JPH0558464U - シートの格納式フットレスト構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 支持角度を変化させることなく、フットレス
トの支持高さを調整可能として、着座者の快適性の改善
をはかる。 【構成】 フットレスト12が、サポートブラケット24に
基端の枢着された平行リンク18の自由端で、支持位置、
格納位置間を揺動可能に枢着されて、上下方向にほぼ平
行移動可能に設けられている。そして、複数のロック位
置を有するロック手段42による、所定の揺動角度での平
行リンク18のロックによって、フットレスト12の支持高
さを調整可能としている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、当該シートの前シート後端部に格納可能に設けられたシートの格 納式フットレスト構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】

たとえば、着座者の足を支持するフットレストが、観光バス、長距離バス等の シートに装着されている。このようなフットレストとして、たとえば、当該シー トの前シート後端部に格納可能に設けられた構成が知られている。

【０００３】 このような、いわゆる格納式フットレストは、たとえば、前シート後端部に設 けられたブラケットに、ヒンジ等によって跳上げ可能に取付けられ、跳上げ位置 がフットレストの格納位置として設定されている。

【０００４】 このような格納式フットレストにおいては、たとえば、偏倚手段のトグル作用 を利用して、支持位置、格納位置でフットレストが保持されている。つまり、支 持位置からのフットレストの跳上げに伴って、偏倚手段が所定のトグル点より格 納位置方向に揺動すると、偏倚手段の偏倚力のもとで、フットレストが格納位置 方向に偏倚されて、格納位置に保持される。

【０００５】 また、格納位置のフットレストを偏倚手段の偏倚力に抗して支持位置方向に揺 動させ、フットレストが偏倚手段のトグル点を越えると、偏倚手段がフットレス トを支持位置方向に偏倚し、偏倚力のもとでフットレストが支持位置に保持され る。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、公知の格納式フットレスト構造においては、フットレストを偏 倚手段のトグル作用のみによって揺動、保持しているため、フットレストの設定 位置が支持位置、格納位置の２点に限定されている。

【０００７】 つまり、支持位置における、フットレストの設定高さが常に一定であるため、 着座者の体形、好み等に応じた高さの設定が行なえない。そのため、着座者の体 形、好み等に応じた着座姿勢が容易に得られず、着座者に不快感を与え、着座者 の快適性を低下させる虞れがある。

【０００８】 ここで、ロック手段等によって、フットレストを所定の揺動角度で係止、保持 して、フットレストの高さを調整する構成が考えられる。しかしながら、このよ うな構成では、支持位置における、フットレストの支持角度がフットレストの高 さごとに変化するため、フットレストの高さによって、着座者に無理な姿勢を強 いる虞れがある。

【０００９】 この考案は、支持角度を変化させることなく、フットレストの支持高さを調整 可能として、着座者の快適性の改善をはかるシートの格納式フットレスト構造の 提供を目的としている。

【００１０】

【課題を解決するための手段】

この目的を達成するために、この考案によれば、フットレストが、シートフレ ームのベースブラケットに対して基端の枢着された平行リンクの自由端に、支持 位置、格納位置間で揺動可能に枢着されて、上下方向にほぼ平行移動可能に設け られている。そして、複数のロック位置を有するロック手段による、所定の揺動 角度での平行リンクのロックによって、フットレストの支持高さを調整可能とし ている。

【００１１】

【実施例】

以下、図面を参照しながらこの考案の実施例について詳細に説明する。

【００１２】 図１、図２に示すように、この考案に係るシートの格納式フットレスト構造10 において、フットレスト12は、（当該）シート14の前方に配設された前シート16 の後端部に、平行リンク18を介して取付けられている。

【００１３】 図１に加えて図３を見るとわかるように、平行リンク18は、たとえば、平行に 配設された第１リンクアーム18a 、第２リンクアーム18b を有し、各リンクアー ムの基端が、枢支ピン20,21 によって、サポートブラケット24に枢着されている 。また、第１、第２のリンクアーム18a,18b の自由端は、枢支ピン26,27 で枢着 された第３リンクアーム18c によって連動可能に連結されている。

【００１４】 そして、左右サイドにサイドブラケット30を持つフットレスト12の前端（図中 左方）が、たとえば、第１リンクアーム18a の自由端の枢支ピン26によって、第 １、第３のリンクアーム18a,18c とともに枢着されている。

【００１５】 ここで、図１、図３を見るとよくわかるように、たとえば、フットレストのサ イドブラケット30の上端面に係合して、フットレスト12を所定の支持角度に設定 する係合片32を一体的に有して、第３リンクアーム18c が形成されている。この ような構成では、基端の枢支ピン20,21 を中心とする第１、第２のリンクアーム 18a,18b の揺動により、第３リンクアーム18c 、つまりはフットレスト12が、サ ポートブラケット24に対して平行移動する。

【００１６】 そして、このように、平行リンク18を介してフットレスト12の取付けられたサ ポートブラケット24が、取付けボルト34、ナット36によりシートフレーム38のベ ースブラケット40に固着されて、フットレストが、ベースブラケット、つまりは 前シート16に対して、上下方向に平行移動可能に構成される。

【００１７】 ここで、この考案の格納式フットレスト構造10においては、平行リンク18を所 定の揺動角度でロック可能なロック手段42を有して構成されている。

【００１８】 図１、図３に示すように、ロック手段42は、たとえば、３個のロック溝44a-1 〜44a-3 を有して第１リンクアーム18a の基端サイドに形成された歯部44と、歯 部のロック溝44a に係合可能なロック爪46a を持つロックプレート46とを備えて 構成されている。

【００１９】 ロックプレート46は、たとえば、第１リンクアーム18a の歯部44に対応する位 置で、枢支ピン47によってサポートブラケット24に枢着され、偏倚手段48によっ て、ロック爪46a が歯部44との係合方向に偏倚されている。偏倚手段48として、 たとえば、ロック爪46a と逆サイドでロックプレート46に形成された係止片50と 、サポートブラケットの係止片52との間に張設された引張コイルばねが利用でき る。

【００２０】 このような構成では、引張コイルばね（偏倚手段）48の偏倚力のもとでのロッ クプレート46の回動により、ロック爪46a が歯部44のロック溝44a に係合され、 所定の揺動角度での第１リンクアーム18a 、つまりは平行リンク18のロックによ り、ロック溝の位置に対応したフットレスト12の高さが設定される。

【００２１】 たとえば、図１に示すように、歯部のロック溝44a-1 へのロック爪46a の係合 により設定された最下支持位置をフットレスト12の第１支持位置とし、第１支持 位置をフットレストおよびロック手段42の初期位置と仮定する。そして、図１に 加えて図２を見るとわかるように、このような状態から、たとえば、フットレス ト12の後端部（図中右方）に形成された把持孔53を利用して、シート14への着座 者がフットレスト12を矢視の方向に牽引しながら持上げると、反時計方向への平 行リンク18の揺動を伴って、フットレストが上方に平行移動する。

【００２２】 すると、平行リンク18の揺動により、ロック爪46a がロック溝44a-1 を離脱し 、ロック溝44a-1 に隣接する山部44b-2 の傾斜に沿って、ロックプレート46が引 張コイルばね48の偏倚力に抗して揺動しながら、第１リンクアーム18a 、つまり は平行リンク18が揺動される。

【００２３】 そして、平行リンク18の揺動に伴って、ロックプレートのロック爪46a が山部 44b-2 を越えると、図４に示すように、ロック爪は、引張コイルばね48の偏倚力 のもとでロック溝44a-2 に係合され、ロック溝44a-2 に対応する揺動角度に平行 リンクがロックされて、フットレスト12の第２支持位置、つまりは中間支持位置 が設定される。

【００２４】 また、これと同様に、図４に示すフットレスト12の第２支持位置において、着 座者がフットレストを実線矢視方向に牽引しながら持上げると、反時計方向への 平行リンク18の揺動により、ロック爪46a がロック溝44a-2 から離脱する。そし て、平行リンク18の揺動により、ロック爪46a が山部44b-3 を越えて、引張コイ ルばね48の偏倚力のもとでロック溝44a-3 に係合されると、図５に実線で示すフ ットレスト12の第３支持位置、つまりは最上支持位置が設定される。

【００２５】 ここで、図５に二点鎖線で矢視するように、フットレスト12を第３支持位置か ら跳上げると、フットレストは、平行リンク18の揺動を伴うことなく、枢支ピン 26を中心として揺動し、二点鎖線で示す格納位置に格納される。

【００２６】 なお、このような構成において、フットレスト12は、たとえば、フットレスト のサイドブラケット30、平行リンクの第３リンクアーム18c 間に張設した偏倚手 段（図示しない）のトグル作用によって支持位置、格納位置でそれぞれ保持され る。しかしながら、支持位置、格納位置でのフットレスト12の保持のための構成 は公知であり、その構成自体はこの考案の趣旨でないため、詳細に説明しない。

【００２７】 また、図５に実線で示すフットレスト12の第３支持位置において、フットレス トを再度牽引しながら持上げると、平行リンク18が反時計方向に更に揺動し、第 １リンクアーム18a の基端サイドで歯部44に隣接して設けられた解除片54によっ て、ロックプレート46が枢支ピン47を中心に時計方向に回動して、図６に示すよ うに、ロック爪46a がロック溝44a-3 から離脱する。

【００２８】 ここで、図６に示すように、この考案においては、保持部材56によって、ロッ クプレート46のロック解除状態を保持可能に構成されている。保持部材56として 、たとえば、サポートブラケット24の係止片52に一端の固着された板ばねが利用 でき、板ばねは、ロックプレート46のロック解除状態において、ロックプレート の係合片46b に係合可能に形成されている。

【００２９】 たとえば、図１、図４および図５に示すように、ロック溝44a 、ロック爪46a の係合時においては、板ばね（保持部材）56がロックプレートの係合片46b の上 面に位置し、係合片に係合することなく、ロックプレート46の回動を許容してい る。そして、たとえば、図６に示すように、解除片54の押圧に伴うロックプレー ト46の回動により、ロックプレートの係合片46b が板ばね56の図中右方に位置す ると、ロック爪46a 、ロック溝44a 間が離反した状態で、係合片46b が板ばねに 係合されるため、ロックプレート46のロック解除状態が保持される。

【００３０】 すると、第１リンクアーム18a 、つまりは平行リンク18がフリーとなり、フッ トレスト12の牽引力を解除することによって、平行リンクが自重のもとで時計方 向に揺動し、フットレストが下方に平行移動する。

【００３１】 ここで、この考案によれば、図６、図７に示すように、歯部の山部44b-1 が、 ロック解除状態のロック爪46a に係合可能な長さに形成されている。つまり、平 行リンク18が時計方向に揺動し、山部44b-1 がロックプレートのロック爪46a に 係合すると、ロック爪、つまりはロックプレート46が反時計方向に押圧される。 すると、ロックプレート46は、板ばね56の弾性に抗して回動するため、板ばね、 係合片46b 間の係合、つまりはロック解除状態でのロックプレートの保持が解除 され、ロックプレートが引張コイルばね48の偏倚力のもとで再び偏倚されて、図 １に示す初期状態に戻される。

【００３２】 つまり、この考案においては、把持孔53を利用したフットレスト12の牽引動作 のみによって、第１、第２、第３の支持位置の変更が行なえる。そして、たとえ ば、第３支持位置において、フットレスト12を跳上げれば、フットレストの格納 位置が設定される。

【００３３】 上記のように、この考案のシートの格納式フットレスト構造10によれば、平行 リンク18によって、フットレスト12を平行移動可能とし、複数のロック位置を持 つロック手段42によって、平行リンクを複数の揺動角度でロック可能としている 。つまり、ロック手段42による平行リンク18のロックによって、フットレスト12 の支持角度を変化させることなく、フットレストの支持高さが調整できる。

【００３４】 そのため、着座者の体形、好み等に応じたフットレストの高さが、一定の支持 角度のもとで容易に設定でき、着座者に不快感を与えることもなく、着座者の快 適性が十分に改善される。

【００３５】 そして、平行リンク18とロック手段42との組合せにより、フットレスト12の平 行移動および平行状態での高さ調整が確保できるため、格納式フットレスト構造 10の構成を複雑化することもない。

【００３６】 また、このような構成のロック手段42によれば、フットレスト12の牽引動作に 伴う、平行リンク18の揺動によって、ロック位置の段階的な移動およびロック解 除動作が一連の動作のもとで、容易に行なえる。そのため、フットレスト12の設 定操作を複雑化することもなく、操作性に優れた格納式フットレスト構造10が得 られる。

【００３７】 ここで、実施例においては、ロック手段の歯部44を平行リンク18の第１リンク アーム18a に設けているが、これに限定されず、たとえば、歯部を第２リンクア ーム18b の基部に設けるとともに、その対応する位置にロックプレート46を配設 する構成としてもよい。しかしながら、実施例のように、第１リンクアーム18a の基部に歯部44を設ければ、ロック手段42が大型化することもない。

【００３８】 また、実施例において、偏倚手段48は、引張コイルばねとして具体化されてい るが、これに限定されず、他の圧縮コイルばねやねじりばね等の他のばね部材か ら、偏倚手段を構成してもよい。

【００３９】 更に、保持部材56は、板ばねとして具体化されているが、ロックプレートの係 合片46b に弾性のもとで係合可能であれば足りるため、板ばねに限定されず、た とえば、合成樹脂製のプレート等から保持部材を形成してもよい。

【００４０】 また、ロック手段42によるロック位置は、第１、第２、第３の３か所として具 体化されているが、複数箇所であれば足りるため、これに限定されず、２か所ま たは４か所以上としてもよい。

【００４１】 そして、歯部44、ロックプレート46等は、図示の形状に限定されず、他の形状 としてもよいことはいうまでもない。

【００４２】 なお、この考案のシートの格納式フットレスト構造は、観光バス、長距離バス 等のシートに適するとはいえ、これに限定されず、たとえば、多目的自動車や電 車、飛行機、船舶等のシート、または、映画館、劇場等のシートに、この考案を 応用してもよい。

【００４３】 上述した実施例は、この考案を説明するためのものであり、この考案を何等限 定するものでなく、この考案の技術範囲内で変形、改造等の施されたものも全て この考案に包含されることはいうまでもない。

【００４４】

【考案の効果】

上記のように、この考案に係るシートの格納式フットレスト構造によれば、ロ ック手段による、所定の揺動角度での平行リンクのロックによって、フットレス トの支持角度を変化させることなく、フットレストの支持高さが調整できる。そ のため、着座者の体形、好み等に応じたフットレストの高さが一定の支持高さの もとで容易に設定でき、着座者に不快感を与えることもなく、着座者の快適性が 十分に改善される。

【００４５】 そして、平行リンクとロック手段との組合せにより、フットレストの平行移動 および平行状態での高さ調整が確保できるため、格納式フットレスト構造の構成 を複雑化することもない。

【００４６】 また、ロックプレートのロック爪を偏倚力のもとで歯部の複数のロック溝に係 合させるとともに、解除片によって押し上げられたロックプレートを保持部材に よってロック解除状態に保持する構成とすれば、フットレストの牽引動作に伴う 、平行リンクの揺動によって、ロック位置の段階的な移動およびロック解除動作 が一連の動作のもとで、容易に行なえる。そのため、フットレストの設定操作を 複雑化することもなく、操作性に優れた格納式フットレスト構造が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】第１支持位置（最下支持位置）における、この
考案に係るシートの格納式フットレスト構造の概略正面
図である。

【図２】格納式フットレストの装着されたシートの概略
側面図である。

【図３】シートの格納式フットレスト構造の概略分解斜
視図である。

【図４】第２支持位置（中間支持位置）における、シー
トの格納式フットレスト構造の概略正面図である。

【図５】第３支持位置（最上支持位置）および格納位置
における、シートの格納式フットレスト構造の概略正面
図である。

【図６】フットレストの上方位置でのロック解除状態に
おける、シートの格納式フットレスト構造の概略正面図
である。

【図７】フットレストの下方位置でのロック解除状態に
おける、シートの格納式フットレスト構造の概略正面図
である。

【符号の説明】

10 シートの格納式フットレスト構造 12 フットレスト 14 （当該）シート 16 前シート 18 平行リンク 40 ベースブラケット 42 ロック手段 44 歯部 44a ロック溝 44b 山部 46 ロックプレート 46a ロック爪 46b 係合片 48 偏倚手段（引張コイルばね） 54 解除片 56 保持部材（板ばね）

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 支持位置で当該シートへの着座者の足を
   支持可能に、フットレストが当該シートの前シート後端
   部に揺動可能に設けられ、ヒンジを中心とする跳上げ動
   作によって、所定の位置に格納されるシートの格納式フ
   ットレスト構造において、 フットレストが、シートフレームのベースブラケットに
   対して基端の枢着された平行リンクの自由端に支持位
   置、格納位置間で揺動可能に枢着されて、上下方向にほ
   ぼ平行移動可能に設けられ、 複数のロック位置を有するロック手段による、所定の揺
   動角度での平行リンクのロックによって、フットレスト
   の支持高さを調整可能としたことを特徴とするシートの
   格納式フットレスト構造。
2. 【請求項２】 ロック手段が、 複数のロック溝を持ち、平行リンク基端の一方に一体的
   に形成された歯部と、 少なくとも、平行リンクの歯部のロック溝に係合可能な
   ロック爪を有して形成され、シートフレームのベースブ
   ラケットに対して枢着されたロックプレートと、 ロックプレートのロック爪を歯部との係合方向に偏倚す
   る偏倚手段と、 平行リンクの歯部に隣接して設けられ、平行リンクが所
   定角度以上揺動されたとき、ロックプレートを押圧し
   て、平行リンクの歯部、ロックプレートのロック爪間の
   係合を解除する解除片と、 ロック爪とともにロックプレートに形成された係合片
   に、ロック解除位置において係合して、ロックプレート
   をロック解除位置に保持する保持部材と、 を備え、複数のロック位置でのロックによる、所定の揺
   動角度での平行リンクのロックによって、フットレスト
   の支持高さが順次設定可能に構成された請求項１記載の
   シートの格納式フットレスト構造。
3. 【請求項３】 フットレストの最下支持位置に対応する
   ロック溝に隣接した歯部の端末の山部が、ロック解除状
   態における、ロックプレートのロック爪に係合可能に形
   成された請求項１または２記載のシートの格納式フット
   レスト構造。