JP2927694B2 - 耐折損性に優れた強靭耐摩耗鋼 - Google Patents

耐折損性に優れた強靭耐摩耗鋼

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JP2927694B2
JP2927694B2 JP713095A JP713095A JP2927694B2 JP 2927694 B2 JP2927694 B2 JP 2927694B2 JP 713095 A JP713095 A JP 713095A JP 713095 A JP713095 A JP 713095A JP 2927694 B2 JP2927694 B2 JP 2927694B2
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NIPPON NYUUMACHITSUKU KOGYO KK
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐折損性に優れた強靭
耐摩耗鋼に関する。更に詳しくは、特に土木建設機械な
どに使用される油圧ショベル用チゼルやリッパーポイン
トといった各種部品用鋼材に好適な耐折損性に優れた強
靭耐摩耗鋼に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、土砂や岩石などによる摩耗が問題
となる土木建設機械に使用されるチゼルやリッパーポイ
ントなどの各種部品用としては、耐摩耗鋼が使用されて
いる。
【0003】例えば、SCM440鋼(JIS G 4105(197
9))やSNCM439鋼(JIS G 4103(1979))が強度−
靭性バランス、換言すれば耐摩耗性−耐折損性バランス
に比較的優れているとして、前記土木建設機械用の各種
部品に多用されている。
【0004】しかし、これらのSCM440鋼やSNC
M439鋼には、焼入れ性が不充分であって大型の部
品に対しては完全に中心部まで硬化させることができな
い、更に、上記に関連して表面部の硬化層が一旦摩
耗すればその内部は急激に摩耗してしまうため耐摩耗性
が不充分である、という問題がある。
【0005】一方、最近では土木建設機械の使用される
環境がますます過酷なものとなっており、そのため最終
ユーザーからは、一層良好な耐摩耗性−耐折損性バラン
スが、就中、特に良好な耐摩耗性が要望されている。そ
のため、例えばチゼルにおいては、図1に示すように、
耐摩耗性に著しく優れたSKD61鋼やSKD62鋼
(いずれもJIS G 4404(1983))のコア2をSCM440
鋼やSNCM439鋼製のチゼル本体1の先端に組み込
んだコンポジットチゼルが開発されている。
【0006】上記コンポジットチゼルの出現により、チ
ゼルの耐摩耗性は従来に比して当然のことながら著しく
向上したものの、それに沿って使用環境並びに使用条件
が従前にも増して過酷なものとなり、約10時間から1
00時間の使用時間でチゼルがSCM440鋼やSNC
M439鋼製の本体中央部分から折損するようになって
きた。
【0007】そこで、チゼル本体用として、耐折損性に
優れなおかつ、チゼルコア用程ではないにしても耐摩耗
性にも優れた鋼に対する要望が大きくなり、本発明者ら
は、先に特開平5−214485号公報で靭性に優れた
耐摩耗鋼を提案した。すなわち、粒界脆化を抑制するこ
とによる耐折損性の向上を図る点に1つの特徴を有する
発明である。しかし、この提案に係る発明も粒界脆化抑
制のために、特にMn量を低減したこともあって、必ず
しも充分な効果が得られるものでもなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、土木
建設機械の各種部品用鋼材に好適な耐折損性に優れた強
靭耐摩耗鋼、就中、コンポジットチゼルにおいてチゼル
本体中央部からの折損発生までの使用時間を、従来の最
長時間である100時間から、その2倍以上となる20
0時間以上にまで延ばすことが可能な高強度で靭性に優
れた強靭耐摩耗鋼を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の課題
を達成するため検討を重ね下記の知見を得た。
【0010】(a)コンポジットチゼルの場合には、岩
石や土砂との摩擦によってチゼルコアであるSKD61
鋼やSKD62鋼の部分は600℃程度にまで昇温する
が、チゼル本体部はその温度が上昇するとしても300
〜400℃程度までである。従って、最高400℃の温
度状態に長時間置かれても軟化しない鋼であれば、チゼ
ル本体用として充分な耐摩耗性が維持されること。
【0011】(b)400℃での軟化の状況は、その温
度における高温硬さによって評価すれば良いが、コンポ
ジットチゼルの場合にはむしろチゼル本体部を400℃
で長時間(200時間程度)焼戻しした後の常温硬さを
測定した方がかえって軟化の状況を的確に把握できて、
実機での評価と一致すること。
【0012】(c)チゼル本体部がフィールドでの使用
中に軟化しないためには、上記の400℃で長時間焼戻
しした後の常温硬さがHR Cで40以上あれば良いこ
と。
【0013】(d)上記(c)を満足する鋼成分組成を
得るためには、N、C、Mn、CrとMoの量を特定の
範囲に制御した上でC、Mn、CrおよびMoの量に関
して、下記fn1の値が2.50%以上となるようにす
れば良いこと。
【0014】 fn1=(1/2) %C + %Mn +(1/3) %Cr +(1/2) %Mo ここで %C はC含有量の重量%を意味し、 %Mn 、 %Cr
および %Mo についても同様である。
【0015】(e)フィールドでの実機を用いたコンポ
ジットチゼル予備テストの結果、上記の常温硬さがHR
Cで40以上あって、かつ使用前の状態でのチゼル本体
部靭性としてJIS3号試験片での衝撃値が60J/c
2 以上であれば、少なくとも200時間の使用では従
来見られたようなチゼル本体中央部からの折損を生じる
ことはなく、またチゼル本体部に曲がりも生じないこ
と。
【0016】(f)従って、コンポジットチゼルのチゼ
ル本体中央部からの折損を防止し、使用中の曲がりの発
生を防止して耐摩耗性をも付与するには、粒界脆化の抑
制もさることながら、鋼に常温での充分なる靭性を付与
し、更に、400℃で長時間焼戻しした後の充分なる常
温硬さをも同時に具備できる鋼成分組成とすれば良いこ
と。
【0017】(g)上記(f)の技術思想はリッパーポ
イントやトラックシューなど他の土木建設機械の各種部
品に対しても適用できること。
【0018】上記知見に基づく本発明は下記(1)〜
(4)に示す化学組成を有する耐折損性に優れた強靭耐
摩耗鋼を要旨とする。
【0019】(1)重量%で、C:0.15〜0.35
%、Si:0.05〜0.50%、Mn:1.50〜
2.20%、Cr:1.20〜2.20%、Mo:0.
40〜1.00%、Ni:3.00%以下、Ti:0.
050%以下、B:0.0050%以下、Al:0.0
10〜0.060%、N:0.0030〜0.0150
%を含有し、残部はFeおよび不可避不純物からなり、
不純物中のPは0.030%以下およびSは0.050
%以下で、かつ、前記fn1の値が2.50〜3.50
%である耐折損性に優れた強靭耐摩耗鋼。
【0020】(2)上記(1)に記載の成分に加えて更
に、重量%で、0.05〜0.20%のVおよび0.0
05〜0.050%のNbのうちの1種以上を含有し、
かつ、前記fn1の値が2.50〜3.50%である耐
折損性に優れた強靭耐摩耗鋼。
【0021】(3)上記(1)に記載の成分に加えて更
に、重量%で、0.01〜0.30%のCu、0.05
〜0.30%のPb、0.01〜0.20%のTe、
0.01〜0.30%のBiおよび0.0005〜0.
0100%のCaのうちの1種以上を含有し、かつ、前
記fn1の値が2.50〜3.50%である耐折損性に
優れた強靭耐摩耗鋼。
【0022】(4)上記(1)に記載の成分に加えて更
に、重量%で、0.05〜0.20%のVおよび0.0
05〜0.050%のNbのうちの1種以上、ならびに
0.01〜0.30%のCu、0.05〜0.30%の
Pb、0.01〜0.20%のTe、0.01〜0.3
0%のBiおよび0.0005〜0.0100%のCa
のうちの1種以上を含有し、かつ、前記fn1の値が
2.50〜3.50%である耐折損性に優れた強靭耐摩
耗鋼。
【0023】
【作用】以下に、本発明における鋼の化学組成を上記の
ように限定する理由について説明する。なお、「%」は
「重量%」を意味する。
【0024】C:Cは焼入れ性を向上させ所望の硬さを
得て耐摩耗性を確保するのに有効な元素であるが、反面
靭性を低下させる元素でもある。すなわち、耐折損性と
耐摩耗性を共に向上させるためには、硬さと靭性のバラ
ンスが必要で、最低限の硬さ(400℃で長時間焼戻し
した後の常温硬さがHR Cで40以上)を得るために
は、0.15%以上が必要である。一方、0.35%を
超えて含有させると靭性が低下し、常温でのJIS3号
試験片での所望の衝撃値である60J/cm2 以上の値
が得られなくなり、耐折損性が劣化する。従って、Cの
含有量は、0.15〜0.35%とした。
【0025】Si:Siは鋼の脱酸に必要であるととも
に、所定の静的強度(400℃で長時間焼戻しした後の
常温硬さ)を付与するのに必要な元素である。しかし、
その含有量が0.05%未満では所望の効果が得られ
ず、0.50%を超えると靭性が劣化してJIS3号試
験片での所望の衝撃値である60J/cm2 以上の値が
得られなくなり、耐折損性が劣化するようになるので、
その含有量を0.05〜0.50%とした。
【0026】Mn:Mnは焼入れ性を向上させ、硬さと
靭性を向上させる作用がある。特に、Nの量を制限した
上で適正量のCrおよびMoと複合添加すると400℃
で長時間焼戻しした後の常温硬さを高く維持するのにも
有効で、極めて良好な硬さ−靭性バランスとなり耐摩耗
性−耐折損性バランスを大きく向上させる。しかし、そ
の含有量が1.50%未満では所望の効果が得られず、
2.20%を超えると粒界に偏析しかえって靭性が劣化
して耐折損性が劣化するようになるので、その含有量を
1.50〜2.20%とした。
【0027】Cr:CrはMnと同様に焼入れ性を向上
させ、硬さと靭性の向上に有効な元素である。特に、N
の量を制限した上で適正量のMnおよびMoと複合添加
すると400℃で長時間焼戻しした後の常温硬さを高く
維持するのにも有効で、極めて良好な硬さ−靭性バラン
スとなり耐摩耗性−耐折損性バランスを大きく向上させ
る。
【0028】しかし、その含有量が1.20%未満では
所望の効果が得られず、2.20%を超えると粗大なC
r炭化物が生成し靭性の劣化を生じ耐折損性の劣化を招
くことになるので、その含有量を1.20〜2.20%
とした。
【0029】Mo:MoはMnおよびCrと同様に焼入
れ性を向上させ、硬さと靭性を向上させるのに有効な元
素である。特に、Nの量を制限した上で適正量のMnお
よびCrと複合添加すると400℃で長時間焼戻しした
後の常温硬さを高く維持するのにも有効で、極めて良好
な硬さ−靭性バランスとなり耐摩耗性−耐折損性バラン
スを大きく向上させる。しかし、その含有量が0.40
%未満では所望の効果が得られず、一方1.00%を超
えて含有してもその効果は飽和し、コストのみが上昇す
ることになるので、その含有量を0.40〜1.00%
とした。
【0030】Ni:Niは添加しなくても良い。添加す
れば焼入れ性を向上させ、更に靭性を大きく向上させる
効果がある。この効果を確実に得るには、Niは0.1
0%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、その
含有量が3.00%を超えると前記効果が飽和するばか
りかかえって被削性の低下をきたし、またコストが嵩む
ばかりとなる。従って、Niの含有量を3.00%以下
とした。
【0031】Ti:Tiは添加しなくても良い。添加す
れば焼入れ性を向上させ、更に窒化物を生成して結晶粒
を微細にして靭性を向上させる効果を有する。この効果
を確実に得るには、Tiは0.005%以上の含有量と
することが好ましい。しかし、その含有量が0.050
%を超えると、窒化物が粗大化して靭性が劣化し耐折損
性が劣化する。従って、Ti含有量の上限を0.050
%とした。
【0032】B:Bも添加しなくても良い。添加すれば
焼入れ性と靭性が共に向上する効果がある。この効果を
確実に得るには、Bは0.0005%以上の含有量とす
る事が望ましい。しかし、その含有量が0.0050%
を超えると、結晶粒が粗大化し靭性が劣化して耐折損性
が劣化する。従って、B含有量の上限を0.0050%
とした。
【0033】Al:Alは鋼の脱酸の安定化および均質
化を図るのに有効な元素である。しかし、その含有量が
0.010%未満では所望の効果を得ることができず、
0.060%を超えると窒化物や酸化物の量が増大して
靭性を劣化し耐折損性を損なうこととなるので、その含
有量を0.010〜0.060%とした。
【0034】N:Nは焼入れ性を向上させるとともに窒
化物を形成して結晶粒を微細にし靭性を向上させる効果
を有する。特に、適正量のMn、CrおよびMoと共存
すると400℃で長時間焼戻しした後の常温硬さを高く
維持するのにも有効で、極めて良好な硬さ−靭性バラン
スが得られ、耐摩耗性−耐折損性バランスを大きく向上
させる。しかし、その含有量が0.0030%未満では
所望の効果が得られず、0.0150%を超えると窒化
物が粗大になって靭性が劣化し耐折損性が劣化すること
となるので、その含有量を0.0030〜0.0150
%とした。
【0035】不純物元素であるPおよびSはその含有量
を次の通り制限する。
【0036】P:Pは粒界に偏析し靭性を低下させる。
特にその含有量が0.030%を超えると靭性劣化が著
しくなるので、不純物元素としてのP含有量の上限を
0.030%とした。
【0037】S:Sは粒界に偏析して靭性を低下させ耐
折損性を大きく損なう。特にその含有量が0.050%
を超えると靭性の低下が著しい。しかし逆に、含有して
おれば被削性を向上させるという効果がある。そこで本
発明においては、耐切損性の劣化と被削性の向上の両作
用を勘案し、不純物元素としてのS含有量の上限を0.
050%とした。
【0038】fn1:N、C、Mn、CrおよびMoの
量を前記の範囲に制御した鋼において、 %Xを元素Xの
含有量(重量%)としたとき、fn1=(1/2) %C + %Mn
+(1/3) %Cr+(1/2) %Mo は長時間焼戻しにおける軟化
抵抗の指標となる。この値が2.50%未満では、40
0℃で長時間焼戻しした後の常温硬さをHR Cで40以
上とすることはできず、チゼル本体部の耐摩耗性が劣化
したり使用中に曲がりを生じたりする。一方、この値が
3.50%を超えると靭性を損なうようになる。従っ
て、fn1の値は2.50〜3.50%とした。
【0039】本発明の耐折損性に優れた強靭耐摩耗鋼に
は、上記の成分に加えて、更にV、Nbのうちの1種以
上および/またはCu、Pb、Te、Bi、Caのうち
の1種以上を含んでいても良い。これらの合金元素の作
用効果と望ましい含有量は下記の通りである。
【0040】VおよびNb:VおよびNbには炭窒化物
を生成して、高温硬さを向上させると共に400℃で長
時間焼戻しした後の常温硬さを高く維持する作用があ
り、岩石や土砂との摩擦によるチゼル本体部の軟化を防
止して耐摩耗性を維持する効果を有する。従って、Vお
よびNbは必要に応じて一方または両方を添加しても良
い。しかし、Vの場合には0.05%未満の含有量では
所望の効果が得られず、0.20%を超えて含有すると
靭性の低下をきたして耐折損性の劣化を招く。一方、N
bの場合には、0.005%未満の含有量では所望の効
果が得られず、0.050%を超えて含有するとやはり
靭性の低下をきたして耐折損性の劣化を招く。従って、
これらの合金元素を1種以上添加する場合には、V:
0.05〜0.20%、Nb:0.005〜0.050
%の含有量とするのが良い。
【0041】Cu、Pb、Te、BiおよびCa:C
u、Pb、Te、BiおよびCaには被削性を向上させ
る作用がある。従って、Cu、Pb、Te、Biおよび
Caは必要に応じて添加しても良い。但し、Cuの場合
には0.01%未満の含有量では所望の効果が得られ
ず、0.30%を超えて含有すると熱間加工性の著しい
低下をきたす。また、Pbの場合には、0.05%未満
の含有量では所望の効果が得られず、0.30%を超え
て含有すると靭性と疲労特性の低下をきたす。Teの場
合には0.01%未満の含有量では所望の効果が得られ
ず、0.20%を超えて含有すると熱間加工性が著しく
劣化する。一方、Biの場合も、0.01%未満の含有
量では所望の効果が得られず、0.30%を超えて含有
すると熱間加工性が劣化する。更に、Caの場合には、
0.0005%未満の含有量では所望の効果が得られ
ず、0.0100%を超えて含有すると靭性の低下をき
たす。従って、これらの合金元素を1種以上添加する場
合は、Cu:0.01〜0.30%、Pb:0.05〜
0.30%、Te:0.01〜0.20%、Bi:0.
01〜0.30%およびCa:0.0005〜0.01
00%の含有量とするのが良い。
【0042】上記の化学組成を有する鋼は通常の方法で
溶製された後、例えば、熱間で圧延または鍛造され、そ
の後必要に応じて焼準され、しかる後に所望の部品形状
に加工され、通常の調質処理(焼入れ焼戻し処理)を受
け、更に仕上げ加工される。
【0043】なお、調質処理において焼入れは850〜
1000℃程度の温度に加熱後水や油で冷却すれば良
く、また焼戻しは150〜450℃程度の温度で行えば
良い。焼戻し後の冷却は加速冷却や放冷など適当な方法
を選択すれば良い。
【0044】
【実施例】表1、2に示す化学組成を有する鋼を通常の
方法により3トン電気炉を用いて溶製した。表1におけ
る鋼1〜13は本発明鋼、表2における鋼14〜26は
成分のいずれかが本発明で規定する含有量の範囲から外
れた比較鋼である。
【0045】次いで、これらの本発明鋼および比較鋼を
通常の方法によって脱水素処理して160mmφの丸棒
に圧延した。これらの供試鋼材をチゼル本体の加工のた
め先ず、直径150mmで長さ1200mmに粗加工し
た後、900℃で3時間加熱して水焼入れを行い、更
に、150℃で4時間の焼戻しを行い空冷処理した。こ
の後通常の方法で、SKD61鋼製のチゼルコアを組み
込んで、図1に示す形状のコンポジットチゼルに仕上げ
加工した。
【0046】これらのコンポジットチゼルを供試材とし
て実機による200時間のフィールド試験を行い、耐折
損性の評価を行った。試験本数は各鋼種について5本ず
つである。なお、フィールド試験後、チゼル本体部の横
断面(図1のA−A断面)の中心部における常温硬さの
測定を行うとともに、折損しなかったものについては曲
がりの状況をも併せて調査した。
【0047】試験結果を表3に示す。本発明鋼である鋼
1〜13はいずれも極めて良好な硬さ−靭性バランスを
有するため、フィールド試験後のチゼル本体部の横断面
中心部における常温硬さはHR Cで40を超え、かつ2
00時間のフィールド試験で折損を生じておらず、しか
も曲がりもない。これに対して、成分のいずれかが本発
明で規定する含有量の範囲から外れた比較鋼である鋼1
4〜26では、鋼15を除いて全て200時間に到らぬ
内に折損を生じている。一方、鋼15は200時間のフ
ィールド試験で折損しなかったものの、大きな曲がりが
発生した。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【0051】
【発明の効果】本発明によれば、耐折損性に優れ、特に
土木建設機械などに使用される油圧ショベル用チゼルや
リッパーポイントといった各種部品用鋼材に好適な強靭
耐摩耗鋼を得ることが可能で、産業上の効果は極めて大
きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】コンポジットチゼルの形状の1例を示す図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坂本 雅紀 福岡県北九州市小倉北区許斐町1番地住 友金属工業株式会社小倉製鉄所内 (72)発明者 鎌田 芳彦 福岡県北九州市小倉北区許斐町1番地住 友金属工業株式会社小倉製鉄所内 (72)発明者 黒川 八寿男 福岡県北九州市小倉北区許斐町1番地住 友金属工業株式会社小倉製鉄所内 (56)参考文献 特開 昭59−25957(JP,A) 特開 昭58−153759(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C22C 38/00 301 C22C 38/50 C22C 38/60

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%で、C:0.15〜0.35%、S
    i:0.05〜0.50%、Mn:1.50〜2.20
    %、Cr:1.20〜2.20%、Mo:0.40〜
    1.00%、Ni:3.00%以下、Ti:0.050
    %以下、B:0.0050%以下、Al:0.010〜
    0.060%、N:0.0030〜0.0150%を含
    有し、残部はFeおよび不可避不純物からなり、不純物
    中のPは0.030%以下およびSは0.050%以下
    で、かつ、下記fn1の値が2.50〜3.50%であ
    る耐折損性に優れた強靭耐摩耗鋼。 fn1=(1/2) %C + %Mn +(1/3) %Cr +(1/2) %Mo 但し、 %X は元素Xの重量%である。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の成分に加えて更に、重量
    %で、0.05〜0.20%のVおよび0.005〜
    0.050%のNbのうちの1種以上を含有し、かつ、
    下記fn1の値が2.50〜3.50%である耐折損性
    に優れた強靭耐摩耗鋼。 fn1=(1/2) %C + %Mn +(1/3) %Cr +(1/2) %Mo 但し、 %X は元素Xの重量%である。
  3. 【請求項3】請求項1に記載の成分に加えて更に、重量
    %で、0.01〜0.30%のCu、0.05〜0.3
    0%のPb、0.01〜0.20%のTe、0.01〜
    0.30%のBiおよび0.0005〜0.0100%
    のCaのうちの1種以上を含有し、かつ、下記fn1の
    値が2.50〜3.50%である耐折損性に優れた強靭
    耐摩耗鋼。 fn1=(1/2) %C + %Mn +(1/3) %Cr +(1/2) %Mo 但し、 %X は元素Xの重量%である。
  4. 【請求項4】請求項1に記載の成分に加えて更に、重量
    %で、0.05〜0.20%のVおよび0.005〜
    0.050%のNbのうちの1種以上、ならびに0.0
    1〜0.30%のCu、0.05〜0.30%のPb、
    0.01〜0.20%のTe、0.01〜0.30%の
    Biおよび0.0005〜0.0100%のCaのうち
    の1種以上を含有し、かつ、下記fn1の値が2.50
    〜3.50%である耐折損性に優れた強靭耐摩耗鋼。 fn1=(1/2) %C + %Mn +(1/3) %Cr +(1/2) %Mo 但し、 %X は元素Xの重量%である。
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