JPH055274A - 親水性を有する抗皮膚炎症性・抗菌抗カビ防臭性短繊維不織布 - Google Patents

親水性を有する抗皮膚炎症性・抗菌抗カビ防臭性短繊維不織布

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JPH055274A
JPH055274A JP3157236A JP15723691A JPH055274A JP H055274 A JPH055274 A JP H055274A JP 3157236 A JP3157236 A JP 3157236A JP 15723691 A JP15723691 A JP 15723691A JP H055274 A JPH055274 A JP H055274A
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JP
Japan
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chitosan
nonwoven fabric
antibacterial
woven fabric
fine powder
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JP3157236A
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Koji Tanaka
広司 田中
Koji Ezaki
孝二 江崎
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Unitika Ltd
Original Assignee
Unitika Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】人体に対する毒性がなく、安全性が極めて高
く、おむつカブレ皮膚炎などの皮膚炎の発症を抑制する
と共に抗菌性、抗カビ性、防臭性および永続親水性を有
する短繊維不織布を提供する。 【構成】熱可塑性重合体の短繊維を含む短繊維不織布で
あって、脱アセチル化度が60〜85%であるキチンの脱ア
セチル化物とセルロース微粉体とからなる複合体が固着
されていることを特徴とする親水性を有する抗皮膚炎症
性・抗菌抗カビ防臭性短繊維不織布。 【効果】特定された脱アセチル化度を有するキチンの脱
アセチル化物とセルロースの微粉体との複合体が不織布
に固着されているので耐久性に富む抗皮膚炎症性、抗菌
性、抗カビ性、防臭性および永続親水性を有すると共
に、カブレなど人体への影響を生じることもなく、安全
性が極めて高い不織布を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は耐久性に富む抗皮膚炎症
性、抗菌性、抗カビ性、防臭性および永続親水性を有
し、一般衣料材、寝装材、生活関連材、医療衛生材用素
材として好適に使用することができ、特に、子供用おむ
つ、大人用おむつ、失禁パットなどの紙おむつ用分野、
ナプキンなどの生理用品分野、メディカルアンダーパッ
ド、ガーゼ基布などのホスピタル分野およびパップ材基
布分野などの衛材用素材として、好適に使用することが
できる短繊維不織布に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、紙おむつは働く母親の増加、老人
人口の増加ならびにおむつ性能の飛躍的な向上から急激
な普及がみられる。しかし紙おむつの出現は、おむつカ
ブレ皮膚炎などの発生を誘発し多くの問題を生じてい
る。おむつカブレ皮膚炎が発生する原因は様々で、いく
つかの要因が重なり合って発生する場合が多く、原因を
特定することが困難である。しかし最近ではおむつ内の
ムレや汗による汗疹性カブレ、高温多湿で弱った皮膚に
カビが繁殖して起こるカンジダ性カブレ、尿や便の接触
による化学的刺激、水分を含んで柔らくなった皮膚とお
むつの材料との摩擦による物理的刺激から生じる接触皮
膚炎性カブレなどによりおむつカブレ皮膚炎が発生する
のではないかと言われている。
【0003】これらおむつカブレ皮膚炎を防ぐ方法とし
ては、おむつ内の透湿をよくしてムレを防ぐこと、吸水
性素材を用いて臀部をぬらさないこと、皮膚との接触部
に柔らかい素材を用いて物理的刺激を抑えることなどの
対策がとられているが、十分解決されるに至っていな
い。
【0004】また近年、健康的で快適な生活環境作りの
必要性から、抗菌防臭加工を施した繊維製品が数多く提
案されている。例えば、特公昭63−54013 号公報、特開
昭63−175117号公報、特開平1−250413号公報で、ゼオ
ライトに担持させた抗菌性金属(Ag、Cu、Zn)の
イオン的解離により抗菌性を付与することが提案されて
いる。また、抗菌性を付与するためにビグアナイト誘導
体、有機シリコン系第4級アンモニウム塩などの各種抗
菌剤を繊維や布帛に塗付する方法も提案されている。し
かしながら、これらの方法で得られた繊維や布帛には、
いずれも使用する用途によっては人体特に新生児などの
皮膚の弱い者に対し衛生上問題がある。
【0005】そこで、近年、人体に対する毒性が無く極
めて安全性の高いキトサンまたはキトサン誘導体を抗菌
製品に適用しようとする試みがなされている。キトサン
の抗菌性を利用した製品としては、例えば、特開昭62−
83875 号公報、特開昭63−102623号公報でキトサンが付
与されたフイルムおよび漁網が提案されている。前記キ
トサンの安全性については、キトサンを含むキチン質が
カニ、エビ、昆虫あるいは茸などの農産物として食用に
供されてきた実績からも裏付けられている。また、最
近、ダイエット食品への添加が行なわれ、厚生省がまと
めた天然食品添加物リストにも掲載されている。また、
キトサンの構成単位であるD−グルコサミンは、体内で
生理機能を担う構成物質として存在し、代謝機能が備わ
っていることが知られている。さらに、マウス、ラット
による一般毒性、局所毒性の検索においても急性毒性、
変異原性はみられず、人パッチテストにおいてもほとん
ど無刺激性であることが報告されている。ところが、こ
れらは衛材など人体に直接触れるものに適用されるもの
ではなかった。
【0006】本発明者らは先に、特願平 3-55913号でキ
チンの脱アセチル化物とセルロース微粉体とからなる複
合体を短繊維不織布に塗付することにより極めて安全性
の高い抗菌抗カビ防臭性不織布が得られることを提案し
た。本発明者らはキチンの脱アセチル化度についてさら
に鋭意検討した結果、キチンの脱アセチル化度を特定す
ることにより、おむつカブレ皮膚炎などの皮膚炎に対し
て優れた抗皮膚炎症性を発現することを見い出した。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は人体
に対する毒性が無く、安全性が極めて高く、おむつカブ
レ皮膚炎などの皮膚炎の発症を抑制すると共に抗菌性、
抗カビ性、防臭性および永続親水性を有し、一般衣料
材、寝装材、生活関連材、医療衛生材用素材として好適
に使用することができ、特に、子供用おむつ、大人用お
むつ、失禁パットなどの紙おむつ用分野、ナプキンなど
の生理用品分野、メディカルアンダーパッド、ガーゼ基
布などのホスピタル分野およびパップ材基布分野などの
衛材用素材として好適に使用することができる短繊維不
織布を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記課題を
解決すべく鋭意検討の結果、本発明に到達した。すなわ
ち本発明は、熱可塑性重合体の短繊維を含む短繊維不織
布であって、脱アセチル化度が60〜85%であるキチンの
脱アセチル化物とセルロース微粉体とからなる複合体が
固着されており、耐久性に富む抗皮膚炎症性、抗菌抗カ
ビ防臭性および永続親水性を有する不織布を要旨とする
ものである。また本発明は、不織布が熱可塑性重合体か
らなる短繊維と、綿、羊毛、麻などの天然繊維または/
およびレーヨンやアセテートなどの再生繊維や半合成繊
維からなる短繊維とで構成されてなることを特徴とする
親水性を有する抗皮膚炎症性・抗菌抗カビ防臭性短繊維
不織布を要旨とするものである。
【0009】まず、本発明の耐久性に富む抗皮膚炎症
性、抗菌抗カビ防臭性および永続親水性を有する不織布
について詳細に説明する。本発明の不織布は、熱可塑性
重合体の短繊維から構成され、不織布に脱アセチル化度
が60〜85%であるキチンの脱アセチル化物とセルロース
微粉体とからなる複合体が固着されているものである。
【0010】ここで言う脱アセチル化度とは、次のよう
な方法で測定された値を言う。試料約2gを2N−塩酸
水溶液200ml 中に投入し、室温で30分間攪拌する。次い
で、ガラスフィルターで濾過して塩酸水溶液を除去した
後、200ml メタノール中に投入して30分間攪拌する。こ
れをさらにガラスフィルターで濾過し、フレッシュなメ
タノール200ml 中に投入し、30分間攪拌する。このメタ
ノールによる洗浄操作を4回繰り返した後、風乾および
真空乾燥し、次いでその0.2ml を精評し、100ml の三角
フラスコに取り、イオン交換水40mlを加えて30分間攪拌
する。さらに、この溶液をフェノールフタレインを指示
薬として0.1 N荷性ソーダ水溶液中で中和滴定する。脱
アセチル化度(A)は次式により求められる。
【0011】
【0012】ただし、aは試料の重量(g)、fは0.1
N荷性ソーダ水溶液の力価、bは0.1 N荷性ソーダ水溶
液の滴定量(ml)である。本発明の不織布を構成する繊
維は、繊維形成性を有する熱可塑性重合体からなるもの
であって、単一重合体からなるものまたは2種以上の重
合体が芯鞘型あるいはサイドバイサイド型などに複合さ
れたものである。熱可塑性重合体としては、ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、共重
合ポリエステルなどのポリエステル、線状低密度ポリエ
チレン、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポ
リプロピレンなどのポリオレフィン、あるいはナイロン
6、ナイロン66、ナイロン610 、ナイロン46などのポリ
アミドが挙げられ、複合繊維の場合には、ポリエチレン
テレフタレートと高密度ポリエチレンとの組み合わせや
ポリプロピレンと線状低密度ポリエチレンとの組み合わ
せ、ポリプロピレンのホモポリマとエチレンがランダム
に共重合されたポリプロピレン系共重合体との組み合わ
せなどが挙げられる。本発明の不織布を構成する繊維の
単糸繊度は特に限定されないが、衛材などの用途は特に
柔軟性が要求されるために、5デニール以下好ましくは
2デニール以下とするのがよい。繊維の断面形状として
は、丸型あるいは三角型などの異型であっても、また中
空断面型であってもよい。
【0013】本発明でいう親水性を有する抗皮膚炎症性
・抗菌抗カビ防臭性不織布は、前記短繊維から構成され
るものである。この不織布は目付けが10g/m2 以上 2
00g/m2 以下のものであり、目付けが10g/m2 未満
であると、目付けが低すぎて均一な不織布を製造するこ
とが困難であるばかりでなく、不織布としての利用価値
が乏しい。一方、目付けが 200g/m2 を超えると、目
付けが高すぎて不織布が厚くなるとともに硬くなり、特
に衛材用不織布の素材として使用する上で好ましくな
い。
【0014】本発明の不織布は前述したように、短繊維
から構成される不織布に脱アセチル化度が60〜85%であ
るキチンの脱アセチル化物とセルロース微粉体とからな
る複合体が固着されているものである。本発明でいう抗
皮膚炎症、抗菌抗カビ防臭成分である前記キチンの脱ア
セチル化物としては、例えば主としてカニ、エビなどの
甲殻類の外殻からカルシウム、タンパク質などの狭雑物
を酸およびアルカリ処理で除去して得られるキチンを酸
処理あるいは酵素処理することにより脱アセチル化した
分子量数十万のアミノ基を有する高分子量ポリマ、いわ
ゆるキトサンが挙げられる。また、キトサンを酸あるい
は酵素処理で適度に分解した分子量数千から数万の比較
的低分子量のポリマであってもよい。前記キチンの脱ア
セチル化物、すなわちキトサンまたはキトサンの有機酸
塩、無機酸塩は抗菌抗カビ防臭性と共に優れた抗皮膚炎
症作用を発現する。特にキチンの脱アセチル化物の脱ア
セチル化度は有機酸、無機酸への溶解度および抗皮膚炎
症性から考慮して60〜85%、さらに好ましくは65〜80%
である。キチンの脱アセチル化度が60%未満のキトサン
は有機酸、無機酸への溶解が困難であり、たとえ溶解が
可能であったとしても極めて低濃度溶液しか得られず、
したがって、繊維や不織布へ塗付することが困難であ
る。また、キチンの脱アセチル化度が85%を超えるキト
サンは抗皮膚炎症性において十分な効果が得られない。
また、本発明でいう前記セルロース微粉体とは、セルロ
ースパルプをディスクリファイナなどで破砕して微細化
した粉体であり、直径が約 0.1μm、長さが数百μm程
度の微細なセルロースからなるものである。なお、この
セルロース微粉体は、特に高純度である必要はなく、水
に対して懸濁可能なものであればよい。
【0015】次に、本発明の親水性を有する抗皮膚炎症
性・抗菌抗カビ防臭性不織布を製造する方法について説
明する。本発明の不織布は熱可塑性重合体の短繊維から
構成される。通常の溶融紡糸装置を用いて前記重合体か
らなる長繊維を紡出し、紡出糸を一旦巻き取り、得られ
た未延伸糸パッケージを複数個厚めてトウとした状態で
延伸する。紡糸に際し、引き取り速度は通常 100/1500
分程度とするのがよい。集束したトウの延伸は、2段以
上の多段延伸とする。延伸に際し、延伸倍率は繊維を構
成する重合体の種類や短繊維に要求される強力レベルに
よるが、通常1.5〜6.0倍程度とするのがよい。次
いで、延伸処理トウにスタッファー型捲縮付与装置など
を用いて機械捲縮を施した後、所定長に切断して短繊維
とする。捲縮数は、不織布としたときに要求される嵩高
さなどにもよるが通常8〜20個/インチ程度とする。次
いで、前記で得られた短繊維を用いてウエブを作成す
る。ウエブ化はカード機を用いて、あるいは抄紙法によ
り作成することができる。次いで、得られたウエブに、
エンボスローラを用いてエンボス処理を施して不織布と
する。エンボス処理条件は、エンボスローラの線圧を通
常30〜100 kg/cmとし、エンボスローラ温度を熱可塑性
重合体の種類により異なるが、繊維を構成する熱可塑性
重合体の融点より5〜30℃程度低い温度とする。複合繊
維の場合には、繊維を構成する重合体のうち低融点成分
の融点より5〜30℃程度低い温度とするのがよい。ま
た、熱風循環型乾燥機などを用いて熱融着処理すること
により不織布を作成する場合には、処理温度は繊維を構
成する重合体の融点より5〜30℃程度低い温度とする。
複合繊維の場合には、繊維を構成する重合体のうち低融
点成分の融点より5〜30℃程度低い温度とするのがよ
い。また、熱風循環型乾燥機などを用いて熱融着処理す
ることにより不織布を作成する場合には、処理温度は繊
維を構成する重合体の融点から30℃程度高い温度とし、
処理時間を5〜120 秒とするのがよい。
【0016】次に、紡出後の繊維あるいは不織布にキチ
ンの脱アセチル化物、すなわち、キトサンまたはキトサ
ン軽度分解物の有機酸塩あるいは無機酸塩の水溶液とセ
ルロース微粉体の水懸濁液との混合処理液を塗付する。
塗付の方法としては、ローラー法、浸漬法、噴霧法、パ
ットドライ法などを用いることができる。短繊維から構
成される不織布への混合処理液の塗付は、紡糸、延伸、
捲縮工程など短繊維製造工程、あるいはカード、エンボ
ス、熱処理工程などウエブ形成工程のいかなる工程にて
行なってもよいが、通常紡糸延伸工程において各種油剤
とともに塗布するのがよい。
【0017】前記処理液の調製は次の方法により行な
う。まずキトサンまたはキトサン軽度分解物を水に膨潤
させた後、溶解に必要な最少量の酸に溶解する。可溶化
のために使用する酸としては、蟻酸、酢酸、乳酸、クエ
ン酸、アジピン酸、グルコン酸、酒石酸などの有機酸ま
たは塩酸、燐酸などの無機酸などを用いることができ
る。別途、セルロース微粉体に水に加えて、高速撹拌機
を用いて撹拌することによりセルロース微粉体の水懸濁
液を調整する。次いで、前記セルロース微粉体の水懸濁
液に前記キトサンまたはキトサン軽度分解物の無機酸塩
または有機酸塩の水溶液を加えて均一に混合することに
より処理液を調製する。
【0018】次に、前記処理液を塗付する方法について
さらに詳しく述べる。例えば、前記不織布に前記処理液
を塗付する場合には浸漬法、噴霧法、パットドライ法な
どで処理液を塗付した後、乾燥、熱処理を施す。乾燥お
よび熱処理は、通常の熱風循環型乾燥機で行ない、水分
を蒸発させるとともにキチンの脱アセチル化物とセルロ
ース微粉体とからなる複合体を形成させ、この複合体を
不織布の構成繊維表面上に固着させる。前記複合体の繊
維表面への固着強さは熱処理条件により影響され、熱処
理温度の上昇や熱処理時間の長さとともに強くなる。熱
処理温度は、親水性、抗菌抗カビ防臭性において必要と
する耐久性にもよるが、通常、キチンの脱アセチル化物
とセルロース微粉体との架橋複合化反応に必要な加熱温
度以上であり、前記短繊維不織布を構成する熱可塑性重
合体の融点より5℃以上低い温度にすればよい。塗付速
度は、不織布の生産速度でよく、通常10〜 100m/分で
あり、最大 100m/分の高速処理も可能で、何ら生産速
度を制限するものではない。塗付方法、塗付速度、処理
液粘度などの違いによる付着量の調節は、処理液濃度を
変更することにより行なう。以上述べたごとく、処理液
の塗付は、不織布製造工程上オンラインであっても、一
旦巻き取った不織布に塗付するオフラインであってもよ
い。
【0019】
【作用】本発明の短繊維不織布は、前述したように、熱
可塑性重合体の短繊維を含む不織布に脱アセチル化度が
60〜85%であるキチンの脱アセチル化物とセルロース微
粉体とからなる複合体が固着されているので、耐久性に
富む抗皮膚炎症性、抗菌性、抗カビ性および防臭性が発
現されるのみならず、永続的な親水性も発現される。
【0020】キチンの脱アセチル化物であるキトサンま
たはキトサンの軽度分解物には抗菌抗カビ防臭性があ
る。特にキチンの脱アセチル化物の有機酸塩、無機酸塩
には強い抗菌抗カビ作用が知られている。キトサンの抗
菌作用についてはカビの増殖抑制作用やEscherichia co
ri(大腸菌)、Staphylococcus aureus (黄色ぶどう球
菌)、 Pseudomonasaeruginosa(緑膿菌)、Bacillus s
ubtilis (枯草菌)などのグラム陽性、グラム陰性細菌
に対する増殖抑制作用が報告されている。これら抗菌作
用の詳細は不明であるが、四級化したキトサンのカチオ
ン性アミノ基によって菌の細胞壁中の陰イオン構成物質
が吸着され、その結果細胞壁の生合成が阻害あるいは壁
内外の物質の能動輸送が阻止されるため、抗菌作用が発
現されるものと推定されている。
【0021】さらに、脱アセチル化度が60〜85%である
特定されたキトサンまたはキトサンの軽度分解物には優
れた抗皮膚炎症作用がある。抗皮膚炎症作用の詳細は不
明であるが、脱アセチル化度が70%前後のキトサンまた
はキトサンの軽度分解物には、おむつ皮膚炎、急性湿
疹、アトピー性皮膚炎など炎症性皮膚疾患に対して抗炎
症作用が発現される。本発明の不織布は、耐久性に富む
抗皮膚炎症性、抗菌性、抗カビ性、防臭性を発現すると
共に、セルロースが固着されているので永続親水性をも
有する。
【0022】すなわち、キトサンまたはキトサン軽度分
解物の分子中に存在するアミノ基がセルロース中のカル
ボニル基と反応して架橋複合体を形成し、この複合体が
繊維表面に強固に固着される結果、耐久性に富む抗皮膚
炎症性、抗菌性、抗カビ性および永続親水性が発現する
のである。したがって、後加工工程や製品として使用し
たときの物理的摩擦あるいは衝撃に対し、高度の耐剥離
性、耐脱落性を有するとともに、優れた耐洗濯性、耐ド
ライクリーニング性、耐ウォータージェットニードル性
を有する。本発明の不織布では、繊維表面に固着された
キトサンのアミノ基が過剰に存在するため、キトサンの
アミノ基とセルロースのカルボニル基との架橋反応によ
りアミノ基が減少する結果抗菌抗カビ防臭性の活性が低
下することはない。また、本発明の不織布では、不織布
にセルロース微粉体が固着されているため優れた永続親
水性が発現する。本発明の利用分野の1つである紙おむ
つは排尿により尿だけがおむつ内部の吸収層に浸透す
る。しかしおむつ表面に残った雑菌が繁殖することで不
快な臭いやおむつカブレの原因となることが考えられ
る。さらに、身の回りに存在する多くのカビや細菌が下
着やソックスに吸着した汗の成分を資化して繁殖し不快
な臭いを発生するが、本発明の不織布によれば、これら
微生物の繁殖をキトサンまたはキトサン軽度分解物の有
機酸塩あるいは無機酸塩で抑制することで臭いの発生を
抑えることも可能である。したがって、本発明の不織布
は、特に衛材用の素材として好適に使用することができ
る。また、本発明の不織布は、熱可塑性重合体からなる
短繊維以外に、綿、羊毛、麻などの天然繊維、レーヨン
などの再生繊維、アセテートなどの半合成繊維からなる
短繊維の少なくとも1種を混ぜ合わせてもよい。さらに
本発明の不織布は、抗菌耐久性と永続親水性を兼ね備え
ているため、ディスポーザブルの用途ばかりでなく、耐
久性が要求される用途にも好適に使用することができ
る。
【0023】
【実施例】次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説
明する。実施例において、キチンの脱アセチル化物とし
て、BL型粘度計を用い、試料濃度1重量%、温度20℃
で測定した粘度が 200センチポイズ、脱アセチル化度が
70.5%のキトサンを用いた。なお、このキトサン1重量
部に対しイオン交換水25重量部を加えてキトサンを膨潤
させた後、氷酢酸 0.2重量部とイオン交換水23.8重量部
を加え、キトサン酢酸塩水溶液を作成した。別途、セル
ロース微粉体として、セリッシュ(登録商標)KY−10
0S(ダイセル化学工業(株)製 α−セルロース、水
に対する固形分25重量%)を用いた。なお、このセルロ
ース微粉体1重量部に対して11.5部のイオン交換水を加
えた後、家庭用ミキサで5分間撹拌することにより均一
な懸濁液を作成した。次いで、前記キトサン酢酸塩水溶
液を撹拌しながらセルロース微粉体水懸濁液を加えて均
一に混合し、不織布の処理液とした。なお、混合に際
し、両液の相溶性は良好であり、混合液は長期の静置に
対しても凝集沈降することもなく安定であった。セルロ
ースとキトサンの混合重量比は、それぞれの液容量比を
変更することにより調節した。また、不織布に塗付する
付着量の調節は、処理液濃度を変更することにより実施
した。
【0024】抗菌性は、シェイクフラスコ法(繊維製品
衛生加工協議会認定の抗菌効果試験方法)により菌減少
率(%)を測定することにより評価した。抗菌耐久性
は、中性洗剤にて10回洗濯後の不織布の菌減少率を測定
することにより耐洗濯性を、石油系およびハロゲン系洗
浄剤にてクリーニング処理を行なった後の不織布の菌減
少率を測定することにより耐クリーニング性を、またウ
ォータージェットニードル処理後不織布の菌減少率を測
定することにより耐水性を評価した。なお、前記評価に
当たっては、使用菌株としてK.pneumoniae ATCC4352 を
用いた。親水性は濾紙上に重ねて水平に静置した不織布
面上1cmの高さから滴下した10滴のイオン交換水の内、
吸水した滴数を百分率で求めて評価した。なお、イオン
交換水は50mlのビューレツトから1秒間に1滴の割合で
滴下した。不織布の引張り強力は、JIS L-1096に記載の
ストリップ法に準じ、幅30mm、長さ100mmの試験片から
最大引張り強力を測定して求めた。 実施例1 融点が 128℃、メルトインデックスが80g/10分のポリ
エチレン重合体Aと、融点が 258℃、固有粘度が0.70の
ポリエステル重合体Bを複合紡糸孔 200孔を有する紡糸
口金4錘から紡出し、重合体Aを鞘成分、重合体Bを芯
成分とする芯鞘複合型長繊維を紡出した。単孔吐出量
は、重合体A、B共に0.32g/分(成分Aと成分Bの重
量比は1:1)とした。紡出された長繊維糸条を冷却し
た後、巻取って芯鞘複合型未延伸糸のパッケージを得
た。得られたパッケージを複数個集めて延伸倍率2.15倍
で2段延伸した。次いで、得られた延伸処理トウにスタ
ッファー型捲縮付与装置を用いて機械捲縮を施した後、
所定長に切断して短繊維を得た。この短繊維の捲縮数は
14個/インチであり、繊維長は51mm、単糸繊度は2デニ
ールであった。この短繊維を用いて、池上機械株式会社
製ローラーカード機M32型タイプ60−M32を使用
してウエブを作成した。次に、得られたウエブを温度 1
35℃の熱風循環型乾燥機を使用して、処理時間60秒でウ
エブを熱接着して不織布とした。得られた不織布は目付
けが50g/m2 、機械の進行方向の引張り強力が 9.8kg
/25mm、横方向の引張り強力が 1.6/25mmであった。
【0025】次に、複合型短繊維不織布にキトサン酢酸
塩水溶液とセルロース微粉体水懸濁液との混合処理液を
塗付した。塗付は、別途パットドライ機を用い、所定濃
度に調製した混合処理液に浸漬した後、線圧力 4.0kg/
cmのニップローラで絞り、次いで温度 120℃の熱風循環
乾燥機にて乾燥熱処理した後、ロール状に巻き取った。
処理速度は10m/分であった。なお、処理液を塗付する
に際しては、前記処理原液にイオン交換水を加えて濃度
を変更し、キトサンとセルロースの混合重量比ならびに
キトサンとセルロース微粉体とからなる複合体の付着量
の異なる短繊維不織布(実施例1−1〜実施例1−7)
を採取した。
【0026】また、キトサン対セルロ−スの重量比が0.
2/1 で、かつキトサンとセルロ−スからなる複合体の付
着量が88.8×10-3g/m2 の不織布を用いて石油系洗浄
剤およびハロゲン系洗浄剤でクリーニング処理した不織
布(実施例1−8、1−9)、また、同様に水圧 600ポ
ンド/平方インチおよび1400ポンド/平方インチでそれ
ぞれ4回ウォータージェットニードル処理を施した不織
布(実施例1−10、1−11)を採取した。 比較実施例1 キトサン酢酸塩水溶液とセルロース微粉体の水懸濁液と
の混合処理液の代りにセルロース微粉体の水懸濁液を噴
霧塗布した以外は、実施例1と全く同様な方法で処理し
た(比較実施例1−1)。また、同様にキトサン酢酸塩
の水溶液を実施例1と全く同様な方法で処理した(比較
実施例1−2〜1−3)。 比較例1 キトサン酢酸塩水溶液とセルロース微粉体の水懸濁液と
の混合処理液の代りにイオン交換水を噴霧塗付した以外
は、実施例1と全く同様な方法で処理した。
【0027】実施例1−1〜1−7で得た短繊維不織布
のキトサン対セルロースの混合重量比、キトサンとセル
ロースとからなる複合体の付着量、シエイクフラスコ菌
減少率、親水性の結果を、また、比較実施例1−1〜1
−3で得たセルロース微粉体およびキトサンの付着量、
シエイクフラスコ菌減少率、親水性の結果を、また、キ
トサン対セルロースの重量比が0.2 :1、かつキトサン
とセルロースとからなる複合体の付着量が91.5×10-3
/m2 の不織布を用いて石油系洗浄剤およびハロゲン系
洗浄剤でクリーニング処理した不織布(実施例1−8お
よび1−9)、また、同様に水圧600 ポンド/平方イン
チおよび1400ポンド/平方インチでそれぞれ4回ウォー
タージェットニードル処理を施した不織布(実施例1−
10および1−11)および比較例1の菌減少率、親水
性の結果を表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】表1から明らかなように、本発明の実施例
1−1〜1−3および実施例1−5〜1−7のキトサン
とセルロースとからなる複合体が一定量以上固着された
不織布は、菌減少率が高いものであるとともに10回洗濯
後の菌減少率も高く、かつ親水性を有するものであっ
た。しかし、セルロース微粉体のみを塗布した比較実施
例1−1には親水性のみが見られ、また、キトサンのみ
を塗布した比較実施例1−2〜1−3には初期菌減少率
は高いものの10回洗濯後の菌減少率は低く、抗菌耐久性
に劣るものであった。さらに、実施例1−8および1−
9のクリーニング処理後の不織布および実施例1−10
および1−11のウォータージェットニードル処理後の
不織布は、高い菌減少率を有し、かつ親水性も保持する
ものであった。 実施例2 単糸繊度 1.5デニ−ル、繊維長51mmの低融点ポリエステ
ル短繊維と綿から混合比率の異なる目付け50g/m2
不織布を作成した。次に、前記不織布に実施例1と同様
の方法で処理し、キトサンとセルロ−ス微粉体との複合
体の固着した短繊維不織布(実施例2−1〜2−3)を
得た。 比較例2 キトサン酢酸塩水溶液とセルロ−ス微粉体の水懸濁液と
の混合処理液の代りにイオン交換水を浸漬塗付した以外
は実施例2と同様の行程で目付け50g/m2 の不織布を
得た。実施例2−1〜2−3、比較例2で得た短繊維不
織布の混綿重量比、キトサンとセルロ−ス微粉体とから
なる複合体の付着量、シェイクフラスコ菌減少率の結果
を表2に示す。
【0030】
【表2】
【0031】表2の結果から、キトサンとセルロ−ス微
粉体との複合体の固着した短繊維不織布(実施例2−1
〜2−3)は高い菌減少率を示すことが明らかである。 実施例3 本発明の抗炎症例として、おむつカブレに対する効果を
確認する目的で、ポリエチレンテレフタレート(融点25
8 ℃、相対粘度が1.38)を芯成分、高密度ポリエチレン
(融点136 ℃、メルトインデックスが20g/10分) のを
鞘成分とする複合繊維〔ユニチカ株式会社製 メルティ
(登録商標)〕を素材にしておむつライナーを作成し
た、おむつライナーの作成は実施例1と同様、池上機械
株式会社製ローラーカード機M32型タイプ60−M3
2を使用してウエブを作成した。次に、得られたウエブ
を温度135℃の熱風循環型乾燥機を使用して、処理時
間60秒でウエブを熱接着して不織布とし、おむつライ
ナーに成形した。上記短繊維<6080>の短糸繊度は
2デニール、長さは51mmであり、おむつライナーの目付
けは30g/m2 であった。次に3種類の脱アセチル化
度の異なるキトサン酢酸塩水溶液とセルロース微粉体の
水懸濁液との混合処理液(固形分重量混合比1:1)を
噴霧塗付した後、加熱温度120℃の熱風循環乾燥器を
通過させて乾燥した(実施例3−1〜3−3)。本発明
のおむつライナーを用いて対象者18名によるモニター
テストを実施した。モニターテストはそれぞれ30枚を
5日間に亘って連続使用してカブレ防止をを評価した。 比較例3 キトサン酢酸塩水溶液とセルロース微粉体の水懸濁液と
の混合処理液の代りにイオン交換水を噴霧塗付した以外
は実施例3と同様の方法でおむつライナーを処理し、モ
ニターテストによるカブレ防止を評価した。
【0032】実施例3で得たおむつライナー(実施例3
−1〜3−3)および比較例2で得たおむつライナーの
キトサン酢酸塩とセルロース微粉体との複合体の付着量
および抗炎症モニター結果を表3に示した。
【0033】
【表3】
【0034】表3のモニター結果からおむつライナーに
対して効果ありと答えた人の人数は比較例3の2名に対
して本発明のおむつライナー(実施例3−1〜3−3)
はそれそれぞれ7名、11名、6名と多く抗炎効果は明
らかである。
【0035】また、キトサンの脱アセチル化度の比較で
は70.5%の脱アセチル化度のキトサンで処理したおむつ
ライナ−(実施例3−2)が11名と最も多く、特に効
果のあることが明らかである。 実施例4 単糸繊度1.5 デニール、繊維長51mmの低融点ポリエステ
ル短繊維と単糸繊度2デニール、繊維長51mmのレーヨン
からなり且つ混合比率の異なる目付け50g/m 2 の不織
布を作成した。次に、前記不織布に実施例1と同様な方
法で処理し、キトサンとセルロース微粉体との複合体の
固着した短繊維不織布(実施例4−1〜4−3)を得
た。 比較例4 キトサン酢酸塩水溶液とセルロース微粉体の水懸濁液と
の混合処理液の代りにイオン交換水を浸漬塗付した以外
は実施例4と同様な行程で目付50g/m2 の不織布を得
た。
【0036】実施例4−1〜4−3、比較例4で得た短
繊維不織布の混綿重量比、キトサンとセルロース微粉体
とからなる複合体の付着量、シェイクフラスコ菌減少
率、親水性の結果を表4に示した。
【0037】
【表4】
【0038】表4の結果から、キトサンとセルロース微
粉体との複合体の固着した短繊維不織布(実施例4−1
〜4−3)は高い菌減少率を示すことが明らかである。
【0039】
【発明の効果】以上のように本発明の親水性を有する抗
皮膚炎症性・抗菌抗カビ防臭性不織布は、前記構成を備
えるものであり、耐久性に富む抗皮膚炎症性、抗菌性、
抗カビ性、防臭性および永続親水性を有する。しかも、
キチンの脱アセチル化物とセルロース微粉体を用いてい
るので、無毒性であり安全性が極めて高いと共に使用に
際しておむつカブレなど皮膚炎の発症を抑制する作用が
ある。したがって、本発明の親水性を有する抗皮膚炎症
性・抗菌抗カビ防臭性不織布は、一般衣料材、寝装材、
生活関連材、医療衛生材用素材として好適に使用するこ
とができ、特に、子供用おむつ、大人用おむつ、失禁パ
ットなどの紙おむつ用分野、ナプキンなどの生理用品分
野、メディカルアンダーパッド、ガーゼ基布などのホス
ピタル分野およびパップ材基布分野などの衛材用素材と
して、好適に使用することができる。また、抗菌耐久性
と永続親水性を兼ね備えているため、ディスポーザブル
の用途ばかりでなく耐久性が要求される用途にも好適に
使用することができる。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成3年7月31日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 親水性を有する抗皮膚炎症性・抗
菌抗カビ防臭性短繊維不織布
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は耐久性に富む抗皮膚炎症
性、抗菌性、抗カビ性、防臭性および永続親水性を有
し、一般衣料材、寝装材、生活関連材、医療衛生材用素
材として好適に使用することができ、特に、子供用おむ
つ、大人用おむつ、失禁パットなどの紙おむつ用分野、
ナプキンなどの生理用品分野、メディカルアンダーパッ
ド、ガーゼ基布などのホスピタル分野およびパップ材基
布分野などの衛材用素材として、好適に使用することが
できる短繊維不織布に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、紙おむつは働く母親の増加、老人
人口の増加ならびにおむつ性能の飛躍的な向上から急激
な普及がみられる。しかし紙おむつの出現は、おむつカ
ブレ皮膚炎などの発生を誘発し多くの問題を生じてい
る。おむつカブレ皮膚炎が発生する原因は様々で、いく
つかの要因が重なり合って発生する場合が多く、原因を
特定することが困難である。しかし最近ではおむつ内の
ムレや汗による汗疹性カブレ、高温多湿で弱った皮膚に
カビが繁殖して起こるカンジダ性カブレ、尿や便の接触
による化学的刺激、水分を含んで柔らくなった皮膚とお
むつの材料との摩擦による物理的刺激から生じる接触皮
膚炎性カブレなどによりおむつカブレ皮膚炎が発生する
のではないかと言われている。
【0003】これらおむつカブレ皮膚炎を防ぐ方法とし
ては、おむつ内の透湿をよくしてムレを防ぐこと、吸水
性素材を用いて臀部をぬらさないこと、皮膚との接触部
に柔らかい素材を用いて物理的刺激を抑えることなどの
対策がとられているが、十分解決されるに至っていな
い。
【0004】また近年、健康的で快適な生活環境作りの
必要性から、抗菌防臭加工を施した繊維製品が数多く提
案されている。例えば、特公昭63−54013 号公報、特開
昭63−175117号公報、特開平1−250413号公報で、ゼオ
ライトに担持させた抗菌性金属(Ag、Cu、Zn)の
イオン的解離により抗菌性を付与することが提案されて
いる。また、抗菌性を付与するためにビグアナイト誘導
体、有機シリコン系第4級アンモニウム塩などの各種抗
菌剤を繊維や布帛に塗付する方法も提案されている。し
かしながら、これらの方法で得られた繊維や布帛には、
いずれも使用する用途によっては人体特に新生児などの
皮膚の弱い者に対し衛生上問題がある。
【0005】そこで、近年、人体に対する毒性が無く極
めて安全性の高いキトサンまたはキトサン誘導体を抗菌
製品に適用しようとする試みがなされている。キトサン
の抗菌性を利用した製品としては、例えば、特開昭62−
83875 号公報、特開昭63−102623号公報でキトサンが付
与されたフイルムおよび漁網が提案されている。前記キ
トサンの安全性については、キトサンを含むキチン質が
カニ、エビ、昆虫あるいは茸などの農産物として食用に
供されてきた実績からも裏付けられている。また、最
近、ダイエット食品への添加が行なわれ、厚生省がまと
めた天然食品添加物リストにも掲載されている。また、
キトサンの構成単位であるD−グルコサミンは、体内で
生理機能を担う構成物質として存在し、代謝機能が備わ
っていることが知られている。さらに、マウス、ラット
による一般毒性、局所毒性の検索においても急性毒性、
変異原性はみられず、人パッチテストにおいてもほとん
ど無刺激性であることが報告されている。ところが、こ
れらは衛材など人体に直接触れるものに適用されるもの
ではなかった。
【0006】本発明者らは先に、特願平 3-55913号でキ
チンの脱アセチル化物とセルロース微粉体とからなる複
合体を短繊維不織布に塗付することにより極めて安全性
の高い抗菌抗カビ防臭性不織布が得られることを提案し
た。本発明者らはキチンの脱アセチル化度についてさら
に鋭意検討した結果、キチンの脱アセチル化度を特定す
ることにより、おむつカブレ皮膚炎などの皮膚炎に対し
て優れた抗皮膚炎症性を発現することを見い出した。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は人体
に対する毒性が無く、安全性が極めて高く、おむつカブ
レ皮膚炎などの皮膚炎の発症を抑制すると共に抗菌性、
抗カビ性、防臭性および永続親水性を有し、一般衣料
材、寝装材、生活関連材、医療衛生材用素材として好適
に使用することができ、特に、子供用おむつ、大人用お
むつ、失禁パットなどの紙おむつ用分野、ナプキンなど
の生理用品分野、メディカルアンダーパッド、ガーゼ基
布などのホスピタル分野およびパップ材基布分野などの
衛材用素材として好適に使用することができる短繊維不
織布を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記課題を
解決すべく鋭意検討の結果、本発明に到達した。すなわ
ち本発明は、熱可塑性重合体の短繊維を含む短繊維不織
布であって、脱アセチル化度が60〜85%であるキチンの
脱アセチル化物とセルロース微粉体とからなる複合体が
固着されており、耐久性に富む抗皮膚炎症性、抗菌抗カ
ビ防臭性および永続親水性を有する不織布を要旨とする
ものである。また本発明は、不織布が熱可塑性重合体か
らなる短繊維と、綿、羊毛、麻などの天然繊維または/
およびレーヨンやアセテートなどの再生繊維や半合成繊
維からなる短繊維とで構成されてなることを特徴とする
親水性を有する抗皮膚炎症性・抗菌抗カビ防臭性短繊維
不織布を要旨とするものである。
【0009】まず、本発明の耐久性に富む抗皮膚炎症
性、抗菌抗カビ防臭性および永続親水性を有する不織布
について詳細に説明する。本発明の不織布は、熱可塑性
重合体の短繊維から構成され、不織布に脱アセチル化度
が60〜85%であるキチンの脱アセチル化物とセルロース
微粉体とからなる複合体が固着されているものである。
【0010】ここで言う脱アセチル化度とは、次のよう
な方法で測定された値を言う。試料約2gを2N−塩酸
水溶液200ml 中に投入し、室温で30分間攪拌する。次い
で、ガラスフィルターで濾過して塩酸水溶液を除去した
後、200ml のメタノール中に投入して30分間攪拌する。
これをさらにガラスフィルターで濾過し、フレッシュな
メタノール200ml 中に投入し、30分間攪拌する。このメ
タノールによる洗浄操作を4回繰り返した後、風乾およ
び真空乾燥し、次いでその0.2 gを精評し、100ml の三
角フラスコに取り、イオン交換水40mlを加えて30分間攪
拌する。さらに、この溶液をフェノールフタレインを指
示薬として0.1 N荷性ソーダ水溶液で中和滴定する。脱
アセチル化度(A)は次式により求められる。
【0011】
【0012】ただし、aは試料の重量(g)、fは0.1
N荷性ソーダ水溶液の力価、bは0.1 N荷性ソーダ水溶
液の滴定量(ml)である。本発明の不織布を構成する繊
維は、繊維形成性を有する熱可塑性重合体からなるもの
であって、単一重合体からなるものまたは2種以上の重
合体が芯鞘型あるいはサイドバイサイド型などに複合さ
れたものである。熱可塑性重合体としては、ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、共重
合ポリエステルなどのポリエステル、線状低密度ポリエ
チレン、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポ
リプロピレンなどのポリオレフィン、あるいはナイロン
6、ナイロン66、ナイロン610 、ナイロン46などのポリ
アミドが挙げられ、複合繊維の場合には、ポリエチレン
テレフタレートと高密度ポリエチレンとの組み合わせや
ポリプロピレンと線状低密度ポリエチレンとの組み合わ
せ、ポリプロピレンのホモポリマとエチレンがランダム
に共重合されたポリプロピレン系共重合体との組み合わ
せなどが挙げられる。本発明の不織布を構成する繊維の
単糸繊度は特に限定されないが、衛材などの用途は特に
柔軟性が要求されるために、5デニール以下好ましくは
2デニール以下とするのがよい。繊維の断面形状として
は、丸型あるいは三角型などの異型であっても、また中
空断面型であってもよい。
【0013】本発明でいう親水性を有する抗皮膚炎症性
・抗菌抗カビ防臭性不織布は、前記短繊維から構成され
るものである。この不織布は目付けが10g/m2 以上 2
00g/m2 以下のものであり、目付けが10g/m2 未満
であると、目付けが低すぎて均一な不織布を製造するこ
とが困難であるばかりでなく、不織布としての利用価値
が乏しい。一方、目付けが 200g/m2 を超えると、目
付けが高すぎて不織布が厚くなるとともに硬くなり、特
に衛材用不織布の素材として使用する上で好ましくな
い。
【0014】本発明の不織布は前述したように、短繊維
から構成される不織布に脱アセチル化度が60〜85%であ
るキチンの脱アセチル化物とセルロース微粉体とからな
る複合体が固着されているものである。本発明でいう抗
皮膚炎症、抗菌抗カビ防臭成分である前記キチンの脱ア
セチル化物としては、例えば主としてカニ、エビなどの
甲殻類の外殻からカルシウム、タンパク質などの狭雑物
を酸およびアルカリ処理で除去して得られるキチンを酸
処理あるいは酵素処理することにより脱アセチル化した
分子量数十万のアミノ基を有する高分子量ポリマ、いわ
ゆるキトサンが挙げられる。また、キトサンを酸あるい
は酵素処理で適度に分解した分子量数千から数万の比較
的低分子量のポリマであってもよい。前記キチンの脱ア
セチル化物、すなわちキトサンまたはキトサンの有機酸
塩、無機酸塩は抗菌抗カビ防臭性と共に優れた抗皮膚炎
症作用を発現する。特にキチンの脱アセチル化物の脱ア
セチル化度は有機酸、無機酸への溶解度および抗皮膚炎
症性から考慮して60〜85%、さらに好ましくは65〜80%
である。キチンの脱アセチル化度が60%未満のキトサン
は有機酸、無機酸への溶解が困難であり、たとえ溶解が
可能であったとしても極めて低濃度溶液しか得られず、
したがって、繊維や不織布へ塗付することが困難であ
る。また、キチンの脱アセチル化度が85%を超えるキト
サンは抗皮膚炎症性において十分な効果が得られない。
また、本発明でいう前記セルロース微粉体とは、セルロ
ースパルプをディスクリファイナなどで破砕して微細化
した粉体であり、直径が約 0.1μm、長さが数百μm程
度の微細なセルロースからなるものである。なお、この
セルロース微粉体は、特に高純度である必要はなく、水
に対して懸濁可能なものであればよい。
【0015】次に、本発明の親水性を有する抗皮膚炎症
性・抗菌抗カビ防臭性不織布を製造する方法について説
明する。本発明の不織布は熱可塑性重合体の短繊維から
構成される。通常の溶融紡糸装置を用いて前記重合体か
らなる長繊維を紡出し、紡出糸を一旦巻き取り、得られ
た未延伸糸パッケージを複数個厚めてトウとした状態で
延伸する。紡糸に際し、引き取り速度は通常 100〜1500
m/分程度とするのがよい。集束したトウの延伸は、2
段以上の多段延伸とする。延伸に際し、延伸倍率は繊維
を構成する重合体の種類や短繊維に要求される強力レベ
ルによるが、通常1.5〜6.0倍程度とするのがよ
い。次いで、延伸処理トウにスタッファー型捲縮付与装
置などを用いて機械捲縮を施した後、所定長に切断して
短繊維とする。捲縮数は、不織布としたときに要求され
る嵩高さなどにもよるが通常8〜20個/インチ程度とす
る。次いで、前記で得られた短繊維を用いてウエブを作
成する。ウエブ化はカード機を用いて、あるいは抄紙法
により作成することができる。次いで、得られたウエブ
に、エンボスローラを用いてエンボス処理を施して不織
布とする。エンボス処理条件は、エンボスローラの線圧
を通常30〜100 kg/cmとし、エンボスローラ温度を熱可
塑性重合体の種類により異なるが、繊維を構成する熱可
塑性重合体の融点より5〜30℃程度低い温度とする。複
合繊維の場合には、繊維を構成する重合体のうち低融点
成分の融点より5〜30℃程度低い温度とするのがよい。
また、熱風循環型乾燥機などを用いて熱融着処理するこ
とにより不織布を作成する場合には、処理温度は繊維を
構成する重合体の融点より5〜30℃程度低い温度とす
る。複合繊維の場合には、繊維を構成する重合体のうち
低融点成分の融点より5〜30℃程度低い温度とするのが
よい。また、熱風循環型乾燥機などを用いて熱融着処理
することにより不織布を作成する場合には、処理温度は
繊維を構成する重合体の融点から30℃程度高い温度と
し、処理時間を5〜120 秒とするのがよい。
【0016】次に、紡出後の繊維あるいは不織布にキチ
ンの脱アセチル化物、すなわち、キトサンまたはキトサ
ン軽度分解物の有機酸塩あるいは無機酸塩の水溶液とセ
ルロース微粉体の水懸濁液との混合処理液を塗付する。
塗付の方法としては、ローラー法、浸漬法、噴霧法、パ
ットドライ法などを用いることができる。短繊維から構
成される不織布への混合処理液の塗付は、紡糸、延伸、
捲縮工程など短繊維製造工程、あるいはカード、エンボ
ス、熱処理工程などウエブ形成工程のいかなる工程にて
行なってもよいが、通常紡糸延伸工程において各種油剤
とともに塗布するのがよい。
【0017】前記処理液の調製は次の方法により行な
う。まずキトサンまたはキトサン軽度分解物を水に膨潤
させた後、溶解に必要な最少量の酸に溶解する。可溶化
のために使用する酸としては、蟻酸、酢酸、乳酸、クエ
ン酸、アジピン酸、グルコン酸、酒石酸などの有機酸ま
たは塩酸、燐酸などの無機酸などを用いることができ
る。別途、セルロース微粉体に水に加えて、高速撹拌機
を用いて撹拌することによりセルロース微粉体の水懸濁
液を調整する。次いで、前記セルロース微粉体の水懸濁
液に前記キトサンまたはキトサン軽度分解物の無機酸塩
または有機酸塩の水溶液を加えて均一に混合することに
より処理液を調製する。
【0018】次に、前記処理液を塗付する方法について
さらに詳しく述べる。例えば、前記不織布に前記処理液
を塗付する場合には浸漬法、噴霧法、パットドライ法な
どで処理液を塗付した後、乾燥、熱処理を施す。乾燥お
よび熱処理は、通常の熱風循環型乾燥機で行ない、水分
を蒸発させるとともにキチンの脱アセチル化物とセルロ
ース微粉体とからなる複合体を形成させ、この複合体を
不織布の構成繊維表面上に固着させる。前記複合体の繊
維表面への固着強さは熱処理条件により影響され、熱処
理温度の上昇や熱処理時間の長さとともに強くなる。熱
処理温度は、親水性、抗菌抗カビ防臭性において必要と
する耐久性にもよるが、通常、キチンの脱アセチル化物
とセルロース微粉体との架橋複合化反応に必要な加熱温
度以上であり、前記短繊維不織布を構成する熱可塑性重
合体の融点より5℃以上低い温度にすればよい。塗付速
度は、不織布の生産速度でよく、通常10〜 100m/分で
あり、最大 100m/分の高速処理も可能で、何ら生産速
度を制限するものではない。塗付方法、塗付速度、処理
液粘度などの違いによる付着量の調節は、処理液濃度を
変更することにより行なう。以上述べたごとく、処理液
の塗付は、不織布製造工程上オンラインであっても、一
旦巻き取った不織布に塗付するオフラインであってもよ
い。
【0019】
【作用】本発明の短繊維不織布は、前述したように、熱
可塑性重合体の短繊維を含む不織布に脱アセチル化度が
60〜85%であるキチンの脱アセチル化物とセルロース微
粉体とからなる複合体が固着されているので、耐久性に
富む抗皮膚炎症性、抗菌性、抗カビ性および防臭性が発
現されるのみならず、永続的な親水性も発現される。
【0020】キチンの脱アセチル化物であるキトサンま
たはキトサンの軽度分解物には抗菌抗カビ防臭性があ
る。特にキチンの脱アセチル化物の有機酸塩、無機酸塩
には強い抗菌抗カビ作用が知られている。キトサンの抗
菌作用についてはカビの増殖抑制作用やEscherichia co
ri(大腸菌)、Staphylococcus aureus (黄色ぶどう球
菌)、 Pseudomonasaeruginosa(緑膿菌)、Bacillus s
ubtilis (枯草菌)などのグラム陽性、グラム陰性細菌
に対する増殖抑制作用が報告されている。これら抗菌作
用の詳細は不明であるが、四級化したキトサンのカチオ
ン性アミノ基によって菌の細胞壁中の陰イオン構成物質
が吸着され、その結果細胞壁の生合成が阻害あるいは壁
内外の物質の能動輸送が阻止されるため、抗菌作用が発
現されるものと推定されている。
【0021】さらに、脱アセチル化度が60〜85%である
特定されたキトサンまたはキトサンの軽度分解物には優
れた抗皮膚炎症作用がある。抗皮膚炎症作用の詳細は不
明であるが、脱アセチル化度が70%前後のキトサンまた
はキトサンの軽度分解物には、おむつ皮膚炎、急性湿
疹、アトピー性皮膚炎など炎症性皮膚疾患に対して抗炎
症作用が発現される。本発明の不織布は、耐久性に富む
抗皮膚炎症性、抗菌性、抗カビ性、防臭性を発現すると
共に、セルロースが固着されているので永続親水性をも
有する。
【0022】すなわち、キトサンまたはキトサン軽度分
解物の分子中に存在するアミノ基がセルロース中のカル
ボニル基と反応して架橋複合体を形成し、この複合体が
繊維表面に強固に固着される結果、耐久性に富む抗皮膚
炎症性、抗菌性、抗カビ性および永続親水性が発現する
のである。したがって、後加工工程や製品として使用し
たときの物理的摩擦あるいは衝撃に対し、高度の耐剥離
性、耐脱落性を有するとともに、優れた耐洗濯性、耐ド
ライクリーニング性、耐ウォータージェットニードル性
を有する。本発明の不織布では、繊維表面に固着された
キトサンのアミノ基が過剰に存在するため、キトサンの
アミノ基とセルロースのカルボニル基との架橋反応によ
りアミノ基が減少する結果抗菌抗カビ防臭性の活性が低
下することはない。また、本発明の不織布では、不織布
にセルロース微粉体が固着されているため優れた永続親
水性が発現する。本発明の利用分野の1つである紙おむ
つは排尿により尿だけがおむつ内部の吸収層に浸透す
る。しかしおむつ表面に残った雑菌が繁殖することで不
快な臭いやおむつカブレの原因となることが考えられ
る。さらに、身の回りに存在する多くのカビや細菌が下
着やソックスに吸着した汗の成分を資化して繁殖し不快
な臭いを発生するが、本発明の不織布によれば、これら
微生物の繁殖をキトサンまたはキトサン軽度分解物の有
機酸塩あるいは無機酸塩で抑制することで臭いの発生を
抑えることも可能である。したがって、本発明の不織布
は、特に衛材用の素材として好適に使用することができ
る。また、本発明の不織布は、熱可塑性重合体からなる
短繊維以外に、綿、羊毛、麻などの天然繊維、レーヨン
などの再生繊維、アセテートなどの半合成繊維からなる
短繊維の少なくとも1種を混ぜ合わせてもよい。さらに
本発明の不織布は、抗菌耐久性と永続親水性を兼ね備え
ているため、ディスポーザブルの用途ばかりでなく、耐
久性が要求される用途にも好適に使用することができ
る。
【0023】
【実施例】次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説
明する。実施例において、キチンの脱アセチル化物とし
て、BL型粘度計を用い、試料濃度1重量%、温度20℃
で測定した粘度が 200センチポイズ、脱アセチル化度が
70.5%のキトサンを用いた。なお、このキトサン1重量
部に対しイオン交換水25重量部を加えてキトサンを膨潤
させた後、氷酢酸 0.2重量部とイオン交換水23.8重量部
を加え、キトサン酢酸塩水溶液を作成した。別途、セル
ロース微粉体として、セリッシュ(登録商標)KY−10
0S(ダイセル化学工業(株)製 α−セルロース、水
に対する固形分25重量%)を用いた。なお、このセルロ
ース微粉体1重量部に対して11.5部のイオン交換水を加
えた後、家庭用ミキサで5分間撹拌することにより均一
な懸濁液を作成した。次いで、前記キトサン酢酸塩水溶
液を撹拌しながらセルロース微粉体水懸濁液を加えて均
一に混合し、不織布の処理液とした。なお、混合に際
し、両液の相溶性は良好であり、混合液は長期の静置に
対しても凝集沈降することもなく安定であった。セルロ
ースとキトサンの混合重量比は、それぞれの液容量比を
変更することにより調節した。また、不織布に塗付する
付着量の調節は、処理液濃度を変更することにより実施
した。
【0024】抗菌性は、シェイクフラスコ法(繊維製品
衛生加工協議会認定の抗菌効果試験方法)により菌減少
率(%)を測定することにより評価した。抗菌耐久性
は、中性洗剤にて10回洗濯後の不織布の菌減少率を測定
することにより耐洗濯性を、石油系およびハロゲン系洗
浄剤にてクリーニング処理を行なった後の不織布の菌減
少率を測定することにより耐クリーニング性を、またウ
ォータージェットニードル処理後不織布の菌減少率を測
定することにより耐水性を評価した。なお、前記評価に
当たっては、使用菌株としてK.pneumoniae ATCC4352 を
用いた。親水性は濾紙上に重ねて水平に静置した不織布
面上1cmの高さから滴下した10滴のイオン交換水の内、
吸水した滴数を百分率で求めて評価した。なお、イオン
交換水は50mlのビューレツトから1秒間に1滴の割合で
滴下した。不織布の引張り強力は、JIS L-1096に記載の
ストリップ法に準じ、幅25mm、長さ100mmの試験片から
最大引張り強力を測定して求めた。 実施例1 融点が 128℃、メルトインデックスが80g/10分のポリ
エチレン重合体Aと、融点が 258℃、固有粘度が0.70の
ポリエステル重合体Bを複合紡糸孔 200孔を有する紡糸
口金4錘から紡出し、重合体Aを鞘成分、重合体Bを芯
成分とする芯鞘複合型長繊維を紡出した。単孔吐出量
は、重合体A、B共に0.32g/分(成分Aと成分Bの重
量比は1:1)とした。紡出された長繊維糸条を冷却し
た後、巻取って芯鞘複合型未延伸糸のパッケージを得
た。得られたパッケージを複数個集めて延伸倍率2.15倍
で2段延伸した。次いで、得られた延伸処理トウにスタ
ッファー型捲縮付与装置を用いて機械捲縮を施した後、
所定長に切断して短繊維を得た。この短繊維の捲縮数は
14個/インチであり、繊維長は51mm、単糸繊度は2デニ
ールであった。この短繊維を用いて、池上機械株式会社
製ローラーカード機M32型タイプ60−M32を使用
してウエブを作成した。次に、得られたウエブを温度 1
35℃の熱風循環型乾燥機を使用して、処理時間60秒でウ
エブを熱接着して不織布とした。得られた不織布は目付
けが50g/m2 、機械の進行方向の引張り強力が 9.8kg
/25mm、横方向の引張り強力が 1.6/25mmであった。
【0025】次に、複合型短繊維不織布にキトサン酢酸
塩水溶液とセルロース微粉体水懸濁液との混合処理液を
塗付した。塗付は、別途パットドライ機を用い、所定濃
度に調製した混合処理液に浸漬した後、線圧力 4.0kg/
cmのニップローラで絞り、次いで温度 120℃の熱風循環
乾燥機にて乾燥熱処理した後、ロール状に巻き取った。
処理速度は10m/分であった。なお、処理液を塗付する
に際しては、前記処理原液にイオン交換水を加えて濃度
を変更し、キトサンとセルロースの混合重量比ならびに
キトサンとセルロース微粉体とからなる複合体の付着量
の異なる短繊維不織布(実施例1−1〜実施例1−7)
を採取した。
【0026】また、キトサン対セルロ−スの重量比が0.
2/1 で、かつキトサンとセルロ−スからなる複合体の付
着量が88.8×10-3g/m2 の不織布を用いて石油系洗浄
剤およびハロゲン系洗浄剤でクリーニング処理した不織
布(実施例1−8、1−9)、また、同様に水圧 600ポ
ンド/平方インチおよび1400ポンド/平方インチでそれ
ぞれ4回ウォータージェットニードル処理を施した不織
布(実施例1−10、1−11)を採取した。 比較実施例1 キトサン酢酸塩水溶液とセルロース微粉体の水懸濁液と
の混合処理液の代りにセルロース微粉体の水懸濁液を噴
霧塗布した以外は、実施例1と全く同様な方法で処理し
た(実施比較例1−1)。また、同様にキトサン酢酸塩
の水溶液を実施例1と全く同様な方法で処理した(比較
実施例1−2〜1−3)。 比較例1 キトサン酢酸塩水溶液とセルロース微粉体の水懸濁液と
の混合処理液の代りにイオン交換水を浸漬塗付した以外
は、実施例1と全く同様な方法で処理した。
【0027】実施例1−1〜1−7で得た短繊維不織布
のキトサン対セルロースの混合重量比、キトサンとセル
ロースとからなる複合体の付着量、シエイクフラスコ菌
減少率、親水性の結果を、また、比較実施例1−1〜1
−3で得たセルロース微粉体およびキトサンの付着量、
シエイクフラスコ菌減少率、親水性の結果を、また、キ
トサン対セルロースの重量比が0.2 :1、かつキトサン
とセルロースとからなる複合体の付着量が91.5×10-3
/m2 の不織布を用いて石油系洗浄剤およびハロゲン系
洗浄剤でクリーニング処理した不織布(実施例1−8お
よび1−9)、また、同様に水圧600 ポンド/平方イン
チおよび1400ポンド/平方インチでそれぞれ4回ウォー
タージェットニードル処理を施した不織布(実施例1−
10および1−11)および比較例1の菌減少率、親水
性の結果を表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】表1から明らかなように、本発明の実施例
1−1〜1−3および実施例1−5〜1−7のキトサン
とセルロースとからなる複合体が一定量以上固着された
不織布は、菌減少率が高いものであるとともに10回洗濯
後の菌減少率も高く、かつ親水性を有するものであっ
た。しかし、セルロース微粉体のみを塗布した比較実施
例1−1には親水性のみが見られ、また、キトサンのみ
を塗布した比較実施例1−2〜1−3には初期菌減少率
は高いものの10回洗濯後の菌減少率は低く、抗菌耐久性
に劣るものであった。さらに、実施例1−8および1−
9のクリーニング処理後の不織布および実施例1−10
および1−11のウォータージェットニードル処理後の
不織布は、高い菌減少率を有し、かつ親水性も保持する
ものであった。 実施例2 単糸繊度 1.5デニ−ル、繊維長51mmの低融点ポリエステ
ル短繊維と綿から混合比率の異なる目付け50g/m2
不織布を作成した。次に、前記不織布に実施例1と同様
の方法で処理し、キトサンとセルロ−ス微粉体との複合
体の固着した短繊維不織布(実施例2−1〜2−3)を
得た。 比較例2 キトサン酢酸塩水溶液とセルロ−ス微粉体の水懸濁液と
の混合処理液の代りにイオン交換水を浸漬塗付した以外
は実施例2と同様の行程で目付け50g/m2 の不織布を
得た。実施例2−1〜2−3、比較例2で得た短繊維不
織布の混綿重量比、キトサンとセルロ−ス微粉体とから
なる複合体の付着量、シェイクフラスコ菌減少率の結果
を表2に示す。
【0030】
【表2】
【0031】表2の結果から、キトサンとセルロ−ス微
粉体との複合体の固着した短繊維不織布(実施例2−1
〜2−3)は高い菌減少率を示すことが明らかである。 実施例3 本発明の抗炎症例として、おむつカブレに対する効果を
確認する目的で、ポリエチレンテレフタレート(融点25
8 ℃、相対粘度が1.38)を芯成分、高密度ポリエチレン
(融点136 ℃、メルトインデックスが20g/10分) のを
鞘成分とする複合繊維〔ユニチカ株式会社製 メルティ
(登録商標)〕を素材にしておむつライナーを作成し
た、おむつライナーの作成は実施例1と同様、池上機械
株式会社製ローラーカード機M32型タイプ60−M3
2を使用してウエブを作成した。次に、得られたウエブ
を温度135℃の熱風循環型乾燥機を使用して、処理時
間60秒でウエブを熱接着して不織布とし、おむつライ
ナーに成形した。上記短繊維<6080>の短糸繊度は
2デニール、長さは51mmであり、おむつライナーの目付
けは30g/m2 であった。次に3種類の脱アセチル化度
の異なるキトサン酢酸塩水溶液とセルロース微粉体の水
懸濁液との混合処理液(固形分重量混合比1:1)を噴
霧塗付した後、加熱温度120℃の熱風循環乾燥器を通
過させて乾燥した(実施例3−1〜3−3)。本発明の
おむつライナーを用いて対象者18名によるモニターテ
ストを実施した。モニターテストはそれぞれ30枚を5
日間に亘って連続使用してカブレ防止をを評価した。 比較例3 キトサン酢酸塩水溶液とセルロース微粉体の水懸濁液と
の混合処理液の代りにイオン交換水を噴霧塗付した以外
は実施例3と同様の方法でおむつライナーを処理し、モ
ニターテストによるカブレ防止を評価した。
【0032】実施例3で得たおむつライナー(実施例3
−1〜3−3)および比較例2で得たおむつライナーの
キトサン酢酸塩とセルロース微粉体との複合体の付着量
および抗炎症モニター結果を表3に示した。
【0033】
【表3】
【0034】表3のモニター結果からおむつライナーに
対して効果ありと答えた人の人数は比較例3の2名に対
して本発明のおむつライナー(実施例3−1〜3−3)
はそれそれぞれ7名、11名、6名と多く抗炎効果は明
らかである。
【0035】また、キトサンの脱アセチル化度の比較で
は70.5%の脱アセチル化度のキトサンで処理したおむつ
ライナ−(実施例3−2)が11名と最も多く、特に効
果のあることが明らかである。 実施例4 単糸繊度1.5 デニール、繊維長51mmの低融点ポリエステ
ル短繊維と単糸繊度2デニール、繊維長51mmのレーヨン
からなり且つ混合比率の異なる目付け50g/m 2 の不織
布を作成した。次に、前記不織布に実施例1と同様な方
法で処理し、キトサンとセルロース微粉体との複合体の
固着した短繊維不織布(実施例4−1〜4−3)を得
た。 比較例4 キトサン酢酸塩水溶液とセルロース微粉体の水懸濁液と
の混合処理液の代りにイオン交換水を浸漬塗付した以外
は実施例4と同様な行程で目付50g/m2 の不織布を得
た。
【0036】実施例4−1〜4−3、比較例4で得た短
繊維不織布の混綿重量比、キトサンとセルロース微粉体
とからなる複合体の付着量、シェイクフラスコ菌減少
率、親水性の結果を表4に示した。
【0037】
【表4】
【0038】表4の結果から、キトサンとセルロース微
粉体との複合体の固着した短繊維不織布(実施例4−1
〜4−3)は高い菌減少率を示すことが明らかである。
【0039】
【発明の効果】以上のように本発明の親水性を有する抗
皮膚炎症性・抗菌抗カビ防臭性不織布は、前記構成を備
えるものであり、耐久性に富む抗皮膚炎症性、抗菌性、
抗カビ性、防臭性および永続親水性を有する。しかも、
キチンの脱アセチル化物とセルロース微粉体を用いてい
るので、無毒性であり安全性が極めて高いと共に使用に
際しておむつカブレなど皮膚炎の発症を抑制する作用が
ある。したがって、本発明の親水性を有する抗皮膚炎症
性・抗菌抗カビ防臭性不織布は、一般衣料材、寝装材、
生活関連材、医療衛生材用素材として好適に使用するこ
とができ、特に、子供用おむつ、大人用おむつ、失禁パ
ットなどの紙おむつ用分野、ナプキンなどの生理用品分
野、メディカルアンダーパッド、ガーゼ基布などのホス
ピタル分野およびパップ材基布分野などの衛材用素材と
して、好適に使用することができる。また、抗菌耐久性
と永続親水性を兼ね備えているため、ディスポーザブル
の用途ばかりでなく耐久性が要求される用途にも好適に
使用することができる。 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成3年9月18日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正内容】
【0026】また、キトサン対セルロースの重量比が0.
2/1 で、かつキトサンとセルロースからなる複合体の付
着量が88.8×10-3g/m2 の不織布を用いて石油系洗浄
剤およびハロゲン系洗浄剤でクリーニング処理した不織
布(実施例1−8、1−9)、また、同様に水圧600 ポ
ンド/平方インチおよび1400ポンド/平方インチでそれ
ぞれ4回ウォータージェットニードル処理を施した不織
布(実施例1−10、1−11)を採取した。 比較実施例1 キトサン酢酸塩水溶液とセルロース微粉体の水懸濁液と
の混合処理液の代りにセルロース微粉体の水懸濁液を浸
漬塗布した以外は、実施例1と全く同様な方法で処理し
た(実施比較例1−1)。また、同様にキトサン酢酸塩
の水溶液を実施例1と全く同様な方法で処理した(比較
実施例1−2〜1−3)。 比較例1 キトサン酢酸塩水溶液とセルロース微粉体の水懸濁液と
の混合処理液の代りにイオン交換水を浸漬塗布した以外
は、実施例1と全く同様な方法で処理した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D01F 8/04 Z 7199−3B D04H 1/42 J 7199−3B 1/58 A 7199−3B D06M 23/00 7199−3B D06M 21/00 C 7199−3B B

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 熱可塑性重合体の短繊維を含む短繊維不
    織布であって、脱アセチル化度が60〜85%であるキチン
    の脱アセチル化物とセルロース微粉体とからなる複合体
    が固着されていることを特徴とする親水性を有する抗皮
    膚炎症性・抗菌抗カビ防臭性短繊維不織布。 【請求項2】 請求項1記載の親水性を有する抗皮膚炎
    症性・抗菌抗カビ防臭性短繊維不織布であって、不織布
    が熱可塑性重合体からなる短繊維と、綿、羊毛、麻など
    の天然繊維または/およびレーヨンやアセテートなどの
    再生繊維や半合成繊維からなる短繊維とで構成されてな
    ることを特徴とする親水性を有する抗皮膚炎症性・抗菌
    抗カビ防臭性短繊維不織布。
JP3157236A 1991-06-28 1991-06-28 親水性を有する抗皮膚炎症性・抗菌抗カビ防臭性短繊維不織布 Pending JPH055274A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN116726231A (zh) * 2023-08-10 2023-09-12 北京小鹿科技有限公司 一种干爽性抑菌纸尿裤及其制备方法

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