JPH05427Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は車両用座席に係り、特に車両の乗降口
側に配置する座席で、他の座席への乗員の乗降の
際に跳ね上げると共に移動させて乗降を容易に行
えるようにしたウオークイン機構を備えた車両用
座席に関する。

〔従来の技術〕

従来のウオークイン機構を備えた座席、即ちウ
オークインシートは第５図乃至第７図に示すよう
に、シート１のシートクツシヨン２にシートバツ
ク３をリクライニング装置４によりリクライニン
グ動作及び前倒れ動作可能に連結し、またシート
クツシヨン２は下面側において、シアトアジヤス
タ５のスライドレール６，６にヒンジブラケツト
７，７により起伏、即ち跳ね上げ可能に取り付け
られており、下面後側には折畳み可能な脚体８，
８が備えられてスライドレール６，６の後部に載
置され、一方の脚体８が一方のスライドレール６
にクツシヨンロツク部材９によりロツクされてい
る。

このシート１のシートバツク３の肩部には前倒
れ及びクツシヨンロツクを解除操作するロツク解
除操作レバー１０が備えられて、この操作レバー
１０はレリーズワイヤ１１と１２によりリクライ
ニング装置４の前倒れリンク１３とクツシヨンロ
ツク部材９に連繋されており、又前倒れリンク１
３には操作レバー１０とは別に備えられた前倒れ
レバー１４がレリーズワイヤ１５により連繋され
ている。

そして、シートバツク３のヒンジ部、即ちリク
ライニング装置４の回転中心にはシートバツク３
のアーム３ａに突設されたピン１６に係合されて
回転されるプレート１７が装着されて、このプレ
ート１７とスライドレール６のスライドロツク機
構１８のロツク解除レバー１９とをレリーズワイ
ヤー２０で連繋してある。

このように構成される従来のウオークインシー
ト１はロツク解除操作レバー１０を操作すること
によりシートバツク３が前倒れされると共にシー
トクツシヨン２のスライドレール６に対するクツ
シヨンロツク部材９によるロツクが解除されてシ
ートクツシヨン２はシートバツク３が重ね合され
た状態で跳ね上げられる。また前倒れレバー１４
を操作するとシートバツク３のみが前倒れしてシ
ートクツシヨン２上にほぼ水平状に重ね合されて
その背面部を荷台として使用できることになる。

このようにシートバツク３が前倒れするとリク
ライニング装置４のプレート１７がピン１６の係
合により一体的に回動され、この回動によりレリ
ーズワイヤー２０が引張られてロツク解除レバー
１９をスライドロツク部材１８のロツク解除方向
に回動させ、これによりスライドレール１６はロ
ツクが解除されてシートアジヤスタ５は摺動可能
状態となる。そこでシート１を前方へ移動させる
ことにより後部シートへの乗降が容易に行えるこ
とになる。即ちシート１はウオークイン動作され
る。

〔考案が解決しようとする課題〕

前述した従来の車両用座席、即ちウオークイン
シートはシートバツクの前倒れとスライドレール
のロツク解除動作とは連動しているため、シート
バツクを前倒れさせてシートクツシヨンを跳ね上
げるウオークイン動作時はもとよりシートバツク
のみを前倒れさせてシートクツシヨン上に重ね合
わせて荷台又はテーブルとして使用する場合もス
ライドレールはロツク解除状態となるためシート
は車両の走行時に前後に移動し、荷台又はテーブ
ルとしては不安定な状態となる不具合があつた。

本考案は、従来の技術の有するこのような問題
点に鑑みてなされたものであり、その目的とする
ところは、シートバツクのみを前倒れせた場合は
スライドレールのロツクは解除されず、シートク
ツシヨンを跳ね上げることによりスライドレール
のロツクが解除されるように成して、荷台又はテ
ーブルとして安定した状態で使用でき、また乗降
時はウオークイン動作が確実に行われるようにし
た車両用座席を提供するものである。

〔課題を解決するための手段〕

前述した目的を達成するために、本考案は、シ
ートバツクを前倒れ可能とすると共にシートクツ
シヨンを床面側に配設されるシートアジヤスタの
スライドレールに対して跳ね上げ可能に連結して
成る車両用座席であつて、シートクツシヨンをス
ライドレールに跳ね上げ可能に取り付けるヒンジ
機構の可動側部材とスライドレールのロツク機構
のロツク解除操作部材とを連動部材により連結し
て構成し、シートクツシヨンの跳ね上げ動作に連
動してスライドレールのロツクが解除されるよう
にしたものである。

〔作用〕

このように構成される本考案の車両用座席は、
シートバツクを前倒れさせてシートクツシヨンを
跳ね上げ動作することにより、スライドレールに
対するヒンジ機構の可動側部材が一体に起上回動
され、この可動側部材の回動に伴いスライドレー
ルのロツク機構はロツク解除操作部材が連動部材
を介して操作されることによりロツク解除され、
スライドレールは摺動自在となつてシートクツシ
ヨンを移動でき、即ちウオークイン動作させるこ
とができる。

また、シートバツクを前倒れさせただけでシー
トクツシヨンを跳ね上げない場合は、スライドレ
ールはロツク状態で保持され、従つて前倒れによ
りシートクツシヨン上に重ね合されるシートバツ
クの背面を荷台又はテーブルとして車両の走行時
も不用意に移動することなく安定状態で使用でき
る。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を第１図乃至第４図を参
照して説明するに、前述した第５図乃至第７図に
示す従来例の構成部材と同一部材には同一符号を
付してその詳細な説明は省略する。

本例においてはシート１のシートクツシヨン２
をシアトアジヤスタ５のスライドレール６，６に
跳ね上げ可能に取り付けるヒンジ機構としてのヒ
ンジブラケツト７，７のスライドレール６，６に
固定される固定側部材７ａ，７ａの一方の固定側
部材７ａには軸２１が回転可能に横架軸支されて
この軸２１の内外両端にはアーム片２２と２３が
固着されている。

この軸２１の内端側アーム片２２にはロツド２
４を揺動可能に連結してあり、このロツド２４の
先端係合部２４ａはスライドレール６のスライド
ロツク機構１８のロツク解除レバー１９に固着さ
れたブラケツトレバー２５に係合されている。

このブラケツトレバー２５にはロツク解除レバ
ー１９の回転中心を中心とする円弧状長孔２５ａ
が形成されて、この長孔２５ａに前述したロツド
２４の先端係合部２４ａが一端部、即ちロツク解
除レバー１９がロツク方向に回動位置している状
態においてロツク解除方向側端部に係合されてお
り、ロツク解除レバー１９はロツド２４の係合に
関係なくロツク解除方向に回動操作を行うことが
できるように成されている。

そして、前述した軸２１の外端側アーム片２３
の自由端部とヒンジブラケツト７のシートクツシ
ヨン２側に固着される可動側部材７ｂの回転中心
から所要間隔で離れた部位との間にワイヤー２６
を張設してある。以上の軸２１、内外アーム片２
２，２３、ロツド２４、ワイヤー２６により連動
部材が構成される。

なお、第３図、第４図中、２７は軸２６のリタ
ーンスプリング、２８はロツク解除レバー１９の
リターンスプリングである。また、本例において
も第１図では表示されないがシート１の左側面部
には前述した従来例において第６図に示す如く前
倒れ及びクツシヨンロツクを解除操作するロツク
解除操作レバー、前倒れレバー、クツシヨンロツ
ク部材が備えられている。

以上のように構成される本例の車両用座席、即
ちウオークインシート１においても前倒れ及びク
ツシヨンロツク解除操作レバーを操作することに
よりレリーズワイヤ１１を介してリクライニング
装置４の前倒れリンク１３が動作されてシートバ
ツク３が前倒れされると共にクツシヨンロツク部
材が動作されてシートクツシヨン２はスライドレ
ール６に対するロツクが解除される。

この状態で前倒れされたシート、即ちシートク
ツシヨン２を前方に跳ね上げるとヒンジブラケツ
ト７の可動側部材７ｂ，７ｂが起上され、この一
方の可動部材７ｂの起上によりワイヤー２６が引
張られて軸２１が外端側アーム片２２を介して回
動され、この軸２１の回動に伴つて内端側アーム
片２２が一体的に回転される。

この内端側アーム片２２の回転により、これに
係合されたロツド２４が引かれてスライドロツク
機構１８のロツク解除レバー１９に固着されたブ
ラケツトレバー２５を回動させる。これによりロ
ツク解除レバー１９がスライドロツク機構１８を
ロツク解除する方向に回動され、スライドレール
６はロツク解除されてシートアジヤスタ５は摺動
可能となる。

この動作によりシート１は前方へ移動できてウ
オークイン状態となる。

また、前倒れレバーを操作することにより、レ
リーズワイヤ１５を介してリクライニング装置４
の前倒れリンク１３が動作され、前述の場合と同
様にシートバツク３が前倒れされるが、この動作
は他の部材には何等関連されず、従つてスライド
レール６のスライドロツク機構１８はロツク状態
を維持し、これによりシートクツシヨン２は車両
の走行時においても不用意に移動したり揺動する
ことなく固定状態に保持され、このように固定状
態にあるシートクツシヨン２上にシートバツク３
が重ね合される。この状態ではシートバツク３の
背面はほぼ水平状を呈し、この背面は荷台又はテ
ーブルとして充分利用できることになる。

またシート１が通常の着座状態においてシート
アジヤスタ５により前後位置を調整する際にスラ
イドロツク機構１８のロツク解除レバー１９をロ
ツク解除方向に操作することにより、このロツク
解除レバー１９に固着されたブラケツトレバー２
５はシートクツシヨン２のヒンジブラケツト７の
動作に連動するロツド２４から逃げるように回
動、即ち長孔２５ａがロツド２４の先端係合部２
４ａに沿つて移動するように回動することになる
のでロツク解除レバー１９のロツク解除方向の回
動操作はシートクツシヨン２の動作に何等関係す
ることなく普通のものと同様に行える。

以上、本考案の一実施例を説明したが、本考案
はこの実施例に限定されるものではなく、各部材
の構造、形状等は本考案の要旨を逸脱しない範囲
で種々変更できるものである。

〔考案の効果〕

以上のように本考案によれば、シートバツクを
前倒れさせただけではシートアジヤスタのスライ
ドレールはロツク解除されないため、シートクツ
シヨンは車両の走行時においても不用意に摺動あ
るいは揺動することなく、従つて前倒れされシー
トクツシヨン上に水平状態で重ね合されるシート
バツクの背面を荷台又はテーブルとして安定して
使用できる。

そして、シートクツシヨンをヒンジ機構を支点
として跳ね上げ回動することにより、スライドレ
ールのロツク解除操作部材が連動部材を介してロ
ツク解除動作されてスライドレールは摺動可能と
なつて従来のウオークインシートと同様に前方へ
摺動させることにより他の座席への乗降が容易に
行える。

また、本考案においてはスライドレールのロツ
ク解除操作部材とシートバツクの前倒れ機構、即
ちリクライニング装置とは何等連動されないた
め、リクライニング装置には従来の如き連動部材
を備える必要がないためその構成が簡単化され
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による車両用座席の一例の斜視
図、第２図は同、要部の外面側斜視図、第３図は
同、要部の内面側斜視図、第４図は第３図のＡ−
Ａ線拡大断面図、第５図は従来の車両用座席の一
方側斜視図、第６図は同、他方側斜視図、第７図
は同、動作説明図である。 図中、２はシートクツシヨン、３はシートバツ
ク、４はリクライニング装置、５はシートアジヤ
スタ、６はスライドレール、７はヒンジ機構とし
てのヒンジブラケツト、１８はスライドロツク機
構、１９はロツク解除レバー、２１，２２，２
３，２４及び２６は連動部材を構成する軸、内外
アーム片、ロツド及びワイヤーである。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 シートバツクを前倒れ可能とすると共にシート
   クツシヨンを床面側に配設されるシートアジヤス
   タのスライドレールに対して跳ね上げ可能に連結
   して成る車両用座席であつて、 上記シートクツシヨンを上記スライドレールに
   跳ね上げ可能に取り付けるヒンジ機構の可動側部
   材と上記スライドレールのロツク機構のロツク解
   除操作部材とを連動部材により連結して成り、 上記シートクツシヨンの跳ね上げ動作に連動し
   て上記スライドレールのロツクが解除されるよう
   にしたことを特徴とする車両用座席。