JPH0546323B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明はヒアルロン酸又その塩と抗ヒスタミン
剤とを含む軟膏剤及び液剤に関し、更に詳しくは
老人性乾皮症、皮膚角化症、軽症のアトピー性皮
膚炎等の治療に有用である軟膏剤及び液剤に関す
る。

（従来の技術及び問題点） 従来、住宅環境の整備や都市環境の緑地帯の減
少種々の原因により、冬期の低湿度化が進行する
と共に、人体の皮膚の乾燥状態が進み、特に老人
においては皮膚の老化と共に、低湿度化によつて
老人性乾皮症や皮膚角化症等の症例が増加してい
る。

これらの乾皮症等の対策としては皮膚表面に水
分を十分に補給すると共に、皮膚の水分を保持す
ることが重要であり、これらの目的でプロピレン
グリコール、１，３−ブチレングリコール、ピロ
リドンカルボン酸、ヒアルロン酸等を含む保湿剤
が提供されており、これらの中ではヒアルロン酸
等を含有する外用剤が最も良好なものとして広く
使用されるようになつて来た。

以上の如き従来の保湿剤は、美容上皮膚の保護
や美化には良い成績を示すものの、前述の如き老
人性乾皮症等の治療には十分な効果を示さず、特
に皮膚の乾燥によつて生じるかゆみ等の問題には
殆ど効果を示さないという問題点があつた。

一方、皮膚のかゆみ等の治療には抗ヒスタミン
剤が一般的に使用されているが、これらの抗ヒス
タミン剤を適用しても皮膚のかゆみは一時的には
抑えられるものの、患部の根本的治療効果は期待
できず、永続的な効果に欠けるという問題があ
る。

従つて本発明の目的は、皮膚の保湿剤として有
用であり、特に老人の乾皮症等の治療に有効な外
用薬を提供することである。

（問題点を解決するための手段） 以下目的は以下の本発明によつて達成される。

すなわち、本発明は、軟膏基材中にヒアルロン
酸又その塩と抗ヒスタミン剤とを配合したことを
特徴とする軟膏剤及び液剤基材中にヒアルロン酸
又その塩と抗ヒスタミン剤とを配合したことを特
徴とする液剤である。

（作用） 軟膏剤や液剤の有効成分としてヒアルロン酸又
その塩と抗ヒスタミン剤とを併用することによつ
て、老人の乾皮症等に対し、十分な保湿剤を与え
ると共に乾皮症特有のかゆみを無くし患部自体の
治療効果が得られる。

（好ましい実施態様） 次に好ましい実施態様を挙げて本発明を更に具
体的に説明する。

本発明において使用するヒアルロン酸又その塩
とは、Ｎ−アセチルグルコサミンとＤ−グルクロ
ン酸を反復構成単位とする複雑な多糖類の１種で
あつて、高い吸水性及び保水性を有し、従来から
化粧品の１成分として使用されており、本発明で
はこれらの公知のヒアルロン酸又その塩がそのま
ま使用できる。

又、本発明において上記のヒアルロン酸又その
塩と併用する抗ヒスタミン剤は、ジンマシン、ア
レルギー性鼻炎、胃腸管アレルギー、全身アナフ
イラキシー、皮膚疾患に伴うかゆみ、薬物反応に
よるかゆみ等の治療薬として知られているもので
あつて、例えば、マレイン酸クロルフエニラミ
ン、ｄ−マレイン酸クロルフエニラミン、ジフエ
ンヒドラミン及び塩類、塩酸イソチペンジル、硫
酸クレミゾール、ジフエニールイミダゾール等が
挙げられる。

本発明の軟膏剤及び液剤は上記のヒアルロン酸
又その塩と抗ヒスタミン剤とを軟膏基材や液剤基
材中に溶解又は分散させたことを特徴とするが、
両者の使用割合も重要であつて、例えば、ヒアル
ロン酸又その塩１重量部当り抗ヒスタミン剤を50
乃至200重量部の割合で使用することが好ましく、
ヒアルロン酸又その塩の使用量が少な過ぎると使
用時の保湿性が不足して抗ヒスタミン剤の作用を
十分に発揮させることができない。又、ヒアルロ
ン酸又その塩の使用量が多過ぎても保湿性は十分
であるが、抗ヒスタミン剤の効果が十分でなくな
る。

本発明において上記ヒアルロン酸又その塩及び
抗ヒスタミン剤を溶解又は分散させる基材は、目
的物が軟膏剤である場合には従来公知の軟膏基材
がそのまま使用でき、例えば、カルボキシメチル
セルロースナトリウム塩、ポリエチレングリコー
ル等の水溶性高分子物、オリーブ油等の植物油、
ワセリン等の鉱物油、セチルアルコール等の低級
アルコール等を主剤とした従来公知のいずれの軟
膏基材も使用できる。特に好ましいものはカルボ
キシメチルセルロースのナトリウム塩である。

又、本発明の組成物が液状である場合には、従
来公知のローシヨン基材、液剤の基材等がそのま
ま使用できる。

更に本発明では前記のヒアルロン酸又その塩、
抗ヒスタミン剤及び基材に加えて必要に応じて一
般の薬剤、軟膏剤、液剤等に添加されている各種
の安定剤や保存剤等の添加剤も含有し得るのは当
然である。

本発明の組成物においては、組成物全体に対す
るヒアルロン酸又その塩及び抗ヒスタミン剤の濃
度も重要であり、ヒアルロン酸又その塩は全体を
100重量部とした時に0.01乃至１重量％を占める
割合で使用し、一方、抗ヒスタミン剤は0.5乃至
５重量％を占める割合で使用するのが好ましい。
何れか一方が少な過ぎても多過ぎても両者の相乗
効果は満足できなくなる。

（効果） 以上の如き本発明によれば、軟膏剤よ液剤の有
効成分としてヒアルロン酸又その塩と抗ヒスタミ
ン剤とを併用することによつて、老人の乾皮症等
に対し、十分な保湿性を与えると共に乾皮症特有
のかゆみを無くし、患部自体の治療効果が得られ
る。勿論本発明の軟膏及び液剤は乾皮症等の治療
に限定されず、それらの予防や皮膚の美容或いは
荒れ性肌荒れ、かみそり負け、かゆみ等の治療や
予防にも有効である。

（実施例） 次に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明す
る。

実施例 １ ヒアルロン酸又そのナトリウム塩 0.1ｇ カルボキシメチルセルロースナトリウム塩 ２ｇ マレイン酸クロルフエニラミン １ｇ ｐ−ヒドロキシ安息香酸メチル 0.02ｇ ｐ−ヒドロキシ安息香酸プロピル 0.01ｇ エタノール ２ml 精製水 全量が100mlになる量 上記処方にて約80mlの精製水にヒアルロン酸又
はそのナトリウム塩及びマレイン酸クロルフエニ
ラミンを加え、又、予めエタノールに溶解してあ
るｐ−ヒドロキシ安息香酸メチル及びｐ−ヒドロ
キシ安息香酸プロピルを加えて撹拌し溶解させ
る。溶解後カルボキシメチルセルロースナトリウ
ム塩と残余の水を加え全体をよく混合して均質化
し本発明の軟膏剤を得た。

比較例 １ 実施例１においてヒアルロン酸又はそのナトリ
ウム塩を使用しなかつたことを除き他は実施例１
と同様にして比較例の軟膏剤を得た。

実施例 ２ ヒアルロン酸又はそのナトリウム塩 0.1ｇ マレイン酸クロルフエニラミン １ｇ グリセリン 10ml ｐ−ヒドロキシ安息香酸メチル 0.02ｇ ｐ−ヒドロキシ安息香酸プロピル 0.01ｇ エタノール ２ml 精製水 全量が100mlになる量 上記処方にて約80mlの精製水にヒアルロン酸又
はそのナトリウム塩及びマレイン酸クロルフエニ
ラミンを加え、又、予めエタノールに溶解してあ
るｐ−ヒドロキシ安息香酸メチル及びｐ−ヒドロ
キシ安息香酸プロピルを加えて撹拌し溶解させ
る。溶解後グリセリン塩と残余の水を加え全体を
よく混合して均質化し本発明の液剤を得た。

比較例 ２ 実施例２においてヒアルロン酸又はそのナトリ
ウム塩を使用しなかつたことを除き他は実施例２
と同様にして比較例の液剤を得た。

使用例 実施例及び比較例の軟膏剤及び液剤の63才の老
人の乾皮症部分に約５ｇ／m²の割合で薄く塗布
し、塗布後５日間の経過を見たところ、次ぎの如
き結果を得た。

実施例１：皮膚の乾燥や痒感が著明に抑制さ
れ、従来抗ヒスタミン剤ではあまり効果が期待
できない丘疹や紅班に対しても明かな治療効果
が認められた。又、患者は痒感による精神的
なストレスからも著明に開放された。従つてヒ
アルロン酸又はその塩を抗ヒスタミン剤に併用
することによつて、従来の抗ヒスタミン剤の効
果が数倍（２乃至３倍）にも増強された。

実施例２：実施例１と同様な効果を奏し、更に夏
期の使用においてはさつぱりとした使用感があ
つた。

比較例１： 痒感の抑制効果は有るが、実施例
に比較してその抑制効果は約半分程度であつ
た。又、皮膚の乾燥が止まらず、部位によつて
は皮膚表面に亀裂が生じて悪化した。又、丘疹
や紅班に対しては殆ど効果が無かつた。

比較例２：比較例１と同様であつた。

以上の通り本発明によれば、ヒアルロン酸単独
又は抗ヒスタミン剤単独のいずれによつても得ら
れない優れた相乗効果が得られる。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 軟膏基材中にヒアルロン酸又その塩と抗ヒス
   タミン剤とを配合したことを特徴とする軟膏剤。 ２ 液剤基材中にヒアルロン酸又その塩と抗ヒス
   タミン剤とを配合したことを特徴とする液剤。