JPH0595941A - Ｘ線テレビジヨン装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 コントラストの低い被写体も高い被写体も、
共に最適な条件で画面上に表示することのできるＸ線テ
レビジョン装置 【構成】 イメージ管のＴＶカメラから出力される画像
信号の最大値、最小値及び平均値を検出し、その平均値
をＸ線制御器に出力するとともに、最大値、最小値及び
平均値に基き非線形可変利得アンプの増幅特性及び利得
を制御する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、医療等の分野において
用いられるＸ線テレビジョン装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】まず、従来のＸ線テレビジョン装置の単
純化した構成を図２に示し、その作用を簡単に説明す
る。Ｘ線管１０から発射され、被写体１１を透過したＸ
線は、イメージ管（Image Intensifier＝ＩＩ）１２の
投影面に可視影像を形成する。この影像をテレビジョン
（ＴＶ）カメラ１３により撮影し、表示装置（ＣＲＴ
等）１５に表示する。ここで、被写体１１のＸ線透過度
が異なっても表示装置１５に表示される影像が常に適正
な明るさになるように、イメージ管１２の投影面上の所
定の範囲の明るさを検出するフォトピックアップ２１が
光学系２０の内部に設けられ、Ｘ線制御器１６がその明
るさのデータに基いてＸ線管１０の動作条件（管電流及
び管電圧）を適切に定める。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】従来のＸ線テレビジョ
ン装置における上記Ｘ線条件のフィードバック制御は、
画面の中心部を含む所定の範囲内の平均輝度が一定とな
るように行なわれているため、フラットな（Ｘ線透過度
のコントラストの低い）被写体で影像の明るさが適正に
なるようにＸ線条件を設定すると、肺野等の被写体厚が
大きく異なる（コントラストの高い）被写体を投影した
とき、薄い部分が白飛び（ハレーション）を起こした
り、厚い部分で黒潰れが生じる。逆に、被写体厚が大き
く異なる部位を基準にＸ線条件を定めると、フラットな
被写体を投影したときにはコントラストが著しく低くな
って細部が潰れてしまう。本発明はこのような課題を解
決するために成されたものであり、その目的とするとこ
ろは、コントラストの低い被写体も高い被写体も、共に
最適な条件で画面上に表示することのできるＸ線テレビ
ジョン装置を提供することである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に成された本発明では、イメージ管に形成された影像の
明るさに基いてＸ線管の管電流及び／又は管電圧を制御
するＸ線制御器を備えたＸ線テレビジョン装置におい
て、（ａ）上記影像を撮影するテレビジョンカメラとそ
の画像を表示する表示装置との間に設けられた非線形可
変利得アンプと、（ｂ）テレビジョンカメラから出力さ
れる画像信号の最大値、最小値及び平均値を検出し、そ
の平均値をＸ線制御器に出力するとともに、最大値、最
小値及び平均値に基き非線形可変利得アンプに利得信号
を出力する画像調整回路とを備えることを特徴とする。

【０００５】

【作用】画像調整回路（ｂ）はテレビジョンカメラの出
力信号を受け、その１画面中の予め定められた範囲Ａ内
の画像信号の（輝度成分の）最大値、最小値及び平均値
を検出する。ここにおける範囲Ａは画面全体でもよい
が、被写体の影像以外の部分を除去するために、画面周
辺部を除いた中央部分とすることが望ましい。検出され
た値のうち、平均値は従来のＸ線テレビジョン装置で用
いられていたフォトピックアップからの出力と同様にＸ
線制御器に送られ、そこでＸ線管のＸ線発生条件（管電
流及び／又は管電圧）の設定に用いられる。しかし、こ
の平均値による設定のみでは上述の通り表示装置の画面
において白飛び・黒潰れを生じたり、細部が潰れたフラ
ットな画面となってしまう場合がある。そこで、平均値
の他に、画像信号の最大値及び最小値をも用いて非線形
可変利得アンプ（ａ）における画像信号増幅の利得を適
正に調整し、これにより、表示装置における画像の状態
（明るさ、コントラスト）を最適に設定する。

【０００６】

【実施例】本発明の一実施例であるＸ線テレビジョン装
置の基本的構成を図１に示す。本実施例のＸ線テレビジ
ョン装置は図２に示した従来のＸ線テレビジョン装置に
対し、イメージ管１２に取り付けられたＴＶカメラ１３
とその画像信号を表示する表示装置（ＣＲＴ）１５との
間に非線形可変利得アンプ１４を設け、また、ＴＶカメ
ラ１３の出力を取り込み、Ｘ線制御器１６及び非線形可
変利得アンプ１４に制御信号を出力する画像調整回路１
７を設けた点が異なる。

【０００７】本実施例のＸ線テレビジョン装置の作用は
次の通りである。Ｘ線管１０から発生され、被写体１１
を透過したＸ線は、イメージ管（ＩＩ）１２の投影面に
可視影像を形成する。ＴＶカメラ１３は投影面上の影像
を撮影し、所定の画像信号を生成して非線形可変利得ア
ンプ１４を通して表示装置（ＣＲＴ）１５に送る。

【０００８】このＴＶカメラ１３の画像信号は画像調整
回路１７にも送られ、ここで画像調整回路１７は１画面
中の所定範囲（これをAREA-Pとする）内の画像信号の中
から、最大輝度及び最小輝度を検出し、また、１画面中
の別の所定範囲（AREA-Aとする）内の画像信号の平均輝
度を算出する。ここにおける所定範囲AREA-Pとしては、
画面の周辺部を除き、通常の撮影状態で被写体像が収ま
るような範囲としておくことが望ましいが、ＴＶ信号の
１画面分全部としてもよい。また、所定範囲AREA-Aとし
ては、従来のフォトピックアップ２１が検出していた範
囲と等しくなるようにするとＸ線制御器１６の特性を変
更する必要がなく、便利であるが、最大・最小値を検出
する範囲AREA-Pと一致させてもよい。

【０００９】画像調整回路１７は、算出した平均輝度信
号をＸ線制御器１６に送る。Ｘ線制御器１６は従来と同
様、画像調整回路１７からの制御信号に基き、予め定め
られた手順に従ってＸ線管１０の管電流及び管電圧を変
更し、出力Ｘ線の強度及び波長を適切な値に設定する。
これにより、イメージ管１２の投影面に投影される透過
Ｘ線像の上記所定範囲内の平均の明るさは常に一定に保
たれる。

【００１０】しかし、被写体１１のＸ線透過度が部分的
に大きく異なっている場合（すなわち、コントラストが
非常に強い場合）には、ＣＲＴ１５の画面上で部分的に
白飛びあるいは黒潰れが生じる。

【００１１】そこで画像調整回路１７は、検出した最大
輝度及び最小輝度の値に基き、画像信号中のそれら最大
又は最小輝度の部分のＣＲＴ１５の画面上の明るさが適
正な範囲内に入るように、非線形可変利得アンプ１４の
増幅特性及び利得を制御する。この制御の具体例を図３
及び図４により説明する。

【００１２】図３（ａ）及び図４（ａ）は横軸にＣＲＴ
画面を横断する距離、縦軸に画像（輝度）信号の値をと
ったグラフである。また、図３（ｂ）及び図４（ｂ）は
第１象限にＴＶカメラ１３からの出力信号ａ、第２象限
にアンプ１４の増幅特性カーブ、そして第３象限にアン
プ１４の出力信号（すなわち、ＣＲＴ１５の入力信号）
ｂを示すグラフである。図３（ａ）に示すように、Ｘ線
影像が比較的フラットであり、所定範囲AREA-P（今の場
合、AREA-A＝AREA-P）内の画像信号の最大値及び最小値
が平均値ＶAVEからアンバランスに離れていない場合に
は、図３（ｂ）の第２象限に示すように、アンプ１４の
増幅特性をほぼリニアとし、ＴＶカメラ１３の出力信号
の平均値ＶAVEがＣＲＴ１５の画面上で最も見やすい明
るさに相当する入力電圧ＶADJ（通常、白レベルの５〜
７割程度の値）に変換するとともに、画像信号の上下限
値の幅が広がるようにアンプ１４の利得を大きめに設定
する。これにより、フラットな画像にコントラストが付
けられ、細部が明瞭に識別できるようになる。

【００１３】しかし、図４（ａ）に示すように、調整前
の影像において一部（今の場合、中央部ｃ）に黒潰れを
生じている場合には、画像信号の平均値に基くＸ線条件
の調整により図４（ｂ）の第１象限に示すように画像信
号の全体をかさ上げしただけでは、逆に高輝度の部分が
ＣＲＴ１５の白レベルを超え、白飛びを生じてしまう。
そこで、所定範囲内の最大値、最小値及び平均値に基い
てアンプ１４の増幅特性を同図の第２象限に示すように
非線形（対数又はガンマ特性）とし、上限部の増幅度を
抑える。これにより、ＣＲＴ１５上の画像は同図第３象
限に示すように適正範囲Ｖ1〜Ｖ2（ここでは余裕をみ
て、Ｖ1は白レベルＶMAXよりも少し低い値、Ｖ2は黒レ
ベルＶMINよりも少し高い値としているが、それぞれ白
レベルＶMAX、黒レベルＶMINそのものとしてもよい。）
内に納まり、被写体の透視像を良好に観察することがで
きるようになる。

【００１４】なお、上記実施例では説明の単純化のため
に、ＴＶカメラ１３で撮影したＸ線影像はそのままＣＲ
Ｔ１５に表示するものとしたが、図５に示すように、Ｔ
Ｖカメラ１３により生成される画像信号を一旦Ａ／Ｄコ
ンバータ（ＡＤＣ）３０によりデジタル化し、画像処理
回路３１によって輪郭強調等の種々の画像処理を行なっ
た後、再びＤ／Ａコンバータ（ＤＡＣ）３２によりアナ
ログ信号に戻してＣＲＴ１５に表示するようなシステム
にも、本発明は全く同様に適用することができる。

【００１５】

【発明の効果】本発明に係るＸ線テレビジョン装置で
は、イメージ管に形成された影像の平均的な明るさのみ
ならず、最大及び最小値をも考慮して画像信号の増幅を
線形又は非線形に行なうため、表示装置の画面上では白
飛び・黒潰れのない、また、適度なコントラストの付い
た適正な画像を表示することができる。このため、操作
者は煩わしい画面調整に時間をとられることがなく、ま
た、テスト曝射が不要となるために、撮影時間の短縮及
び被曝量の低減が可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の一実施例であるＸ線テレビジョン装
置の基本的構成を示すブロック図。

【図２】 従来のＸ線テレビジョン装置の基本的構成を
示すブロック図。

【図３】 フラットな影像の場合の画面信号の形状を示
すグラフ（ａ）及びアンプの増幅特性を示すグラフ
（ｂ）。

【図４】 明暗の偏りが激しい影像の場合の画面信号の
形状を示すグラフ（ａ）及びアンプの増幅特性を示すグ
ラフ（ｂ）。

【図５】 本発明の別の実施例であるＸ線テレビジョン
装置の構成を示すブロック図。

【符号の説明】

１０…Ｘ線管 １１…被写体 １２…イメージ管 １３…ＴＶカメ
ラ １４…非線形可変利得アンプ １５…表示装置
（ＣＲＴ） １６…Ｘ線制御器 １７…画像調整
回路 ２０…光学系 ２１…フォトピ
ックアップ

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 イメージ管に形成された影像の明るさに
   基いてＸ線管の管電流及び／又は管電圧を制御するＸ線
   制御器を備えたＸ線テレビジョン装置において、 上記影像を撮影するテレビジョンカメラとその画像を表
   示する表示装置との間に設けられた非線形可変利得アン
   プと、 テレビジョンカメラから出力される画像信号の最大値、
   最小値及び平均値を検出し、その平均値をＸ線制御器に
   出力するとともに、最大値、最小値及び平均値に基き非
   線形可変利得アンプに利得信号を出力する画像調整回路
   とを備えることを特徴とするＸ線テレビジョン装置。