本発明鋼および比較鋼の化学成分を示す。表2は
供試鋼と台金を加工度70%まで鍛接した後,所定の焼
入温度に達するまで放冷し、焼入と焼もどしを行った時
の硬さ・機械的性質・研削性を比較した結果を示す。抗
折力は、鍛造焼入品から5×10×80mm試験片を採
取し、3点曲げ試験により求めた。衝撃値は、5×10
×55mm無溝試験片を採取しシャルピ─衝撃試験によ
り求めた。大越式摩耗試験機を使い回転子SCM43
5,摩擦距離400m,摩擦速度0.94m/sec,
荷重6.3Kgの条件で試験を行った場合の比摩耗量を
示した。平面研削盤を用いて試験片6×40×60mm
を回転式のテ─ブルにセットし、粒度60,結合度Jの
WA砥石で切り込み深さ2/100mmとして10分間
研摩した後、表面の研摩割れの有無を50倍の顕微鏡で
観察する方法でテストを繰り返し、その発生率で研削性
の評価を表した。
【0016】
【表1】
【0017】
【表2】
【0018】本発明鋼によれば,ベニヤレ─スナイフに
必要なHRC60以上の硬さが得られ、耐摩耗性,靱性
とも高水準を示している。また研削性の評価においても
比較鋼より優れた結果を示し総合評価では最もバランス
がとれている。表3は本発明鋼のNo.1と比較鋼N
o.4からベニヤレースナイフを製作し、このベニヤレ
ースナイフを用いて2時間にわたって切削を行い、木材
からベニヤ板を切り出した後の刃先摩耗量を示す。上記
の刃先摩耗量の判定に当たっては、図1に示すように切
削開始2時間後における刃表1と刃裏2の先端に囲まれ
る刃部Tの刃先摩耗域Wの幅a及び厚みbにより刃先摩
耗量を判定した。表3によれば、本発明鋼の刃先摩耗量
は比較鋼に対して約1/2以下と極めて少なく切削耐久
寿命の大幅な改善がみられる。
【0019】
【表3】
【0020】
【発明の効果】この発明に係わる工具鋼は、上記のよう
に重量比率において,C:0.60〜0.75%,S
i:0.8〜1.7%,Mn:0.4〜1.0%,C
r:0.3〜1.0%,Mo:0.4〜1.0%,W:
0.6〜1.2%,V:0.1〜0.5%,Nb:0.
05〜0.3%,残部鉄および不可避の不純物からな
り、必要に応じCo:1.0〜3.0%,を含むように
したので、ベニヤレ─スナイフに必要なHRC60以上
の硬さが得られた。また、刃先摩耗量は極めて少なく切
削耐久寿命の大幅な改善がみられ、靱性も極めて良好で
ある。また研削割れの発生率も低く抑えられ、優れた研
削性を有する。従って、木材の硬軟を問わずベニヤレ─
スナイフの切削性能の向上をはかることができるほか,
他の木工工具や刃物類等への適用拡大も可能であるな
ど、数々の優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】ベニヤレ─スナイフの刃先摩耗量測定位置を示
す刃先断面図である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量比率において,C:0.60〜0.
    75%,Si:0.8〜1.7%,Mn:0.4〜1.
    0% ,Cr:0.3〜1.0%,Mo:0.4〜1.
    0%,W:0.6〜1.2%,V:0.1〜0.5%,
    Nb:0.05〜0.3%,残部鉄および不可避の不純
    物からなる研削性のすぐれた耐摩耐衝撃工具鋼。
  2. 【請求項2】 重量比率において,C:0.60〜0.
    75%,Si:0.8〜1.7%,Mn:0.4〜1.
    0% ,Cr:0.3〜1.0%,Mo:0.4〜1.
    0%,W:0.6〜1.2%,V:0.1〜0.5%,
    Nb:0.05〜0.3%,Co:1.0〜3.0%,
    残部鉄および不可避の不純物からなる研削性のすぐれた
    耐摩耐衝撃工具鋼。
JP3185860A 1991-07-01 1991-07-01 研削性のすぐれた耐摩耐衝撃工具鋼 Pending JPH059654A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022158218A1 (ja) * 2021-01-21 2022-07-28 兼房株式会社 長尺刃物

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2022158218A1 (ja) * 2021-01-21 2022-07-28 兼房株式会社 長尺刃物

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Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20020528