JPH05131220A - 複合金属板の曲げ加工方法 - Google Patents

複合金属板の曲げ加工方法

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JPH05131220A
JPH05131220A JP29326891A JP29326891A JPH05131220A JP H05131220 A JPH05131220 A JP H05131220A JP 29326891 A JP29326891 A JP 29326891A JP 29326891 A JP29326891 A JP 29326891A JP H05131220 A JPH05131220 A JP H05131220A
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bending
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composite metal
punch
die
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Jiro Iwatani
二郎 岩谷
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 二枚の表皮金属板の間に樹脂層ないしは空気
層を介在させてなる複合金属板の曲げ加工するについ
て、汎用的な構成の曲げ金型のもとで、“かもめ”現象
の発生を抑制してなお、シャープな曲げ線を得る。 【構成】 複合金属板(1) の一側を平面ポンチ(2) と平
面パッド(4) とによって所定のパッド圧力Pで挟持し、
これをダイス(3)に向けて圧下させて他側を折曲げる曲
げ方法を採用し、平面ポンチ(2) とダイス(3) との間の
クリアランスCを複合金属板(1) の板厚の80%〜11
0%の範囲内の値とし、平面ポンチ(2) の成形ストロー
クLを10mm以上とする。また、上記のパッド圧力P
は、P≧(C/3×W×t×σB )/4にて求めた値と
する。但し、Cは1または2の整数値をとる定数、Wは
複合金属板の挟持幅(mm)、tは表皮金属板の厚さ(mm)、
σB は表皮金属板の引張強度(N/mm2) 。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、二枚の表皮金属板の間
に樹脂層ないしは空気層を介在させてなる複合金属板の
曲げ加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、家具、電気部品、自動車部品等の
各種機械器具の構造部材、あるいは他の発生源から発生
する振動や騒音を防止するため、その制振部材として、
振動減衰機能を有す粘弾性樹脂層を中間に配した制振鋼
板をはじめとして、振動減衰機能を有す軟質金属層を中
間に配した複合金属板や、金属板間に空気層を形成させ
て積層した複合金属板等が開発されて実用に供されてい
る。また、軽量化の観点から、中間層として樹脂や軽金
属等の軽量材を用いた複合金属板も開発され、実用化さ
れ始めている。
【0003】そして、これら複合金属板は、その構造
上、単層金属板に比較して深絞り等の成形性に劣るた
め、主として曲げ加工用途に使用されている。しかし、
これら複合金属板は、〔図5〕に示すように、通常の単
層金属板の曲げ加工に常套的に適用されるパンチ(11)と
V型ダイ(12)を用いてプレス曲げ加工すると、当該複合
金属板(10)が、本来平坦であるべきフランジ部におい
て、ある角度θをもって曲げ方向の反対側に折れ曲がる
という現象、いわゆる“かもめ”現象が発生し易いとい
う問題点を有している。
【0004】そこで、“かもめ”現象による複合金属板
の形状不良の発生を防止するため、従来より、そのプレ
ス曲げ加工方法および曲げ金型について各方面から種々
の検討が加えられ、各種の提案がなされている。これら
提案の代表的なものを挙げると、例えば、制振鋼板の
表裏二枚の鋼板に板厚差を付け、その薄い方の鋼板を曲
げ外側にしてV曲げ加工する方法(特開昭60-72724号公
報)や、曲げ対象部位の表裏いずれかの表皮金属板に切
欠や溝を設け、この切欠や溝に沿ってV曲げ加工する方
法などのように、成形対象の複合金属板に、予め何らか
の処置や予備加工を施すもの: 〔図6〕および〔図7〕に示すように、パンチ(21),
(31) の下降に応動してV字状に角度を変更する鋼板受
(23),(33) 等をダイ(22),(32) に設けたV曲げ金型(特
開昭62-127125,62-127127号公報)や、〔図8〕に示す
ように、V型ダイ(42)と複合金属板(40)との間に、この
複合金属板(40)よりも厚い鋼板(41)を配してV曲げ加工
する方法(特開昭62-127126 号公報)などのように、曲
げ加工に際して、複合金属板の曲げ外側の表皮金属板の
移動を規制するもの: 〔図9〕に示すように、パンチ(51)の下降に応動し、
一定の背圧のもとで両側方に移動する対のダイ(52)を設
けたV曲げ金型(特開昭63-13620号)などのように、曲
げ加工に際して、複合金属板(50)の曲げ外側の表皮金属
板のフランジ部近傍に“しごき”を与えるもの: 〔図10〕の (a)図に示すように、複合金属板(60)
に、曲げ対象部位に沿う突条(61)を形成し、次いで、同
(b)図に示すように、この突条突条(61)の突出方向と逆
に曲げ加工する方法(特公昭63-43618号)等のように、
予め、曲げ対象部位の中心部を本来の曲げ方向と異なる
方向に曲げ加工を施すもの等がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来技術には、それぞれ以下の問題点がある。すなわち、
表皮金属板に板厚差を付けたり、切欠や溝を設けたり
する方法では、“かもめ”現象の発生を抑止でき、かつ
シヤープな曲げ線が得られるものの、その工程が煩雑に
なり生産性に劣るだけでなく、構造強度に影響する表皮
金属板の不等厚や切欠・溝などのために、その用途範囲
に大きな制約が生じる。また、曲げ外側の表皮金属板
の移動を規制する金型や方法では、“かもめ”現象を抑
制する効果は認められるものの、その抑制効果には限界
があり、更に、〔図6〕および〔図7〕に示す金型では
その構造が複雑となり、また、〔図8〕に示す方法では
曲げ加工の都度にバックアップ用の鋼板が必要で経済性
に劣る。また、曲げ外側の表皮金属板に“しごき”を
与える金型では、その構造が複雑となるに加え、“しご
き”により製品表面に疵が生じ易いという問題がある。
また、〔図10〕に示す方法では、“かもめ”現象の
発生を抑止できるものの、その効果を得るには曲げ部に
おける表裏の表皮金属板の剥離が必至となるため腐食の
問題が派生し、加えて、その曲げ工程が2工程となり生
産性に劣る。更にまた、これら突き曲げ(V曲げ)方式
を採る従来の曲げ加工方法では、表皮金属板に板厚差を
付けたり切欠や溝を設ける方法を除き、シャープな曲げ
線が得難いという問題もあり、これら問題点の解決が望
まれていた。
【0006】本発明は、上記従来技術の問題点を解決す
るためになされたもので、汎用的な構成の曲げ金型のも
とで、“かもめ”現象の発生を抑制できてなお、シャー
プな曲げ線が得られる複合金属板の曲げ加工方法の提供
を目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明は以下の構成とされている。すなわち、本
発明に係る複合金属板の曲げ加工方法は、二枚の表皮金
属板の間に樹脂層ないしは空気層を介在させてなる複合
金属板の一側を平面ポンチと平面パッドとにより所定の
パッド圧力Pで挟持し、これをダイスに向けて圧下させ
て他側を折曲げる複合金属板の曲げ加工方法であって、
平面ポンチとダイスとの間のクリアランスを複合金属板
の板厚の80%〜110%の範囲内の値とし、ポンチの
成形ストロークを10mm以上とし、かつ、パッド圧力P
を下記式を満足する値としたことを特徴とするものであ
る。 P≧(C/3×W×t×σB )/4 但し、Cは1ないしは2の整数値をとる定数、Wは複合
金属板の平面ポンチと平面パッドとによる挟持幅(mm)、
tは表皮金属板の厚さ(mm)、σB は表皮金属板の引張強
度(N/mm2) 。
【0008】
【作用】複合金属板を曲げ加工する際に発生する“かも
め”現象は、その曲げ部に生じる内外面の線長差に起因
するフランジ部における表裏の表皮金属板間のズレによ
って引き起こされるので、“かもめ”現象の発生を抑制
するには、その曲げ加工に際して、曲げ部の両側におけ
る表裏の表皮金属板間のズレを規制し、曲げ部における
外側の表皮金属板に内側の表皮金属板よりも大きな伸び
量の塑性変形を起こさせることが有効である。
【0009】本発明者は、この観点より各種曲げ加工方
法を比較検討した結果、複合金属板の一側を平面ポンチ
と平面パッドとで挟持し、これをダイスに向けて圧下さ
せて他側を折曲げる、いわゆるL曲げ加工方法に着目
し、この手法のもとで種々の加工条件による曲げ加工を
行い、その過程および結果より以下の知見を得た。
【0010】すなわち、この手法において、“かもめ”
現象の発生は、金型のクリアランスとポンチの成形スト
ロークとの影響を大きく受ける。これは、その一側は、
平面ポンチと平面パッドとによるパッド圧力にて表裏の
表皮金属板間にズレが生じることを抑制されるのに対し
て、他側は、ダイスと平面ポンチとの間に引き込まれて
折曲げられるので、その表裏の表皮金属板間にズレが生
じるのであるが、その過程でダイスと平面ポンチとの接
触により表裏で差のある面抵抗を受け、この面抵抗の差
によってズレ量が変動するためで、またこのことは、ダ
イスと平面ポンチ間のクリアランスと成形ストロークと
によって大きく影響されるからである。従って、ダイス
と平面ポンチの間のクリアランスとポンチの成形ストロ
ークとを適切な値に設定するとき、ダイス側(曲げ外
側)の表皮金属板に加わる曲げ方向への力をポンチの側
の(曲げ内側)の表皮金属板よりも大きくして表裏の表
皮金属板間のズレを規制でき、結果として“かもめ”現
象の発生を抑制できる。
【0011】そして、この知見のもとで更に詳細な検討
加えて以下の結論を得た。すなわち、金型のクリアラン
スは、〔図4〕のグラフに示すように、成形対象の複合
金属板の板厚(1.0mm )の 110%( + 0.1mm)以下とし
たときに“かもめ”現象の発生を抑制できるが、 110%
を超えると、ポンチの成形ストロークを大きくしても
“かもめ”現象を抑制できない。また金型のクリアラン
スは、小さくするほど抑制効果が高まるが、成形対象の
複合金属板の板厚の80%よりも小さくすると、型カジリ
が生じ易くなり製品品質の安定性や生産性を阻害するの
で好ましくない。
【0012】一方、ポンチの成形ストロークは、大きく
するほど“かもめ”現象の抑制に効果があるが、〔図
4〕のグラフに示すように、10mmを超えた領域では抑制
効果が飽和した状態になってゆくので、生産性やプレス
能力の面から、10mm以上において可能なだけ小さいく設
定するのが効率的である。
【0013】また、パッド圧力は、平面ポンチと平面パ
ッドとで挟持する複合金属板の表裏の表皮金属板間にズ
レが生じることを抑止できる圧力で良く、これは、当該
複合金属板の上下面を、平面ポンチおよび平面パッドに
密着させるために必要な最小荷重以上、すなわち、P≧
(C/3×W×t×σB )/4で表される数式で求めら
れるパッド圧力Pで足りる。〔但し、Cは1ないしは2
の整数値をとる定数、Wは複合金属板の平面ポンチと平
面パッドとによる挟持幅(mm)、tは表皮金属板の厚さ(m
m)、σB は表皮金属板の引張強度(N/mm2) である。ま
た、定数Cの値は、rp(ポンチ肩のR)やrd(ダイ
ス肩のR)が小さい時には1を選び、これらが大きい時
には2を選ぶ。〕
【0014】本発明方法は、上記検討結果から把握され
た諸条件に基づいて完成されたものであって、成形対象
の複合金属板の一側を、平面ポンチと平面パッドとによ
り定量化されたパッド圧力Pで挟持して、この一側のフ
ランジ部における表裏の表皮金属板間のズレを規制する
一方で、当該複合金属板の他側を、定量化された平面ポ
ンチとダイスとの間のクリアランスとポンチの成形スト
ロークのもとで折曲げることにより、この他側のフラン
ジ部における表裏の表皮金属板間のズレを規制して、曲
げ部における外側の表皮金属板に内側の表皮金属板より
も大きな伸び量の塑性変形を起こさせ、もって“かも
め”現象の発生を抑制することができる。
【0015】なお、本発明におけるポンチの成形ストロ
ークとは、ポンチの下面がダイスの上面から圧下停止点
に達するまでの距離を言う。
【0016】
【実施例】以下に、本発明の実施例を〔図1〕を用いて
説明する。〔図1〕は本発明の実施例の曲げ加工方法の
概念説明図であって、 (a)図は曲げ成形の開始時点の状
態を示す説明図、 (b)図は曲げ成形の初期段階の状態を
示す説明図、 (c)図は曲げ成形の終了時点の状態を示す
説明図である。
【0017】〔図1〕において、(1) は複合金属板であ
って、この複合金属板(1) は、被成形材であって、例え
ば、2枚の表皮金属板(1a),(1c) の間に粘弾性樹脂層(1
b)を介在させてなる制振複合金属板である。
【0018】(2) は平面ポンチであって、この平面ポン
チ(2) は、下端に平坦な加圧面(2a)を有すると共に、そ
の一側方に加圧面(2a)に90度の角度で直交する成形面(2
b)を有するもので、ここでは図示を省略したプレスの加
圧ラムに取付けられている。
【0019】(3) はダイスであって、このダイス(3)
は、平面ポンチ(2) の成形面(2b)に対向する一側方に、
垂直方向の成形面(3a)を有するもので、その成形面(3a)
が、平面ポンチ(2) の成形面(2b)と所定のクリアランス
Cを隔てて平行となる平面ポンチ(2) 下方の定位置に配
設されている。
【0020】ここで、本実施例においては、ダイス(3)
と平面ポンチ(2) とのクリアランスCを、複合金属板
(1) の板厚の80%〜 110%の範囲内から選定した値と
し、平面ポンチ(2) の成形ストロークLを10mm以上に設
定する。
【0021】(4) は平面パッドであって、この平面パッ
ド(4) は、上端を平面ポンチ(2) の加圧面(2a)と同外郭
形状の平面に形成され、その上面を平面ポンチ(2) の加
圧面(2a)に対向させる一方で、クッションピン(5) に支
持されて、所定の背圧のもとで上下動可能に、平面ポン
チ(2) の下方に配設されている。また、この平面パッド
(4) の上昇限は、その上面がダイス(3) 上面より僅かに
高くなる高さ位置とされる。また、この平面パッド(4)
を支持するクッションピン(5) は、ここでは図示を省略
したプレスが備える油圧機構に連結されている。この平
面パッド(4) は、上記構成のもとで、その上にセットさ
れた複合金属板(1) を、圧下させられる平面ポンチ(2)
とで挟持して、パッド圧力Pを負荷させながら、該平面
ポンチ(2)の圧下に応動して下降する。なお、パッド圧
力Pは、挟持する複合金属板(1) の表裏面を平面ポンチ
および平面パッドに密着させて、その表裏の表皮金属板
(1a),(1c) 間にズレが生じることを抑止できる圧力で良
く、その値は、P≧(C/3×W×t×σB )/4で表
される数式で求められる。〔但し、Cは1ないしは2の
整数値をとる定数、Wは複合金属板の挟持幅(mm)、tは
表皮金属板の厚さ(mm)、σB は表皮金属板の引張強度(N
/mm2) であり、また定数Cの値は、rp(ポンチ肩の
R)およびrd(ダイス肩のR)が小さい時には1を選
び、これらが大きい時には2を選ぶ。〕
【0022】本実施例では、まず、被成形材としての複
合金属板(1) を、その一側方における所望のフランジ長
さ分を、平面ポンチ(2) の成形面(2b)側からダイス(3)
側に向けて出して、すなわち、その曲げ予定線を平面ポ
ンチ(2) の肩部と合致させて、平面パッド(4) 上にセッ
トする。
【0023】次いで、平面ポンチ(2) を圧下させて、
(a)図に示すように、平面ポンチ(2)の加圧面(2a)を、平
面パッド(4) 上の複合金属板(1) に接触させる。このと
き、複合金属板(1) には、圧下する平面ポンチ(2) と所
定の背圧のもとで支持されている平面パッド(4) とで挟
持されて、前記パッド圧Pが負荷される。
【0024】続いて、このように複合金属板(1) を挟持
した状態で、平面ポンチ(2) を圧下させると、ダイス
(3) 側に出した複合金属板(1) のフランジ部が、ダイス
(3) に接触し、 (b)図に示すように、このダイス(3) の
肩部によって曲げ起こされる。
【0025】そして、この曲げ成形の初期段階におい
て、複合金属板(1) の曲げ線近傍に、“かもめ”現象の
原因となる表裏の表皮金属板(1a),(1c) 間のズレが発生
するが、平面ポンチ(2) と平面パッド(4) とで挟持され
ている側には、パッド圧が負荷されているためズレが発
生せず、ダイス(3) で曲げ起こされるフランジ部側のみ
にズレが発生することになる。
【0026】しかし、本実施例では、この状態から更に
平面ポンチ(2) を圧下させるので、すなわち、その成形
ストロークLを10mm以上とするので、ダイス(3) で曲げ
起こされるフランジ部は、続く平面ポンチ(2) の圧下に
よって (c)図に示すように、平面ポンチ(2) の成形面(2
b)とダイス(3) の成形面(3a)との間に引き込まれる。
【0027】そして、この過程において、複合金属板
(1) のフランジ部の平面ポンチ(2) 側(曲げ外側)の表
皮金属板(1a)は、この平面ポンチ(2) の成形面(2b)に向
けて押し付けられて、この成形面(2b)との相対移動量が
小さいまま、曲げ成形が終了するのに対して、同フラン
ジ部のダイス(3) 側(曲げ外側)の表皮金属板(1c)は、
ダイス(3) の成形面(3a)との相対移動量が大きいため、
この成形面(3a)との接触によって、引き込み方向と逆な
方向(曲げ方向)への大きな面抵抗を受けた上で成形が
終了する。すなわち、同フランジ部の表裏の表皮金属板
(1a),(1c) は互いに差のある面抵抗を受けた上で曲げ成
形が終了することになる。
【0028】本実施例では、この過程おいて曲げ起こさ
れるフランジ部の表裏面に負荷される面抵抗を、金型の
クリアランスと成形ストロークとを適正値に設定して制
御するので、曲げ起こされるフランジ部における表裏の
表皮金属板間のズレを規制し、これにより、曲げ部およ
びその近傍における曲げ外側の表皮金属板に曲げ内側の
表皮金属板よりも大きな伸び量の塑性変形を起こさせ
て、“かもめ”現象の発生を確実に抑制することができ
るのである。また、本実施では、金型のクリアランスと
成形ストロークとを適正値に設定することによって表裏
の表皮金属板間のズレを規制するので、用いる金型とし
ては、極通常の構成の汎用的なもので対応できる。
【0029】なお、例えば、振動減衰特性を高めるため
に接着強度の低い粘弾性樹脂を中間に介在させた複合制
振金属板のように、特に“かもめ”現象が発生し易い複
合金属板を曲げ加工する場合には、金型のクリアランス
を、この複合金属板の板厚より小さい値(但し、同板厚
の80%以上)に設定して、曲げ起こされるフランジ部の
曲げ外側の表皮金属板に軽いしごきを加えることが有効
である。
【0030】最後に、本発明方法の具体的な実施例につ
いて述べる。厚さ 0.8mmの二枚の薄鋼板の間に厚さ0.05
mmの粘弾性樹脂層を介在させてなる厚さ1.65mmの樹脂複
合型の制振鋼板を用いて、幅40mm、長さ200mm の複数の
試験片を作成し、これら試験片に、上記構成の曲げ金型
と手順のもとで、フランジ部の長さを60mmとする曲げ加
工を施した。
【0031】本実施例では、平面ポンチの肩R(rp)
を 1.0mm、クリアランスCを1.65mm、パッド圧Pを、定
数C=1として求めた 800(N)に設定する一方で、成
形ストロークLを、10mm、20mm、30mmおよび40mmm と、
比較例としての 5mmとに変化させて設定した。これら異
なる成形ストロークLで曲げ加工された各試験片の断面
形状を〔図2〕に纏めて示す。
【0032】〔図2〕に示すように、成形ストロークL
を 5mmとした比較例のものには、曲げ起こされたフラン
ジ部に“かもめ”現象が発生したのに対して、成形スト
ロークLを10mm以上とした本実施例のものには、シャー
プな曲げRにもかかわらず、いずれも“かもめ”現象は
全く発生しなかった。また、曲げ加工後の各試験片の曲
げ部近傍を調査したところ、本実施例のものでは、曲げ
部およびその近傍における曲げ外側の表皮金属板に曲げ
内側の表皮金属板よりも大きな伸び量の塑性変形が認め
られ、本発明方法の優れた効果を確認することができ
た。
【0033】なお、以上に述べた実施例は、いわゆる端
曲げ(L曲げ)についてのものであるが、本発明の別の
実施態様の説明図である〔図3〕に示すように、このL
曲げ加工を繰り返すことにより、“かもめ”現象の生じ
ない「コの字曲げ加工」も可能である。
【0034】
【発明の効果】以上に述べたように、本発明に係る複合
金属板の曲げ加工方法によれば、汎用的な構成の曲げ金
型のもとで、“かもめ”現象を発生をせることなく曲げ
加工することができ、しかもシャープな曲げ線を得るこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の曲げ加工方法の概念説明図で
あって、 (a)図は曲げ成形の開始時点の状態を示す説明
図、 (b)図は曲げ成形の初期段階の状態を示す説明図、
(c)図は曲げ成形の終了時点の状態を示す説明図であ
る。
【図2】本発明の実施例に関わる制振鋼板の曲げ加工後
の縦断面形状を示す図である。
【図3】本発明の別の実施態様の説明図である。
【図4】本発明に関わる金型のクリアランスおよびポン
チの成形ストロークと、複合金属板の“かもめ”角度と
の関係を示すグラフである。
【図5】従来のV曲げ加工において複合金属板に生じる
複合金属板の“かもめ”現象の説明図である。
【図6】従来のV曲げ金型の説明図である。
【図7】従来の他のV曲げ金型の説明図である。
【図8】従来のV曲げ加工方法の説明図である。
【図9】従来のまた他のV曲げ金型の説明図である。
【図10】従来の他の曲げ加工方法の説明図である。
【符号の説明】
(1) --複合金属板 (2) --平面ポンチ (3) --ダイス (4) --平面パッド (5) --クッションピン C --クリアランス L --成形ストローク

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 二枚の表皮金属板の間に樹脂層ないしは
    空気層を介在させてなる複合金属板の一側を平面ポンチ
    と平面パッドとにより所定のパッド圧力Pで挟持し、こ
    れをダイスに向けて圧下させて他側を折曲げる複合金属
    板の曲げ加工方法であって、平面ポンチとダイスとの間
    のクリアランスを複合金属板の板厚の80%〜110%
    の範囲内の値とし、ポンチの成形ストロークを10mm以
    上とし、かつ、パッド圧力Pを下記式を満足する値とし
    たことを特徴とする複合金属板の曲げ加工方法。 P≧(C/3×W×t×σB )/4 但し、Cは1ないしは2の整数値をとる定数、Wは複合
    金属板の平面ポンチと平面パッドとによる挟持幅(mm)、
    tは表皮金属板の厚さ(mm)、σB は表皮金属板の引張強
    度(N/mm2) 。
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