JPH05285150A - ウォータージェット手術装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】吸引された排液がジェット噴流と衝突するのを
防止でき、吸引時の陰圧がジェット噴流に影響するのを
防ぐことができ、噴流によって目的部位を確実、かつ迅
速に手術できるウォータージェット手術装置を提供する
ことにある。 【構成】高圧流体を通す流路５を備え先端部に噴射ノズ
ル６を有したウォータージェットカテーテル２と、この
ウォータージェットカテーテル２とは別体で並設され先
端部に吸引口７を有するとともに、この吸引口７を前記
噴射ノズル６と同位置かもしくは前方に位置させた排液
吸引用カテーテル３とを具備したことにある。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、高圧流体を噴射ノズ
ルから噴射して生体組織の切開、切除、洗浄等を行うウ
ォータージェット手術装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】生体組織の切開、切除等の手術を高圧流
体の噴射圧力によって行うウォータージェット手術装置
は、例えば、特開平１−３１３０４７号公報で知られて
いる。これは、ハンドピース本体から突出して設けた吸
引パイプと、この吸引パイプの内部に同心的に設けたウ
ォータージェット噴射パイプとからなり、この噴射パイ
プの先端部の噴射ノズルは吸引パイプの先端部の吸引口
より僅かに内側に設けられている。

【０００３】そして、ウォータージェット噴射パイプか
ら高圧流体を送ると、この噴射パイプの先端部の噴射ノ
ズルから術部に向かって高圧流体が噴射される。一方、
術部に噴射された流体やその周辺の流体は吸引パイプの
吸引口から吸引されて排出される。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
ように構成されたウォータージェット手術装置は、噴射
パイプの先端部の噴射ノズルが吸引パイプの先端部の吸
引口より僅かに内側に設けられているため、噴射ノズル
から出た噴流が吸引口に吸引される排液と衝突する。こ
のため、噴射圧力が落ち、噴流の切開力が低下するとい
う問題があった。また、排液吸引時に吸引パイプ内に生
じる陰圧により、噴射ノズルから出た噴流に対し、噴流
を広げる向きに力が加わり、これによっても噴流の切開
力が低下するという問題があった。

【０００５】この発明は、前記事情に着目してなされた
もので、その目的とするところは、噴射ノズルから高圧
流体を噴射しながら排液の吸引を行っても、噴射圧力が
落ちることなく、噴流によって目的部位を確実、かつ迅
速に手術できるウォータージェット手術装置を提供する
ことにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この発明は、前記目的を
達成するために、高圧流体を通す流路を備え先端部に噴
射ノズルを有したウォータージェットカテーテルと、こ
のウォータージェットカテーテルとは別体で並設され先
端部に吸引口を有するとともに、この吸引口を前記噴射
ノズルと同位置かもしくは前方に位置させた排液吸引用
カテーテルとを具備したことを特徴とする。

【０００７】

【作用】ウォータージェットカテーテルから高圧流体を
送ると、高圧流体は噴射ノズルから生体組織の術部に噴
射し、一方、術部に噴射された流体やその周辺の流体は
ウォータージェットカテーテルとは別体の排液吸引用カ
テーテルの吸引口から吸引されて排出され、吸引された
排液がジェット噴流と衝突するのを防止でき、また、吸
引時の陰圧がジェット噴流に影響するのを防ぎ、ジェッ
ト噴流の圧力低下を防止する。

【０００８】

【実施例】以下、この発明の各実施例を図面に基づいて
説明する。

【０００９】図１〜図４は第１の実施例を示す。１はウ
ォータージェット手術装置の全体を示し、これはウォー
タージェットカテーテル２と排液吸引用カテーテル３と
から構成されている。ウォータージェットカテーテル２
と排液吸引用カテーテル３とは別体で、しかも複数のカ
テーテルバンド４によって図２に示すように並列に連結
されている。

【００１０】ウォータージェットカテーテル２は、図１
に点線で示す如く、高圧流体を通す流路５を設けたパイ
プもしくはチューブである。同流路５の先端部は流速を
上げるために、根元側に比べて細径に形成され、噴射ノ
ズル６を形成している。

【００１１】排液吸引用カテーテル３は中空のパイプも
しくはチューブであり、その先端部には吸引口７が設け
られ、この吸引口７には切開により生じる組織片が排液
吸引用カテーテル２内で詰まらないようにメッシュ状の
フィルター８が着脱可能に装着されている。つまり、フ
ィルター８を外して使用する事もできる。

【００１２】さらに、ウォータージェットカテーテル２
と排液吸引用カテーテル３は図２の如く、排液吸引用カ
テーテル３の先端、つまり吸引口７がウォータージェッ
トカテーテル２の先端、つまり噴射ノズル６と同位置
（ａ）もしくは前方（ｂ）となるように連結され、ウォ
ータージェット手術装置１が患部に対して直立した状態
でも、確実に排液を吸引できるようにしている。

【００１３】また、各々のカテーテル２，３は着脱コネ
クター９，１０を使って高耐圧チューブ１１，排液チュ
ーブ１２と着脱自在に接続されている。さらに、高耐圧
チューブ１１，排液チューブ１２は図３に示す制御装置
１３と接続されている。

【００１４】すなわち、高耐圧チューブ１１は制御装置
１３に設けた第１の圧力計１４を介して加圧用ポンプ１
５に連結している。また、排液吸引チューブ１２は第２
の圧力計１６を介して吸引用ポンプ１７に連結してい
る。

【００１５】制御装置１３に設けられたコントローラー
１８は、加圧用ポンプ１５，吸引用ポンプ１７の出力設
定ならびに第１および第２の圧力計１４，１６の出力表
示を行うと共に、リミットスイッチ１９の作動値を設定
してウォータージェットカテーテル２へ至る流路５内の
圧力が異常に上がった時、加圧用ポンプ１５を停止させ
る動作を行わす統合制御回路である。

【００１６】次に、前述のように構成されたウォーター
ジェット手術装置１の作用について説明する。ウォータ
ージェット手術装置１を開腹手術並びに腹部にあけた切
開孔から腹腔内に導いての経腹的手術に使用する。図４
に経腹手術の様子を示すが、開腹手術においても同様に
使用する。

【００１７】肝臓、癒着組織等の患部組織２０に対し、
経腹的に腹腔内に挿入された外套管２１を通してウォー
タージェット手術装置１，内視鏡２２，把持鉗子２３を
導いて処置する。患部組織２０のうちの切開したい部分
を把持鉗子２３を用いて広げて、ウォータージェット手
術装置１を同部分に対向させる。

【００１８】ウォータージェットカテーテル２の噴射ノ
ズル６から噴射したジェット噴流２４によって切開され
た部分は切開傷２５となる。切開傷２５面で生ずる発泡
および切開傷２５に溜まった排液はフィルター８を介し
て吸引口７から吸引用カテーテル２によって腹腔外へ吸
引排除される。この手術は内視鏡２２で観察しながら行
う。

【００１９】このように第１の実施例におけるウォータ
ージェット手術装置１は、ウォータージェットカテーテ
ル２と排液吸引用カテーテル３とが別体で、並設され、
しかも吸引口７が噴射ノズル６と同位置または前方に位
置しているため、ジェット噴流２４の流路と排液の流路
が完全に別れ、ジェット噴流２４と吸引された排液の衝
突および排液吸引時の陰圧によるジェット噴流２４の拡
散が起こらない。したがって、ジェット噴流２４の切開
力を低下させずに排液を吸引できる。

【００２０】図５（ａ）（ｂ）は第２の実施例を示す。
この実施例はウォータージェットカテーテル２と排液吸
引用カテーテル３の先端部に、飛沫防止キャップ２６を
一体化したカテーテルバンド２７を設けたものである。
飛沫防止キャップ２６は透明樹脂によって形成され、手
術時に切開傷２５の付近の視界を妨げないものである。
また、切開傷２５面に当たったジェット噴流２４が飛び
散って、特に内視鏡２２の観察窓に付着するのを防げる
ので、術中に観察窓の汚れを落す手間が省ける。

【００２１】図６は第３の実施例を示す。この実施例
は、制御装置１３の吸引用ポンプ１７とジェット噴流用
で、内部に生理食塩水，リンゲル液等を収容した液バッ
グ２８との間に第１の電磁弁２９を、吸引用ポンプ１７
と排液タンク３０との間に第２の電磁弁３１を設けたも
ので、第１および第２の電磁弁２９，３１はコントロー
ラー１８により開閉制御される。

【００２２】通常、排液を吸引除去する際は、第１の電
磁弁２９を閉じ、第２の電磁弁３１を開けておく。ま
た、排液吸引流路が詰まった場合には、第１の電磁弁２
９を開き、第２の電磁弁３１を閉じ、吸引用ポンプ１７
を排液除去時とは逆向きに運転する。この時、ジェット
噴流用の液バッグ２８の液を排液吸引流路内に流す事が
できるので、詰まりの原因となった肉片等を押し流して
排除できる。

【００２３】図７および図８は第４の実施例を示す。こ
の実施例は、図７（ａ）に示すように、ウォータージェ
ットカテーテル２の先端部にＬ字状に屈曲した屈曲パイ
プ３２を突設し、屈曲パイプ３２の先端に噴射ノズル３
３を設けたものである。同図（ｂ）はウォータージェッ
トカテーテル２の先端部にＬ字状に屈曲した流路３４を
有した先端部材３５を設け、流路３４の先端に噴射ノズ
ル３６を設けたものである。（ｂ）の場合は、噴射ノズ
ル３６の向きが分かるように先端部材３５に突起等の印
３７を設けておく。

【００２４】そして、図８に示すように、噴射ノズル３
３によって吸引用カテーテル３の吸引口７に向ってジェ
ット噴射するように使用すれば、排液をより多く吸引除
去でき、また狭所での切開時にも有効である。

【００２５】図９は第５の実施例を示す。この実施例
は、（ａ）に示すように、ウォータージェットカテーテ
ル２、排液吸引用カテーテル３を外套管３８内に通し、
互いに並列に一体化した構造であり、ウォータージェッ
トカテーテル２および排液吸引用カテーテル３は第１の
実施例と同じである。外套管３８と両カテーテル２，３
は固定されていても着脱自在であってもよい。

【００２６】（ｂ）は、ウォータージェットカテーテル
２と吸引用カテーテル外套管３９を外套管３８内に通し
て互いに並列に一体化した構造であり、吸引用カテーテ
ル外套管３８内に排液吸引用カテーテル３を着脱自在に
通している。カテーテル外套管３９と外套管３８は固定
されているが、ウォータージェットカテーテル２と外套
管３８とは固定されていても着脱自在でもよい。

【００２７】この実施例によれば、カテーテルバンド４
を用いる第１の実施例より簡単に一体化できる。また、
図４に示す使用状態において、ウォータージェット手術
装置１を外套管２１に通す際に引っ掛かるような突起が
無いので操作しやすい。

【００２８】図１０は第６の実施例を示す。（ａ）に示
すように、ウォータージェットカテーテル２、排液吸引
用カテーテル３を挿通した外套管４０に内視鏡外套管４
１を固定し、この内視鏡外套管４１の内部に、（ｂ）に
示す患部組織４２を観察するための細径の内視鏡４３を
挿通したものである。この実施例によれば、内視鏡４３
により切開傷４４を正面視できるので、切開深さ等の切
開面状態をより正確に知ることができる。

【００２９】図１１は第７の実施例を示す。（ａ）は、
ウォータージェットカテーテル２、排液吸引用カテーテ
ル３を挿通した外套管４５に固定した高周波電極外套管
４６の内部に、止血、切開等を行う高周波電極４７を挿
通したものである。また、（ｂ）は、高周波電極外套管
４６の内部にウォータージェットカテーテル２および高
周波電極４７を固定または着脱自在にしたものである。
なお、高周波電極外套管４６を排液吸引用カテーテルと
して用いてもよい。この実施例によれば、切開面での止
血等を正面から行える効果がある。また、図示しない
が、外套管または排液吸引用カテーテル自身に高周波電
極機能を持たせてもよい。

【００３０】図１２は第８の実施例を示す。（ａ）は、
ウォータージェットカテーテル２の先端部に噴射ノズル
６を囲繞する飛沫防止キャップ４８を着脱自在に装着し
たものである。この飛沫防止キャップ４８は視界を妨げ
ないように透明樹脂で形成されている。（ｂ）は、飛沫
防止キャップ４８の先端部４８ａをテーパ状に絞ってお
り、視界確保の点でより好適である。

【００３１】図１３は第９の実施例を示す。排液吸引用
カテーテル３を固定した外套管５０に対してウォーター
ジェットカテーテル２を着脱自在に挿通したものであ
る。外套管５０の基端部には挿入部５０ａよりも大径に
形成した嵌合部５０ｂが設けられ、この開口部５０ｂに
はウォータージェットカテーテル２の基端部５１が嵌合
されている。

【００３２】ウォータージェットカテーテル２の基端部
５１の外周面には環状溝５２が設けられ、この環状溝５
２には外套管５０とウォータージェットカテーテル２と
の間を気密に保ち、気腹ガスが漏れないようにシールす
るシールリング５３が嵌着されている。さらに、ウォー
タージェットカテーテル２の基端部５１の外周面にはテ
ーパ穴５４が設けられ、このテーパ穴５４には前記外套
管５０の嵌合部５０ｂの外周壁からねじ込まれた固定ね
じ５５が係合され、使用中に外套管５０からウォーター
ジェットカテーテル２が外れないように固定している。

【００３３】前記排液吸引用カテーテル３の先端部はそ
の端面に丸みを付けて臓器に接しても臓器に傷を付けな
いように形成されているとともに、基端部には吸引用チ
ューブ５６が接続されている。また、ウォータージェッ
トカテーテル２の基端部５１には着脱コネクター５７を
介して高耐圧チューブ５８が接続されている。

【００３４】したがって、第１の実施例と同様の効果が
得られる。さらに、固定ねじ５５を緩めることにより、
外套管５０からウォータージェットカテーテル２を外す
ことができ、外套管５０の内部の排液吸引用カテーテル
３の内部を洗浄することにより、組織の細片等を残らず
洗い落とすことができ、より衛生的である。また、ウォ
ータージェットカテーテル２が破損した場合、全体を交
換することなく、外套管５０、排液吸引用カテーテル３
は再利用できるので経済的である。

【００３５】図１４は第１０の実施例を示す。基本的に
は第９の実施例と同一であり、同一構成部分は同一番号
を付して説明を省略する。外套管５０に対してウォータ
ージェットカテーテル２が偏心した状態で着脱自在に挿
通されている。

【００３６】したがって、外套管５０の内部はウォータ
ージェットカテーテル２によって噴射用通路５９ａと吸
引用通路５９ｂとに区画されており、吸引用通路５９ｂ
は外套管５０の嵌合部５０ｂに接続された排液吸引パイ
プ６０を介して吸引用チューブ５６が接続されている。

【００３７】このように構成することによって、したが
って、第９の実施例と同様の効果が得られる。さらに、
ラパロスコピックに使用する場合、外套管５０は振り子
運動するので、外套管５０とウォータージェットカテー
テル２が同心的に嵌合していると吸引用通路５９ｂの一
部が水面上に露出して吸引圧が下がってしまうという問
題があるが、外套管５０に対してウォータージェットカ
テーテル２を偏心することによって吸引圧の低下を防止
できる。

【００３８】

【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、ウォータージェットカテーテルから高圧流体を送っ
て生体組織の術部に噴射する一方、術部に噴射された流
体やその周辺の流体はウォータージェットカテーテルと
は別体の排液吸引用カテーテルの吸引口から吸引されて
排出されるため、吸引された排液がジェット噴流と衝突
するのを防止できる。また、吸引時の陰圧がジェット噴
流に影響するのを防ぎ、噴射圧力が落ちることなく、噴
流によって目的部位を確実、かつ迅速に手術できるとい
う効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の第１の実施例に係わるウォータージ
ェット手術装置の分解斜視図。

【図２】同実施例のウォータージェット手術装置の平面
図。

【図３】同実施例の制御装置の構成図。

【図４】同実施例の使用状態の斜視図。

【図５】この発明の第２の実施例のウォータージェット
手術装置の先端部の平面図および斜視図。

【図６】この発明の第３の実施例の制御装置の構成図。

【図７】この発明の第４の実施例のウォータージェット
カテーテルの先端部の側面図。

【図８】同実施例の使用状態の斜視図。

【図９】この発明の第５の実施例のウォータージェット
手術装置の先端部の斜視図。

【図１０】この発明の第６の実施例のウォータージェッ
ト手術装置の先端部の斜視図および内視鏡の視野を示す
図。

【図１１】この発明の第７の実施例のウォータージェッ
ト手術装置の先端部の斜視図。

【図１２】この発明の第８の実施例のウォータージェッ
ト手術装置の先端部の斜視図。

【図１３】この発明の第９の実施例のウォータージェッ
ト手術装置を示し、（ａ）は縦断側面図、（ｂ）は正面
図。

【図１４】この発明の第１０の実施例のウォータージェ
ット手術装置を示し、（ａ）は縦断側面図、（ｂ）は正
面図。

【符号の説明】

１…ウォータージェット手術装置、２…ウォータージェ
ットカテーテル、３…排液吸引用カテーテル、５…流
路、６…噴射ノズル、７…吸引口。

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【手続補正書】

【提出日】平成４年５月７日

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】００３１

【補正方法】変更

【補正内容】

【００３１】図１３は第９の実施例を示す。排液吸引用
カテーテル３を固定した外套管５０に対してウォーター
ジェットカテーテル２を着脱自在に挿通したものであ
る。外套管５０の基端部には挿入部５０ａよりも大径に
形成した嵌合部５０ｂが設けられ、この嵌合部５０ｂに
はウォータージェットカテーテル２の基端部５１が嵌合
されている。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 高圧流体を通す流路を備え先端部に噴射
   ノズルを有したウォータージェットカテーテルと、この
   ウォータージェットカテーテルとは別体で並設され先端
   部に吸引口を有するとともに、この吸引口を前記噴射ノ
   ズルと同位置かもしくは前方に位置させた排液吸引用カ
   テーテルとを具備したことを特徴とするウォータージェ
   ット手術装置。