JPH0575608U - 形状検出装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ストリップのたてじわの発生を防止すること
のできる形状検出装置を提供する。 【構成】 固定軸１の外周に、軸線方向に対して複数に
分割された回転リング２、２…が遊嵌され、該回転リン
グ２、２…と固定軸との間の隙間に空気軸受３が形成さ
れた形状検出装置Ａにおいて、前記固定軸１に、該固定
軸１を加熱する加熱手段４が設けられるとともに、固定
軸１の両端に、該固定軸１を一定方向に湾曲せしめる曲
げ手段５が設けられている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、圧延材等のストリップの形状を検出するための形状検出装置に関す る。

【０００２】

【従来の技術】

金属板等を圧延してストリップを形成する際、このストリップの幅方向の張力 分布を測定し、該張力分布をもとにストリップの形状を検出し、ストリップの断 面形状が良好になるよう制御することが、従来から行なわれている。

【０００３】 形状検出装置には、従来例えば、固定軸の外周に、軸線方向に対して複数に分 割された回転リングを遊嵌し、該回転リングと固定軸との間の隙間に圧縮空気を 供給して空気軸受を形成せしめたものがある。この形状検出装置によれば、空気 軸受の隙間の変化を圧力変化として検出し、該圧力変化からストリップの形状を 検出することができる。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

ところが、従来の形状検出装置にあっては、通常、空気軸受にドライエアを供 給するため、このドライエアにより固定軸ひいては回転リングが過冷却される。 一方、圧延されて走行してくるストリップは、加熱状態となっている。よって、 このストリップが形状検出装置の回転リングに接触した際、急激な温度変化によ り収縮を起こし、ストリップにたてじわが発生する。

【０００５】 このようなたてじわの発生を防止する一つの手段として、圧延時の圧延張力を 高めることが挙げられる。ところが、圧延張力を高めると、圧延中のストリップ の破断を招き、生産性が低下するという問題がある。

【０００６】 また、たてじわ発生を防止する他の手段として、形状検出装置を、表面にクラ ウンを付けた形状とし、これによって、ストリップに加わる張力の大きさを、幅 方向の各部分において変化させ、たてじわ発生を抑止することが考えられる。こ の方法は、従来から使用されている一体型ロールにおいて、すでに適用されてい る。 しかしながら、形状検出装置は、その表面が複数に分割された回転リングから 成るために、クラウンを付けた形状とすることは、製造上極めて困難である。

【０００７】 本考案は、このような事情に鑑みてなされたものであって、ストリップのたて じわの発生を防止することのできる形状検出装置を提供することを目的としてい る。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

本考案に係る形状検出装置にあっては、固定軸の外周に、軸線方向に対して複 数に分割された回転リングを遊嵌し、該回転リングと固定軸との間の隙間に空気 軸受を形成した形状検出装置において、前記固定軸に、該固定軸を加熱する加熱 手段を設けるとともに、固定軸の両端に、該固定軸を一定方向に湾曲せしめる曲 げ手段を設けたことで、前記課題を解決するようにした。

【０００９】

【作用】

本考案によれば、固定軸に設けられた加熱手段により、固定軸ひいては回転リ ングを加熱し、該回転リングの温度を、圧延されて走行してくるストリップの温 度に近い温度にまで高めることができる。これによって、ストリップが回転リン グに接触した際の、温度変化に基づく収縮を防止できる。 また、固定軸の両端に設けられた曲げ手段により、固定軸を一定方向に湾曲さ せることで、この形状検出装置の表面形状を、クラウンを付けた形状に類似させ ることができる。これにより、ストリップに加わる張力を、その幅方向の各部分 において変化させることができ、たてじわの発生を抑止できる。

【００１０】

【実施例】 以下、本考案に係る形状検出装置の一実施例を、図１ないし図３を参照して説 明する。

【００１１】 図中符号Ａは形状検出装置、符号Ｂは圧延材等のストリップである。ストリッ プＢは、圧延時には、形状検出装置Ａの上方に所定の角度で巻掛けられている。

【００１２】 形状検出装置Ａは、固定軸１、複数の回転リング２、２…、空気軸受３、加熱 手段４、および曲げ手段５、５を、主要構成要件として具備している。

【００１３】 固定軸１は、形状検出装置Ａの軸棒となるもので、両端を所定の手段により支 持されている。

【００１４】 回転リング２、２…は、前記固定軸１の外周に回転自在に遊嵌されるリング状 のもので、複数個が、固定軸１の軸線方向に沿って互いに密接状態に遊嵌されて いる。各回転リング２には、それぞれ圧力検出器（図示略）が接続され、後述の 空気軸受３の圧力変化を各回転リング２、２…毎に測定できるようになっている 。

【００１５】 空気軸受３は、固定軸１と回転リング２、２…との間に形成された隙間に圧縮 空気を供給することによって形成されるもので、固定軸１に穿設された空気供給 孔（図示略）からこの空気軸受３に圧縮空気が供給される。

【００１６】 加熱手段４は、固定軸１に、その軸線方向に沿って穿設された多数の貫通孔６ 、６…と、これら各貫通孔６、６…を連通せしめる接続手段７と、該貫通孔６、 ６…に加熱媒体を供給し、かつ該貫通孔６、６…を通った加熱媒体を外部へ排出 せしめる加熱媒体供給装置８とから成る。

【００１７】 曲げ手段５は、前記固定軸１の両端に備え付けられ、固定軸を湾曲すべき方向 と反対方向より該固定軸１を支持する支軸９と、この支軸９の外側に設置されて 、固定軸を湾曲すべき方向と同方向より該固定軸１に押圧力を付加する曲げボル ト１０とを具備する。

【００１８】 次に、本実施例の形状検出装置Ａの作用について説明する。

【００１９】 圧延時には、固定軸１と回転リング２、２…との間の隙間に圧縮空気が供給さ れて、空気軸受３が形成され、該空気軸受３により支持された回転リング２、２ …は、圧延されて走行してきたストリップＢにより回転せしめられる。ストリッ プＢにより回転リング２、２…に加えられる荷重は、空気軸受３の圧力変化とし て、各回転リング２、２…毎に、圧力検出器（図示略）により検出される。この 検出値をもとにストリップＢの幅方向の張力分布、ひいてはストリップＢの形状 が検出される。

【００２０】 ここで、固定軸１の貫通孔６、６…には、加熱媒体供給装置８より供給される 加熱媒体が流通せしめられて、固定軸１から空気軸受３を経た熱によって回転リ ング２、２…が加熱される。その結果、圧延によって加熱状態となったストリッ プＢとの間の温度差が解消されるので、ストリップＢの急激な温度変化に基づく 収縮が防止される。

【００２１】 また、曲げボルト１０、１０を締めることにより、固定軸１は、両端の支軸９ 、９を中心に、ストリップＢの方向へ凸状態に湾曲せしめられる。これに伴って 、回転リング２、２…の表面は、クラウンを付けた形状のものと類似の形状に変 化する。その結果、ストリップＢには、その幅方向の中心付近と両端付近とで異 なる張力が付加されることとなる。

【００２２】 このように、形状検出装置Ａを加熱したことにより、また形状検出装置Ａを湾 曲せしめたことにより、ストリップＢのたてじわ発生は防止されるので、形状検 出装置Ａを通過する際にも、ストリップＢの良好な形状が維持される。

【００２３】 また、このようにしてストリップＢのたてじわ発生を防止できることから、圧 延時の圧延張力を高める必要がない。したがって、ストリップＢの破断が発生せ ず、生産性の低下を招かずにすむ。

【００２４】 また、形状検出装置Ａの表面にクラウンを付ける方法に比べて、製造が簡単で あるため、コスト安につき、実用的である。

【００２５】 なお、本考案は前述の実施例にのみ限定されるものではなく、例えば加熱手段 ４の具体的構成や、曲げ手段５の具体的構成など、本考案の要旨を逸脱しない範 囲内において種々の変更を加え得ることはもちろんである。

【００２６】

【考案の効果】

以上説明したように、本考案に係る形状検出装置にあっては、加熱手段を設け たことと、曲げ手段を設けたことが、それぞれ、ストリップのたてじわ発生の防 止に効果を奏するので、ストリップは形状検出装置を通過する際にも良好な形状 を維持できる。このため、圧延時の圧延張力を高める必要がなく、ストリップの 破断等を招かずにすむし、また、形状検出装置の表面にクラウンを付ける方法に 比べて、製造が簡単で、実用的である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の形状検出装置の一実施例を示す正面図
である。

【図２】図１の形状検出装置の正断面図である。

【図３】図１の形状検出装置の側断面図である。

【符号の説明】

Ａ 形状検出装置 Ｂ ストリップ １ 固定軸 ２ 回転リング ３ 空気軸受 ４ 加熱手段 ５ 曲げ手段

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 固定軸の外周に、軸線方向に対して複数
   に分割された回転リングが遊嵌され、該回転リングと固
   定軸との間の隙間に空気軸受が形成された形状検出装置
   において、前記固定軸に、該固定軸を加熱する加熱手段
   が設けられるとともに、固定軸の両端に、該固定軸を一
   定方向に湾曲せしめる曲げ手段が設けられていることを
   特徴とする形状検出装置。