JPH0534344Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、主としてエンジンから駆動系への動
力の伝達を断続するのに用いる摩擦クラツチ装置
に関する。

（従来技術） 一般にこの種のクラツチ装置は、例えば実開昭
60−10928号公報に示されているごとく、トラン
スミツシヨンのインプツトシヤフトにクラツチハ
ブをスプライン結合して、該クラツチハブの取付
フランジにデイスクプレートを組付けると共に、
該デイスクプレートの外周に断面波形のクツシヨ
ンスプリングを複数枚取付けて、これらクツシヨ
ンスプリングの両側面にクラツチフエーシングを
設け、プレツシヤプレートの押圧動作で前記クツ
シヨンスプリングを弾性的にたわませて、前記ク
ラツチフエーシングをフライホイール側に接続す
ると共に、クラツチの接続時、前記クツシヨンス
プリングのたわみにより接続シヨツクを吸収する
ようにしている。

（考案が解決しようとする問題点） ところで以上の構造のクラツチ装置において、
接続シヨツクをより小さくするには、例えば前記
クツシヨンプレートのたわみ量に対する荷重変化
を小さくすることで、クラツチの接続シヨツクを
より小さくすることが出来るが、斯くのごとく前
記クツシヨンプレートたわみ量に対する荷重変化
を小さくすると、該クツシヨンプレートの撓み量
を大きく設定しなければならず、従つて、全体と
してクラツチペダルの踏み込みストロークも大き
くなる不具合が考えられる。

一方、エンジンの駆動出力や車両荷重が異なる
車種においてクラツチの接続シヨツクを緩和しよ
うとすれば、前記クツシヨンプレートのたわみ量
に対する荷重変化もそれぞれの車種に応じた特性
を必要とする。

本考案は以上の実情に鑑みて開発されたもの
で、目的とするところは、クラツチの接続時点で
の接続シヨツクを出来るだけ小さくすることが出
来ながらクラツチペダルの踏み込みストロークを
小さくして確実な接続が期待出来、しかも車種に
応じたクツシヨンプレートのたわみ量に対する荷
重変化の特性が簡単に得られる摩擦クラツチを提
供するにある。

（問題点を解決するための手段） しかして本考案は、クラツチハブ６に組付けた
デイスクプレート６２に、断面波形のクツシヨン
スプリングを複数枚取付けると共に、これらクツ
シヨンスプリングの両側面にクラツチフエーシン
グ８ａ，８ｂを設け、プレツシヤプレート３の押
圧動作で前記クツシヨンスプリングを弾性的にた
わませて、前記クラツチフエーシング８ａ，８ｂ
をフライホイール１側に圧接するようにした摩擦
クラツチ装置において、ばね特性の異なる少なく
とも２種類のクツシヨンスプリング７ａ及び７ｂ
を形成して、これらクツシヨンスプリング７ａ，
７ｂを前記デイスクプレート６２に取付け、前記
クラツチフエーシング８ａ，８ｂが前記フライホ
イール１側に接続する接続ポイントにおけるたわ
み量に対する荷重変化を、接続後における荷重変
化より小さくしたことを特徴とするものである。

（作用） 本考案によれば、第１、第２クツシヨンスプリ
ングの枚数の組み合わせを変更するだけで、クラ
ツチ接続途中からの前記クツシヨンスプリングの
たわみに対する荷重変化を車両に適応した値に簡
単に調整することが出来、しかもクラツチ接続時
における接続初期では、前記両メイン屈曲部７３
ａ，７３ｂのみが弾性変形するだけであるので、
前記クツシヨンスプリング７ａ，７ｂのたわみ量
に対する荷重変化が小さく、そのため接続シヨツ
クが小さく、それでいながら接続途中からは、前
記両メイン屈曲部７３ａ，７３ｂの弾性変形に加
えて、前記第２クツシヨンスプリング７ｂにのみ
形成した前記サブ屈曲部７４ｂの弾性変形が加算
されるので、前記クツシヨンスプリング７ａ，７
ｂのたわみ量に対する荷重変化が接続初期よりも
大きくなり、そのためクラツチの不用意な滑りを
招くことなく確実に接続することが出来、従つて
全体として接続シヨツクを少なくしながら、クラ
ツチペダルの踏み込みストロークを小さくするこ
とが出来るのである。

（実施例） 以下、本考案にかかる摩擦クラツチを図に示す
実施例に従つて説明する。

図において１は、エンジンのクランク軸１０の
軸端部に固定したフライホイール、２はこのフラ
イホイール１の一側面にボルト止めしたクラツチ
カバーであつて、該クラツチカバー２にはピボツ
トリング２１を介してダイヤフラムスプリング２
２を組付けると共に、該ダイヤフラムスプリング
２２にリトラクテイングスプリング（図示せず）
を介してプレツシヤプレート３を支持している。

４は、クラツチハウジングに形成したボス部４
１にベアリングスリーブ４２を介して軸方向移動
可能に支持したレリーズベアリング、５は前記ボ
ス部４２に挿通してその挿通端を前記クランク軸
１０に軸受部材１１を介して支持した変速機のイ
ンプツトシヤフト、６はこのインプツトシヤフト
５の軸端部にスプライン結合により軸方向のみ移
動自由に支持したクラツチハブであつて、このク
ラツチハブ６のフランジ部６１にデイスクプレー
ト６２を、サブプレート６３及びコイルスプリン
グ６４と共に組付ける一方、前記デイスクプレー
ト６２の外周に断面波形に屈曲形成したクツシヨ
ンスプリング７をリベツト７０で固定し、このク
ツシヨンスプリング７の両側面に一対のクラツチ
フエーシング８ａ，８ｂをリベツト８０で止めて
いる。

しかして以上の摩擦クラツチにおいて、本考案
は、ばね特性の異なる２種類の第１クツシヨンス
プリング７ａ及び第２クツシヨンスプリング７ｂ
を形成して、これら第１、第２クツシヨンスプリ
ング７ａ，７ｂを前記デイスクプレート６２に取
付けたのである。

具体的には、前記第１クツシヨンスプリング７
ａを、第１図に示すごとく第１クラツチフエーシ
ング８ａを支持する第１支持部７１ａと、この第
１支持部７１ａに対し所定間隔開けて平行に設け
られて前記第２クラツチフエーシング８ｂを支持
する第２支持部７２ａと、これら両支持部７１
ａ，７２ａ間を結ぶメイン屈曲部７３ａとを備え
ている。

また前記第２クツシヨンスプリング７ｂを第２
図に示すごとく、第１クラツチフエーシング８ａ
を支持する第１支持部７１ｂと、この第１支持部
７１ｂに対し所定間隔開けて平行に設けられて前
記第２クラツチフエーシング８ｂを支持する第２
支持部７２ｂと、これら両支持部７１ｂ，７２ｂ
間を結ぶメイン屈曲部７３ｂとを備え、且つ前記
第１支持部７１ｂと第２支持部７２ｂとの端縁を
斜めに延長して、これら両支持部７１ｂ，７２ｂ
の端縁に、前記メイン屈曲部７３ｂよりも短いサ
ブ屈曲部７４ｂを設けている。

斯くして図に示す実施例では、３枚の第１クツ
シヨンスプリング７ａと６枚の第２クツシヨンス
プリング７ｂとを、第４図に示すごとく前記デイ
スクプレート６２の外周に放射状に組付けている
のである。

尚、第１クツシヨンスプリング７ａの枚数と第
２クツシヨンスプリング７ｂの枚数の比率を変え
ることで、クラツチ接続途中からの前記クツシヨ
ンスプリングのたわみに対する荷重変化を、車両
の車種に応じて簡単に調整出来ることは云うまで
もない。

次に以上の構成からなる摩擦クラツチの作用を
説明する。

クラツチの接続は、前記ダイヤフラムスプリン
グ２２のばね力により、前記プレツシヤプレート
３が前記フライホイール１側に押圧されるのであ
つて、該プレツシヤプレート３の押圧動作に伴
い、前記クラツチフエーシング８ａ，８ｂがフラ
イホイール１に圧接して、前記クランク軸１０か
らの動力が前記クラツチフエーシング８ａ，８
ｂ、クツシヨンスプリング７ａ，７ｂ、デイスク
プレート６２、クラツチハブ６を介して前記イン
プツトシヤフト５に伝達されるのである。

しかして以上のクラツチの接続時において前記
プレツシヤプレート３の押圧動作の初期段階（ク
ラツチの接続初期）では、まず前記第１、第２ク
ツシヨンスプリング７ａ，７ｂのメイン屈曲部７
３ａ，７３ｂのみがたわんで、接続シヨツクを吸
収するのであり、該メイン屈曲部７３ａ，７３ｂ
のみがたわむ間は、これらクツシヨンスプリング
のたわみ量に対する荷重変化が小さく、従つてク
ラツチの接続シヨツクは極めて小さいのである。

そして前記プレツシヤプレート３の押圧動作の
後期段階から、前記第２クツシヨンスプリング７
ｂにおけるサブ屈曲部７４ｂの先端が前記クラツ
チフエーシング８ａ，８ｂと当接し、前記第１、
第２クツシヨンスプリング７ａ，７ｂのメイン屈
曲部７３ａ，７３ｂに加えて、前記サブ屈曲部７
４ｂもたわみ、第５図においてＴの領域で示すよ
うに、クツシヨンスプリングのたわみ量に対する
荷重変化がクラツチの接続初期段階よりも大きく
なつて、直ちに所定荷重に達するので、クラツチ
の不用意な滑りを招くことなく確実に接続するこ
とが出来、従つて全体として接続シヨツクを少な
くしながら、クラツチペダルの踏み込みストロー
クも小さくすることが出来るのである。

しかもクラツチの接続後期におけるクツシヨン
スプリングのたわみ量に対する荷重変化は、第１
クツシヨンスプリング７ａの枚数と第２クツシヨ
ンスプリング７ｂの枚数の比率を変えることで簡
単に車両の車種に合つた所望の特性に変更するこ
とが出来るのである。

（考案の効果） 以上のごとく本考案は、クツシヨンスプリング
が、前記クラツチフエーシング８ａ，８ｂを支持
する第１、第２支持部７１ａ，７２ａとこれら両
支持部７１ａ，７２ａを結ぶ弾性変形可能なメイ
ン屈曲部７３ａとを備えた第１クツシヨンスプリ
ング７ａと、前記両クラツチフエーシング８ａ，
８ｂを支持する第１、第２支持部７１ｂ，７２ｂ
とこれら両支持部７１ｂ，７２ｂを結ぶ弾性変形
可能なメイン屈曲部７３ｂと前記メイン屈曲部７
３ｂよりも短尺で前記メイン屈曲部の弾性変形途
中から前記クラツチフエーシングの一方に接触し
て弾性変形するサブ屈曲部７４ｂとを備えた前記
第１クツシヨンスプリング７ａのばね特性とは異
なる第２クツシヨンスプリング７ｂとから構成す
ることにより、これら第１、第２クツシヨンスプ
リングの枚数の組み合わせを変更するだけで、ク
ラツチ接続途中からの前記クツシヨンスプリング
のたわみに対する荷重変化を車両に適応した値に
簡単に調整することが出来、しかもクラツチ接続
時における接続初期では、前記両メイン屈曲部７
３ａ，７３ｂのみが弾性変形するだけであるの
で、前記クツシヨンスプリング７ａ，７ｂのたわ
み量に対する荷重変化が小さく、そのため接続シ
ヨツクが小さく、接続途中からは、前記両メイン
屈曲部７３ａ，７３ｂの弾性変形に加えて、前記
第２クツシヨンスプリング７ｂにのみ形成した前
記サブ屈曲部７４ｂの弾性変形が加算されるの
で、前記クツシヨンスプリング７ａ，７ｂのたわ
み量に対する荷重変化が接続初期よりも大きくな
り、そのためクラツチの不用意な滑りを招くこと
なく確実に接続することが出来、従つて全体とし
て接続シヨツクを少なくしながら、クラツチペダ
ルの踏み込みストロークも小さくすることが出来
るに至つたのである。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は本考案にかかる摩擦クラツ
チの一実施例を示す要部の拡大断面図、第３図は
同じく摩擦クラツチの断面図、第４図は要部の正
面図、第５図はクラツチの接続動作時におけるク
ツシヨンスプリングのたわみ量と荷重の変化を示
す説明図である。 １……フライホイール、３……プレツシヤプレ
ート、６……クラツチハブ、７ａ……第１クツシ
ヨンスプリング、７ｂ……第２クツシヨンスプリ
ング、８ａ……クラツチフエーシング、８ｂ……
クラツチフエーシング。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. クラツチハブ６に組付けたデイスクプレート６
   ２に、断面波形のクツシヨンスプリングを複数枚
   取付けると共に、これらクツシヨンスプリングの
   両側面にクラツチフエーシング８ａ，８ｂを設
   け、プレツシヤプレート３の押圧動作で前記クツ
   シヨンスプリングを弾性的にたわませて、前記ク
   ラツチフエーシング８ａ，８ｂをフライホイール
   １側に圧接するようにした摩擦クラツチ装置にお
   いて、前記クツシヨンスプリングが、前記両クラ
   ツチフエーシング８ａ，８ｂを支持する第１、第
   ２支持部７１ａ，７２ａとこれら両支持部７１
   ａ，７２ａを結ぶ弾性変形可能なメイン屈曲部７
   ３ａとを備えた第１クツシヨンスプリング７ａ
   と、前記両クラツチフエーシング８ａ，８ｂを支
   持する第１、第２支持部７１ｂ，７２ｂとこれら
   両支持部７１ｂ，７２ｂを結ぶ弾性変形可能なメ
   イン屈曲部７３ｂと前記メイン屈曲部７３ｂより
   も短尺で前記メイン屈曲部の弾性変形途中から前
   記クラツチフエーシングの一方に接触して弾性変
   形するサブ屈曲部７４ｂとを備えた前記第１クツ
   シヨンスプリング７ａのばね特性とは異なる第２
   クツシヨンスプリング７ｂとから成ることを特徴
   とする摩擦クラツチ。