JPH05245780A - 脚式移動ロボットの制御装置 - Google Patents
脚式移動ロボットの制御装置Info
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Abstract
いて、関節角サーボ系を備えると共に、予め設定した歩
行パターンの目標角度と実際の角度との偏差を絶対角度
で求め、それから第2の操作量を演算してサーボ系操作
量に加算する。 【効果】 歩行パターンが予期しない凹凸路面に遭遇し
たときも転倒することなく、安定した姿勢を保持でき
る。
Description
御装置に関し、特に2足歩行の移動ロボットにおいて予
期しない凹凸がある路面でも安定して歩行できる様にし
たものに関する。
ンクとからなり、その2本の脚部リンクを交互に前方に
振り出して着地させつつ歩行する人間型の2足歩行ロボ
ットの場合、一般には平坦路を前提とする歩行パターン
を予め設計しておき、それを関節角軌道に変換してその
軌道に遅れなく追従する様にロボットの関節角を制御し
て歩行を実現している。既知の階段、斜面についても同
様である。その例としては、例えば特開昭62─970
06号公報記載の技術を挙げることができる。
法では路面に予期しない未知の凹凸がある場合、支持脚
の足平(足部)の角度が、既知の路面を歩行するときの
様に一定しないため、既知の路面を前提に設計した歩行
パターンに従っては安定して歩行することができない場
合が生じ、甚だしい場合には転倒してしまう。そこで未
知の凹凸がある路面でも倒れずに安定して歩行させる手
法の一つとして、歩行パターンで足平から上の姿勢を設
計しておき、それに実際の姿勢を追従制御させることが
考えられる。即ち、ロボットの関節角を制御するのでは
なく、支持脚の足平から上の各リンクの絶対角、換言す
ればロボットの重力方向に対する姿勢を制御することが
考えられる。何故ならば、支持脚の足平がどのような角
度であろうとも、それから上の姿勢が目標姿勢(倒れな
い姿勢)であれば、安定した歩行を確保することができ
るからである。その考え方を利用したものを本出願人は
先に、特願平2─259839号(平成2年9月28日
出願)で提案している。
ロボットの運動を線形モデルで近似しているため、支持
脚の膝相当部位の関節が極端に動く歩行パターンや歩幅
が大きく線形性が損なわれる如き歩行パターンにおいて
も滑らかな歩行を実現するためには、マニピュレータで
一般的に行われている様に、非線形性を補償する必要が
あった。しかし、非線形性を補償するにはロボットの制
御装置に高速のコンピュータを搭載しなければならず、
その様な高速のコンピュータは大型で重量も大きくなる
ことから、その搭載は移動型のロボットにとって好まし
いものではない。
おいた歩行パターンに基づいてロボットの姿勢を制御し
つつ、前記した線形性を損なう様な歩行パターンについ
ても高速コンピュータを用いた非線形補償を行うことな
く滑らかな歩行を実現すると共に、予期せぬ凹凸に遭遇
しても常に安定した姿勢を確保することができる様にし
た脚式移動ロボットの制御装置を提供することにある。
ためにこの発明は例えば請求項1項に示す如く、脚式移
動ロボットの脚部リンクの各関節に配したサーボモータ
に所定の操作量を与え、各関節の角度を予め設定した目
標角度に追従制御する制御装置において、前記脚部リン
クの実角度と目標角度との偏差を重力方向に対する絶対
角度で検出する検出手段、及び検出した偏差に応じ、そ
れを補正すべく第2の操作量を演算する演算手段、とを
備え、前記制御装置は、前記所定の操作量に演算された
第2の操作量を加算して前記サーボモータに与える様に
構成した。
角度で求め、それに応じて第2の操作量を演算して関節
角サーボ系の操作量に足し込む様にしたので、凹凸のあ
る路面を歩行するときも常に安定した歩行を確保するこ
とができる。また平坦路を歩行するときも含めて常に滑
らかな姿勢制御を実現することができる。
ボットを例にとってこの発明の実施例を説明する。図1
はそのロボット1を全体的に示す説明スケルトン図であ
り、左右それぞれの脚部リンク2に6個の関節(軸)を
備える(理解の便宜のために各関節(軸)をそれを駆動
する電動モータで例示する)。該6個の関節(軸)は上
から順に、腰の脚部回旋用の関節(軸)10R,10L
(右側をR、左側をLとする。以下同じ)、腰のピッチ
方向(x方向)の関節(軸)12R,12L、同ロール
方向(y方向)の関節(軸)14R,14L、膝部のピ
ッチ方向の関節(軸)16R,16L、足首部のピッチ
方向の関節(軸)18R,18L、同ロール方向の関節
(軸)20R,20Lとなっており、その下部には足平
(足部)22R,22Lが取着されると共に、最上位に
は胴体部(基体)24が設けられ、その内部には制御ユ
ニット26が格納される。上記において股関節は関節
(軸)10R(L),12R(L),14R(L)から
構成され、また足関節は、関節(軸)18R(L),2
0R(L)から構成される。また、股関節と膝関節との
間は大腿リンク28R,28Lで、膝関節と足関節との
間は下腿リンク30R,30Lで連結される。
それぞれ6つの自由度を与えられ、歩行中にこれらの6
×2=12個の関節(軸)をそれぞれ適宜な角度に駆動
することで、足全体に所望の動きを与えることができ、
任意に3次元空間を歩行することができる様に構成され
る。先に述べた様に、上記した関節は電動モータからな
り、更にはその出力を倍力する減速機などを備えるが、
その詳細は先に本出願人が別途提案した出願(特願平1
−324218号、特開平3−184782号)などに
述べられており、それ自体はこの発明の要旨とするとこ
ろではないので、これ以上の説明は省略する。
足首部には公知の6軸力センサ36が設けられ、足平を
介してロボットに伝達されるx,y,z方向の力成分F
x,Fy,Fzとその方向回りのモーメント成分Mx,
My,Mzとを測定し、足部の着地の有無と支持脚に加
わる力の大きさと方向とを検出する。また足平の四隅に
は公知の接地スイッチ38が設けられて、接地の有無を
検出する。更に、胴体部24の上部には、一対の傾斜セ
ンサ40,42が設置され、x−z平面内のz軸に対す
る傾きとその角速度、同様にy−z平面内のz軸に対す
る傾きとその角速度を検出する。また、各関節の電動モ
ータには、その回転量を検出するロータリエンコーダが
設けられる(図1において足関節の電動モータ用のもの
のみを示す)。これらセンサ36などの出力は前記した
胴体部24内の制御ユニット26に送られる。
ック図であり、マイクロ・コンピュータから構成され
る。そこにおいて傾斜センサ40,42などの出力はA
/D変換器50でデジタル値に変換され、その出力はバ
ス52を介してRAM54に送られる。また各電動モー
タに隣接して配置されるエンコーダの出力は可逆カウン
タ56を介してRAM54内に入力されると共に、接地
スイッチ38等の出力は波形整形回路62を経て同様に
RAM54内に格納される。制御ユニット内には演算装
置64が設けられており、ROM66に格納されている
歩行パターンを読み込んで可逆カウンタ60から送出さ
れる実測値との偏差から電動モータの速度指令値を算出
し、D/A変換器68を介してサーボアンプに送出す
る。また図示の如く、エンコーダ出力はF/V変換回路
を介してサーボアンプに送出されており、図3に示す様
にマイナーループとしての速度フィードバック制御が実
現されている。
公知の関節角サーボ系を構成した場合を示すブロック図
である。予めオフラインで設計しておいた平坦路を前提
とする歩行パターンを12個の関節の角度qr、角速度
qrドットの時系列データ、即ち、関節軌道に変換し、
それを各関節のサーボアンプに指令値として一定間隔で
出力する。その結果、各関節角は指令値通りにほとんど
遅れなく追従し、ロボット1は設計された歩行パターン
通りに駆動されて歩行する。これによって平坦路は支障
なく歩行するが、予期しない凹凸路面に遭遇したときは
先に述べた如く、支持脚の足平の角度が一定ではないこ
とから、必ずしも安定した歩行を確保することはできな
い。
に、図3に示した関節角サーボ系に、後で述べる操作量
uを加えて凹凸路面に対する安定化を試みた。以下、こ
の操作量uの算出とそれによる歩行安定化について説明
する。
ット1について数式モデルを作成する。その際に次に示
す仮定を設ける。 〔仮定1〕ロボット1の前後方向の運動と左右方向の運
動とは相互干渉が安定化制御により十分小さく、分離す
ることができる。(図5に前後方向の、図6に左右方向
の運動を示す。) 〔仮定2〕2本の脚部リンクのうちのどちらかの足平2
2は、路面に完全に接地しているものとする。また、足
平が完全に路面に接地している方の脚を支持脚とする。 〔仮定3〕支持脚の足平は、路面に対して動かない(滑
らない)ものとする。(一般に歩行パターンは、片足支
持期において支持脚の足平が路面に対して動かない様に
設計する。例えば、いわゆるZMP(zero moment poin
t)の概念を用いて、足平が路面から離れない様にZMP
の軌道を決めて設計される。また倒立振り子の概念を用
いた歩行パターンにおいても、足首回りで回転する場合
には足平は物理的に路面から離れない。滑りに対して
は、足裏にゴムを貼るなど適宜処理することにより滑ら
ない様にすることは可能である。)
の運動方程式は、数1の様に表すことができる。数1の
式から明らかな様に、仮定3が成り立てば、ロボット1
の運動は足平の角度に無関係である。
関節角サーボ系を備えることから、各関節(符号iで代
表させる)の発生トルク(図3中のモータ発生トルク)
は、関節角qiと関節角指令値qirとから数2に示す
式を用いて計算される。(尚、数2の式中のkp,k
d,fvは、図3中のkp,kdにkv,kc,ktを
それぞれ含む値の意味で使用する。)
リンク角θiとの関係は数3で表すことができる。尚、
この明細書において、「関節角」または「q」はリンク
間の角度(即ち、相対角度)を、「リンク角」または
「θ」は重力方向に対する(絶対座標における)リンク
の角度(即ち、絶対角度)を意味するものとして使用す
る。
してまとめると、数4に示す様になる。
ち、足平角度θ0の実際値と目標値とによって生じる値
は数5の様に示すことができる。
理すると、数6の如くになる。
るロボットの運動方程式となる。数1の式では運動を制
御する操作量は関節トルクTであるが、数6の式におい
ては目標姿勢Θr(絶対角度),Θrドット(絶対角速
度)となる。また数1の式では足平角度θ0(絶対角
度)の項が式の上に表れないが、数6の式では表れてく
る。このため、関節角サーボ系で予期しない凹凸路を歩
行させると足平角度θ0がランダムに変動し、数6の式
の運動を乱す外乱となり歩行が不安定となる。よって、
歩行可能な目標姿勢、即ち、歩行パターンは、仮定3よ
り路面の形状を既知としてのみ設計することができる。
ここで、平坦路の歩行を考えると、足平角度は零である
ことから、数7に示す様になる。
の歩行パターンとなる。このとき、ロボットの運動方程
式(数6の式)は、数8で表すことができる。
な値に設定すると目標関節軌道に実際の関節軌道がほと
んど遅れなく追従するので、数9で示す通りとなる。即
ち、数10で示す様になる。
式が成り立つ。
知の凹凸が存在する場合を考えると、足平角度θ0が零
ではなくて不明なため、歩行可能な歩行パターンを作成
するのが困難である。そこで路面の凹凸が十分小さいと
し(段差、階段などの大きい凹凸は前記したロボット1
に視覚手段を設ければ検知し易い)、平坦路の歩行パタ
ーンΘrを用いると(即ち、外乱d(θr,θ0)=
0)、凹凸による姿勢のズレ(偏差)をΔΘとすると
き、ロボットの姿勢Θは数12の様に表すことができ
る。
の式の関節トルクに補正量Uを数13で示す式の様に導
入する。
即ち(θ0r,θ0=0)の状態における関節角サーボ
系による発生トルクに補正量Uを加えた形になっている
ことが分かる。
る。数12,数13の式をロボットの運動方程式である
数1の式に代入すると、数14の式となる。即ち、平坦
路歩行パターンΘrとズレΔΘで表した運動方程式とな
る。
Θも十分小さくなることから、数15の式の様に変形す
ることができる。
ると、数16の式となる。
る数11に示した式より、数16の式は近似的に数17
に示す様になる。
いこと、X(Θr)は値が小さいこと、関節角サーボの
ゲインFp,Fvの値が大きいことから、数18に示す
様な大小関係が成り立つ。
とができる。
レΔΘに対する運動方程式を表し、安定化のための補正
量UはそのズレΔΘの運動を制御する操作量となってい
る。よって、ズレΔΘを零にする操作量Uを導き出せ
ば、凹凸のある路面であってもロボットの姿勢は平坦路
の歩行パターンに収束するため、安定して歩行すること
になる。
について説明する。ここで操作量Uを数20の様に表し
てみる。ここで、ΔFは遊脚に作用する外力の変動分で
あるが、これは前記した6軸力センサ36から検出する
ことができる。
21の如くとなる。
ば、数21の式はズレΔΘに関する線形方程式となり、
また最適に制御値を決定することができる。ただし、外
力変動分ΔFが十分小さく、数21の式において外乱と
みなすことができるならば、ΔF≒0とし、数20の式
の第2項を計算することなく以下の操作量Uθを算出す
ることによっても、ある程度の安定化は可能である。こ
れは例えば、片足支持期では遊脚に外力が作用しないた
めΔF≒0とできる様な場合である。
する。
るから、いわゆる状態方程式表現を用いて数22の様に
表すことができる。
23の式に示す2次形式の評価関数Jを最小にするuは
数24の様に表現することができる。
式から明らかな様に、できるだけ少ない操作量uで状態
変数xをできるだけ小さくすることである。即ち、路面
の凹凸によるズレΔΘをできるだけ小さくすることにな
る。よって、数24の式から補正量(操作量)uを計算
することにより、安定な歩行が実現できることになる。
Bのモデル化誤差を外乱dと考えると、数22に示した
式は、数25の様に表すことができる。
26に示す2次形式の評価関数Jを最小にするuは数2
7の様に計算することができる。
な歩行を実現する補正量(操作量)uの算出手法であ
る。
x,Kiとロボットの状態量xとを求める必要がある
が、ゲインKx,Kiは、周知の如く、最適レギュレー
タ理論によりリカッチ方程式を解くことで求められる。
また状態量xはリンクの角度と角速度であるが、これは
ロボットの胴体部24に取りつけた傾斜センサ40,4
2と各関節に配置したロータリエンコーダにより求める
ことができる。よって、例えば前後方向の運動の場合、
数3の式は数28の様に書くことができる。
は傾斜センサ40,42で検出できることから、この検
出値をψとすると、関節角qiを用いれば、数28の式
より数29の式が成り立つ。
ができる。
で数31の様に表すことができる。
た変換式を用いて数32の様に表すことができる。
斜角と関節角のズレから算出することを示している。こ
こで、マトリックスEの構成要素を見ると、傾斜角と傾
斜角速度の列に1の要素が多いことや、関節角のズレは
サーボ系の偏差と等価であり、サーボ系はこの偏差を小
さくする様に作用することなどを考えると、操作量uは
胴体部24の傾斜角と傾斜角速度のみから簡便に算出す
る数33の式を考えることができる。
れらから数33で操作量uを算出した場合でも、この制
御系は安定となり、制御系の応答性を決める固有値も数
32の式を用いる場合とほとんど変わらないことが確認
できた。即ち、図7から図9はロボットを片足支持状態
にして支持脚の足首関節角を3度前方にステップ状に変
化させたときの各リンク角の応答を示す実験データであ
り、うち図7は関節角サーボのみの場合を、図8は数3
3の式による安定化制御の場合を、図9は数32の式に
よる安定化制御の場合を示す。また図10と図11は左
右方向に同様に3度傾けた場合の実験データを示してお
り、うち図10が関節角制御のみの場合を、図11が数
32の式による安定化制御の場合を示す。この実験結果
から明らかな様に、数32の式による場合と数33の式
による場合とで応答に余り差が見られなかった。またい
ずれの式によるにせよ、この安定化制御を行うことでロ
ボットは転倒することはなかったが、関節角サーボのみ
の場合には勢い余って転倒することが確認された。
式も全く同様に簡略化することができる。
ロー・チャートを参照して制御値の決定を説明する。
尚、これらのフロー・チャートは、図15に示す歩行の
状態遷移図において、右足から歩行を始めて3歩目から
定常歩行に移行し、左足で終わる場合を想定し、それら
に沿って経時的に片足支持期、コンプライアンス制御期
(遊脚着地時の)、両足支持期とに分けて記載したもの
である。
ロー・チャートであり、先ずS10において関節角指令
値qr,qrドットを読み込む。即ち、ロボット1の制
御ユニット26中のROM66には図4に示す様に、歩
行パターンとして各リンク角Θr(先に述べた様に絶対
角)が格納されており、それが経時的に関節角度qrと
角速度qrドット(共に相対角度)に座標変換され、S
10ではその変換された値(時刻tにおける)を、12
個の関節のうち最初の関節について読み出す。
際の角度qを入力し、S14に進んで図示の式から関節
角サーボ系の操作量を算出する。これは具体的には前記
したサーボモータの速度指令値の形で算出される。次い
でS16において傾斜角ψ、傾斜角速度ψドットを入力
し、S18において実際角度qと目標角度qrとから関
節角偏差Δqを算出し、S20において数32あるいは
数33の式のいずれかを用いて補正量uを算出する
(尚、数33の式を用いるときはS18はジャンプす
る)。この補正量uもサーボモータの速度指令値の形で
算出される。続いてS22においてS14で算出した値
にS20で算出した値を加算し、その値をサーボアンプ
に出力する。続いて、S24で遊脚が着地したと判断さ
れるまで、次の関節について同様に制御値を決定し、1
2の関節について制御値を決定し終わると、次の時刻t
+1について同様の作業を繰り返す。尚、遊脚の着地は
前記した着地スイッチ38から検出する。
においてサーボアンプに出力するに際し、関節に優先順
位を設けたことである。即ち、関節の優先順位を、支持
脚の足関節18,20R(L)、支持足の膝関節16R
(L)、支持足の股関節10,12,14R(L)、遊
脚の股関節10,12,14L(R)、遊脚の膝関節1
6L(R)、遊脚の足関節18,20L(R)とし、そ
の順で操作量を加算する様にした。即ち、安定した姿勢
の保持に寄与することことが大きい関節を優先する様に
したものであり、この結果、時間的に余裕がないときに
は、例えば、支持脚の足関節と膝関節についてのみ操作
量uを加算することになる。言うまでもなく、時間的に
余裕があるときは、この順序で全ての関節に加算する。
地と判断されるときは図13フロー・チャートに従って
着地時のコンプライアンス制御に移行する。同図を参照
して説明すると、先ずS100からS104において同
様にサーボ制御値を算出した後、S106に進んで前記
した6軸力センサ36の出力から着地した遊脚に加わっ
た足首トルクを入力し、S108でコンプライアンス量
mを算出する。これはインピーダンス制御を速度分解制
御で実現した、いわゆる仮想的なコンプライアンス制御
手法を用いて行う。続いてS110においてサーボ制御
値vcと仮想コンプラアンス制御値mと補正量uとを加
算した値をサーボアンプに出力し、S112でコンプラ
イアンス制御が終了と判断されるまで、それぞれの関節
について経時的に繰り返す。尚、この終了判断は、着地
から所定時間が経過したか否かで判断する。またS11
0の補正量uの値は、図12フロー・チャートのS20
で算出した値を保存しておいて使用する。
でコンプライアンス制御終了と判断されたときは図14
フロー・チャートのS200からS214に従って両脚
支持期の制御値を決定するが、これはS210の補正量
Uの算出が数20の式から決定される点を除けば、図1
2フロー・チャートと同様である。尚、ここで数20に
示した式を用いて精緻に操作量を算出する様にしたが、
ΔFを外乱と考えれば数32または数33から算出して
も良く、逆に遊脚に外力が作用するときは、図12フロ
ー・チャートのS20において数20を含めた式の中か
ら算出しても良い。
定について付言すると、先に数23に示した式の評価関
数Jを前後方向の運動の場合に具体的に表すと、一般的
には数34の様になる。
量uiの重み付き自乗和を表している。最適レギュレー
タ理論によれば、重みの大きい項の姿勢のズレは重みの
小さい項のそれよりも小さい値になる様にフィードバッ
クゲインが算出される。よって、重みの付けかたで違っ
たフィードバックゲインが算出され、姿勢のズレの修正
の時間応答が相違してくる。最適レギュレータ理論で
は、この重みの付けかたに関する定まった選定法がな
い。一般にはシミュレーションや実験により選定する。
徴を考慮して重みQ,Rを選定する様にした。それに関
して階段を昇降するときの様に遊脚の着地位置を正確に
制御したい場合を例にとって説明する。
(x,y)にズレΔx,Δyが生じた場合を考える。こ
れらは数35から数38の様に示すことができる。
(x,y)からのズレΔx,Δyの位置上のズレΔp
は、数39の様に自乗和で表すことができる。
らのズレΔp2 は、各リンクの姿勢ズレΔθiにかかる
係数に比例している。即ち、その係数が大きい順に姿勢
ズレΔθiを小さくすれば、位置ズレΔp2 を効率的に
小さくすることができる。一方、評価関数Jは重みの大
きい姿勢ズレΔθiほど小さくすることができる。よっ
て、評価関数Jを数40の式の様に選ぶことによって最
適に足先位置のズレを修正することができる。即ち、所
定の位置に正確に着地させたいときなどは、全てのリン
ク角についての重みを等しくするのではなく、足先位置
のズレに対する寄与度に応じて重みを変えることとす
る。例えば、数34において、Δθ1の変動を小さくし
たいときは重みq1を大きくし、アクチュエータの最大
発生トルクを考慮し、u2の発生トルクを大きくしたい
ときはr2を小さくすれば良い。この様に、安定化制御
とは別に、重みQ,Rの大きさを最適に制御したい位置
(ここでは関節角度位置などの関節座標系での位置では
ない、作業座標系での位置)に応じて変えることによ
り、例えば足先の位置を最適(効果的)に制御すること
が可能となる。尚、この選定手法は、足先位置のみなら
ず、重心位置など他の部位の位置にも適用可能である。
を備えた2足歩行の脚式移動ロボットの制御装置におい
て、予め設定した歩行パターンの目標角度と実際の角度
との偏差を絶対角度で求め、それに応じて操作量uを求
めてサーボ操作量に足し込む様に構成したので、歩行パ
ターンが予期しない凹凸路面を歩行するときも常に安定
した姿勢を保持することができ、また線形性を損なう様
な歩行パターンに対しても高速なコンピュータを用いて
非線形補償する必要がなく、常に滑らかな歩行を実現す
ることができる。また操作量uの算出に際しても、遊脚
に作用する外力の変動分に応じて精緻に決定する手法に
加えて、胴体部の傾斜角度と傾斜角速度とから簡便に算
出する様にも構成したので、その簡便に算出する手法に
よるときは簡易に算出することができる。
ク図であり、第1実施例の図4と同様に安定化制御系を
表すものである。この例は、前記したゲインKx,ある
いはKq,Kψに周波数特性を持たせたものである。即
ち、第1実施例においては、図18に示す様に、ゲイン
を周波数に対しては一定値に固定したのに対し、図19
に示す如く、周波数に応じて低減する様に構成した。
きに備え、ゲインを上げておいて系の反応を早め、外乱
に対する安定性を向上させる必要がある。しかし、ゲイ
ンを大きくしてリンクの応答性を上げると、高周波の振
動が各リンクに生じ、更にゲインを上げていくと、その
高周波の振動がフィードバックループ内で増幅され、発
振を生じてしまう。これは、前記した数1の式で表され
る数学モデルは剛性モデルの様な低周波領域でのみ成立
するものであり、リンクの柔らかさ、ガタ、撓み等の影
響が現れる高周波領域の状態を正確に表現し得ていない
ためである。しかしながら、高周波領域まで含めた状態
を正確に数学モデルで表現するのは極めて困難であり、
仮に表現できたとしても非常に複雑なモデルとなり、大
容量で高価なコンピュータが必要となって実現が殆ど不
可能となる。
増幅することによるものであるから、この高周波信号を
減衰させれば良い。そこで、本実施例においてはフィー
ドバックゲインKx,あるいはKq,Kψに周波数特性
を持たせる如く構成した。即ち、図19に示した様に、
指令信号レベルの低周波領域では比較的ゲインを高く
し、リンクが弾性を示す高周波領域では低くする様にし
た。具体的には図17に示す様に、フィードバックルー
プ内に高周波遮断のフィルタを介挿する様にした。この
フィルタの状態方程式は数41の式で表すことができ、
Af,Bf,Cf を設計段階において適宜設定することによ
りカットオフ周波数を任意に決定することができる。
のS20、図14フロー・チャートのS210での補正
量u,Uの算出に当たり、運搬重量に応じカットオフ周
波数を可変とする。即ち、ロボットが物体を上体に取り
付けて運搬するときはロボットのメカニズムの固有周波
数が変化し、よって発振周波数も変化するからである。
尚、この調節はソフトウェア手法に依らずに、電気フィ
ルタを用いても良いことは言うまでもない。
タ)のフィードバックゲインを高周波域において小さく
設定する様に構成し、予め設定した歩行パターンの目標
角度と実際の角度との偏差を絶対角度で求め、それに応
じて求めた操作量uを足し込む様に構成したので、関節
リンクの弾性による発振が生じない限度において、フィ
ルタを付加しない場合より安定性を一層良く実現するこ
とができることに加えて、歩行パターンが予期しない凹
凸路面を歩行するときも常に安定した姿勢を保持するこ
とができ、また線形性を損なう様な歩行パターンに対し
ても高速なコンピュータを用いて非線形補償する必要が
なく、常に滑らかな歩行を実現することができる。また
操作量uの算出に際しても、遊脚に作用する外力の変動
分に応じて精緻に決定する手法に加えて、胴体部の傾斜
角度と傾斜角速度とから簡便に算出する様にも構成した
ので、その簡便に算出する手法によるときは簡易に算出
することができる。
は、図3において符号(イ)で示す個所に操作量uを加
算する様にしたが、同図に符号(ロ)あるいは(ハ)に
示す個所で加算しても良い。
を絶対角度で設計することとしたが、それに限られるも
のではなく、相対角度で設計しても良い。但し、その場
合に実際の角度は絶対角度で検出されることから、適宜
に座標変換して絶対角度を求める必要がある。
ボットについて説明したが、それに限られるものではな
く、1足ないしは3足以上の脚式移動ロボットにも妥当
するものである。
トの脚部リンクの各関節に配したサーボモータに所定の
操作量を与え、各関節の角度を予め設定した目標角度に
追従制御する制御装置において、前記脚部リンクの実角
度と目標角度との偏差を重力方向に対する絶対角度で検
出する検出手段、及び検出した偏差に応じ、それを補正
すべく第2の操作量を演算する演算手段とを備え、前記
制御装置は、前記所定の操作量に演算された第2の操作
量を加算して前記サーボモータに与える様に構成したの
で、予期せぬ凹凸がある路面を歩行するときも安定した
姿勢を常に保持することができ、また平坦路を歩行する
ときも含めて常に滑らかな姿勢制御を実現することがで
きる。
動ロボットが、基体と、それに連結される複数本の脚部
リンクとからなるものにおいて、前記演算手段は、該基
体の傾斜角及び/又は傾斜角速度から前記第2の操作量
を演算する様に構成したので、簡易に第2の操作量を演
算することができる。
動ロボットが、基体と、それに第1の関節を介して連結
される2本の脚部リンクとからなり、該脚部リンクがそ
の先端付近に第2の関節を備えると共に、該第2の関節
と前記第1の関節との間に第3の関節を備え、該2本の
脚部リンクで交互に自重を支持しつつ歩行する2足歩行
型のロボットであり、前記制御装置は、支持脚の第2関
節、支持脚の第3関節、支持脚の第1関節、遊脚の第1
関節、遊脚の第3関節、遊脚の第2関節の順に設けられ
た優先順位に少なくとも部分的に従って、前記所定の操
作量に第2の操作量を加算する様に構成したので、制御
に時間的な余裕がないときにおいても、有効に安定化制
御を実現することができる。
段は前記第2の操作量を状態方程式を用いて演算すると
共に、その状態フィードバックゲインを前記角度から決
定されるロボットの姿勢に応じて変える様に構成したの
で、安定化制御に加えて、着地位置などを最適制御する
ことができる。
動ロボットが、基体と、それに第1の関節を介して連結
され、その先端付近に第2の関節を備えた2本の脚部リ
ンクとからなり、該2本の脚部リンクで交互に自重を支
持しつつ歩行する2足歩行型のロボットであり、該第2
関節付近に遊脚に作用する外力を検出する手段を備え、
前記演算手段は、検出された外力に基づいて前記第2の
操作量を演算する様に構成したので、第2の操作量を精
緻に演算することができ、よって一層安定した姿勢を常
に実現することができる。
ック・ゲインに周波数特性を与える様に構成したので、
前記した効果に加えて、発振を抑止しつつ安定した高速
歩行を実現することができる。
周波数を可搬重量に応じて可変に構成したので、前記し
た効果に加えて、発振を抑制しつつ安定した高速歩行を
実現することができる。
全体的に示す概略図である。
る。
サーボ系を示すブロック線図である。
する第2の操作量を加算する状態を示すブロック図であ
る。
明図である。
明図である。
に、ロボットの支持脚の足首関節角を前後方向にステッ
プ状に3度傾けたときの応答性を示す実験データ図であ
る。
と同様の実験データ図である。
た第2の操作量を加算した場合の実験データ図である。
脚の足首関節角を左右方向にステップ状に3度傾けたと
きの応答性を示す実験データ図である。
2の操作量を加算した場合の実験データ図である。
トであって、片足支持期の制御値決定を示すフロー・チ
ャートである。
プライアンス制御期の制御値決定を示すフロー・チャー
トである。
制御値決定を示すフロー・チャートである。
る歩行の状態遷移図である。
価関数の重みの決定手法を説明する説明図である。
ブロック線図である。
特性を示す説明特性図である。
特性を示す説明特性図である。
ット) 2 脚部リンク 10R,10L 脚部回旋用の関節(軸) 12R,12L 股部のピッチ方向の関節(軸) 14R,14L 股部のロール方向の関節(軸) 16R,16L 膝部のピッチ方向の関節(軸) 18R,18L 足首部のピッチ方向の関節(軸) 20R,20L 足首部のロール方向の関節(軸) 22R,22L 足平(足部) 24 胴体部 26 制御ユニット 36 6軸力センサ 40,42 傾斜センサ
Claims (7)
- 【請求項1】 脚式移動ロボットの脚部リンクの各関節
に配したサーボモータに所定の操作量を与え、各関節の
角度を予め設定した目標角度に追従制御する制御装置に
おいて、 a.前記脚部リンクの実角度と目標角度との偏差を重力
方向に対する絶対角度で検出する検出手段、及び b.検出した偏差に応じ、それを補正すべく第2の操作
量を演算する演算手段、とを備え、前記制御装置は、前
記所定の操作量に演算された第2の操作量を加算した値
を前記サーボモータに与える様にしたことを特徴とする
脚式移動ロボットの制御装置。 - 【請求項2】 前記脚式移動ロボットが、基体と、それ
に連結される複数本の脚部リンクとからなるものにおい
て、前記演算手段は、該基体の傾斜角及び/又は傾斜角
速度から前記第2の操作量を演算することを特徴とする
請求項1項記載の脚式移動ロボットの制御装置。 - 【請求項3】 前記脚式移動ロボットが、基体と、それ
に第1の関節を介して連結される2本の脚部リンクとか
らなり、該脚部リンクがその先端付近に第2の関節を備
えると共に、該第2の関節と前記第1の関節との間に第
3の関節を備え、該2本の脚部リンクで交互に自重を支
持しつつ歩行する2足歩行型のロボットであり、前記制
御装置は、支持脚の第2関節、支持脚の第3関節、支持
脚の第1関節、遊脚の第1関節、遊脚の第3関節、遊脚
の第2関節の順に設けられた優先順位に少なくとも部分
的に従って、前記所定の操作量に第2の操作量を加算す
ることを特徴とする請求項1項または2項記載の脚式移
動ロボットの制御装置。 - 【請求項4】 前記演算手段は前記第2の操作量を状態
方程式を用いて演算すると共に、その状態フィードバッ
クゲインを、前記角度から決定されるロボットの姿勢に
応じて変えることを特徴とする請求項1項ないし3項の
いずれかに記載の脚式移動ロボットの制御装置。 - 【請求項5】 前記脚式移動ロボットが、基体と、それ
に第1の関節を介して連結され、その先端付近に第2の
関節を備えた2本の脚部リンクとからなり、該2本の脚
部リンクで交互に自重を支持しつつ歩行する2足歩行型
のロボットであり、該第2関節付近に遊脚に作用する外
力を検出する手段を備え、前記演算手段は、検出された
外力に基づいて前記第2の操作量を演算することを特徴
とする請求項1項記載の脚式移動ロボットの制御装置。 - 【請求項6】 前記所定の操作量の算出においてフィー
ドバック・ゲインをフィードバック信号の周波数特性に
応じて可変とし、所定周波数を基準としてそれを超える
帯域でのゲインをそれを下廻る帯域でのゲインより小さ
くしたことを特徴とする請求項1項乃至5項のいずれか
に記載の脚式移動ロボットの制御装置。 - 【請求項7】 前記所定周波数を可搬重量に応じて可変
とすることを特徴とする請求項6項記載の脚式移動ロボ
ットの制御装置。
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ID=13744725
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