JPH0546525Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、モールを車体等のパネルに固定する
モールクリツプに関し、特に、自動車のエンジン
フードやトランクリツド等の縁に装飾の目的でモ
ールを固定するのに適したモールクリツプに関す
る。

従来の技術 自動車のエンジンフードやトランクリツド等の
縁に装飾の目的でモールを固定するのに適したモ
ールクリツプは公知である。また、モールを車体
に固定する方法も公知であり、多用されているも
のとしては、次の２つの方法がある。その１つ
は、車体の取付け穴あるいは車体に固定されたス
タツド等を介してクリツプを車体に先付けしてお
き、その後、該クリツプへモールを固定する方法
である。もう１つの方法は、モールクリツプを先
付けしておき、車体の取付け穴あるいはスタツド
へクリツプを固定する方法である。

エンジンフードやトランクリツド等の縁にモー
ルを固定する場合、簡単に外れることのないよう
に強固に固定する必要がある。この点において、
前者の取付け方法は保持力を高くできないという
欠点があり、モールへクリツプを先付けするとい
う後者の取付け方法が用いられている。

考案が解決しようとする問題点 しかし、従来のモール先付け型のクリツプにお
いては、モールへの取付けのため、モール端部の
開口部分から挿入したクリツプを所定の位置まで
スライドする作業を必要としている。しかし、こ
のスライドはモールが長い場合には厄介な作業で
ある。また、クリツプを所定の位置までスライド
させたら固定のために、モールのかしめ作業や接
着作業も必要とし、特に、クリツプの数が多い場
合には面倒で時間のかかる作業であつた。

従つて、本考案の目的は、モールへの取付けの
際にスライド作業を必要とせず、かしめ作業や接
着作業を必要とせずにモールに固定することがで
き、しかもモールへの固定力が高いクリツプを提
供するにある。

問題点を解決するための手段 かかる目的を達成するため、本考案によれば、
モールを車体等のパネルに固定するモールクリツ
プであつて、モールの一方の内曲げ縁部に係止す
る第１の係止部と他方の内曲げ縁部に係止する第
２の係止部とを有するモール取付け部と、パネル
に固定するパネル取付け部とが一体成形されて成
り、モール取付け部には、第１モール係止部に隣
接して設けられ且つ両側面がスリツトによつてモ
ール取付け部本体から分離されてモールの内壁を
弾力的に押圧する弾性片が設けられており、第２
係止部は、第１係止部に近づく方向に撓むことが
できるようにスリツトを介して、モール取付け部
本体に連結されており、前記弾性片は、その先端
部が鋭く形成されていることを特徴とするモール
クリツプが提供される。

実施例 以下、本考案の実施例について、図面を参照し
ながら説明する。第１図は、本考案の第１実施例
のクリツプ１を用いて、モール２を車体等のパネ
ル３に固定した様子を示しており、第２図ａ〜ｅ
にはクリツプ１の詳細が示されている。

クリツプ１は、モール２の一方の内曲げ縁部４
に係止する第１の係止部５と他方の内曲げ縁部６
に係止する第２の係止部７とを有するモール取付
け部８と、このモール取付け部８に一体成形され
たパネル取付け部１０とから成る。なお、モール
取付け部８は、第１図及び第２図ｂに示されるよ
うに、その側面から見た輪郭は、モール２の内側
側面に合致した形状に形成されるのが好ましく、
これにより、クリツプ１によるモール２の保持が
一層確実になる。

先ず、パネル取付け部１０は、単純に水平に延
びた板の形状に形成され、第２図ａに最もよく示
すように、その中央部分に丸穴１１があけられて
いる。この丸穴１１には、タツピンねじ等のねじ
部材１３が挿入され、該ねじ部材１３を、車体３
の取付け穴に挿入したスクリユーグロメツト１４
に螺入させればクリツプ１を車体３に固定するこ
とができる。なお、この固定は、クリツプ１が先
付けされたモール２が、自動車の艤装ラインに搬
入された後に行われ、そのラインではエンジンフ
ードやトランクリツド等の車体にねじ部材１３に
よつて固定される。

次に、本考案の特徴を組み入れたモール取付け
部８の内、その第１係止部５は、第２図ａから明
らかなように、パネル取付け部１０の側で且つ該
パネル取付け部１０より離れる方向に延びるウイ
ング形状に形成されている。このウイング形状に
より、モール２の第１内曲げ縁部４を離れた２点
で安定に保持することができる。また、このモー
ル取付け部８には、第１モール係止部５に隣接し
て弾性片１７が設けられている。この弾性片１７
は、その両側面がスリツト１６及び１８によつて
モール取付け部本体から分離されており、モール
２の内壁を弾力的に押圧するようになつている。
弾性片１７は、その弾性をよくするため、薄く形
成するのが好ましい。また、この弾性片１７は、
クリツプ１がモール２に対して所定位置に取付け
られた後においてその位置がずれないように、第
１係止部５と同じ形状のウイング形状にされてい
る。そして、その先端部は、モール内側に被覆さ
れたビニール膜等に突き刺さるように鋭く形成さ
れている。このため、モール２の内壁にも突き刺
さり易いあるいは、摩擦係数の高い材料を被覆し
てもよい。

モール取付け部８の第２係止部７は、第１係止
部５に近づく方向に撓むことのできるように、ス
リツト２０を介して、モール取付け部８の本体に
連結されている。この様子は、第２図ｄ及びｅに
最もよく示されているので参照されたい。すなわ
ち、第２係止部７には、スリツト２０によつて、
第１係止部５に近づく方向に撓むことのできるた
め、第１図の想像線で示す係止前のモール２が、
実線で示す係止位置に至る手前において、モール
２の内曲げ縁部６が第２係止部７を乗り越えるこ
とができる弾性が与えられている。この第２係止
部７の弾性は、モール２の内曲げ縁部６が第２係
止部７を乗り越えることができればよく、スリツ
ト２０の幅や深さあるいは第２係止部７の板状部
分の厚さや高さは任意に選定できる。

かかる構成で成るクリツプ１を用いて、モール
２をパネル３に固定する場合、第１図に示すよう
に、先ず、モール２にクリツプ１がモールの所定
位置に取付けられる。その取付けは、第１図の想
像線の位置にあるモール２に対し、先ず、モール
取付け部８の第１係止部５を、モールの一方の内
曲げ縁部４に係止させ、モール２を（実際には、
クリツプ１を）クリツプ１に対して（実際には、
モール２に対して）相対的に回転させて、反対側
のモール内曲げ縁部６が、第２係止部７を乗り越
えることにより、該係止部７に係止される。すな
わち、本考案によるクリツプ１は、この回転だけ
でモール２の所定位置に固定される。

クリツプ付のモール２は、モールメーカ等から
自動車の艤装ラインに運ばれ、そのラインでねじ
部材１３等により、エンジンフード等のパネル３
に固定され、これにより、モール２がパネル３に
固定される。

第３図及び第４図ａ〜ｄには本考案の第２実施
例となるクリツプが示されている。これらの図に
おいて、第３図は、本考案の第２実施例のクリツ
プを用いて、モール２を車体等のパネル３に固定
した様子を示しており、第２図ａ〜ｅにはそのク
リツプの詳細が示されている。これらの図から明
らかなように、このクリツプにおいて、モール取
付け部は、第１実施例のクリツプ１と同じであ
る。

第１実施例のクリツプ１と異なる点は、パネル
取付け部２３にあり、第１実施例のように側方に
延長する板形状には形成されていない。すなわ
ち、このパネル取付け部は、モール取付け部８か
らは延長しない短い板形状に形成され、その板厚
もやや厚く形成されており、更に、このパネル取
付け部２３には、金属製のボルト２４がインサー
ト成形されている。従つて、第１実施例のクリツ
プ１のように、ねじ部材１３を付加することな
く、第３図に示すように、ナツト２５を用いて、
クリツプをパネル３に固定することができる。

この第２実施例のクリツプは、パネル取付け部
が異なる外は、第１実施例のクリツプと同じであ
るので、これ以上の説明は省略する。

考案の効果 本考案によれば、クリツプのモール取付け部に
は、第１モール係止部に隣接して設けられ且つ両
側面がスリツトによつてモール取付け部本体から
分離されてモールの内壁を弾力的に押圧する弾性
片が設けられており、第２係止部は、第１係止部
に近づく方向に撓むことができるようにスリツト
を介して、モール取付け部本体に連結されている
ので、モールに対し、スライドすることなく所定
の位置にクリツプを取付けることができ、取付け
後のクリツプは、モールをかしめたりあるいは接
着剤を用いたりすることなく、その所定の位置に
固定され、特に、弾性片の先端部が鋭く形成され
ているので、その先端部がモール内側のビニール
被膜に突き刺さつて、クリツプがモールに固定す
る力は十分に高く維持される効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の第１実施例のクリツプを用
いてモールをパネルに固定した様子を示すクリツ
プの側面から見た図であり、第２図ａ〜ｅは本考
案の第１実施例のクリツプの詳細を示しており、
同図ａはクリツプの平面図、同図ｂはクリツプの
側面図、同図ｃは背面図、同図ｄは同図ａのｄ−
ｄ線断面図、及び同図ｅは同図ｂのｅ方向から見
た図であり、第３図は、本考案の第２実施例のク
リツプを用いてモールをパネルに固定した様子を
示すクリツプの側面から見た図であり、第４図ａ
〜ｄは本考案の第２実施例のクリツプの詳細を示
しており、同図ａはクリツプの平面図、同図ｂは
クリツプの底面図、同図ｃは背面図、及び同図ｄ
は同図ｃのｄ−ｄ線断面図である。 符号の説明、１……クリツプ、２……モール、
３……パネル、４……内曲げ縁部、５……第１係
止部、６……内曲げ縁部、７……第２係止部、８
……モール取付け部、１０……パネル取付け部、
１１……穴、１３……ねじ部材、１４……グロメ
ツト、１６……スリツト、１７……弾性片、１８
……スリツト、２０……スリツト、２３……パネ
ル取付け部、２４……ボルト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. モールを車体等のパネルに固定するモールクリ
   ツプにおいて、モールの一方の内曲げ縁部に係止
   する第１の係止部と他方の内曲げ縁部に係止する
   第２の係止部とを有するモール取付け部と、パネ
   ルに固定するパネル取付け部とが一体成形されて
   成り、モール取付け部には、第１モール係止部に
   隣接して設けられ且つ両側面がスリツトによつて
   モール取付け部本体から分離されてモールの内壁
   を弾力的に押圧する弾性片が設けられており、第
   ２係止部は、第１係止部に近づく方向に撓むこと
   ができるようにスリツトを介して、モール取付け
   部本体に連結されており、前記弾性片は、その先
   端部が鋭く形成されていることを特徴とするモー
   ルクリツプ。