JPH0338505Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案はフオイル軸受に関し、特に、フオイ
ル軸受の可撓性金属薄膜の軸方向両側端縁と対応
する位置の回転軸の外周面に、軸受すきまへ隣接
する回転軸の大径部より小径の小径部を設けるこ
とにより、回転軸の高速回転時における金属薄膜
と回転軸との接触を防止するようにしたものであ
る。

〔従来の技術〕

従来、ラジアル気体軸受としては、フオイル軸
受が知られているが、このフオイル軸受は、回転
軸の周りをアルミ、ステンレス鋼等の可撓性金属
薄箔からなる薄膜で包囲して、回転軸との間の軸
受すきまに発生する気体膜圧力によつて、回転軸
を支持する構造となつている。

このフオイル軸受は、回転軸が高速回転した場
合でも、金属薄膜と回転軸との間の軸受すきまが
一定に保たれ、両者の間に完全な非接触状態を保
持することが、必要不可決の要件とされている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかし、フオイル軸受の金属薄膜は、製作工程
においてその軸方向幅の全面を均一な平滑面に仕
上げることが困難であるため、軸方向両側端縁に
余剰な部分（バリ）が形成されたり、あるいは、
反りや波打ち等の成形不良部分が生じやすく、こ
のような金属薄膜を使用したフオイル軸受では、
回転軸が高速回転すると、金属薄膜の軸方向両側
端縁が回転軸に接触することになり、金属薄膜の
全面にわたつて非接触状態を保持することができ
ないという問題がある。

また、フオイル軸受の金属薄膜と回転軸との間
の軸受すきまに形成される気体膜圧力の特性とし
て、軸受荷重が小さく、軸受すきまが大きい場合
には、軸方向圧力分布が比較的なだらかな円錐曲
線となるため、金属薄膜の軸方向幅の中央位置に
おいても大きな圧力が発生することはないが、こ
れに反して、軸受すきまの小さいフオイル軸受に
大きな荷重が作用する場合には、気体膜の軸方向
圧力分布が曲率の大きい円錐曲線となるため、金
属薄膜の軸方向幅の中央位置には、大きな圧力が
発生することになる。

このように、フオイル軸受の軸受すきまを小さ
くして、金属薄膜の軸方向幅の中央部分が大きな
気体膜圧力を受けて半径方向外側に湾曲変形する
ときには、金属薄膜の軸方向両側端縁が回転軸に
接触するという問題がある。

〔考案の目的〕

この考案は、上記の問題を解決するためになさ
れたものであり、その目的は、金属薄膜の製作
上、および気体膜圧力の特性に起因する金属薄膜
と回転軸との接触を防止することにあり、また、
その目的は、高速回転用気体軸受として好適なフ
オイル軸受を提供することにある。

〔問題点を解決するための手段〕

この考案は、例えば、図示する実施例のよう
に、回転軸１０の周りを可撓性金属薄膜１２によ
り包囲し、金属薄膜１２と回転軸１０との間の軸
受すきま４０に形成される気体膜によつて回転軸
１０を支持するフオイル軸受において、前記金属
薄膜１２の軸方向両側端縁２０と対応する位置の
回転軸１０の外周面に、軸受すきま４０へ隣接す
る回転軸の大径部２３より小径の小径部２２，２
５を設けたことを特徴とするフオイル軸受に係
る。

〔作用〕

このような手段によつて、金属薄膜１２の軸方
向両側端縁２０に製作工程に起因する成形不良部
分が生じている場合や、軸受すきま４０の気体膜
圧力分布特性に起因して金属薄膜１２が湾曲変形
した場合でも、小径部２２，２５によつて金属薄
膜１２の軸方向両側端縁２０と回転軸１０との接
触を防止することができる。

〔実施例〕

以下に、この考案の実施例について、図面を参
照して説明する。

第１図は、この考案を張力型フオイル軸受に適
用した実施例である。同図において、符号１０は
回転軸を、１２は可撓性の金属薄膜をそれぞれ示
し、単一枚の金属薄膜１２を、軸方向に平行な２
個のガイドピン１５と１個の支持ピン１６とから
なる第１ガイド部材１７および第２ガイド部材１
８の周りに巻回して、回転軸１０周りを包囲し、
金属薄膜１２の両端部１３，１４を第３ガイド部
材１９のガイドピン１５の間に重ね合わせて通し
て、図示しない緊張装置により張力をかけた状態
で固定してある。

上記の回転軸１０の外周面には、金属薄膜１２
の軸方向両側端縁２０に対応する位置に、軸受す
きま４０へ隣接する回転軸の大径部２３より小径
の小径部２２が細幅の環状溝として円周方向に設
けてある。この小径部２２は、金属薄膜１２の軸
方向両側端縁２０を中心として、それぞれ左右両
側に適宜の幅を有するように設定する。

このように構成すると、回転軸１０の小径部２
２が、回転軸１０に対する金属薄膜１２の接触回
避部３０となり、金属薄膜１２の軸方向両側端縁
２０に、バリ、あるいは反り、波打ち等の成形不
良部分が生じていた場合でも、これらの成形不良
部分は、回転軸１０の小径部２２の中に位置して
いるため、回転軸１０と接触することはない。

また、金属薄膜１２と回転軸１０との間の軸受
すきま４０が小さく、大きな荷重が作用した場合
には、軸受すきま４０に成形される気体膜の軸方
向圧力分布は、第２図に示すように、曲率の大き
な円錐曲線Ａとなるが、この気体膜圧力の影響を
受けて金属薄膜１２が半径方向外側に湾曲し、前
記軸方向両側端縁２０が回転軸１０に近接した状
態となつても、前記軸方向両側端縁２０は回転軸
１０の小径部２２の中に入り込むから、回転軸１
０と接触することはない。

第３図は、この考案の他の実施例を示してお
り、金属薄膜１２の軸方向両側端縁２０に対応す
る位置の回転軸１０の外周面を、軸受すきま４０
へ隣接する大径部２３よりも小さな直径の小径部
２５に成形している。この小径部２５は、軸方向
外方へ向かつて円筒状であつて回転軸１０に対す
る金属薄膜１２の接触回避部３０である。大径部
２３から小径部２５に移る段面は、金属薄膜１２
の軸方向両側端縁２０よりもやや軸方向内側の位
置として、大径部２３の軸方向幅を金属薄膜１２
の軸方向幅よりも短い長さとする。

第４図は、参考例であり、回転軸１０に対する
金属薄膜１２の接触回避部３０を金属薄膜１２に
設けた場合を示す。

金属薄膜１２の軸方向両側端縁２０を半径方向
外側に向かつて大径となるように拡開して、円錐
部２１を形成している。

前記各実施例は、何れもこの考案を張力型フオ
イル軸受に適用した場合について説明したが、こ
の考案は、張力型のフオイル軸受に限らず、多葉
型、ハイドレシル型、多重環型等のフオイル軸受
についても同様に適用することができる。

〔考案の効果〕

以上説明したように、この考案によれば、金属
薄膜の全面にわたつて、回転軸との間に完全な非
接触状態が保持されることになり、高速回転用気
体軸受として最も好適なフオイル軸受が得られ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は、この考案の実施例を示す斜視図、第
２図は、気体膜の軸方向圧力分布を示す断面図、
第３図は、この考案の他の実施例を気体膜の軸方
向圧力分布と併せて示す断面図、第４図は、参考
例を示す断面図である。 図中、１０は回転軸、１２は金属薄膜、２０は
金属薄膜の軸方向両側端縁、２２，２５は小径
部、４０は軸受すきまである。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 回転軸の周りを可撓性金属薄膜により包囲
   し、金属薄膜と回転軸との間の軸受すきまに形
   成される気体膜によつて回転軸を支持するフオ
   イル軸受において、前記金属薄膜の軸方向両側
   端縁と対応する位置の回転軸の外周面に、軸受
   すきまへ隣接する回転軸の大径部より小径の小
   径部を設けたことを特徴とするフオイル軸受。 (2) 小径部が、金属薄膜の軸方向両側端縁と対応
   する位置の回転軸の外周面に、円周方向に形成
   された環状溝である実用新案登録請求の範囲第
   １項記載のフオイル軸受。