JPH0559281U - ドライブシミュレータ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 任意のアクセル開度に対して適正なループゲ
インのクラッチ車速制御を自動的に得る。 【構成】 手動変速機を持つ自動車のクラッチのストロ
ークをストローク関数発生器からのストローク信号に従
って制御し、発進時に前記ストローク関数発生器のスト
ローク信号をホールドすると共に、クラッチ車速制御部
からの車速制御信号を該ストローク信号に加算してクラ
ッチストローク指令とすることにより半クラッチ状態を
得るクラッチ操作用アクチェータの制御装置を備えたド
ライブシミュレータにおいて、発進時のアクセル開度θ
_Sとエンジン回転数Ｎ_Eからエンジン出力トルクＴを求
め、このエンジン出力トルクＴに応じてクラッチ車速制
御部のゲインを制御する補正ゲイン演算部１１を備え、
アクセル開度変更に伴うクラッチ車速制御のループゲイ
ン過不足をクラッチ車速制御部のゲイン制御で補正す
る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、自動車の模擬走行試験のためのドライブシミュレータに係り、特に クラッチ操作用アクチェータの制御装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

ドライブシミュレータは、シャシーダイナモメータ等で自動車の自動運転を行 うのにアクセル，クラッチ，シフトレバー等をアクチェータ制御により自動操作 する。このうち、手動変速機を持つ自動車に必要なクラッチ操作には自動車の発 進，変速時にクラッチの接と断の切換操作を行い、クラッチの断から接への操作 には半クラッチ状態で伝達トルクを可変しながら発進する制御機能が要求される 。 図３は従来のクラッチ操作用アクチェータの制御装置を示す。電動式にされ るクラッチアクチェータ１は、クラッチペダル２に対するストローク操作量が電 動機の回転数として制御され、ストローク指令に従ってストローク制御部３とス トローク検出器４によるストロークの自動制御がなされる。

【０００３】 ストローク指令は、ストローク関数発生器５からのストローク関数として与え られる。ストローク関数は、クラッチ断指令が与えられたときにクラッチ接位置 から断位置までの一定傾斜のストローク／時間信号を発生し、クラッチ接指令に は逆の信号を発生する。

【０００４】 クラッチ接時のストローク指令が半クラッチ状態になる位置（図中のＰ１点） では、ストローク関数発生器５にはホールド回路６によって該位置Ｐ１の検出に よるホールド指令が加えられ、ストローク／時間信号が位置Ｐ１に固定される。 同時に、ホールド回路６はスイッチ７を投入保持し、クラッチ車速制御部８の出 力をストローク指令への加算入力にする。

【０００５】 車速制御部８は、発進時の車速指令を目標値とし、車速検出器９と信号変換器 １０による車速検出信号との偏差に応じた制御出力（ストローク加算分）を得る 。

【０００６】 このストローク加算になる半クラッチ状態の制御は、発進完了時の車速設定値 を比較基準にするコンパレータ１１において車速検出信号との比較によってホー ルド回路６をリセットすることで解除される。この解除後はストローク関数発生 器５のストローク関数に従ってクラッチの断から接になる。

【０００７】 図４はクラッチのストローク制御波形を示し、発進時の場合である。時刻ｔ₁ でクラッチ断指令が与えられ、ストローク関数発生器５の出力によってクラッチ が接から断にストローク制御される。クラッチ断完了時刻ｔ₂から一定時間後の 時刻ｔ₃で車速制御部８に一定傾斜で上昇する車速指令が与えられると共に、ス トローク関数発生器５にはクラッチ接の指令が与えられる。また、これに並行し てアクセルストローク制御系では予め設定された一定の発進関数θ_Sによるアク セル開度制御が行われる。

【０００８】 ストローク関数発生器５のストローク出力が位置Ｐ１に達した時刻ｔ₄にホー ルド回路６によるストローク信号のホールドがなされると共に車速制御部８から の出力が加算される。この加算分は、車速指令と車速検出信号との偏差を比例・ 積分した制御信号になり、車速指令に対して車速が徐々に近づくようストローク 指令を調節、即ち半クラッチ状態での加速を行う。

【０００９】 車速が発進完了車速に達した時刻ｔ₅ではコンパレータ１１によるホールド解 除によってストローク関数発生器５からのストローク制御に戻り、アクセル開度 も一定値から加減速の可変制御に入る。

【００１０】

【考案が解決しようとする課題】

従来のドライブシミュレータにおいて、発進時のアクセル制御は、前述のよう にアクセル開度一定にされるが、このアクセル開度設定値が適正値に比べて小さ いときには図５（ａ）に示すようにエンジントルク不足でストップになってしま い、逆に大き過ぎるときには（ｂ）に示すようにエンジン出力トルクが大きくな ってクラッチによる車速制御が不安定となる。

【００１１】 スムーズな発進を得るには、発進時のアクセル開度θ_Sを可変にしてその調整 を行うようにしているが、アクセル開度の調整でエンジン出力トルクが変化する ため、同じクラッチストロークでも車速が変化、即ちクラッチ車速制御のループ ゲインが変化してしまい、急発進パターンや緩発進パターンに従ったクラッチ車 速制御では良好な車速制御が得られない場合がある。

【００１２】 このような場合、アクセル開度θ_Sの調整に並行してクラッチ車速制御部８の 制御ゲインをゲイン設定器８Ａで調整しているが、この調整はアクセル開度とク ラッチ車速制御ゲインの両方の調整になり、しかも互いに影響を及ぼすため熟練 者でも調整に手間取るものであった。

【００１３】 本考案の目的は、任意のアクセル開度に対して適正なループゲインのクラッチ 車速制御を自動的に得ることができるドライブシミュレータを提供することにあ る。

【００１４】

【課題を解決するための手段】

本考案は、前記課題の解決を図るため、手動変速機を持つ自動車のクラッチの ストロークをストローク関数発生器からのストローク信号に従って制御し、発進 時に前記ストローク関数発生器のストローク信号をホールドすると共に、クラッ チ車速制御部からの車速制御信号を該ストローク信号に加算してクラッチストロ ーク指令とすることにより半クラッチ状態を得るクラッチ操作用アクチェータの 制御装置を備えたドライブシミュレータにおいて、発進時のアクセル開度を設定 するアクセル開度θ_Sとエンジン回転数Ｎ_Eとを入力としてエンジン特性パターン からエンジントルク出力Ｔを求めるエンジン特性パターン発生器と、前記エンジ ン出力トルクＴを除数とし前記クラッチ車速制御部の設定ゲインＫ_ASRを被除数 とした除算によって該クラッチ車速制御部のゲイン制御信号にする割算器と、を 備えたことを特徴とする。

【００１５】

【作用】

エンジン特性を持つパターン発生器によって発進時のアクセル開度θ_Sとエン ジン回転数からエンジン出力トルクの変化を得、このエンジン出力トルクの変化 に応じた割算器出力でクラッチ車速制御部のゲインを制御し、エンジン出力トル クの変化に応じたクラッチ車速制御ゲインの自動調整によってクラッチ車速制御 ループのゲインを一定にし、安定したストローク制御を得る。

【００１６】

【実施例】

図１は本考案の一実施例を示すブロック図である。同図が図３と異なる部分は 、補正ゲイン演算部１１によってクラッチ車速制御部８の制御ゲインを設定する 点にある。

【００１７】 補正ゲイン演算部１１は、発進時のアクセル開度θ_Sとエンジン回転数Ｎ_Eを入 力とするエンジン特性パターン発生器１２を備える。このパターン発生器１２は 、図２に示すようにエンジンのアクセル開度θ_Sと出力トルクＴの関係を回転数 Ｎ_Eをパラメータとしたパターン、又は該特性を簡略化したパターンを有し、ア クセル開度θ_Sとエンジン回転数Ｎ_Eの入力から決まるエンジントルク出力Ｔの信 号を発生する。

【００１８】 パターン発生器１２の出力は、割算器１３の除数信号にされ、この割算器１３ の被除数信号にはクラッチ車速制御ゲインＫ_ASRが設定され、割算器１３の出力 がクラッチ車速制御部８のゲイン制御信号にされる。

【００１９】 本実施例において、発進時のアクセル開度θ_Sが設定変更されたとき、エンジ ン特性パターン発生器１２は該アクセル開度θ_Sと現在回転数Ｎ_Eから求めるエン ジン出力トルクＴの信号を発生する。この信号Ｔにより割算器１３の出力は車速 制御ゲインＫ_ASRを増減してクラッチ車速制御部８のゲインを制御する。

【００２０】 従って、アクセル開度θ_Sの変更によって自動車のエンジン出力トルクＴが変 化したときに該トルクＴに応じてクラッチ車速制御部８のゲインが調整され、エ ンジン出力トルクの変化によるクラッチ車速制御系のループゲイン変化を補正し 、ループゲイン一定の安定した制御を得ることができる。この補正は補正ゲイン 演算部１１によって自動的になされ、アクセル開度調整に伴ってクラッチ車速制 御部８のゲインを再調整することを不要にする。

【００２１】

【考案の効果】

以上のとおり、本考案によれば、エンジン出力特性からアクセル開度に応じた クラッチ車速制御部のゲイン制御を行うようにしたため、アクセル開度の設定変 更にもクラッチ車速制御のループゲインの過不足を無くし、安定したクラッチス トロークの制御ができる。また、急発進試験等にアクセル開度の調整のみで済み 、クラッチ車速制御のゲイン調整は不要にし、調整を容易にする効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例のブロック図。

【図２】エンジンのアクセル開度−トルク特性図。

【図３】従来のブロック図。

【図４】発進・変速時の波形図。

【図５】アクセル開度大小による波形図。

【符号の説明】

１…アクチェータ、２…クラッチペダル、３…ストロー
ク制御部、５…ストローク関数発生器、６…ホールド回
路、８…クラッチ車速制御部、９…速度検出器、１１…
補正ゲイン演算部、１２…エンジン特性パターン発生
器、１３…割算器。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 手動変速機を持つ自動車のクラッチのス
   トロークをストローク関数発生器からのストローク信号
   に従って制御し、発進時に前記ストローク関数発生器の
   ストローク信号をホールドすると共に、クラッチ車速制
   御部からの車速制御信号を該ストローク信号に加算して
   クラッチストローク指令とすることにより半クラッチ状
   態を得るクラッチ操作用アクチェータの制御装置を備え
   たドライブシミュレータにおいて、 発進時のアクセル開度を設定するアクセル開度θ_Sとエ
   ンジン回転数Ｎ_Eとを入力としてエンジン特性パターン
   からエンジントルク出力Ｔを求めるエンジン特性パター
   ン発生器と、 前記エンジン出力トルクＴを除数とし前記クラッチ車速
   制御部の設定ゲインＫ_ASRを被除数とした除算によって
   該クラッチ車速制御部のゲイン制御信号にする割算器
   と、 を備えたことを特徴とするドライブシミュレータ。