JPH05237618A - 連続鋳造機の鋳型内湯面レベル制御装置 - Google Patents

連続鋳造機の鋳型内湯面レベル制御装置

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JPH05237618A
JPH05237618A JP4394892A JP4394892A JPH05237618A JP H05237618 A JPH05237618 A JP H05237618A JP 4394892 A JP4394892 A JP 4394892A JP 4394892 A JP4394892 A JP 4394892A JP H05237618 A JPH05237618 A JP H05237618A
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JP
Japan
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drawing speed
control system
molten metal
level
molten steel
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Withdrawn
Application number
JP4394892A
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English (en)
Inventor
Masakazu Itashiki
政和 板敷
Kyoichi Amo
協一 天羽
Kazuhiro Furukawa
和寛 古川
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Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、鋳片の引抜速度制御系を用い鋳型内
の溶鋼の湯面レベルを制御するに際し引抜速度をその変
化量の許容範囲内で常に設定値に戻すようにすることに
より、湯面レベルを精度よく制御できるとともに、開方
向動作時における湯面レベルの急上昇を抑制して安定し
た制御を実現することを目的とする。 【構成】そこで、鋳片6の引抜速度偏差に応じノズル開
度を制御することにより注湯量を制御する注湯量制御系
13と、湯面レベル偏差に応じ引抜速度を制御する引抜
速度制御系12とをそなえ、引抜速度制御系12を用い
湯面レベルLを制御するに際し、引抜速度変化傾向に基
づき注湯量制御系13を併用するとともに、注湯量制御
系13におけるノズル開度の開方向比例ゲインと閉方向
比例ゲインとを、開方向比例ゲインよりも閉方向比例ゲ
インを大きく別個に設定することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鋳型内の溶鋼の湯面レ
ベルを一定に保ちつつタンディッシュから鋳型内に注入
された溶鋼を、該鋳型から引き抜くことにより鋳片を製
造する連続鋳造機の鋳型内湯面レベル制御装置に関し、
特に鋳型の引抜速度制御系を主として用いて溶鋼の湯面
レベルを制御する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、連続鋳造機においては、鋳片の
表面疵や割れ等の発生や、操業上の支障を引き起こすブ
レークアウトの発生等を防止するために、鋳型内の溶鋼
の湯面レベルを、大きな変動をもたらすことなく一定に
保つことが極めて重要である。
【0003】このような従来の連続鋳造機2を図8に示
す。この連続鋳造機2では、タンディッシュ5のノズル
20からの溶鋼4が、鋳型3内に注入されて冷却された
後、引抜ロール8により鋳片6として鋳型3から引き抜
かれるようになっている。また、演算器25が、例え
ば、タンディッシュ5に設けられたストッパ10をアク
チュエータ15を介して駆動させることにより、鋳型3
に注入される溶鋼4の注湯量を調整し、これによってレ
ベル計9により検出される湯面レベルLを制御してい
る。
【0004】ところで、連続操業中に、ストッパ10や
ノズル20に固形物が付着したり、あるいは溶鋼4の物
性(特に粘性)が変化したりすることがある。そのため、
ストッパ10によるノズル20のノズル開度が同じ値の
場合であっても、例えば流量特性として表される、鋳型
3への実際の注湯量が変動することがあり、これによっ
て鋳型3内の湯面レベルLが変動することがあった。
【0005】一方、引抜ロール8の一つに配備された速
度計7により検出される鋳片6の引抜速度と、鋳型3か
らの溶鋼の払出量とは線形関係にあるので、上記流量特
性の変化とは無関係に、湯面レベルLを鋳片6の引抜速
度により一定に制御できることがよく知られている。
【0006】しかしながら、溶鋼4の鋼種によって、そ
れぞれに適した引抜速度の範囲がある。また、操業上の
生産効率を一定以上に保つためには上記引抜速度を極度
に遅くすることは不都合である。このような理由で、鋳
片6の引抜速度は、設定値から安全率を見込んだ所定幅
の許容範囲内での変化に規制されている。従って、従
来、鋳片6の引抜速度による湯面レベルLの制御は行な
われていなかった。
【0007】本発明者らは、常々、上述した引抜速度に
よる湯面レベル制御の優秀性に着目していた。そこで、
本発明者らは、ストッパ10によるノズル開度、即ち注
湯量により湯面レベルLを制御する従来からの注湯量制
御系と、鋳片6の引抜速度により湯面レベルLを制御す
る引抜速度制御系とを、湯面レベルLの目標に対する偏
差(湯面レベル偏差)の大小に応じて使い分けることを勘
案した。例えば、湯面レベル偏差が引抜速度をその許容
範囲内で変化させ得る程度に小さいとき、即ち定常時
に、引抜速度制御系を用いる一方、湯面レベル偏差が比
較的大きいときには、引抜速度制御系から注湯量制御系
に切り換え、この注湯量制御系を用いる方式を考えた。
これによって、操業時間の大半を占める定常時に湯面レ
ベル制御性の優れた引抜速度制御系が適用される利点を
得ることができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述したよ
うな注湯量制御系と引抜速度制御系とを切り換えて用い
た湯面レベルの制御方法においては、引抜速度制御系に
よって湯面レベル制御を行なっている間、ストッパ10
は停止しており、ノズル開度は固定されている。そのた
め、例えば、溶鋼4の流量特性の変化や、ゆっくりと一
方向(増加または減少方向)に変化する外乱の発生によっ
て、例えばタンディッシュ5から鋳型3へ溶鋼4が流れ
にくくなり、溶鋼4の注入量が変化する。
【0009】これにより、湯面レベルLを制御する鋳片
6の引抜速度の変化量は、図9に示すように、やがて上
記許容範囲の下限値(−10%)に達してしまうことがあ
った。その後、湯面レベルLがその目標値を中心とする
制御範囲を超えたとき、湯面レベルLの制御は引抜速度
制御系から注湯量制御系に切り換えられる。
【0010】このような注湯量制御系と引抜速度制御系
とを切り換えて用いる湯面レベル制御方式では、湯面レ
ベルLに大きな変動を生じさせないために、注湯量制御
系への切換回数をできるだけ少なくして引抜速度制御系
によって湯面レベルLを制御することが好ましい。ま
た、引抜速度の変化量は鋳片6の品質を一定に保つため
にもできるだけ小さい方が好ましい。
【0011】そこで、引抜速度制御系を用いて湯面レベ
ルLを制御するに際して、検出された鋳片6の引抜速度
の変化傾向に基づいて注湯量制御系を併用する制御方式
も提案されている。しかし、このような制御方式では、
注湯量制御系が補助となり、ストッパ10の動作頻度が
少ないため、アクチュエータ15とストッパ10との間
の機械的なガタおよびスティックスリップ等により、ス
トッパ10が開閉指令通りに動作せず非線形な挙動をし
てしまい、特にストッパ10を開方向に移動させる際に
指令以上に動作し、湯面レベルLが急上昇するおそれが
あった。
【0012】本発明は、このような課題を解決しようと
するもので、鋳片の引抜速度制御系を用いて鋳型内の溶
鋼の湯面レベルを制御するに際して引抜速度をその変化
量の許容範囲内で常に設定値に戻すようにすることによ
り、湯面レベルを精度よく制御できるとともに、開方向
動作時における湯面レベルの急上昇を抑制することによ
り安定した制御を実現した、連続鋳造機の鋳型内湯面レ
ベル制御装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の連続鋳造機の鋳型内湯面レベル制御装置
は、鋳型内の溶鋼の湯面レベルを一定に保ちつつタンデ
ィッシュから鋳型内に注入された溶鋼を、前記鋳型から
引き抜くことにより鋳片を製造するものにおいて、前記
鋳片の引抜速度の設定値からの偏差に応じて前記タンデ
ィッシュのノズル開度を制御することにより前記鋳型へ
の溶鋼の注湯量を制御する注湯量制御系と、前記湯面レ
ベルの目標値からの偏差に応じて前記引抜速度を制御す
る引抜速度制御系とをそなえ、前記引抜速度制御系を用
いて前記溶鋼の湯面レベルを制御するに際して、前記鋳
片の引抜速度の変化傾向に基づいて前記注湯量制御系を
併用するとともに、前記注湯量制御系における、前記ノ
ズル開度を開方向へ制御する場合の開方向比例ゲイン
と、前記ノズル開度を閉方向へ制御する場合の閉方向比
例ゲインとを、前記開方向比例ゲインよりも前記閉方向
比例ゲインを大きく別個に設定することを特徴としてい
る。
【0014】また、前記の開方向比例ゲインと閉方向比
例ゲインとを、前記湯面レベルの傾き,目標値からの偏
差に応じて可変としてもよい(請求項2)。
【0015】
【作用】上述した本発明の連続鋳造機の鋳型内湯面レベ
ル制御装置(請求項1)では、引抜速度制御系を主として
用いて溶鋼の湯面レベルが制御されるが、このとき、引
抜速度の変化傾向が、例えば溶鋼が鋳型へ流れにくくな
ったことによる経時的な低下傾向であった場合、注湯量
制御系が併用されて湯面レベル制御が行なわれる。従っ
て、上述のような鋳型への溶鋼の流れにくさが解消さ
れ、これによりこれまで低下傾向にあった引抜速度がそ
の設定値に向けて戻される。さらに、注湯量制御系にお
いて、開方向比例ゲインが閉方向比例ゲインよりも小さ
く設定されているため、ノズル開度を開く際の指令値が
小さめに演算され、ノズル開度調整時の非線形動作に伴
う湯面レベルの急上昇を抑制することができる。
【0016】また、開方向比例ゲイン,閉方向比例ゲイ
ンを、湯面レベルの傾き,目標値からの偏差に応じて可
変とすることにより(請求項2)、湯面レベルの状態に応
じたゲイン設定を行なうことができる。
【0017】
【実施例】以下、図面により本発明の一実施例としての
連続鋳造機の鋳型内湯面レベル制御装置について説明す
ると、図1はその概略構成図、図2はその制御系統を示
す制御ブロック図、図3はその第4制御器が具備するニ
ューラルネットワークの概念上の構成を示す概念図、図
4は該ニューラルネットワークの学習に用いられる複数
の学習用の入力データと教師データとをそれぞれ対で示
す説明図、図5は学習済のニューラルネットワークに入
力される制御時の複数の入力データとそのときの出力を
それぞれ対で示す説明図、図6はその制御器切換装置に
格納されたルールテーブルを示す図、図7はその引抜速
度制御を用いて溶鋼の湯面レベルを制御するに際して注
湯量制御系を間欠的に併用した場合の湯面レベルと引抜
速度変化量とを示すグラフである。なお、図8に示した
連続鋳造機2と共通する構成要素には、同一の符号を使
用し、その詳細な説明は省略する。
【0018】本実施例に係る連続鋳造機2の鋳型内湯面
レベル制御装置1は、図1および図2に示すごとく、鋳
型3内に注入された溶鋼4の湯面レベルLを引抜速度制
御系を用いて制御するに際して、鋳片6の引抜速度の変
化傾向を検出し、その変化傾向に基づいて注湯量制御系
を併用させる協調制御装置11を主としてそなえて構成
されている。
【0019】この協調制御装置11は、第1制御器2
2,第2制御器(引抜速度制御系)12,第3制御器2
3,第4制御器(注湯量制御系)13および制御器切換装
置14から構成されている。
【0020】ここで、第1制御器22は、速度計7によ
り検出された鋳片6の引抜速度Vの設定値V0からの速
度偏差dVを入力として、鋳片6の引抜速度補正量ΔV
1を演算し出力するものであり、第2制御器12は、レ
ベル計9により検出された鋳型3内の溶鋼の湯面レベル
Lの目標値L0からの湯面レベル偏差dLを入力とし
て、鋳片6の引抜速度補正量ΔV2を演算し出力するも
のである。
【0021】また、第3制御器23は、レベル計9によ
り検出された鋳型3内の溶鋼の湯面レベルLの目標値L
0からの湯面レベル偏差dLを入力として、ストッパ1
0によるノズル20のノズル開度(以下、ストッパ開度
という)の補正量(ストッパ開度補正量)ΔS1を演算し出
力するものであり、第4制御器14は、速度計7により
検出された鋳片6の引抜速度Vの設定値V0からの速度
偏差dVを入力として、ストッパ開度の補正量ΔS2
演算し出力するものである。
【0022】本実施例では、注湯量制御系である第4制
御器14における、ストッパ開度を開方向へ制御する場
合の開方向比例ゲインK1と、ストッパ開度を閉方向へ
制御する場合の閉方向比例ゲインK2とは、開方向比例
ゲインK1よりも閉方向比例ゲインK2を大きく別個に設
定されている。例えば、開方向比例ゲインK1=1に対
して閉方向比例ゲインK2=2と固定的に設定してもよ
いし、湯面レベルの傾き>mかつ|dL|>eの場合に
2=k・K1と設定してもよいし(m,e,kは正の定
数でk>1)、前式における定数kを湯面レベルの傾き
や偏差dLの大きさにより可変としてもよい。
【0023】さらに、制御器切換装置14は、タンディ
ッシュ5近傍に設けられた重量計により検出されたタン
ディッシュ重量Tdと、速度計7からの引抜速度Vと、
レベル計9からの湯面レベルLとに基づいて、連続鋳造
機2の操業状態を判断し、判断された操業状態に応じて
第1〜第4制御器22,12,23,13を選択し、湯
面レベルLの制御系を切り換えるものである。
【0024】ここで、連続鋳造機2の操業状態として
は、以下の4つの操業状態A〜Dに大別することができ
る。例えば、A:鋳造開始時の操業状態,B:定常時の
操業状態,C:突発的で大きな外乱が印加されたときの
操業状態,D:鋳造終了前の操業状態が挙げられる。さ
らに大きく分けると、定常時の操業状態Bと非定常時の
操業状態A,C,Dとに分けることができる。
【0025】定常時の操業状態Bにおいては、速度型P
I制御器からなる第2制御器12が主として用いられ、
非定常時の操業状態A,C,Dにおいては、同じく速度
型PI制御器からなる第3制御器23が主として用いら
れるようになっている。第1制御器22は、時定数より
大きな一次遅れの緩衝フィルタからなり、これによって
この第1制御器22による引抜速度Vの変化が湯面レベ
ルLの制御にできるだけ影響を与えないように引抜速度
Vを設定値V0にゆっくりと戻すようになっている。こ
の第1制御器22は非定常時に第3制御器23と併用さ
れる。この第1制御器22によって引抜速度Vを設定値
0に戻すことができ、第2制御器12を用いた引抜速
度による湯面レベルLの制御に移行させることができ
る。
【0026】第4制御器13は、定常時に引抜速度制御
系(第2制御器12)を用いて湯面レベルLを制御してい
る場合に、引抜速度がその許容範囲内にとどまれるよう
にストッパ10を引抜速度Vの変化傾向に基づいて制御
するようになっている。従って、第4制御器13には、
例えば引抜速度変化量が±10%の制限値に向かう変化
傾向を検出する機能と、この引抜速度Vの変化傾向に基
づいてストッパ10を駆動する機能とが必要である。引
抜速度Vの変化傾向を検出するためには、例えば、過去
100秒分の引抜速度Vの時系列データが用いられる。
この時系列データは、第4制御器13の図示せぬメモリ
に格納されている。定常時の湯面レベル制御では、引抜
速度制御が主体となっているため、このときの制御状態
に変化がなければ、ストッパ10は前回設定されたスト
ッパ開度のままで静止している。従って、静止中のスト
ッパ10を強制的に上下させることにより鋳型3への溶
鋼4の注入量を変更することができる。
【0027】このとき、前述したように、第4制御器1
3における開方向比例ゲインK1と閉方向比例ゲインK2
とは、開方向比例ゲインK1よりも閉方向比例ゲインK2
を大きく別個に設定されているため、第4制御器13を
引抜速度制御系と併用した際には、ストッパ開度を開く
際の指令値が小さめに演算され、ストッパ開度調整時の
非線形動作(アクチュエータ15とストッパ10との間
の機械的なガタおよびスティックスリップ等による非線
形挙動)に伴う湯面レベルLの急上昇を抑制することが
できる。
【0028】さて、上述したように、速度計7により検
出され格納された引抜速度Vの時系列データに基づい
て、ストッパ10の駆動量を決めるアルゴリズムとし
て、本実施例の第4制御器13では、図3に示すニュー
ラルネットワークが採用されている。このニューラルネ
ットワーク16は、プログラムとして前記メモリに格納
されている。なお、前記アルゴリズムとして引抜速度を
閾値で判断する方法や前記時系列データの回帰直線の傾
きで判断する方法をニューラルネットワーク16に変え
て用いることもできる。
【0029】ニューラルネットワーク16は、閾値処理
により入力データを演算し出力する複数のニューロン1
7が、入力層,中間層,出力層として概念上配置され、
それぞれの層間が連結部18介して連結されている。そ
して、ニューラルネットワーク16は、引抜速度Vの時
系列データのパターンデータを入力データとし、当該パ
ターンデータが出現したときに引抜速度Vを設定値V0
に戻すべく適切なストッパ10の駆動指令を出力データ
として用い、これら両者の対応関係が連結部18の連結
重みを変更することにより学習される。
【0030】ニューラルネットワーク16の学習に用い
た17個の時系列データのパターンを図4に示す。その
17パターンの入力データのそれぞれの右側に付記され
たされた記号は、ストッパ10を駆動するアクチュエー
タ15への望ましい出力の向きを表す教師データであっ
て、上向きの広幅矢印がストッパ開度の開指令であり、
下向きの広幅矢印がストッパ開度の閉指令であり、丸印
が0(ストッパ開度現状維持)である。本実施例では、上
述したような17個の入力データとそれぞれに対応した
教師データを用いてニューラルネットワーク16の学習
が行なわれ、最終的に決定された連結重みが前記メモリ
に格納される。
【0031】なお、丸付き数字で示す1〜13番目のよ
うな典型的なパターンである入力データについては、前
記閾値や回帰直線の傾きにより判断するアルゴリズムで
も表現することができるが、14番目以降の入力データ
を表現する場合、前記閾値等による方法ではそのアルゴ
リズムが複雑になる。また、様々なパターンの入力デー
タを新たに追加する場合も、アルゴリズムの設定作業が
煩雑である。これに対し、ニューラルネットワーク16
によれば、対応する学習データを新たに増やして再学習
を行なうだけで済む。
【0032】そこで、前記学習済のニューラルネットワ
ーク16に制御時の入力データを入力したときに出力層
のニューロン17から出力された出力データの例をそれ
ぞれ対として図5に示す。この図5において、入力デー
タは図4に示した入力データと同種のものであって、出
力データとして示す記号は図4に示した教師データの記
号と同じ内容である。この場合、7〜11番目のごとく
ノイズが重畳したパターンの入力データ,3〜6番目ま
たは16〜18番目のような急激に変化するパターンの
入力データ,あるいは12〜14番目のように一過性の
外乱を含むパターンの入力データといった学習されてい
ない入力データについてもストッパ10の駆動指令方向
を適切に出力することができる。従って、ニューラルネ
ットワーク16は、どのような状況下においても適切な
駆動指令を出力することが可能で、自動制御に適してい
るといえる。
【0033】そして、制御器切換装置14は、検出され
た湯面レベルL,引抜速度V,タンディッシュ重量Td
に基づいて、現在の連続鋳造機2の操業状態A〜Dを認
識するためのルールを図外の知識ベースに格納してい
る。そのルールの具体例を図6に示す。そこで、制御器
切換装置14は、これまでの旧操業状態,および湯面レ
ベル偏差dL,速度偏差dV,タンディッシュ重量Td
の変化傾向TDと条件部とが適合するルールを前記知識
ベースから検索して抽出し、当該抽出されたルールの結
論部の内容を実行する。例えば、図中に示すNo.4のル
ールは、旧操業状態がBであって、タンディッシュ重量
Tdの変化傾向TDが−1以下であるという切換条件を
満たせば新操業状態がDになったと判断し、湯面レベル
の制御を現在の第2および第4制御器12,13から第
1および第3制御器22,23に切り換えることを意味
する。但し、タンディッシュ重量Tdの変化傾向TD
は、重量計21により検出されたタンディッシュ重量T
dの時系列データの回帰直線の傾きにより求めた。な
お、前記ルール中における湯面レベル偏差dL,引抜速
度Vの速度偏差dV,タンディッシュ重量Tdの変化傾
向TDの単位はそれぞれmm,%,ton/秒である。
【0034】本実施例における連続鋳造機2の鋳型内湯
面レベル制御装置1は、上述のごとく構成されており、
以下に連続鋳造機2の各操業状態A〜Dにおける鋳型3
内の溶鋼4の湯面レベルLの制御動作について説明す
る。
【0035】まず、鋳造開始時(操業状態A)の湯面レベ
ルLの制御は、第1および第3制御器22,23が併用
され、フィードフォワード制御あるいは手動制御によっ
て行なわれる。例えば、鋳片6の引抜速度Vをその設定
値V0に向けて引き上げつつ溶鋼4の湯面レベル偏差d
Lを小さくするように前記併用制御が行なわれる。そし
て、制御器切換装置14は、引抜速度Vと湯面レベルL
とが所定の範囲内に入れば、操業状態が開始時(A)から
定常時(B)に移行したと判定して、制御器を第1および
第3制御器22,23から第2および第4制御器12,
13に切り換える。
【0036】この定常時(B)には、第2制御器12が、
レベル計9により検出された湯面レベルLの目標値L0
からの湯面レベル偏差dLに応じて鋳片6の引抜速度V
を所定の制御終期で制御することにより、湯面レベルL
の変動を抑える。一方、第4制御器13は、速度計7に
より検出された引抜速度Vの設定値V0からの速度偏差
dVに応じてストッパ10のストッパ開度を調整して鋳
型3への溶鋼4の注湯量を制御する。この第4制御器1
3による注湯量の制御は、鋳片6の引抜速度Vの時系列
データに基づいて前述したニューラルネットワーク16
により演算され出力されたストッパ駆動指令に従って制
御される。
【0037】さらに、本実施例の第4制御器13では、
そのニューラルネットワーク16からのストッパ駆動指
令に含まれるストッパ開度の駆動方向(開方向か閉方向
か)によって、前述のごとくゲインが変更される。つま
り、ストッパ開度を閉方向に駆動する際には、閉方向比
例ゲインK2が用いられる一方、ストッパ開度を開方向
に駆動する際には、閉方向比例ゲインK2よりも小さく
設定される開方向比例ゲインK1が用いられる。
【0038】これにより、ストッパ開度を開く際の指令
値が小さめに演算され、ストッパ開度調整時の非線形動
作(アクチュエータ15とストッパ10との間の機械的
なガタおよびスティックスリップ等による非線形挙動)
に伴う湯面レベルLの急上昇を確実に抑制でき、安定し
た制御を実現できる。
【0039】また、このとき、開方向比例ゲインK1
閉方向比例ゲインK2を、湯面レベルLの傾きや偏差d
Lに応じて可変とすることで、湯面レベルLの状態に応
じたゲイン設定を行なえ、より確実な制御実現できる。
【0040】上述したような定常時における第2および
第4制御器12,13の併用による湯面レベル制御の一
例として、図7に示すように、湯面レベル制御の一例と
して、図7に示すように、湯面レベルと、引抜速度補正
量と、ニューラルネットワーク16からの出力であって
ストッパ10を駆動するアクチュエータ(ステッピング
モータ)15へ出力される開パルス(上向き白抜き矢
印),閉パルス(下向き白抜き矢印)とを図中の出力時点
において示す。
【0041】この図7によれば、定常時に湯面レベルを
前記引抜速度によって制御しつつ、引抜速度の変化傾向
に基づいて適切かつ適時に溶鋼4の注湯量を制御するこ
とにより、上述したように溶鋼4の流量特性の変化に伴
って変動する引抜速度をその変化量の許容範囲内で常に
設定値に戻すように制御することができる。これによっ
て、湯面レベルの制御精度のよい引抜速度による制御を
長期間継続することができる。
【0042】なお、上記実施異例では、定常時に第2制
御器12を主として用い、ニューラルネットワーク16
の演算結果に基づいて第4制御器13を間欠的に併用し
たが、これは併用の一態様に過ぎず、例えば、第2制御
器12の引抜速度に係る制御ゲインを大きく設定する一
方、第4制御器13のストッパ開度に係る制御ゲインを
極めて小さく設定することによって、引抜速度制御系と
注湯量制御系とを常時併用してもよい。
【0043】より、上述したように溶鋼4の流量特性の
変化に伴って変動する引抜速度をその変化量の許容範囲
内で常に設定値に戻すように制御することができる。こ
れによって、湯面レベルの制御精度のよい引抜速度によ
る制御を長期間継続することができる。
【0044】なお、上記実施異例では、定常時に第2制
御器12を主として用い、ニューラルネットワーク16
の演算結果に基づいて第4制御器13を間欠的に併用し
たが、これは併用の一態様に過ぎず、例えば、第2制御
器12の引抜速度に係る制御ゲインを大きく設定する一
方、第4制御器13のストッパ開度に係る制御ゲインを
極めて小さく設定することによって、引抜速度制御系と
注湯量制御系とを常時併用してもよい。
【0045】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の連続鋳造
機の鋳型内湯面レベル制御装置(請求項1)によれば、比
較的制御精度のよい引抜速度制御系を用いて鋳型内湯面
レベルを制御するに際し、例えば、鋳型へ注入される溶
鋼の流動特性の変化に伴って引抜速度が変化する場合で
も、注湯量制御系の併用により、引抜速度をその変化量
の許容範囲内で常に設定値に向けて戻すことができ、引
抜速度制御系による精度のよい湯面レベル制御が継続さ
れる。このとき、併用される注湯量制御系において開方
向比例ゲインが閉方向比例ゲインよりも小さく設定され
ているため、ノズル開度を開く際の指令値が小さめに演
算され、ノズル開度調整時の非線形動作に伴う湯面レベ
ルの急上昇を抑制でき、安定した制御を実現できる利点
もある。
【0046】また、開方向比例ゲイン,閉方向比例ゲイ
ンを、湯面レベルの傾き,目標値からの偏差に応じて可
変とすることにより(請求項2)、湯面レベルの状態に応
じたゲイン設定を行なえ、より確実な制御実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例としての連続鋳造機の鋳型内
湯面レベル制御装置を示す概略構成図である。
【図2】本実施例の制御系統を示す制御ブロック図であ
る。
【図3】本実施例の第4制御器が具備するニューラルネ
ットワークの概念上の構成を示す概念図である。
【図4】本実施例のニューラルネットワークの学習に用
いられる複数の学習用の入力データと教師データとをそ
れぞれ対で示す説明図である。
【図5】本実施例における学習済のニューラルネットワ
ークに入力される制御時の複数の入力データとそのとき
の出力をそれぞれ対で示す説明図である。
【図6】本実施例の制御器切換装置に格納されたルール
テーブルを示す図である。
【図7】本実施例の引抜速度制御を用いて溶鋼の湯面レ
ベルを制御するに際して注湯量制御系を間欠的に併用し
た場合の湯面レベルと引抜速度変化量とを示すグラフで
ある。
【図8】一般的な連続鋳造機および従来の溶鋼の鋳型内
における湯面レベルを制御する溶鋼の注湯量制御系を示
す概略構成図である。
【図9】図8の連続鋳造機に引抜速度制御系からストッ
パ制御系に切り換えた場合の湯面レベルおよび引抜速度
変化量を示すグラフである。
【符号の説明】
1 鋳型内湯面レベル制御装置 2 連続鋳造機 3 鋳型 4 溶鋼 5 タンディッシュ 6 鋳片 7 速度計 8 駆動ロール 9 レベル計 10 ストッパ 11 協調制御装置 12 第2制御器(引抜速度制御系) 13 第3制御器(注湯量制御系) 14 制御器切換装置 16 ニューラルネットワーク L 湯面レベル

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋳型内の溶鋼の湯面レベルを一定に保ち
    つつタンディッシュから鋳型内に注入された溶鋼を、前
    記鋳型から引き抜くことにより鋳片を製造する連続鋳造
    機の鋳型内湯面レベル制御装置において、 前記鋳片の引抜速度の設定値からの偏差に応じて前記タ
    ンディッシュのノズル開度を制御することにより前記鋳
    型への溶鋼の注湯量を制御する注湯量制御系と、前記湯
    面レベルの目標値からの偏差に応じて前記引抜速度を制
    御する引抜速度制御系とがそなえられ、 前記引抜速度制御系を用いて前記溶鋼の湯面レベルを制
    御するに際して、前記鋳片の引抜速度の変化傾向に基づ
    いて前記注湯量制御系が併用されるとともに、 前記注湯量制御系における、前記ノズル開度を開方向へ
    制御する場合の開方向比例ゲインと、前記ノズル開度を
    閉方向へ制御する場合の閉方向比例ゲインとが、前記開
    方向比例ゲインよりも前記閉方向比例ゲインを大きく別
    個に設定されていることを特徴とする連続鋳造機の鋳型
    内湯面レベル制御装置。
  2. 【請求項2】 前記の開方向比例ゲインと閉方向比例ゲ
    インとが、前記湯面レベルの傾き,目標値からの偏差に
    応じて可変となっていることを特徴とする請求項1記載
    の連続鋳造機の鋳型内湯面レベル制御装置。
JP4394892A 1992-02-28 1992-02-28 連続鋳造機の鋳型内湯面レベル制御装置 Withdrawn JPH05237618A (ja)

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