JPH05193111A - 枚葉紙を搬送するためのドラム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 枚葉紙を搬送するドラムにおいて、枚葉紙の
後縁部を枚葉紙の中心線の範囲では搬送方向にかつ枚葉
紙の両方の側方縁部との間の範囲では異なる引っ張り方
向に緊張できるようにする。 【構成】 吸引部材１０の運動方向の延長線が放射線状
に１つの点３４で交差しており、該点がドラムの１つの
周方向線上に位置している。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、枚葉紙を搬送するため
のドラムであって、枚葉紙前縁部をつかむためのグリッ
パを備えていて軸上を自由に回転可能なドラム基礎部材
及び前記軸に支えられたセグメント若しくは保持部から
成っており、セグメント若しくは保持部が枚葉紙後縁部
を緊張するための移動可能な吸引部材を受容している形
式のものに関する。

【０００２】

【従来の技術】枚葉紙輪転印刷機のための冒頭に述べた
形式の枚葉紙引き渡しドラムがドイツ連邦共和国特許出
願公開第３０３６７９０Ｃ２号公報により公知であり、
この場合枚葉紙引き渡しドラムは枚葉紙前縁部をつかむ
グリッパ装置及び、枚葉紙を緊張及び平滑にするために
枚葉紙後縁部をつかむ吸引部材を有しており、調節可能
なカム伝動装置を用いて生ぜしめられた運動が枚葉紙の
搬送方向及び該搬送方向に対して横方向で重畳せしめら
れて吸引部材に伝達され、該吸引部材によって枚葉紙端
部が対角線方向に運動させられて緊張される。

【０００３】前記公知技術においては欠点として、吸引
部材の運動方向の対角線が搬送方向で枚葉紙の中心線に
関連して搬送方向に、若しくはドラム中心軸線に関連し
て互いに平行に延びていて、すなわち対を成してドラム
の中心軸線上で交差しており、これにより枚葉紙後縁部
が枚葉紙の両方の側方縁部の方向へ一様に引っ張られる
ことになる。このことは個々の吸引部材間で常に、緊張
されていない枚葉紙が個々の吸引部材間で互いに同じ距
離だけ引き離されることを意味する。緊張されていない
若しくはしわの寄った枚葉紙の緊張に際して搬送方向で
枚葉紙の中心線から枚葉紙の側方縁部の方向に見て側方
縁部が中心線若しくはドラム軸線の範囲よりも大きな距
離で引っ張られねばならないので、公知のドラムに設け
られた装置を用いてはしわの完全な取り除きは不可能で
ある。さらに、有価証券印刷において部分的に高い印刷
圧力に基づき枚葉紙内に生じる気泡状の膨らみ変形も取
り除かれない。それというのは吸引部材が気泡状の膨ら
み変形の取り除きに必要な力を枚葉紙に伝達できないか
らである。

【０００４】

【発明の課題】本発明の課題は、枚葉紙を搬送するため
のドラムを改善して、枚葉紙の後縁部が枚葉紙の中心線
の範囲では搬送方向でかつ枚葉紙の両方の側方縁部との
間の範囲では異なる引っ張り方向で緊張され、枚葉紙の
気泡状の膨らみ変形も取り除かれるようにすることであ
る。

【０００５】

【発明の構成】前記課題を解決するために本発明の構成
では、吸引部材の運動方向の延長線が放射線状に１つの
点で交差しており、該点がドラムの１つの周方向線上に
位置している。

【０００６】

【発明の利点】本発明の前記構成により、枚葉紙が加速
力、遠心力、空気渦流、静電荷による力、及び枚葉紙の
そりにもかかわらず、しわを形成することのないように
かつ平らにドラムの周面上に整合させられ、緊定され
る。この場合、枚葉紙は枚葉紙前縁部のほぼ中央に位置
する点から放射線状に緊張され、固定される。特に枚葉
紙端部に軸線方向でも力成分が作用せしめられ、従って
枚葉紙がこの範囲でもしわを形成することのないように
ドラム基礎部材の周面上に接触せしめられる。

【０００７】さらに本発明に基づくドラムを用いると、
印刷過程によって生ぜしめられた膨らみ変形を有する枚
葉紙を搬送することも可能である。気泡状の膨らみ変形
は、有価証券枚葉紙において印刷中に有価証券枚葉紙を
変形せしめるような部分的に著しく高い圧力の発生に基
づき生じる。このような膨らみ変形も本発明に基づくド
ラムを用いて補償される。

【０００８】

【実施例】図１に示す枚葉紙引き渡しドラム１若しくは
枚葉紙貯蔵ドラムは、ドラム基礎部材２及びこのドラム
基礎部材に結合された中空軸ジャーナル３，４から成っ
ており、中空軸ジャーナルが通常の形式で機械フレーム
５に支承されている。ドラム基礎部材は、公知であって
したがって詳細には示してない形式で列に並べて配置さ
れたグリッパ６を備えており、このグリッパが引き渡し
ドラム７から送られた枚葉紙の前縁部をくわえるように
なっている。

【０００９】ドラム基礎部材２の中空軸ジャーナル３，
４内には軸８が自由に回転可能に支承されている。軸８
上には区域毎に若しくはセグメントの形で保持部９を取
り付けてあり、保持部が枚葉紙引き渡しドラム１の母線
に沿って、枚葉紙後縁部を捕らえるための吸引ノズル１
０を備えている。吸引ノズル１０には中空軸として構成
された軸８、並びに公知の形式の吸引空気案内回転連結
部を介して吸引空気が供給される。

【００１０】中空軸ジャーナル４及び該中空軸ジャーナ
ル内に支承された軸８の、該中空軸ジャーナルを越えて
突出する端部に歯車１３，１４を互いに平行に配置して
あり、両方の歯車は同じ直径、同じ歯数及び同じピッチ
を有している。歯車１３はドラム基礎部材２に堅く結合
されている。歯車１４は軸８上に回転可能に支承されて
いて、一方で歯車１３に解離可能なクラッチ２２を介し
て連結され、かつ他方でヒンジ４６，４７、ヒンジ間に
介在された連結棒４８、歯車１４自体の支承部５０内に
支承されたクランク軸形のレバー４９、及び軸８上のレ
バー５３に連結されており、クランク軸形のレバー４９
は他方でローラ５１を介して機械フレームに対して定置
の溝５２内に支承されている。解離可能なクラッチ２２
は例えばドイツ連邦共和国特許出願公開第３５３４４８
６号公報に記載の形式のものであってよい。

【００１１】構成部材４６から５３によって構成された
制御装置５４を用いて、軸８、及び該軸上に配置されて
グリッパ装置４２及び吸引ノズル１０を備えた保持部９
の等速回転運動に矢印Ｃ（図４）の方向の付加的な振動
運動が重畳せしめられる。クランク軸形のレバー４９は
ヒンジ箇所（４７）をスリット５５としてに構成されて
いる。スリット５５内にヒンジ４７が移動可能及びロッ
ク可能に配置されている。

【００１２】図２から明らかなように枚葉紙引き渡しド
ラム１には、枚葉紙を供給する引き渡しドラム７及び裏
返しドラム１５が図示の形式で当て付けられている。引
き渡しドラム７はグリッパ１６を備えていて、第１の印
刷機１７からの枚葉紙を枚葉紙引き渡しドラム１に供給
するようになっている。

【００１３】裏返しドラム１５はグリッパ機構１８を備
えていて、枚葉紙を第２の印刷機１９に供給するように
なっている。片面印刷若しくは両面印刷で処理されるか
どうかに応じて、グリッパ機構１８のグリッパ２０，２
１が枚葉紙引き渡しドラム１上の枚葉紙を前縁部でつか
むか若しくは後縁部でつかむ。

【００１４】引き渡しドラム７の歯車はドラム基礎部材
２の中空軸ジャーナル４に取り付けられた歯車１３とか
み合っているのに対して、裏返しドラム１５の歯車は軸
８に取り付けられた歯車１４とかみ合っている。

【００１５】歯車１３，１４間に若しくは枚葉紙引き渡
しドラム１の互いに相対的に回動可能な部分（ドラム基
礎部材２と保持部９との）間に、ストッパを設けてあ
り、ストッパは枚葉紙引き渡しドラム１を片面印刷運転
に調節した場合に互いに接触するようになっている。図
示してないこのようなストッパは片面印刷位置を確保し
ており、この片面印刷位置では裏返しドラム１５のグリ
ッパ機構１８のグリッパ２０が枚葉紙引き渡しドラム１
のグリッパ６と協働する。印刷機を両面印刷から片面印
刷に戻し調節したい場合には、ストッパを互いに接触さ
せる方向に運動させるだけでよい。

【００１６】基準位置に相当する片面印刷位置では、枚
葉紙引き渡しドラムの円弧区分αが裏返しドラム１５の
円弧区分βに相応しており、この場合円弧区分βの長さ
は裏返しの際の枚葉紙後縁部の移動区分から、枚葉紙を
つかむために必要な縁部に関連して生ぜしめられる。

【００１７】図３には、図１及び図２の枚葉紙引き渡し
ドラム１が詳細に示してある。ドラム基礎部材２に配置
されたグリッパ６が枚葉紙前縁部をつかんでいる。グリ
ッパ６はグリッパ軸の支承部２３、レバー２４並びにロ
ーラ２６を介して、フレームに対して定置の制御カム２
７と作用接触している。枚葉紙２８の引き渡しの後に、
グリッパ６は閉じる。枚葉紙２８がグリッパ６とグリッ
パストッパ２９（図４参照）との間に締め付けられてい
る。グリッパストッパ２９はフォーク状の延長部３１を
有しており、該延長部が保持部９のフォーク状の延長部
３２とクシ状に内外に係合している。

【００１８】保持部９内では吸引ノズル１０がスリット
３３内を矢印Ｃの方向に運動可能である。スリット３３
は縦軸線を半径方向で点３４に向けられている。点３４
は枚葉紙前縁部の中心点を示している。このことは、グ
リッパ６によってつかまれた枚葉紙が吸着されかつ点３
４から放射線状に外縁部の方向へ緊張されることを意味
している。外縁部の方向への放射線状の緊張は、スリッ
ト３３内への吸引ノズル１０の運動可能な配置によって
可能である。図３から明らかなように、吸引ノズル１０
は距離ａにわたって運動可能であり、この運動は駆動機
構３６によって行われるようになっており、駆動機構は
フレームに対して定置の制御カム３７によって作動せし
められるようになっている。駆動機構３６は吸引ノズル
１０に固定されたリンクを有しており、該リンクが球ヒ
ンジを介して連結棒に連結されており、連結棒がアング
ルレバー及びローラを介して前記制御カム３７に作用結
合されている。吸引ノズル１０は保持部９の切欠き３８
内に配置されている。

【００１９】吸引ノズル１０は足部を球形に構成されて
いて、中空軸８に対して適当な座を有しており、該座を
介して吸引空気が供給される。吸引ノズル１０は足部の
近くにつば３９を有しており、該つばが吸引ノズル１０
のヘッド部分の方向に延びる円錐形の圧縮ばね４１を支
持している。圧縮ばね４１は他方で切欠き３８の先細の
構造に基づき形成された段部に支持されている。吸引ノ
ズル１０の後方で保持部９に図３及び図４に示してある
ように、選択的にグリッパ４２を配置していてよく、該
グリッパは公知の駆動機構４３によってフレームに対し
て定置の制御カム４４に作用結合されている。選択的に
配置されたグリッパ４２は、枚葉紙２８を運動可能な吸
引ノズル１０による該枚葉紙の広げられた後につかむよ
うになっている。保持部９の規定された０．２から１．
０ｍｍの緊張運動によって、枚葉紙２８が保持部の規定
された運動量だけ伸ばされ、まくれていた枚葉紙若しく
は縁の波打っていた枚葉紙が全面で以て周面に面接触さ
せられる。

【００２０】グリッパ４２のための駆動機構４３は支承
されたグリッパ軸及びローラレバーから成っており、ロ
ーラレバーがローラを介してフレームに対して定置の制
御カム４４に係合している。グリッパ４２は保持部９の
後縁部に装着されており、該後縁部上で枚葉紙が終わっ
ている（図３参照）。グリッパ４２を備えた保持部９
の、グリッパ６を備えたドラム基礎部材２に対する緊張
運動は、制御装置５４の行程によって行われる。この場
合、グリッパ４２は所属のグリッパストッパと一緒に保
持部９によって円弧状に運動せしめられ、該グリッパの
運動によって描かれる円弧の半径は枚葉紙引き渡しドラ
ム１の半径に相応している。フレームに対して定置の溝
５２内でのローラ５１の転動によってレバー４９を介し
て力を生ぜしめ、該力が枢着支承された連結棒４８を介
して、軸８に結合された保持部９に作用して、保持部９
がドラム基礎部材２に対して旋回運動を生ぜしめ、該旋
回運動は生ぜしめられた行程の大きさに応じて０．２か
ら１．０ｍｍの範囲で枚葉紙の緊張をもたらし、気泡状
の膨らみ変形が取り除かれる。緊張の値を調節可能に構
成する場合には、溝５２の代わりに調節可能な制御カム
が使用され、該制御カムに対してレバー４９のローラ５
１が弾性的に圧着される。

【００２１】本発明の要旨は、吸引ノズル１０の運動方
向の延長線が放射線状に１つの点３４で交差しており、
該点が枚葉紙引き渡しドラム１の周方向線、有利には中
央の周方向線上に位置していることである。この点３４
は吸引ノズル１０の運動方向の延長線にどのような角度
を与えるかに応じて、グリッパ６のグリッパストッパの
範囲内に位置していてもよく、ほぼ１０から１５ミリメ
ートルだけグリッパストッパの外側に位置していてもよ
い。さらに点３４は１０から１５ミリメートルの値を越
えてグリッパストッパの外側に位置していてよい。

【図面の簡単な説明】

【図１】枚葉紙引き渡しドラムの概略的な縦断面図。

【図２】枚葉紙引き渡しドラムの概略的な側面図。

【図３】グリッパ及び吸引装置、並びにグリッパ及び吸
引装置の駆動装置を備えた枚葉紙引き渡しドラムの横断
面図。

【図４】クシ形の枚葉紙支持セグメント及び枚葉紙グリ
ッパ装置を備えた枚葉紙引き渡しドラムの概略的な縦断
面図。

【符号の説明】

１ 枚葉紙引き渡しドラム、 ２ ドラム基礎部材、
３，４ 中空軸ジャーナル、 ５ 機械フレー
ム、 ６ グリッパ、 ７ 引き渡しドラム、
８ 軸、 ９ 保持部、 １０ 吸引ノズル、
１３，１４ 歯車、 １５ 裏返しドラム、 １６
グリッパ、 １７ 印刷機、 １８グリッパ機
構、 １９ 印刷機、 ２０，２１ グリッパ、
２２ クラッチ、 ２３ 支承部、 ２４ レバ
ー、 ２６ ローラ、 ２７制御カム、 ２８
枚葉紙、 ２９ グリッパストッパ、 ３１，３２
延長部、 ３３ スリット、 ３４ 点、 ３６
駆動機構、 ３７制御カム、 ３８ 切欠き、
３９ つば、 ４１ 圧縮ばね、 ４２グリッ
パ、 ４３ 駆動機構、 ４４ 制御カム、 ４
６，４７ ヒンジ、 ４８ 連結棒、 ４９ レバ
ー、 ５０ 支承部、 ５１ ローラ、 ５２
溝、 ５３ レバー、 ５４ 制御装置、 ５５
スリット

Claims (11)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 枚葉紙を搬送するためのドラムであっ
   て、枚葉紙前縁部をつかむためのグリッパを備えていて
   軸上を自由に回転可能なドラム基礎部材及び前記軸に支
   えられたセグメント若しくは保持部から成っており、セ
   グメント若しくは保持部が枚葉紙後縁部を緊張するため
   の移動可能な吸引部材を受容している形式のものにおい
   て、吸引部材（１０）の運動方向の延長線が放射線状に
   １つの点（３４）で交差しており、該点がドラム（１）
   の１つの周方向線上に位置していることを特徴とする、
   枚葉紙を搬送するためのドラム。
2. 【請求項２】 点（３４）がドラム（１）の中央の周方
   向線上に位置している請求項１記載のドラム。
3. 【請求項３】 点(３４)が、枚葉紙(２８)の前縁部をつ
   かむ制御可能なグリッパ（６）のグリッパ支持部の範囲
   に位置している請求項１記載のドラム。
4. 【請求項４】 点（３４）が、枚葉紙（２８）の前縁部
   をつかむグリッパ（６）のグリッパ支持部の外側に位置
   している請求項１記載のドラム。
5. 【請求項５】 ドラム（１）の回転方向で見て吸引部材
   （１０）の後方に保持部（９）に枚葉紙後縁部をつかむ
   制御可能なグリッパ（４２）並びに該グリッパに所属の
   グリッパ支持部を配置してあり、該グリッパ及びグリッ
   パ支持部が保持部（９）によって１つの円弧に沿って旋
   回可能であり、該円弧の半径がドラム（１）の半径に相
   応している請求項１から４のいずれか１項記載のドラ
   ム。
6. 【請求項６】 グリッパ（４２）及び該グリッパに所属
   のグリッパ支持部の旋回運動が制御装置（５４）によっ
   て行われるようになっている請求項１から５のいずれか
   １項記載のドラム。
7. 【請求項７】 制御装置（５４）が軸（８）に結合され
   たレバー（５３）を有しており、該レバーが連結棒（４
   ８）及びレバー（４９）を介して、フレームに対して定
   置の溝（５２）内を転動するローラ（５１）に接続され
   ている請求項１から６のいずれか１項記載のドラム。
8. 【請求項８】 吸引ノズルとして構成された吸引部材
   （１０）の足部が球形に構成されていて、軸（８）に対
   する座を有している請求項１から７のいずれか１項記載
   のドラム。
9. 【請求項９】 吸引ノズル（１０）の座が圧縮ばね（４
   １）によって軸（８）に保持されている請求項１から８
   のいずれか１項記載のドラム。
10. 【請求項１０】 吸引部材（１０）がドラム（１）の周
    壁のスリット（３３）内に案内されている請求項１から
    ９のいずれか１項記載のドラム。
11. 【請求項１１】 点（３４）が１０から１５ミリメート
    ルだけ、枚葉紙（２８）の前縁部をつかむグリッパ
    （６）の外側に位置している請求項４記載のドラム。