JPH05186620A - 被覆成形物およびその製造方法 - Google Patents

被覆成形物およびその製造方法

Info

Publication number
JPH05186620A
JPH05186620A JP4004007A JP400792A JPH05186620A JP H05186620 A JPH05186620 A JP H05186620A JP 4004007 A JP4004007 A JP 4004007A JP 400792 A JP400792 A JP 400792A JP H05186620 A JPH05186620 A JP H05186620A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
molecule
molded product
weight
meth
compound
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP4004007A
Other languages
English (en)
Inventor
Masatoshi Takei
正俊 武居
Shoichi Nagai
昭一 永井
Yukio Kobayashi
幸男 小林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Rayon Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Rayon Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Rayon Co Ltd filed Critical Mitsubishi Rayon Co Ltd
Priority to JP4004007A priority Critical patent/JPH05186620A/ja
Publication of JPH05186620A publication Critical patent/JPH05186620A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【構成】 1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル
オキシ基を有する多官能性モノマーに由来する構造単位
を主構成単位として有し、かつその表面に酸性基を有す
る重合体よりなる表層部を有する成形物の表面に、1分
子中に少なくとも1個の重合可能な二重結合とリン酸系
OH基を有する化合物と、1分子中に少なくとも1個の
重合可能な二重結合を有する成分を重合させて得られる
被覆成形物およびその製造方法。 【効果】 優れた防曇効果を維持し、耐久性にも優れ
る。また簡易な行程、兼価な設備で実施できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、防曇性に優れた被覆成
形物及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】プラスチック成形物は、軽量で耐衝撃性
に優れ、かつ安価で成形加工が容易であるなどの利点を
有しており、これらの利点を生かして種々の分野で利用
されている。しかしながら、ショーケース、鏡、ゴーグ
ル、眼鏡、自転車のサイドミラー等に発生する曇が、視
野を遮る。このため、従来、これらを防止するために防
曇剤を成形物に塗布する方法が一般的に行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記、従来の方法は、
防曇剤が極めて水に溶解しやすいため、塗布した成形物
の表面を、水蒸気や湿度の高い環境化においた場合、凝
集する水分とともに流れ落ちるという不都合がある。ま
た、防曇性が低下したり、長期にわたって性能を維持す
ることに欠けるという不都合を有していた。本発明の目
的は、上記のような条件下においても防曇性に優れた被
覆成形物およびその製造方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記のよ
うな現状に鑑み、防曇効果を長期にわたって維持し得る
ために鋭意検討を行った結果、本発明を完成するに至っ
た。すなわち、本発明による被覆成形物は1分子中に2
個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する多官能
性モノマーに由来する構造単位を主構成単位として有
し、かつその表面に0.02μmol/cm2〜0.2
μmol/cm2の酸性基を有する重合体よりなる表層
部を有する成形物の表面に、1分子中に少なくとも1個
の重合可能な二重結合を有する官能基と、少なくとも1
個のリン酸系OH基を有する化合物(A)10〜100
重量部と、1分子中に少なくとも1個の重合可能な二重
結合を有するモノマー、オリゴマー、及びポリマーから
選ばれた少なくとも1種の成分(B)0〜90重量部
と、を重合させて得られる重合体からなる被覆層が形成
されてなる防曇性に優れたものである。
【0005】また、この発明の被覆成形物の好ましい態
様において、1分子中に少なくとも1個の重合可能な二
重結合を有する官能基を、アクリレートまたはメタクリ
レートとすることができる。
【0006】更に、この発明の被覆成形物の好ましい態
様において、前記化合物(A)を下記一般式(I)
【化2】 (式中、R1は水素原子またはメチル基、R2は炭素原子
数2〜8個のアルキレン基を表し、nは1〜5、mは0
〜5、Xは1〜2の整数を表す。)で示されるモノマ
ー、オリゴマー及びポリマーから選ばれた少なくとも1
種の成分とすることができる。
【0007】この発明による被覆成形物の製造方法は、
1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を
有する多官能性モノマーに由来する構造単位を主構成単
位として有する重合体を少なくともその表層部に有する
成形物に対し、300nm以下の波長を含む紫外線を照
射し、アルカリ処理を行い、該表層部に0.02μmo
l/cm2〜0.2μmol/cm2の酸性基を形成し、
次いで(A)1分子中に少なくとも1個の重合可能な二
重結合を有する官能基と、少なくとも1個のリン酸系O
H基を有する化合物10〜100重量部と、(B)1分
子中に少なくとも1個の重合可能な二重結合を有するモ
ノマー、オリゴマー、及びポリマーから選ばれた少なく
とも1種の成分0〜90重量部と、(C)重合開始剤
0.1〜5.0重量部とからなる被覆用組成物を、成形
物の表面上に塗布し、重合、硬化させてなるものであ
る。
【0008】以下、本発明の被覆成形物およびその製造
方法について詳細に説明する。本発明においては、ま
ず、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ
基を有する多官能性モノマーを主成分とする組成物を重
合させることにより成形物の少なくとも表層部を形成す
る。この多官能性モノマーとしては、例えば、1,4−
ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキ
サンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグ
リコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコール
ジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ
(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、3−メチルペンタンジオールジ(メ
タ)アクリレート、ジエチレングリコールビスβ−(メ
タ)アクリロイルオキシプロピオネート、トリメチロー
ルエタンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロ
パントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール
トリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘ
キサ(メタ)アクリレート、トリ(2−ヒドロキシエチ
ル)イソシアネートジ(メタ)アクリレート、ペンタエ
リスリトールテトラ(メタ)アクリレート、2,3−ビ
ス(メタ)アクリロイルオキシエチルオキシメチル
〔2.2.1〕ヘプタン、ポリ1,2−ブタジエンジ
(メタ)アクリレート、1,2−ビス(メタ)アクリロ
イルオキシメチルヘキサン、ノナエチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、テトラデカンエチレングリコー
ルジ(メタ)アクリレート、10−デカンジオールジ
(メタ)アクリレート、3,8−ビス(メタ)アクリロ
イルオキシメチルトリシクロ〔5.2.10〕デカン、
水素添加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、
2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシジエト
キシフェニル)プロパン、1,4−ビス((メタ)アク
リロイルオキシメチル)シクロヘキサン、ヒドロキシピ
バリン酸エステルネオペンチルグリコールジ(メタ)ア
クリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ
(メタ)アクリレート、エポキシ変性ビスフェノールA
ジ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。多官
能性モノマーは、一種のみを使用してもよいし、二種以
上を併用してもよい。また、必要であれば単官能性モノ
マーと併用して共重合させることもできる。また、上記
多官能性モノマーは組成物中の30重量%以上であるこ
とが適当である。
【0009】上述したような多官能性モノマーを主成分
とする組成物を重合させることにより形成した表層部に
は、(メタ)アクリロイルオキシ基によって架橋構造が
形成されている。上述したような多官能性モノマーを用
いず、例えばメチルメタクリレート等の単官能性モノマ
ーのみを用いて表層部を形成した場合は、後で紫外線照
射およびアルカリ処理をおこなっても、酸性基は少量し
か得られない。すなわち本発明において、多官能性のモ
ノマー〔1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイルオ
キシ基を有するモノマー〕を主成分として使用すること
は、重要な構成要素の一つである。
【0010】また本発明においては、適当な基材よりな
る成形物の表面に上述したような多官能性モノマーを塗
布して供給し、それを重合することによって表層部を形
成してもよいし、あるいは上述したような多官能性モノ
マーを主成分とする組成物のみで成形物の全体を形成し
てもよい。
【0011】なお、基材としては、有機材料(特に有機
高分子材料)が好ましい。ただし、無機材料と有機材料
との複合材料等を基材として用いることもできる。有機
高分子材料としては、例えばアクリル樹脂、ポリカーボ
ネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、塩
化ビニル樹脂等、各種樹脂を挙げることができる。また
基材の表面に上述したような多官能性モノマーを塗布等
して重合する方法において、その表層部の重合体の厚さ
は、1μm以上が望ましく、3μm以上が好ましい。た
だし、先に述べたように、基材は必ずしも必要なもので
はなく、成形物全体が上述の多官能性モノマーの重合体
で構成されるものであってもよい。
【0012】次に、多官能性モノマーの重合により形成
した表層部に300nm以下の波長を含む紫外線を照射
する。この紫外線照射は、重合体のエステル結合の一部
を切断できる程度のエネルギー付与可能な波長域および
照射時間を適宜選定して実施すればよい。重合体の組成
が異なると分子間の結合エネルギーが異なるので一概に
は特定できないが、約4eV以上のエネルギーを付与す
る紫外線域が望ましい。この紫外線は180nm〜30
0nmの波長を含むことが望ましい。なお、紫外線照射
を行っただけでは、酸性基は十分に発生しない。
【0013】次に、紫外線照射部分に通常のアルカリ処
理、すなわちアルカリ水溶液中への浸漬を施す。このア
ルカリ処理によって、先の紫外線照射の作用と相俟って
表層部に酸性基が生成する。アルカリ処理に使用するア
ルカリ水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水
酸化カリウム等の水溶液、それらにさらにアルコール等
の各種溶剤を加えたアルカリ水溶液等を挙げることがで
きる。アルカリ処理の条件は、紫外線照射量、紫外線照
射部位の組成、成形物の形態、目的とする性能等によっ
て異なるので一概には規定できないが、例えば水酸化ナ
トリウムを用いる場合には、濃度0.1〜50重量%の
濃度の水溶液を使用することが望ましく、さらには1〜
30重量%が好ましい。また、アルカリ処理の温度は、
0〜100℃、好ましくは20〜80℃である。アルカ
リ処理の時間は、0.01〜100時間、好ましくは
0.1〜10時間である。
【0014】上述した紫外線照射およびアルカリ処理の
結果、成形物の表面部分に通常0.02μmol/cm
2以上の酸性基を含む表層部が形成される。すなわち、
高濃度の酸性基が成形物の表層部に集中して存在してい
る。なお、この酸性基の含有量は、0.02〜0.2μ
mol/cm2がより好ましく、0.03〜0.15μ
mol/cm2が特に好ましい。
【0015】本発明においていう酸性基の含有量の値
は、成形物表面の単位面積当たりに吸着し得る塩基性染
料のモル数(μmol/cm2)で表す。この値は以下
の方法により求めた値である。 (1)0.1規定の酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.
5)を作成する。 (2)メチルバイオレットの濃度が1.0g/lの溶液
を、(1)の緩衝液を基に調製する。 (3)この溶液中に50×50(mm2)の成形物を7
2時間浸漬する(温度25℃)。 (4)成形物を取り出し水洗する。 (5)水洗後の成形物の水分を拭き去る。 (6)その成形物をN−ジメチルホルムアミド液中に2
4時間浸漬することによって、染料を抽出溶解する。 (7)589nmの光を用いて、染料抽出液の吸光度を
測定する。 (8)別途、N−ジメチルホルムアミド液に溶解した染
料溶液より染料濃度の検量線を求め、成形物の単位面積
当たりの塩基性染料濃度を算出する。
【0016】すなわち、本発明における酸性基の含有量
(0.02μmol/cm2以上)は、表面の結合能力
を意味する。本発明においては、表層部の重合体の表面
部分のみに酸性基が適度に含有され、その内部側には酸
性基はあまり含有されておらず酸性基が表面部分に集中
している。したがって、表層部の表面部分は、後に続く
処理において酸性基と防曇性を有する被覆層とが反応
し、両者の特性が相俟って非常に良好な特性を有する成
形物となる。この酸性基を含有する層の厚さは、最表面
から内部へ向かって1μm以内であることが好ましく、
0.8μm以内がより好ましい。酸性基を含有する層の
厚さが1μmを越えると、必要な表面硬度が得られない
場合がある。またその層の厚さの下限は、酸性基含有量
等の関係に影響されるので一概に規定できないが一般に
は0.01μm程度である。
【0017】紫外線照射およびアルカリ処理を引き続き
行う本発明のこの処理に代えて、従来の酸性基導入法
(プラズマ処理、光照射グラフト重合、クロム酸処理
等)で、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイルオ
キシ基を有する多官能性モノマーの重合体に施したとし
ても、酸性基量、硬度、工程の容易性等、種々の面にお
いて良好な結果を得にくい。このアルカリ処理後の成形
物には、適当な水洗等を通常行う。また必要に応じて無
機酸や有機酸で中和洗浄してもよい。
【0018】次いで、この成形物の表面に、1分子中に
少なくとも1個の重合可能な二重結合を有する官能基
と、少なくとも1個のリン酸系OH基を有する化合物
(A)、例えばEO変性リン酸ジアクリレート、EO変
性リン酸アクリレート、EO変性リン酸メタクリレー
ト、EO変性リン酸ジメタクリレートなどの化合物を塗
布する。これらの化合物は、1〜2個の(メタ)アクリ
ロイル基とリン酸基の両方を有しているので、例えば光
重合開始剤あるいは熱重合開始剤を加えて、重合反応を
生じせしめ被覆層を形成せしめることによって、優れた
防曇性を付与することができる。しかしながら、形成さ
れた被覆層は、硬度が不足しているために本発明におい
ては、上記化合物(A)に以下の成分(B)を組み合わ
せて用いるのが望ましい。
【0019】本発明に用いることのできる成分(B)
は、例えばジペンタエリストールヘキサアクリレート、
ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロー
ルプロパントリアクリレート、ウレタンアクリレート、
エポキシアクリレート、テトラヒドロフランアクリレー
ト、ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ
エチルアクリレートなどのモノマー、オリゴマー及びポ
リマーである。上記化合物(A)と成分(B)の混合比
は、化合物(A)10〜100重量部及び成分(B)0
〜90重量部の範囲であり、好ましくは化合物(A)1
5〜95重量部及び成分(B)5〜85重量部の範囲で
ある。
【0020】本発明に用いることのできる触媒として
は、例えばベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンジ
ル、ベンゾイン等である。また、熱重合開始剤として
は、例えばベンゾイルパーオキサイド、アゾビスイソブ
チロニル等である。これら重合開始剤の使用量は、とく
に限定するものではないが、上記化合物(A)と成分
(B)の合計100重量部に対して重合開始剤(C)
0.1〜5.0重量部の範囲とすることができる。
【0021】以上の被覆用組成物は、本発明の成形物表
面上に塗布を容易にするために、種々の有機溶媒を希釈
剤として用いることができる。本発明の被覆用組成物
を、成形物表面に塗布するには、公知の方法でよく、例
えば、刷毛塗り、流し塗り、スプレー塗布、回転塗布あ
るいは浸漬塗布などの方法が採用できるが、被覆用組成
物の塗布作業性、被膜の平滑性、均一性、被膜の成形物
に対する密着性などの面から浸漬塗布方法が好ましく、
成形物の形状によっては、スプレー塗布法が好ましい。
【0022】被覆用組成物の塗布量としては、膜厚が1
〜30μm、好ましくは1〜10μmの範囲に塗布する
のがよい。膜厚が1μm未満の場合は十分な防曇性と耐
擦傷性が得られず、30μmを超える場合は、成形物と
の密着性が低下したり、被膜にクラックが発生しやすく
なったりする。成形物の表層部上に塗布された被膜を重
合、硬化させる方法としては、熱重合による方法や紫外
線、X線、γ線などの各種活性エネルギー線を照射する
公知の方法が適用できる。熱重合による場合には、例え
ば100〜130℃で、10分〜5時間程度の重合条件
が採用できる。また、本発明の被覆用組成物には、本発
明の効果を損なわない範囲で、着色剤、紫外線吸収剤、
熱安定剤等の各種添加剤を配合して用いることができ
る。
【0023】
【実施例】以下、本発明を実施例に従いより詳しく説明
する。 実施例1 ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート10重量
%、コハク酸/トリメチロールエタン/アクリル酸の等
モル縮合物20重量%、テトラヒドロフルフリルアクリ
レート5重量%、光重合開始剤「ダロキュア1173」
(メルク社製)1.2%含有イソプルパノール34重量
%、およびトルエン20重量%からなる溶液を調整し
た。この溶液中に厚さ2mmのポリメチルメタクリレー
ト樹脂板を浸漬して、その後0.2cm/secの速度
でゆっくりと引き上げ、樹脂板の表面に被膜を形成し
た。
【0024】次いで、これを35℃に保ち、樹脂板の両
側から15cmの距離に設定された中心波長365nm
を有する高圧水銀灯を用い、840mJ/cm2の照射
量にて照射を行った。この結果、樹脂板の表面に厚さ
3.5μmの硬化被膜を得た。この硬化被膜が形成され
た樹脂板の上方から、中心波長254nmを有する低圧
水銀灯を用いて、1300mJ/cm2の照射量にて照
射を行った。照射後の樹脂板の表層部の酸性基を、塩基
製染料メチルバイオレットにより測定した結果、0.0
12μmol/cm2であった。この樹脂板を20重量
%の水酸化溶ナトリウム水溶液中に室温で3時間浸漬
し、水洗、乾燥、その後0.05重量%の硫酸水溶液に
室温で1分間浸漬し、水洗、乾燥した。アルカリ処理後
の樹脂板の酸性基量は0.05μmol/cm2に増加
していた。
【0025】次に、 化合物(A)EO変性リン酸アクリレート(共栄社製:ライトエステルP−A) 65重量部
【化3】 成分(B) 2−ヒドロキシエチルアクリレート 20重量部 トリメチロールプロパントリアクリレート 15重量部 触媒(C) 0.1N 塩酸 0.5重量部 アゾビスイソブチロニトリル 1.5重量部 以上の溶液を混合し、被覆用組成物を調整した。この溶
液を用いて、前述の表面に酸性基を有する樹脂板をディ
ップコートし、100℃で2時間反応させ、硬化後の被
膜を3μmとした被覆成形物を得た。
【0026】実施例2 被覆用組成物として次の溶液を調整した。
【0027】 化合物(A)EO変性リン酸ジメタクリレート(日本化薬製:カマヤ−PM−2 )75重量部
【化4】 成分(B) 2−ヒドロキシエチルアクリレート 20重量部 トリメチロールプロパントリアクリレート 15重量部 触媒(C) 0.1N 塩酸 0.5重量部 アゾビスイソブチロニトリル 1.5重量部 この溶液を用いて、実施例1の表面に酸性基を有する樹
脂板をディップコートし、100℃で2時間反応させ、
硬化後の被膜を3μmとした被覆成形物を得た。
【0028】比較例1〜3 実施例で用いた、表面に酸性基を有する樹脂板のかわり
に、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート10重
量%、コハク酸/トリメチロールエタン/アクリル酸の
等モル縮合物20重量%、テトラヒドロフルフリルアク
リレート5重量%、光重合開始剤「ダロキュア117
3」(メルク社製)1.2%含有イソプルパノール34
重量%、およびトルエン20重量%からなる溶液を調整
した。この溶液中に厚さ2mmのポリメチルメタクリレ
ート樹脂板を浸漬して、その後0.2cm/secの速
度でゆっくりと引き上げ、樹脂板の表面に被膜を形成し
た。
【0029】次いで、これを35℃に保ち樹脂板の両側
から15cmの距離に設定された中心波長365nmを
有する高圧水銀灯を用い、840mJ/cm2の照射量
にて照射を行った。この結果、樹脂板の表面に厚さ3.
5μmの硬化被膜を得た。この試料を比較例1とする。
比較例2では表面硬化アクリル樹脂板(商品名:アクリ
ライトMR、三菱レイヨン(株)製)を、比較例3では
普通のアクリル樹脂板(商品名:アクリライトL、三菱
レイヨン(株)製)を用いた。なお、各々の表面酸性基
量は、比較例1が0.001μmol/cm2、比較例
2が0.017μmol/cm2、比較例3が0.00
7μmol/cm2であった。
【0030】以下表1に、性能評価結果を示した。な
お、評価は下記の方法によった。 (評価方法) 1.防曇性 蒸気テスト;50℃に保った温水浴上、50mmのとこ
ろに、被覆成形物を30秒間放置し、曇りの発生状態を
観察した。 2.防曇耐久性 被覆成形物を50℃、98%RHの高湿度下に200時
間放置した後、上記同様の評価方法で曇りの発生状態を
観察した。
【0031】
【表1】 評価基準:○;曇りの発生がまったくなく、防曇性に優
れる ×;曇りを発生し、防曇効果が認められない 以上の結果から明らかなように、本発明の被覆成形物
は、防曇耐久性に優れている。
【0032】
【発明の効果】本発明の被覆成形物は、被覆層が防曇性
に優れた特定の化学構造成分を必須としており、優れた
防曇効果を維持し、かつ表面と被覆層とが化学的に結合
しているので、耐久性にも優れている。また、本発明の
成形物の製造方法は、簡易な工程、廉価な設備で実施で
きる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08J 7/04 B 7258−4F C09D 143/02 PGL 7921−4J

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1分子中に2個以上の(メタ)アクリロ
    イルオキシ基を有する多官能性モノマーに由来する構造
    単位を主構成単位として有し、かつその表面に0.02
    μmol/cm2〜0.2μmol/cm2の酸性基を有
    する重合体よりなる表層部を有する成形物の表面に、 1分子中に少なくとも1個の重合可能な二重結合を有す
    る官能基と、少なくとも1個のリン酸系OH基を有する
    化合物(A)10〜100重量部と、 1分子中に少なくとも1個の重合可能な二重結合を有す
    るモノマー、オリゴマー、及びポリマーから選ばれた少
    なくとも1種の成分(B)0〜90重量部と、を重合さ
    せて得られる重合体からなる被覆層が形成されてなる防
    曇性に優れた被覆成形物。
  2. 【請求項2】 1分子中に少なくとも1個の重合可能な
    二重結合を有する官能基が、アクリレートまたはメタク
    リレートである請求項1記載の被覆成形物。
  3. 【請求項3】 化合物(A)が下記一般式(I) 【化1】 (式中、R1は水素原子またはメチル基、R2は炭素原子
    数2〜8個のアルキレン基を表し、nは1〜5、mは0
    〜5、Xは1〜2の整数を表す。)で表されるモノマ
    ー、オリゴマー及びポリマーから選ばれた少なくとも1
    種の化合物である請求項1記載の被覆成形物。
  4. 【請求項4】 1分子中に2個以上の(メタ)アクリロ
    イルオキシ基を有する多官能性モノマーに由来する構造
    単位を主構成単位として有する重合体を少なくともその
    表層部に有する成形物に対し、300nm以下の波長を
    含む紫外線を照射し、アルカリ処理を行い、該表層部に
    0.02μmol/cm2〜0.2μmol/cm2の酸
    性基を形成し、次いで (A)1分子中に少なくとも1個の重合可能な二重結合
    を有する官能基と、少なくとも1個のリン酸系OH基を
    有する化合物10〜100重量部、 (B)1分子中に少なくとも1個の重合可能な二重結合
    を有するモノマー、オリゴマー、及びポリマーから選ば
    れた少なくとも1種の成分0〜90重量部及び (C)重合開始剤0.1〜5.0重量部、からなる被覆
    用組成物を、成形物の表面上に塗布し、重合、硬化させ
    てなる防曇性に優れた被覆成形物の製造方法。
JP4004007A 1992-01-13 1992-01-13 被覆成形物およびその製造方法 Pending JPH05186620A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4004007A JPH05186620A (ja) 1992-01-13 1992-01-13 被覆成形物およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4004007A JPH05186620A (ja) 1992-01-13 1992-01-13 被覆成形物およびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH05186620A true JPH05186620A (ja) 1993-07-27

Family

ID=11572925

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP4004007A Pending JPH05186620A (ja) 1992-01-13 1992-01-13 被覆成形物およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH05186620A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1121512A (ja) * 1997-07-01 1999-01-26 Asahi Denka Kogyo Kk 親水性コーティング用樹脂組成物
JP2007126607A (ja) * 2005-11-07 2007-05-24 Kansai Paint Co Ltd 顔料分散用樹脂
JP2007126608A (ja) * 2005-11-07 2007-05-24 Kansai Paint Co Ltd 水性メタリック塗料組成物
WO2010049322A2 (en) 2008-10-31 2010-05-06 Basf Se (meth)acrylate phosphonic esters as adhesion promoters
WO2013187311A1 (ja) * 2012-06-12 2013-12-19 三井化学株式会社 親水性の変性アクリル樹脂膜

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1121512A (ja) * 1997-07-01 1999-01-26 Asahi Denka Kogyo Kk 親水性コーティング用樹脂組成物
JP2007126607A (ja) * 2005-11-07 2007-05-24 Kansai Paint Co Ltd 顔料分散用樹脂
JP2007126608A (ja) * 2005-11-07 2007-05-24 Kansai Paint Co Ltd 水性メタリック塗料組成物
WO2010049322A2 (en) 2008-10-31 2010-05-06 Basf Se (meth)acrylate phosphonic esters as adhesion promoters
WO2010049322A3 (en) * 2008-10-31 2010-06-24 Basf Se Adhesion promoters containing phosphonic esters for coating, film or adhesive
US8372516B2 (en) 2008-10-31 2013-02-12 Basf Se (Meth)acrylate phosphonic esters as adhesion promoters
WO2013187311A1 (ja) * 2012-06-12 2013-12-19 三井化学株式会社 親水性の変性アクリル樹脂膜
JPWO2013187311A1 (ja) * 2012-06-12 2016-02-04 三井化学株式会社 親水性の変性アクリル樹脂膜

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP2599799B1 (en) Single-layer film and hydrophilic material comprising same
KR101015722B1 (ko) 단층막 및 이것으로 이루어지는 친수성 재료
EP2738188B1 (en) Monolayer film and hydrophilic material comprising same
JPH1081839A (ja) 紫外線硬化性の被覆用組成物
JPH05186620A (ja) 被覆成形物およびその製造方法
JPH1017688A (ja) 基材の表面処理方法
JPS63273668A (ja) 親水性膜形成組成物及びその親水性膜並びにその製造方法
JP2003012966A (ja) 光硬化型防曇剤組成物および防曇性被覆物品の製造方法
JPH03152181A (ja) 防曇性組成物
JPS6345082B2 (ja)
JP3204698B2 (ja) 被覆成形品およびその製造方法
WO2019221268A1 (ja) 防曇性積層体およびその製造方法
JPS63137933A (ja) 被覆用組成物およびそれを塗装してなる表面特性に優れた樹脂成形品
JP2013177503A (ja) 被覆用組成物、透明被覆成形品及びその製造方法
JPH01249818A (ja) 光硬化型防曇性被覆組成物
JPS63297369A (ja) ウレタン(メタ)アクリレ−ト混合物、樹脂組成物及びコ−テイング剤
JP3433830B2 (ja) 樹脂組成物、光ファイバー用コーティング剤及びその硬化物
JPS63301233A (ja) 表面硬度と密着性に優れた塗料組成物
JPS60173023A (ja) 耐摩耗性、表面平滑性に優れた合成樹脂成形品の製造方法
JPH05117429A (ja) 成形物の製造方法
JPS6035256B2 (ja) 積層樹脂層を有する成型品およびその製造法
JP3402393B2 (ja) 樹脂組成物、光ファイバー用コーティング組成物及びその硬化物
JPH05230246A (ja) 成形物およびその製造方法
JPS6397636A (ja) 被覆用組成物ならびにそれを用いてなる耐擦傷性、可撓性に優れた樹脂成形品
JPH1119578A (ja) 水流抵抗が低減された表面を有する物品