JP2565792Y2 - 椅子の座支持装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、主に劇場や公会堂等の
公共施設に設置利用される椅子の座支持装置に関し、特
に着座者が離席すると座が自動的に起立する座跳ね上げ
式の椅子の座支持装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】この種の座跳ね上げ式の椅子では、座を
起倒回動可能に支持するシャフトと、その座の回動範囲
を規制するストッパ部材と、座を自動起立せしめるねじ
りコイルばね等の跳ね上げ部材などからなる座支持装置
を備えて構成されている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】ところで、前述した従
来の座跳ね上げ式の椅子においては、ストッパ部材や跳
ね上げ部材等の座支持装置の各構成部材を座の内部にレ
イアウトして納めることから、設計上どうしても座の厚
みが大きくなってしまう。また座を薄形にして、その座
の下側に前述した座支持装置をセットすると、その各構
成部材が座起立時に丸見えで体裁が悪い。しかも座支持
装置の各構成部材を座の取付けの際に組付けて行くの
で、その座組付け作業が面倒であった。

【０００４】本考案は前記事情に鑑みなされ、その目的
とするところは、座跳ね上げ支持構成部材をユニットと
してまとめて座の左右外側部に簡単に配置できて、座を
非常にスムーズに起倒回動可能に支持できると共に、座
の薄形化が図れ、しかも座跳ね上げ支持構成部材のユニ
ット化により、座跳ね上げ用ばねや軸受などが外部から
丸見えとなることがなく、薄形でスッキリしたデザイン
の椅子が得られると共に、座の組付け作業が非常に簡便
となる椅子の座支持装置を提供することにある。 ま
た、本考案は枢軸を傾けて回転可能に支承できて、円形
配置の連結椅子に具合良く適用でき椅子の座支持装置を
提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本考案の椅子の座支持装
置は、前記目的を達成するために、座支持アームと、こ
の座支持アームから互いに離間して各々外側方に突設し
た枢軸並びにストッパと、その枢軸を回転自在に支承す
る軸受並びに枢軸を介し座支持アームを起立方向に常時
回動付勢する座跳ね上げ用ばねを内蔵すると共に前記枢
軸を中心としたストッパの回動を所定範囲内に規制する
回動規制凹部を有した矩形筒状のアーム受けベースとを
備えてなる左右一対の座支持ユニットを構成し、この左
右の座支持ユニットのアーム受けベースを椅子の左右支
持体に取付けると共に、それら左右の座支持ユニットの
座支持アームに座の両側部を支持させたことを特徴とす
る。また、前記本考案の椅子の座支持装置において、軸
受として球面軸受を用いたことを特徴とする。

【０００６】

【作用】前述の椅子の座支持装置によれば、座支持アー
ム、枢軸、ストッパ、軸受、座跳ね上げ用ばね、回動規
制凹部を有した矩形筒状のアーム受けベースと言った座
跳ね上げ支持構成部材を一つにまとめて座支持ユニット
とし、この座支持ユニットを椅子の左右支持体に取付け
ると共に、それら左右の座支持ユニットの座支持アーム
に座の両側を支持させる構成であるので、座の内部に座
跳ね上げ支持構成部材をレイアウトして納める必要がな
く、座を薄形に設計できるようになると共に、座跳ね上
げ支持構成部材のユニット化により、あまり体裁が良く
ない枢軸やストッパや軸受や座跳ね上げ用ばねなどが外
部から丸見えとなることがなく、体裁の良い座支持アー
ムとアーム受けベースのみが見える程度で、薄形でスッ
キリしたデザインの椅子が得られるようになる。また座
跳ね上げ支持構成部材をまとめた左右の座支持ユニット
により座を支持するので、その座の組み付け作業が非常
に簡便となると共に、枢軸が軸受に支承されていること
で座の起倒回動が非常にスムーズにできるようになる。
また、軸受として球面軸受を用いることで、枢軸を傾け
て回転可能に支承することができるので、円形配置の連
結椅子に具合良く適用できるようになる。

【０００７】

【実施例】以下、本考案の椅子の座支持装置の一実施例
を図面により説明する。まず、図５及び図６は連結椅子
を示すもので、椅子の左右支持体として等間隔を存して
複数の支脚１が下端の脚ベース２を介し床面Ａ上に立設
されている。これら支脚１…はのそれぞれ前後２本のパ
イプフレーム１ａを折曲結合したもので、上部に肘掛け
３が連設されている。これら支脚１…の各相互間に座４
と背凭れ５とが取付けられて各々一人ずつ着席できる座
席を構成している。

【０００８】これら座４と背凭れ５とは、それぞれ裏板
４ａ，５ａの表面にクッション体４ｂ，５ｂを重合した
薄形のものである。その座４は左右の支脚１，１の上部
寄りに設けた取付板６に本考案の座支持装置の左右一対
の座支持ユニット７，７を介して起倒回動可能に取付け
支持されている。一方前記背凭れ５は左右の支脚１，１
の上部後側フレーム部に裏面板５ａ両側部を金具等によ
り直接結合して取付け固定されている。

【０００９】ここで、前記座４を支持する座支持装置の
左右の座支持ユニット７は互いに左右対称をなす構成で
ある。その右側（椅子正面から見て）の座支持ユニット
７を図１乃至図４により説明すると、この座支持ユニッ
ト７は、座支持アーム８と、そのアーム受けベース９と
を主体となし、これに枢軸１０と、ストッパ１１と、軸
受１２と、座跳ね上げ用ばね１３などを装着した構成で
ある。

【００１０】前記座支持アーム８は、前後に長尺な座支
持板部８ａと、この略後半部の外側縁から折曲した垂下
板部８ｂとを有した形態である。この座支持アーム８の
座支持板部８ａの前後端に座止め付け穴８ｃが形成され
ている。また垂下板部８ｂの外側面に補強板８ｄが接合
されている。この垂下板部８ｂの略中央には前記枢軸１
０が内側から補強板８ｄをも貫通して外側方に向け突設
されている。この枢軸１０は段付きボルトで、螺子部先
端にばね受け溝１０ａが形成されている。またその垂下
板部８ｂの枢軸より斜め後方下部に離間した箇所に前記
ストッパ１１が該枢軸１０と平行に内側から補強板８ｄ
をも貫通して外側方に突設されている。このストッパ１
１は比較的太い短尺なピン形状で、外周面にゴム製等の
緩衝防音部材１１ａが被嵌されている。

【００１１】前記アーム受けベース９は、側面ややだる
ま形状をなす矩形筒状のアルミダイキャスト製品で、外
側端にボルト穴付き取付フランジ９ａを一体に有してい
る。このアーム受けベース９には略上半部中央にこの内
側端から外端側に貫通して段付き円形穴９ｂが形成され
ていると共に、その下側に該段付き円形穴９ｂの軸線を
中心とする円弧状の横穴的な回動規制凹部９ｃが内端側
に開口する状態に形成されている。なお、この回動規制
凹部９ｃ内の後端面には補強板１４が嵌め込まれて小ね
じ１５により止め付けられていると共に、逆に前端側に
は段付きナットを用いた回動範囲調整用部材１６が十字
穴付きなべ小ねじ１７により止め付けられている。

【００１２】このアーム受けベース９の段付き円形穴９
ｂ内に、この内端側から前記軸受１２が嵌め込まれ、更
にその内端側から該軸受１２を押さえ付けて位置決め保
持するカバー１８が嵌め込まれて複数本の皿頭小ねじ１
９により固定されている。なおその軸受１２は球面軸受
が用いられている。また前記カバー１８は中央に軸挿通
穴１８ａが形成されていると共に、周辺に複数のばね受
け***１８ｂ…が形成されている。また前記段付き円形
穴９ｂ内に逆に外端側からねじりコイルばねである前記
座跳ね上げ用ばね１３が挿入されている。この座跳ね上
げ用ばね１３の内端延出部１３ａが前記カバー１８の複
数のばね受け***１８ａ…のいずれかに選択的に差し込
まれて係止されている。

【００１３】こうしたアーム受けベース９の内端側に前
記座支持アーム８が組み付けられている。つまり、座支
持アーム８から突設した枢軸１０がカバー１８の軸挿通
穴１８ａを介してアーム受けベース９内の軸受１２に回
転自在に支承されるように貫通せしめられ、この枢軸１
０に外端側からスペーサ２０を介しＵナット２１が螺合
締付けされている。また座支持アーム８から突設したス
トッパ１１がアーム受けベース９の回動規制凹部９ｃ内
に挿入されている。これでアーム受けベース９に対し座
支持アーム８が枢軸１０を介し起倒方向に回動可能に支
持されていると共に、その起倒方向の回動がストッパ１
１と回動規制凹部９ｃとにより所定範囲内に規制されて
いる。

【００１４】また、前記アーム受けベース９内の座跳ね
上げ用ばね１３の外端延出部１３ｂが前記枢軸１０先端
のばね受け溝１０ａに差し込まれて係止されている。こ
の座跳ね上げ用ばね１３により枢軸１０を介し座支持ア
ーム８が起立方向に常時回動付勢されている。なお、そ
の枢軸１０の先端にはＣ型止め輪２２が嵌め付けられて
いる。

【００１５】こうした構成の座支持ユニット７を左右一
対を備え、これらの左右の座支持ユニット７，７のアー
ム受けベース９の取付フランジ９ａを前記椅子の左右支
持体である支脚１，１の上部寄りの取付板６内側に接合
してボルト止めすると共に、それら左右の座支持ユニッ
ト７，７の座支持アーム８の座支持板部８ａに座４の裏
板４ａ両側部を搭載してねじ止めして支持している。

【００１６】しかして、前述した構成の座支持装置を用
いた椅子であれば、座支持アーム８、枢軸１０、ストッ
パ１１、軸受１２、座跳ね上げ用ばね１３、回動規制凹
部９ｃを有した矩形筒状のアーム受けベース９と言った
座跳ね上げ支持構成部材を一つにまとめて座支持ユニッ
ト７とし、この座支持ユニット７を椅子の左右支持体で
ある支脚１に取付けると共に、それら左右の座支持ユニ
ット７の座支持アーム８に座４の両側を支持させれば組
み立てができるので、座４の内部に座跳ね上げ支持構成
部材をレイアウトして納める必要がなく、座４を薄形に
設計できるようになると共に、座跳ね上げ支持構成部材
のユニット化により、あまり体裁が良くない枢軸１０や
ストッパ１１や軸受１２や座跳ね上げ用ばね１３などが
外部から丸見えとなることがなく、体裁の良い座支持ア
ーム８とアーム受けベース９のみが見える程度で、薄形
でスッキリしたデザインの椅子が得られるようになる。

【００１７】また座跳ね上げ支持構成部材をまとめた左
右の座支持ユニット７により座４を支持するので、その
座４の組み付け作業が非常に簡便となると共に、枢軸１
０が軸受１２に支承されていることで座４の起倒回動が
非常にスムーズにできるようになる。

【００１８】つまり、着座者が手や尻により座４を押し
下げると、その座４は座支持アーム８と一体に枢軸１０
を中心に前倒れ方向に回動し、ストッパ１１が回動規制
凹部９ｃ内の後端に当たると回動規制されて、該座４が
略水平な転倒状態に保持されて着座者が座れるようにな
る。またその着座者が離席すると、座跳ね上げ用ばね１
３の付勢で枢軸１０及び座支持アーム８を介し座４が自
動的に起立する方向に回動して、ストッパ１１が回動規
制凹部９ｃ内の前端に当たるところで止まり、座４が適
度な前上がり角度の跳ね上げ状態に保持されて、前側に
通路スペースを確保するようになる。

【００１９】なお、軸受１２として球面軸受を用いてい
ることで、枢軸１０を傾けて回転可能に支承することが
できるので、プラネタリウム等の円形配置の連結椅子と
しても支障がなくなる。

【００２０】

【考案の効果】本考案の椅子の座支持装置は、前述の如
く構成したから、座跳ね上げ支持構成部材をユニットと
してまとめて座の左右外側部に簡単に配置できて、座を
非常にスムーズに起倒回動可能に支持できると共に、座
の薄形化が図れ、しかも座跳ね上げ支持構成部材のユニ
ット化により、座跳ね上げ用ばねや軸受などが外部から
丸見えとなることがなく、薄形でスッキリしたデザイン
の椅子が得られると共に、座の組付け作業が非常に簡便
となる効果が得れる。

【００２１】本考案の椅子の座支持装置は、前述の如く
軸受として球面軸受を用いることで、枢軸を傾けて回転
可能に支承することができるので、円形配置の連結椅子
に具合良く適用できる効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の椅子の座支持装置の一実施例を示す要
部断面図。

【図２】図１のＡ−Ａ線に沿う矢視断面図。

【図３】図１のＢ−Ｂ線に沿う矢視外端面図。

【図４】同上実施例の要部の分解斜視図。

【図５】同上実施例の座支持装置を用いた連結椅子の一
部省略した正面図。

【図６】同上連結椅子の側面図。

【符号の説明】

１，６…支持体（１…支脚、６…取付板）、４…座、７
…座支持ユニット、８…座支持アーム、９ｂ…回動規制
凹部、９…アーム受けベース、１０…枢軸、１１…スト
ッパ、１２…軸受（球面軸受）、１３…座跳ね上げ用ば
ね。

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 座支持アームと、この座支持アームから
   互いに離間して各々外側方に突設した枢軸並びにストッ
   パと、その枢軸を回転自在に支承する軸受並びに枢軸を
   介し座支持アームを起立方向に常時回動付勢する座跳ね
   上げ用ばねを内蔵すると共に前記枢軸を中心としたスト
   ッパの回動を所定範囲内に規制する回動規制凹部を有し
   た矩形筒状のアーム受けベースとを備えてなる左右一対
   の座支持ユニットを構成し、この左右の座支持ユニット
   のアーム受けベースを椅子の左右支持体に取付けると共
   に、それら左右の座支持ユニットの座支持アームに座の
   両側部を支持させたことを特徴とする椅子の座支持装
   置。
2. 【請求項２】 請求項１記載の椅子の座支持装置におい
   て、軸受として球面軸受を用いたことを特徴とする椅子
   の座支持装置。