JP3515135B2 - Ｘ線テレビジョン装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 【０００１】 【産業上の利用分野】この発明は、Ｘ線テレビジョン装
置に関し、とくにＸ線画像の階調変換処理を行なう部分
を改良したＸ線テレビジョン装置に関する。 【０００２】 【従来の技術】Ｘ線テレビジョン装置は、イメージイン
テンシファイアとテレビジョンカメラとを用いてＸ線画
像のビデオ信号を得、これをテレビジョンモニター装置
に表示するものである。この表示画像において、過大な
入力信号によるハレーションが生じないように、従来よ
りその階調変換処理が行なわれている。 【０００３】すなわち、従来では、入力ビデオ信号のピ
ーク値検出ゲートあるいは平均値検出ゲートによりピー
ク値あるいは平均値を検出し、それらに応じて、入出力
変換特性におけるある一定の変曲点以上の部分での傾き
を変化させ、これにより入力信号を圧縮して出力するよ
うにしている。 【０００４】また、上記と同様のゲートによって検出さ
れたピーク値あるいは平均値に応じて、変曲点以上の部
分での傾きは変化させずに、変曲点を移動させることに
より、入力信号を圧縮して出力することもある。 【０００５】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら従来では
つぎのような問題がある。まず、変曲点以上の部分での
傾きを入力信号のピーク値または平均値によって変化さ
せる場合は、一部でも過大な信号が入力されたとき、そ
の傾きが小さくなり過ぎ、変曲点から上の画像の階調が
圧縮され過ぎて違和感のある不自然な画像が表示されて
しまう。また、変曲点を入力信号のピーク値または平均
値によって移動させる場合は、同じく一部でも過大な信
号が入力されたとき、変曲点が下がり過ぎて、原画像信
号の持つコントラストが大きく低下してしまう。 【０００６】この発明は、上記に鑑み、原画像信号の持
つコントラストをなるべく損なわないようにして、ハレ
ーションが生じないような過大入力に対する圧縮を行な
うことができるように改善したＸ線テレビジョン装置を
提供することを目的とする。 【０００７】 【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、この発明は、Ｘ線テレビジョン装置において、被写
体に対してＸ線を照射する手段と、該照射Ｘ線を絞るコ
リメータと、被写体を透過したＸ線により被写体につい
てのＸ線画像信号を得る手段と、該Ｘ線画像信号を所定
の入出力変換特性にしたがって変換して出力する入出力
変換手段と、ピーク値用領域として定めたピーク値用ゲ
ート領域のＸ線画像信号のみを取り出すピーク値用ゲー
ト手段と、上記コリメータにより絞られる領域に対応し
て、上記ピーク値用ゲート領域とは別個に定めた、平均
値用ゲート領域のＸ線画像信号のみを取り出す平均値用
ゲート手段と、上記ピーク値用ゲート手段により取り出
された信号のピーク値を検出するピーク値検出手段と、
上記平均値用ゲート手段により取り出された信号の平均
値を検出する平均値検出手段と、この検出された平均値
に応じて上記入出力変換特性の変曲点を定めるととも
に、検出されたピーク値が出力信号範囲に収まるよう変
曲点より大きな入力信号範囲での変換特性の傾きを定め
る、上記入出力変換手段の制御手段とを備えることを特
徴とする。 【０００８】 【作用】入出力変換特性の変曲点が平均値用ゲート領域
から取り出された信号の平均値により定められ、且つ、
その変曲点より大きな入力信号範囲での変換特性の傾き
がピーク値を検出するためのピーク値用ゲート領域から
取り出された信号のピーク値が出力信号範囲に収まるよ
うに定められるので、過大な信号によるハレーションが
抑えられ、且つ傾きを小さくし過ぎることを避けること
ができて画像の階調が不自然になることを避けることが
できる。しかも、ピーク値用ゲート領域と、平均値を検
出するための平均値用ゲート領域とは別個に定められる
ので、これらの領域が実際の画像に応じて定められるこ
とにより、実際の画像の濃度分布やコントラスト、ハレ
ーションを起こすようなピーク値に対応して階調変換を
行なうことができ、最適な表示画像を得ることができ
る。とくに、平均値用ゲート領域はコリメータにより絞
られる領域に対応して定められるので、絞られた領域ま
でゲート領域に含まれることにより平均値が下がりすぎ
る不都合が回避され、実際にコリメータによって絞られ
た画像について最適な表示画像を得ることができる。 【０００９】 【実施例】以下、この発明の好ましい一実施例について
図面を参照しながら詳細に説明する。図１において、Ｘ
線管１からのＸ線はコリメータ２によりコリメーション
された上で被写体３に照射され、被写体３を透過したＸ
線がイメージインテンシファイア４に入射する。このイ
メージインテンシファイア４によりＸ線画像は可視光の
画像に変換されて出力され、その光学像は光学系５及び
絞り６を経てテレビジョンカメラのヘッド７に入射す
る。このカメラヘッド７はカメラコントロールユニット
８に接続されており、カメラコントロールユニット８よ
りＸ線画像のビデオ信号が得られる。このビデオ信号は
図示のように直接（あるいは図示しないが画像処理装置
を経た上で）テレビジョンモニター装置９に送られて表
示される。 【００１０】この実施例では、図２に示すような階調変
換回路がカメラコントロールユニット８に内蔵されてい
る。この階調変換回路は、ビデオ信号が入力される２つ
のゲート回路１１、１２と、ゲート回路１１を経たビデ
オ信号のピーク値を検出するピーク値検出回路１３と、
ゲート回路１２を経たビデオ信号の平均値を検出する平
均値検出回路１４と、それらの出力が入力される制御回
路１５と、この制御回路１５により制御される入出力変
換回路１６とから構成されている。 【００１１】Ｘ線画像は、テレビジョンモニター装置９
の画面上では、通常、図３に示すように円形（あるいは
図示しないが矩形）のマスクをかけられた状態で表示さ
れる。ゲート回路１１、１２は、このような画像につい
て点線で示すような領域のみの信号を取り出すようにゲ
ートをかけるものである。そのゲート領域の大きさは任
意に定められるが、平均値を検出するためのゲートにつ
いてはあまり大きすぎるとコリメータ２を絞ったときに
そのエッジまでゲート領域に含まれ、エッジによる黒い
部分が増加するので平均値が下がり過ぎ、逆に、あまり
小さくすると、Ｘ線の露出量を自動調節する自動露出機
能を持つ通常のＸ線テレビジョン装置では、どのような
場合でもほぼ一定の値となってしまう等の事情があるこ
とから、実際の画像に応じて適切に定める必要がある。 【００１２】こうしてゲートされた領域のビデオ信号が
ピーク値検出回路１３及び平均値検出回路１４に入力さ
れて、それらの領域でのピーク値と平均値とが検出され
る。入出力変換回路１６は、たとえば図４の実線で示す
ような変換特性で、入力信号の大きさｘを大きさｙの出
力信号として出力するもので、その変換特性のＡ点（変
曲点）及びＢ点が制御回路１５によって制御される。つ
まり、上記の検出したピーク値ｘ２が出力の１００％に
なるようにＢ点が定められるとともに、平均値ｘ１ある
いはそれに補正を加えた値に応じて変曲点Ａが定められ
る。Ａ−Ｂ間の直線の傾きはＡ点、Ｂ点のそれぞれの座
標の差分によって定められる。これにより、入力がｘ１
までの小さい範囲では入力と出力とは対応関係にあり、
それを越えた入力については、その最大値ｘ２が出力の
１００％となるように一定比率で圧縮されるという入出
力変換が行なわれることになる。また、入力のピーク値
ｘ２が１００％以下のときは入力信号の圧縮は行なわ
ず、入出力の関係はリニアなものにされる。 【００１３】実際の臨床例について説明すると、図３で
は背骨の部分が表わされているものとする。すなわち、
中央のメッシュ部分は骨を表わし、その周りの斜線部分
は中間輝度部分であり、画像左右の白い部分は肺野であ
って信号強度の大きい部分である。そして、この図３で
点線で囲った領域がゲート回路１１、１２でゲートされ
た領域であるとする（つまり、ここではピーク値検出用
のゲート領域と平均値検出用のゲート領域とが同じ領域
に設定されている）。 【００１４】このゲート領域内の信号強度（電圧で表わ
されている）の分布は図５のようになり、これからピー
ク値４．０Ｖ、平均値０．９Ｖが検出される。そして出
力信号の１００％が２．０Ｖであるとした場合、図６に
示すような入出力変換特性で０〜２．０Ｖの範囲の出力
が得られるように、入出力変換回路１６が制御回路１５
で制御される。つまり、この場合、入力電圧が０〜０．
９Ｖまででは入力電圧と出力電圧とがリニアな関係とな
っていてこの範囲では元の画像のコントラストはそのま
ま出力される。入力電圧の０．９〜４．０Ｖの範囲で
は、輝度レベルは緩やかに圧縮されることになり、ハレ
ーションが防止される。 【００１５】なお、この階調変換回路は、上記の実施例
ではカメラコントロールユニット８に内蔵されるものと
したが、そのすべてあるいは一部はカメラヘッド７や画
像処理装置などに納めるようにしてもよい。 【００１６】 【発明の効果】以上説明したように、この発明のＸ線テ
レビジョン装置によれば、原画像のビデオ信号が持つコ
ントラストを損なうことなく、部分的に過大なビデオ信
号が入力されたとき表示画像に生じるハレーションを抑
えることができ、違和感のない、観察し易いＸ線画像を
つねに表示することができて、診断能率を向上させるこ
とができる。とくに、平均値用ゲート領域はコリメータ
により絞られる領域に対応して定められるので、絞られ
た領域までゲート領域に含まれることにより平均値が下
がり過ぎる不都合が回避されて、実際にコリメータによ
って絞られた画像について最適な表示画像を得ることが
できるなど、コリメータを備えるＸ線テレビジョン装置
において、実際のどのような画像についても、最適な表
示画像を得ることができる。

【図面の簡単な説明】 【図１】この発明の一実施例のブロック図。 【図２】同実施例の階調変換回路を示すブロック図。 【図３】表示された画像を表わす図。 【図４】入出力変換を説明するためのグラフ。 【図５】同実施例における信号強度分布を示すグラフ。 【図６】同実施例の入出力変換特性例を示すグラフ。 【符号の説明】 １ Ｘ線管 ２ コリメータ ３ 被写体 ４ イメージインテンシファイア ５ 光学系 ６ 絞り ７ カメラヘッド ８ カメラコントロールユニット ９ テレビジョンモニター装置 １１、１２ ゲート回路 １３ ピーク値検出回路 １４ 平均値検出回路 １５ 制御回路 １６ 入出力変換回路

Claims (1)

1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項１】 被写体に対してＸ線を照射する手段と、
   該照射Ｘ線を絞るコリメータと、被写体を透過したＸ線
   により被写体についてのＸ線画像信号を得る手段と、該
   Ｘ線画像信号を所定の入出力変換特性にしたがって変換
   して出力する入出力変換手段と、ピーク値用領域として
   定めたピーク値用ゲート領域のＸ線画像信号のみを取り
   出すピーク値用ゲート手段と、上記コリメータにより絞
   られる領域に対応して、上記ピーク値用ゲート領域とは
   別個に定めた、平均値用ゲート領域のＸ線画像信号のみ
   を取り出す平均値用ゲート手段と、上記ピーク値用ゲー
   ト手段により取り出された信号のピーク値を検出するピ
   ーク値検出手段と、上記平均値用ゲート手段により取り
   出された信号の平均値を検出する平均値検出手段と、こ
   の検出された平均値に応じて上記入出力変換特性の変曲
   点を定めるとともに、検出されたピーク値が出力信号範
   囲に収まるよう変曲点より大きな入力信号範囲での変換
   特性の傾きを定める、上記入出力変換手段の制御手段と
   を備えることを特徴とするＸ線テレビジョン装置。