JPH05153982A - 新規変異株及びそれを用いるグリセリンの製造方法 - Google Patents

新規変異株及びそれを用いるグリセリンの製造方法

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JPH05153982A
JPH05153982A JP34943691A JP34943691A JPH05153982A JP H05153982 A JPH05153982 A JP H05153982A JP 34943691 A JP34943691 A JP 34943691A JP 34943691 A JP34943691 A JP 34943691A JP H05153982 A JPH05153982 A JP H05153982A
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Kiyotaka Nishida
清隆 西田
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 生育pH範囲がpH2.5〜7.0であり、且つ
培養時に副生するマンニトールの量が主生成物であるグ
リセリンの1/15以下(濃度比)であることを特徴と
する人工変異株トルロプシスsp.SN−7678菌株
(微工研菌寄第12502号)並びに該トルロプシスs
p.SN−7678菌株(微工研菌寄第12502号)
を、発酵性糖類を含む培地に接種して好気的に培養し、
培養液からグリセリンを分離、採取することを特徴とす
るグリセリンの製造方法。 【効果】 本発明の新規変異株SN−7678株は、発
酵性糖類からのグリセリンへの変換率(対糖収率)が極
めて高く、かつマンニトール等の副生物の産生が著しく
少ないという特性を有している。そのため、本菌株を用
いることにより、グリセリンの商業的な発酵生産が可能
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規変異株及びそれを用
いるグリセリンの製造方法に関し、更に詳細には、トル
ロプシス属に属する新規な人工変異株であるトルロプシ
スsp.SN−7678菌株及び当該変異株を用いて発
酵性糖類をグリセリンに変換することを特徴とする、発
酵法によるグリセリンの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】発酵法
によるポリオール類の製造方法、就中トルロプシス属に
属する微生物を使用してグリセリンを製造する方法は公
知である。例えば特公昭47−8589号公報にはトル
ロプシス・マンニトファシエンス(T. mannitofaciens)
を使用する方法が述べられており、また同47−203
93号公報にはトルロプシス・アノーマラ(T.anomala)
を使用する方法が述べられている。更に、G.H.Hajny
他;Applied Miclobiology,8:5(1960)にはトルロプシス
・マグノリア(T.magnoliae)を使用する方法が述べられ
ている。
【0003】しかしながら、これら公知の方法で用いら
れている微生物は耐糖性が低く実用的でなかったり、あ
るいはポリオール類への変換率が必ずしも十分でないこ
とから、未だ工業的に利用されていない。また、Vijaik
ishore他;Applied Biochemistry and Biotechnology,
vol 13, 1986, にはピヒア・ファリノサ(Pichia farino
sa) を使用する方法が述べられているが、この方法は培
地をアルカリ性に保つことが必要である。そのため、こ
の方法では対糖比10%という多量の炭酸ナトリウムを
使用しなければならず、その後の処理に要する負担が極
めて大きいという欠点がある。
【0004】更に、特開昭62−21509号公報及び
同62−96089公報には、本発明者らによりトルロ
プシスsp.SN−18菌株(微工研菌寄第7593
号)を用いてグルコースなどの発酵性糖類からグリセリ
ンを製造する方法が開示されている。この方法は、比較
的高濃度の糖質を用いてグリセリンを製造することを可
能にするものであるが、相当量のマンニトールを副生す
るという欠点があり、それに伴うグリセリン収率の低さ
及び精製の複雑さの点で未だ満足できる方法とは言い難
い。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記のよ
うな従来方法の欠点を改良するべく、種々検討した結
果、上記トルロプシスsp.SN−18菌株(微工研菌
寄第7593号)から誘導された変異株であるトルロプ
シスsp.SN−7678菌株がマンニトールの副生が
少なく、且つ高いグリセリン生産能を有することを見出
し、本発明に到達した。
【0006】即ち、本発明は生育pH範囲がpH2.5〜
7.0であり、且つ培養時に副生するマンニトールの量が
主生成物であるグリセリンの1/15以下(濃度比)で
あることを特徴とするトルロプシスsp.SN−767
8菌株(微工研菌寄第12502号)並びに当該トルロ
プシスsp.SN−7678菌株を、発酵性糖類を含む
培地に接種して好気的に培養し、培養液からグリセリン
を分離、採取することを特徴とするグリセリンの製造方
法に関する。
【0007】本発明のトルロプシスsp.SN−767
8菌株は、親株であるトルロプシスsp.SN−18菌
株から人工的変異手段により造成された変異株であっ
て、具体的にはトルロプシスsp.SN−18菌株に紫
外線を照射した後、引き続きN−メチル−N’−ニトロ
−N”−ニトロソグアニジンなどの突然変異誘起剤を使
用して処理することにより誘発された新規変異株であ
る。
【0008】本変異株は、トルロプシスsp.SN−1
8菌株を親株として変異したものであり、且つ後記する
ように親株に極めて近似した性質を有していることか
ら、トルロプシス属に属する新規な変異株であると判断
し、トルロプシスsp.SN−7678菌株と命名し
た。
【0009】次に、本変異株の菌学的性質を示す。 1.培地上の生育状況 (1) 顕微鏡的所見 栄養細胞の大きさ(*1) 2〜6x2〜6μ 栄養細胞の形状(*1) 円形 栄養細胞の増殖法(*1) 多極出芽 菌糸体(*2) 形成せず (註)*1 YM寒天培地に27℃、5日間培養 *2 ポテトグルコース寒天によるスライド培養
【0010】(2) 寒天斜面(*3) 生育 良好 光沢 白色(光沢なし) 色素 2週間以上培養すると橙
黄色のコロニー (註)*3 YM寒天培地 (3) 液体培養(*4) 表面生育 皮膜形成 濁度 透明 沈査 大 (註)*4 YM寒天培地
【0011】2.子のう胞子の形成 ポテトグルコース寒天培地 形成せず コーンミール寒天培地 形成せず YM寒天培地 形成せず ニンジンエキス寒天培地 形成せず V8寒天培地 形成せず
【0012】3.生理学的性質 酸素要求量 好気的 生育温度 36℃以下 最適生育温度 28〜30℃ 生育pH 2.5〜7.0 (初発pH2.5〜8.0) 最適生育pH 4.0〜6.0 KNO3 資化生(*5) 微弱 (NH4)2 SO4 資化生(*5)有り 脂肪の分解(*6) 無し 尿素の分解 無し ゼラチンの液化 有り
【0013】グルコースの 生育可能最高濃度(*7) (70%) 生育最適濃度(*7) (40%) 塩化ナトリウムの 生育可能最高濃度(*8) (13%以上) 生育最適濃度(*8) (7%) カロチノイドの生成 無し 有機酸の生成 有り デンプン様物質の生成 無し ビタミンの要求性(*5) 有り (註)*5 Wickerham の合成培地を用いたJ.Lodderら
の方法により判定 *6 牛脂を使用 *7 液体培地 *8 30%(W/V)グルコース液体培地中での生育
【0014】4.糖の発酵性(*5) グルコース + ラクトース − ガラクトース + メリビオース − スクロース + ラフイノース + マルトース −
【0015】5.糖の資化性(*5) グルコース + D−キシロース − ガラクトース + エリスリトール − D−アラビノース + L−アラビノース + D−ソルボース − L−ソルボース + D−リボース − スクロース + L−ラムノース −
【0016】 マルトース + エタノール − セロビオース − トレハロース − アドニトール − ラクトース − ズルシトール − メリビオース + ラフイノース + D−ソルビトール + メレジトース − α−メチル−D−グルコシド − イヌリン + サリシン − イノシトール − 可溶性デンプン − DL−乳酸 − コハク酸 − クエン酸 −
【0017】本菌株は、工業技術院微生物工業技術研究
所に「微生物受託番号 微工研菌寄第12502号」と
して寄託されている。この様に、本発明の変異株トルロ
プシスsp.SN−7678菌株は親株(野性株)であ
るトルロプシスsp.SN−18菌株と極めて類似した
菌学的性質を有する。しかしながら、本変異株は生育p
H範囲がpH2.5〜7.0で親株に比較してやや狭いこと
及び後記実施例に示すように、工業生産に適した安価な
培地であるコーンスチープリカーを主体とする培地に於
いても高いグリセリン生産能を保持し、マンニトール等
の副生物の生成も極めて少なく、菌株を好適な条件(例
えば本明細書中に述べられている培養条件)で培養した
場合のマンニトールの副生量は主生成物であるグリセリ
ンの1/15以下(濃度比)に抑えられる点で親株と相
違を有している。
【0018】次に、本発明の変異株を用いるグリセリン
の製造法について説明する。尚、以下の説明中で用いる
%は特にことわりのない限り、容量(W/V)%であ
る。本菌株の培養は、炭素源,窒素源,無機塩類等を含
む液体培地を用いて好気的条件下に攪拌培養により実施
されることが望ましい。
【0019】当該液体培地の主炭素源としては、上記変
異株が資化して目的とするグリセリンを生成しうるもの
であれば任意に使用でき、例えばグルコース,フラクト
ース,マンノース等の発酵性糖類が使用されるが、これ
らの糖質の使用量は培地全体の10〜60%、好ましく
は20〜50%の範囲で添加使用される。
【0020】窒素源としては当該変異株により利用可能
な窒素化合物、例えば酵母エキス,トリプトン,麦芽エ
キス,カザミノ酸,コーンスチープリカー等が使用され
る。また、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、硝酸
アンモニウムなどのアンモニウム塩類も使用可能であ
る。その他、培地に加える無機塩類としては、例えばリ
ン酸,マグネシウム,カリウム,カルシウム,鉄などの
塩類が使用される。更に、必要に応じて当該変異株の生
育に必要な各種の有機物,無機物あるいは通常用いられ
る消泡剤などを添加することができる。
【0021】培養は、前記組成の液体培地に本菌株を直
接接種するか、または別に前培養によって得られる本菌
株の種培養液を接種して行われる。この種培養液の調製
は、例えば常法により斜面培養した本菌株をグルコース
30%に酵母エキス1%またはコーンスチープリカー3.
3%を含むpH4〜6の液体培地に1白金耳接種して2
6〜36℃の温度で2〜5日間培養することにより行な
われる。
【0022】培養温度は本菌株が生育しうる範囲内、即
ち26〜36℃で行なわれるが、特に好ましくは28〜
30℃の範囲である。培地のpHは2.5〜7.0、特に4.
0〜6.0の範囲が好ましい。また、培養期間は培養条
件、使用する培地の種類及び炭素源である糖質の濃度等
により異なるが、通常4〜8日間程度である。培養は、
培地の栄養源が最大限に利用され、かつ培養液のグリセ
リンの生成量が最高に達した時点で培養を終了させるこ
とができるように、培養液中のグリセリン量をガスクロ
マトグラフィー,高速液体クロマトグラフィー等の周知
の方法により測定しながら行なうことが望ましい。
【0023】培養液中に蓄積されたグリセリンは、培養
終了後、常法によって培養液中から分離される。即ち、
斯かる場合に当該分野において通常使用されている周知
の手段、例えば濾過,遠心分離,イオン交換又は吸着ク
ロマトグラフィー,溶媒抽出,蒸留などの操作が必要に
応じて適宜組合せて用いられる。一例を挙げれば、培養
液から濾過,遠心分離などによって菌体を除去し、次い
でこの液を活性炭等で処理して着色物質などを除き、更
にイオン交換樹脂により脱イオンした後、液を濃縮して
シロップとする。これを更に減圧(真空)蒸留により精
製してグリセリンを得る。
【0024】
【実施例】次に、本発明を実施例により詳しく説明す
る。 実施例1 (変異株の造成) トルロプシスsp.SN−18菌株をグルコース30
%,酵母エキス1%を含む100mlの液体培地に接種
し、温度30℃で3日間振とう培養して培養物を得た。
次に、上記培養物を30%グルコース液で1000倍に
希釈し、30%グルコース,1%酵母エキス,1.5%寒
天を含む寒天培地に100μl宛塗布し、30cmの距
離から15wの紫外線ランプ(東芝殺菌灯「GL1
5」)を45秒照射し、その後30℃で4日間静置培養
した。生じたコロニーを20%グリセリン,1%酵母エ
キス,1.5%寒天を含む培地を検定培地としてレプリカ
法によりグリセリン資化性の落ちた菌株を選抜した。
【0025】次に、上記処理で選抜した菌株を、グルコ
ース30%,酵母エキス1%を含む100mlの液体培
地に接種し、温度30℃で3日間振とう培養して培養物
を得た。上記で得られた培養物から遠心分離により菌体
を分離し、更にこの菌体を50mM燐酸緩衝液(pH=
7)で3回洗浄した後、再び同緩衝液に懸濁した(10
8 cells/ml)。この懸濁液を最終濃度250μ
g/mlのN−メチル−N’−ニトロ−N”−ニトロソ
グアニジンで30分間処理した。
【0026】処理後、常法により菌体を分離し、さらに
緩衝液で洗浄した後、20%グリセリン,1%酵母エキ
スを含む培地中で最終濃度10μg/mlの抗生物質ナ
イスタチンで2時間処理した。菌体を緩衝液で洗浄後、
上記のグルコースを含む寒天培地に塗布し、30℃で4
日間静置培養した。生じたコロニーは、20%マンニト
ール,1%酵母エキス,1.5%寒天を含む培地を検定培
地としてレプリカ法によりマンニトール資化性の落ちた
菌株を選抜した。
【0027】次に、上記により選抜した菌株を、グルコ
ース30%,酵母エキス1%を含む50gの液体培地に
接種し、温度30℃で2日間振とう培養し培養物を得
た。この培養物を上記と同様の操作により最終濃度50
0μg/mlのN−メチル−N’−ニトロ−N”−ニト
ロソグアニジンで1時間処理し、更にこの処理菌体を上
記と同様に10%マンニトール,1%酵母エキスを含む
培地中でナイスタチン処理を行なった。
【0028】処理後、菌体液を上記のグルコースを含む
寒天培地に塗布し、30℃で4日間静置培養し、生育し
た菌体を選抜して変異株トルロプシスsp.SN−76
78菌株(FERM P−12502)を得た。
【0029】実施例2 (a)種培養液の調製 グルコース30%,酵母エキス1%,寒天1.5%から成
る斜面培地にトルロプシスsp.SN−7678菌株
(FERM P−12502)の菌体を塗布し、30℃
で2日間静置培養した。次に、グルコース30%,酵母
エキス1%を含む液体培地(pH5.5)50mlを入れ
た500ml容量の三角フラスコに上記菌株の斜面培養
菌体を1白金耳植菌し、30℃で2日間振とう培養して
培養物を得た。
【0030】(b)本培養 グルコース50%,コーンスチープリカー3.27%,酢
酸アンモニウム0.07%及びKNO3 0.1%を含む液体
培地(グルコース及びコーンスチープリカー,酢酸アン
モニウム,KNO3 は予め別々に滅菌したものを使用)
3リットルを5リットル容量の発酵槽に入れ、上記
(a)で調製したトルロプシスsp.SN−7678菌
株(FERM P−12502)の種培養液50mlを
加え、温度30℃、通気量0.33vvm、回転速度80
0rpmで水酸化カリウムによりpHを5に保持しなが
ら6日間培養を行なった。
【0031】培養終了後、高速液体クロマトグラフィー
(HPLC)により培養液の分析を行なった結果、グル
コースは完全に消費されており、培養液中のグリセリン
含量は29%(収率58%),マンニトール含量は0.5
%(収率1%)であった。
【0032】次に、この培養液から遠心分離により菌体
を除去し、更に活性炭による脱色及びイオン交換樹脂
(IRA−140:IR−120=2:1)による脱塩
を行なった。次いで、溶出液を30%以上に濃縮し、ス
チレン−ジビニルベンゼン系の陽イオン交換樹脂を充填
したカラムを用いてグリセリンを精製した。精製された
物質は、TMS誘導体を用いたガスクロマトグラフィ
ー,高速液体グラフィー,F−キット・グリセロールに
よる同定から標品のグリセリンに一致することが確認さ
れた。
【0033】実施例3 (a)種培養液の調製 グルコース30%,酵母エキス1%及び寒天1.5%から
なる斜面培地にトルロプシスsp.SN−7678菌株
(FERM P−12502)の菌体を塗布し、30℃
で2日間静置培養した。次に、グルコース30%,コー
ンスチープリカー3.3%を含む液体培地(初発pH5)
50mlを入れた500ml容量の三角フラスコに上記
斜面培養菌体を1白金耳植菌し、30℃で220rp
m、2日間振とう培養して培養物を得た。更に、上記培
養物を同上の培地3リットルを仕込んだ5リットル容ジ
ャーファーメンターに植菌し、30℃、0.5vvm、4
00rpmの条件で2日間培養し、本培養用の種菌液と
した。
【0034】(b)本培養 30リットル容ジャーファーメンターに、40%グルコ
ース,3.4%コーンスチープリカー,0.06%酢酸アン
モニウム及び0.1%KNO3 から成る液体培地(グルコ
ース及びコーンスチープリカー,酢酸アンモニウム,K
NO3 は予め別々に滅菌したものを使用)15リットル
を仕込み、上記(a)で調製したトルロプシスsp.S
N−7678菌株の種菌培養液300ml(植菌量2
%)を加え、攪拌機の回転数を230〜380rpmで
変化させて培養を行なった。なお、その他の培養条件は
通気量0.5vvm,缶内圧0.5kg/cm2,温度30
℃,初発及び保持pH=5とした。培養終了後、HPL
C,分光光度計により培養液のグリセリン,マンニトー
ル及び濁度の測定を行なった。その結果を第1表に示
す。
【0035】
【表1】
【0036】実施例4 グルコース40%,硫酸アンモニウム0.2%を主体とす
る液体培地に各種濃度のコーンスチープリカー(CS
L)を加えた培地を30リットル容ジャーファーメンタ
ーに5リットル仕込み、実施例3(a)で調製したトル
ロプシスsp.SN−7678菌株(FERM P−1
2502)の種培養液300mlを植菌し、下記の条件
で培養を行なった。
【0037】通気量 0.55vvm 缶内圧 0.5kg/cm2 培養温度 30℃ 攪拌数 280rpm 植菌量 4% 初発pH 5 保持pH 5
【0038】培養終了後、HPLC,分光光度計により
培養液のグリセリン,マンニトール及び濁度の測定を行
なった。その結果を第2表に示す。
【0039】
【表2】
【0040】実施例5 30リットル容ジャーファーメンターに、グルコース4
0%,コーンスチープリカー2.5%,硫酸アンモニウム
0.2%から成る液体培地15リットルを仕込み、実施例
3(a)で調製したトルロプシスsp.SN−7678
菌株(FERMP−12502)の種培養液300ml
(植菌量2%)を加え、水酸化カリウムを用い、初発p
Hを5に調整したのち、保持pHを3.0〜5.0の間で変
化させ培養を行なった。結果を第3表に示す。
【0041】
【表3】
【0042】実施例6 グルコース30%,酵母エキス1.5%,酒石酸カリウム
1.5%を含む液体培地(グルコース以外の成分は別に滅
菌した後に加える)3リットルを5リットル容の発酵槽
に入れて実施例2(a)で調製したトルロプシスsp.
SN−7678菌株(FERM P−12502)の種
培養液50mlを加え、温度30℃,通気量1vvm,
回転速度800tpmの条件で5日間培養を行なった。
【0043】培養終了後、HPLC,分光光度計により
培養液の分析を行なったところ、グルコースは完全に消
費されており、培養液中のグリセリン含量は15.7%
(収率52.4%),マンニトールは生成しなかった。
【0044】比較例1 酵母エキス1%,グルコース30%を含む培地50ml
をそれぞれ500ml容三角フラスコに入れ、120℃
で15分間滅菌を行ない、冷却後スラントより親株(S
N−18株)または変異株(SN−7678株 FER
M P−12502)の菌体を1白金耳ずつ植菌した。
2日間30℃で培養後、遠心分離器で菌体を分離し、新
鮮なグルコース液で3回洗浄した。洗浄後の菌体を20
%及び30%のグルコース液に懸濁し、4mlずつ試験
管に分注した。最終濃度0.5%になるように酒石酸カリ
ウムを加え、6日間往復振盪培養を行なった。
【0045】培養終了後、HPLCにより培養液の分析
を行なった結果、対消費グルコース当たりのグリセリン
収率と、副生物のマンニトール収率は第4表に示す通り
であった。
【0046】
【表4】
【0047】比較例2 培地中の炭素減(糖質)の濃度及び窒素源の種類を種々
に変えて、本発明の変異株(SN−7678 FERM
P−12502)及び親株(SN−18株)を下記の
方法に従って培養し、両菌株のグリセリン産生量(収
率)及びマンニトール産生量(収率)を比較した。
【0048】1)試験A コーンスチープリカー2.6%,硫酸アンモニウム0.05
%,グルコース30%,40%または50%を含む培地
をそれぞれ500ml容量の瘤付き三角フラスコに入
れ、120℃で15分間滅菌を行なった。冷却後、培地
のpHを5.0に調整し、これに種培養液1%を接種した
後、30℃、220rpmの条件で4〜7日間培養液の
pHを5以上に調整しつつ培養した。培養終了後、培養
液中のグリセリン,マンニトール及びグルコースの量を
HPLCで測定した。結果を第5表に示す。
【0049】
【表5】
【0050】2)試験B 培地はDifco Nitrogen Base W/O Amino Acid & Ammoniu
m Sulfate を基本とし、これに硫酸アンモニウム(A
S),酢酸アンモニウム(AAc),カザミノ酸,酵母
エキス,コーンスチープリカー(CSL)等の窒素源を
加えたものを使用した。なお、窒素源の添加量は(終濃
度標準量で)0.5%とし、他に酒石酸カリウムを1%添
加した。培養は、それぞれの培地に種培養液1%を接種
した後、30℃で7日間振とう培養し、終了後、試験管
内容物を適宜希釈してグリセリン(GL)及びマンニト
ール(MN)の量を測定した。結果を第6表に示す。
【0051】
【表6】
【0052】第5表及び第6表の結果から、本発明の変
異株のグリセリン高生産性及び副生マンニトールの低生
産性という特徴は培地中の基質の種類,濃度などの違い
にほとんど影響されることなく、常に保持されているこ
とが確認された。
【0053】
【発明の効果】本発明の新規変異株SN−7678株
は、発酵性糖類からのグリセリンへの変換率(対糖収
率)が極めて高く、かつマンニトール等の副生物の産生
が著しく少ないという特性を有している。そのため、本
菌株を用いることにより、グリセリンの商業的な発酵生
産が可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 春見 隆文 茨城県つくば市吾妻2−14−911−204 (72)発明者 貝沼 圭二 茨城県つくば市東2−29−4 (72)発明者 西田 清隆 埼玉県岩槻市城南1−1−28−201 (72)発明者 若生 勝雄 埼玉県行田市持田5−10−2 (72)発明者 落合 敏郎 埼玉県川口市朝日2−1−18 LG川口 309 (72)発明者 川口 嶽 埼玉県行田市壱里町21−6 (72)発明者 小田 恒郎 東京都秋川市下世継128

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生育pH範囲がpH2.5〜7.0であり、
    且つ培養時に副生するマンニトールの量が主生成物であ
    るグリセリンの1/15以下(濃度比)であることを特
    徴とする人工変異株トルロプシスsp.SN−7678
    菌株(微工研菌寄第12502号)。
  2. 【請求項2】 トルロプシスsp.SN−7678菌株
    (微工研菌寄第12502号)を、発酵性糖類を含む培
    地に接種して好気的に培養し、培養液からグリセリンを
    分離、採取することを特徴とするグリセリンの製造方
    法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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GB2459738A (en) * 2008-05-07 2009-11-11 Bai Leng Purification of glycerine
JP2010013367A (ja) * 2008-07-01 2010-01-21 Hitachi Plant Technologies Ltd 超臨界水を用いたアクロレインの製造方法
US9018424B2 (en) 2011-03-30 2015-04-28 Toray Industries, Inc. Method of producing diol or triol

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