JPH054469Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［考案の目的］ （産業上の利用分野） この考案は、リア側のスプリングハウス廻りを
改善した車体構造に関する。

（従来の技術） 乗用車では、懸架装置（ストラツトなどシヨツ
クアブソーバ、スプリングを備えたもの）を設置
するために、従来より、ホイールハウスにスプリ
ングハウスを設けることが行われている。

こうしたスプリングハウスは、第４図および第
５図に示されるようにホイールハウスインナ１の
アーチ形成面の上部側に孔を設け、この孔にスプ
リングハウス２を挿入して該スプリングハウス２
の開口端に有るフランジ２ａをホイールハウスイ
ンナ１に接合（スポツト溶接等による）して取付
けられている。

ところで、このようにしてスプリングハウス２
が取着されたリアホイールハウスインナ１は、乗
用車３のリア側では第４図および第５図に示され
るようにリアホイールハウスインナ１の周部をク
オータパネルインナ４ａ（クオータパネル４を構
成するもの）の板面に接合（スポツト溶接等によ
る）する他、アーチ外側をフロア部５に接合して
組付けることが行なわれている。そして、このス
プリングハウス２にスプリング６をシヨツクアブ
ソーバ７と共に固定して後輪８を懸架する構造と
している（ストラツトの場合）。なお、９はフロ
ア部５を構成するフロアパン、１０はそのフロア
パン９の下部に取着されたサイドメンバ、１１は
同じくクロスメンバである。

（考案が解決しようとする問題点） ところが、こうした車体構造は、フロア側では
サイドメンバ１０、クロスメンバ１１にて剛性が
有り、クオータパネル４側ではクオータパネルイ
ンナ４ａ、クオータパネルアウタ４ｂにて剛性が
有るので、矢印Ａに示す如く後輪８からスプリン
グハウス２に荷重が入力すると、その荷重がホイ
ールハウスインナ１とクオータパネルインナ４ａ
とを接合したスポツト部分Ｂに剥離荷重（剥離方
向へ入力する荷重）として集中しやすい難点をも
つている。

この考案はこのような問題点に着目してなされ
たもので、その目的とするところは、ホイールハ
ウスインナとクオータパネルインナとの接合部分
に荷重が集中しないようにした車体構造を提供す
ることにある。

［考案の構成］ （問題点を解決するための手段と作用） この考案は、スプリングハウスのクオータパネ
ル側のフランジを延長させると共にこの延長部の
端部を内側へＬ字状に曲成し、このＬ字状部とク
オータパネルインナのアーチ形成面との間を該ク
オータパネルインナのたて壁の直下を通じ断面Ｌ
字状のリーンホースで連結し、かつクオータパネ
ルを構成するクオータパネルインナとクオータパ
ネルアウタとの間に前記リーンホースのクオータ
パネル側の接合部の裏面側とクオータパネルに続
くピラーとを連結するポストを設けて、スプリン
グハウスに入る荷重をクオータパネルインナのた
て壁およびポストを通してピラーへ伝達させる。

（実施例） 以下、この考案を第１図ないし第３図に示す一
実施例にもとづいて説明する。但し、先の「従来
の技術」の項で述べた部分と同じ部品には同一符
号を附してその説明を省略し、この項では異なる
点、つまり考案の要部について説明することにす
る。

すなわち、スプリングハウス２のフランジ２ａ
（ホイールハウスインナ１と重合して接合される
部分）における最上部部分は、クオータパネル４
側へクオータパネルインナ４ａの近くまで延長さ
れている。そして、この延長部２ｂとクオータパ
ネルインナ４ａの後輪８の直上となるアーチ形成
面４ｃの中央部分とが断面Ｌ字状の矩形板のリー
ンホース１５で連結されている。具体的には、第
２図にも示されるように延長部２ｂの先端部を内
側へＬ字状に曲成する。そして、このＬ字状部２
ｃとリーンホース１５の曲成部分（Ｌ字状部分）
とを重合してスポツト溶接等で固定し、残るリー
ンホース１５の他端部をアーチ形成面４ｃの中央
部分にスポツト溶接等で固定している。そして、
これにてクオータパネルインナ４ａのたて壁４ｄ
の直下部分を通し、延長部２ｂとアーチ形成面４
ｃとの両者間をリーンホース１５で橋渡しする構
造にしている。もちろん、リーンホース１５は橋
渡しするに必要な長さを備えているものである。

そして、こうして取着されたリーンホース１５
のクオータパネル４側の接合部１５ａの裏面側に
ポスト１７を立設して、ホイールハウスインナ１
とクオータパネルインナ４ａとの接合部Ｂに加わ
る荷重を逃がすようにしている。詳しくは、第２
図にも示されるようにクオータパネルインナ４ａ
の内面にリーンホース１５の位置から鉛直の方向
に沿つて断面コ字形のポスト１７を取着する。そ
して、ポスト１７の下端部のフランジ部１７ａを
接合部１５ａと相対するアーチ形成面４ｃの裏面
にスポツト溶接等で固定する他、上端部を第３図
に示されるようにクオータパネル４に続くリアピ
ラー１６に連結した構造となつていて、スプリン
グハウス２に入る荷重をリーンホース１５を通じ
リアピラ１６に逃がすことができるようにしてい
る。もちろん、ポスト１７は接合部１５ａから効
果的に荷重を受けることができる外形をもつもの
が用いられている。

しかして、こうしたスプリングハウス２廻りの
構造によると、後輪８からスプリングハウス２に
入つた荷重はリーンホース１５に伝えられ、この
リーンホース１５からクオータパネルインナ４ａ
のたて壁４ｄ、ポスト１７にそれぞれ伝えられて
リアピラー１６に伝達されていく。つまり、接合
部１５ａに荷重が集中することはなくなる。

これ故、従来のような接合部１５ａに剥離荷重
がく加わるのを防ぐことができる。しかも、リー
ンホース１５、ポスト１７で補強する分、ホイー
ルハウスインナ１、クオータパネルインナ４ａの
厚みを薄くすることができる。

［考案の効果］ 以上説明したようにこの考案によれば、スプリ
ングハウスに入る荷重をクオータパネルインナの
たて壁およびポストを通してピラーへ伝達させる
ことができるようになる。

この結果、ホイールハウスインナとクオータパ
ネルインナとの接合部分に荷重が集中するのを防
ぐことができる。しかも、補強する分、ホイール
ハウスインナ、クオータパネルインナを薄肉化す
ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第３図はこの考案の一実施例を示
し、第１図はリーンホースおよびポストをリア側
のスプリングハウス廻りと共に示した正断面図、
第２図はその第１図Ｘ方向の矢視から見た斜視
図、第３図はポストが乗用車のピラーまで設けら
れていることを示した側面図、第４図は従来の乗
用車のリア側スプリングハウス廻りを示した正断
面図、第５図はそれを使つた一般的な乗用車を示
す側面である。 １……ホイールハウスインナ、２……スプリン
グハウス、４ａ……クオータパネルインナ、４ｂ
……クオータパネルアウタ、４ｃ……アーチ形成
面、４ｄ……たて壁、１５……リーンホース、１
６……リアピラー（ピラー）、１７……ポスト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. スプリングハウスが接合されたリアホイールハ
   ウスインナの周部をクオータパネルを構成するク
   オータパネルインナの板面に接合してなる車体構
   造において、前記スプリングハウスのクオータパ
   ネル側のフランジを延長させると共にこの延長部
   の端部を内側へＬ字状に曲成し、このＬ字状部と
   クオータパネルインナのアーチ形成面との間を該
   クオータパネルインナのたて壁の直下を通じ断面
   Ｌ字状のリーンホースで連結し、かつクオータパ
   ネルを構成するクオータパネルインナとクオータ
   パネルアウタとの間に前記リーンホースのクオー
   タパネル側の接合部の裏面側と前記クオータパネ
   ルに続くピラーとを連結するポストを設けたこと
   を特徴とする車体構造。