JP3048431B2 - 抗菌抗カビ防臭性長繊維の製造方法および抗菌抗カビ防臭性長繊維不織布の製造方法 - Google Patents

抗菌抗カビ防臭性長繊維の製造方法および抗菌抗カビ防臭性長繊維不織布の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は抗菌性、抗カビ性および
防臭性を有し、肌着、靴下などの一般衣料材、病院用ベ
ッドシーツ、包帯、パップ材基布およびおむつなどの医
療衛生材、マクラカバー、手袋、タオル、エプロンなど
の生活関連材、シーツ、布団カバーなどの寝装材、食品
包装材、ティーバッグ、使い捨てカイロなどの生活関連
資材として好適に使用することができる抗菌抗カビ防臭
性長繊維の製造方法および抗菌抗カビ防臭性長繊維不織
布の製造方法に関するものである。
【0002】
【0003】
【従来の技術】近年、健康的で快適な生活環境作りの必
要性から、抗菌防臭加工を施した繊維製品が数多く提案
されている。
【0004】例えば、特公昭63-54013号公報、特開昭63
-175117 号公報、特開平1-250413号公報には、ゼオライ
トに担持させた抗菌性金属(Ag、Cu、Zn)のイオ
ン的解離により抗菌性を付与することが提案されてい
る。また、抗菌性を付与するためにビグアナイト誘導
体、有機シリコン系第四級アンモニウム塩などの各種抗
菌剤を繊維や布帛に塗付する方法も提案されている。
【0005】しかしながら、これらの方法にはいずれも
使用する用途によっては人体、特に新生児などの皮膚の
弱い者に対し衛生上問題がある。そこで、近年、人体に
対する毒性が無く極めて安全性の高いキトサンまたはキ
トサン誘導体を抗菌製品に適用しようとする試みがなさ
れている。キトサンの抗菌性を利用した製品としては、
例えば、特開昭62-83875号公報、特開昭63-102623 号公
報にキトサンが付与されたフィルムおよび漁網が提案さ
れている。上記キトサンの安全性についてはキトサンを
含むキチン質がカニ、エビ、昆虫あるいは茸などの農産
物として食用に供されてきた実績からも裏付けられてい
る。また、最近ダイエット食品への添加が行なわれ厚生
省がまとめた天然食品添加物リストにも掲載されてい
る。また、キトサンの構成単位であるD−グルコサミン
は体内で生理機能を担う構成物質として存在し、代謝機
能が備わっていることが知られている。さらに、マウ
ス、ラットによる一般毒性、局所毒性の検索においても
急性毒性、変異原性はみられず、人パッチテストにおい
てもほとんど無刺激性であることが報告されている。
【0006】ところが、上記従来例は一般衣料材や医療
衛生材など、人体に直接触れるものに適用されるもので
はなかった。さらに、キチンの無機酸塩を含む抗菌性繊
維製品も提案されているが、使用される無機酸としては
例えば塩酸、硫酸、燐酸、硝酸などであり、いずれも酸
性度が非常に高く、工業的に使用する場合、取り扱いに
注意しなければならないし、廃液の処理が高価になると
いう問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、人体に対す
る毒性が無く、極めて安全性が高く、抗菌性、抗カビ性
および防臭性を有し、一般衣料材、医療衛生材、生活関
連材、寝装材などの素材として好適に使用することがで
きる優れた長繊維の製造方法および長繊維不織布の製造
方法を提供しようとするものである。
【0008】
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の抗菌抗カビ防臭
性長繊維の製造方法は、キトサンに水を加えて膨潤させ
た後、水と有機酸とを加えてキトサン有機酸塩の水溶液
を作成し、このキトサン有機酸塩の水溶液と延伸油剤と
を混合して混合液を作成し、溶融紡糸した糸条に前記混
合液を塗布することを要旨とするものである。また本発
明の抗菌抗カビ防臭性長繊維不織布の製造方法は、キト
サンに水を加えて膨潤させた後、水と有機酸とを加えて
キトサン有機酸塩の水溶液を作成し、このキトサン有機
酸塩の水溶液と延伸油剤とを混合して混合液を作成し、
溶融紡糸した糸条に前記混合液を塗布することで得られ
る長繊維を不織布化することを要旨とするものである。
したがって本発明によると、溶融紡糸した糸条にキトサ
ン有機酸塩の水溶液と延伸油剤との混合液を塗布するた
め、この製造方法によって得られる長繊維およびこの長
繊維にて形成された不織布にはキチンの脱アセチル化物
の有機酸塩が均一に塗布されることになる。
【0010】本発明でいう長繊維は、繊維形成性を有す
る熱可塑性重合体からなるものであって、単一重合体か
らなるもの、または2種以上の重合体が混合されたもの
からなるもの、または2種以上の重合体が芯鞘型あるい
はサイドバイサイド型などに複合されたものなどであ
る。熱可塑性重合体としては、ポリエチレンテレフタレ
ート、ポリブチレンテレフタレート、共重合ポリエステ
ルなどのポリエステル、線状低密度ポリエチレン、低密
度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン
などのポリオレフィンあるいはナイロン6、ナイロン6
6、ナイロン610 、ナイロン46などのポリアミドが挙げ
られ、複合繊維の場合には、ポリエチレンテレフタレー
トと高密度ポリエチレンの組み合わせやポリプロピレン
と線状低密度ポリエチレンの組み合わせ、ポリプロピレ
ンのホモポリマーとエチレンがランダムに共重合された
ポリプロピレン系共重合体との組み合わせなどが挙げら
れる。
【0011】この長繊維の単糸繊度は、特に限定されな
いが、特に、医療衛生材や寝装材などの用途において柔
軟性が要求される場合には、5デニール以下好ましくは
2デニール以下とするのが良い。
【0012】この長繊維の断面形状としては、丸型ある
いは三角型などの異型であっても、または中空断面型で
あっても良い。本発明の抗菌抗カビ防臭性長繊維は、前
述したように、前記長繊維にキチンの脱アセチル化物の
有機酸塩が塗付されているものである。
【0013】本発明でいう抗菌抗カビ防臭成分であるキ
チンの脱アセチル化物としては、例えば主としてカニ、
エビなどの甲殻類の外殻からカルシウム、タンパク質な
どの狭雑物を酸およびアルカリ処理で除去して得られる
キチンを酸処理あるいは酵素処理することによって脱ア
セチル化した分子量数十万のアミノ基を有する高分子量
ポリマー、いわゆるキトサンが挙げられる。また、キト
サンを酸あるいは酵素処理で適度に分解した分子量数千
から数万の比較的低分子量のポリマーであっても良い。
このキトサンの脱アセチル化度は、有機酸への溶解性お
よび抗菌性から考慮して、50%以上であることが好まし
い。
【0014】ここでいう脱アセチル化度とは、次のよう
な方法で測定された値をいう。試料約2gを2Nの塩酸
水溶液200 ml中に投入し、室温で30分間攪拌する。次
いで、ガラスフィルターで濾過して塩酸水溶液を除去し
た後、200 mlメタノール中に投入して30分間攪拌す
る。これをさらにガラスフィルターで濾過し、フレッシ
ュなメタノール200 ml中に投入し、30分間攪拌する。
このメタノールによる洗浄操作を4回繰り返した後、風
乾および真空乾燥し、次いで、その約0.2gを精秤し、1
00 mlの三角フラスコに取り、イオン交換水40mlを
加えて30分間攪拌する。さらに、この溶液をフェノール
フタレインを指示薬として0.1 Nの苛性ソーダ水溶液で
中和滴定する。脱アセチル化度(A)は、数1によって
求められる。
【0015】
【数1】
【0016】ただし、aは試料の重量(g)、fは0.1
Nの苛性ソーダ水溶液の力値、bは0.1 Nの苛性ソーダ
水溶液の滴定量(ml)である。次に、本発明の抗菌抗
カビ防臭性長繊維を製造する方法に関して説明する。
【0017】本発明の長繊維は、通常の溶融紡糸装置に
より前記重合体から製造することができる。製造法とし
ては、引取り速度100 〜1500m/分程度で紡糸した後、
延伸倍率1.5 〜6.0 倍程度で延伸するいわゆる2工程
法、または引き取り速度3000m/分以上で引き取るいわ
ゆる高速紡糸法、あるいは紡糸と延伸とを連続して行な
ういわゆる直接紡糸延伸法など、いずれの方法であって
も良いが、キトサン酢酸塩水溶液を塗付した後の乾燥効
率を向上させたい場合は上記2工程法を採用するのが良
い。
【0018】次に、繊維にキチンの脱アセチル化物、例
えばキトサンまたはキトサン軽度分解物の有機酸塩の水
溶液を塗布する方法について述べる。塗布の方法として
は、浸漬法、噴霧法などを用いることができる。塗布
は、前記長繊維製造工程中、繊維紡出から引取り工程
間、延伸工程間、延伸工程後から巻き取り工程間などの
いずれにおいて行なっても良いが、通常、延伸工程中に
延伸油剤とキトサン有機酸塩の水溶液とを混合し、塗布
するのが好ましい。
【0019】前記処理液の調整は、次の方法により行な
う。まずキトサンまたはキトサン軽度分解物を水に膨潤
させた後、酸に溶解する。可溶化のために使用する酸と
しては、蟻酸、酢酸、乳酸、クエン酸、アジピン酸、グ
ルコン酸、酒石酸などの有機酸を用いることができる。
【0020】塗付方法、塗付速度、処理液粘度などの違
いによる付着量の調節は、処理液濃度を変更することに
より行なう。なお、本発明の抗菌抗カビ防臭性長繊維
は、必要に応じて他の繊維と複合して用いても良い。こ
こでいう他の繊維とは、ポリアミド、ポリエステル、ポ
リオレフィン、アクリル、レーヨン、アセテートなどの
重合体からなる長繊維または短繊維、綿、羊毛、麻など
の天然繊維をいう。また、複合するに際しては、本発明
の長繊維が複合糸の少なくとも表面の一部を占めるよう
に複合することが抗菌抗カビ防臭効果を発現させる上で
必要である。
【0021】本発明の長繊維不織布は、キチンの脱アセ
チル化物の有機酸塩が塗布された熱可塑性重合体の長繊
維から構成されていても良く、あるいは前記重合体から
なり且つキチンの脱アセチル化物の有機酸塩が塗布され
ていない長繊維からなる不織布にキチンの脱アセチル化
物の有機酸塩を塗布して構成されていても良い。この不
織布は目付けが10g/m2 以上200 g/m2 以下のもの
であり、目付けが10g/m2 未満であると目付けが低す
ぎて均一な不織布を製造することが困難であるばかりで
なく、不織布としての利用価値が乏しい。一方、目付け
が200 g/m2を超えると目付けが高すぎて不織布が厚
くなると共に硬くなり、衣料材や医療衛生材として使用
する上で好ましくない。本発明の抗菌抗カビ防臭性不織
布は、前述のように前記不織布に前記長繊維と同様にキ
チンの脱アセチル化物の有機酸塩が塗付されているもの
である。
【0022】次に、本発明の抗菌抗カビ防臭性不織布の
製造方法について説明する。その場合、前述のようにキ
チンの脱アセチル化物の有機酸塩が塗布された長繊維を
用い、この長繊維を例えばエアーサッカーなどの手段に
より開繊すると同時にウエブコンベアー上に堆積させて
ウエブを形成した後、必要に応じてエンボスローラーな
どの手段により不織布とする。
【0023】また、通常の溶融紡糸装置を用いて前記重
合体からなる長繊維を紡出し、エアーサッカーなどの引
き取り手段で引き取り、開繊後、ウエブコンベアーなど
の捕集面上に堆積させてウエブとするか、あるいは引き
取りローラーで引き取りながら連続して引き取りローラ
ーと延伸ローラー間で延伸した後開繊しウエブとする。
引き取り速度は単糸繊度や重合体の種類にもよるが、通
常エアーサッカーなどの引き取り手段では2500〜5000m
/分程度、引き取りローラーの場合には100 〜500 m/
分程度とするのが良い。次いで、得られたウエブに必要
に応じて例えばエンボスローラーを用いてエンボス処理
を施して不織布とする。エンボス処理条件は、エンボス
ローラーの線圧を通常30〜100kg /cmとし、エンボスロ
ーラー温度を、熱可塑性重合体の種類により異なるが繊
維を構成する熱可塑性重合体の融点より5〜30℃程度低
い温度とする。複合繊維の場合には、繊維を構成する重
合体のうち低融点成分の融点より5〜30℃程度低い温度
とするのが良い。次に、得られた不織布にキチンの脱ア
セチル化物、例えばキトサンまたはキトサン軽度分解物
の有機酸塩の水溶性処理液を塗付する。塗付の方法とし
ては浸漬法、噴霧法、パットドライ法などを用いること
ができる。塗付は通常ウエブ形成後から巻き取り間に設
けた別途塗付工程において塗付するのが良い。処理液の
調整はキチンの脱アセチル化物を水にて膨潤させた後、
酸に溶解して行なう。可溶化のために使用する酸として
は蟻酸、酢酸、乳酸、クエン酸、アジピン酸、グルコン
酸、酒石酸などの有機酸などを用いる。次に、処理液を
塗付した不織布を乾燥する。乾燥は通常の熱風循環乾燥
機で行ない、水分を蒸発させることでキチンの脱アセチ
ル化物の有機酸塩を不織布の構成繊維表面上に固着させ
る。乾燥温度は、通常前記長繊維不織布を構成する熱可
塑性重合体の融点より5℃以上低い温度とする。塗付速
度は不織布の生産速度で良く、通常10〜100 m/分であ
り最大100 m/分の高速処理も可能で、何ら生産速度を
制限するものではない。塗付方法、塗付速度、処理液粘
度などの違いによる付着量の調節は処理液濃度を変更す
ることにより行なう。長繊維不織布には油剤を塗布して
も良く、例えば帯電防止剤、吸水剤、撥水剤などの油剤
を混合塗付しても良い。以上に述べたごとく処理液の塗
付は不織布製造工程上オンラインであっても、一旦巻き
取った不織布に塗付するオフラインであっても良い。
【0024】
【作用】本発明の抗菌抗カビ防臭性長繊維の製造方法あ
るいは抗菌抗カビ防臭性長繊維不織布の製造方法は、溶
融紡糸した糸条にキトサン有機酸塩の水溶液と延伸油剤
との混合液を塗布するので、抗菌、抗カビおよび防臭性
が発現される。キトサンの抗菌作用についてはカビの増
殖抑制作用やEscherichia coli(大腸菌)、Staphyloco
ccus aureus (黄色ぶどう球菌)、Pseudomonas aerugi
nosa(緑膿菌)、Bacillus subtilis (枯草菌)などの
グラム陽性、グラム陰性細菌に対する増殖抑制作用が報
告されている。これら抗菌作用の機作の詳細は不明であ
るが、四級化したキトサンのカチオン性アミノ基によっ
て菌の細胞壁中の陰イオン構成物質が吸着され、その結
果細胞壁の生合成が阻害あるいは壁内外の物質の能動輸
送が阻止されるため、抗菌作用が発現されるものと推定
されている。一方、身の回りに存在する多くのカビや細
菌が下着やソックスに吸着した汗の成分を資化して繁殖
し、不快な臭いを発生する。従って、これら微生物の繁
殖をキトサンまたはキトサン軽度分解物の有機酸塩また
は無機酸塩で抑制することで臭いの発生を抑えることが
可能である。
【0025】
【実施例】次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説
明する。実施例において、キチンの脱アセチル化物とし
て、BL型粘度計を用い、試料濃度1重量%、温度20℃
で測定した粘度が9.8 センチポイズ、脱アセチル化度が
91.6%のキトサンを用いた。なお、このキトサン1重量
部に対しイオン交換水25重量部を加えてキトサンを膨潤
させた後、氷酢酸0.2 重量部と、イオン交換水23.8重量
部を加え、キトサン処理原液を作成し、繊維および不織
布の塗布液とした。また、シェイクフラスコ法(繊維製
品衛生加工協議会認定の抗菌効果試験方法)により菌減
少率(%) を測定し、抗菌性を評価した。なお、前記評価
にあたっては使用菌株としてK.pneumoniae ATCC4352 を
用いた。また、実施例中に示した不織布の引張り強力は
JIS L-1096に記載のストリップ法に準じ、幅30mm、長さ
100mm の試験片から最大引張り強力を測定し求めた。
【0026】実施例1 融点が128 ℃、メルトインデックス値が80g/10分のポ
リエチレン重合体成分Aと、融点が258 ℃、固有粘度が
0.70のポリエステル重合体成分Bを、複合紡糸孔200 孔
を有する紡糸口金4錘から紡出し、重合体成分Aを鞘成
分、重合体成分Bを芯成分とする芯鞘複合型長繊維を紡
出した。単孔吐出量は、重合体A,B共に0.3 g/分
(成分Aと成分Bの重量比は1:1)とした。次いで、
紡出された長繊維糸条を冷却して引き取り速度1200m/
分で引き取った後、延伸倍率2.15倍で延伸することによ
り長繊維を作成した。
【0027】キトサン酢酸塩水溶液の塗付は、上記長繊
維製造工程中において、延伸油剤に所定濃度のキトサン
酢酸塩水溶液を混合し、油剤と同時に塗付することによ
り行なった。なお、キトサン酢酸塩塗付に際し、油剤と
混合するキトサン酢酸塩水溶液の濃度を変更し、キトサ
ン酢酸塩付着量の異なる長繊維(実施例1−1から1−
7)を採取した。
【0028】比較例1 キトサン酢酸塩水溶液の代りに、イオン交換水を用いた
以外は実施例1と同様の方法で長繊維(比較例1)を得
た。
【0029】実施例1で得た長繊維(実施例1−1から
1−7)30g中のキトサン酢酸塩付着量、シェイクフラ
スコ菌減少率試験の結果、および比較例1で得た長繊維
(比較例1)の菌減少率試験の結果を表1示す。
【0030】表1からも明らかなように、本発明の実施
例1−1から1−7のキトサン酢酸塩が塗付された長繊
維は、菌減少率が極めて高いものであり、一方、比較例
1の長繊維は菌減少率が低いものであった。
【0031】
【表1】
【0032】実施例2 融点が128 ℃、メルトインデックス値が80g/10分のポ
リエチレン重合体成分Aと、融点が258 ℃、固有粘度が
0.70のポリエステル重合体成分Bを複合紡糸孔200 孔を
有する紡糸口金4錘から芯鞘複合型長繊維を紡出した。
単孔吐出量は重合体A,B共に0.3 g/分(成分Aと成
分Bの重量比は1:1)とした。紡出された長繊維糸条
を冷却した後、紡糸口金下120cm の位置に配設された8
個のエアーサッカーに通して吸引、延伸し、3000m/分
の速度で引き取り、帯電装置により強制的に帯電させて
繊維を開繊し、30m/分で移動するウエブコンベアー面
上に堆積させウエブを得た。次に、得られたウエブを圧
接面積率15%、表面加熱温度123 ℃のエンボスロールを
使用し、線圧力30kg/cmでウエブを熱接着して不織布と
した。得られた不織布は、目付けが30g/m2 、経方向
の引張り強力が4.8kg /3cm、横方向の引張り強力が3.
7kg /3cmであった。次に、上記ロール状に巻き取った
複合型長繊維不織布にキトサン酢酸塩水溶液を塗付し
た。塗付は別途パッドドライ機を用い、所定濃度に調整
したキトサン酢酸塩水溶液に浸漬した後、線圧力4.0kg
/cmのニップローラーで絞り、さらに120 ℃の熱風循環
乾燥機にて乾燥した後ロール状に巻き取った。処理速度
は10m/分であった。なお、キトサン酢酸塩水溶液を塗
布するに際しては、前記処理原液にイオン交換水を加え
て濃度を変更し、キトサン酢酸塩の付着量の異なる長繊
維不織布(実施例2−1〜実施例2−7)を採取した。
【0033】比較例2 キトサン酢酸塩水溶液の代りにイオン交換水を噴霧塗布
した以外は実施例2と全く同様な方法で処理した。
【0034】実施例2−1〜2−7で得た長繊維不織布
のキトサン酢酸塩付着量、実施例2−1〜2−7、比較
例2で得た長繊維不織布の抗菌性の結果を表2に示し
た。
【0035】
【表2】
【0036】実施例3 融点が128 ℃、メルトインデックス値が80g/10分のポ
リエチレン重合体成分Aと、融点が258 ℃、固有粘度が
0.70のポリエステル重合体成分Bを複合紡糸孔200 孔を
有する紡糸口金4錘から芯鞘複合型長繊維を紡出した。
単孔吐出量は重合体A,B共に0.3 g/分(成分Aと成
分Bの重量比は1:1)とした。紡出された長繊維糸条
を冷却した後、紡糸口金下120cm の位置に配設された8
個のエアーサッカーに通して吸引、延伸し、3000m/分
の速度で引き取り、帯電装置により強制的に帯電させて
繊維を開繊し、30m/分で移動するウエブコンベアー面
上に堆積させウエブを得た。次に、得られたウエブを圧
接面積率15%、表面加熱温度123 ℃のエンボスロールを
使用し、線圧力30kg/cmでウエブを熱接着して不織布と
した。次に、所定濃度のキトサン酢酸塩水溶液を噴霧塗
付した後、線圧3.5kg /cmのニップローラーを通過させ
た。さらに不織布を加熱温度120 ℃の熱風循環型乾燥機
を通過させて乾燥した後、ロール状に巻き取った。得ら
れた不織布は、目付けが30g/m2 、経方向の引張り強
力が5.1kg /3cm、横方向の引張り強力が3.6kg /3cm
であった。
【0037】比較例3 キトサン酢酸塩水溶液の代りにイオン交換水を噴霧塗付
した以外は実施例3と同様の工程で目付け30g/m2
経方向の引張り強力が5.2kg /3cm、横方向の引張り強
力が3.4kg /3cmの不織布を得た。
【0038】実施例4 融点が128 ℃、メルトインデックス値が80g/10分のポ
リエチレン重合体成分Aと、融点が258 ℃、固有粘度が
0.70のポリエステル重合体成分Bを複合紡糸孔200 孔を
有する紡糸口金4錘から芯鞘複合型長繊維を紡出した。
単孔吐出量は重合体A,B共に0.1 g/分(成分Aと成
分Bの重量比は1:1)とした。紡出された長繊維糸条
を冷却した後、表面温度が75℃の加熱ローラー群により
250 m/分の速度で引き取り、この加熱ローラー群と表
面温度が90℃の加熱ローラー群の間で倍率4.0 として延
伸した。延伸繊維糸条を16個のエアーサッカーに通して
吸引し、帯電装置より強制的に帯電させて繊維を開繊
し、10m/分で移動するウエブコンベアー面上に堆積さ
せてウエブを得た。次に、得られたウエブを圧接面積率
15%、表面加熱温度123 ℃のエンボスロールを使用し、
線圧力30kg/cmでウエブを熱接着して不織布とした。次
に、所定濃度のキトサン酢酸塩水溶液を噴霧塗付した
後、線圧4.0kg /cmのニップローラーを通過させた。さ
らに不織布を加熱温度120 ℃の熱風循環型乾燥機を通過
させて乾燥した後、ロール状に巻き取った。得られた不
織布は、目付けが30g/m2 、経方向の引張り強力が5.
1kg /3cm、横方向の引張り強力が3.6kg /3cmであっ
た。
【0039】比較例4 キトサン酢酸塩水溶液の代りにイオン交換水を噴霧塗付
した以外は実施例4と同様の工程で目付け30g/m2
経方向の引張り強力が5.4kg /3cm、横方向の引張り強
力が3.2kg /3cmの不織布を得た。
【0040】実施例5 オクテン−1を5重量%含有し、密度が0.937 g/cm
3 、メルトインデックス値が25g/10分の線状低密度ポ
リエチレンを紡糸孔200 孔を有する丸型紡糸口金4錘か
ら単一成分からなる長繊維を紡出した。単孔吐出量は0.
9 g/分とした。紡出された長繊維糸条を冷却した後、
紡糸口金下100cm の位置に配設された8個のエアーサッ
カーに通して吸引、延伸し、4500m/分の速度で引き取
り、帯電装置により強制的に帯電させて繊維を開繊し、
30m/分で移動するウエブコンベアー面上に堆積させウ
エブを得た。次に、得られたウエブを圧接面積率15%、
表面加熱温度123 ℃のエンボスロールを使用し、線圧力
30kg/cmでウエブを熱接着して不織布とした。次に、所
定濃度のキトサン酢酸塩水溶液を噴霧塗付した後、線圧
4.0kg /cmのニップローラーを通過させた。さらに不織
布を加熱温度120 ℃の熱風循環型乾燥機を通過させて乾
燥した後、ロール状に巻き取った。得られた不織布は、
目付けが30g/m2 、経方向の引張り強力が3.1kg /
3cm、横方向の引張り強力が2.2kg /3cmであった。
【0041】比較例5 キトサン酢酸塩水溶液の代りにイオン交換水を噴霧塗付
した以外は実施例5と同様の工程で目付け30g/m2
経方向の引張り強力が2.9kg /3cm、横方向の引張り強
力が2.1kg /3cmの長繊維不織布を得た。
【0042】実施例3,4,5で得た長繊維不織布のキ
トサン酢酸塩の付着量、実施例3,4,5および比較例
3,4,5で得た長繊維不織布の抗菌性の結果を表3に
示した。表3からも分かるように、本発明実施例3〜5
のキトサン酢酸塩が付着された不織布は菌減少率が極め
て高いものである。
【0043】
【表3】
【0044】
【発明の効果】本発明の抗菌抗カビ防臭性長繊維の製造
方法および抗菌抗カビ防臭性長繊維不織布の製造方法
は、キトサンに水を加えて膨潤させた後、水と有機酸と
を加えてキトサン有機酸塩の水溶液を作成し、このキト
サン有機酸塩の水溶液と延伸油剤とを混合して混合液を
作成し、溶融紡糸した糸条に前記混合液を塗布するもの
であり、このため糸条への均一な塗布が可能となって、
得られる長繊維や不織布の全体に亘って均一にキチンの
脱アセチル化物を塗布させた状態とすることができ、し
たがって、この長繊維や不織布に優れた抗菌性、抗カビ
性および防臭性を発現させることができる。しかも、キ
チンの脱アセチル化物の有機酸塩を用いているので、無
毒性であると共に、使用に際してカブレなど人体への影
響を生じることもなく、極めて安全性が高い。従って、
一般衣料材、特に医療衛生材、寝装材用素材として好適
に使用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−127596(JP,A) 特開 昭63−290808(JP,A) 特開 昭63−225602(JP,A) 特開 平2−154053(JP,A) 特開 平4−82965(JP,A) 特開 昭59−179817(JP,A) 特開 昭63−50575(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D06M 11/00 - 23/18 D01F 11/00 - 11/16 A61L 2/16

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 キトサンに水を加えて膨潤させた後、水
    と有機酸とを加えてキトサン有機酸塩の水溶液を作成
    し、このキトサン有機酸塩の水溶液と延伸油剤とを混合
    して混合液を作成し、溶融紡糸した糸条の延伸工程中に
    前記混合液を前記糸条に塗布することを特徴とする抗菌
    抗カビ防臭性長繊維の製造方法。
  2. 【請求項2】 キトサンに水を加えて膨潤させた後、水
    と有機酸とを加えてキトサン有機酸塩の水溶液を作成
    し、このキトサン有機酸塩の水溶液と延伸油剤とを混合
    して混合液を作成し、溶融紡糸した糸条の延伸工程中に
    前記混合液を前記糸条に塗布することで得られる長繊維
    を不織布化することを特徴とする抗菌抗カビ防臭性長繊
    維不織布の製造方法。
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