JPH0578998U

JPH0578998U - 増速機内蔵型遠心圧縮機

Info

Publication number: JPH0578998U
Application number: JP2010392U
Authority: JP
Inventors: 信雄安井
Original assignee: Kobe Steel Ltd
Current assignee: Kobe Steel Ltd
Priority date: 1992-04-03
Filing date: 1992-04-03
Publication date: 1993-10-26

Abstract

(57)【要約】【目的】腐食性ガスによるロータの腐食をなくして、
増速機内蔵型遠心圧縮機の信頼性を高め、その保全費を
少なくする。【構成】インペラ８と、その背面の径方向の中心部か
ら、軸シール装置５の蒸気吹込みポートＰ_b位置を超え
て延びる円筒体８ｂとを一体形成し、円筒体８ｂと軸ス
リーブ４との相対する端面間の隙間ｔを、軸シール装置
５の内側に位置させることにより、この隙間ｔの部位は
蒸気吹込みポートＰ_bから吹込まれる蒸気と、空気吹込
みポートＰ_aから吹込まれる空気とによって満たされる
ため、ロータ３が腐食しなくなって腐食に伴うロータ３
の折損の恐れがなくなるので、増速機内蔵型遠心圧縮機
の信頼性が増すと共にその保全費も少なくなる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、特にロータの腐食を少なくするようにした腐食性ガスを圧縮するのに使用する増速機内蔵型遠心圧縮機に関する。

【０００２】

【従来の技術】

周知のように、増速機内蔵型遠心圧縮機（以下、遠心圧縮機という）には、単段もの並びに多段のものが知られているが、例え多段であっても各段の構成はそれぞれ単段と同構成であるため、単段の遠心圧縮機を例として、その全体側面図の図３と、図３のＡ部詳細図の図４とを参照しながらその構成を説明すると、図３において、符号１はギヤケースであって、このギヤケース１により軸受を介してギヤ２ａを有する駆動軸２と、ピニオンギヤ３ａを有するロータ３とが回転自在に支承され、ロータ３は駆動装置（図示省略）により回転される駆動軸２のギヤ２ａにピニオンギヤ３ａが噛合って回転されるように構成されている。

【０００３】また、ロータ３の突出端側には筒条の軸スリーブ４が焼嵌めにより外嵌され、この部位が後述する構成になる軸シール装置５の内側に位置するようにこのロータ３が貫通されると共に、このロータ３の軸シール装置５からの突出端には周知の構成になるインペラ８が焼嵌めにより嵌着されている。勿論、このインペラ８は上記ギヤケース１に固着される圧縮用ケーシング９に内設されている。

【０００４】上記軸シール装置５は、図４に記すように、圧縮用ケーシング９に固着される軸シールハウジング６と、この軸シールハウジング６に内設され、内周に複数条のラビリンス溝を有する軸シールラビリンス７とからなり、さらにこの軸シール装置５には、ロータ３の長手方向に沿って後述するシールガスを供給し、かつ排出する機能を有する３つのポートが設けられている。

【０００５】ところで、腐食性ガスを圧縮する遠心圧縮機の場合には、上記３つのポートのうち、インペラ側のポートはシールガス吹込みポートとしての清浄な蒸気を吹込む蒸気吹込みポートＰ_bであり、軸受側のポートは同じく清浄な空気を吹込む空気吹込みポートＰ_aであり、さらにこれらポートＰ_b，Ｐ_aの中央位置に設けられているポートは、ポートＰ_b，Ｐ_aとから吹込まれた蒸気と空気とからなる混合ガスを吸引・排気するガス排出ポートＰ_cである。

【０００６】従って、遠心圧縮機の運転により、圧縮用ハウジング９側から軸シールラビリンス７と軸スリーブ４との間を通り抜けようとする腐食性ガスは、蒸気吹込みポートＰ_bから軸シールラビリンス７と軸スリーブ４との間に吹込まれる蒸気と、空気吹込みポートＰ_aから吹込まれる空気とによって阻止され、腐食性ガスの遠心圧縮機外への漏洩が防止される。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】

このような遠心圧縮機は、焼嵌めによりロータに軸スリーブやインペラを嵌合する関係上、軸スリーブとインペラの相対する端面の間隔を密着状態にすることができない。つまり、焼嵌めに際してはインペラや軸スリーブを高温にするために熱膨張していて、冷えるにつれてこれらが共に収縮してしまうので、図１に示すように、インペラ８と軸スリーブ４の相対する端面の間に隙間ｔが生じるのを回避することができない。

【０００８】そのため、この隙間ｔに腐食性ガスが進入し、進入した腐食性ガスにロータ３の表面が晒されてしまうのでロータ３が次第に腐食される。このようにして、腐食が進むと応力集中等によってロータ３の折損やインペラ８の破損トラブル等が発生する恐れがあるのみならず、ロータ３の寿命が短くならざるを得ず、遠心圧縮機の信頼性が低くなる他、遠心圧縮機の保全費が嵩むという経済上に係る解決すべき課題があった。

【０００９】勿論、耐腐食性が優れたステンレス鋼でロータ３を製作し得れば上記のような課題は解決される。しかしながら、このロータ３は、この種遠心圧縮機に特有な構造であって、上記したようにピニオンギヤと一体構造であるため、これをステンレス鋼で製造することができず、ロータ３の腐食を回避することができない。なお、腐食性ガスを圧縮する、このような遠心圧縮機のインペラ８や軸シール装置５等は、通常耐腐食性が優れた素材、例えばインペラ８はステンレス鋼で、また軸シール装置５等はステンレス鋼やカーボンで製造されているため、これらには腐食に係る問題は少ない。

【００１０】従って、本考案の目的とするところは、腐食性ガスによるロータの腐食を防止することを可能ならしめる遠心圧縮機を提供するにある。

【００１１】

【課題を解決するための手段】

本考案は、上記実情に鑑みてなされたものであって、従って本考案の遠心圧縮機が採用した主たる手段の特徴とするところは、ギヤに噛合して回動されるピニオンギヤと一体加工され、このピニオンギヤを挟む位置でケーシングに内設した軸受により支承されてなるロータの一端側にインペラが嵌合されると共に、インペラとこのインペラ側の軸受との間に軸シール装置が介装されてなる増速機内蔵型遠心圧縮機において、前記インペラの背面に、前記ロータが貫通され、先端が前記軸シール装置の内側の腐食性ガスが存在し得ない位置まで延びる円筒体の一端を気密可能に固着したところにある。

【００１２】

【作用】

本考案に係る上記構成になる遠心圧縮機によれば、ロータがインペラの背面に気密可能に固着されてなる円筒体で覆われていて、しかもこの円筒体が軸シール装置の内側の腐食性ガスが存在し得ない位置まで延びているので、ロータが遠心圧縮機により圧縮される腐食性ガスに晒されることがない。

【００１３】

【実施例】

以下、本考案の実施例に係る遠心圧縮機を、その主要部を示す断面図の図１を参照しながら、上記従来例と同一のもの並びに同一機能を有するものを同一符号を以て説明する。なお、遠心圧縮機の全体構成は従来例と略同等であって、その相違するところは、ロータの軸シール装置への貫通部付近の構造にあるから、その相違する点についてだけの説明に止める。

【００１４】図に示す符号３はロータで、このロータ３には、従来と同様に、軸スリーブ４が焼嵌めにより外嵌されると共に、後述するインペラ８が同じく焼嵌めにより嵌着されている。上記インペラ８は、その背面の中心部において、内径がロータ３の外径より大きく、かつ外径が軸スリーブの外径と同寸であって、かつ圧縮用ケーシングに固着され、シールハウジング６と軸シールラビリンス７とからなる軸シール装置５のガス排出ポートＰ_cを超えた位置まで延びる円筒体８ａをこのインペラ８と一体的に形成されている。従って、軸シール装置５の軸シールラビリンス７の内側位置において円筒体８ａと軸スリーブ４の相対する端面との間に隙間ｔが形成されるように構成されている。なお、上記軸シールラビリンス７は、例えばカーボンリングであっても良い。

【００１５】以下、上記構成になる遠心圧縮機の作用態様を説明すると、遠心圧縮機の駆動によって腐食性ガスが圧縮されるが、この腐食性ガスはインペラ８側から円筒体８ａと軸シールラビリンス７の間に進入しようとする。しかしながら、円筒体８ａおよび軸スリーブ４と軸シールラビリンス７との間に、軸シール装置５に設けられたインペラ側の蒸気吹込みポートＰ_bからは蒸気が、また反蒸気吹込みポートＰ_b側の空気吹込みポートＰ_aからは空気がそれぞれ吹込まれる。

【００１６】そのため、これらの間に形成される環状空間並びに隙間ｔの間は蒸気と空気とで満たされ、これらの間への腐食性ガスの進入が阻止される。このように、隙間ｔが蒸気と空気とで満たされるため、ロータ３の外周面は腐食性ガスに晒されることがなくなるので、従来のようにロータ３が腐食性ガスによって腐食される恐れがなくなる。

【００１７】次に、本考案の他の実施例に係る遠心圧縮機を、その主要部を示す断面図の図２を参照しながら、上記実施例と構成上相違する点についてだけ以下に説明すると、本実施例は円筒体８ａをインペラ８と別物とし、この円筒体８ａをインペラ８の背面に機械的手段により気密可能に固着したものである。

【００１８】詳しくは、インペラ８と同材質の円筒体８ａの一端側に、径方向の中心を中心とする放射状にボルト用孔を有するフランジ部８ｂを設け、このフランジ部８ｂの外周にシールリング用溝８ｃを周設する一方、インペラ８の背面にフランジ部８ｂの外径に対応する内径を有し、かつ底面に上記ボルト用孔と合致する位置にねじ孔が螺刻されてなる円筒体８ａの取付座８ｅを設けた。なお、シールリング用溝８ｃは、取付座８ｅに相対するフランジ部８ｂの面に設けても良い。

【００１９】そして、シールリング用溝８ｃにシールリング８ｄを嵌着し、ボルト用孔のそれぞれにボルト１０を通すと共に、これらをねじ孔に螺着することにより円筒体８ａをインペラ８に気密可能に固着したものである。図示省略しているが、シールリングによりボルト用孔から、取付座８ｅとフランジ部８ｂの相対する面の間にガスが進入し得ないように配慮されている。

【００２０】この場合、同図から良く理解されるように、円筒体８ａの先端は、軸シール装置５の反インペラ側の端面まで延びる長さに設定されている。なお、この円筒体８ａは上記実施例と同様に、軸シール装置５のガス排出ポートＰ_cを超えた位置まで延びる長さであっても良い。

【００２１】従って、円筒体８ａの内側への腐食性ガスの進入はシールリング８ｄによって阻止され、そして円筒体８ａと軸シールラビリンス７との間に、軸シール装置５に設けられたインペラ側の蒸気吹込みポートＰ_bからは蒸気が、また中央の空気吹込みポートＰ_aからは空気がそれぞれ吹込まれ、これらの間に形成される環状空間が蒸気と空気とで満たされるため、従来のようにロータ３の外周面が腐食性ガスに晒されたりする恐れがない。

【００２２】以上では、軸シール装置５に空気吹込みポートＰ_a，蒸気吹込みポートＰ_b，ガス排出ポートＰ_cとが設けられている例を説明したが、例えば軸シール装置５にシールガス吹込みポートのみが設けられている場合、或いはガス排出ポートのみが設けられている場合に対してこの技術的思想を適用しても、腐食性ガスによるロータ３の腐食防止に対して効果がある。

【００２３】

【考案の効果】

以上詳述したように、本考案に係る遠心圧縮機によれば、ロータがインペラの背面に気密可能に固着した、軸シール装置の内側の腐食性ガスが存在し得ない位置まで延びる円筒体によって覆われているので、腐食性ガスによってロータが腐食されることがなくなり、従来のように腐食によるロータの折損やインペラの破損トラブル等の発生の恐れがなくなるため、遠心圧縮機の信頼性の向上と、その保全費の軽減とに対して多大な効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例に係る遠心圧縮機の主要部を示
す断面図である。

【図２】本考案の他の実施例に係る遠心圧縮機の主要部
を示す断面図である。

【図３】従来例に係る単段の遠心圧縮機の全体側面図で
ある。

【図４】図３のＡ部詳細図である。

【符号の説明】

１…ギヤケース２…駆動軸、２ａ…ギヤ３…ロータ、３ａ…ピニオンギヤ４…軸スリーブ５…軸シール装置６…シールハウジング７…軸シールラビリンス８…インペラ、８ａ…円筒体、８ｂ…フランジ部、８ｃ
…シールリング用溝、８ｄ…シールリング、８ｅ…取付
座９…圧縮用ケーシング１０…ボルトＰ_a…空気吹込みポートＰ_b…蒸気吹込みポートＰ_c…ガス排出ポート

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】ギヤに噛合して回動されるピニオンギヤ
と一体加工され、このピニオンギヤを挟む位置でケーシ
ングに内設した軸受により支承されてなるロータの一端
側にインペラが嵌着されると共に、インペラとこのイン
ペラ側の軸受との間に軸シール装置が介装されてなる増
速機内蔵型遠心圧縮機において、前記インペラの背面
に、前記ロータが貫通され、先端が前記軸シール装置の
内側の腐食性ガスが存在し得ない位置まで延びる円筒体
の一端を気密可能に固着したことを特徴とする増速機内
蔵型遠心圧縮機。