JPH0537168Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は自動車の車内前部のインストルメント
パネル等に設置されている空調用グリルに関する
ものである。

［従来の技術］ 従来、自動車の車内のインストルメントパネル
に設けられている空調用グリルとしては、風向偏
向板を弾性を有する金属、ゴム、樹脂等の板バネ
材で構成し、この風向偏向板を円弧状に湾曲させ
て風向きを変えるものが提案されている。

例えば、第７図及び第８図に示すように、本体
ケース２０内の前部に、前端部が本体ケース２０
に軸支された４枚の湾曲可能な風向偏向板２１が
配設されている。同風向偏向板２１の左右両側の
後端部は、４枚の風向偏向板２１を連結する一対
の連結棒２２に固着されている。また、本体ケー
ス２０内の左側上部には、一端が連結棒２２に軸
支され、他端が本体ケース２０に軸支された操作
レバー２３が設けられている。さらに、同操作レ
バー２３の下方には、一端が連結棒２２に軸支さ
れ、中間部が本体ケース２０に軸支されたロツド
２４を設けられ、操作レバー２３との間で平行リ
ンクを構成している。

そして、操作レバー２３を上下方向に回動させ
ることにより、連結棒２２を上下動させ、風向偏
向板２１を湾曲させるようになつている。

［考案が解決しようとする課題］ 上記従来の空調用グリルにおいては、本体ケー
ス２０内左端上部に位置する操作レバー２３によ
つて、風向偏向板２１を湾曲させて風向きを変え
るには、操作レバー２３の位置及び風向偏向板２
１の弾性力のための相当の操作力を必要とし、ま
た風向偏向板２１を湾曲させたとき、同風向偏向
板２１が湾曲自在であるため風向偏向板２１がね
じれたり、ゆがんだりするという問題点があつ
た。

また、これを解決するために、各部材の強度や
剛性を上げたり、軸受け等の精度を上げたりする
と、空調用グリル全体の重量増加や製造コストが
上昇するという問題点があつた。

本考案の目的は上記問題点を解消し、軽い操作
力で操作でき、風向偏向板が湾曲したときねじれ
たり、ゆがんだりすることがなく、しかも重量増
加が少なく、製造コストの小さい空調用グリルを
提供することにある。

［課題を解決するための手段］ 本考案は上記目的を達成するために、本体ケー
ス内に複数枚の湾曲可能な風向偏向板を配設し、
同風向偏向板の一端を本体ケースに軸支し、他端
を前記複数枚の風向偏向板が連結された一対の連
結棒に連結するとともに、同一対の連結棒間又は
前記複数枚の風向偏向板間に架橋部材を架け渡
し、同架橋部材のほぼ中央部を作用点とし、本体
ケースに設けられた軸を支点とする操作部材を設
け、かつ前記一対の連結棒の各々に一端が軸支さ
れ、他端が本体ケースに軸支された平行リンクと
しての一対のロツドを設けるという構成は採用し
ている。

［作用］ 上記構成を採用したことにより、操作部材を支
点を中心にして回動させると、架橋部材の中心に
位置する同操作部材の作用点とともに架橋部材が
回動し、それとともに平行リンクとしての一対の
ロツドの作用により、一対の連結棒に均等な力が
加わつて同連結棒が無理なく回動し、風向偏向板
を滑らかに湾曲させるので、空調用グリルの後部
からの風が湾曲した風向偏向板に沿つて流れ、空
調用グリルの前端部から所定方向へ吹き出す。

［第１実施例］ 以下に、本考案を自動車の車内のインストルメ
ントパネルに装着されている空調用グリルに具体
化した一実施例を第１〜３図に基づいて説明す
る。

第３図に示すように、直方体状の本体ケース１
内には、４枚の湾曲可能な風向偏向板２が配設さ
れている。同湾曲可能な風向偏向板２の材質とし
ては、クロロプレンゴム等のゴム、ポリ塩化ビニ
ル、ポリプロピレン、ポリエチレン等の合成樹
脂、ステンレス等の金属が使用される。

第１図に示すように、同風向偏向板２の前端部
は、本体ケース１に対し水平方向に固定された４
本の軸３に回動可能支持されている。同風向偏向
板２の後部両端には、同４枚の風向偏向板２を連
結する一対の連結棒４が設けられている。これら
一対の連結棒４には、上記風向偏向板２の後端部
がそれぞれ軸５着されている。

上記各連結棒４の上下には、一端が同連結棒４
に軸支され、他端が本体ケース１に軸支された一
対のロツド６がそれぞれ設けられ、それら一対の
ロツド６がそれぞれ平行リンクを構成している。

第１図又は第２図に示すように、上記一対の連
結棒４間の上下方向のほぼ中央部には、丸棒状の
架橋部材７が架け渡されている。同架橋部材７の
ほぼ中央部には、その後端部が軸支されて作用点
９となり、その中間部が本体ケース１に固定され
た軸１０に支持されて支点１１となつた操作部材
としての操作レバー８が設けられている。

上記のように構成された空調用グリルについて
作用及び効果を説明する。

まず、第１図に示すように、操作レバー８を上
方へ回動させると、同操作レバー８は支点１１を
中心として回動し、後端部の作用点９は下方へ回
動する。すると、架橋部材７は同作用点９で操作
レバー８と連結されているので、作用点９と同様
に下方へ回動する。また、左右一対の連結棒４間
には、架橋部材７が架け渡されているので、これ
ら両連結棒４も同じく下方へ回動する。このと
き、両連結棒４は各々に設けられた一対のロツド
６の平行リンク機構によつて滑らかにしかも確実
に回動する。この際、操作レバー８からの操作力
（回動力）は、操作レバー８の作用点９の位置が
架橋部材７のほぼ中央部にあるので、両連結棒４
に対して均等に伝達される。

そして、４枚の風向偏向板２の後端部は、両連
結棒４に軸５着されているので、各風向偏向板２
はその前端部の軸３を中心として下方に向かつて
凸状に湾曲する。上記のように両連結棒４には、
操作レバー８からの操作力が均等に分配されて加
わるので、４枚の風向偏向板２の後端部には、軸
５を介して全体に均一な力が加わる。従つて、操
作レバー８の操作力が軽い上に、各風向偏向板２
には、ねじれやゆがみが発生することがなく、そ
の前端部を中心にして、全体が滑らかに湾曲す
る。

このような状態において、本体ケース１の後部
からの風は、各風向偏向板２の湾曲状態に沿つて
上方へと滑らかに流れ、本体ケース１前端部から
上方に向かつて吹き出す。

次に、上記とは逆に操作レバー８を下方へ回動
させると、架橋部材７等は上記とは逆方向に移動
するため、各風向偏向板２は上方に向かつて凸状
に湾曲する。従つて、本体ケース１後部からの風
は、本体ケース１前端部から下方に向かつて吹き
出し、自動車の車内を快適な状態に維持する。

上記のように、本実施例の空調用グリルは、操
作レバー８を比較的軽い力で操作することができ
る。また、風向偏向板２が湾曲するときねじれた
り、ゆがんだりすることがない。さらに、架橋部
材７等を設けるだけでよいので、空調用グリルの
重量増加が少なく、しかも製造コストが小さくて
済む。

［第２実施例］ 次に、本考案を自動車の車内のインストルメン
トパネルに装着されている空調用グリルに具体化
した別の実施例を第４〜６図に基づいて説明す
る。

第６図に示すように、前後に孔のあいた直方体
状の送風ダクト１２内の前部には、水平方向に３
枚の湾曲しない剛性のある樹脂製の風向偏向板１
３を有する本体ケース１が配設されている。本体
ケース１は軸１４によつて上記送風ダクト１２に
回動可能に支持されている。

上記風向偏向板１３の後方には、第４図に示す
ように、同風向偏向板１３と直交する垂直方向に
別の湾曲可能な風向偏向板２が４枚ほぼ等間隔に
配設されている。同風向偏向板２の前端部には、
本体ケース１の上下に一体的に配設された平板状
の保持板１５ａ，１５ｂ及び風向偏向板２間の固
定された軸３に支持されている。

従つて、同軸３はこれら保持板１５ａ，１５ｂ
及び風向偏向板２によつてそれぞれ４個所で補強
され、風向偏向板２の湾曲が確実に行われるよう
になつている。また、その後端部は同４枚の風向
偏向板２をその上下で連結している連結棒４に設
けられている軸１７に固着されている。

同４枚の風向偏向板２の後方延長線上には、さ
らに別の湾曲しない剛性を有する樹脂製の風向偏
向板１８が上下の連結棒４と一体的に配設されて
いる。同風向偏向板１８の前端部は、上記軸１７
に固着され、前記送風ダクト１２後部からの風Ｗ
と常に同一方向になるようになつている。上記風
向偏向板１８は軸１７に支持されているととも
に、４本の軸１７が、同風向偏向板１８によつて
それぞれ補強され、その前部に位置する風向偏向
板２の湾曲に支障を来さないようになつている。

第４図及び第５図に示すように、前記風向偏向
板２の後端部で上下方向のほぼ中央部には、４枚
の風向偏向板２を連結する架橋部材７が水平方向
に設けられている。同架橋部材７のほぼ中央部に
は、その後端部が軸支されて作用点９となり、そ
の中間部が本体ケース１に固定された軸１０に支
持されて支点１１となつた操作部材としての操作
レバー８が設けられている。同操作レバー８は前
記風向偏向板１３を上下から挟み込むようにして
形成されている。

また、前記連結棒４の両端部の上下には、一端
が同連結棒４に軸支され、他端が本体ケース１に
軸支された一対のロツド６がそれぞれ設けられ、
それら一対のロツド６が平行リンクを構成してい
る。

そして、本体ケース１の前方から同操作レバー
８を左右方向に回動させると、同操作レバー８は
支点１１を中心として左右に回動し、作用点９で
連結された連結棒４は逆方向に移動し、風向偏向
板２を前後の軸３と軸１７との間で湾曲させるよ
うになつている。この際、風向偏向板２の軸１７
側端部は、送風ダクト１２後部からの風Ｗと同一
方向となるようになつている。

前記送風ダクト１２内に配設されている風向偏
向板２，１３，１８、連結棒４、架橋部材７、保
持板１５ａ，１５ｂ等は本体ケース１と一体物を
なし、軸１４を中心として一体となつて上下に回
動するようになつている。

上記のように構成された空調用グリルについて
作用及び効果を説明する。

まず、第４図に示すように、操作レバー８を中
央から右方に所定の位置まで移動させると、操作
レバー８は支点１１を中心に回動するため、同操
作レバー８の後端部が作用点９で連結された架橋
部材７は左方へ移動する。そして、風向偏向板２
は連結棒４における軸１７を一方の支点とし、軸
３を他方の支点にして左方に向かつて突状に湾曲
する。

また、風向偏向板２の後方に位置する風向偏向
板１８は、前後方向の向きをそのまま保つてい
る。従つて、送風ダクト１２の後方からの風Ｗは
風向偏向板１８を経て湾曲した風向偏向板２に沿
つて滑らかに右方へ流れる。

また、本体ケース１を軸１４を中心にして上方
へ回動させると、同時に風向偏向板２，１３，１
８等の一体物が同じく上方へ回動する。よつて、
後部に位置する前記風向偏向板２からの風Ｗは、
上記風向偏向板１３に沿い上方に向かつて流れ
る。

前記操作レバー８を、前記とは逆に左方へ移動
させると、連結棒４は右方へ移動し、風向偏向板
２は右方へ向かつて突状に湾曲する。また、風向
偏向板１８は前後方向の向きをそのまま保つてい
る。よつて、送風ダクト１２の後部からの風Ｗ
は、風向偏向板１８を経て風向偏向板２に沿つて
左方に向かつて流れる。

上記のように、本実施例の空調用グリルは、操
作レバー８の作用点９が架橋部材７のほぼ中央部
に位置し、操作レバー８の操作力が４枚の風向偏
向板２の後端部及び連結棒４に均等に伝達される
ので、操作レバー８を比較的軽い力で操作するこ
とができる。また、風向偏向板２の後端部の軸１
７に均等な力が確実に伝達されるので、風向偏向
板２が連続的に滑らかに湾曲し、ねじれやゆがみ
が発生しない。また、架橋部材７等の部材を設け
るだけでよいので、空調用グリルの重量増加が少
なく、製造コストが小さくて済む。

なお、風向偏向板１８及び風向偏向板２の風Ｗ
導入側端部が、送風ダクト１２から導入される風
Ｗの方向と同一方向となるので、騒音の発生が低
減される。

また、操作レバー８を左右方向に操作すること
により、風Ｗを左右方向に任意に吹き出すことが
でき、本体ケース１を上下方向に回動させること
により、風Ｗを上下方向に任意に吹き出すことが
できるので、所望とする上下左右いずれの方向に
も容易に風Ｗを吹き出すことができる。

本考案は上記実施例に限定されるものではな
く、次のように構成することもできる。

(1) 本考案の空調用グリルは、一対の連結棒４間
又は複数枚の風向偏向板２間に架け渡される架
橋部材７の位置は、必ずしもその中央部でなく
てもよく、構造に応じて適正な位置に設定する
ことができる。

(2) 本考案の空調用グリルは、第１実施例の構造
のものについては、風向偏向板２を垂直方向に
設けることもでき、第２実施例の構造のものに
ついては、湾曲可能な風向偏向板２を水平方
向、風向偏向板１３を垂直方向とすることもで
きる。また、いずれの構造のものについても風
向偏向板２，１３の数は適宜設定することがで
きる。

(3) 本考案の空調用グリルは、前記各実施例の自
動車のインストルメントパネルの吹き出し口以
外に、家庭用の暖房器やエアコンの吹き出し口
等に利用することもできる。

［考案の効果］ 本考案の空調用グリルは、軽い操作力で操作で
きるとともに、風向偏向板が湾曲したときねじれ
たり、ゆがんだりすることがなく、しかも重量増
加が少なく、製造コストが小さいという優れた効
果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１〜６図は本考案の実施例を示す図であつ
て、第１図は第１実施例の空調用グリルの内部構
造を示す斜視図、第２図は操作レバーと架橋部材
を示す一部断面図、第３図は空調用グリル全体の
斜視図、第４図は第２実施例の空調用グリルの横
断面図、第５図は空調用グリルの縦断面図、第６
図は空調用グリルの一部破断斜視図、第７図は従
来の空調用グリルの内部構造を示す斜視図、第８
図は空調用グリルを示す縦断面図である。 １……本体ケース、２……風向偏向板、３……
軸、４……連結棒、７……架橋部材、８……操作
部材としての操作レバー、９……作用点、１０…
…軸、１１……支点。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 本体ケース１内に複数枚の湾曲可能な風向偏向
   板２を配設し、同風向偏向板２の一端を本体ケー
   ス１に軸３支し、他端を前記複数枚の風向偏向板
   ２が連結された一対の連結棒４に連結するととも
   に、同一対の連結棒４間又は前記複数枚の風向偏
   向板２間に架橋部材７を架け渡し、同架橋部材７
   のほぼ中央部を作用点９とし、本体ケース１に設
   けられた軸１０を支点１１とする操作部材８を設
   け、かつ前記一対の連結棒４の各々に一端が軸支
   され、他端が本体ケース１に軸支された平行リン
   クとしての一対のロツド６を設けたことを特徴と
   する空調用グリル。