JPH0515981Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、圧電素子の超音波振動を利用して液
体を吸い上げ霧化する超音波霧化装置に係り、と
くに霧化粒子の均一化を図つた超音波霧化装置の
構造の改良に関する。

（考案の概要） 本考案は、液体吸い上げ用穴を持つ軸体に圧電
素子を締め付け一体化したポンプ機能を持つ超音
波霧化装置において、前記軸体上側に形成された
霧化用ホーン部の上端に位置する板状部に多数の
微小貫通穴を形成した穴明き板を遊着して霧化粒
子の均一化を図つたものである。

（従来の技術） 本出願人は、特願昭61−309113号でボルト締め
振動子の構造を利用して液体の汲み上げ、霧化を
行う超音波ポンプを提案している。この特願昭61
−309113号に示した如き超音波ポンプの構造を第
４図に示す。

この第４図において、軸体１は下部にポンプ機
能のための振幅拡大ホーン部４（ステツプ状に直
径を小さく変化させることを省略して中間部と同
径とする場合もある）及び円板状部５を有すると
ともに、上部に霧化機能のための振幅拡大ホーン
部３０及び円板状部３１を備えている。軸体１の
中間部はボルト状であつて雄螺子部２，３が形成
されている。また、軸体１の中心軸上に液体吸い
上げ用貫通穴６が形成され、この液体吸い上げ用
貫通穴６の下方の開口は軸体１の下端面（すなわ
ち円板状部５の下端面）の中央に位置し、上方の
開口は軸体１の上端面（すなわち円板状部３１）
の中央に位置している。

そして、支持部分となる円板状フランジ８、円
板状電極板９Ａ、円板状圧電素子１０Ａ、円板状
電極板９Ｂ、円板状圧電素子１０Ｂ、円板状電極
板９Ｃ、円板状平ワツシヤ１２及び皿ばね１３の
各貫通穴に前記軸体１を挿通し、軸体１の雄螺子
部２，３にナツト１１Ａ，１１Ｂをそれぞれ螺合
し、締め付けることによつて、圧電素子１０Ａ，
１０Ｂ等の各部材は軸体１に締め付け一体化され
る。すなわち、圧電素子１０Ａ，１０Ｂと軸体１
との関係はボルト締め振動子とほぼ同様な構造と
なつている。

この液体吸い上げと霧化を行う超音波ポンプ
は、液面Ｐが矢印Ｑの範囲内にあり、超音波ポン
プの下部が水等の液体に浸つている場合、電極板
９Ｂと電極板９Ａ，９Ｃとの間に高周波電圧を印
加すれば、圧電素子１０Ａ，１０Ｂは超音波振動
（例えば厚み振動）を発生し、その振動は軸体１
の下部の振幅拡大ホーン部４で拡大され、下端の
円板状部５に拡大された超音波の縦振動（第４図
の矢印Ｒのような軸に平行な方向の振動）を引き
起こす。この軸体下端の円板状部５の縦振動は、
矢印Ｓのように液体吸い上げ用貫通穴６を吹き上
げる向きの対流を引き起こし、これとともに、水
等の液体は空気に比べ超音波が伝搬しやすく粘性
が高い性質があり、液体吸い上げ用貫通穴６内の
液体を超音波振動が上昇する方向に進行していく
こと、及び貫通穴６内面が収縮する呼吸作用等に
起因して、液体は貫通穴６を上昇して行く。ま
た、圧電素子１０Ａ，１０Ｂの超音波振動は前記
振幅拡大ホーン部３０で振幅拡大されて円板状部
３１に拡大された縦振動を行わせる。この結果、
液体吸い上げ用貫通穴６を上昇した液体は、その
上部開口の位置する円板状部３１の上端面の超音
波振動にて霧化され、霧化粒子（噴霧粒子）とな
つて大気中に飛散する。

（考案が解決しようとする問題点） ところで、第４図の基本構造の超音波ポンプ
を、空気調和機や冷蔵庫のドレイン排水を霧化し
て蒸発させてしまう用途や液体燃料の霧化等に利
用することが本出願人より考慮されているが、こ
のような場合には霧化粒子が蒸発、気化し易いよ
うに、なるべく霧化粒子の粒径が小さいことが望
ましく、また粒径のばらつきも少なくすることが
要望される。しかし、第４図の基本構造では、以
下に列挙するような問題点があつた。

(1) 霧化粒子は駆動周波数に依存しており、細か
い霧化粒子と霧化効率とは両立しない。

(2) 霧化効率の良い駆動周波数では、霧化粒子
（噴霧粒子）の粒径は40〜70μmであり、ばらつ
きが大きい。

(3) 液体吸い上げ用貫通穴６が直接開口している
ため、大径の液体粒子が飛散、滴下したり、２
次粒子（２次凝集）現象が避けられない。

(4) 圧電素子への入力電力を増大させたり、送水
量を多くすると水滴状のものが飛散する。

（問題点を解決するための手段） 本考案は、上記の点に鑑み、液体吸い上げ用穴
の上部開口が位置する霧化用ホーン部先端側板状
部に、多数の微小貫通穴を形成した穴明き板をあ
る程度動き得るように遊びを持たせて取付ること
によつて、比較的微細な霧化粒子を得るととも
に、大径の液体粒子の飛散を防止して霧化粒子の
均一化を図つた超音波霧化装置を提供しようとす
るものである。

本考案は、上部に霧化用ホーン部及びその上端
に位置する板状部を形成し、該板状部の上端面に
開口する液体吸い上げ用穴を軸方向に形成した軸
体に、複数枚の圧電素子を締め付け手段で締め付
け一体化するとともに、前記板状部の外側を覆う
如く、多数の微小貫通穴を形成した穴明き板を被
せ、当該穴明き板と前記板状部の上端面との間に
液体の介在する微小間〓を生じるように該穴明き
板の折り曲げ部を前記板状部の下側基部に所要の
遊びを持たせて係合させた構成により、上記従来
の問題点を解消している。

（作用） 本考案の超音波霧化装置では、超音波による液
体霧化のためのホーン部先端側板状部に、多数の
微小貫通穴を形成した穴明き板を遊びを持たせて
装着するようにしており、軸体の液体吸い上げ用
穴から板状部上端面に溢れ出た水等の液体は、板
状部の上端面と前記穴明き板との間に発生した微
小間〓に浸入して板状部上端面全域に広がり、前
記穴明き板の多数の微小貫通穴に入る。各微小貫
通穴に達した液体は当該微小貫通穴の内径に一致
した微小液柱となり、これが前記板状部の超音波
振動により上方に放出され、霧化粒子となつて飛
散する。この場合、霧化粒子の径は、前記微小貫
通穴の内径で実質的に規制されるので、大粒の粒
子の飛散を防止して霧化粒子の均一化を図ること
ができる。また、霧化の指向性も良好となり、前
記板状部の上端面の上方に霧化粒子が高く放出さ
れる結果となる。さらに、前記板状部上端面と前
記穴明き板との微小間〓に液体が浸透して板状部
上端面全域に液体が広がり、板状部上端面全域で
霧化作用が行なわれるため、霧化効率が向上し、
霧化量を増大させ得る。

（実施例） 以下、本考案に係る超音波霧化装置の実施例を
図面に従つて説明する。

第１図は本考案の第１実施例の要部構成を拡大
して示す。軸体１の上部で構成された液体霧化用
の振幅拡大ホーン部３０より下側の構造は前述の
第４図で説明した基本的な超音波ポンプと同様で
ある。

第１図において、液体霧化用のホーン部３０の
上端部は円板状部３１となつており、該円板状部
３１に微小貫通穴を多数形成した穴明き板３５
が、前記円板状部３１の上端面３７に対して液体
の介在する微小間〓を生じるごとく遊着されてい
る。すなわち、穴明き板３５の端部の折り曲げ部
３６は、円板状部３１の下側基部３８に対して、
ある程度の遊びを持たせて穴明き板３５が脱落し
ないように係合している。

前記円板状部３１の上端面３７は平坦面であ
り、この中央部に軸体１を軸方向に貫通した液体
吸い上げ用貫通穴６が開口している。また、穴明
き板３５の円板状部上端面３７に対向する部分も
平らになつている。

第２図は円板状部３１の上端面３７及び穴明き
板３５の部分をさらに拡大したものである。この
図から判るように、穴明き板３５に形成された微
小貫通穴４０の穴径Ｒは穴明き板３５の厚みＴ以
下に設定され、しかも微小貫通穴４０の開口面積
よりも穴の無い残りの部分の面積のほうが大きく
なるように設定している。本考案者の実験によれ
ば、微小貫通穴４０の径Ｒを30μmとしたとき、
厚みＴを例えば60μm又は80μmとしたときに良い
結果が得られることを確認している。

第３図Ａ，Ｂは穴明き板３５に形成する微小貫
通穴４０の形状をそれぞれ示すもので、第３図Ａ
のように丸穴形状であつても、同図Ｂの角穴形状
であつもよい。いずれの場合も、開口率は50％以
下で、とくに５％乃至20％程度であることが好ま
しいと考えられる。

上記構成において、液体吸い上げ用貫通穴６よ
り円板状部３１の上端面３７に達した水等の液体
Ｌは、穴明き板３５の取り付けに遊びがあるた
め、円板状部３１の超音波振動等により発生した
上端面３７と穴明き板３５との微小間〓Ｇに浸入
し、上端面３７の全域に行き渡り、各微小貫通穴
４０の内側に微小液柱４１を形成する。そして、
霧化用ホーン３０の先端の円板状部３１の超音波
振動により、微小液柱４１は霧化粒子となつて空
気中に放出される。この際、霧化粒子の径は微小
貫通穴４０の内径Ｒにより規制され、内径Ｒが例
えば30μmであれば、霧化粒子の径も30μm程度と
なることが判明した。

空気中で霧化粒子が効果的に気化するために
は、霧化粒子径は30μm以下であることが好まし
く、このため、前記微小貫通穴４０の内径Ｒは
30μm以下に設定されることが望まれる。さらに、
微小貫通穴４０内で充分な高さの微小液柱４１が
形成されるために穴明き板３５の厚みＴは、
30μm以上とすることが好ましい。

（考案の効果） 以上説明したように、本考案の超音波霧化装置
によれば、上部に霧化用ホーン部及びその上端に
位置する板状部を形成し、該板状部の上端面に開
口する液体吸い上げ用穴を軸方向に形成した軸体
に、複数枚の圧電素子を締め付け手段で締め付け
一体化するとともに、前記板状部に多数の微小貫
通穴を形成した穴明き板を、前記板状部の上端面
に対して液体の介在する微小間〓を生じるごとく
遊着した構成としたので以下の効果を得ることが
できる。

(1) 水等の液体の霧化粒子（噴霧粒子）が微細で
均質である。

(2) 霧化の指向性を改善し、霧化粒子を板状部の
上方に勢い良く放出することができる。

(3) 板状部の上端面と穴明き板との間に生ずる微
小間〓に液体が浸入し、均一な液体の膜が上端
面全域に存在することになり、霧化効率の向
上、ひいては霧化量の増大を図ることができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る超音波霧化装置の実施例
の要部構成を示す拡大断面図、第２図は実施例の
作用を説明するための拡大断面図、第３図Ａ，Ｂ
は穴明き板に設けた微小貫通穴の形状をそれぞれ
示す平面図、第４図は本出願人が先に提案してい
る超音波ポンプの基本構成を示す正断面図であ
る。 １……軸体、２，３……雄螺子部、４，３０…
…振幅拡大ホーン部、５，３１……円板状部、６
……液体吸い上げ用貫通穴、１０Ａ，１０Ｂ……
圧電素子、１１Ａ，１１Ｂ……ナツト、３５……
穴明き板、３６……折り曲げ部、３７……上端
面、４０……微小貫通穴、４１……微小液柱。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 上部に霧化用ホーン部及びその下端に位置す
   る板状部を形成し、該板状部の上端面に開口す
   る液体吸い上げ用穴を軸方向に形成した軸体
   に、複数枚の圧電素子を締め付け手段で締め付
   け一体化するとともに、前記板状部の外側を覆
   う如く、多数の微小貫通穴を形成した穴明き板
   を被せ、当該穴明き板と前記板状部の上端面と
   の間に液体の介在する微小間〓を生じるように
   該穴明き板の折り曲げ部を前記板状部の下側基
   部に所要の遊びを持たせて係合させたことを特
   徴とする超音波霧化装置。 (2) 前記微小貫通穴の直径が前記穴明き板の厚み
   に等しいか、それ以下である実用新案登録請求
   の範囲第１項記載の超音波霧化装置。