JPH0566437A - 有機光非線形材料及びその製造方法 - Google Patents

有機光非線形材料及びその製造方法

Info

Publication number
JPH0566437A
JPH0566437A JP25599491A JP25599491A JPH0566437A JP H0566437 A JPH0566437 A JP H0566437A JP 25599491 A JP25599491 A JP 25599491A JP 25599491 A JP25599491 A JP 25599491A JP H0566437 A JPH0566437 A JP H0566437A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
optical
polymer
nonlinear
organic
refractive index
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP25599491A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshikuni Kaino
俊邦 戒能
Akira Tomaru
暁 都丸
Michiyuki Amano
道之 天野
Yoshito Shudo
義人 首藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Telegraph and Telephone Corp
Original Assignee
Nippon Telegraph and Telephone Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Telegraph and Telephone Corp filed Critical Nippon Telegraph and Telephone Corp
Priority to JP25599491A priority Critical patent/JPH0566437A/ja
Publication of JPH0566437A publication Critical patent/JPH0566437A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 石英ガラス導波路との屈折率の整合性をとり
うる有機光非線形材料、高性能な導波路型非線形光学材
料、及びそれらの製造方法を提供する。 【構成】 非線形光学効果を有する有機物質を側鎖に結
合してなる高分子がフッ素系高分子と共重合体を形成し
ている有機光非線形材料。相当する各モノマーを、ラジ
カル重合開始剤の存在下で、溶液重合法あるいは沈殿重
合法により共重合させる方法、あるいは当該有機光非線
形材料にガラス転移温度以上の温度で直流電場を印加
し、2次の光非線形性を発現させる方法による各有機光
非線形材料の製造方法。 【効果】 10-12 〜10-14 秒の動作速度のため、光
の持つ高い周波数を有効に利用でき、各種損失も少な
い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電気光学効果、波長混
合、光パラメトリック、光スイッチング、光双安定、光
カーシャッタなど、光信号処理において重要な低損失に
して動作速度の速い、かつ光非線形効果の大きな有機光
非線形材料、及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】昨今、系外からの入力光に対し、屈折率
の変化などをもたらす物質が非線形光学材料として注目
を浴びている。特に有機光非線形材料はオプティカルダ
メージに強く、薄膜化、パターン化など加工性に富み、
更に数十フェムト秒のスイッチング速度を有するなどの
点から、非線形光学素子用材料として大きな期待が寄せ
られている。しかし有機材料の非線形光学効果の活用に
は導波路としての使用が不可欠である。特に、非線形光
学素子実現に当っては、光信号伝送システムへの適用性
が重要な課題であり、石英光ファイバあるいは石英ガラ
ス導波路との整合性を考える必要がある。すなわち、光
信号の処理に当り、有機光非線形材料と石英光ファイバ
あるいは石英ガラス導波路との屈折率の整合性が取れて
いない場合、光非線形現象の有効活用がなされない。一
般に有機光非線形材料の屈折率は1.55より大きいた
め、屈折率が1.46前後である石英光ファイバあるい
は石英ガラス導波路との結合に大きな問題があった。こ
の点に関し、従来検討されていた光非線形性色素分散メ
チルメタクリレート重合体、スチルベン系材料を結合し
たメタクリレート重合体、ポリアセチレン、ポリジアセ
チレンなど2次あるいは3次の光非線形性を有する材料
は、薄膜形成が行われ、導波路化の検討が行われてはい
たものの、石英光ファイバあるいは石英ガラス導波路と
の屈折率整合性についての検討は全くなされておらず、
したがってこのような石英光ファイバあるいは石英ガラ
ス導波路との屈折率整合性がとれる有機光非線形材料の
製造法は明らかにされていなかった。非線形屈折率を有
する有機化合物を添加した固体状媒質、又は非線形屈折
率を有する有機化合物の微粒子を有した固体状媒質を延
伸光ファイバのクラッドの外部媒質として使用し、非線
形屈折率を活用した非線形光学装置へ応用することに関
しては、特願昭63−230130号、同63−230
131号、同63−230132号各明細書において、
該非線形屈折率を有する有機化合物を添加した固体状媒
質、又は非線形屈折率を有する有機化合物の微粒子を有
した固体状媒質としてフッ素を含む高分子材料との組合
せが効果的な場合が多いことが記載され、例えばフルオ
ロアルキルメタクリレート重合体、フッ化ビニリデン、
テトラフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、ヘキ
サフルオロプロピレン等の重合体、これらの共重合体、
これらの重合体、共重合体の混合物など多様な組合せの
フッ素系高分子を用いることの可能性が示されている。
しかし、この発明は、例えばスチレン誘導体、ポリジア
セチレン誘導体、導電性ポリマー系材料、スチルベン誘
導体、アゾベンゼン誘導体、ベンジリデンアニリン誘導
体、ベンゼン誘導体など非線形屈折率を有する有機化合
物を分散させることによって目的を達成しようとするも
のである。この方法は限られた領域での効果は期待され
るものの、一般的に非線形屈折率を有する有機化合物を
高分子材料中に分散させること、特に十分な非線形屈折
率を引出すことが可能なレベルに高濃度分散させること
は困難であり、まして、非線形屈折率を有する有機化合
物をフッ素を含む高分子材料中に高濃度分散させること
は極めて困難であるという大きな問題が存在していた。
また、自発分極を有するフッ素系高分子中に、非線形効
果の期待される有機化合物を分散させ、分極処理を行う
ことによって経時的に緩和の生じない2次光非線形材料
を提供する方法を提案されているが、ここではフッ素系
高分子は自発分極を有するマトリクスとして活用されて
いるのみであり、石英光ファイバあるいは石英ガラス導
波路との屈折率整合性については全く考慮されていな
い。この場合にも、自発分極を有するフッ素系高分子中
への非線形効果の期待される有機化合物の分散量は限定
されたものであった。有機材料と石英光ファイバあるい
は石英ガラス導波路との屈折率整合性を考える場合、フ
ッ素系高分子の採用が効果的であるが、上述のようにた
だ単に非線形光学効果を有する有機化合物をフッ素系高
分子に分散させるのみでは非線形光学効果発現が十分で
はない。したがって、非線形光学効果を有する有機化合
物をフッ素系高分子に結合する方法と、フッ素系高分子
と非線形光学効果を有する有機化合物を結合した高分子
との共重合化を行う方法が考えられる。前者の方法とし
て、光非線形性を有する高分子材料にフッ素(あるいは
ケイ素)を含有させ、低屈折率とした材料を得る方法が
提案(特開平3−154034号、同3−154033
号)されている。しかし、光非線形性を有する高分子中
にフッ素を結合させた場合、フッ素原子の有する強い電
子吸引性の影響によって光非線形性が低減することが多
いため〔西暦1983年、アメリカ化学会発行、D.
J.ウイリアムス(D.J.Williams )編、「有機及び
高分子材料の非線形光学的性質」( Nonlinear Optical
Properties of Organic and Polymeric Matetials )の
第73頁に記載のR.J.ツィーグ(R.J.Twieg)及
びK.ジェイン(K.Jain) 、「光学的第2高調波発生
のための有機材料」( Organic Materials for Optical
Second Harmonic Generation ) 参照〕、フッ素電子導
入による低屈折率化の効果が意味をなさなくなるという
恐れがあった。非線形光学効果を有する有機化合物をフ
ッ素系高分子に結合した高分子化合物は、該高分子化合
物を構成する単量体をラジカル重合開始剤を用いるなど
によって重合し、目的とする高分子化合物を得ようとす
る場合、高重合率の化合物が得られ難く、機械的な強度
などの問題があって、実用的材料とは言えない状況にあ
った。また、目的とする屈折率を有する高分子化合物を
得るために該単量体と非線形光学効果を有していない単
量体とをラジカル重合反応により共重合を行おうとする
場合単量体の仕込比と、得られた重合体の組成比が大き
く異なることが多く、該高分子化合物の屈折率が目的と
する屈折率と大きく異なってしまうという問題があっ
た。一方後者の方法は、非線形光学効果を有する種々の
有機化合物に対して有効な方法と期待される。しかし現
在まで、この方法についての報告は見当らない。これ
は、フッ素系高分子との共重合体の製造、特に非線形光
学効果などアクティブな機能を有する有機化合物を結合
した高分子との共重合体の製造が困難なためである。す
なわち、フッ素系高分子のモノマー及びアクティブな機
能を有する有機化合物を結合した高分子のモノマーを配
合して重合開始剤存在下で共重合反応を行わせても、配
合比通りの共重合体を得ることが難しいという状況にあ
った。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこれら従来技
術の問題点を解決するために提案されたものであり、低
損失な石英光ファイバあるいは低損失化技術の確立して
いる石英ガラス導波路との屈折率の整合性をとりうる有
機光非線形材料を提供するものである。また、光非線形
定数が大きく高速スイッチングの可能な有機光非線形材
料を低損失かつ低屈折率の高分子材料と組合せることに
よって高性能な導波路型非線形光学材料を提供するもの
である。本発明では更に、このような低損失な石英光フ
ァイバあるいは低損失化技術の確立している石英ガラス
導波路との屈折率の整合性をとりうる有機光非線形材料
あるいは光非線形定数が大きく高速スイッチングの可能
な有機光非線形材料を低損失かつ低屈折率の高分子材料
と組合せることによる高性能な導波路型非線形光学材料
の製造方法を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明を概説すれば、本
発明の第1の発明は有機光非線形材料に関する発明であ
って、非線形光学効果を有する有機物質を側鎖に結合し
てなる高分子系有機光非線形材料において、当該有機物
質を結合してなる高分子がフッ素系高分子と共重合体を
形成していることを特徴とする。また本発明の第2の発
明は、有機光非線形材料の製造方法に関する発明であっ
て、非線形光学効果を有する有機物質を側鎖に結合して
なる高分子を構成するモノマーと、フッ素系高分子ある
いはフッ素系高分子共重合体を構成する少なくとも1種
のモノマーとをラジカル重合開始剤の存在下で、溶液重
合法あるいは沈殿重合法により共重合させることによっ
て、非線形光学効果を有する有機物質を側鎖に結合して
なる高分子とフッ素系高分子との共重合体を形成するこ
とを特徴とする。更に本発明の第3の発明は、他の有機
光非線形材料の製造方法に関する発明であって、非線形
光学効果を有する有機物質を側鎖に結合してなる光非線
形高分子材料を、該光非線形高分子材料のガラス転移温
度以上の温度において直流電場を印加し、該光非線形高
分子材料中の光非線形構造単位の分極処理を行うことに
より2次の光非線形性を発現させることを特徴とする。
【0005】本発明においては、非線形光学効果を有す
る有機物質を高分子材料の側鎖に結合して薄膜形成性、
パターン形成性を付与するのみならず、当該有機物質を
結合してなる高分子をフッ素系高分子と共重合体を形成
させることによって光学的透明性及び低屈折率性を付与
している。非線形光学効果を有する有機物質を側鎖に結
合する高分子材料としてはメタクリレート重合体、アク
リレート重合体、あるいはスチレン重合体など、ビニル
重合体が望ましい。共重合体を形成するフッ素系高分子
としては、これを構成する脂肪族基あるいは芳香族基に
3原子以上のフッ素を結合する高分子材料を用いること
が望ましい。すなわち、フッ素系高分子繰返し単位中の
フッ素原子が1〜2個である場合には、共重合体中のフ
ッ素系高分子率を90%以上にしても石英光ファイバあ
るいは石英ガラス導波路との屈折率整合をとるのに十分
な低屈折率共重合体を得ることが難しく、本発明の効果
が十分に発揮できないことがある。3原子以上のフッ素
を結合する高分子材料を共重合体成分として用いる場合
には、非線形光学効果を有する有機物質を側鎖に結合す
る高分子材料を分率を10%以上としても低屈折率化が
達成可能であり、非線形光学素子として必要とされる2
次あるいは3次の光非線形性を有する非線形有機物質を
結合させることが極めて容易となる。該フッ素系高分子
としては3原子以上のフッ素を含有するフルオロアルキ
ルメタクリレートポリマーあるいはフルオロアルキルア
クリレートポリマーあるいはフッ素化ポリスチレンが有
効であり、これらのモノマーを例えば非線形光学効果を
有する有機物質を側鎖に有するビニルモノマーと共に共
重合反応させることによって目的とする非線形光学効果
を有する有機物質を側鎖に結合してなる高分子とフッ素
系高分子との共重合体が得られる。また、フッ素系高分
子が3原子以上のフッ素を含有するビニルポリマーの共
重合体である場合にも、これらの共重合用モノマーと例
えば非線形光学効果を有する有機物質を側鎖に有するビ
ニルモノマーと共に3元系以上の共重合反応をさせるこ
とによって目的とする非線形光学効果を有する有機物質
を側鎖に結合してなる高分子とフッ素系高分子との共重
合体が得られる。このような3原子以上のフッ素を含有
するフッ素系高分子としては、フルオロアルキルメタク
リートポリマーとして2,2,3,3−テトラフルオロ
プロピルメタクリレート、1H,1H,5H−オクタフ
ルオロペンチルメタクリレート、2,2,2−トリフル
オロエチルメタクリレート、1H,1H,2H,2H−
ヘプタデカフルオロデシルメタクリレート、1H,1
H,3H−ヘキサフルオロブチルメタクリレート、2,
2,3,3−テトラフルオロターシャリーペンチルメタ
クリレート、2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロ
ターシャリーヘキシルメタクリレート、2,2,3,
4,4,4−ヘキサフルオロイソペンチルメタクリレー
ト、2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロイソペン
チルメタクリレートなどの共重合体、及び下記表1に示
す構造のその他のフルオロアルキルメタクリレートの重
合体など。
【0006】
【表1】表1 フルオロアルキルメタクリレート重合体
の構造
【化1】
【0007】またフルオロアルキルアクリレートポリマ
ーとして2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアク
リレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル
アクリレート、1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフ
ルオロデシルアクリレート、2,2,2−トリフルオロ
エチルアクリレート、1H,1H,3H−ヘキサフルオ
ロブチルアクリレート、2,2,3,3−テトラフルオ
ロターシャリーペンチルアクリレート、2,2,3,
3,4,4−ヘキサフルオロターシャリーヘキシルアク
リレート、2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロイ
ソペンチルアクリレート、2,2,3,3,4,4−ヘ
キサフルオロイソペンチルアクリレートなどの重合体、
及び表1に示す構造のメタクリレート重合体と同一のフ
ルオロアルキル基を有するアクリレートの重合体など、
またフッ素化ポリスチレンとしてペンタフルオロスチレ
ン、トリフルオロスチレン、ペンタフルオロ−α−メチ
ルスチレン、トリフルオロ−α−メチルスチレンなどの
重合体が挙げられる。これらの重合体を組合せた共重合
体も本発明において有効に用い得る。
【0008】非線形光学効果を有する有機物質を側鎖に
結合してなる高分子を構成するモノマーはフッ素系高分
子を構成するモノマーと共にラジカル重合開始剤の存在
下で重合させることによって、当該有機物質を側鎖に結
合してなる高分子がフッ素系高分子と共重合体を形成し
た有機光非線形材料を得ることができる。この場合、ビ
ニルモノマーの重合法として知られる塊状重合、懸濁重
合、乳化重合などの方法を採用することも可能である
が、非線形光学効果を有する有機物質を側鎖に結合して
なる高分子を構成するモノマーは、フッ素系高分子を構
成するモノマー中に溶解させることが難しいため、これ
らのモノマーを有機溶媒に溶解させ、ラジカル重合開始
剤存在下で溶液重合法あるいは沈殿重合法により共重合
させる方法の採用により、不純物の少ない、光透過性に
優れた共重合体を効率良く製造することができる。ここ
で用いる有機溶媒としてはジオキサン、トルエン、DM
F、クロロベンゼンなどが挙げられる。また、重合開始
剤としてはパーオキシド系、アゾ系、など、メタクリル
酸メチルなどのビニル重合体に用いられる重合開始剤の
採用が可能である。また、場合によっては連鎖移動剤の
添加によって、最終的に得られる共重合体の分子量を制
御する方法も採用できる。更に、放射線重合などの方法
の採用も可能である。ラジカル重合開始剤の存在下で溶
液重合法あるいは沈殿重合法により共重合させることに
よって、非線形光学効果を有する有機物質を側鎖に結合
してなる高分子とフッ素系高分子との共重合体を得たの
ち、この共重合体を再び有機溶媒に溶解させ、微少孔を
有するフィルタを通して不純物を除去することによって
光透過性に優れる形成する高分子系有機光非線形材料を
得ることができる。
【0009】2次の光非線形性発現のためには、本発明
における非線形光学効果を有する非線形高分子材料を該
高分子材料のガラス転移温度以上の温度において直流電
場を印加することにより該高分子材料中の光非線形構造
単位の分極処理を行う必要がある。
【0010】本発明における非線形光学効果を有する高
分子材料は、材料中を伝搬する際に生じる光損失を最小
限にするため、低損失な2本の石英光ファイバ間あるい
は石英ガラス導波路あるいはガラス導波膜の一部に充て
んされている。また、充てんする光非線形高分子材料と
石英光ファイバあるいは石英ガラス導波路あるいはガラ
ス導波膜の屈折率差を0.01以内に抑えることが可能
である。また、ここで用いる光非線形性高分子材料は2
次の光非線形性χ(2) 値として10-8esu 以上、3次の
光非線形性χ(3) 値として10-12 esu 以上の大きな光
非線形性を有することが望ましい。この結果、導波損失
の小さな非晶質高分子共重合体であることと合せ、高性
能な導波路型非線形光学素子を実現することができる。
【0011】2次の光非線形性発現のためには、本発明
における非線形光学効果を有する非線形高分子材料を該
光非線形高分子材料の軟化状態若しくは流動状態、すな
わちガラス転移温度以上の温度において直流電場を印加
することにより該光非線形高分子材料中の光非線形構造
単位の分極処理を行う必要がある。分極処理は、電極を
装着し、あるいはコロナ放電等による電荷帯電により行
うことができる。ガラス転移温度以上の温度において光
非線形構造単位の分極処理を行った後、電場印加状態又
は帯電状態を維持したまま、試料の固化を徐冷によって
行うことが望ましい。
【0012】
【実施例】以下実施例に基づいて本発明の有機光非線形
材料について詳細に説明するが、本発明はこれらの実施
例に限定されるものではない。
【0013】2次の光非線形性は、非線形光学効果を有
する有機物質を側鎖に結合してなる高分子系有機光非線
形材料薄膜からの第2高調波発生(SHG)を測定し、
χ(2) を求めることにより評価した。入射基本波は、偏
波面のそろった半導体レーザ励起YAGレーザ(1.3
μm及び1.55μm)を用い、0.65μm及び0.
775μmのSHGを検出した。χ(2) は、入射基本波
とSHGの偏光方向を分極電圧印加方向(前記光非線形
構造単位の分極による配向方向)に一致させ、χ(2)
111 として、次の式(数1)により決定した。標準試料
としてはα−石英結晶(χ(2) 111 :1.6×10-9es
u )を用いた。
【0014】
【数1】 χ(2) =2/π・χq (2) 111 ・(I/Iq 1/2 ・Lcq /L
【0015】ここで、I及びIq はそれぞれ非線形光学
効果を有する有機物質を側鎖に結合してなる高分子系有
機光非線形材料薄膜及びα−石英結晶のSHG強度、L
q 及びLはそれぞれα−石英結晶のコヒーレント長
(20.6μm)及び高分子系有機光非線形材料薄膜の
膜厚であり、Lとして高分子系有機光非線形材料自体の
コヒーレント長よりも薄い試料を用いた。
【0016】3次の光非線形性は、非線形光学効果を有
する有機物質を側鎖に結合してなる高分子系有機光非線
形材料薄膜からの第3高調波発生(THG)をメーカフ
リンジ法によって測定し、χ(3) が既知である溶融石英
のTHGとの比較によってχ(3) を求めることにより評
価した。入射基本波は、波長1.06μmのNd:YA
Gレーザ光とNd:YAGレーザのSHG光で励起した
色素レーザ光との差周波発生によって得た1.5〜2.
1μmの近赤外光を用い、0.5〜0.7μmのTHG
を検出した。
【0017】非線形光学効果を有する有機物質を側鎖に
結合してなる高分子系有機光非線形材料薄膜の屈折率
は、0.1μm程度の薄膜をスピンコート法によって製
作し、エリプソメトリーを用い、可視光域から波長1.
6μmまでの値を求めた。
【0018】また、非線形光学効果を有する有機物質を
側鎖に結合してなる高分子系有機光非線形材料薄膜の導
光損失値は、1μm前後の膜厚を有する高分子系有機光
非線形材料薄膜を製作し、高分子系有機光非線形材料薄
膜の吸収端波長よりも長波長のレーザ光をプリズム結合
により結合させ、散乱光強度の導波長依存性を評価する
ことにより求めた。
【0019】実施例1 非線形光学効果を有する有機物質を側鎖に結合する高分
子系有機光非線形材料として下記式(化2)に示すビス
アゾ系化合物3RDCVXYを側鎖に有するメタクリレ
ートポリマー(ポリマー1)を用い、フッ素系高分子と
して2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリ
レートポリマー(ポリマーA)を用いた。
【0020】
【化2】
【0021】これらのポリマーを構成するモノマーを有
機溶媒に溶解させてラジカル重合開始剤の下で共重合さ
せ、当該非線形光学効果を有する有機物質を側鎖に結合
してなる高分子がフッ素系高分子と共重合した有機光非
線形材料を製作した。得られた有機光非線形材料の波長
1.55μmでの3次の光非線形性、屈折率、導光損失
値を下記表2に他の例と共に示す。屈折率は石英光ファ
イバあるいは石英ガラス導波路の値を0.01程度上回
るものであった。
【0022】実施例2 非線形光学効果を有する有機物質を側鎖に結合する高分
子系有機光非線形材料として下記式(化3)に示す実施
例1とは異なるビスアゾ系化合物3RXYを側鎖に有す
るメタクリレートポリマー(ポリマー2)を用い、フッ
素系高分子として2,2,2−トリフルオロエチルメタ
クリレートポリマー(ポリマーB)を用いた。
【0023】
【化3】
【0024】これらのポリマーを構成するモノマーを有
機溶媒に溶解させてラジカル重合開始剤の下で共重合さ
せ、当該非線形光学効果を有する有機物質を側鎖に結合
してなる高分子がフッ素系高分子と共重合した有機光非
線形材料を製作した。得られた有機光非線形材料の波長
1.55μmでの3次の光非線形性、屈折率、導光損失
値を表2に示す。
【0025】実施例3 非線形光学効果を有する有機物質を側鎖に結合する高分
子系有機光非線形材料として下記式(化4)に示すモノ
アゾ系化合物2Rを側鎖に有するメタクリレートポリマ
ー(ポリマー3)を用い、フッ素系高分子として1H,
1H,5H−オクタフルオロペンチルメタクリレートポ
リマー(ポリマーC)とポリマーBの共重合体を用い
た。
【0026】
【化4】
【0027】これらのポリマーを構成するモノマーを有
機溶媒に溶解させてラジカル重合開始剤の下で共重合さ
せ、当該非線形光学効果を有する有機物質を側鎖に結合
してなる高分子がフッ素系高分子と共重合した有機光非
線形材料を製作した。得られた有機光非線形材料の波長
1.55μmでの3次の光非線形性、屈折率、導光損失
値を表2に示す。
【0028】実施例4 非線形光学効果を有する有機物質を側鎖に結合する高分
子系有機光非線形材料としてポリマー2を用い、フッ素
系高分子としてポリマーBと1H,1H,5H−オクタ
フルオロペンチルアクリレートポリマー(ポリマーD)
との共重合体を用いた。これらのポリマーを構成するモ
ノマーを有機溶媒に溶解させてラジカル重合開始剤の下
で共重合させ、当該非線形光学効果を有する有機物質を
側鎖に結合してなる高分子がフッ素系高分子と共重合し
た有機光非線形材料を製作した。得られた有機光非線形
材料の波長1.55μmでの3次の光非線形性、屈折
率、導光損失値を表2に示す。
【0029】実施例5 非線形光学効果を有する有機物質を側鎖に結合する高分
子系有機光非線形材料としてポリマー3を用い、フッ素
系高分子としてポリマーAと2,2,2−トリフルオロ
エチルアクリレートポリマー(ポリマーE)との共重合
体を用いた。これらのポリマーを構成するモノマーを有
機溶媒に溶解させてラジカル重合開始剤の下で共重合さ
せ、当該非線形光学効果を有する有機物質を側鎖に結合
してなる高分子がフッ素系高分子と共重合した有機光非
線形材料を製作した。得られた有機光非線形材料の波長
1.55μmでの3次の光非線形性、屈折率、導光損失
値を後記表3に他の例と共に示す。
【0030】実施例6 非線形光学効果を有する有機物質を側鎖に結合する高分
子系有機光非線形材料として下記式(化5)に示すスチ
ルベン系化合物MONSを側鎖に有するアクリレートポ
リマー(ポリマー4)、フッ素系高分子としてポリマー
Aを用いた。
【0031】
【化5】
【0032】これらのポリマーを構成するモノマーを有
機溶媒に溶解させてラジカル重合開始剤の下で共重合さ
せ、当該非線形光学効果を有する有機物質を側鎖に結合
してなる高分子がフッ素系高分子と共重合した有機光非
線形材料を製作した。得られた有機光非線形材料の波長
1.55μmでの3次の光非線形性、屈折率、導光損失
値を表3に示す。
【0033】実施例7 非線形光学効果を有する有機物質を側鎖に結合する高分
子系有機光非線形材料として下記式(化6)に示すモノ
アゾ系化合物2Rを側鎖に有するポリスチレン(ポリマ
ー5)、フッ素系高分子として1H,1H,5H−オク
タフルオロペンチルメタクリレートポリマー(ポリマー
C)を用いた。
【0034】
【化6】
【0035】これらのポリマーを構成するモノマーを有
機溶媒に溶解させてラジカル重合開始剤の下で共重合さ
せ、当該非線形光学効果を有する有機物質を側鎖に結合
してなる高分子がフッ素系高分子と共重合した有機光非
線形材料を製作した。得られた有機光非線形材料の波長
1.55μmでの3次の光非線形性、屈折率、導光損失
値を表3に示す。
【0036】実施例8 非線形光学効果を有する有機物質を側鎖に結合する高分
子系有機光非線形材料として下記式(化7)に示すビス
アゾ系化合物3RDCVTを側鎖に有するアクリレート
ポリマー(ポリマー6)、フッ素系高分子としてポリマ
ーEを用いた。
【0037】
【化7】
【0038】これらのポリマーを構成するモノマーを有
機溶媒に溶解させてラジカル重合開始剤の下で共重合さ
せ、当該非線形光学効果を有する有機物質を側鎖に結合
してなる高分子がフッ素系高分子と共重合した有機光非
線形材料を製作した。得られた有機光非線形材料の波長
1.55μmでの3次の光非線形性、屈折率、導光損失
値を表3に示す。
【0039】実施例9 非線形光学効果を有する有機物質を側鎖に結合する高分
子系有機光非線形材料としてポリマー3、フッ素系高分
子としてポリマーAとメチルアクリレートポリマーとの
共重合体を用いた。これらのポリマーを構成するモノマ
ーを有機溶媒に溶解させてラジカル重合開始剤の下で共
重合させ、当該非線形光学効果を有する有機物質を側鎖
に結合してなる高分子がフッ素系高分子と共重合した有
機光非線形材料を製作した。得られた有機光非線形材料
の波長1.55μmでの3次の光非線形性、屈折率、導
光損失値を後記表4に他の例と共に示す。
【0040】実施例10 非線形光学効果を有する有機物質を側鎖に結合する高分
子系有機光非線形材料として下記式(化8)に示すスチ
ルベン系化合物DANSを側鎖に有するポリスチレン
(ポリマー7)、フッ素系高分子としてポリマーEとト
リフルオロスチレン(ポリマーG)を用いた。
【0041】
【化8】
【0042】これらのポリマーを構成するモノマーを有
機溶媒に溶解させてラジカル重合開始剤の下で共重合さ
せ、当該非線形光学効果を有する有機物質を側鎖に結合
してなる高分子がフッ素系高分子と共重合した有機光非
線形材料を製作した。得られた有機光非線形材料の波長
1.55μmでの3次の光非線形性、屈折率、導光損失
値を表4に示す。
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】
【表4】
【0046】実施例11 実施例1〜10における共重合体有機光非線形材料につ
いて各共重合体のガラス転移温度以上の温度に昇温し、
コロナ放電による電荷帯電を行うことによって、光非線
形構造単位の分極処理を行った。その後、帯電状態を維
持したまま、試料をガラス転移温度より室温付近まで徐
冷し、コロナ帯電を終了させた。このようにして分極処
理を行った試料の波長1.3μmにおける2次の光非線
形性を表5に示す。いずれの高分子系有機光非線形材料
においても10-7 esuを上回るχ(2) が得られ、特に実
施例1、実施例8の材料は10-6esu という極めて優れ
た2次の光非線形性を有していた。
【0047】
【表5】
【0048】実施例12 屈折率n=1.47を有する実施例1に基づく本発明材
料をガラス基板(n=1.46)上にスピンコーティン
グにより塗布し、膜厚5μmの導波膜を作製したのち、
本材料のガラス転移温度以上の温度に昇温し、コロナ放
電による電荷帯電を行うことによって、光非線形構造単
位の分極処理を行った。その後、帯電状態を維持したま
ま、試料をガラス転移温度より室温付近まで徐冷し、コ
ロナ帯電を終了した。本発明材料においては、従来の材
料に比較し、基板に用いる石英ガラスの屈折率に近い屈
折率が実現できるため、屈折率差を非常に小さくでき、
膜厚が厚くともTEの0次モードのみを伝搬することが
可能であった。従来のフッ素化されていない高分子と非
線形光学効果を有する有機物質を側鎖に結合する高分子
との共重合体材料では、石英ガラスに対する屈折率差は
0.1程度であるため、TE基本モードのみを伝搬する
ために膜厚が数千オングストローム以下でなければなら
なかった。このようなことから、本発明による2次の非
線形光学効果を有する導波膜を用いた波長変換において
は、厚膜化が可能であることによる入射効率の大幅な改
善、あるいは膜厚制御の許容幅が大きいことから、基本
波の入力パワーに対し、第2高調波の出射効率に2桁以
上の向上を確認できた。
【0049】応用例1 本発明における2次の光非線形性を有する非線形高分子
材料は、図1に例示するように、電気光学効果を用いた
導波路型非線形光学装置に用いることができる。すなわ
ち、図1は本発明による有機光非線形材料の電気光学効
果を用いた導波路型非線形光学装置の例を示す図であ
り、符号1aは偏光子、1bは直交偏光子、2は導波路
型有機光非線形材料である。これは入力光を高周波電圧
によって制御し、電圧印加に対応した変調出力光を得よ
うとするものであって、図1中、1aと1bは互いに偏
光軸が直交するよう配置された2枚の偏光子からなる直
交偏光子系であり、2は長さ1cm程度の導波路型有機光
非線形材料である。この構成においては、高周波電圧が
印加している間だけ、偏光子1aを通過した入力光の直
線偏光が、電気光学効果を有する光非線形媒質2の屈折
率変化によって楕円偏光に変わり、そのために光の一部
が直交偏光子1bを通過することができる。すなわち入
力光は高周波電圧の印加によって光スイッチされる。
【0050】本発明による有機光非線形材料は変調速度
(帯域)が100GHz以上、場合によっては1THz
の伝送帯域が可能であり、電気光学定数をLiNbO3
の10倍以上とすることができるため半波長電圧も2V
程度とすることが容易である。また、光通信システムに
おいて用いられる石英光ファイバあるいは石英ガラス導
波路あるいはガラス導波膜の屈折率と整合のとれた非線
形性の大きな有機光非線形材料を導波路型としたため、
低い高周波電圧で動作する光通信用非線形光学装置を容
易に構築することが可能である。
【0051】応用例2 非線形屈折率を有する有機光非線形材料は、2本のガラ
ス導波路の一部を互いに接近させた導波路型光カップラ
に適用することができる。すなわち、該接近部の一部に
前記非線形屈折率を有する有機光非線形材料を接触させ
ることによって、前記接近部のクラッドの屈折率をn
clad 、前記非線形屈折率を有する有機光非線形材料の
非線形屈折率を含まない屈折率をnext とした時、n
ext <ncladである光学装置が構成される。すなわち本
発明により光・光相互作用による光学素子の構成が可能
となり、光導波路に光を伝搬させた状態で光を制御する
光導波路形光学装置への適用が期待できる。
【0052】図2は本発明の効果を説明する図である。
すなわち図2は、本発明による有機光非線形材料の非線
形屈折率を用いたガラス導波路型光カップラの構造及び
外部媒質の断面の構造を示す図であって、符号3はガラ
ス導波路型光カップラ、4は外部媒質である。外部媒質
4として本発明による非線形屈折率を有する有機光非線
形材料である3RDCVXYを側鎖に有するメタクリレ
ートポリマーと2,2,3,3−テトラフルオロプロピ
ルメタクリレートポリマーの共重合体を使用した。3R
DCXYを側鎖に有するメタクリレートポリマーとテト
ラフルオロプロピルメタクリレートポリマーの共重合体
は3次非線形光学効果により非線形屈折率を有し、した
がって、媒質4の屈折率は下記式(数2):
【0053】
【数2】n3 =next +n2
【0054】と表せる。ここで、next は外部媒質4の
非線形屈折率を含まない微弱光に対する屈折率、n2
非線形屈折率、Iは光強度である。式(数2)から外部
媒質4の屈折率n3 は、外部媒質中の光強度に依存し、
光強度が大きい場合n3 は大きくなり、光強度が小さい
場合n3 はnext に近い値となる。ガラス導波路型光カ
ップラの接近部では、コア中を伝搬していた光がクラッ
ドにしみ出してくる。このため、接近部を伝搬する光の
伝搬定数は外部媒質4の屈折率に依存することになる。
そして外部媒質4の屈折率n3 は外部媒質4にしみ出し
た励起光の光強度により変化する。ここでは、3RDC
VXYを側鎖に有するメタクリレートポリマーと2,
2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレートポ
リマーの共重合比を制御することによって励起光を入射
しない状態でI1=0、I2 =1となるようにクラッド
と外部媒質の比屈折率差約0.5%を達成することがで
きる。
【0055】3RDCVXYを側鎖に有するメタクリレ
ートポリマーと2,2,3,3−テトラフルオロプロピ
ルメタクリレートポリマーの共重合体の非線形屈折率は
非線形分極により生じており、その応答速度は10-14
s以下と考えられる。このためこの有機光非線形材料を
用いた光学装置では、極めて高い周波数の光変調が可能
である。また、光導波路から光を空間中に取出すことな
く変調を加える構成であるので、信号光の透過損失は
0.1dB程度の極めて低い損失が得られる。
【0056】ここでは非線形光学効果を有する有機光非
線形材料として、3RDCVXYを側鎖に有するメタク
リレートポリマーと2,2,3,3−テトラフルオロプ
ロピルメタクリレートポリマーの共重合体を使用した
が、この他にも表2〜表4に示したπ電子共役系からな
る色素を主鎖に結合した高分子材料と各種フルオロアル
キルメタクリレートポリマーや各種フルオロアルキルア
クリレートポリマーの共重合体や、光非線形色素をポリ
スチレンの芳香環に結合した高分子と各種フルオロアル
キルメタクリレートポリマーや各種フルオロアルキルア
クリレートポリマーの共重合体なども、高い非線形光学
効果を有することから同様の結果を得ることができる。
【0057】
【発明の効果】以上説明したように、本発明による有機
光非線形材料は、非線形光学効果が大きく、屈折率の整
合性が容易でしかも低損失な導波路形成が容易なため、
これらの有機光非線形材料を用いた非線形光学装置の実
現が容易となる。すなわち波長変換効果、電気光学効果
あるいは非線形屈折率を有する光学媒質として、上記の
有機非線形光学材料は透明性を有し、かつ薄膜形成及び
パターニングが容易であるため、導波路構造の非線形光
学装置が構築できる。上記のポリマーは、屈折率がPM
MA並あるいはこれ以下の共重合体であり、石英光ファ
イバ、石英ガラス導波路のみならず、プラスチック光フ
ァイバあるいはプラスチック光導波路との屈折率整合性
が容易に得られ新しい非線形光学装置の構築も可能であ
る。また、波長変換効果、電気光学効果あるいは非線形
屈折率を有する光学媒質と、偏光子や光共振器、あるい
は反射鏡やプリズム、回折格子などの光学素子とで構成
される非線形光学装置において、波長変換効果、電気光
学効果あるいは非線形屈折率を有する光学媒質として上
記の有機非線形光学材料を用いることによって、膜厚均
一性の許容幅拡大、加工プロセスの簡便化が達成される
ため、経済性に富む非線形光学装置の構築が可能とな
る。このため、例えば波長変換素子、光変調素子、光ス
イッチ、更には光双安定素子などを組込んだ装置、シス
テムを構築する上で重要な非線形光学材料となる利点を
有する。また本発明の有機光非線形材料を用いた非線形
光学装置は、応答速度の速い有機化合物の非線形屈折率
を利用した電気・光相互作用、光・光相互作用による光
学装置とすることが可能であり、光ファイバ中あるいは
光導波路中に光を伝搬させた状態で非線形光学効果を作
用させる光ファイバ型光学装置あるいは光導波路型光学
装置の構成が可能であるため、速い動作速度を得ること
ができるほか、光の伝搬損失、光ファイバあるいは光導
波路との結合損失を少なくできるという利点がある。ま
た、本発明の有機光非線形材料は、10-12 〜10-14
秒の動作速度を確保できるため、光の持つ高い周波数を
有効に利用できる利点が生じる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による有機光非線形材料の電気光学効果
を用いた導波路型非線形光学装置の例を示す図である。
【図2】本発明による有機光非線形材料の非線形屈折率
を用いたガラス導波路型光カップラの構造及び外部媒質
の断面の構造を示す図である。
【符号の説明】
1a…偏光子、1b…直交偏光子、2…導波路型有機光
非線形材料、3…ガラス導波路型光カップラ、4…外部
媒質
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 首藤 義人 東京都千代田区内幸町一丁目1番6号 日 本電信電話株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非線形光学効果を有する有機物質を側鎖
    に結合してなる高分子系有機光非線形材料において、当
    該有機物質を結合してなる高分子がフッ素系高分子と共
    重合体を形成していることを特徴とする有機光非線形材
    料。
  2. 【請求項2】 該フッ素系高分子がフッ素化した2種以
    上の高分子共重合体である請求項1に記載の有機光非線
    形材料。
  3. 【請求項3】 非線形光学効果を有する有機物質を側鎖
    に結合してなる高分子を構成するモノマーと、フッ素系
    高分子あるいはフッ素系高分子共重合体を構成する少な
    くとも1種のモノマーとをラジカル重合開始剤の存在下
    で、溶液重合法あるいは沈殿重合法により共重合させる
    ことによって、非線形光学効果を有する有機物質を側鎖
    に結合してなる高分子とフッ素系高分子との共重合体を
    形成することを特徴とする有機光非線形材料の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 非線形光学効果を有する有機物質を側鎖
    に結合してなる光非線形高分子材料を、該光非線形高分
    子材料のガラス転移温度以上の温度において直流電場を
    印加し、該光非線形高分子材料中の光非線形構造単位の
    分極処理を行うことにより2次の光非線形性を発現させ
    ることを特徴とする有機光非線形材料の製造方法。
JP25599491A 1991-09-09 1991-09-09 有機光非線形材料及びその製造方法 Pending JPH0566437A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP25599491A JPH0566437A (ja) 1991-09-09 1991-09-09 有機光非線形材料及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP25599491A JPH0566437A (ja) 1991-09-09 1991-09-09 有機光非線形材料及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0566437A true JPH0566437A (ja) 1993-03-19

Family

ID=17286428

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP25599491A Pending JPH0566437A (ja) 1991-09-09 1991-09-09 有機光非線形材料及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0566437A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7262252B2 (en) 2001-05-17 2007-08-28 Daikin Industries, Ltd. Nonlinear optical materials comprising fluorine-containing polymer

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7262252B2 (en) 2001-05-17 2007-08-28 Daikin Industries, Ltd. Nonlinear optical materials comprising fluorine-containing polymer

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Van Tomme et al. Integrated optic devices based on nonlinear optical polymers
JPH03118511A (ja) 光学的損失の少ない導波電気光学的光変調器
Kaino Waveguide fabrication using organic nonlinear optical materials
Yuan et al. Photonic devices based on thin-film lithium niobate on insulator
JPH02275931A (ja) 共重合体の非線形光学媒体
Mann et al. Fabrication And Characterisation Of Processable Polydiacetylene Waveguides
Labbé et al. Electro-optic polymer based devices and technology for optical telecommunication
JPH05216079A (ja) 導波路型非線形光学素子およびその製造方法
JPH0566437A (ja) 有機光非線形材料及びその製造方法
Pohlmann et al. Polarization independent Ti: LiNbO/sub 3/switches and filters
JP3196854B2 (ja) 有機光非線形材料の製造方法
Hui et al. Dispersion engineering of a As2Se3-based strip/slot hybrid waveguide for mid-infrared broadband wavelength conversion
Oh et al. Simulation of polarization converter formed by poling-induced polymer waveguides
US20060182401A1 (en) Liquid crystal materials and electrooptic devices with a liquid crystal-containing cladding
CN108803091A (zh) 一种钛扩散铌酸锂薄膜偏振控制器及其制造方法
Tang et al. Novel approach for controllable polarization beam splitter: design and simulation
JPH05107577A (ja) 導波路型非線形光学素子およびその製造方法
Khalil et al. Modal dispersion phase-matched frequency doubling in composite planar waveguide using ion-exchanged glass and optically nonlinear poled polymer
Takayama et al. Serially grafted waveguide fabrication of organic crystal and transparent polymer
Yusof et al. The Influence of Crystal Orientation Variation towards the Modal Phase Matching Condition in Lithium Niobate on Insulator Waveguide.
Prudenzano et al. Exact analysis of cascaded second-order nonlinearity in rotated Ti: LiNbO 3 Couplers
Honardoost Thin-Film Lithium Niobate Integrated Photonics on Silicon for Electro-and Nonlinear-Optic Applications
JPH07181532A (ja) 非線形光学材料及び非線形光導波路素子
Lemoine et al. Electro-optic modulator and second-harmonic generator with nonlinear polymers
Yusof et al. Phase Matching in Microstructured Lithium Niobate on Insulator Waveguides