JP2696092B2 - 新規微生物を用いるエリスリトールの製造方法 - Google Patents
新規微生物を用いるエリスリトールの製造方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エリスリトール生産能
の高いオーレオバシディウム(Aureobasidium)sp.S
N−124A菌株(FERM P−8745)を用いて
発酵性糖類をエリスリトールに変換することを特徴とす
る発酵によるエリスリトールの製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術および発明が解決しようとする課題】従来
より、エリスリトール生産能を有する微生物としては、
例えばキャンジダ属、デバリオミセス属、トリゴノプシ
ス属、トルロプシス属、ハンゼヌラ属、オーレオバシデ
ィウム属などに属するものが知られている。例えば、特
公昭47−41549号公報にはキャンジダ属、トリゴ
ノプシス属に属する微生物を用いてグリセリンなどの発
酵性糖類をエリスリトールに変換する方法が記載されて
いる。しかしながら、この方法に従えば微生物の耐糖性
の問題から主炭素源としての糖質濃度(基質濃度)に限
界があり、比較的低濃度で発酵を行う必要があり、また
エリスリトールへの変換率も必ずしも十分でないことか
ら、未だ工業的に利用されるに至っていない。 【0003】本発明者等は、先にオーレオバシディウム
属の新規微生物SN−45菌株(FERM P−759
4)を用いてグルコース等の発酵性糖類よりエリスリト
ールを製造する方法(特開昭61−31091)を発明
した。この方法は、比較的高濃度の糖質よりエリスリト
ールを製造することを可能にし、それなりに価値を有す
るものであった。しかしながら、上記方法は菌体生成量
に比べてエリスリトールの収率が充分とはいえない上、
製造時の至適pH、温度等の範囲が狭く、しかもその範
囲から少しでも外れるとエリスリトールの収率が著しく
低下する等の欠点を有し、工業的には必ずしも満足のい
くものではなかった。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明者等は、かねてよ
り生体触媒としての微生物の有用性についてそのポリオ
ール類への変換能の検索を行なってきたが、たまたま、
沖縄県の澱粉工場内の土壌から分離された不完全菌類の
オーレオバシディウム属に属する新規微生物SN−12
4A菌株が、SN−45菌株よりも安定して高いエリス
リトール生産能を有することを見出し、本発明に到達し
たものである。 【0005】即ち、本発明はオーレオバシディウムs
p.SN−124A菌株(FERMP−8745)をグ
ルコースなどの発酵性糖類を主炭素源として含む培地に
接種し、好気的に培養して培養液中にエリスリトールを
生成蓄積せしめ、これを採取することを特徴とする発酵
によるエリスリトールの製造方法に関する。 【0006】以下に本発明を詳細に説明する。本発明に
おいて用いられる微生物オーレオバシディウムsp.S
N−124A菌株は、次のような菌学的性質を有する。 1.培地上の生育状況 1)顕微鏡的所見 栄養細胞の大きさ(*1) 4〜7×4〜15μ 栄養細胞の形状(*1) 菌糸及び酵母様の単胞、卵
形等の形状を示す。 栄養細胞の増殖法(*1) 菌糸及び酵母様細胞の多極
出芽 菌糸体(*2) 真性菌糸を形成し、先端及
び側面に全分芽型分生子を多数生ずる。 (註)*1 YM寒天培地に27℃、5日間培養 *2 ポテトグルコース寒天によるスライド培養 【0007】2)寒天斜面(*3) 生育 良好 光沢 無し 色調 日数の経過に伴い、白色から黒色の
コロニーに変化する (註)*3 YM寒天培地 3)液体培養(*4) 表面生育 厚い皮膜形成 濁度 透明 沈査 大 (註)*4 YM液体培地 【0008】2.子のう胞子の形成 ポテトグルコース寒天培地 形成せず コーンミール寒天培地 形成せず YM寒天培地 形成せず ニンジンエキス寒天培地 形成せず V8 寒天培地 形成せず 【0009】3.生理学的性質 酸素要求性 好気的 生育温度 約40℃まで 最適生育温度 35〜37℃ 生育pH 2.5〜9.5 最適生育pH 4〜7 KNO3 資化性(*5) 有り (NH4)2SO4 資化性(*5) 有り 尿素の分解 有り ゼラチンの液化 無し カロチノイドの生成 無し 有機酸の生成 有り アルブミン 無し デンプン様物質の生成 無し ビタミンの要求性(*5) 有り (註)*5 Wickerham の合成培地を用いた J.Lodder
らの方法により判定 *6 寒天培地 *7 液体培地 【0010】4.糖の発酵性(*5) グルコース ++ ラクトース − ガラクトース − メリビオース − シュクロース ++ ラフィノース − マルトース + セロビオース − トレハロース − イヌリン − 【0011】5.糖、有機酸等の資化性 グルコース ++ D−キシロース ± ガラクトース − エリスリトール + D−アラビノース − L−アラビノース − D−リボース + シュクロース + L−ラムノース − マルトース + エタノール − セロビオース + サリシン − L−ソルボース − リビトール − ガラクチトール − グリセリン + トレハロース − ラクトース − メリビオース − D−マンニトール + ラフィノース − メレチトース − α−メチル−D−グルコシド − イヌリン ± イノシトール − 可溶性デンプン − DL−乳酸 − コハク酸 ± クエン酸 + 【0012】上記のごとき菌学的性質を有する本菌株の
分類学上の位置を THE GENERA OF FUNGI SPORULATING I
N PURE CULTURE (J.A.VON ARX; 1974 年) を参照して検
討した結果、本菌株はYM寒天培地上での培養後期にお
いて日数の経過に伴い白色から黒色のコロニーを形成
し、栄養細胞に菌糸を形成し、多くの Blast sporeを生
じ、かつ厚膜胞子を形成しない、などの特徴を有してい
ることからオーレオバシディウムに属する新規な微生物
であると判断し、オーレオバシディウムsp.SN−1
24A菌株と命名した。 【0013】即ち、本発明の微生物は沖縄県の澱粉工場
内の土壌から常法に従って純粋分離されたもので、オー
レオバシディウム属に属し、栄養細胞が4〜7×4〜1
5μの単胞、卵形等の形状で、多極出芽により増殖し、
子のう胞子は見られず、真性菌糸が見られ、YM寒天培
地上での生育も速く3日間で白色から黒色のコロニーと
なり、液体培地では皮膜を形成し、かつ発酵性糖類を主
としてエリスリトールと少量のグリセリンに変換する能
力を有する。本菌株は、工業技術院生命工学工業技術研
究所に「FERM P−8745」として寄託されてい
る。 【0014】以下に、本発明に係るエリスリトールの製
造方法について述べる。本発明における培養は、通常液
体培地を用いて好気的条件下に攪拌培養により実施され
ることが望ましい。当該液体培地の主炭素源としてはグ
ルコース、フルクトース、シュクロース、マルトースな
どの糖質が使用されるが、これらの糖質の培地中におけ
る量的割合としては10〜40%(w/w)、特に好ま
しくは20〜30%(w/w)の範囲で添加使用される
ことが好ましい。窒素源としては微生物により利用可能
な窒素化合物、例えば酵母エキス、ペプトン、麦芽エキ
ス、カザミノ酸、コーンスチープリカーなどが使用され
る。また、培地に加える無機塩類としては、例えば硫酸
第一鉄、塩化カリウム、塩化ナトリウム、リン酸二水素
カリウム、水酸化カルシウムなどの塩類が使用される。
更に、必要に応じて酵母の生育に必要な各種の有機物、
無機物あるいは通常用いられる消泡剤などを添加するこ
とが出来る。 【0015】培養は、前記組成からなる液体培地に微生
物菌体を直接接種するか、又は、別に前培養によって得
られる種培養液を接種して行なわれる。この種培養液の
調製は、例えばグルコース20%(w/w)、コーンス
チープリカー2.0%を含むpH5〜6の液体培地に斜
面培養した菌を1白金耳接種して34〜36℃の温度で
2〜4日間培養することにより行われる。 【0016】培養温度は微生物が生育しうる範囲内、即
ち30〜38℃で行なわれるが、特に好ましくは35〜
37℃の範囲である。また、培地のpHは4〜9、好ま
しくは5〜7の範囲で調節される。培養期間は使用する
培地の種類及び主炭素源である糖質の濃度により異なる
が、通常4〜10日間程度である。本発明における培養
は、培地の栄養源が最大限に利用され、かつ培養液中の
エリスリトールの生成量が最高に達した時点で培養を終
了させることが望ましい。 【0017】尚、培養液中のエリスリトールの生成量は
ガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー
などの周知の方法を用いて速やかに測定することが出来
る。かくして、培養液中に蓄積されたエリスリトール
は、常法に従って培養液中から分離される。即ち、かか
る場合に当該分野において通常使用されている周知の手
段、例えばろ過、遠心分離、イオン交換又は吸着クロマ
トグラフィー、溶媒抽出、蒸留、結晶化などの操作が必
要に応じて適宜組み合わせて用いられる。一例を挙げれ
ば、培養液からろ過、遠心分離などによって菌体を除去
し、次いでこの液を活性炭で処理して着色物質などを除
き、更にイオン交換樹脂により脱イオンした後、液を濃
縮してシロップとする。次に、このシロップからエリス
リトールを結晶化して分離する。エリスリトールを分離
した後の母液中にグリセリンが含まれている場合には、
これを更に減圧蒸留により精製してグリセリンを得るこ
とができる。 【0018】 【実施例】次に、実施例を示し、本発明の態様を更に具
体的に説明する。 実施例1 グルコース20%(w/w)、予めpH6.0に調整し
たコーンスチープリカー2.0%、ソルビタン脂肪酸エ
ステル0.1%及びシリコン系消泡剤0.03%を含む
培地5kgを7リットル容の発酵槽に入れ、120℃、
20分間滅菌した。放冷後、無菌的に培地pHを5.5
に調整した。これに上記と同様の培地で3日間培養を行
なったオーレオバシディウムsp.SN−124A菌株
(FERM P−8745)の種培養液 200mlを
加え、35℃、400rpm、通気量1リットル/mi
nで7日間培養を行なった。その結果、この培養液中に
467gのエリスリトール及び痕跡程度のグリセリンが
蓄積された。 【0019】この培養液から菌体を遠心分離して除去
し、活性炭による脱色及びイオン交換樹脂(IRA−4
10:IR−120B=2:1)による脱塩を行なっ
た。次いで、濃縮し、5℃に保存することにより結晶を
得た。この結晶を溶解し、同様の方法により再結晶し
た。得られた多面体様の白色結晶は爽やかな甘味を有
し、その融点は121℃であった。NMR、旋光度、液
体クロマトグラフィー及びガスクロマトグラフィー等の
測定結果からこの白色結晶はエリスリトールと同定され
た。 【0020】実施例2 グルコース30%(w/w)、コーンスチープリカー
(pH6.0調整液)3.2%を含む培地50gを50
0mlの三角フラスコに入れ、滅菌、冷却後培地pHを
6.0に調整した。これに実施例1と同様の種培養液2
mlを接種し、35℃、180rpmで10日間振とう
培養を行なった。その結果、この培養液中に5.9gの
エリスリトール及び1.4gのグリセリンが蓄積され
た。 【0021】実施例3 シュクロース20%(w/w)、酵母エキス0.5%を
含む培地50gを500mlの三角フラスコに入れ、1
20℃、15分間滅菌した。冷後培地pHを6.0に調
整し、これにオーレオバシディウムsp.SN−124
A菌株(FERM P−8745)を接種し、35℃、
180rpmで7日間振とう培養を行なった。その結
果、培養液中に4.2gのエリスリトールが蓄積され、
グリセリンの蓄積は認められなかった。 【0022】実施例4 酵母エキス0.5%、グルコース10〜30%(w/
w)を含む培地50gを500mlの三角フラスコに入
れ、120℃、15分間滅菌を行なった。冷後、培地p
Hを5.5に調整し、これに種培養液(オーレオバシデ
ィウムsp.SN−124A菌株(FERM P−87
45)をグルコース20%、酵母エキス0.5%から成
る培地を用い、35℃、3日間培養した培養液)2ml
を接種し、35℃、180rpmで4〜11日間振とう
培養を行なった。その結果は第1表に示す通りであっ
た。 【0023】 【表1】 【0024】実施例5 グルコース20%(w/w)、酵母エキス0.5%から
成る培地50gずつを8本の500ml三角フラスコに
入れ、滅菌を行なった。冷後、1N塩酸又は1N水酸化
ナトリウムで培地pHを2.9〜10.1の間になるよ
うに調整した。次いで、得られたそれぞれの培地に種
菌、オーレオバシディウムsp.SN−124A菌株
(FERM P−8745号)を接種し、35℃、18
0rpmで7日間振とう培養を行なった。その結果、第
2表に示すような収率でエリスリトールが得られた。 【0025】 【表2】【0026】 【発明の効果】本発明によれば、オーレオバシディウム
属に属する菌株を用いる発酵法によってエリスリトール
を極めて効率よく製造することができる。
の高いオーレオバシディウム(Aureobasidium)sp.S
N−124A菌株(FERM P−8745)を用いて
発酵性糖類をエリスリトールに変換することを特徴とす
る発酵によるエリスリトールの製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術および発明が解決しようとする課題】従来
より、エリスリトール生産能を有する微生物としては、
例えばキャンジダ属、デバリオミセス属、トリゴノプシ
ス属、トルロプシス属、ハンゼヌラ属、オーレオバシデ
ィウム属などに属するものが知られている。例えば、特
公昭47−41549号公報にはキャンジダ属、トリゴ
ノプシス属に属する微生物を用いてグリセリンなどの発
酵性糖類をエリスリトールに変換する方法が記載されて
いる。しかしながら、この方法に従えば微生物の耐糖性
の問題から主炭素源としての糖質濃度(基質濃度)に限
界があり、比較的低濃度で発酵を行う必要があり、また
エリスリトールへの変換率も必ずしも十分でないことか
ら、未だ工業的に利用されるに至っていない。 【0003】本発明者等は、先にオーレオバシディウム
属の新規微生物SN−45菌株(FERM P−759
4)を用いてグルコース等の発酵性糖類よりエリスリト
ールを製造する方法(特開昭61−31091)を発明
した。この方法は、比較的高濃度の糖質よりエリスリト
ールを製造することを可能にし、それなりに価値を有す
るものであった。しかしながら、上記方法は菌体生成量
に比べてエリスリトールの収率が充分とはいえない上、
製造時の至適pH、温度等の範囲が狭く、しかもその範
囲から少しでも外れるとエリスリトールの収率が著しく
低下する等の欠点を有し、工業的には必ずしも満足のい
くものではなかった。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明者等は、かねてよ
り生体触媒としての微生物の有用性についてそのポリオ
ール類への変換能の検索を行なってきたが、たまたま、
沖縄県の澱粉工場内の土壌から分離された不完全菌類の
オーレオバシディウム属に属する新規微生物SN−12
4A菌株が、SN−45菌株よりも安定して高いエリス
リトール生産能を有することを見出し、本発明に到達し
たものである。 【0005】即ち、本発明はオーレオバシディウムs
p.SN−124A菌株(FERMP−8745)をグ
ルコースなどの発酵性糖類を主炭素源として含む培地に
接種し、好気的に培養して培養液中にエリスリトールを
生成蓄積せしめ、これを採取することを特徴とする発酵
によるエリスリトールの製造方法に関する。 【0006】以下に本発明を詳細に説明する。本発明に
おいて用いられる微生物オーレオバシディウムsp.S
N−124A菌株は、次のような菌学的性質を有する。 1.培地上の生育状況 1)顕微鏡的所見 栄養細胞の大きさ(*1) 4〜7×4〜15μ 栄養細胞の形状(*1) 菌糸及び酵母様の単胞、卵
形等の形状を示す。 栄養細胞の増殖法(*1) 菌糸及び酵母様細胞の多極
出芽 菌糸体(*2) 真性菌糸を形成し、先端及
び側面に全分芽型分生子を多数生ずる。 (註)*1 YM寒天培地に27℃、5日間培養 *2 ポテトグルコース寒天によるスライド培養 【0007】2)寒天斜面(*3) 生育 良好 光沢 無し 色調 日数の経過に伴い、白色から黒色の
コロニーに変化する (註)*3 YM寒天培地 3)液体培養(*4) 表面生育 厚い皮膜形成 濁度 透明 沈査 大 (註)*4 YM液体培地 【0008】2.子のう胞子の形成 ポテトグルコース寒天培地 形成せず コーンミール寒天培地 形成せず YM寒天培地 形成せず ニンジンエキス寒天培地 形成せず V8 寒天培地 形成せず 【0009】3.生理学的性質 酸素要求性 好気的 生育温度 約40℃まで 最適生育温度 35〜37℃ 生育pH 2.5〜9.5 最適生育pH 4〜7 KNO3 資化性(*5) 有り (NH4)2SO4 資化性(*5) 有り 尿素の分解 有り ゼラチンの液化 無し カロチノイドの生成 無し 有機酸の生成 有り アルブミン 無し デンプン様物質の生成 無し ビタミンの要求性(*5) 有り (註)*5 Wickerham の合成培地を用いた J.Lodder
らの方法により判定 *6 寒天培地 *7 液体培地 【0010】4.糖の発酵性(*5) グルコース ++ ラクトース − ガラクトース − メリビオース − シュクロース ++ ラフィノース − マルトース + セロビオース − トレハロース − イヌリン − 【0011】5.糖、有機酸等の資化性 グルコース ++ D−キシロース ± ガラクトース − エリスリトール + D−アラビノース − L−アラビノース − D−リボース + シュクロース + L−ラムノース − マルトース + エタノール − セロビオース + サリシン − L−ソルボース − リビトール − ガラクチトール − グリセリン + トレハロース − ラクトース − メリビオース − D−マンニトール + ラフィノース − メレチトース − α−メチル−D−グルコシド − イヌリン ± イノシトール − 可溶性デンプン − DL−乳酸 − コハク酸 ± クエン酸 + 【0012】上記のごとき菌学的性質を有する本菌株の
分類学上の位置を THE GENERA OF FUNGI SPORULATING I
N PURE CULTURE (J.A.VON ARX; 1974 年) を参照して検
討した結果、本菌株はYM寒天培地上での培養後期にお
いて日数の経過に伴い白色から黒色のコロニーを形成
し、栄養細胞に菌糸を形成し、多くの Blast sporeを生
じ、かつ厚膜胞子を形成しない、などの特徴を有してい
ることからオーレオバシディウムに属する新規な微生物
であると判断し、オーレオバシディウムsp.SN−1
24A菌株と命名した。 【0013】即ち、本発明の微生物は沖縄県の澱粉工場
内の土壌から常法に従って純粋分離されたもので、オー
レオバシディウム属に属し、栄養細胞が4〜7×4〜1
5μの単胞、卵形等の形状で、多極出芽により増殖し、
子のう胞子は見られず、真性菌糸が見られ、YM寒天培
地上での生育も速く3日間で白色から黒色のコロニーと
なり、液体培地では皮膜を形成し、かつ発酵性糖類を主
としてエリスリトールと少量のグリセリンに変換する能
力を有する。本菌株は、工業技術院生命工学工業技術研
究所に「FERM P−8745」として寄託されてい
る。 【0014】以下に、本発明に係るエリスリトールの製
造方法について述べる。本発明における培養は、通常液
体培地を用いて好気的条件下に攪拌培養により実施され
ることが望ましい。当該液体培地の主炭素源としてはグ
ルコース、フルクトース、シュクロース、マルトースな
どの糖質が使用されるが、これらの糖質の培地中におけ
る量的割合としては10〜40%(w/w)、特に好ま
しくは20〜30%(w/w)の範囲で添加使用される
ことが好ましい。窒素源としては微生物により利用可能
な窒素化合物、例えば酵母エキス、ペプトン、麦芽エキ
ス、カザミノ酸、コーンスチープリカーなどが使用され
る。また、培地に加える無機塩類としては、例えば硫酸
第一鉄、塩化カリウム、塩化ナトリウム、リン酸二水素
カリウム、水酸化カルシウムなどの塩類が使用される。
更に、必要に応じて酵母の生育に必要な各種の有機物、
無機物あるいは通常用いられる消泡剤などを添加するこ
とが出来る。 【0015】培養は、前記組成からなる液体培地に微生
物菌体を直接接種するか、又は、別に前培養によって得
られる種培養液を接種して行なわれる。この種培養液の
調製は、例えばグルコース20%(w/w)、コーンス
チープリカー2.0%を含むpH5〜6の液体培地に斜
面培養した菌を1白金耳接種して34〜36℃の温度で
2〜4日間培養することにより行われる。 【0016】培養温度は微生物が生育しうる範囲内、即
ち30〜38℃で行なわれるが、特に好ましくは35〜
37℃の範囲である。また、培地のpHは4〜9、好ま
しくは5〜7の範囲で調節される。培養期間は使用する
培地の種類及び主炭素源である糖質の濃度により異なる
が、通常4〜10日間程度である。本発明における培養
は、培地の栄養源が最大限に利用され、かつ培養液中の
エリスリトールの生成量が最高に達した時点で培養を終
了させることが望ましい。 【0017】尚、培養液中のエリスリトールの生成量は
ガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー
などの周知の方法を用いて速やかに測定することが出来
る。かくして、培養液中に蓄積されたエリスリトール
は、常法に従って培養液中から分離される。即ち、かか
る場合に当該分野において通常使用されている周知の手
段、例えばろ過、遠心分離、イオン交換又は吸着クロマ
トグラフィー、溶媒抽出、蒸留、結晶化などの操作が必
要に応じて適宜組み合わせて用いられる。一例を挙げれ
ば、培養液からろ過、遠心分離などによって菌体を除去
し、次いでこの液を活性炭で処理して着色物質などを除
き、更にイオン交換樹脂により脱イオンした後、液を濃
縮してシロップとする。次に、このシロップからエリス
リトールを結晶化して分離する。エリスリトールを分離
した後の母液中にグリセリンが含まれている場合には、
これを更に減圧蒸留により精製してグリセリンを得るこ
とができる。 【0018】 【実施例】次に、実施例を示し、本発明の態様を更に具
体的に説明する。 実施例1 グルコース20%(w/w)、予めpH6.0に調整し
たコーンスチープリカー2.0%、ソルビタン脂肪酸エ
ステル0.1%及びシリコン系消泡剤0.03%を含む
培地5kgを7リットル容の発酵槽に入れ、120℃、
20分間滅菌した。放冷後、無菌的に培地pHを5.5
に調整した。これに上記と同様の培地で3日間培養を行
なったオーレオバシディウムsp.SN−124A菌株
(FERM P−8745)の種培養液 200mlを
加え、35℃、400rpm、通気量1リットル/mi
nで7日間培養を行なった。その結果、この培養液中に
467gのエリスリトール及び痕跡程度のグリセリンが
蓄積された。 【0019】この培養液から菌体を遠心分離して除去
し、活性炭による脱色及びイオン交換樹脂(IRA−4
10:IR−120B=2:1)による脱塩を行なっ
た。次いで、濃縮し、5℃に保存することにより結晶を
得た。この結晶を溶解し、同様の方法により再結晶し
た。得られた多面体様の白色結晶は爽やかな甘味を有
し、その融点は121℃であった。NMR、旋光度、液
体クロマトグラフィー及びガスクロマトグラフィー等の
測定結果からこの白色結晶はエリスリトールと同定され
た。 【0020】実施例2 グルコース30%(w/w)、コーンスチープリカー
(pH6.0調整液)3.2%を含む培地50gを50
0mlの三角フラスコに入れ、滅菌、冷却後培地pHを
6.0に調整した。これに実施例1と同様の種培養液2
mlを接種し、35℃、180rpmで10日間振とう
培養を行なった。その結果、この培養液中に5.9gの
エリスリトール及び1.4gのグリセリンが蓄積され
た。 【0021】実施例3 シュクロース20%(w/w)、酵母エキス0.5%を
含む培地50gを500mlの三角フラスコに入れ、1
20℃、15分間滅菌した。冷後培地pHを6.0に調
整し、これにオーレオバシディウムsp.SN−124
A菌株(FERM P−8745)を接種し、35℃、
180rpmで7日間振とう培養を行なった。その結
果、培養液中に4.2gのエリスリトールが蓄積され、
グリセリンの蓄積は認められなかった。 【0022】実施例4 酵母エキス0.5%、グルコース10〜30%(w/
w)を含む培地50gを500mlの三角フラスコに入
れ、120℃、15分間滅菌を行なった。冷後、培地p
Hを5.5に調整し、これに種培養液(オーレオバシデ
ィウムsp.SN−124A菌株(FERM P−87
45)をグルコース20%、酵母エキス0.5%から成
る培地を用い、35℃、3日間培養した培養液)2ml
を接種し、35℃、180rpmで4〜11日間振とう
培養を行なった。その結果は第1表に示す通りであっ
た。 【0023】 【表1】 【0024】実施例5 グルコース20%(w/w)、酵母エキス0.5%から
成る培地50gずつを8本の500ml三角フラスコに
入れ、滅菌を行なった。冷後、1N塩酸又は1N水酸化
ナトリウムで培地pHを2.9〜10.1の間になるよ
うに調整した。次いで、得られたそれぞれの培地に種
菌、オーレオバシディウムsp.SN−124A菌株
(FERM P−8745号)を接種し、35℃、18
0rpmで7日間振とう培養を行なった。その結果、第
2表に示すような収率でエリスリトールが得られた。 【0025】 【表2】【0026】 【発明の効果】本発明によれば、オーレオバシディウム
属に属する菌株を用いる発酵法によってエリスリトール
を極めて効率よく製造することができる。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所
C12R 1:645)
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 1.オーレオバシディウムsp.SN−124A菌株
(FERMP−8745)をグルコースなどの発酵性糖
類を主炭素源として含む培地に接種し、好気的に培養し
て培養液中にエリスリトールを生成蓄積せしめ、これを
採取することを特徴とする発酵によるエリスリトールの
製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23969794A JP2696092B2 (ja) | 1994-09-08 | 1994-09-08 | 新規微生物を用いるエリスリトールの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23969794A JP2696092B2 (ja) | 1994-09-08 | 1994-09-08 | 新規微生物を用いるエリスリトールの製造方法 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP21066986A Division JPH0722504B2 (ja) | 1986-09-09 | 1986-09-09 | 新規微生物及びそれを用いるエリスリト−ルの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07203978A JPH07203978A (ja) | 1995-08-08 |
JP2696092B2 true JP2696092B2 (ja) | 1998-01-14 |
Family
ID=17048581
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP23969794A Expired - Lifetime JP2696092B2 (ja) | 1994-09-08 | 1994-09-08 | 新規微生物を用いるエリスリトールの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2696092B2 (ja) |
-
1994
- 1994-09-08 JP JP23969794A patent/JP2696092B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH07203978A (ja) | 1995-08-08 |
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