JPH0511737Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、自動車用シートと車体の間に介設さ
れ、車体に対してシートをスライドさせるスライ
ド機構に関するものである。

（従来技術） 従来の自動車用シートのスライド機構の一例
を、第５図に基づいて説明する。

同図において、１０１は車体のフロアに固定さ
れる受台であり、この受台１０１の上面にロアス
ライダ１０２を固定している。ロアスライダ１０
２は、この受台１０１に固定される底部１０２
ａ、この底部１０２ａの左右両側から上方に延出
する上延部１０２ｂ、および両上延部１０２ｂの
上端から両外側に延出する外延部１０２ｃからな
つている。

このロアスライダ１０２の上方に、シート側に
固定されるアツパスライダ１０３を設けている。
アツパスライダ１０３は、シート側に固定される
上面１０３ａ、この上面１０３ａにおいて車両の
外側から下方に延出する下延部１０３ｂ、同上面
１０３ａにおいて車両の内側から下方に延出する
下延部１０３ｃ、および両下延部からそれぞれ内
側に延出する内延部１０３ｄ，１０３ｅからなつ
ている。これらの内延部１０３ｄ，１０３ｅと上
記外延部１０２ｃの間、および底部１０２ａと上
面１０３ａの間には、リテーナー（図示せず）に
保持されるスチールボール１０４、およびローラ
１０５がそれぞれ介在している。このスチールボ
ール１０４およびローラ１０５は、アツパスライ
ダ１０３のスライド時に転動する。

さらに、上記外側の下延部１０３ｂの側面に、
上記シートのベルトアンカーを取付けるためのブ
ラケツト１０６を固定している。このブラケツト
１０６の下端には上方に屈曲するフツク部１０６
ａを形成しており、これに対して、上記受台１０
１において車両の外側には、下方に向かつて屈曲
し、上記フツク１０６ａと対向するフツク１０１
ａを形成している。ベルトアンカーに引張荷重
（第５図矢印）が作用した場合には、このフツク
１０１ａおよびフツク１０６ａで、その荷重を受
けるようにしている。

ところが、この構造の場合、荷重を受ける上記
フツク１０１ａ，１０６ａは必然的にロアスライ
ダ１０２の側方に形成しなければならないので、
受台１０１を図のように車体の外側に延出する必
要があり、スライダの幅方向にその分だけ余分な
スペースが必要になるという欠点があつた。

（考案の目的） 本考案は上記欠点を解消するためのものであ
り、スライダの幅方向に関して最小限のスペース
で、シートベルトのアンカーを取付けることがで
きる自動車用シートのスライド機構を提供するこ
とを目的とする。

（考案の構成） 本考案は、車体側に固定されるロアスライダ
と、シート側に固定されるアツパスライダとから
なり、これらロアスライダとアツパスライダを互
いにスライド自在に構成した自動車用シートのス
ライド機構であつて、上記ロアスライダには、車
体に固定される底部と、この底部において車体の
外側の端部から上方に延出する外壁部と、同底部
において車体の内側の端部から上記外壁部とほぼ
同じ高さまで上方に延出する内壁部と、この内壁
部の上端から内側に延びる内延部と、上記外壁部
の上端から内側に延出しさらに下方に屈曲するフ
ツク部とを形成し、上記アツパスライダには、上
記外壁部および内壁部の間に収納され上記底部上
面にローラを介して載置される水平部と、この水
平部から上記フツク部の内側に向かつて上方に突
出し上記外壁部との間にボールを収納する突出部
と、同水平部からロアスライダの外方まで上方に
延出し上記壁部との間にボールを収納する上延部
と、この上延部の上端に位置して上記フツク部を
上から覆い、上面がシートに固定される受部とを
形成するとともに、この受部において上記外壁部
のほぼ上方から、シートベルトのアンカーが取付
けられる取付部を上方に延出させたものである。

このような構成によれば、シートベルトからの
荷重をロアスライダに形成されたフツク部とアツ
パースライダに形成された突出部とで受けること
ができるため、両スライダの側方にフツク部等の
荷重受け部分を設ける必要がない。このため、シ
ートベルトのアンカー取付部の位置を外壁部のほ
ぼ上方部に設定することが可能となり、これによ
りスライド機構の幅方向の無駄なスペースがほと
んどなくなる。しかも、上記フツク部の上方はア
ツパースライダの受部で覆われているので、この
フツク部がロアスライダの突出部を乗り上げて剥
離することが防がれる。

（実施例） 本考案の実施例を第１〜４図により説明する。

第１図において、１は自動車用シートであり、
このシート１の下部両端にスライド機構２を設け
ている。スライド機構２は、車体側に固定される
ロアスライダ３と、シート側に固定されるアツパ
スライダ４とからなり、これらロアスライダ３と
アツパスライダ４を互いにスライド自在に構成し
ている。

ロアスライダ３は、その前部と後部がそれぞれ
受台５，６を介して車体フロアに固定されてい
る。このロアスライダ３には、前部がリベツト
７，８、および９により受台５の上面に固定さ
れ、後部がリベツト１０，１１により受部６の上
面に固定される底部３１と、この底部３１におい
て車体の外側の端部から上方に延出する外壁部３
２と、同底部３１において車体の内側の端部から
上記外壁部３２とほぼ同じ高さまで上方に延出す
る内壁部３３と、この内側３３の上端から内側に
延びる内延部３４と、上記外壁部３２の上端から
内側に延出しさらに下方に屈曲するフツク部３５
とを形成している。

このロアスライダ３において、上記リベツト
８，９の間、およびリベツト９，１０の間には、
ロアスライダ３内を転動するローラ１２および２
個のスチールボール１３を把持するリテーナー１
４を配置している。リテーナー１４は、第４図に
示されるように、ロアスライダ３の両側に上記ス
チールボール１３を収納するボール溝１４ａと、
スライド機構２の幅方向に延びるローラ１２を前
後両側から挟持するローラ収納部１４ｂとを有す
る。ローラ１２は、リベツト８，９、もしくは１
０に当接するように、上記底部３１の上面に載置
されており、従つて２つのリテーナー１４は、そ
の移動がそれぞれリベツト８，９間およびリベツ
ト９，１０間に位置規制されている。

上記アツパスライダ４には、この２本のローラ
１２を介して上記底部３１上に載置され、上記外
壁部３２および内壁部３３の間に収納される水平
部４１と、この水平部４１から上記フツク部３５
の内側に向かつて上方に突出する突出部４２と、
同水平部４１から上記フツク部３５および内延部
３４の間を通つてロアスライダ３の外方まで上方
に延出する上延部４３と、この上延部４３の上端
から車体の幅方向に延び、上面がシートに固定さ
れる受部４４とを形成している。すなわち、上記
突出部４２とフツク部３５は、互いに対向した状
態となつている。また、上記突出部４２および上
延部４３は、突出部４２と上記外壁部３２の間、
および上延部４３と上記内壁部３３の間に上記ス
チールボール１３を収納できるように形成してい
る。

さらに、上記受部４４において、上記外壁部３
２のほぼ上方から取付部４５を上方に延出させて
おり、この取付部４５に、シートベルトのアンカ
ー１５（第１図）の取付ブラケツト１６を固定し
ている。

このような構造において、上記アツパスライダ
３の水平部４１が２本のローラ１２に支持され、
かつ、フツク部３５、外壁部３２、水平部４１お
よび突出部４２の４面と、内延部３４、内壁部３
３、水平部４１および上延部４３の４面とにそれ
ぞれ２個ずつ当接するスチールボール１３により
上下方向および幅方向に関し位置規制された状態
で、アツパスライダ４はロアスライダ３に対して
スライドすることができる。しかも、上記ベルト
アンカー１５からの上向きの引張荷重は、互いに
対向する上記フツク部３５および突出部４２によ
り受けられる。すなわち、この構造では、フツク
部３５および突出部４２が、第５図のフツク１０
１ａおよび１０６ａと同等の働きをしている。

以上のように、このスライド機構２は、ベルト
アンカーの取付部４５をロアスライダ３の外壁部
３２のほぼ上方に有し、しかもベルトアンカー１
５の荷重を受ける部分はスライダ３内に形成され
ているため、従来のように車体の幅方向に無駄な
スペースを取ることがない。このため、両スライ
ド機構２間の寸法ａ（第１図および第２図）を大
きく取れるので、リヤシートの座者のレツグスペ
ースを広く取ることができ、またシート１のクツ
シヨン部の幅も大きく取ることができるのでシー
トのクツシヨン性の向上も果せる。しかも、荷重
を受ける部分、すなわちフツク部３５および突出
部４２は、第５図のフツク１０１ａ，１０６ａに
比べスライダ３，４のセンターに近い位置にある
ため、荷重によるモーメントが小さく、強度的に
も有利な構造となつている。

（考案の効果） 以上のように本考案は、互いにスライドするロ
アスライダとアツパスライダからなるスライド機
構において、ロアスライダ及びアツパースライダ
に突出部及びフツク部をそれぞれ形成し、これら
によつて、ベルトアンカーの荷重を両スライダの
内部で受けるようにしたものであるので、上記荷
重を受ける部分をスライダの外側に設ける必要が
ない。このため、ベルトアンカーの取付部をロア
スライダの外壁面のほぼ上方に形成することが可
能となり、これによつてスライドの幅方向のスペ
ースを最小限に抑えることができる効果がある。
しかも、上記突出部の上方をアツパースライダ側
の受部で覆つているので、上記荷重によつてアツ
パースライダのフツク部が上記突出部を乗り上げ
て剥離するのを未然に防ぐことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例における自動車用シ
ートの斜視図、第２図は第３図の−線断面
図、第３図は上記シートに設けられるスライド機
構の側面図、第４図は同スライド機構内に載置さ
れるリテーナーの斜視図、第５図は従来のスライ
ド機構を示す断面図である。 １……自動車用シート、２……スライド機構、
３……ロアスライダ、４……アツパスライダ、１
２……ローラ、１３……スチールボール、１５…
…ベルトアンカー、１６……取付ブラケツト、３
１……底部、３２……外壁部、３３……内壁部、
３４……内延部、３５……フツク部、４１……水
平部、４２……突出部、４３……上延部、４４…
…受部、４５……取付部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 車体側に固定されるロアスライダと、シート側
   に固定されるアツパスライダとからなり、これら
   ロアスライダとアツパスライダを互いにスライド
   自在に構成した自動車用シートのスライド機構で
   あつて、上記ロアスライダには、車体に固定され
   る底部と、この底部において車体の外側の端部か
   ら上方に延出する外壁部と、同底部において車体
   の内側の端部から上記外壁部とほぼ同じ高さまで
   上方に延出する内壁部と、この内壁部の上端から
   内側に延びる内延部と、上記外壁部の上端から内
   側に延出しさらに下方に屈曲するフツク部とを形
   成し、上記アツパスライダには、上記外壁部およ
   び内壁部の間に収納され上記底部上面にローラを
   介して載置される水平部と、この水平部から上記
   フツク部の内側に向かつて上方に突出し上記外壁
   部との間にボールを収納する突出部と、同水平部
   からロアスライダの外方まで上方に延出し上記壁
   部との間にボールを収納する上延部と、この上延
   部の上端に位置して上記フツク部を上から覆い、
   上面がシートに固定される受部とを形成するとと
   もに、この受部において上記外壁部のほぼ上方か
   ら、シートベルトのアンカーが取付けられる取付
   部を上方に延出させたことを特徴とする自動車用
   シートのスライド機構。