JPH07181532A - 非線形光学材料及び非線形光導波路素子 - Google Patents

非線形光学材料及び非線形光導波路素子

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JPH07181532A
JPH07181532A JP34639393A JP34639393A JPH07181532A JP H07181532 A JPH07181532 A JP H07181532A JP 34639393 A JP34639393 A JP 34639393A JP 34639393 A JP34639393 A JP 34639393A JP H07181532 A JPH07181532 A JP H07181532A
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Japan
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compound
nonlinear optical
general formula
polymer
optical waveguide
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JP34639393A
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English (en)
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Kazuo Hirota
一雄 広田
Masahiro Hosoda
雅弘 細田
Kazuo Tai
和夫 田井
Hiroshige Muramatsu
広重 村松
Masaki Matsui
正樹 松居
Jiyogurekaa Barateii
ジョグレカー バラティー
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Unitika Ltd
Original Assignee
Unitika Ltd
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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Macromolecular Compounds Obtained By Forming Nitrogen-Containing Linkages In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 大きな二次又は三次の非線形特性を有する有
機系非線形光学材料及びそれを用いた光集積回路等に好
適に利用し得る非線形光導波路素子を提供する。 【構成】 複数個の芳香族環とそれらを結ぶ二重結合連
結子とからなるπ電子共役系連結環状化合物の両端環に
1〜3個のフルオロアルキルスルホニル基又はその誘導
体よりなる電子吸引基と1個のアミノ基等の電子供与基
がそれぞれ別れて置換配置されてなる一般式 [1] 化合
物が高分子物質中に溶解又は分散されてなるかあるいは
高分子分子中に結合又は配位してなる非線形光学材料及
びそれを用いて形成された非線形光導波路素子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光集積回路等に利用さ
れる非線形光学材料及び非線形光導波路素子に関し、さ
らに詳しくは、大きな二次または三次の非線形光学特性
を有する有機化合物を含有してなる非線形光学材料とこ
の非線形光学材料を含有してなる非線形光導波路素子に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】本発明における非線形光学特性とは、外
部強電界により誘起される原子や分子の分極において、
非線形分極が無視できなくなった結果生じる光学特性を
いう。例えば、2次の非線形光学特性ではポッケルス効
果、パラメトリック発振、第2高調波発生(SHG)等
が、また、3次の非線形光学特性ではカー効果、静電誘
導SHG、第3高調波発生(THG)、光強度による屈
折率の変化等が知られている。2次非線形光学特性は、
波長変換(SHG)素子、電気光学変調器等に、3次の
非線形光学特性は、波長変換(THG)素子、高速光シ
ャッター光演算、光双安定性素子、光スイッチング等へ
の応用が可能である。
【0003】非線形光学特性を有する物質(以下、「非
線形光学材料」という)としては、従来から、リン酸二
水素化カリウム(KDP)やニオブ酸リチウム(LiNbO3)
等の無機強誘導電体が知られ(Landolt-Bormstein New S
eries, Group III, Crystaland Solid State Physics,
Vol 12 1992 ) 、光周波数逓倍素子として実用化され
ている(新版レーザーハンドブック、第432 〜第440
頁、朝倉書店 1989年)。しかし、これらの無機強誘電
体より大きい非線形光学応答を示す2-メチル-4-ニトロ
アリニン(MNA)が1979年に、B. F. Levineらによっ
て発見されて以来、有機非線形光学材料の研究開発が積
極的に行われている。
【0004】これらの有機非線形光学材料は、無機強誘
電体より大きい非線形光学定数、速い非線形光学応答や
高い破壊しきい値等の光学特性を有する点で新しい光学
材料としての用途展開が期待できる上に、分子設計やデ
バイス化の多様性を有するという利点を有し、将来のオ
プトエレクトロニクス分野の基幹材料として注目されて
いる。
【0005】例えば、MNA、1-(4-ニトロフェニル)-
3,5-ジメチルピラゾール(DMNP)、2-(2,2-ジシア
ノビニル)アニソール(DIVA)や 4'- シトロベン
ジリデン-3- アセトアミノ-4- メトキシアニリン(MN
BA)から得られるバルク単結晶は波長変換材料として
用いられている。それらの材料をファイバー型やスラブ
型光導波路に加工して、光周波数逓倍素子として試作さ
れている(光機能材料、第41頁〜第105 頁、共立出版
1991年) 。また、4-(4- ニトロフェニルアゾ)-N-(2- ヒ
ドロキシエチル)-N-エチルアニリン(DR-1)をメタク
リル酸エステルの側鎖に導入し、印加電場によって配向
させることにより発現するポッケルス効果を用いた電気
光学変調器の試作が報告されている。さらに、大きな三
次の非線形光学特性を示すポリジアセチレンをスラブ型
光導波路に応用し、光スイッチング素子へ展開した例も
示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】一般に、非線形光学特
性を示す材料を用いて光素子を作成する場合には、光導
波路を構築する必要がある。光導波路内で効率的に非線
形光学特性を発現させるためには、用いる材料が大きな
非線形光学定数を有し光の伝搬特性に優れていることが
望まれる。
【0007】一般に、非線形光学定数は、非線形光学材
料の含有量を多くすることにより、大きくなることが知
られている。上記に記載した材料を用いて光素子を形成
させる場合、非線形光学材料の含有量を増加させる必要
がある。しかしながら、非線形光学材料の含有量を多く
すると化合物の凝集や結晶化が起こり、光学的に透明か
つ均一な導波路が得られない等の現象が観察されてい
た。その結果、光伝搬損失特性が非常に低下するといっ
た問題が生じ、光素子を構築するのが非常に困難であっ
た。さらに、非線形光学材料を用い配向を行なうことで
非線形光学特性を発現させることが必要とされるが、一
般には配向の緩和が起こり、非線形光学特性が失われて
いく問題があった。
【0008】本発明は、上記した高含有量での凝集・結
晶化や配向緩和が少なく、大きな二次及び三次の非線形
光学特性を有する非線形光学材料及びそれを用いた非線
形光導波路素子を提供することを目的とするものであ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記問題
点の存在に鑑みて鋭意検討した結果、π電子共役系の環
状化合物にフルオロアルキルスルホニル基を導入するこ
とで、大きな二次及び三次の非線形光学特性を示す有機
化合物を用いた非線形光学材料を見出し、さらに、上記
の非線形光学材料を薄膜状に製膜することにより、光変
調特性、光スイッチング特性、光双安定性の優れた非線
形光導波路素子が得られるという知見を得た。
【0010】すなわち、本発明は、一般式 [1] で表さ
れる1種以上の化合物あるいそれらの誘導体が高分子物
質中に溶解又は分散してなる非線形光学材料を含有して
なる非線形光学材料あるいは一般式 [1] で表される1
種以上の化合物あるいはそれらの誘導体の分子が高分子
鎖に結合又は配位してなる一般式 [1] 結合/配位高分
子を含有してなる非線形光学材料を要旨とするものであ
り、また、それらの非線形光学材料を用いてなる非線形
光導波路素子を要旨とするものである。
【0011】
【化2】
【0012】(上式中、π1 〜π3 はπ電子共役系の環
状化合物、X及びYは、それぞれCH、N、あるいはN
→Oから選ばれた一つからなる対の組合せ、nは0以上
の整数、Dは電子供与基、R1 〜R10はそれぞれ水素原
子あるいはアルキル基、A1、A2 又はA3 は、それぞ
れ水素原子、アルキル基あるいは一般式 [2] で表され
る置換基を表す。ただし、A1 、A2 又はA3 のうちの
1個のみが一般式 [2] で表される置換基を有するとき
は、その置換基はA1 に配置され、また、A1、A2
はA3 のうちの2個が一般式 [2] で表される置換基を
有するときは、その置換基はA1 とA2 あるいはA1
3 に配置されるものとする。ここで、Zは、水素原
子、ハロゲン原子、ニトロ基、カルボキシル基、水酸
基、ジシアノビニル基あるいはトリシアノビニル基、m
は1以上の整数、lは0以上の整数を表す。)
【0013】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
非線形光学材料は上記したように一般式 [1] で表され
る1種以上の化合物あるいはそれらの誘導体(以下、一
般式 [1] 化合物と略記する。)を含有してなる物質
(以下、一般式 [1] 物質と略記する。)よりなるが、
一般式 [1] 化合物において、π電子共役系の環状化合
物であるπ1 〜π3 の各骨格構成体の具体的例としては
ベンゼン環、ピリミジン環、オキサゾール環、フラン
環、チアゾール環、チアジアゾール環、オキサチアゾー
ル環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベ
ンゾオキサチアゾール環、ナフタレン環、アントラセン
環、イソキノリン環などの芳香族化合物が挙げられる。
これらうちで特に好ましい構成体は、ベンゼン環、チア
ゾール環、チアジアゾール環、ベンゾチアゾール環、ナ
フタレン環等である。
【0014】上記各骨格構成体の置換基R1 〜R10は水
素原子又はアルキル基であるが、このアルキル基として
は、炭素数1から8までのメチル基、エチル基、プロピ
ル基、iso-プロピル基、ブチル基、iso-ブチル基、 ter
t-ブチル基、 sec- ブチル基、アミル基、iso-アミル
基、 tert-アミル基、 sec- アミル基、ヘキシル基、へ
プチル基、シクロヘキシル基、オクチル基、2- エチル
ヘキシル基が好例として挙げられる。
【0015】各骨格構成体の一部であるπ電子共役系の
環状化合物を連結する連結子すなわち−X=Y−構成原
子団X及びYは、それぞれCH、N、あるいはN→Oか
ら選ばれた一つの原子団の対の組合せを表す。これらの
具体的な組合せよりなる連結子−X=Y−の例として
は、−CH=CH−、−CH=N−、−N=N−、−C
H=(N→O)−、−N=(N→O)−等の分子式によ
って表される基が挙げられる。
【0016】電子供与基のDの具体例としては、−SR
11、−OR11、−NR1112等が挙げられる。ここでR
11、R12は水素、アルキル基、−(CH2)p OH、−
(CH2)p NH2 、−(CH2)p SH基から選ばれた基
である。pは1以上の整数である。これらのうちで特に
好ましくは、アミノ基又はアミノ基誘導体が例示され
る。
【0017】A1 、A2 及びA3 は、それぞれ水素原
子、アルキル基あるいは一般式 [2]で表される置換基
を表す。ここで、アルキル基としては、炭素数1から8
までの基が好適例である。
【0018】また、一般式 [2] の電子供与基Zは、水
素原子、電子吸引基あるいは連結性誘導基を表し、電子
吸引基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、ジシアノビ
ニル基あるいはトリシアノビニル基より選ばれた一つの
基であって、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素
原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。また、連結
性誘導基とは、高分子主鎖あるいは側鎖(又は置換基)
に共有結合、イオン結合、配位結合等の結合によって連
結し得る官能性置換基のことであって、カルボキシル
基、カルボキシルアニオン基、スルフォン酸アニオン
基、水酸基、イソシアネート基、アミノ基、アンモニウ
ムカチオン基等の官能性置換基が好適な例として挙げら
れる。
【0019】一般式 [2] で表される置換基の好適な例
としては、F(CF2)m SO2 基、HO(CH2)l (C
2)m SO2 基、HOOC(CH2)l (CF2)m SO2
基が挙げられる。
【0020】一般式 [1] 化合物の代表的な例として
は、以下の化合物が例示される。4-(4-(4- パーフルオ
ロブチルスルホニルフェニルアゾ)-1-ナフチルアゾ)-N-
エチル-N-(2-ヒドロキシエチル) アニリン(化合物
[3])、4-(4-(2,4- ジパーフルオロブチルスルホニル
フェニルアゾ)-1-ナフチルアゾ)-N-エチル-N-(2-ヒドロ
キシエチル) アニリン(化合物 [4])、4-(4-(2,4,6-
トリパーフルオロブチルスルホニルフェニルアゾ)-1-ナ
フチルアゾ)-N-エチル-N-(2-ヒドロキシエチル)アニリ
ン(化合物 [5])、4-(4-(4- パーフルオロブチルスル
ホニルフェニルアゾ) 2,6-ジエチルフェニルアゾ)-N-エ
チル-N-(2-ヒドロキシエチル) アニリン(化合物
[6])、4-(4-(2,4- ジパーフルオロブチルスルホニル
フェニルアゾ) 2,6-ジエチルフェニルアゾ)-N-エチル-N
-(2-ヒドロキシエチル) アニリン(化合物[7])、4-(4
-(2,4,6- トリパーフルオロブチルスルホニルフェニル
アゾ) 2,6-ジエチルフェニルアゾ)-N-エチル-N-(2-ヒド
ロキシエチル) アニリン(化合物 [8])、4-(4-(4- パ
ーフルオロブチルスルホニルフェニルアゾ) フェニルア
ゾ)-N-エチル-N-(2-ヒドロキシエチル) アニリン、4-
(4-(2,4- ジパーフルオロブチルスルホニルフェニルア
ゾ) フェニルアゾ)-N-エチル-N-(2-ヒドロキシエチル)
アニリン、4-(4-(2,4,6- トリパーフルオロブチルスル
ホニルフェニルアゾ) フェニルアゾ)-N-エチル-N-(2-ヒ
ドロキシエチル) アニリン、4-(4-(4- ヒドロキシメチ
レンパーフルオロブチルスルホニルフェニルアゾ)-1-ナ
フチルアゾ)-N-エチル-N-(2-ヒドロキシエチル) アニリ
ン、4-(4-(4- ヒドロキシメチレンパーフルオロブチル
スルホニルフェニルアゾ) 2,6-ジエチルフェニルアゾ)-
N-エチル-N-(2-ヒドロキシエチル) アニリン、4-(4-(4
- パーフルオロブチルスルホニルフェニルビニレン)-1-
ナフチルビニレン)-N-エチル-N-(2-ヒドロキシエチル)
アニリン、4-(4-(2,4- ジパーフルオロブチルスルホニ
ルフェニルビニレン)-1-ナフチルビニレン)-N-エチル-N
-(2-ヒドロキシエチル) アニリン、4-(4-(2,4,6- トリ
パーフルオロブチルスルホニルフェニルビニレン) -1-
ナフチルビニレン)-N-エチル-N-(2-ヒドロキシエチル)
アニリン、4-(4-(4- パーフルオロブチルスルホニルフ
ェニルアゾキシ)-1-ナフチルアゾキシ)-N-エチル-N-(2-
ヒドロキシエチル) アニリン、4-(4-(2,4- ジパーフル
オロブチルスルホニルフェニルアゾキシ)-1-ナフチルア
ゾキシ)-N-エチル-N-(2-ヒドロキシエチル) アニリン、
4-(4-(2,4,6- トリパーフルオロブチルスルホニルフェ
ニルアゾキシ) ナフチルアゾキシ)-N-エチル-N-(2-ヒド
ロキシエチル) アニリン、4-(4-(4- パーフルオロブチ
ルスルホニルフェニルアゾメチン) フェニルアゾメチ
ン)-N-エチル-N-(2-ヒドロキシエチル) アニリン、4-
(4-(4- パーフルオロブチルスルホニルフェニルアゾメ
チン)-1-ナフチルアゾメチン)-N-エチル-N-(2-ヒドロキ
シエチル) アニリン等が挙げられる。
【0021】
【化3】
【0022】
【化4】
【0023】本発明の非線形光学材料の主要な機能を発
現する構造体は一般式 [1] で表される化合物である
が、この化合物の非線形光学材料中における存在形態
は、(1)一般式 [1] で表される一種の化合物の単
体、2種以上の化合物の混合物あるいはそれら化合物の
誘導体を高分子中に含有する組成物、(2)上記一般式
[1] 化合物を分子中に含有する高分子化合物(すなわ
ち、一般式 [1] 結合/配位高分子)、(3)2種以上
の一般式 [1] 結合/配位高分子の混合物あるいは1種
又は2種以上の一般式 [1] 結合/配位高分子と他の1
種又は2種以上の一般高分子との混合物(ポリマーブレ
ンド、又はポリマーアロイ)あるいは(4)上記各高分
子組成物あるいは高分子化合物を含有する無機/有機化
合物配合組成物のいずれでもよい。これら各物質を総称
して前記したように一般式 [1] 物質と称する。
【0024】上記において、一般式 [1] 結合/配位高
分子は、一般式 [1] 化合物が高分子鎖に結合又は配位
してなる高分子化合物を表す。ここで「高分子鎖に結合
又は配位してなる」とは一般式 [1] 化合物の分子が、
そのまま、あるいは他の骨格分子と共に連結して、主鎖
を構成するか、架橋単位あるいは末端単位として主鎖の
一環をなすか又は他の骨格分子からなる主鎖に側鎖とし
て連結してなる状態、あるいは他の骨格分子からなる主
鎖又は側鎖に存する配位子に配位結合によって結合して
いる状態を意味し、換言すれば、このような結合あるい
は配位によって高分子が一般式 [1] 結合/配位高分子
に機能化された状態を意味する。
【0025】上記における「結合」には、共有結合及び
イオン結合が、また「配位」には配位結合及び配位イオ
ン結合が含まれるものとする。側鎖結合型の一般式
[1] 結合/配位高分子のうちには、一般式 [1] 化合
物が直接高分子化合物あるいはその側鎖に結合したもの
の他に、カップリング剤を介して高分子化合物と一般式
[1] 化合物が結合したものも含まれる。
【0026】また、上記した「上記各高分子化合物を含
有する無機/有機化合物配合組成物」の中には、上記各
高分子化合物の無機/有機溶媒による溶液、無機/有機
媒体による分散液も含まれる。
【0027】また、本発明の「一般式 [1] で表される
1種以上の化合物あるいそれらの誘導体が高分子物質中
に溶解又は分散してなる非線形光学材料」とは、一般式
[1] 化合物が高分子物質中に溶解あるいは分散してい
る状態にある組成物(以下、一般式 [1] 含有高分子組
成物と略称する。)を電場配向処理して非線形光学特性
を発現せしめた光学材料であって、この際、一般式
[1] 化合物の高分子物質中における存在状態は、一般
式 [1] 化合物が高分子物質に対して均一に溶解してい
る状態から、一部溶解一部分散の状態、及び完全に分散
の状態まで様々な溶解/分散状態のものを含んでいる。
また、「分散」の中には高分子物質のマトリックスの中
に一般式 [1] 化合物よりなる多数のミクロな粒子が島
/海状に分散したものから、一般式 [1] 化合物の粉
体、微小板状体等の粒子集積体の間隙に高分子物質が充
填し一般式 [1] 化合物が高分子物質によって粒界結合
されているものまで、様々な組成物を含んでいる。
【0028】上記した一般式 [1] 含有高分子組成物に
おける高分子物質の主剤としての高分子化合物の例とし
ては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソプレ
ン、ポリブタジエン、ポリ-4- メチルペンテン-1(PM
P)等のポリオレフィン;ポリアクリレート、ポリメチ
ルメタクリレート、ポリグリシジルメチルメタクリレー
ト等のアクリル・メタクリル樹脂;ポリビニルアルコー
ル、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、ポリエチ
レン酢酸ビニル(EVA)、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化
ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニールカルバゾー
ル、等のビニール系ポリマー;ポリスチレン、ポリ(4-
メチルスチレン)、ポリ(2-メチルスチレン)、ポリ
(4-アセチルスチレン)、ポリ(4-クロロスチレン)、
ABS樹脂、AS樹脂等のスチレン系ポリマー;ポリエ
チレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、
ポリエチレンナフタレンジカルボキシレート、ポリエチ
レンアジペート、等のポリエステル;ビスフェノールA
カーボネート(カーボネート樹脂)、ポリ- ジエチレン
グリコールビスアリルカーボネート(CR-39 )、ポリ
ジエトキシカルボニルエチレン等のポリカーボネート;
ビスフェノールテレ/イソフタレート等の非晶ポリアリ
レート;ポリエチレンオキシド、ポリオキシテトラメチ
レン、ポリオキシメチレン、ポリオキシ-2,6-ジメチル
-1,4-フェニレン(PP0又は変性PPE)等のポリエ
ーテル系ポリマー;ナイロン6、ナイロン66、ナイロ
ン3、ナイロン46、ナイロン56、ナイロン62、ナ
イロン6-12、等のポリアミド;ポリ-P- フェニレン
アミド等のアラミド;PVF、PVDF、PFE、FE
P、PFA、ETFE等のフッ素樹脂;エチルセルロー
ス、セルロースジアセテート、セルローストリアセテー
ト等のセルロース系ポリマー又はウレタン樹脂、エポキ
シ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、ポ
リイミド等の熱硬化性樹脂あるいはこれら各高分子の一
種以上の構成単位を含むブロック及び/又はランダム共
重合体、ならびにこれら各高分子化合物の2種以上を含
む混合物(ポリマーブレンド又はポリマーアロイ)が挙
げられる。
【0029】上記高分子の分子量は、MW 3,000 〜1,00
0,000 程度のものが推奨される。このうちMW 5,000 〜
100,000 が特に好ましい。上記高分子のうち、透明性に
優れたアクリル・メタクリル樹脂、ポリスチレン、カー
ボネート樹脂、PMP、CR- 39、ポリビニルアルコ
ール、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、EV
A、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等が特に好ましい。ま
た、透明性ABS、透明性ナイロン、透明化変性共重合
ポリエステル樹脂等の透明性改質エンジニアリングプラ
スチックスや光硬化樹脂/感光性樹脂(ラジカル重合型
アクリレート系、光付加重合型ポリオール・ポリエン系
等)、エチレン不飽和カルボン酸系アイオノマー等の透
明機能性樹脂も好適に適用できる。これらの例における
分子量としては、MW 5,000 〜100,000 が好ましい。
【0030】一般式 [1] 化合物と上記高分子物質の比
率は、特に限定されないが、一般式[1] 化合物の含有
量が上記高分子にたいし、0.2 重量%〜95重量%である
ことが好ましい。一般式 [1] 化合物の含有量が0.2 重
量%より少ないと、光の吸収係数が小さくなり、非線形
光学感受率が下がるという問題が生じる。なお、薄膜の
少なくとも1面が基板や極板等によって保護されていな
い状態で使用する場合には、一般式 [1] 化合物の含有
量の上限を50重量%とするのが好ましい。その理由は、
一般式 [1] 化合物の含有率が50重量%より大きいと、
得られる薄膜の機械的強度が小さくなるという問題が生
じるからである。
【0031】一般式 [1] 含有高分子組成物における高
分子物質の高分子化合物以外の配合物として従来公知の
各種高分子添加剤を配合することができるが、例えば、
ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン、サリチル酸エス
テル等の光安定剤を添加するのは耐光性及び耐候性を向
上する上で極めて有効である。一般に、これらの添加剤
の含有量は、非線形光学材料に対し、0.5 〜15重量%で
あるが、このうち、2〜10重量%が好ましい。
【0032】一般式 [1] 含有高分子組成物の好適な例
としては、化合物 [3] 〜化合物 [8] とポリメチルア
クリレート、ポリメチルメタアクリレート、ポリグリシ
ジルメタクリレート、これらの樹脂の2種以上の構成単
位を含む共重合体、ポリカーボネート、透明性改質タイ
プのポリウレタン樹脂あるいはエポキシ樹脂等の高分子
物質とからなる組成物等が例示される。
【0033】一般式 [1] 結合/配位高分子の場合に
は、一般式 [1] 化合物が前記高分子の主鎖あるいは側
鎖の一部に含まれるため、非線形性成分の含有量が向上
し、非線形光学定数の大きな系が得られる。この場合の
一般式 [1] 化合物の含有量は、20〜80重量%であるこ
とが好ましい。一般式 [1] 化合物を担う好ましい骨格
高分子としては、ポリアクリレート/メタクリレート
系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリウレタン系等
の高分子が挙げられる。
【0034】本発明の「一般式 [1] 結合/配位高分子
を含有してなる組成物」とは、一般式 [1] 結合/配位
高分子を含む配合・混合物、積層物、複合物等の凡ての
組成物を意味する。例えばその好適例としては、(1)
一般式 [1] 結合/配位高分子単体、(2)2種以上の
一般式 [1] 結合/配位高分子の混合物(ポリマーブレ
ンド又はポリマーアロイ)、(3)一般式 [1] 結合/
配位高分子と通常の高分子物質との混合物(ポリマーブ
レンド又はポリマーアロイ)、あるいは(4)一般式
[1] 結合/配位高分子と一般式 [1] 化合物、一般の
無機・有機化合物、それら化合物を含む各種高分子配合
剤あるいは補強材、充填材等の各種高分子配合材との配
合・混合物等の配合・混合物あるいはこれら(1)〜
(4)等の各配合・混合物の2種以上の配合・混合物が
挙げられる。
【0035】一般式 [1] 結合/配位高分子の好適な例
としては、化合物4-(4-(4- パーフルオロブチルスルホ
ニルフェニルアゾ) フェニルアゾ)-N-エチル-N-(2-ヒド
ロキシエチル) アニリン、4-(4-(2,4- ジパーフルオロ
ブチルスルホニルフェニルアゾ) フェニルアゾ)-N-エチ
ル-N-(2-ヒドロキシエチル) アニリンあるいは4-(4-
(2,4,6- トリパーフルオロブチルスルホニルフェニルア
ゾ) フェニルアゾ)-N-エチル-N-(2-ヒドロキシエチル)
アニリンのN-エチル-N-(2-ヒドロキシエチル) アミノ基
の水酸基をメタクリル酸と縮合させた形のメタクリル酸
エステルとメチルメタクリレートとの共重合体である一
般式 [9] で表される共重合メタクリル樹脂(ここでエ
ステル性側鎖基R13は、それぞれ側鎖 [10] 〜 [12] で
表される基である。)、化合物 [3] 、 [4] あるいは
[5] のN-エチル-N-(2-ヒドロキシエチル) アミノ基の
水酸基をメタクリル酸と縮合させた形のメタクリル酸エ
ステルとメチルメタクリレートとの共重合体である一般
式 [13] で表される共重合メタクリル樹脂(ここでエス
テル性側鎖基R14は、それぞれ側鎖 [14] 〜 [16] で表
される基である。)、化合物 [6] 、 [7] あるいは
[8] のN-エチル-N-(2-ヒドロキシエチル) アミノ基の
水酸基をメタクリル酸と縮合させた形のメタクリル酸エ
ステルとメチルメタクリレートとの共重合体である一般
式 [17] で表される共重合メタクリル樹脂(ここでエス
テル性側鎖基R15は、それぞれ側鎖 [18]〜 [20] で表
される基である。)、化合物 [6] 、 [7] あるいは
[8] のエチル基をそれぞれメチル基に置換した化合物
のN-エチル-N-(2-ヒドロキシエチル)アミノ基の水酸基
をメタクリル酸と縮合させた形のメタクリル酸エステル
とメチルメタクリレートとの共重合体である一般式 [2
1] で表される共重合メタクリル樹脂(ここでエステル
性側鎖基R16は、それぞれ側鎖 [22] 〜 [24] で表され
る基である。)、4-(4-(4- ヒドロキシメチレンパーフ
ルオロブチルスルホニルフェニルアゾ)-1-ナフチルア
ゾ)-N-エチル-N-(2-ヒドロキシエチル) アニリンの両端
の水酸基とメタクリル酸とを縮合させた形のジメタクリ
ル酸エステルとトリメチールプロパントリアクリレート
との共重合体である一般式 [25] で表される共重合アク
リル・メタクリル樹脂(ここで 11 は共重合体の構成
主鎖単位 [26]である。) 、4-(4-(4- ヒドロキシメチ
レンパーフルオロブチルスルホニルフェニルアゾ)-1-ナ
フチルアゾ)-N-エチル-N-(2-ヒドロキシエチル) アニリ
ンとイソシアネート樹脂(ポリイソシアネート)との硬
化反応によって得られる一般式 [27] で表される架橋ポ
リイソシアネート(ここで 22 は樹脂の架橋基[28]で
ある。) 等の高分子物質が例示される。
【0036】
【化5】
【0037】
【化6】
【0038】
【化7】
【0039】
【化8】
【0040】
【化9】
【0041】
【化10】
【0042】本発明の非線形光学材料はそのまま、ある
いは基板等の平面に被覆した状態の皮膜状に成形して非
線形光導波路素子として利用することができる。本発明
の「非線形光学材料を用いてなる」との表現はこの非線
形光学材料を用いて形成されていることを意味し、その
形成のプロセスとしては、そのまま、あるいは上記のよ
うな成形により薄膜状の皮膜を製膜し、必要に応じて他
の素材とともにチャンネル化、電場配向を行い非線形光
導波路素子を形成する工程を意味している。
【0043】かくして成形された非線形光学材料よりな
る皮膜を非線形光学層と称する。上記した非線形光導波
路素子の基板の例としては、パイレックス基板、グラフ
ァイト基板、MoS2基板、KCl 基板、NaCl基板等が挙げら
れる。このうち特に、石英基板、パイレックス基板、シ
リコン基板が好適である。上記の基板の厚さは、特に限
定されないが、0.1 mm以上が好ましい。特に基板の厚さ
が、0.1 mmより小さいと、基板の平面性と望ましい強度
が得られないという問題が生じる。上記非線形光学層の
膜厚は、基板の屈折率、該非線形光学層の屈折率、該非
線形光学層の非線形感受率等により異なるが、一般に、
0.1 〜5μm である。非線形光学層の膜厚が、0.1 μm
より小さいと、充分な非線形光学特性が得られないとい
う問題が生じ、非線形光学層の膜厚が5μm より大きい
と、導波光の制御が困難になるという問題が生じる。こ
のうち、0.3 〜2μm が好ましい。
【0044】本非線形光学材料を上記の基板上に製膜し
て非線形光学層を形成するには、スピンコート法、キャ
スト法、ディップコート法、溶融プレス法、蒸着法、L
B膜法、エピタキシャル法等の公知の技術を用いること
ができる。非線形光学材料が高分子を含有しない場合に
は、スピンコート法、キャスト法、ディップコート法、
蒸着法、LB膜法、エピタキシャル法を用いることがで
きる。このうち、スピンコート法が特に好ましい。スピ
ンコート法、キャスト法、ディップコート法で一般式
[1] 含有高分子組成物の非線形光学層を製膜する場合
には、一般式 [1] 化合物と高分子をアセトン、メチル
エチルケトン、クロロホルム、塩化メチレン、ジオキサ
ン、DMF、DMA、ピリジン、トルエン、酢酸エチル
等の有機溶媒に溶解して、この溶液を基板上に塗布す
る。上記溶媒のうち、クロロホルム、塩化メチレンが特
に好ましい。
【0045】上記非線形光導波路素子の非線形光学層に
は、一般に、光を伝搬させることができるが、この非線
形光学層に光を閉じ込めるための導波路(クラッド)を
さらに設けてもよい。その導波路は、光が素子中を伝搬
する際の主媒体であり、素材としては非線形光学層より
一段と屈折率の小さな材料が選択する必要がある。その
例としては、ガラス、ポリカーボネート、ポリメチルメ
タアクリレート、As2S3 、 As2S5、 ZnO、LiTaO3、LiTa
O3、Nb2O5 、Ta2O5 、Si3N4 が挙げられる。このうち、
ガラス、ポリメチルメタアクリレート、ZnO が特に好ま
しい。この導波路は、スラブ型、チャネル型、ボール型
の形状をとることができる。このうち、スラブ型及びチ
ャネル型が特に好ましい。上記の導波路の断面形状及び
長さは導波路の伝搬損失及び屈折率によるため特に限定
されないが、スラブ型の場合には、導波路層の厚みは0.
05〜3μm であり、長さは、1〜30mmで用いることがで
きる。チャネル型の場合には、チャネル間の距離は、2
〜30μm で用いることができる。スラブ型導波路を作製
するには、スピンコート法、蒸着法、スパッタリング
法、CVD法、イオン交換法イオン注入法、エピタキシ
ャル法等を用いることができる。チャネル型導波路を作
製するには、イオン交換法、ホトリソグラフィー法、エ
ッチング法、スパッタリング法、イオン注入法、エピタ
キシャル法を用いることができる。好ましくは、エッチ
ング法、イオン交換法、ホトリソグラフィー法が挙げら
れる。
【0046】本発明で用いられる非線形光学材料は、例
えば、上記の基板及び導波路上に製膜されて非線形光学
層を形成する。上記非線形光学層は、光が素子中を伝搬
する際に非線形光学特性を生じさせる層である。本発明
の非線形光導波路素子には、適宜、非線形光学層の上下
に電極を設けて使用する。電極としては、種々の導電体
が推奨されるが、好ましくは、ITO 、金、銀、クロム、
アルミニウムが挙げられる。
【0047】上記非線形光学層は、前記一般式 [1] 物
質よるなる非線形光学材料により形成されるが、その他
の公知の有機非線形光学材料を含んでもよい。これら公
知の有機非線形光学材料の例としては、ポリジアセチレ
ン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリアニリ
ン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリジイン誘導体、
ポリピロール誘導体、フタロシアニン誘導体等が挙げら
れる。
【0048】本発明の非線形光導波路素子は、直線型、
Y分岐型、方向性結合型、マッハチェンダー干渉型、フ
ァブリペロー共振器型、分極反転型SHG素子の種々の
形態のものが使用できる。本発明の非線形光学層に導波
光を励振させる場合には、端面結合法、プリズム結合
法、グレーティング結合法、ホログラフィク結合法、テ
ーパ結合法等の方法を用いることができる。
【0049】
【実施例】以下に本発明を実施例によりさらに具体的に
説明する。ただし、本発明の範囲は、これら実施例に限
定されるものではない。
【0050】実施例1 化合物 [3] 、化合物 [4] 、化合物 [5] を合成し
た。化合物 [3] の合成は下記のように行なった。ま
た、化合物 [4] 、化合物 [5] の合成はこれに準じ
た。これら一般式 [1] 化合物を高分子物質に溶解した
一般式 [1] 物質からなる非線形光学層(薄膜)を製膜
し、その非線形光学特性を測定するとともに、それを非
線形光学材料として使用した非線形光導波路素子を作製
し、その素子性能を評価した。
【0051】化合物 [3] の合成 アセトン−エタノール−水混合溶媒中の4-(4- パーフル
オロブチルスルホニルフェニルアゾ)-1-ナフチルアミン
に塩酸を加えた。この溶液を0〜5℃に冷却した後、亜
硝酸ナトリウム水溶液を加え、6時間そのままの温度で
攪拌した。その後、N-エチル-N- ハイドロキシアニリン
のアセトン溶液を加えた。この混合物を室温で一晩攪拌
した。反応後、この反応混合物をジクロロメタンで抽出
し、生成物をシリカゲルカラムで精製し、化合物 [3]
を得た。この化合物の合成過程を化学式で表すと反応式
〔1〕に示すとおりである。
【0052】
【化11】
【0053】上記の合成より10%の収率で化合物は得ら
れた。この化合物の同定を行なったところ、19F NM
R吸収スペクトル測定(CDCl3、ext. CF3 CO
OH)より、δ - 2.02 (t、J= 9.9 HZ 、3
F)、- 32.7(t、J= 13.7HZ、2F)、- 42.0
(s、2F)、- 47.2(t、J= 13.7HZ 、2F)の結
果が得られ、また、EIMS測定より、(70eV)m/
Z (rel intensitiy)705 (M+ 、6)、391 (100
)、196 (30)、133 (76)の結果が得られ、所望の
化合物 [3] が合成されていることが確認できた。この
化合物 [3] はIR吸収スペクトル測定にてエタノール
中でλmax は558 nm、ヘキサン中でλmax は534 nmの特
性バンドを有するものであった。
【0054】非線形光学層の製膜 製膜はポリメチルメタクリレート(PMMA)と化合物
[3] のクロロホルム溶液をガラス基板上に滴下しスピ
ンコート法により薄膜化して行なった。その結果、PM
MAと化合物 [3] のモル比、および、触針式膜厚計
(Sloan 社製デクタック3030)で測定して得られた
薄膜の膜厚を表1に示す。
【0055】
【表1】
【0056】非線形光学層の非線形光学特性測定 このようにして得られた膜を図1に示すようなコロナ放
電装置を用い、試料をそのガラス転移温度以上すなわち
110 ℃に加熱しながら、放電電圧以下の臨界電圧、すな
わち10kV/cm の電界を2分間印加して、電場配向処理を
施した。その後、加熱を止め放冷し、30℃になるまで電
界の印加を続けた。電界を切断後、試料を取り出し非線
形光学定数(d33)を測定した。図1において、1はコ
ロナ放電器(ここでは先端状電圧負荷極として利用)、
2は測定用の試料、3は平板電極を表面に有する温度調
節試料台、4は高圧電源を表す。得られた薄膜の非線形
光学特性を評価するのに、回転メーカーフリンジ法を用
いた。QスイッチNd:YAGレーザーの偏光ビーム
(波長:1.064 μm )はサンプルに集光された。得られ
た二次の高調波は、分光され、光電子増倍管により検出
された。ボックスカー積分器から得られた平均出力は、
サンプルへの入射ビームの入射角の関数としてコンピュ
ーターにより計算された。
【0057】
【表2】
【0058】非線形光導波路素子(スラブ型光導波路素
子)の作製及び素子性能評価 Yカット石英板(d11=0.33pm/V)を参照サンプルとし
て用いた。その結果、試料1から4の二次の非線形光学
定数d33の値と、スラブ型光導波路で、波長1.064 μm
での伝搬損失値を表2に示す。その後、この中の試料2
と同条件で作成した試料を50℃、および80℃に放置し任
意時間毎に非線形光学特性を上記回転メーカーフリンジ
法にて測定した。その結果を0時間の非線形光学定数を
1としてそれぞれ、図2および図3に示す。図2は、上
記試料の50℃における非線形光学定数d33の経時変化を
示すグラフ図であり、図3は、同上試料の80℃における
非線形光学定数d33の経時変化を示すグラフ図である。
同図2および図3において、試料は下記のとおりの記号
を用いて表記した。 ■; 実施例1試料2(化合物 [3])、 ●; 比較例1試
料2(DR-1) 50℃の場合、1万時間後でも非線形光学定数(d33)は
0時間のおよそ75%を示す。80℃の場合でも、1万時間
後で非線形光学定数(d33)は0時間の50%を示す。
【0059】非線形光導波路素子(チャネル型光導波路
素子)の作製 次に、金電極及びアンダークラッド層(Si02)を設けた
シリコン基板上に、化合物 [3] とPMMAを10:100
のモル比で混合したクロロホルム溶液を滴下しスピンコ
ート法により薄膜化した(膜厚:4μm )。この薄膜の
表面にエポキシ樹脂をスピンコート法により薄層被覆し
た。さらに、その上部の必要な部分に、金電極を設け
た。基板を110 ℃に加熱し上部と下部の金電極の間に1
MV/cm の電界を2分間印加し、化合物 [3] の配向処理
を行った。30℃まで放冷して、電界を遮断した。次い
で、上部金電極を取り除いた後に、ポジ形レジストを塗
布し、必要な導波路パターンのマスクを用いてフォトリ
ソグラフィーを行なった。その後レジストをマスクとし
てO2 を用いたRIEを行ない、光導波路部を残してポ
リマー部分をエッチングした。その後レジストを剥離液
を用い取り除いた。エポキシ樹脂を全体に塗布しアウタ
ークラッドとした。次に素子駆動用の金電極を光導波路
部上部にフォトリソグラフィーを用い形成し、チャネル
型導波路からなるマッハチェンダー干渉型光素子が形成
された。素子形成後、素子を切り離し光導波路端面を光
学研磨した。導波路の幅は5μm で長さは、20mmであっ
た。得られた光導波路素子の構成を図4に示す。図4は
上記マッハチェンダー干渉型光素子の斜視図であって、
5は光導波路を区画するアウタークラッド(導波路材料
と屈折率が画然と異なった樹脂材料等よりなる。)、6
は一方の光導波路分岐(電界負荷パス)の上層に設けた
平板型の上部電極、7は本発明の非線形光学材料よりな
る非線形光導波路であって2本の分岐すなわち電界負荷
パスと非電界パスとが入力光路と出力光路にそれぞれ両
端にて連結した構造となっている。8は入力光路に入射
する入力光、9は下部電極を表面に積層した基板、10
は基板とアンダークラッド層との間に積層された下部電
極、11は下部電極の上層に被覆されたアンダークラッ
ド層、12は出力光路より系外に出射する出力光を表
す。このマッハチェンダー干渉型光素子にて上部電極と
下部電極に電場印可しつつ入力光路に光を入射すること
により電界負荷パスと非電界パスとの間で光波に位相差
が発生し、出力光に干渉光が混じった位相変調光が得ら
れる。
【0060】非線形光導波路素子(チャネル型光導波路
素子)の素子特性評価 この光導波路素子を用いてHe−Neレーザーの発振波
長(0.63μm )の光を端面結合法により励振させた結
果、約3Vの半波長電圧が得られた。電気光学定数は、
64pm/Vの値であった。また、非常に、優れた光変調特性
を示し、消光比は25dBであった。
【0061】また、化合物 [4] あるいは化合物 [5]
をPMMA100 モルに対し10モル用い、化合物 [3] を
用いた場合と同様にマッハチェンダー干渉型光素子を作
成し、測定を行なった結果、それぞれ半波長電圧はいず
れも約3Vであり、電気光学定数はそれぞれ60pm/Vと58
pm/Vであった。また、これらの素子は、非常に優れた光
変調特性を示し、消光比はいずれも22dBであった。
【0062】比較例1 非線形光学層の製膜及びその非線形光学特性測定〔非線
形光導波路素子(スラブ型導波路素子)の作製及び素子
性能評価〕 非線形光学材料の比較例としてAldrich Chmical Compan
y Inc.社製のディスパースレッド1 (DR-1) を用い、
実施例1と同様にDR-1/PMMAクロロホルムの溶液
を作成し、ガラス基板上にスピンコート法により薄膜を
作成した。この際のPMMAとDR-1のモル比、及び触
針式膜厚計(Sloan 社製デクタック3030)で測定し
た得られた薄膜の膜厚を表3に示す。
【0063】
【表3】
【0064】これらの試料を図1に示すコロナ放電装置
に設置し、基板を110 ℃に加熱し、10kV/cm の電圧を2
分間印加した。その後、30℃まで放冷し、電圧印加を切
断し、試料を取り出した。次にこの試料の非線形光学特
性を回転メーカーフリンジ法を用いて測定した。Qスイ
ッチNd:YAGレーザーの偏光ビーム(波長:1.064
μm )はサンプルに集光された。得られた二次の高調波
は、分光され、光電子増倍管により検出された。ボック
スカー積分器から得られた平均出力は、サンプルへの入
射ビームの入射角の関数としてコンピューターにより計
算された。Yカット石英板(d11=0.33pm/V)を参照サ
ンプルとして用いた。その結果、膜の形成が可能であっ
た試料1と2の二次の非線形光学定数d33の値と、スラ
ブ型光導波路で、波長1.064μm での伝搬損失値を表4
に示す。
【0065】
【表4】
【0066】実施例1と比べた場合、非線形光学定数は
小さいものであり、さらに伝搬損失は大きくなってい
る。その後、この試料2と同条件で作成した試料を50
℃、及び80℃に放置し、任意時間毎に非線形光学特性を
上記回転メーカーフリンジ法にて測定した。その結果を
0時間の非線形光学定数を1として図2および図3に示
す。50℃の場合、非線形光学定数(d33)は1万時間後
に0時間の20%になり、また80℃の場合では50時間後に
非線形光学特性は測定不可能になった。いずれも実施例
1の場合とくらべて、減少の度合いが大きくなってい
る。
【0067】非線形光導波路素子(チャネル型導波路素
子)の作製 次に、金電極及びアンダークラッド層(SiO2)を設けた
シリコン基板上に、DR-1とPMMAを10:100 のモル
比で混合したもののクロロホルム溶液をスピンコートし
薄膜化した(膜厚:4μm )。次に、ポリマーフィルム
の表面にエポキシ樹脂をスピンコート法により製膜し
た。さらに、その上部の必要な部分に金電極を設けた。
基板を110 ℃に加熱し上部と下部の金電極の間に1MV/c
m の電界を2分間印加し、DR-1の配向処理を行った。
30℃まで放冷し、電界を遮断した。次いで、上部金電極
を取り除いた後に、ポジ形レジストを塗布し、必要な導
波路パターンのマスクを用いてフォトリソグラフィーを
行なった。その後レジストをマスクとしてO2 を用いた
RIEを行ない、光導波路部を残してポリマー部分をエ
ッチングした。その後レジストを剥離液を用いて取り除
いた。エポキシ樹脂を全体に塗布しアウタークラッドと
した。次に素子駆動用の金電極を光導波路部上部にフォ
トリソグラフィーを用い形成し、チャネル型導波路から
なるマッハチェンダー干渉型光素子が形成された。この
素子を切り離し光導波路端面を光学研磨した。導波路の
幅は5μm で長さは、20mmであった。得られた光導波路
素子は、図4に示した構造体である。
【0068】非線形光導波路素子(チャネル型導波路素
子)の素子特性評価 HeーNeレーザーの発振波長(0.63μm )の光を端面
結合法により励振させた結果、約3Vの半波長電圧が得
られた。電気光学定数は、42pm/Vの値であった。また、
光変調特性を示し、消光比は5dBであった。それぞれの
値とも実施例1と比べて劣るものであった。
【0069】実施例2 化合物 [6] 、化合物 [7] 、化合物 [8] を合成し
た。化合物 [6] の合成は以下のように行なった。ま
た、化合物 [7] 、化合物 [8] の合成はこれに準じ
た。これら一般式 [1] 化合物を高分子物質に溶解した
一般式 [1] 物質からなる非線形光学層(薄膜)を製膜
し、その非線形光学特性を測定するとともに、それを非
線形光学材料として使用した非線形光導波路素子を作製
し、その素子性能を評価した。
【0070】化合物 [6] の合成 アセトン/エタノール/水混合溶媒中の4-(4- パーフル
オロブチルスルホニルフェニルアゾ)-2,6-ジエチルア
ニリンに塩酸を加えた。この溶液を0〜5℃に冷却した
後、亜硝酸ナトリウム水溶液を加え、6時間そのままの
温度で攪拌した。その後、N-エチル-N- ハイドロキシア
ニリンのアセトン溶液を加えた。この混合物を室温で一
晩攪拌した。反応後、この反応混合物をジクロロメタン
で抽出し、生成物をシリカゲルカラムで精製し、15%の
収率で目的とする化合物相当物が得られた。この化合物
について同定を行なったところ、MS(70eV)m/z (re
l intensity )711 (M+ 、56)、696 (64)、412
(85)、179 (56)、133 (100 )、76(97)の結果が
得られ、所望の化合物 [6] が合成されていることが確
認できた。この化合物 [6] はエタノール中でλmax
426 nm、ヘキサン中でλmax は413 nmであった。
【0071】非線形光学層の製膜及び非線形光学特性測
定〔非線形光導波路素子(スラブ型導波路素子)の作製
及び素子性能評価〕 本化合物の製膜はポリカーボネート(PC)と化合物
[6] のクロロホルム溶液をガラス基板上に滴下し、ス
ピンコート法により薄膜化して行なった。この際PCと
化合物 [6] のモル比、および、触針式膜厚計(Sloan
社製デクタック3030)で測定した得られた薄膜の膜
厚を表5に示す。
【0072】
【表5】
【0073】このようにして得られた試料を図1に示す
ようなコロナ放電装置を用い、膜を150 ℃に加熱し、放
電電圧以下の臨界電圧、すなわち10kV/cm の電界を2分
間印加した。その後、加熱を止め放冷し、30℃になるま
で電界の印加を続けた。電界を切断後、試料を取り出し
回転メーカーフリンジ法を用い非線形光学定数(d33
を測定した。QスイッチNd:YAGレーザーの偏光ビ
ーム(波長:1.064 μm )はサンプルに集光された。得
られた二次の高調波は、分光され、光電子増倍管により
検出された。
【0074】
【表6】
【0075】ボックスカー積分器から得られた平均出力
は、サンプルへの入射ビームの入射角の関数としてコン
ピューターにより計算された。Yカット石英板(d11
0.33pm/V)を参照サンプルとして用いた。その結果、試
料1から4の二次の非線形光学定数d33の値と、スラブ
型光導波路で、波長1.064 μm での伝搬損失値を表6に
示す。その後、この中の試料2を80℃に放置し任意時間
毎に非線形光学特性を上記回転メーカーフリンジ法にて
測定した。その結果を0時間の非線形光学定数を1とし
て図5に示す。図5は、上記試料の80℃における非線形
光学定数d33の経時変化を示すグラフ図である。同図5
において、試料は下記のとおりの記号を用いて表記し
た。 ■; 実施例2試料2(化合物 [6])、 ●; 比較
例2試料2(DR-1) 80℃の放置の場合、1万時間後で非線形光学定数
(d33)は0時間のおよそ70%を示す。
【0076】また、化合物 [7] 、化合物 [8] とPC
の10:100 のモル比で混合したものから、化合物 [6]
を用いた場合と同様に非線形光学定数d33を測定したと
ころ、それぞれ67pm/V、64pm/Vであり、同じく伝搬損失
はそれぞれ4.0 dB/cm と3.9dB/cm であった。
【0077】比較例2 非線形光学層の製膜及び非線形光学特性測定〔非線形光
導波路素子(スラブ型導波路素子)の作製及び素子性能
評価〕 比較例としてAldrich Chmical Company Inc.社製のディ
スパースレッド1 (DR-1) を用い、実施例2と同様に
PC:DR-1クロロホルムの溶液を作成し、ガラス基板
上にスピンコート法により、薄膜を作成した。この時P
CとDR-1のモル比、および、触針式膜厚計(Sloan 社
製デクタック3030)で測定した得られた薄膜の膜厚
を表7に示す。
【0078】
【表7】
【0079】これらの試料を図1に示すコロナ放電装置
に設置し、基板を150 ℃に加熱し、10kV/cm の電圧を2
分間印加した。その後、30℃まで放冷し、電圧印加を切
断し、試料を取り出した。次に、この試料の非線形光学
特性を回転メーカーフリンジ法を用いて測定した。Qス
イッチNd:YAGレーザーの偏光ビーム(波長:1.06
4 μm )はサンプルに集光された。得られた二次の高調
波は、分光され、光電子増倍管により検出された。ボッ
クスカー積分器から得られた平均出力は、サンプルへの
入射ビームの入射角の関数としてコンピューターにより
計算された。Yカット石英板(d11=0.33pm/V)を参照
サンプルとして用いた。その結果、試料1と2の二次の
非線形光学定数d33の値と、スラブ型光導波路で、波長
1.064 μm での伝搬損失値を表8に示す。
【0080】
【表8】
【0081】この際、実施例2と比べて、非線形光学定
数は小さなものになっている。その後、このなかの試料
2を80℃に放置し任意時間毎に非線形光学特性を上記回
転メーカーフリンジ法にて測定した。その結果を0時間
の非線形光学定数を1として図5に示す。80℃の放置の
場合、1万時間後に非線形光学特性は5%程度となり、
ほとんど観察できなくなった。
【0082】実施例3 一般式 [9] にて表されるメタクリル系高分子鎖に官能
側鎖R13として側鎖 [10] 、側鎖 [11] 、側鎖 [12] を
それぞれ有する3種の高分子化合物(それぞれ、側鎖
[10] を有する一般式 [9] 高分子化合物、側鎖 [11]
を有する一般式 [9] 高分子化合物、側鎖 [12] を有す
る一般式 [9] 高分子化合物と称する。以下同様)を合
成した。側鎖 [10] を有する一般式 [9] 高分子化合物
の合成は以下のように行なった。側鎖 [11] を有する一
般式 [9] 高分子化合物、及び側鎖[12] を有する一般
式 [9] 高分子化合物の合成はこれに準じて行った。こ
れら一般式 [1] 結合/配位高分子を非線形光学材料と
して用いた非線形光導波路素子を作製し、その素子性能
を評価した。
【0083】側鎖 [10] を有する一般式 [9] 高分子化
合物の合成 まず、メタクリ酸クロライド及び(N-エチル)アニリノ
-2- エタノールを、乾燥したテトラヒドロフラン中、ト
リエチルアミン存在下で、室温で24時間反応させた。
反応後、反応混合物を水と混合し、反応生成物をジエチ
ルエーテルで抽出、さらにシリカゲルカラムで精製し、
化合物 [29] を得た。次にこの化合物 [29] をメチルメ
タクリレートとj:k=10:100の比率で混合して、これ
らの0.1mol %に相当するアゾビスイソブチルニトリル
を混合し、溶存酸素を凍結ー脱気ー溶解を繰り返すこと
により取り除き、アンプル中に封入して、65℃で24時間
重合反応させた。反応後、重合体を、クロロホルムに溶
解させ、メタノールで再沈殿することにより精製し、化
合物 [30] を得た。4-(4- パーフルオロブチルスルホニ
ルフェニルアゾ)-1-アニリンを酢酸に加熱溶解し、更に
10℃以下に冷却した。次に、亜硝酸ナトリウムを硫酸に
発熱しないよう除々に加え溶解した。これを前記4-(4-
パーフルオロブチルスルホニルフェニルアゾ)-1-アニリ
ンの酢酸溶液に液温が10℃を越えないように注意しな
がら滴下した。次いで、反応液を10℃以下に冷却し、ヘ
キサフロオロりん酸カリウムを少量の水で溶かして加え
15分程度撹拌した。析出する沈殿をガラスフィルターで
採取し、少量の酢酸で洗浄し、化合物 [31] が得られ
た。さらにこれらの化合物 [30] と化合物 [31] に、酢
酸ナトリウムを添加し、室温下で24時間反応させた。こ
の反応混合物をメタノール中に加え、再沈殿法により目
的とする高分子化合物相当物が得られた。実施例1と同
様にこの化合物を同定したところ、確かに側鎖 [10] を
有する所望の高分子化合物( [9]:[10]) が得られてい
ることが確認された。この合成過程を化学式にて表すと
下記の反応式〔2〕〜〔5〕に示すとおりである。
【0084】
【化12】
【0085】非線形光導波路素子(チャネル型導波路素
子)の作製 金電極及びアンダークラッド層(SiO2)を設けたシリコ
ン基板上に、この化合物(j:k=10 :100 )のクロロ
ホルム溶液をスピンコートし薄膜化した(膜厚:4μm
)。次に、ポリマーフィルムの表面にエポキシ樹脂を
スピンコート法により製膜した。さらに、その上部に必
要な部分に、金電極を設けた。基板を140℃に加熱し上
部と下部の金電極の間に1MV/cm の電界を2分間印加
し、本高分子化合物の配向処理を行った。30℃まで放冷
し、電界を遮断した。上部金電極を取り除いた後に、ポ
ジ形レジストを塗布し、必要な導波路パターンのマスク
を用いてフォトリソグラフィーを行なった。その後レジ
ストをマスクとしてO2 を用いたRIEを行ない、光導
波路部を残してポリマー部分をエッチングした。その後
レジストを剥離液を用い取り除いた。エポキシ樹脂を全
体に塗布しアウタークラッドとした。次に素子駆動用の
金電極を光導波路部上部にフォトリソグラフィーを用い
形成し、チャネル型導波路からなるマッハチェンダー干
渉型光素子が形成された。この素子を切り離し光導波路
端面を光学研磨した。導波路の幅は5μmで長さは、20m
mであった。かくして得られた光導波路素子は、図4に
示した構造体である。
【0086】非線形光導波路素子(チャネル型導波路素
子)の素子性能評価 本素子を用いてHe−Neレーザーの発振波長(0.63μ
m )の光を端面結合法により励振させた結果、約3.5 V
の半波長電圧が得られた。電気光学定数は、61pm/Vの値
であった。また、非常に、優れた光変調特性を示し、消
去比は24dBであった。同様にj:k=10 :100 の側鎖
[11] を有する高分子化合物、及び側鎖 [12] を有する
高分子化合物を合成し、マッハチェンダー干渉型光素子
を作製した。He−Neレーザーの発振波長(0.63μm
)の光を端面結合法により励振させた結果、電気光学
定数は、それぞれ57pm/V、54pm/Vの値であった。消去比
はいずれも24dBと優れたものであった。
【0087】比較例3 下記一般式 [32] にて表されるメタクリル系高分子鎖に
官能側鎖R17として側鎖 [33] を有する高分子化合物を
合成した。これら一般式 [1] 結合/配位高分子を非線
形光学材料を用い非線形光導波路素子を作製し、その素
子性能を評価した。
【0088】
【化13】
【0089】側鎖 [33] を有する一般式 [32] 高分子化
合物の合成 まず、実施例3と同様に、化合物 [30] を得た。次に、
4-(4- ニトロフェニルアゾ)-1-アニリンを酢酸に加熱溶
解し、更に10℃以下に冷却した。次に、亜硝酸ナトリウ
ムを硫酸に発熱しないよう除々に加え溶解した。これを
前記4-(4- ニトロフェニルアゾ)-1-アニリンの酢酸溶液
に、液温が10℃を越えないように注意しながら滴下し
た。つぎは、反応液を10℃以下に冷却し、ヘキサフロオ
ロりん酸カリウムを少量の水で溶かして加え15分程度撹
拌した。析出する沈殿をガラスフィルターで採取し、少
量の酢酸で洗浄して、化合物 [34] を得た。さらに化合
物[30]と化合物[34]に酢酸ナトリウムを添加し、室温下
で24時間反応させた。反応後、反応混合物をメタノール
中に加え、再沈殿法により目的とする高分子化合物相当
物を得た。この化合物を実施例1と同様に同定した結
果、確かに側鎖 [33] を有する一般式 [32] 高分子化合
物が得られていることが判明した。
【0090】非線形光導波路素子(チャネル型導波路素
子)の作製 金電極及びアンダークラッド層(SiO2)を設けたシリコ
ン基板上に、上記高分子化合物(j:k=10 :100 )の
クロロホルム溶液をスピンコートし薄膜(膜厚:4μm
)を製膜した。次に、この薄膜の表面にエポキシ樹脂
をスピンコート法により被覆した。そして、その上部の
必要な部分に、金電極を設けた。基板を140 ℃に加熱し
上部と下部の金電極の間に1MV/cm の電界を2分間印加
し、本高分子化合物の配向処理を行い30℃まで放冷し、
電界を遮断した。次に、上部金電極を取り除いた後に、
ポジ形レジストを塗布し、必要な導波路パターンのマス
クを用いてフォトリソグラフィーを行なった。その後レ
ジストをマスクとしてO2 を用いたRIEを行ない、光
導波路部を残してポリマー部分をエッチングした。その
後レジストを剥離液を用い取り除いた。エポキシ樹脂を
全体に塗布しアウタークラッドとした。次に素子駆動用
の金電極を光導波路部上部にフォトリソグラフィーを用
い形成し、チャネル型導波路からなるマッハチェンダー
干渉型光素子が形成された。この素子を切り離し光導波
路端面を光学研磨した。導波路の幅は5μm で長さは、
20mmであった。得られた光導波路素子は、図4に示した
構造体である。
【0091】非線形光導波路素子(チャネル型導波路素
子)の素子性能評価 HeーNeレーザーの発振波長(0.63μm )の光を端面
結合法により励振させた結果、約3.5 Vの半波長電圧が
得られた。電気光学定数は、40pm/Vの値であり実施例3
の約2/3以下であった。また、光変調特性として、消
去比は16dBであった。これらの値はいずれも実施例3よ
り劣るものであった。
【0092】実施例4 非線形光導波路素子(チャネル型導波路素子)の作製及
び素子性能評価 PMMAに実施例1に記述した化合物 [3] を20mol %
混合したクロロホルム溶液を、アンダークラッド層(Si
O2)を設けたシリコン基板上に滴下し、スピンコート法
により薄膜化(膜厚:4μm )した。次に、ポリマーフ
ィルムの表面にエポキシ樹脂をスピンコート法により薄
膜被覆した。さらに、その上部にポジ形レジストを塗布
し、必要な導波路パターンのマスクを用いてフォトリソ
グラフィーを行なった。その後レジストをマスクとして
2 を用いたRIEを行ない、光導波路部を残してポリ
マー部分をエッチングした。その後レジストを剥離液を
用いて取り除いた。光導波路の両端面を光学研磨し、ア
ルミニウムを真空蒸着して光双安定素子構造を作成し
た。導波路の幅は5μであり、長さは20mmであった。Y
AGレーザーの発振波長(1.064 μm )の光をシングル
モード光ファイバーを用い、端面より入射し、透過光強
度を入射光強度の関数として観察したところ、室温で光
双安定性を示す履歴現象を確認した。
【0093】比較例4 下記化合物 [35] を合成した。この合成は以下のとおり
に行なった。この化合物を用いて非線形光導波路素子を
作製しその素子性能評価を行った。
【0094】
【化14】
【0095】化合物 [35] の合成 4-(4- ニトロフェニルアゾ)-1-ナフチルアミンのアセト
ン−エタノール−水溶媒に塩酸を加え、この溶液を0か
ら5℃に冷やした後、亜硝酸ナトリウム水溶液を加え、
6時間そのままの温度で攪拌した。その後、N-エチル-N
- ハイドロキシアニリンのアセトン溶液を加えた。この
混合物を室温で一晩攪拌した。反応後、この反応混合物
をジクロロメタンで抽出し、生成物をシリカゲルカラム
で精製し、目的とする化合物相当物を得た。この化合物
について同定を行なったところ、MS(70eV)m/z (re
l intensity )468 (M+ 、38)、437 (100 )、133
(54)の結果を得、確かに化合物 [35] が合成されてい
ることが確認された。また、エタノール中でλmax は55
1 nm、ヘキサン中でλmax は521 nmであった。
【0096】非線形光導波路素子(チャネル型導波路素
子)の作製 PMMAにここで得られた化合物 [35] を20mol %混合
したクロロホルム溶液を、アンダークラッド層(SiO2
を設けたシリコン基板上に、スピンコート法により薄膜
化(膜厚:4μm )した。次に、ポリマーフィルムの表
面にエポキシ樹脂をスピンコート法により成膜した。さ
らに、その上部にポジ形レジストを塗布し、必要な導波
路パターンのマスクを用いてフォトリソグラフィーを行
なった。その後レジストをマスクとして02を用いたRI
Eを行ない、光導波路部を残してポリマー部分をエッチ
ングした。その後レジストを剥離液を用い取り除いた。
光導波路の両端面を光学研磨し、アルミニウムを真空蒸
着して光送安定素子構造を作成した。導波路の幅は5μ
m で長さは20mmであった。
【0097】非線形光導波路素子(チャネル型導波路素
子)の素子性能評価 YAGレーザーの発振波長(1.06μm )の光をシングル
モード光ファイバーを用い、端面より入射し、透過光強
度を入射光強度の関数として観察したところ、室温で光
双安定性を示す履歴現象を確認しものの、信号強度は実
施例4に比べておよそ20%であった。
【0098】実施例5 一般式 [13] にて表されるメタクリル系高分子鎖に官能
側鎖R14として側鎖 [14] 、側鎖 [15] 、側鎖 [16] を
それぞれ有する3種の高分子化合物を合成した。側鎖
[14] を有する一般式 [13] 高分子化合物の合成は以下
のように行なった。側鎖 [15] を有する一般式 [13] 高
分子化合物、及び側鎖 [16] を有する一般式 [13] 高分
子化合物の合成はこれに準じておこなった。これら一般
式 [1] 結合/配位高分子を非線形光学材料として用い
非線形光導波路素子を作製し、その素子性能を評価し
た。
【0099】側鎖 [14] を有する一般式 [13] 高分子化
合物の合成 まず、実施例3と同様に、化合物 [30] を得た。次に化
合物[30]をメチルメタクリレートとj:k=20:80 の比
率で混合して、これらの0.1mol%に相当するアゾビスイ
ソブチルニトリルを混合し、溶存酸素を凍結ー脱気ー溶
解を繰り返すことにより取り除き、アンプル中に封入し
て、65℃で24時間重合反応させた。反応後、重合体を、
クロロホルムに溶解させ、メタノールで再沈殿すること
により精製し、化合物[30], を得た。次に、4-(4- パー
フルオロブチルスルホニルフェニルアゾ)-1- ナフチル
アミンを酢酸に加熱溶解し、更に10℃以下に冷却した。
次に、亜硝酸ナトリウムを硫酸に発熱しないよう除々に
加え溶解した。これを前記4-(4- パーフルオロブチルス
ルホニルフェニルアゾ)-1-ナフチルアミンの酢酸溶液
に、液温が10℃を越えないように注意しながら滴下し
た。つぎは、反応液を10℃以下に冷却し、ヘキサフロオ
ロりん酸カリウムを少量の水で溶かして加え15分程度撹
拌した。析出する沈殿をガラスフィルターで採取し、少
量の酢酸で洗浄して化合物[36]を得た。さらにこれらの
化合物[30]と化合物[36]に酢酸ナトリウムを添加し、室
温下で24時間反応させた。この反応混合物をメタノール
中に加え、再沈殿法により目的とする高分子化合物相当
物を得た。
【0100】
【化15】
【0101】この化合物について実施例1と同様に同定
を行なった結果、側鎖 [14] を有する一般式 [13] 高分
子化合物が得られていることが確認された。
【0102】非線形光導波路素子(チャネル型導波路素
子)の作製 この非線形光学材料部を20mol %含有する上記高分子化
合物をクロロホルムに溶解し、厚み1mmの合成石英基板
上にスピンコート法により薄膜化した。膜厚は、3.5 μ
m であった。この試料をフォトリソグラフィーおよびエ
ッチングを行なうことで、それぞれのチャネル幅が4μ
m 、長さが10mm、2本のチャネル間の距離が6μm であ
り、光導波路端面を光学研磨した方向性結合器を作製し
た。
【0103】非線形光導波路素子(チャネル型導波路素
子)の素子性能評価 モードロック付きQスイッチNd:YAGレーザーの発
振波長(1.064 μm)のビームを対物レンズを用いてチャ
ネルの片側に端面結合法により入射させた。2つのチャ
ネルの出射光強度を入射光強度に対してモニターしたと
ころ、入射光強度変化によるスイッチング現象が確認さ
れた。
【0104】同様に側鎖[15]、及び[16]をそれぞれ有す
る2種の一般式 [13] 高分子化合物を合成し、方向性結
合器を作製した。この方向性結合器の2つのチャネルの
出射光強度を入射光強度に対してモニターしたところ、
入射光強度変化によるスイッチング現象が確認された。
これらにより、作成した方向性結合器が、光強度依存屈
折率変化(三次の非線形光学効果)によりスイッチング
可能であることが示された。
【0105】比較例5 下記一般式[37]にて表されるメタクリル系高分子鎖に官
能側鎖R18として側鎖[38]を有する高分子化合物を合成
した。この化合物を用いて非線形光導波路素子を作製
し、その素子性能評価を行った。
【0106】
【化16】
【0107】側鎖 [38] を有する一般式[37]高分子化合
物の合成 まず、実施例3と同様に、化合物[30]を得た。次に、4-
(4- ニトロフェニルアゾ)-1-ナフチルアミンを酢酸に加
熱溶解し、更に10℃以下に冷却した。次に、亜硝酸ナト
リウムを硫酸に発熱しないよう除々に加え溶解した。こ
れを前記4-(4-ニトロフェニルアゾ)-1-ナフチルアミン
の酢酸溶液に、液温が10℃を越えないように注意しなが
ら滴下した。つぎは、反応液を10℃以下に冷却し、ヘキ
サフロオロりん酸カリウムを少量の水で溶かして加え15
分程度撹拌した。析出する沈殿をガラスフィルターで採
取し、少量の酢酸で洗浄して化合物[39]を得た。さらに
化合物[30]と化合物[39]に酢酸ナトリウムを添加し、室
温下で24時間反応させた。この反応混合物をメタノール
中に加え、再沈殿法により目的とする高分子化合物相当
物を得た。この化合物について実施例1と同様に同定を
行なったところ、側鎖[38]を有する一般式[37]高分子化
合物が確かに得られていることが明らかとなった。
【0108】この非線形光学材料部を20mol %含有する
側鎖[38]を有する高分子化合物をクロロホルムに溶解
し、厚み1mmの合成石英基板上にスピンコート法により
薄膜化した。膜厚は、3.5 μm であった。この試料をフ
ォトリソグラフィーおよびエッチングを行なうことで、
それぞれのチャネル幅が4μm 、長さが10mm、2本のチ
ャネル間の距離が6μm であり、光導波路端面を光学研
磨した方向性結合器を作製した。
【0109】非線形光導波路素子(チャネル型光導波路
素子)の素子性能評価 モードロック付きQスイッチNd:YAGレーザーの発
振波長(1.064 μm )のビームを対物レンズを用いてチ
ャネルの片側に端面結合法により入射させた。2つのチ
ャネルの出射光強度を入射光強度に対してモニターした
ところ、入射光強度変化によるスイッチング現象が確認
された。しかし、出射光強度は実施例5の場合と比べて
およそ1/10であり、弱いものであった。
【0110】実施例6 一般式 [17] にて表されるメタクリル系高分子鎖の官能
側鎖R15としてそれぞれ側鎖[18]、側鎖[19]及び側鎖[2
0]を有する高分子化合物を合成した。側鎖[18]を有する
一般式[17]高分子化合物の合成は以下のように行なっ
た。側鎖[19]を有する一般式[17]高分子化合物及び側鎖
[20]を有する一般式[17]高分子化合物、の合成はこれに
準じておこなった。これら一般式 [1] 結合/配位高分
子を非線形光学材料として用いた非線形光学層を製膜
し、その非線形光学特性を測定した。
【0111】側鎖[18]を有する一般式[17]高分子化合物
の合成 実施例2と同様に化合物 [6] を合成した。次に、メタ
クリル酸クロライドと化合物 [6] をトリメチルアミン
存在下で縮合し化合物[40]を得た。メタクリル酸メチル
と化合物[40]を表9に示したj:kの割合で混合し、ラ
ジカル反応させることで目的とする高分子化合物相当物
5種試料を合成した。
【0112】
【化17】
【0113】得られた化合物を実施例1と同様に同定し
たところ、側鎖[18]を有する一般式[17]高分子化合物が
得られていることが明らかとなった。
【0114】非線形光学層の製膜〔非線形光導波路素子
(スラブ型光導波路素子)の作製〕 製膜はこの高分子化合物のクロロホルム溶液をガラス基
板上に滴下しスピンコート法により薄膜して行なった。
膜厚は触針式膜厚計(sloan 社製デクタック3030)
により測定した。このようにして得られた試料を図1に
示すようなコロナ放電装置を用い、基板を140 ℃に加熱
し、放電電圧以下の臨界電圧すなわち10kV/cm の電界を
2分間印加した。その後、加熱を止め放冷し、30℃にな
るまで電界の印加を続けた。電界を遮断後。試料を取り
出し非線形光学定数(d33)を測定した。
【0115】非線形光学層の非線形光学特性測定〔非線
形光導波路素子(スラブ型光導波路素子)の素子性能評
価〕 かくして調製された薄膜の非線形光学特性を評価するの
に、回転メーカーフリンジ法を用いた。QスイッチN
d:YAGレーザーの偏光ビーム(波長:1.064μm )
はサンプルに集光された。得られた二次の高調波は、分
光され、光電子増倍管により検出された。ボックスカー
積分器から得られた平均出力は、サンプルへの入射ビー
ムの入射角の関数としてコンピューターにより計算され
た。Yカット石英板(d11=0.33pm/V)を参照サンプル
として用いた。その結果求められた化合物[ 40] とメタ
クリル酸メチルの割合の異なる試料1から5についての
膜厚と二次の非線形光学定数d33の値及びスラブ型光導
波路についての波長1.064 μm での伝搬損失値を表9に
示す。
【0116】
【表9】
【0117】その後、この中から試料3を80℃に放置し
任意時間毎に非線形光学特性を上記回転メーカーフリン
ジ法にて測定した。その結果を0時間の非線形光学定数
を1として図6に示す。図6は、上記試料の80℃におけ
る非線形光学定数d33の経時変化を示すグラフ図であ
る。同図6において、試料は下記のとおりの記号を用い
て表記した。 ■; 実施例6試料3(側鎖[18]を有する
一般式[17]高分子化合物)、 ●; 比較例6試料3(側
鎖[42]を有する一般式[41]高分子化合物) 80℃で放置の場合、1万時間後でも非線形光学定数(d
33)は0時間の90%を示す。
【0118】上記と同様にj:k= 20:100 の側鎖[1
9]、あるいは側鎖[20]をそれぞれ有する2種の一般式[1
7]高分子化合物を合成し、これらを用いて非線形光学定
数(d33)を測定した。その結果、d33はそれぞれ80pm
/Vと77pm/Vであった。また、伝搬損失はそれぞれ4.8 dB
/cm 、5.1 dB/cm であった。
【0119】比較例6 下記一般式 [41] にて表されるメタクリル系高分子鎖の
官能側鎖R19として側鎖[42]を有する高分子化合物を合
成した。この一般式 [1] 結合/配位高分子を非線形光
学材料として用いた非線形光学層を製膜し、その非線形
光学特性を測定した。
【0120】
【化18】
【0121】側鎖[42]を有する一般式[41]高分子化合物
の合成 まず、アセトン−エタノール−水混合溶媒中の4-(4- ニ
トロフェニルアゾ)-1-ジエチルアニリンに塩酸を加え
た。この溶液を0〜5℃に冷却した後、亜硝酸ナトリウ
ム水溶液を加え、6時間そのままの温度で攪拌した。そ
の後、N-エチルハイドロキシアニリンのアセトン溶液を
加えた。この混合物を室温で一晩攪拌した。反応後、こ
の反応混合物をジクロロメタンで抽出し、生成物をシリ
カゲルカラムで精製し、化合物[43]を得た。メタクリル
酸クロライドと化合物[43]をトリメチルアミン存在下で
縮合し化合物[44]を得た。この化合物[44]とメタクリル
酸メチルを表10に示したj:kの割合で混合し、ラジ
カル反応させることで目的とする高分子化合物相当物3
種を合成した。このものについて実施例1と同様に同定
を行なったところ、得られた化合物は側鎖[42]を有する
一般式[41]高分子化合物であることが明らかとなった。
【0122】非線形光学層の製膜〔非線形光導波路素子
(スラブ型光導波路素子)の作製〕 製膜はこの化合物のクロロホルム溶液をガラス基板上に
滴下し、スピンコート法により薄膜化して行なった。膜
厚は触針式膜厚計(sloan 社製デクタック3030)に
より測定した。このようにして得られた試料を図1に示
すようなコロナ放電装置を用い、基板を140 ℃に加熱
し、10kV/cm の電界を2分間印加した。その後、加熱を
止め放冷し、30℃になるまで電界の印加を続けた。電界
を遮断後試料を取り出し非線形光学定数(d33)を測定
した。
【0123】非線形光学層の非線形光学特性測定〔非線
形光導波路素子(スラブ型光導波路素子)の素子性能評
価〕 この薄膜の非線形光学特性を評価するのに、回転メーカ
ーフリンジ法を用いた。QスイッチNd:YAGレーザ
ーの偏光ビーム(波長:1.064 μm )はサンプルに集光
された。得られた二次の高調波は、分光され、光電子増
倍管により検出された。ボックスカー積分器から得られ
た平均出力は、サンプルへの入射ビームの入射角の関数
としてコンピューターにより計算された。Yカット石英
板(d11=0.33pm/V)を参照サンプルとして用いた。そ
の結果、化合物[44]とメタクリル酸メチルの比の異なる
試料1から3の膜厚と二次の非線形光学定数d33の値
と、スラブ型光光導波路で、波長1.064 μm での伝搬損
失値を表10に示す。
【0124】
【表10】
【0125】非線形光学材料部がj=20以上のものは溶
解することができなかった。さらに、非線形光学定数
は、同じ割合の非線形光学材料の導入した実施例6の場
合と比べて小さいものである。その後、この中の試料3
を80℃に放置し任意時間毎に非線形光学特性を上記回転
メーカーフリンジ法にて測定した。その結果を0時間の
非線形光学定数を1として図6に示す。それぞれ80℃で
放置の場合、1万時間後では非線形光学定数(d33)は
0時間の80%を示し、実施例6と比べて非線形光学定数
の減少が大きい。
【0126】実施例7 一般式 [21] にて表されるメタクリル系高分子鎖の官能
側鎖R16としてそれぞれ側鎖[22]、側鎖[23]及び側鎖[2
4]を有する高分子化合物を合成した。側鎖[22]を有する
一般式[21]高分子化合物の合成は以下のように行なっ
た。側鎖[23]を有する一般式[21]高分子化合物、及び側
鎖[24]を有する一般式[21]高分子化合物の合成はこれに
準じて行った。これら一般式 [1] 結合/配位高分子を
非線形光学材料としてを用いた非線形光導波路素子を作
製し、その素子性能を評価した。
【0127】側鎖[22]を有する一般式[21]高分子化合物 アセトン−エタノール−水混合溶媒中の4-(4- パーフル
オロブチルスルホニルフェニルアゾ)-2,6-ジメチルアニ
リンに塩酸を加えた。この溶液を0〜5℃に冷却した
後、亜硝酸ナトリウム水溶液を加え、6時間そのままの
温度で攪拌した。その後、N-エチルハイドロキシアニリ
ンのアセトン溶液を加えた。この混合物を室温で一晩攪
拌した。反応終了後、この反応混合物をジクロロメタン
で抽出し、生成物をシリカゲルカラムで精製し、化合物
[45]を得た。次に、メタクリル酸クロライドと化合物[4
5]をトリメチルアミン存在下で縮合し化合物[46]を得
た。この化合物[46]とメタクリル酸メチルをj:k=1
0:100の割合で混合し、ラジカル反応させることで目的
とする高分子化合物相当物を合成した。
【0128】
【化19】
【0129】この化合物は実施例1と同様の同定の結
果、確かに側鎖[22]を有する一般式[21]高分子化合物で
あることが明らかとなった。
【0130】非線形光導波路素子(チャネル型光導波路
素子)の作製 金電極及びアンダークラッド層(SiO2)を設けたシリコ
ン基板上に、上記高分子化合物(j:k= 10:100 )の
クロロホルム溶液をスピンコートし薄膜化した(膜厚:
4μm )。次に、この薄膜の表面にエポキシ樹脂をスピ
ンコート法により薄層被覆した。さらに、その上部の必
要な部分に、金電極を設けた。基板を140 ℃に加熱し上
部と下部の金電極の間に1MV/cm の電界を2分間印加
し、本高分子化合物の配向処理を行った。これを30℃ま
で放冷し、電界を遮断した。次に、上部金電極を取り除
いた後に、ポジ形レジストを塗布し、必要な導波路パタ
ーンのマスクを用いてフォトリソグラフィーを行なっ
た。その後レジストをマスクとしてO2 を用いたRIE
を行ない、光導波路部を残してポリマー部分をエッチン
グした。次いでレジストを剥離液を用いて取り除いた。
エポキシ樹脂を全体に塗布しアウタークラッドとした。
さらに素子駆動用の金電極を光導波路部上部にフォトリ
ソグラフィーを用いて形成し、チャネル型導波路からな
るマッハチェンダー干渉型光素子が形成された。この素
子を切り離し光導波路端面を光学研磨した。導波路の幅
は5μm で長さは、20mmであった。得られた光導波路素
子は、図4に示した構造体である。
【0131】非線形光導波路素子(チャネル型光導波路
素子)の素子性能評価 He−Neレーザーの発振波長(0.63μm )の光を端面
結合法により励振させた結果、約4Vの半波長電圧が得
られた。電気光学定数は、66pm/Vの値であった。また、
非常に優れた光変調特性を示し、消去比は25dBであっ
た。
【0132】上記と同様に側鎖[23]を有する一般式[21]
高分子化合物及び側鎖[24]を有する一般式[21]高分子化
合物(j:k= 10:100 )を合成し、マッハチェンダー
干渉型光素子を作製した。上記同様He−Neレーザー
の発振波長(0.63μm )の光を端面結合法により励振さ
せた結果、約4Vの半波長電圧が得られた。電気光学定
数は、いずれも62pm/Vの値であった。また、消去比は25
dBと26dBであり非常に優れた光変調特性を示した。
【0133】比較例7 下記一般式 [47] にて表されるメタクリル系高分子鎖の
官能側鎖R20として側鎖[48]を有する高分子化合物を合
成した。この一般式 [1] 結合/配位高分子を非線形光
学材料としてを用いた非線形光導波路素子を作製し、そ
の素子性能を評価した。
【0134】
【化20】
【0135】側鎖[48]を有する一般式[47]高分子化合物
の合成 まず、アセトン−エタノール−水混合溶媒中の4-(4- ニ
トロフェニルアゾ)-2,6-ジメチルアニリンに塩酸を加え
た。この溶液を0〜5℃に冷却した後、亜硝酸ナトリウ
ム水溶液を加え、6時間そのままの温度で攪拌した。そ
の後、N-エチルハイドロキシアニリンのアセトン溶液を
加えた。この混合物を室温で一晩攪拌した。反応終了
後、この反応混合物をジクロロメタンで抽出し、生成物
をシリカゲルカラムで精製し、化合物[49]を得た。次
に、メタクリル酸クロライドと化合物[49]をトリメチル
アミン存在下で縮合し化合物[50]を得た。この化合物[5
0]とメタクリル酸メチルをj:k=10:100の割合で混合
し、ラジカル反応させることで目的とする高分子化合物
相当物を合成した。得られた化合物は、実施例1と同様
な同定から側鎖[48]を有する一般式[47]高分子化合物で
あることが判明した。
【0136】非線形光導波路素子(チャネル型光導波路
素子)の作製 金電極及びアンダークラッド層(SiO2)を設けたシリコ
ン基板上に、上記高分子化合物(j:k= 10:100 )の
クロロホルム溶液をスピンコートし薄膜化した(膜厚:
4μm )。次に、この薄膜の表面にエポキシ樹脂をスピ
ンコート法により薄層被覆した。さらに、その上部の必
要な部分に、金電極を設けた。基板を140 ℃に加熱し上
部と下部の金電極の間に1MV/cm の電界を2分間印加
し、本高分子化合物の配向処理を行った。30℃まで放冷
し、電界を遮断した。次に、上部金電極を取り除いた後
に、ポジ形レジストを塗布し、必要な導波路パターンの
マスクを用いてフォトリソグラフィーを行なった。その
後レジストをマスクとしてO2 を用いたRIEを行な
い、光導波路部を残してポリマー部分をエッチングし
た。その後レジストを剥離液を用いて取り除いた。エポ
キシ樹脂を全体に塗布しアウタークラッドとした。次に
素子駆動用の金電極を光導波路部上部にフォトリソグラ
フィーを用い形成し、チャネル型導波路からなるマッハ
チェンダー干渉型光素子が形成された。この素子を切り
離し光導波路端面を光学研磨した。導波路の幅は5μm
で、長さは20mmであった。得られた光導波路素子は図4
に示した構造体である。
【0137】非線形光導波路素子(チャネル型光導波路
素子)の素子性能評価 He−Neレーザーの発振波長(0.63μm )の光を端面
結合法により励振させた。その結果、約4Vの半波長電
圧が得られ、電気光学定数は、49pm/V、伝搬損失は20dB
であり、いずれも実施例7よりも劣っていた。
【0138】実施例8 一般式 [25] にて表されるアクリル/メタクリル共重合
系高分子鎖の官能主鎖単位 11 として主鎖単位[26]を
有する高分子化合物を合成した。(まお、一般式 [25]
は、本化合物の後記する架橋反応進行前の構造を示した
ものである。) この一般式 [1] 結合/配位高分子を非線形光学材料と
して用いた非線形光学層を製膜し、その非線形光学特性
を測定した。
【0139】主鎖単位[26]を有する一般式[25]高分子化
合物の合成及び非線形光学層の製膜〔非線形光導波路素
子(スラブ型光導波路素子)の作製〕 アセトン−エタノール−水混合溶媒中の4-(4- ヒドロキ
シメチレンパーフルオロブチルスルホニルフェニルア
ゾ)-1-ナフチルアミンに塩酸を加えた。この溶液を0〜
5℃に冷却した後、亜硝酸ナトリウム水溶液を加え、6
時間そのままの温度で攪拌した。その後、N-エチルハイ
ドロキシアニリンのアセトン溶液を加えた。この混合物
を室温で一晩攪拌した。反応後、この反応混合物をジク
ロロメタンで抽出し、生成物をシリカゲルカラムで精製
し、化合物[51]を得た。次に、メタクリル酸クロライド
と化合物[51]をトリメチルアミン存在下で縮合し化合物
[52]を得た。
【0140】製膜は、この化合物[52]とトリメチルロー
ルプロパントリアクリレート(大阪有機化学社製、商品
名ビスコート #295)を10:100 のモル比で混ぜた
溶液を、ガラス基板上に滴下し、にスピンコート法によ
り薄膜化して行なった。その後、この試料を図1に示す
ようなコロナ放電装置を用い、基板を10℃に保ち続け、
10kV/cm の電界を2分間印加した後、350 Wの高圧水銀
灯で15分間光を照射した。電界は光照射を止めた後に遮
断した。その後、試料を取り出した。光反応させること
で、非線形光学材料が配向した膜を得ると同時に目的と
する高分子化合物相当物を合成した。この合成過程を化
学式にて表すと反応式〔6〕〜〔8〕のとおりである。
【0141】
【化21】
【0142】実施例1と同様な同定の結果、得られた化
合物は主鎖単位[26]を有する一般式[25]高分子化合物で
あることが明らかとなった。なお、本高分子化合物は主
鎖連結に関与しない未反応のアクリレート基またはメタ
クリレート基がそれぞれ二重結合同士反応し架橋して、
全体としてはクロスリンキングされたものになってい
た。
【0143】非線形光学層の非線形光学特性測定〔非線
形光導波路素子(スラブ型光導波路素子)の素子性能評
価〕 電界を遮断後、試料を取り出した直後の膜厚を触針式膜
厚計(sloan 社製デクタック3030)により測定し、
しかる後、非線形光学定数(d33)を測定した。得られ
た薄膜の非線形光学特性を評価するのに、回転メーカー
フリンジ法を用いた。QスイッチNd:YAGレーザー
の偏光ビーム(波長:1.064 μm )はサンプルに集光さ
れた。得られた二次の高調波は、分光され、光電子増倍
管により検出された。ボックスカー積分器から得られた
平均出力は、サンプルへの入射ビームの入射角の関数と
してコンピューターにより計算された。Yカット石英板
(d11=0.33pm/V)を参照サンプルとして用いた。試料
の二次の非線形光学定数d33値は55pm/Vであり、スラブ
型光導波路で、波長1.064 μm での伝搬損失値は1.3dB/
cmであった。その後、この試料を100 ℃に放置し任意時
間毎に非線形光学特性を上記回転メーカーフリンジ法に
て測定した。その結果を0時間の非線形光学定数を1と
して図7に示す。図7は、上記試料の100 ℃における非
線形光学定数d33の経時変化を示すグラフ図である。同
図6において、試料は下記のとおりの記号を用いて表記
した。 ■; 実施例8(側鎖[26]を有する一般式[25]高
分子化合物)、 ●; 比較例8(側鎖[38]を有する一般
式[53]高分子化合物) 100 ℃で放置の場合でも、1万時間後に非線形光学定数
(d33)は0時間の93%を示す。
【0144】比較例8 下記一般式 [53] にて表されるアクリル/メタクリル系
高分子鎖の官能側鎖R21として側鎖[38]を有する高分子
化合物を合成した。(まお、一般式 [53] は、本化合物
の後記する架橋反応進行前の構造を示したものであ
る。) この一般式 [1] 結合/配位高分子を非線形光学材料と
して用いた非線形光学層を製膜し、その非線形光学特性
を測定した。
【0145】
【化22】
【0146】側鎖[38]を有する一般式[53]高分子化合物
の合成及び非線形光学層の製膜〔非線形光導波路素子
(スラブ型光導波路素子)の作製〕 化合物[35]を比較例4中と同様に合成した。次に、メタ
クリル酸クロライドと化合物[35]をトリメチルアミン存
在下で縮合し化合物[55]を得た。この化合物[55]とトリ
メチルロールプロパントリアクリレート(大阪有機化学
社製、商品名ビスコート#295)を10:100 のモル比
で混ぜ、ガラス基板上にスピンコート法により製膜を行
なった。その後、この試料を図1に示すようなコロナ放
電装置を用い、基板を10℃に保ち続け、10kV/cm の電界
を2分間印加した後、350 Wの高圧水銀灯で15分間光を
照射した。加熱は光照射開始5分後に止め、電界は光照
射を止めた後に遮断した。光反応させることで、非線形
光学材料が配向した膜を得ると同時に目的とする高分子
化合物相当物が得られた。得られた化合物は実施例1と
同様な同定より側鎖[38]を有する一般式[53]高分子化合
物であることが明らかとなった。なお、本高分子化合物
はアクリレート基が他のアクリレート基と二重結合同士
反応し架橋して、全体としてはクロスリンキングされた
ものになっていた。
【0147】非線形光学層の非線形光学特性測定〔非線
形光導波路素子(スラブ型光導波路素子)の素子性能評
価〕 電界を遮断後、試料を取り出した直後の膜厚を触針式膜
厚計デクタック3030により測定し、しかる後、非線
形光学定数(d33)を測定した。得られた薄膜の非線形
光学特性を評価するのに、回転メーカーフリンジ法を用
いた。QスイッチNd:YAGレーザーの偏光ビーム
(波長:1.064 μm )はサンプルに集光された。得られ
た二次の高調波は、分光され、光電子増倍管により検出
された。ボックスカー積分器から得られた平均出力は、
サンプルへの入射ビームの入射角の関数としてコンピュ
ーターにより計算された。Yカット石英板(d11=0.33
pm/V)を参照サンプルとして用いた。試料の二次の非線
形光学定数d33値は38pm/Vであり、スラブ型光導波路
で、波長1.064 μm での伝搬損失値は1.8dB/cmであっ
た。その後、この試料を100 ℃に放置し任意時間毎に非
線形光学特性を上記回転メーカーフリンジ法にて測定し
た。その結果を0時間の非線形光学定数を1として図7
に示す。100 ℃で放置の場合、1万時間後に非線形光学
定数(d33)は0時間の50%を示す。
【0148】実施例9 一般式 [27] にて表されるポリイソシアネート系高分子
鎖の官能架橋基 22として架橋基[28]を有する高分子
化合物を合成した。この一般式 [1] 結合/配位高分子
を非線形光学材料としてを用いた非線形光導波路素子を
作製し、その素子性能を評価した。
【0149】架橋基[28]を有する一般式[27]高分子化合
物の合成 実施例8と同様な合成を行ない、化合物[51]を得た。金
電極及びアンダークラッド層(SiO2)を設けたシリコン
基板上に、この化合物[51]とポリメチレンポリフェニル
イソシアネート(日本ポリウレタン社製、商品名ミリオ
ネートMR)を10:100 のモル比で混ぜた溶液を滴下
し、スピンコート法により薄膜化した(膜厚:4μm
)。その後、基板を図1に示すようなコロナ放電装置
を用い、基板を10℃に保ち続け、10kV/cm の電界を2
分間印加した後、350 Wの高圧水銀灯で15分間光を照射
した。電界は光照射を止めた後に遮断した。光反応させ
ることで、非線形光学材料を配向させると同時に目的と
する高分子化合物相当物を合成した。得られた化合物は
実施例1と同様な同定より架橋基[28]を有する一般式[2
7]高分子化合物であることが明らかとなった。なお、本
高分子化合物はイソシアネート基が他のイソシアネート
基と反応し架橋して全体としてはクロスリンキングされ
たものになっていた。
【0150】非線形光導波路素子(チャネル型光導波路
素子)の作製 かくして得られた薄膜の表面にエポキシ樹脂をスピンコ
ート法により薄層被覆した。その上にポジ形レジストを
塗布し、必要な導波路パターンのマスクを用いてフォト
リソグラフィーを行なった。その後レジストをマスクと
してO2 を用いたRIEを行ない、光導波路部を残して
ポリマー部分をエッチングした。その後レジストを剥離
液を用い取り除いた。エポキシ樹脂を全体に塗布しアウ
タークラッドとした。次に素子駆動用の金電極を光導波
路部上部にフォトリソグラフィーを用い形成し、チャネ
ル型導波路からなるマッハチェンダー干渉型光素子が形
成された。この素子を切り離し光導波路端面を光学研磨
した。導波路の幅は5μmで長さは20mmであった。作製
された光導波路素子は、図4に示した構造体である。
【0151】非線形光導波路素子(チャネル型光導波路
素子)の素子性能評価 He−Neレーザーの発振波長(0.63μm )の光を端面
結合法により励振させた結果、約3.5 Vの半波長電圧が
得られた。電気光学定数は、62pm/Vの値であった。ま
た、非常に、優れた光変調特性を示し、消光比は24dBで
あった。この素子を80℃雰囲気下に1万時間放置した
後、同様な測定を行なった結果、電気光学定数が60pm/V
に若干下がった以外に特性に変化は見られなかった。
【0152】比較例9 下記一般式 [55] にて表されるポリイソシアネート系高
分子鎖の官能側鎖R22として側鎖[38]を有する高分子化
合物を合成した。この一般式 [1] 結合/配位高分子を
非線形光学材料としてを用いた非線形光導波路素子を作
製し、その素子性能を評価した。
【0153】
【化23】
【0154】側鎖[38]を有する一般式[55]高分子化合物
の合成 化合物[35]を比較例4に示されると同様の方法で合成し
た。ここで金電極及びアンダークラッド層(SiO2)を設
けたシリコン基板上に、化合物[35]とポリメチレンポリ
フェニルイソシアネート(日本ポリウレタン社製、商品
名ミリオネートMR)を10:100 のモル比で混ぜた溶液
を滴下し、スピンコート法により薄膜化した(膜厚:4
μm )。その後、基板を図1に示すようなコロナ放電装
置を用い、基板を10℃に保ち続け、10kV/cm の電界を2
分間印加した後、350 Wの高圧水銀灯で15分間光を照射
した。電界は光照射を止めた後に遮断した。光反応させ
ることで、非線形光学材料を配向させると同時に目的と
する高分子化合物相当物が調製された。得られた化合物
は実施例1と同様な同定の結果、側鎖[38]を有する一般
式[55]高分子化合物であることが明らかとなった。な
お、本高分子化合物はイソシアネート基が他のイソシア
ネート基と架橋して全体としてはクロスリンキングされ
たものになっていた。
【0155】非線形光導波路素子(チャネル型光導波路
素子)の作製 次に、かくして得られた薄膜の表面にエポキシ樹脂をス
ピンコート法により薄層被覆した。その上にポジ形レジ
ストを塗布し、必要な導波路パターンのマスクを用いて
フォトリソグラフィーを行なった。その後レジストをマ
スクとしてO2を用いたRIEを行ない、光導波路部を
残してポリマー部分をエッチングした。その後レジスト
を剥離液を用いて取り除いた。エポキシ樹脂を全体に塗
布しアウタークラッドとした。次に素子駆動用の金電極
を光導波路部上部にフォトリソグラフィーを用い形成
し、チャネル型導波路からなるマッハチェンダー干渉型
光素子が形成された。この素子を切り離し光導波路端面
を光学研磨した。導波路の幅は5μm で、長さは20mmで
あった。作製された光導波路素子は、図4に示した構造
体である。
【0156】非線形光導波路素子(チャネル型光導波路
素子)の素子性能評価 He−Neレーザーの発振波長(0.63μm )の光を端面
結合法により励振させた結果、約3.5 Vの半波長電圧が
得られた。電気光学定数は、46pm/Vの値であり、実施例
9より劣っていた。。また、非常に、優れた光変調特性
を示し、消光比は21dBであった。この素子を80℃雰囲気
下に1万時間放置した後、同様な測定を行なった結果、
半波長電圧が約4.5 Vに上がり、電気光学定数が32pm/V
に下がり、消光比は18dBになるといった特性の劣化が見
られた。
【0157】以上の実施例と比較例との比較より明らか
なように、本発明の非線形光学材料よりなる非線形光学
層の非線形光学定数(d33) は、従来品に比較して1.2
倍以上大きく、その経時変化も極めて小さいものであっ
た。また本非線形光学材料より得られた非線形光導波路
素子は、電気光学定数が55pm/V以上と非常に優れた特性
を有していた。さらに本発明の非線形光導波路素子(チ
ャネル型光導波路素子)は変調による光強度の最大値と
最小値の比で表される消光比が、いずれも20dB以上であ
り、光素子として充分実用できるものであった。
【0158】
【発明の効果】本発明の非線形光学材料は、大きい二
次、三次の非線形光学効果を示し、光伝搬特性に優れ、
さらに機械的強度に優れている。本発明の材料を用いる
ことにより、非線形光学材料の含有量を増加させること
ができ、大きな非線形光学効果を容易に発現させること
ができるため、従来の材料より、優れた光導波路素子を
作成することができる。さらに、本発明の非線形光学材
料を用いることにより、配向後の非線形光学効果を長期
にわたり安定的に維持することが可能になる。また、本
発明の非線形光導波路素子は、光変調特性、光スイッチ
ング特性、光双安定性に優れ、さらに、本発明の非線形
光導波路素子は、薄膜に出来るため、高集積可能な光集
積回路に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】コロナ放電装置を示す概念図である。
【図2】PMMA中に一般式 [1] 化合物を分散、配向
させた非線型光学材料に関する50℃における非線形光学
定数(d33)の経時変化を示すグラフ図面である。
【図3】PMMA中に一般式 [1] 化合物を分散、配向
させた非線型光学材料に関する80℃における非線形光学
定数(d33)の経時変化を示すグラフ図面である。
【図4】マッハツエンダー干渉型光素子の斜視図であ
る。
【図5】PC中に一般式 [1] 化合物を分散、配向させ
た非線型光学材料に関する80℃における非線形光学定数
(d33)の経時変化を示すグラフ図面である。
【図6】一般式 [1] 結合/配位高分子化合物を配向さ
せた非線型光学材料に関する80℃における非線形光学定
数(d33)の経時変化を示すグラフ図面である。
【図7】一般式 [1] 結合/配位高分子化合物を配向さ
せた非線型光学材料に関する100 ℃における非線形光学
定数(d33)の経時変化を示すグラフ図面である。
【符号の説明】
1 コロナ放電器 2 試料 3 温度調節試料台 4 高圧電源 5 アウタークラッド 6 上部電極 7 非線形光導波路 8 入力光 9 基板 10 下部電極 11 アンダークラッド層 12 出力光
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09K 9/02 Z (72)発明者 村松 広重 愛知県名古屋市守山区森孝東2−301 第 2森孝416号 (72)発明者 松居 正樹 岐阜県関市豊岡町2−2−35 (72)発明者 バラティー ジョグレカー 岐阜県岐阜市柳戸835−1 コスモポリス 101号

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式 [1] で表される1種以上の化合
    物あるいそれらの誘導体が高分子物質中に溶解又は分散
    してなることを特徴とする非線形光学材料。 【化1】 (上式中、π1 〜π3 はπ電子共役系の環状化合物、X
    及びYは、それぞれCH、N、あるいはN→Oから選ば
    れた一つからなる対の組合せ、nは0以上の整数、Dは
    電子供与基、R1 〜R10はそれぞれ水素原子あるいはア
    ルキル基、A1、A2 又はA3 は、それぞれ水素原子、
    アルキル基あるいは一般式 [2] で表される置換基を表
    す。ただし、A1 、A2 又はA3 のうちの1個のみが一
    般式 [2] で表される置換基を有するときは、その置換
    基はA1 に配置され、また、A1、A2 又はA3 のうち
    の2個が一般式 [2] で表される置換基を有するとき
    は、その置換基はA1 とA2 あるいはA1 とA3 に配置
    されるものとする。ここで、Zは、水素原子、ハロゲン
    原子、ニトロ基、カルボキシル基、水酸基、ジシアノビ
    ニル基あるいはトリシアノビニル基、mは1以上の整
    数、lは0以上の整数を表す。)
  2. 【請求項2】 一般式 [1] で表される1種以上の化合
    物あるいはそれらの誘導体の分子が高分子鎖に結合又は
    配位してなる一般式 [1] 結合/配位高分子を含有して
    なること特徴とする非線形光学材料。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の非線形光学材料を用いて
    なる非線形光導波路素子。
JP34639393A 1993-12-22 1993-12-22 非線形光学材料及び非線形光導波路素子 Pending JPH07181532A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07224231A (ja) * 1994-02-10 1995-08-22 Mitsubishi Chem Corp 二色性色素、該色素を含む液晶組成物および液晶素子
JP2006231100A (ja) * 2005-02-22 2006-09-07 Yamaguchi Univ ナノ粒子集合体薄膜及び該薄膜よりなる非線形光学材料
JP2010066325A (ja) * 2008-09-08 2010-03-25 Sumitomo Electric Ind Ltd 非線形光学化合物、非線形光学材料及び非線形光学素子
US8200052B2 (en) 2009-04-21 2012-06-12 Fuji Xerox Co., Ltd. Optical device and multiple beam scanner

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