JPH0572803B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、脚台に対して座部を回転可能として
なる回転椅子の改良に係わり、更に詳しくは座部
をどの回転角度からも自動的に始状態に復元し得
る回転椅子に関する。

〔従来の技術〕

従来の回転椅子は、脚台に立設した軸筒に支軸
を回転可能または回転不能に垂設し、該支軸に座
部を回転不能又は回転可能に連設して前記脚台に
対して回転可能となしたもので、着座者が座部か
ら離れる場合、該座部を回転させて着座者の足を
机等の足入れ空間から側方に向けた状態で立ち上
がるが、座部は側方へ向いた状態をそのまま保つ
ので、特に多数の椅子が配列されている会議室等
では背凭れが机等に対して乱雑な方向へ向き、外
観性を悪くする原因となつていた。それに対し
て、脚台の内部又は該脚台に立設した軸筒内にス
プリングを配し、前記支軸を常に始状態に戻る方
向に弾性付勢した構造の復元装置を内蔵した回転
椅子が提供されているが、何れも構造が複雑組立
て工程が多くなつて製造コストの上昇につながる
ものであり、また複雑な機構を有するので経年変
化により故障が発生したり、また摺動部の摩耗等
により座部がスムースに回動しなくなるばかりで
なく、完全に始状態に復元しなくなる恐れがあつ
た。

〔発明が解決しようとする問題点〕

本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとする
ところは、座部をどの回転角度の状態で静置した
場合でも予め設定した方向に自動的に復元するこ
とができ、しかも復元機構が簡単で且つ構造的に
強固であり、更に通常の回転椅子と比較してコス
トの上昇を最小限に抑制できる回転椅子を提供す
る点にある。

〔問題点を解決する為の手段〕

本発明は、前述の問題解決の為に、床又は脚台
に垂設した軸筒に、支軸を回転可能に設け且つ該
支軸の上端に座板及び背凭れ有する座部を回転可
能又は回転不能に連設した回転椅子、又は支軸を
回転不能に設け且つ該支軸の上端に前記座部を回
転可能に連設した回転椅子であつて、前記軸筒に
対して支軸を斜設するとともに、前記座部の重心
位置を前記支軸に対して偏心させた位置に設定し
てなる回転椅子を構成した。

〔作用〕

以上の如き内容からなる本発明の回転椅子は、
床又は脚台に垂設した軸筒の軸線即ち鉛直線に対
して傾斜した支軸の軸線を中心として座部を自由
に回転させると、該支軸に対して偏心した位置に
座部の重心を設定したことにより、該座部はその
位置エネルギーを最小にする方向に重心を移動さ
せ、即ち支軸の傾斜した方向に座部の重心が位置
するように回転し、その状態で座部は静止するも
のである。

〔実施例〕

次に添付図面に示した実施例に基づき更に本発
明の詳細を説明する。

第１図は本発明の回転椅子を示し、第２図は代
表的実施例の要部を示し、図中１は脚台、２は軸
筒、３は座部、４は支軸をそれぞれ示している。
本発明の回転椅子は、脚台１に垂設した軸筒２
に、座部３を連設する支軸４を傾斜させて取付
け、該座部３を前記脚台１に対して支軸４の軸線
ａを中心として回転可能となすとともに、該座部
の重心点Ｇを前記支軸４から偏心させた位置に設
定したものである。

更に詳しくは、前記軸筒２の内部に下部軸受５
を固定するとともに、上端には上部軸受６を固定
し、それぞれの軸受５，６には該軸筒２の軸線ｂ
から偏心した位置にベアリング７，８を装着し、
該上下のベアリング７，８にて前記支軸４を傾斜
させて回転可能に支持するとともに、該軸筒２内
で前記下部軸受５の下方に固定した底蓋９を固定
し、前記支軸４の下端中心に形成した凹部１０と
該凹部１０と対応する底蓋９の位置に形成した凹
部１１間に鋼球１２を介在させて、該支軸４の下
方移動を規制するとともにスムーズに回転支持
し、そして該支軸４の前記軸筒２から突出した上
端には、座板１３及び背凭れ１４を有する前記座
部３の下面に固定した取付体１５を回動不能とな
して固定している。

また、他の実施例として第３図に示したもの
は、前記同様に脚台１に垂設した軸筒２の上端
に、上部に支軸４を傾斜させて一体連結した取付
筒１６を嵌合又はビス止め等の適宜手段により回
動不能となして連結し、また前記座部３の下面に
固定した取体１５の略中央部に、中心に前記支軸
４を挿通する円孔１７を形成し且つ下面周囲にス
ラストベアリング１８を設けた支軸受け１９をフ
ランジを周囲に形成した円筒の補強環２０で支持
して固定し、該支軸受け１９のスラストベアリン
グ１８を前記取付筒１６の上端を閉塞した当止板
２１の上面で前記支軸４の周囲に位置させるとと
もに、該支軸４を前記円孔１７に挿通し、該円孔
１７から突出した支軸４の先端部にＥリング２２
を嵌合して抜け止め装着し、もつて前記軸筒２に
回動不能となして斜設した支軸４に対して座部３
を回転可能に連設している。

尚、前記座部３の重心点Ｇを前記支軸４から偏
心させた位置に設定できれば、前記座部３の座板
１３は、前記支軸４の軸線ａに対して略直角とな
して連設することも、また前記軸筒２の軸線ｂに
対して略直角となして連設することもでき、その
取付角度は適宜設定できるものである。

しかして、本発明の回転椅子は、床又は脚台１
に垂設した軸筒２の軸線ｂに対する座部３を回動
可能となして連設する支軸４の軸線ａの角度θを
所定角度に設定し且つ前記座部３の重心点Ｇを前
記支軸４から偏心した位置に設定したので、前記
座部３を該支軸４の軸線ａを中心として自由に回
動させれば、前記重心点Ｇが支軸４の傾斜方向に
位置する状態に常に座部３は自動的に戻り、この
状態を始状態に設定することにより、即ち前記背
凭れ１４を机等に沿つて略平行となした状態に設
定することにより、着座者が椅子から離れる場
合、該座部３を所定角度回転させて、机等の足入
れ空間から足を側方へ出して立ち上がり、該座部
３に加わる回転力を解除すれば、該座部３の重心
点Ｇは前記支軸４の傾斜した方向に回転移動し、
前記背凭れ１４が常に机等の前縁と略平行に復元
するのである。

〔発明の効果〕

以上にしてなる本発明の回転椅子によれば、床
又は脚台に垂設した軸筒に、支軸を回転可能に設
け且つ該支軸の上端に座板及び背凭れを有する座
部を回転可能又は回転不能に連設した回転椅子、
又は支軸を回転不能に設け且つ該支軸の上端に前
記座部を回転可能に連設した回転椅子であつて、
前記軸筒に対して支軸を斜設するとともに、前記
座部の重心位置を前記支軸に対して偏心させた位
置に設定してなるので、座部を任意の角度に回転
して静置しても、常に座部は始状態、即ち前記支
軸の傾斜方向と該座部の重心点が一致する状態に
自動的に復元することができ、またその構造は床
又は脚台に垂設した軸筒に対して座板及び背凭れ
を有する座部を回転可能に連設する支軸を傾斜さ
せて取付けるといつた簡単な構造であるので、部
品点数が少なくしかも従来の回転椅子と比較して
も単に支軸を斜設する工程のみが増えただけであ
るので略同一の製造工程でよく、その為コストの
上昇を最小限に抑制することができ、加えて構造
が簡潔で強固に構成できることから、耐久性が高
く且つ経年変化の全くないものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の回転椅子の全体斜視図、第２
図は第１実施例を示す要部の縦断面図、第３図は
第２実施例を示す要部の縦断面図である。 １：脚台、２：軸筒、３：座部、４：支軸、
５：下部軸受、６：上部軸受、７：ベアリング、
８：ベアリング、９：底蓋、１０：凹部、１１：
凹部、１２：鋼球、１３：座板、１４：背凭れ、
１５：取付体、１６：取付筒、１７：円孔、１
８：スラストベアリング、１９：支軸受け、２
０：補強環、２１：当止板、２２：Ｅリング。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 床又は脚台に垂設した軸筒に、支軸を回転可
   能に設け且つ該支軸の上端に座板及び背凭れを有
   する座部を回転可能又は回転不能に連設した回転
   椅子、又は支軸を回転不能に設け且つ該支軸の上
   端に前記座部を回転可能に連接した回転椅子であ
   つて、前記軸筒に対して支軸を斜設するととも
   に、前記座部の重心位置を前記支軸に対して偏心
   させた位置に設定してなることを特徴とする回転
   椅子。 ２ 前記座部の重心位置を、前記支軸に対して後
   方の背凭れ側に設定してなる特許請求の範囲第１
   項記載の回転椅子。