JPH0547086Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は容器蓋に設けたスコア線を破断するこ
とによつて容器を開封するイージーオープン容器
に関する。

（従来の技術） 従来、この種の容器にあつては、例えば、特開
昭60−193837号公報にみられるようにパネル部の
全周縁に垂下状態に連設する周壁部の全周にスコ
ア線を設け、このスコア線を破断するときに把持
するタブを周壁部の下縁に連なつて設けた容器蓋
により、容器胴の開口部を密封したもの知られて
いる。

このような構成によるときは、開封する際に、
一挙に連続してスコア線の破断が行われるので、
内容物がビール、炭酸飲料等の発泡性飲料のよう
に内圧を高めるものの場合には初期開封において
スニツフ、所謂、息ぬきが充分に行われないこと
がある。

このとき、内容物が十分に冷却されておらず、
容器の内圧が高まつているときには、急激な内圧
の開放による大きな音を発生する。また、開封操
作の際に、容器胴が動揺して開封部分から内容物
が飛び出す等の支障がある。

（本考案が解決しようとする課題） 本考案はかかる不都合を解消し、内圧を高める
内容物に用いた場合に初期開封の際、確実にスニ
ツフを行うことができると共に内容物の飛び出し
を抑制することができるイージーオープン容器の
提供しようとするものである。

（課題を解決しようとする手段） 上記課題を解決するための技術手段として本考
案はパネル部の全周縁に垂下状態に連設した周壁
部の下縁に開封用のタブを設け、且つ該周壁部に
該タブの一側縁側に連なつたスコア線を設けた容
器蓋を、該周壁部により容器胴の開口部に外嵌し
て接着したものにおいて、前記容器胴の開口部外
面と前記容器蓋の周壁部内面とを全周に亘つて接
着して接着部分を形成し、前記タブの一側縁側か
ら該タブ上方の接着された周壁部を経て前記接着
部分の上縁より上方の接着されていない周壁部に
至る連続線状のスコア線部分と、該スコア線部分
と接続し該接着部分の上縁上方の接着されていな
い周壁部に沿つて延びる破線状のスコア線部分
と、該破線状のスコア線部分と接続し接着部分の
上縁上方の接着されていない周壁部に沿つて延び
る連続線状のスコア線部分とにより前記スコア線
を形成したことを特徴とする。

更に、前記スコア線は、前記接着部分の上縁上
方の接着されていない前記周壁部に沿つて延びる
前記連続線状のスコア線部分の一部である前記周
壁部の前記タブの背面位置において、接着されて
いない周壁部から前記接着部分の上縁より下方の
接着された周壁部に延び反転して該接着部分の上
縁上方の接着されていない周壁部に延びるスコア
線部分を備え、前記スコア線の始端と終端とは垂
直方向において間隔を存して重合する位置に設け
られていることが好ましい。

（作用） 以上の手段によれば、前記タブを把持してスコ
ア線を破断して初期開封するとき、破線状のスコ
ア線部分で破断しにくくなるため破断の進行が抑
制され乃至は停止され、急激な初期開封が抑制さ
れる。このとき接着部分の上縁の上方で限定的に
破断されスコア線部分は、容器胴の内部と外気を
連通し、容器胴中のガスのスニツフを可能とす
る。

また、前記周壁部の前記タブの背面位置のスコ
ア線部分の一部に、接着された周壁部及び接着さ
れていない周壁部に反転して延びるスコア線部分
を備えることにより、スコア線が全て破断されて
も容器蓋の周壁部の一部が容器胴の一部に接着さ
れた状態を維持すると共に、スコア線の始端と終
端とが間隔を存して設けられていることにより、
スコア線の終端近傍が容器胴の一部に接着された
状態とする。これにより、前記タブを更に引張
り、スコア線の終端近傍を容器胴から離反させた
とき、容器蓋は、前記タブの背面位置の一部の接
着部分を支点として斜め方向に容器胴から離反さ
れる。従つて、容器蓋と容器胴とが相反する方向
に引張られて分離されることを防止して、容器胴
を引張つていた力が急激に開放されたときに生じ
るような容器胴の動揺を避けることを可能とす
る。

（実施例） 以下本考案の実施の一例を図面に従つて説明す
る。

第１図ないし第５図は本考案実施の１例を示す
ものである。

図面で、１は容器蓋を示し、容器蓋１は第４図
示のようにテイン・フリー・スチール、アルミニ
ウム等の金属箔２から成り、金属箔２の外面には
例えばポリプロピレン系、ポリエチレン系等の熱
可塑性樹脂被膜３が被覆されたものであつて、容
器蓋１のパネル部４の全周縁に筒形の周壁部５を
垂下状態に形成し、更に第１図に示す如くこの周
壁部５の下端に連なつて開封用のタブ６を周壁部
５と一体に形成した。そして容器蓋１の周壁部５
には第１図に示す如く周壁部５の下縁に設けたタ
ブ６の一側縁側からスコア線７を周壁部５に設け
た。図面で８は容器蓋１の内面に施された例えば
ポリオレフイン系、ポリアミド系、ポリエステル
系等の熱接着性樹脂被膜である。

また、９は容器胴を示し、容器胴９は第４図に
示すように開口部１０を備えるアルミニウムから
成る所謂、ツーピース缶の筒状の胴部１１の内外
面に缶用塗膜１２が施されたものである。尚、図
示実施例では所謂、ツーピース缶について説明し
たが、ブリキ、テイーン・フリー・スチールから
成る所謂スリーピース缶としても良く、更にはコ
ンポジツト容器、ガラス容器等であつても良い。

そして図示する実施例では、容器胴９の開口部
１０に容器胴９の胴部１１より小径のネツクイン
部１３を設けると共に、この開口部１０に熱接着
性樹脂材から成り断面略∩形状の筒状体の補強部
材１容器を開口部１０全周に被覆接着せしめた。
該容器胴９の上側の開口部１０の外面１５側には
前記容器蓋１の周壁部５の内面１６を前記補強部
材１４を介して外嵌すると共に、周壁部５の内面
に施された熱接着性樹脂被膜８と該補強部材１４
とを全周に亘つて加熱圧接して接着固定し、容器
蓋１の周壁部５と容器胴９との接着部分１７を形
成した。

また、スコア線７には、タブ６の一側周側に設
けた切込み６ａの延長位置に交叉する第１スコア
線部分７ａと、該第１スコア線部分７ａに連続し
てタブ６の上方を横切つて接着部分１７の上縁１
７ａの上方に延びる第２スコア線部分７ｂと該第
２スコア線部分７ｂに接続して接着部分１７の上
縁１７ａ上方で周壁部５の周方向に延び、初期開
封時に破断される第３スコア線部分７ｃと、該第
３スコア線部分７ｃを周方向に延長する破線状の
第４スコア線部分７ｄと、該第４スコア線部分を
周方向に延長する第５スコア線部分７ｅを設け
た。

更に、該第５スコア線部分７ｅに接続して第２
図及び第３図示のようにタブ６の背面位置におい
て接着部分１７に向つて延び該接着部分１７で反
転して接着部分１７の上縁１７ａの上方に至る第
６スコア線部分７ｆを設けた。そして、該第６ス
コア線部分７ｆに連続して周壁部５の周方向に延
びて前記タブ６の一側周側に至る第７スコア線部
分７ｇを接着部分１７の上縁１７ａ上方に設け
た。

従つて、第１スコア線部分７ａの始端と第６ス
コア線部分７ｇの終端とは不連続となつている。

これらの各スコア線部分７ａ〜７ｇは、いずれ
も周壁部５表面の熱可塑性樹脂層被膜３をレーザ
ー光線照射等の手段で排除して形成した。

次に前記実施例に内圧を高める内容物を充填し
たときの開封操作についてその開封に必要な引剥
強度の変化と共に第５図に従つて説明する。

まず、タブ６を掴み、斜め上方（第１図示の矢
印方向）に引張ると、タブ６の一側周側に設けた
切込み６ａが第１スコア線部分７ａに接続する。
このときに引剥強度は第５図示のように一旦上昇
する。次いで第２スコア線部分７ｂが破断される
ときに引剥強度は低下しこれに続いて引剥強度が
上昇するが第３スコア線部分７ｃまで連続してス
コア線７が破断される。次いで破線状の第４スコ
ア線部分７ｄが破断されるときに引剥強度は更に
上昇してその破断の際に破断の進行が抑制され又
は停止される。

このため、この第４スコア線部分７ｄを破断し
て第５スコア線部分７ｅまで破断を進行させるた
めには、もう一度、引張る動作を行わなければな
らなくなる。この際、この引張操作の一時中断ま
たは遅延の際にすでに破断された第３スコア線部
分７ｃは、容器胴９内と連通しているので容器胴
９内の内圧ガスは限定的に開封された第３スコア
線部分７ｃの間隙から徐々にスニツフされる。

また、この初期開封の際に容器胴９が動揺して
も、内容物の飛び出しはこの部分的に開封された
第３スコア線部分７ｃの一部からのみに限定され
る。

次いで、破線状の第４スコア線部分７ｄの破断
の際には第５図示のように引剥強度は変動するが
スムーズに破断されて第４スコア線部分７ｄにお
いて破断が脱線することがなく、第５スコア線部
分７ｅの破断が進行する。

更に破断が進行すると、その破断は第６スコア
線部分７ｆに進み、更に第７スコア線部分７ｇに
進む。

そして、第７スコア線部分７ｇの破断が完了し
たとき、第１図示のように該第７スコア線部分７
ｇの終端が第１スコア線部分７ａの始端と不連続
であるため、この不連続部分で周壁部５がパネル
部４に連続しているので、第６図示のように、こ
れを引き上げる。このとき、該周壁部５と対向位
置において容器胴９に未だ第６スコア線部分７ｆ
の周壁部５の残部５ａが接着されたままであるの
で、該残部５ａを支点として容器胴９の方向に剥
離して全面開口する。従つて、容器蓋１と容器胴
９との分離は、相反する方向に引張ることを必要
としない。このため、従来のように、容器胴９を
引張つていた力が急激に解放されたときに生じる
ような容器胴９の動揺を避けることでき、この動
揺によつて容器胴９から内容物が飛び出すような
ことを抑制できる。

更に、前記のように容器胴９から容器蓋１を分
離するまでは、スコア線７の全部が破断されても
パネル部４が容器胴９の開口部１０を被覆してい
るので、容器胴９が開封操作の際に万一動揺して
も内容物の溢れるのを抑制する。

前記第３スコア線部分７ｃは、長さが比較的に
短かくするのが好ましく、この部分が長くなると
初期開封の領域が大となつて、容器胴９内部と外
気との急激な大幅の連通による大きな音が発生す
るようになる。

前記実施例の容器蓋１では金属箔２に熱可塑性
樹脂３及び熱接着性樹脂８を被覆して形成したも
のを示したが、アルミニウム等の常用の金属製容
器蓋であつてもよい。また、容器胴９に金属製容
器胴を用いたものを示したが、紙を主体とした筒
状の胴部の内外面に熱接着性樹脂被膜が施された
ものを用いてもよい。

このように、容器胴９が紙製容器胴から成るコ
ンポジツト缶の場合には、容器蓋１と容器胴９と
を共に焼却することが出来て、廃棄処理問題が生
じない。

（考案の効果） 以上の説明から明らかなように、本考案による
ときは、初期開封の際に、接着部分の上縁上方に
設けたスコア線部分において、その破線状のスコ
ア線部分により急激で大幅なスコア線の破断の進
行が抑制乃至停止されるので、容器胴内部から一
時に急激で大量のガスが吹き出すことを抑制する
ことができて大音を発することを防止でき、また
初期開封は限定的であるので容器胴が動揺しても
内容物が多量に飛び出すことを防止することがで
きるイージーオープン容器を提供する効果があ
る。

更に、本考案によるときには、開封の際にスコ
ア線を終端まで破断したとき、該スコア線の終端
近傍とその背面側とにおいて容器蓋の周壁部の一
部が容器胴に接着された状態にあることから、容
器胴の開口部はパネル部で被覆されているので内
容物が溢れるのを抑制することができ、次いで、
この状態でタブを引張つてスコア線の終端近傍の
周壁部を剥離したときには、その背面側で接着さ
れている周壁部の一部を支点として行われるの
で、その際に容器胴が動揺することが少なく、容
器胴から内容物が溢れるのを防止することができ
るイージーオープン容器を提供することができる
効果がある。

【図面の簡単な説明】

図示するものは、本考案の実施の一例を示すも
ので、第１図はその正面図、第２図は第１図の右
側面図、第３図は第１図の背面図、第４図は第１
図の−線断面図、第５図は開封時の開封位置
と引剥強度の変化を説明するための説明図、第６
図は開封状態を示す説明図である。 １……容器蓋、４……パネル部、５……周壁
部、６……タブ、７……スコア線、７ａ，７ｂ，
７ｃ，７ｅ，７ｆ，７ｇ……連続線状スコア線部
分、７ｄ……破線状スコア線部分、９……容器
胴、１７……接着部分。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ パネル部の全周縁に垂下状態に連設した周壁
   部の下縁に開封用のタブを設け、且つ該周壁部
   に該タブの一側縁側に連なつたスコア線を設け
   た容器蓋を、該周壁部により容器胴の開口部に
   外嵌して接着したものにおいて、前記容器胴の
   開口部外面と前記容器蓋の周壁部内面とを全周
   に亘つて接着して接着部分を形成し、前記タブ
   の一側縁側から該タブ上方の接着された周壁部
   を経て前記接着部分の上縁より上方の接着され
   ていない周壁部に至る連続線状のスコア線部分
   と、該スコア線部分と接続し該接着部分の上縁
   上方の接着されていない周壁部に沿つて延びる
   破線状のスコア線部分と、該破線状のスコア線
   部分と接続し接着部分の上縁上方の接着されて
   いない周壁部に沿つて延びる連続線状のスコア
   線部分とにより前記スコア線を形成したことを
   特徴とするイージーオープン容器。 ２ 前記スコア線は、前記接着部分の上縁上方の
   接着されていない前記周壁部に沿つて延びる前
   記連続線状のスコア線部分の一部である前記周
   壁部の前記タブの背面位置において、接着され
   ていない周壁部から前記接着部分の上縁より下
   方の接着された周壁部に延び反転して該接着部
   分の上縁上方の接着されていない周壁部に延び
   るスコア線部分を備え、前記スコア線の始端と
   終端とは垂直方向において間隔を存して重合す
   る位置に設けられていることを特徴とする請求
   項１記載のイージーオープン容器。