JPH0568073B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 (イ) 産業上の利用分野 本発明は負極としての亜鉛極と、正極としての
ニツケル極と、アルカリ電解液とを備えたニツケ
ル−亜鉛蓄電池の改良に関する。

(ロ) 従来技術 負極活物質としての亜鉛は単位重量あたりのエ
ネルギー密度が大きく且つ安価である利点を有す
る反面、放電時に亜鉛がアルカリ電解液に溶出し
て亜鉛酸イオンとなり、充電時にこの亜鉛酸イオ
ンが亜鉛極表面に樹枝状或いは海綿状に電析する
ため充放電を繰り返すと電析亜鉛がセパレータを
貫通して対極に到達して内部短絡を惹起すのでサ
イクル寿命が短かい欠点がある。

このサイクル寿命を改善するため亜鉛極及び電
解液へ各種添加剤を含有させることが検討されて
いる。このうち、亜鉛極の添加剤としては特公昭
51−32365号公報に注目すべき提案である。この
提案は亜鉛極の添加剤としてビスマス、カドミウ
ム、タリウム、スズ、セレン、テルル、インジウ
ム、鉛もしくはこれら金属の酸化物の中から少な
くとも一種を用い、活物質とフツ素樹脂と共に成
型し焼結するというものである。しかしながら添
加剤は夫々一種のみ亜鉛極に添加したものが開示
されているに過ぎず、更に優れた特性を得るため
に各種添加剤の組み合わせによる相乗作用を種々
の実験により調べたところ、特願昭58−62633号
公報に提案したように亜鉛極の添加剤として特に
タリウムの酸化物または水酸化物、インジウムの
酸化物または水酸化物及び金属インジウムを用い
ることで、タリウムの酸化物または水酸化物の溶
解、逸散をインジウムの酸化物または水酸化物の
存在により防止できると共にこれら添加物によつ
て亜鉛極の水素過電圧を高めて亜鉛の樹枝状結晶
の成長を防止し、タリウムを単独で添加した場合
に比しサイクル寿命を更に向上させ、また加えて
金属インジウムと存在によりタリウム及びインジ
ウムの酸化物または水酸化物の不良導電体として
の欠点を解消することができより優れた特性が得
られることがわかつた。

また、電解液の液添加剤としては特公昭48−
5185号公報に於いて、アルカリ電解液にインジウ
ム酸イオンを溶解することで、亜鉛の電析を均一
に行なうことが提案されている。この方法は特に
亜鉛極にインジウムを添加している場合に有効で
あり、亜鉛極の表面近傍のインジウムが溶出によ
つて不均一に分布することを抑制し蓄電池の劣化
を防止することができる。

しかしながら、これら添加剤を用いた場合に於
いても十分にニツケル−亜鉛蓄電池の充放電効率
の低下を抑制することはできず、エネルギー密度
が小さくなるという欠点があつた。

(ハ) 発明の目的 本発明はかかる点に鑑みエネルギー密度を高く
維持し、長期にわたるサイクル寿命を耐え得るニ
ツケル−亜鉛蓄電地を提供せんとするものであ
る。

(ニ) 発明の構成 本発明のニツケル−亜鉛蓄電地は、亜鉛及び酸
化亜鉛の少なくとも一種を主成分とし、金属イン
ジウム、インジウムの酸化物または水酸化物、及
びタリウムの酸化物または水酸化物を含有する亜
鉛極と、ニツケル極と、インジウムイオン及びリ
チウムイオンを含有するアルカリ電解液とを備え
るものである。

尚、インジウムイオンとはインジウムの酸化物
または水酸化物やインジウムの塩、たとえば硝酸
塩、塩酸塩等を電解液中に溶解させたインジウム
の形態を意味し、またリチウムイオンとはリチウ
ムの酸化物、水酸化物またはその他の化合物を電
解液中に溶解させたリチウムの形態を意味する。

(ホ) 実施例 以下に本発明の一実施例を示し説明する。

実施例 酸化亜鉛粉末75重量％、亜鉛粉末10重量％、添
加剤として酸化インジウム2.5重量％、金属イン
ジウム2.5重量％、酸化タリウム５重量％、及び
結着剤としてのフツ素樹脂粉末５重量％からなる
混合粉末に水を加えて混練した後ローラによりシ
ート状に形成したものを鋼等よりなる集電体に付
着し、しかる後に加圧成型し乾燥して亜鉛極を作
製する。

このようにして得た亜鉛極と公知の焼結式ニツ
ケル極と組み合わせ、電解液に30％濃度の水酸化
カリウム溶液に水酸化インジウム10^-4モル／溶
解し、更に水酸化リチウム１モル／溶解したも
の用いてニツケル−亜鉛蓄電池Ａを作製した。第
１図はこの蓄電池の断面図であり、図面に於い
て、１は亜鉛極、２はニツケル極、３はセパレー
タ、４は保液層、５は電槽、６は電槽蓋、７，８
は正負極端子である。

比較例 １ 前記実施例に於いて、電解液に水酸化コバルト
を溶解添加せず、その他の条件は同一で比較電池
Ｂを作製した。

比較例 ２ 前記実施例に於いて、電解液に水酸化インジウ
ム溶解添加せず、その他の条件は同一で比較電池
Ｃを作製した。

第２図は本発明電池Ａと比較電池Ｂを150ｍＡ
の電流で放電したときの放電特性図であり、この
図から明らかなように本発明電地Ａは、電解液に
リチウムイオンを含有しない比較電池Ｂに比し放
電電圧が高く容量も向上し単位重量あたりのエネ
ルギー密度が改善されていることがわかる。これ
は電解液中のリチウムイオンが正極活物質である
水酸化ニツケルの結晶中に侵入してニツケル活物
質をより活性化することにより、亜鉛極へのイン
ジウム添加により低下する放電電圧を高めている
からと考えられる。すなわち、サイクル寿命を向
上させるために添加したインジウムによつて低く
なつた放電電圧をリチウムにより回復していると
思われる。また、ニツケル活物質が活性化したこ
とにより電池容量も向上している。

第３図は本発明電池Ａと比較電池Ｂ及びＣのサ
イクル特性であり、150ｍＡで５時間充電した後
150ｍＡで放電し、電池電圧が1.2Vに達する時点
で放電停止するサイクル条件で測定し、電池Ｂの
初期容量を100として示している。第３図から明
らかなように、電解液にリチウムイオンのみ添加
した電池Ｂでは容量の向上はみられるがサイクル
寿命が短く、また電解液にインジウムイオンのみ
添加した電池Ｃでは電池容量の向上がみられな
い。これに対して本発明電池Ａが電池容量も大き
くサイクル寿命も長いのは、電解液に添加したリ
チウムイオンが電池容量の向上に効力を発揮し、
タリウム及びインジウムがサイクル寿命の向上に
大きな効力を発揮していると考えられ、更にイン
ジウムイオンとリチウムイオンの共存による相乗
作用によつて、より充放電サイクル寿命が向上し
たものと考えられる。

(ヘ) 発明の効果 本発明のニツケル−亜鉛蓄電池は、亜鉛及び酸
化亜鉛の少なくとも一種を主成分とし、金属イン
ジウム、インジウムの酸化物または水酸化物、及
びタリウムの酸化物または水酸化物を含有する亜
鉛極と、ニツケル極と、インジウムイオン及びリ
チウムイオンを含有するアルカリ電解液を備える
ものであるから、ニツケル−亜鉛蓄電池の放電電
圧を高め、大巾にエネルギー密度を向上でき、更
により長期にわたるサイクル寿命を得ることがで
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明によるニツケル−亜鉛蓄電池の
断面図、第２図及び第３図は本発明電池と比較電
池の放電特性図及びサイクル特性図である。 １……亜鉛極、２……ニツケル極、３……セパ
レータ、４……保液層、５……電槽、６……電槽
蓋、７，８……正、負極端子。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 亜鉛及び酸化亜鉛の少なくとも一種を主成分
   とし、金属インジウム、インジウムの酸化物また
   は水酸化物、及びタリウムの酸化物または水酸化
   物を含有する亜鉛極と、ニツケル極と、インジウ
   ムイオン及びリチウムを含有するアルカリ電解液
   とを備えてなるニツケル−亜鉛蓄電池。