JPH0528949A - 表面分析装置 - Google Patents

表面分析装置

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JPH0528949A
JPH0528949A JP3176999A JP17699991A JPH0528949A JP H0528949 A JPH0528949 A JP H0528949A JP 3176999 A JP3176999 A JP 3176999A JP 17699991 A JP17699991 A JP 17699991A JP H0528949 A JPH0528949 A JP H0528949A
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JP
Japan
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sample
alkali metal
ions
excitation beam
alkali
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JP3176999A
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English (en)
Inventor
Mitsuhiro Tomita
充裕 富田
Yoshinori Honma
美規 本間
Michihiko Inaba
道彦 稲葉
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 マトリックス効果等の妨害現象の影響を受け
ずに、高精度で表面分析を行うことができる表面分析装
置を提供することにある。 【構成】 試料S表面に照射されることにより試料S表
面を励起する励起ビームを発生する励起ビーム発生手段
3と、該励起ビームの照射により試料S表面から放出さ
れる放出粒子を分析する質量分析器5とを有する表面分
析装置1において、試料S表面にアルカリ金属イオンを
照射するアルカリ金属イオン発生手段4を備えることを
特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば1次イオン、中
性粒子、レーザ光等のビームを試料表面に照射すること
により試料表面から2次イオン、中性粒子等のエネルギ
ー粒子を放出させ、この放出された粒子のエネルギー、
質量等を測定する2次イオン質量分析装置等の表面分析
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の表面分析装置として例え
ば2次イオン質量分析装置は、試料表面を励起するため
の励起ビームとして1次イオンビームを発生する1次イ
オンビーム源、あるいは励起ビームとしてレーザビーム
を発生するレーザ源と、このような励起ビームにより試
料表面から放出される2次イオンを分析する質量分析器
とを備えている。そして、上記1次イオンビームあるい
はレーザビームを試料表面に照射させることにより、試
料表面を励起させこの表面部分から2次イオンをスパッ
タする。試料表面から放出された2次イオンは上記質量
分析器に到り、質量分析及び検出される。それによっ
て、試料表面部分に存在する元素が分析される。
【0003】ところで、上記したような表面分析を行う
場合に、分析される元素の試料中濃度が同じでも、この
被分析元素が異なれば2次イオンの収量(検出量)が異
なるという現象や、被分析元素が同じでもこの元素が含
まれる試料の母材の種類が異なれば2次イオンの収量が
異なるマトリックス効果と呼ばれる現象が生じる。この
ため、正確な表面分析を行うためには、予め被分析元素
毎また試料の母材毎に、被分析元素の濃度定量を行うた
めの標準となる試料、すなわち予め被分析元素の試料中
濃度がわかっている標準試料が必要であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述したように従来技
術の場合には、マトリックス効果等の妨害現象の影響を
考慮して試料の母材毎に標準試料を用意する必要がある
上に、試料の母材の組成が連続的に変化する場合には、
定量性に優れた正確な表面分析を行うことは難しいとい
う問題があった。
【0005】本発明は上記した従来技術の課題を解決す
るためになされたもので、その目的とするところは、マ
トリックス効果等の妨害現象の影響を受けずに,高精度
で表面分析を行うことができる表面分析装置を提供する
ことにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明にあっては、試料表面に照射されることによ
り該試料表面を励起する励起ビームを発生する励起ビー
ム発生手段と、該励起ビームの照射により試料表面から
放出される放出粒子を分析する分析手段とを有する表面
分析装置において、前記試料表面にアルカリ金属イオン
を照射するアルカリ金属イオン発生手段と、前記試料表
面上にアルカリ金属のガスを導入するアルカリ金属ガス
導入手段とのうち、少なくともいずれか一方を備えて成
ることを特徴とする。
【0007】上記励起ビームとしては、試料表面を励起
させ試料表面から被分析元素の粒子をスパッタできるも
のならばどのようなビームでもよい。例えばイオンビー
ム、中性粒子のビーム、レーザビーム等が適用可能であ
る。上記アルカリ金属としては、質量数の大きいセシウ
ム(Cs)、フランシウム(Fr)等が好適である。な
ぜならば、本発明装置においてはアルカリ金属イオンと
被分析元素の原子とのクラスタイオンを生成させて、こ
のクラスタイオンを分析するが、質量数の大きいアルカ
リ金属を用いた方が、クラスタイオン生成、分析の際に
他のイオンの妨害を受けにくく、被分析元素の分析が容
易となるためである。
【0008】上記アルカリ金属イオン発生手段として
は、アルカリ金属を蒸発させてアルカリ金属イオンを取
り出しアルカリ金属イオンビームを発生する装置等が使
用可能である。また、上記アルカリ金属ガス導入手段
は、ガス化させたアルカリ金属を試料表面上に送り込
み、試料表面上にアルカリ金属を堆積させるものであ
る。
【0009】
【作用】上記構成を有する本発明の表面分析装置におい
て、上記アルカリ金属イオン発生手段を設けた場合に
は、このアルカリ金属イオン発生手段から発生したアル
カリ金属イオンを試料表面に照射する。それによって、
試料表面近傍には高密度のアルカリ金属イオンの雲が生
成される。
【0010】あるいは、上記アルカリ金属ガス導入手段
を設けた場合には、このアルカリ金属ガス導入手段から
アルカリ金属ガスが試料表面上に送り込まれ、試料表面
上にアルカリ金属が堆積する。そして、上記励起ビーム
発生手段から励起ビームを試料表面に照射すると、試料
表面部分中の被分析元素の粒子がスパッタされるととも
に、試料表面上に堆積されたアルカリ金属もスパッタさ
れて、試料表面近傍に高密度のアルカリ金属イオンの雲
が生成される。
【0011】上記したようなアルカリ金属イオンの雲の
生成時に、上記励起ビーム発生手段から励起ビームを試
料表面に照射すると、試料表面が励起ビームにより励起
されて、この表面部分中の被分析元素の原子がイオンや
中性粒子の形で放出される。このうち放出された中性粒
子が上記アルカリ金属イオンの雲の中のアルカリ金属イ
オンと結合して、アルカリクラスタイオンと呼ばれる分
子イオンを生成する。このアルカリクラスタイオンを上
記分析手段により分析することによって、アルカリクラ
スタイオン中の被分析元素の中性粒子を分析して、試料
表面部分の元素の分析を行うことができる。
【0012】上記アルカリクラスタイオンは、被分析元
素の種類や試料の母材の種類の影響をほとんど受けない
中性粒子とアルカリ金属イオンとが結合したイオンであ
り、特に中性の原子とアルカリ金属イオンとが結合した
ものが多いので、被分析元素や試料の母材の種類にかか
わらず、試料中の被分析元素の濃度に対してほぼ一定の
収量でアルカリクラスタイオンを検出することができ
る。従って、このアルカリクラスタイオンを分析すれ
ば、試料の母材毎に標準試料を用意する必要はなく、マ
トリックス効果等の妨害現象の影響を受けずに、定量性
の良い分析を行うことが可能となる。
【0013】
【実施例】以下に、本発明の実施例について図を用いて
説明する。
【0014】図1は本発明の一実施例の表面分析装置の
構成を概略的に示す図である。同図において、1は表面
分析装置を示しており、概略試料Sが配置される試料室
2に、試料表面を励起するための励起ビームを発生する
励起ビーム発生手段3と、アルカリ金属イオンのビーム
を発生するアルカリ金属イオン発生手段4と、試料室2
から送られる2次イオン(アルカリクラスタイオン)を
分析する分析手段としての質量分析器5とが取り付けら
れて成る。
【0015】上記励起ビームとしては、試料S表面を励
起させ試料S表面から被分析元素の中性粒子をスパッタ
できるものならば、どのようなビームを使用してもよ
い。例えば1次イオンビーム、中性粒子のビーム、レー
ザビーム等が適用可能である。すなわち励起ビーム発生
手段3としては1次イオン源、レーザ源等が使用可能で
ある。また、励起ビーム発生手段3と試料室2との間に
は、励起ビームを収束させるためのレンズ6が設けられ
ている。
【0016】アルカリ金属イオン発生手段4は、アルカ
リ金属を蒸発させてアルカリ金属イオンを取り出すとと
もにこのアルカリ金属イオンに所定の加速電圧を印加し
て、アルカリ金属イオンのビームを試料Sに照射するも
のである。このようなアルカリ金属イオン発生手段4と
しては、例えば市販されているCsイオン源等が使用可
能である。このアルカリ金属イオンビームを試料S表面
に照射することにより、試料S表面近傍に高密度のアル
カリ金属イオンの雲が生成される。このアルカリ金属イ
オン発生手段4と試料室2との間にも、アルカリ金属イ
オンビームを収束させるためのレンズ7が設けられてい
る。
【0017】また、試料Sには電源8により所定の電圧
がかけられており、この電圧は、上記アルカリ金属イオ
ン発生手段でアルカリ金属イオンに印加される加速電圧
と等しくすることが好ましい。その理由は、アルカリ金
属イオン発生手段4で加速されて試料S表面に到達した
ときのアルカリ金属イオンの運動エネルギーを0とする
ことにより、このアルカリ金属イオンを試料S表面近傍
に留め、試料S表面近傍に高密度のアルカリ金属イオン
の雲を生成するためである。
【0018】上記アルカリ金属としては、質量数の大き
いセシウム(Cs)、フランシウム(Fr)等が好まし
い。なぜならば、この表面分析装置1では、アルカリ金
属イオンと被分析元素の原子とのアルカリクラスタイオ
ンを生成させて、このアルカリクラスタイオンを分析す
るが、前述したように、質量数の大きいアルカリ金属を
用いた方が、アルカリクラスタイオン生成、分析の際に
他のイオンの妨害を受けにくく、被分析元素の分析が容
易となるためである。
【0019】上記質量分析器5は、試料室2から送られ
るアルカリクラスタイオンを質量分析する質量分析部9
と、このアルカリクラスタイオンを検出する検出部10
とから成る。質量分析器5と試料室2との間には、試料
室2内で生成されるアルカリクラスタイオンを質量分析
器5に取り込むためのレンズ11が設けられている。こ
のアルカリクラスタイオンの取り込み収量を多くするた
めには、電源8から試料Sに印加する電圧、すなわち試
料Sの電位を正の数kV程度にすることが好ましい。
【0020】上述したように構成される表面分析装置1
を用いて試料Sの表面分析を行う際には、試料室2内に
配置した試料Sに電源8により正の数kV程度の電圧を
印加する。そして、励起ビーム発生手段3から励起ビー
ム(図1に実線矢印で示すビーム)を発生させるととも
に、アルカリ金属イオン発生手段4からアルカリ金属イ
オンビーム(図1に点線矢印で示すビーム)を発生させ
る。このアルカリ金属イオン発生手段4において、アル
カリ金属イオンは上述したように試料S表面の電位と等
しい上記正の数kV程度の電圧で加速される。
【0021】励起ビームはレンズ6により収束して試料
S表面を照射し、それにより試料表面Sから励起された
被分析元素の中性粒子(原子)がスパッタされる。一
方、アルカリ金属イオンビームがレンズ7により収束し
た後、試料S表面に向かう。このとき試料S表面には正
の電圧がかけられているので、ビーム中のアルカリ金属
イオンの運動エネルギーは試料S表面に近づくにつれて
小さくなり、試料S表面近傍でほぼ0となって、アルカ
リ金属イオンが試料S表面近傍に滞留する。すなわち試
料S表面近傍には、高密度のアルカリ金属イオンの雲が
生成される。
【0022】ここで、上記アルカリ金属イオンビームの
一部が試料S表面に到達して、試料S表面に吸着するア
ルカリ金属イオンもあるが、このような吸着アルカリ金
属は励起ビーム発生手段3から発生した励起ビームによ
りスパッタされて、イオンの形で試料S表面から脱離す
るので、アルカリ金属イオンビームの一部が試料S表面
に吸着しても差し支えない。
【0023】試料S表面から放出された放出粒子として
の上記中性粒子の一部は、試料S表面近傍に分布するア
ルカリ金属イオンと結合し、アルカリクラスタイオンが
生成される。このアルカリクラスタイオンは、電源8が
試料Sにかけている電圧によって加速され、レンズ11
を介して質量分析器5に送られる。そしてこのアルカリ
クラスタイオンが、質量分析部9で質量分析され、検出
部10で検出される。
【0024】このアルカリクラスタイオンは、前述した
ように、被分析元素の種類や試料Sの母材の種類の影響
をほとんど受けない中性粒子(原子)とアルカリ金属イ
オンとが結合したイオンなので、被分析元素の種類や試
料Sの母材の種類にかかわらず、試料S中の被分析元素
濃度に対してほぼ一定の収量で検出される。従って、こ
のアルカリクラスタイオンを測定すれば、試料Sの母材
毎に標準試料を用意する必要はなく、マトリックス効果
等の妨害現象の影響を受けずに、定量性の良い正確な表
面分析を行うことが可能となる。
【0025】ところで、このようなアルカリクラスタイ
オンは、定量性は良いが感度が小さいため、励起ビーム
としてアルカリ金属イオンのビームを用いてこのビーム
中のアルカリ金属イオンのみによりアルカリクラスタイ
オンを生成するような場合には、試料中の微量の被分析
元素の分析を行うことは難しい。しかし、本実施例装置
1の場合には、上記したように試料S表面近傍に高密度
のアルカリ金属イオンの雲が生成されるので、試料S表
面から放出された中性粒子がアルカリ金属イオンと結合
する割合が多く、多量のアルカリクラスタイオンが生成
される。従って、試料中の微量の被分析元素を分析する
場合でも、この被分析元素の中性粒子を含むアルカリク
ラスタイオンが多く生成されるので、このアルカリクラ
スタイオンを分析、検出することにより、支障なく高精
度の表面分析を行うことが可能となる。
【0026】また、本実施例装置1においては、励起ビ
ームの種類にかかわらず試料S表面近傍に高密度のアル
カリ金属イオンの雲を生成し、高収量のアルカリクラス
タイオンを得ることができるので、励起ビーム発生手段
3を、取扱の困難なセシウムイオンビーム源等のアルカ
リ金属イオンビーム源に限定する必要がなく、1次イオ
ンビーム源、レーザ源等の一般的な励起ビーム発生手段
を使用することができる。
【0027】図2は本発明の他の実施例の表面分析装置
の構成を概略的に示す図である。同図において、図1と
同様な部分については同一符号を付し説明を省略する。
【0028】この表面分析装置20においては、上記ア
ルカリ金属イオン発生手段4及びレンズ7を設けずに、
その代わりに、試料S表面にアルカリ金属のガスを導入
するアルカリ金属ガス導入手段23が設けられている。
このアルカリ金属ガス導入手段23は、アルカリ金属を
ガス化してアルカリ金属ガスを発生するアルカリ金属ガ
ス発生源21と、このアルカリ金属ガスを試料室2内に
導入する導入管22とから成る。アルカリ金属ガス発生
源21は試料室2外に設置されている。導入管22は試
料室2内に挿入され、その一端はアルカリ金属ガス発生
源21に接続され、他端(先端)は試料室2内に配置さ
れた試料S表面近傍で固定されている。そして、この導
入管22の先端開口部は試料S表面に向けて配置されて
いる。ただし、この導入管22は、励起ビーム発生手段
3から試料S表面に照射される励起ビームの邪魔になら
ないように配置されている。本実施例装置20の他の構
成要素については図1に示した上記実施例と同様であ
る。
【0029】この装置20により表面分析を行う際に
は、励起ビーム発生手段3から試料S表面に励起ビーム
を照射するとともに、アルカリ金属ガス発生源21から
アルカリ金属ガスを発生させる。このアルカリ金属ガス
は、導入管22を介して試料S表面上に導入され、試料
S表面上にアルカリ金属が堆積する。すなわち試料S表
面上にアルカリ金属から成る被膜Aが形成される。
【0030】この被膜Aは上記励起ビームによりスパッ
タされ、試料S表面に堆積していたアルカリ金属はアル
カリ金属イオンとなって試料S表面近傍に滞留する。す
なわち、この実施例装置においても試料S表面近傍に高
密度のアルカリ金属イオンの雲が生成される。それと同
時に、上記励起ビームが試料S表面をスパッタし、試料
S表面から励起された被分析元素の中性粒子が放出され
る。この中性粒子が試料S表面近傍のアルカリ金属イオ
ンと結合し、アルカリクラスタイオンが生成される。こ
のアルカリクラスタイオンは、上記実施例装置1の場合
と同様に、電圧8が試料Sにかけている電圧によって加
速されて質量分析器5に送られ、質量分析される。
【0031】この実施例においても、励起ビームの種類
にかかわらず、試料中の被分析元素の中性粒子を含むア
ルカリクラスタイオンが多量に生成され、このアルカリ
クラスタイオンを質量分析することにより、被分析元素
や試料Sの母材の種類の影響を受けることなく、定量性
に優れた分析を行うことができる。すなわち、この実施
例装置20においても上記実施例装置1と同様な効果が
得られる。
【0032】実験例1及び比較例1 上記実施例装置1、20において、試料SとしてSiO
2 板とSi基板とが接着された構造のSiO2 /Si板
を用いて、励起ビーム発生手段3としてAr(アルゴ
ン)イオン源、すなわち励起ビームとしてArイオンビ
ーム、またアルカリ金属としてCs(セシウム)を使用
して、次の条件下で、この試料中にドープされているP
の深さ方向のプロファイルの測定を行った。ただし、S
iO2 板とSi基板にはいずれも同量のPが含まれてい
る。
【0033】試料Sへの印加電圧:+4.5V Arイオン源3における印加電圧:+10kV Csイオン源4における印加電圧(実施例装置1の場
合):+4.5V 図3は、上記実験例1において、CsイオンとSiO2
/Si板からスパッタされたPとが結合したアルカリク
ラスタイオンとしてのPCs+イオンを測定することに
より得られるPの試料中の深さ方向のプロファイルを示
す図である。同図からわかるように、マトリックス効果
の影響を受けないために、SiO2 板とSi基板の両層
におけるPCs+ イオン強度がほぼ同じになっている。
また、この場合には、試料Sの母材は2種類の組成の材
料から成るが、マトリックス効果の影響を受けないの
で、母材毎に標準試料を用意する必要はなく、1種類の
標準試料を用意すれば足りる。
【0034】一方、比較のために、上記装置1、20に
おいてアルカリ金属イオン発生手段4及びレンズ7、ア
ルカリ金属ガス導入手段23のいずれも設けずに、従来
装置と同様な構成とした表面分析装置を用いて、励起ビ
ーム発生手段3としてArイオン発生源(印加電圧+1
0kV)を使用し、従来と同様にこのArイオンビーム
により試料中のPをスパッタして、上記実験例1に用い
た試料と同様なSiO2 /Si板中のPの深さ方向のプ
ロファイルの測定を行った。
【0035】図4は、この比較例1において、SiO2
/Si板からスパッタされたP+ イオンを測定すること
により得られるPの試料中の深さ方向のプロファイルを
示す図である。同図からわかるように、この場合には、
測定されるP+ イオン強度は図3のPCs+ イオンの強
度に比べて全体的に小さく、しかもSiO2 層中、Si
層中のPの濃度は同じであるにもかかわらず、測定され
たP+ イオン強度はSi層中よりもSiO2 基板中の方
が大きいというマトリックス効果が現れており、測定後
のPのプロファイルの解析が困難になっている。
【0036】実験例2及び比較例2 上記実施例装置1、20において、図5に示すように、
試料SとしてGaAs基板上に、Ga0.8 Al0.2 As
膜、Ga0.5 Al0.5 As膜、Ga0.2 Al0. 8 As
膜、AlAs膜、GaAs膜をそれぞれ同じ膜厚で被着
させた構造の試料を用いて、上記実験例1と同様な条件
下で、この試料中にドープされているMgの深さ方向の
プロファイルの測定を行った。ただし、各層にはいずれ
も同量のMgが含まれている。
【0037】図6は、上記実験例2において、Csイオ
ンと上記試料SからスパッタされたMgとが結合したア
ルカリクラスタイオンとしてのMgCs+イオンを測定
することにより得られるMgの試料中の深さ方向のプロ
ファイルを示す図である。同図からわかるように、マト
リックス効果の影響を受けないために、各層におけるM
gCs+ イオン強度がほぼ同じになっている。
【0038】なお、図6に示される各層におけるMgC
+ イオン強度のわずかな違いは、各層におけるスパッ
タ率の違いによるもので、この程度の誤差はMg濃度を
定量する際に容易に補正することができる。また、この
場合にはマトリックス効果の影響を受けないので、Mg
濃度の定量には、例えばGaAs中にMgが既知量ドー
プされた標準試料が1個あれば十分であり、各層の組成
に対応した標準試料を用意する必要はない。
【0039】一方、比較のために、上記装置1、20に
おいてアルカリ金属イオン発生手段4及びレンズ7、ア
ルカリ金属ガス導入手段23のいずれも設けずに、従来
装置と同様な構成とした表面分析装置を用いて、励起ビ
ーム発生手段3として酸素イオン発生源(印加電圧+1
0kV)を使用し、上記実験例2に用いた試料と同様な
組成の試料に対して、従来と同様にこの酸素イオンビー
ムにより試料をスパッタして、この試料の各層中のMg
の深さ方向のプロファイルの測定を行った。
【0040】図7は、この比較例において、試料の各層
からスパッタされたMg+ イオンを測定することにより
得られるMgの試料中の深さ方向のプロファイルを示す
図である。同図からわかるように、この場合には、測定
されるMg+ イオン強度は図3のMgCs+ イオンの強
度に比べて全体的に小さく、しかも各層中のMg濃度は
同じであるにもかかわらず、Gax Al1-x Asにおけ
るAlの組成比が大きいほど、測定されたMg+ イオン
強度が大きいというマトリックス効果が現れており、測
定後のMgのプロファイルの解析が困難になっている。
また、この場合には、試料中のMg濃度を定量するため
には、試料の各層の組成に合わせた標準試料が必要であ
り(この比較例の場合には5種類必要)、試料の母材の
組成が連続的に変化しているような場合には、その解析
はさらに困難となる。
【0041】なお、上記実施例装置1、20において
は、アルカリ金属イオン発生手段4及びレンズ7、ある
いはアルカリ金属ガス導入手段23のみを設けたが、こ
れらの両方を兼ね備えてもよい。この場合には、アルカ
リ金属イオン発生手段4及びアルカリ金属ガス導入手段
23の両方を用いることにより、試料S表面近傍により
多くのアルカリ金属イオンを滞留させることができるの
で、より多くのアルカリクラスタイオンを生成して、よ
り高精度の表面分析を行うことができる。
【0042】以上本発明の実施例について説明したが、
本発明はこれに限定されるものではなく、種々変形実施
が可能である。
【0043】
【発明の効果】本発明の表面分析装置は以上の構成及び
作用を有するもので、試料の母材毎に標準試料を用意す
る必要がなく、マトリックス効果等の妨害現象の影響を
受けずに、定量性に優れた表面分析を行うことができ
る。また、試料中の微量の被分析元素を分析する場合で
も、この被分析元素の中性粒子を含むアルカリクラスタ
イオンを多く生成して、高収量のアルカリクラスタイオ
ンを分析することにより、支障なく高精度の分析を行う
ことが可能となる。
【0044】さらに、本発明装置においては、励起ビー
ムの種類にかかわらず試料表面近傍に高密度のアルカリ
金属イオンの雲を生成し、高収量のアルカリクラスタイ
オンを得ることができるので、取扱の困難なセシウムイ
オンビーム源等のアルカリ金属イオンビーム源を励起イ
オンビーム発生手段として用いる必要がなく、励起ビー
ム発生手段の種類が限定されない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の表面分析装置の構成を概略
的に示す図である。
【図2】本発明の他の実施例の表面分析装置の構成を概
略的に示す図である。
【図3】実施例装置を用いて行った実験例1における試
料中のPの深さ方向のプロファイルを示す図である。
【図4】比較例1における試料中のPの深さ方向のプロ
ファイルを示す図である。
【図5】実施例装置を用いて行った実験例2における試
料の構造を示す説明図である。
【図6】同実験例2における試料中のMgの深さ方向の
プロファイルを示す図である。
【図7】比較例2における試料中のMgの深さ方向のプ
ロファイルを示す図である。
【符号の説明】
1、20 表面分析装置 2 試料室 3 励起ビーム発生手段 4 アルカリ金属イオン発生手段 5 質量分析器(分析手段) 23 アルカリ金属ガス導入手段 S 試料

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 試料表面に照射されることにより該試料
    表面を励起する励起ビームを発生する励起ビーム発生手
    段と、該励起ビームの照射により試料表面から放出され
    る放出粒子を分析する分析手段とを有する表面分析装置
    において、 前記試料表面にアルカリ金属イオンを照射するアルカリ
    金属イオン発生手段と、前記試料表面上にアルカリ金属
    のガスを導入するアルカリ金属ガス導入手段とのうち、
    少なくともいずれか一方を備えて成ることを特徴とする
    表面分析装置。
JP3176999A 1991-07-17 1991-07-17 表面分析装置 Pending JPH0528949A (ja)

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JP (1) JPH0528949A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004294275A (ja) * 2003-03-27 2004-10-21 Fujitsu Ltd 深さ方向元素分布測定方法及び深さ方向元素分布測定装置
US9117643B2 (en) 2010-02-22 2015-08-25 Osaka University Alkali metal introduction apparatus and alkali metal introduction method

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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