JPH0562078B2

JPH0562078B2 -

Info

Publication number: JPH0562078B2
Application number: JP62004139A
Authority: JP
Inventors: Zenshiro Iijima
Original assignee: Adger Kogyo Co Ltd
Current assignee: Adger Kogyo Co Ltd
Priority date: 1987-01-13
Filing date: 1987-01-13
Publication date: 1993-09-07
Also published as: EP0275870B1; DE3877003T2; DE3877003D1; EP0275870A1; JPS63173683A

Description

【発明の詳細な説明】〔技術分野〕本発明は複写した文字や図案が水によつて消去
する複写材料に関するものである。

〔従来技術〕

従来、カーボン紙等に見られるように、染料や
顔料を紙やプラスチツクフイルム等の支持体上に
塗布した感圧複写材料は知られている。このよう
な複写材料は、その染料層や顔料層に紙等の被複
写材料を重ね、ボールペン、鉄筆、ルレツト等を
用いて感圧複写することにより、その被複写材料
上に所望の文字や図案を複写させることができ
る。しかしながら、このようにして得られた複写
物は、通常、非消去性のものであり、その複写文
字や図案が不要になつた後にそれを消去するのに
著しい困難を伴うという問題がある。例えば、裁
縫や、刺しゆう、レタリング等においては、複写
材料を用いて文字や図案等の下書きを行うが、こ
の下書きの文字や図案は最終的には消去される。
この消去は、従来は消しゴム等で行つているが、
非常に面倒である。

このような欠点を解消するために、ワツクスに
アミンを反応させて得られる変性ワツクスにチオ
シアン酸コバルトを配合したインクを支持体上に
塗布した転写紙が提案されている（特開昭56−
166091号公報）。この転写紙は転写したインクが
水で消去できるといつた利点を有するものである
が、特定なワツクスを用いる必要があることか
ら、その製造に手間や時間がかかる上、一旦消去
したようにみえたインクもワツクスに混入・保護
されている状態のものが存在するため再び着色す
る場合があつたり、また消去跡にはワツクス状の
固形物が残存する等の欠点があつた。

〔目的〕

本発明は上記従来技術の実状に鑑みなされたも
のであつて、その目的は複写された文字や図案が
水を加えることによつて、消去跡に何らの固形物
を残存させることなく簡単かつ効率的に消去する
ことができ、しかもその作成が容易な複写材料を
提供することにある。

〔構成〕すなわち、本発明によれば、チオシアン酸コバ
ルトと、その濃色化剤及び／又は乾燥防止剤とし
ての多価アルコールを含み、該多価アルコールの
含有率が15〜60重量％の粘性水溶液を吸液性支持
体中に含浸保持させてなる複写された文字や図案
が水で消去可能な複写材料が提供される。

また、本発明によれば、チオシアン酸ニツケル
と塩化コバルトからなる着色剤と、その濃色化剤
及び／又は乾燥防止剤としての多価アルコールを
含み、該多価アルコールの含有率が15〜60重量％
の粘性水溶液を吸液性支持体中に含浸保持させて
なる複写された文字や図案が水で消去可能な複写
材料が提供される。

本発明において用いる複写用着色剤は、チオシ
アン酸コバルトを主成分とする水溶液である、こ
の場合、チオシアン酸コバルト溶液の溶媒として
は、水又は水と有機溶媒との混合溶媒が用いられ
る。有機溶媒としては、メタノール、エタノー
ル、エーテル、アセトン、クロロホルム、酢酸メ
チル等が挙げられる。チオシアン酸コバルトをこ
れらの溶媒に適量溶解することにより、青色の溶
液を得ることができる。チオシアン酸コバルトの
溶媒に対する添加剤は、使用する溶媒によつても
異なるが、一般には、溶媒100重量部に対し、0.1
〜200重量部、好ましくは0.5〜140重量部である。
チオシアン酸コバルト溶液においては、その着色
濃度を高めるために、濃色化剤として、アルキレ
ングリコールやポリアルキレングリコールを添加
するのが好ましい。ポリアルキレングリコールと
しては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレ
ングリコール、それらの共重合体等が用いられ、
その分子量は特に制約されないが、一般には100
〜6000、好ましくは200〜3000程度である。この
ような濃色化剤を用いる時には、チオシアン酸コ
バルト濃度を５〜20重量％という低い値にして
も、濃青色の溶液を得ることができる。

また、本発明の複写用着色剤としては、チオシ
アン酸ニツケルと塩化コバルトを含む溶液を用い
ることができる。この場合、溶媒及び濃色化剤と
しては、前記した如きのものが用いられる。また
各成分の添加量に関しては、溶媒100重量部に対
し、チオシアン酸ニツケル0.1〜120重量部、好ま
しくは0.5〜50重量部、塩化コバルト0.1〜100重
量部、好ましくは0.5〜90重量部、濃色化剤２〜
30重量部、好ましくは５〜20重量部の割合であ
る。

本発明の粘性水溶液中には、乾燥防止剤を15〜
60重量％含有させる。なお、この乾燥防止剤とし
ては、前記濃色化剤として示したアルキレングリ
コールやポリアルキレングリコールを兼用するこ
ともできる。この乾燥防止剤の添加量が少なすぎ
ると、支持体に含浸保持させた溶液の蒸発速度が
大きくなるので、実用性ある製品を得ることがで
きない。また、この乾燥防止剤は、多価アルコー
ルからなり、粘性を有することから、溶液を支持
体に含浸保持させた時に、溶液のタレ落ちも防止
する。

乾燥防止剤の具体例としては、例えば、グリセ
リン、アルキレングリコール、ポリアルキレング
リコール等の多価アルコールを挙げることができ
る。また、前記各溶液には、ポリビニルアルコー
ルや、デン粉、アルギン酸ソーダ、カルボキシメ
チルセルロース等の水溶性高分子をバインダーと
して加えることができる。

本発明の複写材料は、前記した溶液を、支持体
としての吸液性材料、例えば紙（特に、濾紙や吸
水紙）、布、吸液性ゴム、吸液性のプラスチツク
シートやフイルム等に含浸支持させることによつ
て製造することができる。支持体に対する溶液の
含浸割合は支持体の種類によつて異なる。一般に
は、得られる複写材料が表面乾燥し、内部湿潤状
態を示す程度であり、過剰の溶液は加圧ローラ間
を通して除去すればよい。

〔効果〕

本発明の複写材料を用いて所望の複写を行うに
は、この複写材料を被複写物である紙や布等の上
に重ね、その支持体上からボールペンや、鉛筆、
鉄筆、ルレツト等の筆記具を用いて文字や図案等
を感圧複写する。このようにして感圧複写する時
には、複写材料の内部に含浸された着色溶液がそ
の下の被複写物に転移し、被複写物上にはその対
応する文字や図案が転写される。そして、この転
写された文字や図案は、その表面に水を含ませた
紙や、布、スポンジ等を接触させると、その文字
や図案は消色される。これは、チオシアン酸コバ
ルトの着色は、水で希釈されて希薄濃度になる
と、解離反応が生じその着色が実質上消失すると
いう原理に基づくものである。

このような消色原理によると、転写された文字
や図案に水を接触させるとチオシアン酸コバルト
が稀釈化され、着色状態にある文字や図案が消色
されるものの、その後たとえば水分等の蒸発によ
りチオシアン酸コバルト濃度が元のように大きく
なつた際に、再び文字や図案に着色が生じ、いわ
ゆる復色現象を惹起する場合がある。

しかしながら、本発明においては、水を含ませ
た紙、布、スポンジ等の消色材との相溶性に優れ
たチオシアン酸コバルト粘性水溶性を用いている
ことから、転写後の文字や図案をこれらの消色材
と接触させて消色した場合、チオシアン酸コバル
トが容易に解離反応（消色反応）を起こし、また
その解離物あるいは未解離のチオシアン酸コバル
トが消色材中に、直ちに拡散・吸収されるので、
これらの文字や図案を水で消色した後に時折生じ
るとされる復色現象を抑制することができる。

また、本発明においては、ワツクス等の水不溶
成分が含有されていないので、チオシアン酸コバ
ルトがこれらのワツクスに混入・保持されること
がないので、消色に際して、ほとんどのチオシア
ン酸コバルトが水と接触し、希釈化され、このた
めその消色効果が高められたものとなり、しかも
消色跡にワツクス等の固形分が残存しないという
利点をも有するものである。

本発明の複写材料は、裁縫、刺しゆう、レタリ
ング等の分野における下書き用複写材料として好
適のものである。

〔実施例〕次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明す
る。

実施例１チオシアン酸コバルト15ｇを水80c.c.に溶解さ
せ、これにポリエチレングリコール（分子量200）
を25ｇ添加し溶解させた。更にこれにグリセリン
40ｇを加えて混合溶液を作成した。この溶液は青
色を呈した。この溶液を濾紙に含浸させ、表面を
乾燥させた。この含浸紙の下に布又は紙を重ね、
含浸紙上から鉄筆を用いて画線を書くと、その布
及び紙上に対応する青色の画線が転写された。こ
の布又は紙上の青色の画線を消去するために水を
他の紙又は布に少量含浸させ、これをもつて画線
を拭くと直ちに画線は消去された。

実施例２水100c.c.にチオシアン酸ニツケル20ｇと塩化コ
バルト15ｇとをそれぞれ加え、溶解させた。この
溶液にポリエチンレングリコール（分子量200）
30ｇを添加し、更にこれにグリセリン50ｇを加え
て混合溶液を作成した。この溶液は青色を呈し
た。

この溶液を濾紙に含浸させ、表面を乾燥させ
た。この含浸紙の下に布又は紙を重ね、含浸紙か
らボールペンを用いて画線を書くと、その布及び
紙上には対応する青色の画線が転写された。この
布又は紙上の青色の画線を消去するために水を他
の紙又は布に少量含浸させ、これをもつて画線を
拭くと直ちに画線は消去された。

Claims

【特許請求の範囲】１着色剤としてのチオシアン酸コバルトと、そ
の濃色化剤及び／又は乾燥防止剤としての多価ア
ルコールを含み、該多価アルコールの含有率が15
〜60重量％の粘性水溶液を吸液性支持体中に含浸
保持させてなる複写された文字や図案が水で消去
可能な複写材料。２チオシアン酸ニツケルと塩化コバルトからな
る着色剤と、その濃色化剤及び／又は乾燥防止剤
としての多価アルコールの含有率が15〜60重量％
の粘性水溶液を吸液性支持体中に含浸保持させて
なる複写された文字や図案が水で消去可能な複写
材料。