JP3251886B2 - 消色性インキ組成物 - Google Patents

消色性インキ組成物

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Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、筆記、複写または
描画した後、光線から遮断または比較的弱い可視光線が
照射される限りにおいてはその筆記、複写または描画し
たものは保存、維持されるが、不要になった場合には可
視光線の照射によりいつでも速やかに無色化することが
可能な消色性インキ組成物に関する。
【０００２】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】従
来、筆記、複写あるいは描画に用いるインキ組成物に必
要な基本的要素としては、インキ組成物の「のり」が良
く、筆記、複写あるいは描画の痕が鮮明であることが求
められる。更に多くの場合、これらの要素に加え、筆
記、複写あるいは描画の痕の持続性が求められる。
【０００３】近年、筆記具や複写物などはその多様化が
進み、それらに利用するインキ組成物の持続性に制限を
付与したり、不要となればインキ痕が消失してしまうよ
うな新しいタイプのインキ組成物への関心が高まってい
る。
【０００４】この観点から現在、裁縫用マーカーや、所
謂ラインマーカーなどに持続性に制限を持たせたものが
見受けられるが、いずれも「のり」や鮮明度に欠点があ
り、実用的に満足するものでなかった。
【０００５】
【課題を解決するための手段】かかる実情に鑑み、筆
記、複写または描画した後、可視光線から遮断または比
較的弱い可視光線が照射される限りにおいてはその筆
記、複写または描画したものは保存、維持されるが、不
要になった場合には可視光線の照射によりいつでも速や
かに無色化することが可能な消色性インキ組成物につい
て鋭意検討した結果、ヤンチノバクテリウム属に属する
微生物が産生する色素が優れた消色性インキ効果を示す
ことを見いだし、本発明を完成するに至ったものであっ
て、その目的とするところは、筆記、複写または描画し
た後、可視光線から遮断または比較的弱い可視光線が照
射される限りにおいてはその筆記、複写または描画した
ものは保存、維持されるが、不要になった場合には可視
光線の照射によりいつでも速やかに無色化することが可
能な消色性インキ組成物を提供するにある。
【０００６】上述の目的は、ヤンチノバクテリウム属に
属する微生物が産生する色素を配合することを特徴とす
る消色性インキ組成物によって達成される。
【０００７】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳述する。
【０００８】本発明に用いられるヤンチノバクテリウム
属に属する微生物の色素としては、例えば、特公平４ー
６３４７号公報に開示されているところの微工研受託９
３０３号として寄託されたヤンチノバクテリウム・リビ
ダムＫＫー２１７株の色素、ヤンチノバクテリウム・リ
ビダムＮＣＴＣ９７９６株、同ＤＡ（Ｓｎｅａｔｈ）、
同ＭＢ（Ｓｎｅａｔｈ）、同ＮＣＴＣ８６６１、同ＨＡ
（Ｓｎｅａｔｈ）、同Ｐ１、同ＡＴＣＣ１４４８７、同
Ｒｕ（Ｓｎｅａｔｈ）、同ＮＣＴＣ７１５０、同ＨＤ
（Ｓｎｅａｔｈ）および同ＡＴＣＣ６９１５の各色素な
どが挙げられる。
【０００９】該ヤンチノバクテリウム属の色素は濃紺色
または紫青色の色素である。該色素は、５０％アルコー
ル水並びにアルコール、アセトンおよびトルエン等の有
機溶媒などに溶解する。
【００１０】該ヤンチノバクテリウム属の色素の製造法
としては、例えば特公平４ー６３４７号公報および特開
平２−３９８９２号公報に開示されている方法で製造で
きる。
【００１１】本発明に用いられるヤンチノバクテリウム
属に属する微生物の色素の配合量としては、インキ組成
物の総量を基準として、０．０１〜９９．０ｗｔ％であ
れば好ましい。
【００１２】本発明のインキ組成物は、筆記用具、スタ
ンプ用、記録機用あるいは複写機用インキの組成物とし
て、紙類、布類、プラスチック類、ガラス、陶磁器、金
属、などに筆記、描画あるいは複写に用いることができ
ることは勿論、ボディペインティングなど美容アクセサ
リーなどにも利用できる。
【００１３】本発明のインキ組成物による筆記、描画あ
るいは複写は、耐水性があり、鮮明である。一方で可視
光線の暴露を受けると速やかに褪色し、ついには無色化
して完全に消失する。可視光線の種類は自然光（太陽
光）、蛍光灯などの人工光でもよく、可視光線の強度に
よって消失の時間を調節できる。
【００１４】本発明のインキ組成物が光線の暴露を受け
てそのインキが完全に消失するまでの所要時間は、前記
光線の強度の他、インキ組成物の組成、インキ組成物を
使用する対象等によって異なるが、後述の実施例で示し
たように太陽光線では４〜６時間で消失させることが可
能である。
【００１５】本発明のインキ組成物は、水分、温度、ｐ
Ｈなどに安定であることから、該インキ組成物で筆記し
た書類などを通常の屋内で使用して暗所に保存する限
り、書類に印字された文字、図表などは安定に保護され
る。
【００１６】
【実施例】以下、実施例および比較例により本発明を詳
細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものでは
ない。
【００１７】 実施例１（インキ組成物） ヤンチノバクテリウム・リビダムＫＫー２１７株色素 １０重量部 エチレングリコールモノエチルエーテル ７５重量部 エタノール １５重量部 混合液を加温、攪拌して完全に溶解した紫青色のインキ
組成物を得た。
【００１８】試験例１（太陽光の光照射による筆跡消失
試験） 実施例１のインキ組成物を用いて、紙（白色、上質
紙）、布（白色、木綿）、パイレックスガラス、ポリプ
ロピレン製器具に筆記し、８月の太陽光が射し込む窓際
の場所に静置し、筆跡が完全に消失する時間を調べた。
その結果、６時間後にいずれも完全消失した。
【００１９】試験例２（蛍光灯の光照射による筆跡消失
試験） 実施例１のインキ組成物を用いて、紙（白色、上質
紙）、布（白色、木綿）、パイレックスガラス、ポリプ
ロピレン製器具に筆記し、昼色蛍光灯下３０ｃｍに静置
し、筆跡が完全に消失する時間を調べた。その結果、２
４時間後にいずれも完全消失した。
【００２０】 実施例２（ボールペン用インキ組成物） ヤンチノバクテリウム・リビダムＫＫー２１７株色素 １０重量部 ＰＯＥ（１５）ノニルフェニルエーテル ２重量部 キサンタンガム ２重量部 グリセリン ４重量部 ソルビット １５重量部 防腐剤 適量 水 ６７重量部
【００２１】上記成分中、ヤンチノバクテリウム・リビ
ダムＫＫー２１７株色素、ＰＯＥ（１５）ノニルフェニ
ルエーテル、グリセリン、およびソルビットを水２０重
量部に混合、分散する。次にキサンタンガムと水４７重
量部とをミキサーにて攪拌混合して得たキサンタンガム
水溶液に、上記色素分散液と残りの成分とを加え、更に
混合攪拌して紫青色のボールペン用インキ組成物を得
た。
【００２２】試験例３（太陽光の光照射による筆跡消失
試験） 実施例２のインキ組成物を用いて、実施例１と同様紙
（白色、上質紙）、布（白色、木綿）、パイレックスガ
ラス、ポリプロピレン製器具に筆記し、８月の太陽光が
射し込む窓際の場所に静置し、筆跡が完全に消失する時
間を調べた。その結果、５時間後にいずれも完全消失し
た。
【００２３】 実施例３（記録用インキ組成物） ヤンチノバクテリウム・リビダムＫＫー２１７株色素 １０重量部 トルエン ９０重量部 ヤンチノバクテリウム・リビダムＫＫー２１７株色素を
トルエン有機溶媒に添加攪拌し、完全に溶解させて紫青
色のインキ組成物を得た。
【００２４】試験例４（太陽光の光照射による筆跡消失
試験） 実施例３のインキ組成物を用いて、実施例１と同様紙
（白色、上質紙）、布（白色、木綿）、パイレックスガ
ラス、ポリプロピレン製器具に筆記し、８月の太陽光が
射し込む窓際の場所に静置し、筆跡が完全に消失する時
間を調べた。その結果、４時間後にいずれも完全消失し
た。
【００２５】
【発明の効果】以上の如く、本発明により、筆記、複写
または描画した後、可視光線から遮断または比較的弱い
可視光線が照射される限りにおいてはその筆記、複写ま
たは描画したものは保存、維持されるが、不要になった
場合には可視光線の照射によりいつでも速やかに無色化
することが可能な消色性インキ組成物を提供できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名) C09D 11/00 - 11/20 C09B 61/00 C09K 9/02 D06P 1/34

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 ヤンチノバクテリウム属に属する微生物
    が産生する色素を配合することを特徴とする消色性イン
    キ組成物。
JP26264897A 1997-09-09 1997-09-09 消色性インキ組成物 Expired - Fee Related JP3251886B2 (ja)

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