JPH0594575U - シール嵌合部の構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 ［目的］ ハウジングに対し、シールの嵌合部へ段差を
設けて弾性体を強摺接触から守ることにより、弾性体の
せん断を防ぎ良好な密接力をもって長期間強力な密封力
を維持せしめる。 ［構成］ シール（Ａ）における補強環（３）の嵌合周
面に挿入先部（５）が高い段差部（６）を設け、該段差
部（６）の陥没周面（７）にゴム状弾性体（８）を設け
たことを特徴としている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、相互に回転運動する部材間に挿入され、該部材の内部と外部とを密 封するシールに関し、さらに具体的には前記シールが装着される嵌合構造に関す る。

【０００２】

【従来の技術】

従来、回転部に装着されるシールは、弾性体で形成されたシールリップとこれ を補強する金属製の補強環などからなり、これを単数あるいは複数個組合わせて 用いるが、その嵌合部の構造は前記補強環に形成した軸方向の筒状部をハウジン グに嵌入して固定を図っているものが一般的である。

【０００３】 この固定において高い嵌合力が求められる場合には直接金属面同志の嵌合をな さしめるが、そのとき密封力を確保するために、図面によって説明すると図４に 示す実公昭３９−１９５１２号公報のような、補強環（３）の外周面に小径部（ ９）を設け、該小径部（９）に粘弾性可塑材（１０）を配設して該粘弾性可塑材 （１０）の接触圧力で密封力の補助をなす構造が実施されている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、前記のような粘弾性可塑材（１０）を外周に突出させた構造で は、補強環（３）の造形においても該粘弾性可塑材（１０）の成型においても手 間がかかり、さらに致命的なことはこれをハウジング（１）に圧入すると該粘弾 性可塑材（１０）は直接ハウジング（１）に接触してその端面で大部分が切り取 られてしまい、従ってその嵌合面には僅かしか粘弾性可塑材（１０）が残存しな いから十分な密封力を発揮し得ないという欠点がある。 本考案はこのような多くの欠点を除去し、低価格で嵌合力と密封力に優れる密 封材のガスケットを提供することを目的としている。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

本考案を図面を基に説明すると、図１に示すように、ハウジング（１）と軸（ ２）との間にあり、該ハウジング（１）あるいは軸（２）に嵌着されるシール（ Ａ）の嵌合構造であって、前記シール（Ａ）は金属製の補強環（３）と弾性体製 のシール部（４）からなっており、前記シール（Ａ）における補強環（３）の嵌 合周面に挿入先部（５）が高い段差部（６）を設け、該段差部（６）の陥没周面 （７）にゴム状弾性体（８）を設けたことを特徴としている。

【０００６】 ここでの段差部（６）の嵌合周面とゴム状弾性体（８）の周面は、嵌合相手部 材の、ハウジング（１）に嵌合される場合該ハウジング（１）の内周面より大径 であり、軸（２）に嵌合される場合逆に小径に形成する。

【０００７】

【作用】

本考案は上記のような構造をもつて下記に示す作用をなす。 まず、ハウジング（１）及び軸（２）とシール（Ａ）の位置関係において、図 １に示すごとくシール（Ａ）の挿入先部（５）は前記相手部材の嵌合周面よりハ ウジング（１）の場合は大径に軸（２）の場合は小径の何れも強嵌合される径関 係にあり、図２に示すハウジング（１）への嵌入の場合、挿入初期には挿入先部 （５）が縮径されても該挿入先部（５）に続くゴム状弾性体（８）の離れた外径 部分は変化しないので図２のように幾らかの傾斜角度が付き、該ゴム状弾性体（ ８）のある部分はハウジング（１）の端部によって削り取られる。

【０００８】 しかし、前記の如くハウジング（８）へ嵌入状態にある挿入先部（５）は縮径 しており、その後に続く段差部（６）へ配置されたゴム状弾性体（８）はその径 の段差によって該ハウジング（１）の端面に強く接触せずそのせん断力を大幅に 弱めるから多くの質量を陥没周面（７）上に残存させ、この状態を保って嵌着を 完了する。

【０００９】

【実施例】 本考案を実施するに、前記説明ではハウジング（１）へ嵌入する場合を示した が、図３に示すように軸（２）へ嵌合することも実施可能であり、ここでの段差 部（６）の嵌合周面すなわち挿入先部（５）とゴム状弾性体（８）の周面は、軸 （２）の外周面より小径に形成し、その嵌合力を強く得られる位置関係から前記 と同様な挿入嵌合を実施すると正確かつ強固な装着効果と強力な密封効果が得ら れる。

【００１０】

【考案の効果】

本考案によると、シール（Ａ）の嵌合時、ゴム状弾性体（８）はハウジング（ １）あるいは軸（２）に強摺挿入しないので大きなせん断力を受けず剥離あるい は損傷から免れ相手部材に最適な圧接力を働かせ長期間良好な密封をなす。 また、嵌合固定されるのは嵌合形状変化の少ない金属製の補強環（３）である ので正確な位置関係を保った固定が図れ装着誤差による密封性能のバラツキを防 止する。

【００１１】

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案のシールの一実施例を示した断面図であ
る。

【図２】本考案での装着状態を示した断面図である。

【図３】本考案での他の実施例を示した断面図である。

【図４】本考案を用いない従来の構造の部分断面図であ
る。

【００１２】

【符号の説明】

Ａ シール １ ハウジング ２ 軸 ３ 補強環 ４ シール部 ５ 挿入先部 ６ 段差部 ７ 陥没周面 ８ ゴム状弾性体

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ハウジング（１）と軸（２）とを密封す
   る、金属製の補強環（３）と弾性体製のシール部（４）
   からなったシールの嵌合構造であって；前記シール
   （Ａ）における補強環（３）の嵌合周面に挿入先部
   （５）が高い段差部（６）を設け、該段差部（６）の陥
   没周面（７）にゴム状弾性体（８）を設けたことを特徴
   とするシール嵌合部の構造。
2. 【請求項２】 前記挿入先部（５）の嵌合周面とゴム状
   弾性体（８）の周面は、嵌合相手部材の、ハウジング
   （１）に嵌合される場合該ハウジング周面（１）より大
   径であり、軸（２）に嵌合される場合該軸（２）より小
   径に形成したことを特徴とする請求項１記載のシールの
   嵌合構造。