JPH05117379A - 耐光性に優れたポリエステルの製造方法 - Google Patents

耐光性に優れたポリエステルの製造方法

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JPH05117379A
JPH05117379A JP31150591A JP31150591A JPH05117379A JP H05117379 A JPH05117379 A JP H05117379A JP 31150591 A JP31150591 A JP 31150591A JP 31150591 A JP31150591 A JP 31150591A JP H05117379 A JPH05117379 A JP H05117379A
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polyester
reaction
acid
polycondensation reaction
phosphoric acid
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JP31150591A
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Shuhei Ishino
修平 石野
Toshiro Taniguchi
俊郎 谷口
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Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 テレフタル酸を主とする二官能性カルボン酸
又はその低級アルキルエステルと1,4−ブタンジオー
ルを主とするグリコールとを、チタン系触媒を用いて反
応させてポリエステル先駆体を製造した後、該ポリエス
テル先駆体を減圧下で重縮合反応させてポリエステルを
製造するに際し、重縮合反応の終了直後にリン酸を添加
することからなるポリブチレンテレフタレート系ポリエ
ステルの製造方法。 【効果】 エステル化反応、エステル交換反応及び重縮
合反応の遅延や停止を生ずることなく、耐光性の改良さ
れたポリブチレンテレフタレート系ポリエステルを円滑
に製造することができ、しかもそのポリエステルは望ま
しくない着色がなく、機械的物性にも優れている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリブチレンテレフタ
レート系ポリエステルの製造方法に関する。詳細には、
耐光性に優れたポリブチレンテレフタレート系ポリエス
テルの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル、特にテレフタル酸成分と
アルキレングリコール成分とからなるポリアルキレンテ
レフタレートは、多くの優れた特性を有しているため、
繊維、フイルム、その他の成形品に広く使用されてい
る。ポリアルキレンテレフタレートのうちでもポリブチ
レンテレフタレートは、結晶性に優れ、成形温度が低く
且つ成形時間が短くて済むことから、自動車用部品、電
気用部品、歯車などの工業用成形品等の種々の用途に適
しており、近年脚光を浴びている。
【0003】ポリブチレンテレフタレートは、一般に、
直接重合法またはエステル交換法によって製造される。
直接重合法は、テレフタル酸と1,4−ブタンジールと
の直接エステル化反応によってポリエステル先駆体を形
成し、次いで該ポリエステル先駆体を減圧下で重縮合さ
せてポリブチレンテレフタレートを製造する方法であ
る。一方、エステル交換法は、テレフタル酸の低級アル
キルエステルと1,4−ブタンジオールとをエステル交
換反応させてポリエステル先駆体を形成し、次に該ポリ
エステル先駆体を減圧下で重縮合させてポリエステルを
製造する方法である。そして、直接重合法およびエステ
ル交換法のいずれの場合も、ポリブチレンテレフタレー
ト先駆体の製造に際してはチタン系触媒が広く使用され
ている。
【0004】ところで、チタン系触媒を使用して直接重
合法またはエステル交換法によりポリエステル先駆体を
製造した後、該先駆体を減圧下で重縮合させる上記方法
により得られたポリブチレンテレフタレートおよびそれ
からなるチップや成形品は、耐光性が充分でなく、日光
や蛍光灯等による光照射をうけると、比較的短期間のう
ちに色調が悪化するという欠点を有していた。
【0005】
【発明の内容】上記の点から、本発明者らは耐光性の優
れたポリブチレンテレフタレートを得ることを目的とし
て研究を行ってきた。その結果、リン酸を添加するとポ
リブチレンテレフタレートの耐光性を大きく向上するこ
とができること、しかもその際にリン酸をポリエステル
先駆体の製造時や重縮合反応時に加えずに、重縮合反応
の終了直後に加えると、チタン系触媒の触媒活性を何ら
損なわず、その結果、エステル化反応、エステル交換反
応および重縮合反応の遅延や停止を生ずることなく、耐
光性に優れ、しかも機械的特性等の他の物性にも優れた
ポリブチレンテレフタレートを円滑に製造することがで
きることを見出して本発明を完成した。
【0006】本発明は、テレフタル酸を主とする二官能
性カルボン酸またはその低級アルキルエステルと1,4
−ブタンジオールを主とするグリコールとを、チタン系
触媒を用いて反応させてポリエステル先駆体を製造し、
次いで該ポリエステル先駆体を減圧下で重縮合反応させ
てポリエステルを製造するに際し、重縮合反応の終了直
後にリン酸を添加することを特徴とするポリエステルの
製造方法である。
【0007】上記のように、本発明ではポリエステル先
駆体を製造するための二官能性カルボン酸成分として、
テレフタル酸を主とする二官能性カルボン酸またはその
低級アルキルエステルを使用することができ、したがっ
て本発明のポリエステルの製造方法には、直接重合法お
よびエステル交換法の両方が包含される。
【0008】そして、本発明における上記の「重縮合反
応の終了直後にリン酸を添加する」とは、ポリエステル
先駆体の減圧下での重縮合反応が終了して、その結果得
られた生成物(すなわちポリブチレンテレフタレート系
ポリエステル)が冷却固化されず未だ溶融状態にある間
にリン酸を添加することを意味する。リン酸の添加は、
系が減圧下にある重縮合終了後に瞬時に行っても、また
それより多少遅れて行っても、系を常圧に戻した段階で
行ってもよい。更に、生成したポリブチレンテレフタレ
ートが未だ溶融状態にある間であれば、リン酸は重縮合
反応容器中のポリエステルに直接加えても、またはポリ
エステルを反応容器から取り出した後に加えてもいずれ
でもよい。特に、ポリエステルが未だ反応容器中にある
間に加えるのが手間や余分の設備が不要であって便利で
あり、しかも均一な添加が可能であり望ましい。
【0009】ポリブチレンテレフタレートにリン化合物
を加えることは本出願前から知られているが、従来技術
におけるリン化合物の使用目的は、重縮合によって着色
したポリブチレンテレフタレートが生成するの防止する
ことにあり、そのためにリン化合物は重縮合反応が終了
する前に反応系に加えられており(特開昭55−780
18号公報等)、耐光性の向上を目的としてリン酸を重
縮合反応の終了直後に加える本発明とは、リン化合物の
使用目的およびその添加時期が大きく異なっている。
【0010】上記本発明における「テレフタル酸を主と
する二官能性カルボン酸またはその低級アルキルエステ
ル」とは、二官能性カルボン酸またはその低級アルキル
エステルのうちの50モル%以上がテレフタル酸または
その低級アルキルエステルからなっていることを意味す
る。二官能性カルボン酸またはその低級アルキルエステ
ルの70モル%以上がテレフタル酸またはその低級アル
キルエステルからなっている、すなわち他の二官能性カ
ルボン酸またはその低級アルキルエステルの割合が30
モル%未満であるのが好ましい。
【0011】他の二官能性カルボン酸またはその低級ア
ルキルエステルとしては、例えばイソフタル酸、2,6
−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニル−4,4’−ジ
カルボン酸、アゼライン酸、アジピン酸、ヘキサヒドロ
テレフタル酸またはその低級アルキルエステル等を挙げ
ることができ、これらの二官能性カルボン酸またはその
低級アルキルエステルは、1種または2種以上をテレフ
タル酸またはその低級アルキルエステルと併用すること
ができる。また、上記した「低級アルキルエステル」と
は、通常、炭素数1〜4のアルキルのエステルをいい、
特にメチルエステルが好ましい。
【0012】また、上記本発明における「1,4−ブタ
ンジオールを主とするグリコール」とは、グリコールの
うちの50モル%以上が1,4−ブタンジオールからな
っていることを意味し、グリコールの70モル%以上が
1,4−ブタンジオールからなっている、すなわち1,
4−ブタンジオール以外のグリコールの割合が30モル
%未満であるのが好ましい。他のグリコールとしては、
エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4
−シクロヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール
等を挙げることができ、これらのグリコールの1種また
は2種以上を1,4−ブタンジオールと併用することが
できる。
【0013】更に、得られるポリエステルの熱可塑性を
実質的に損なわない程度の量であれば、例えばトリメリ
ット酸、ペンタエリスリトール等の三官能以上の多官能
性化合物を必要に応じて少量使用してもよい。
【0014】そして、本発明では、直接重合法またはエ
ステル交換法によって、まずポリエステル先駆体を製造
する。直接重合法による場合は、上記したテレフタル酸
を主とする二官能性カルボン酸および1,4−ブタンジ
オールを主とするグリコール、更に必要に応じて少量の
多官能性化合物を反応槽中でエステル化反応させてポリ
エステル先駆体を製造する。
【0015】その場合に、二官能性カルボン酸:グリコ
ールの使用割合は、モル比で、1:1.3〜1:2.5と
するのが好ましい。二官能性カルボン酸1モル当たりの
グリコールの使用量が1.3モルよりも少ないと最終的
に得られるポリエステルの重合度が充分に高くならず、
一方2.5モルよりも多いと重合反応に悪影響を与える
テトラヒドロフランの副生量が多くなり好ましくない。
【0016】エステル化反応は、通常、常圧下に約19
0〜240℃の範囲の温度で行うのが好ましい。反応温
度が約190℃よりも低いとエステル化反応が充分に進
行せず次の重縮合反応が遅くなる。一方、約240℃よ
りも高いとテトラヒドロフランの副生量が多くなり好ま
しくない。エステル化反応の停止の目安は、エステル化
率が約90%以上になった時点とするのがよい。エステ
ル化率が90%よりも低い段階でエステル化反応を停止
して次の重縮合反応に移行すると、所望の重合度のポリ
エステルを得るのに極めて長い重縮合時間を要する。
【0017】また、エステル交換法によりポリエステル
先駆体を製造する場合は、上記したテレフタル酸を主と
する二官能性カルボン酸の低級アルキルエステルと1,
4−ブタンジオールを主とするグリコール、更に必要に
応じて少量の多官能性化合物を反応槽中でエステル交換
反応させてポリエステル先駆体を製造する。
【0018】その場合の二官能性カルボン酸の低級アル
キルエステル:グリコールの使用割合は、モル比で、
1:1.05〜1:1.50とするのが好ましく、1:
1.05〜1:1.30とするのが特に好ましい。二官能
性カルボン酸の低級アルキルエステル1モル当たりのグ
リコールの使用量が1.05モルよりも少ないと最終的
に得られるポリエステルの重合度が充分に高くならず、
一方1.50モルよりも多いとテトラヒドロフランの副
生量が多くなり好ましくない。
【0019】そしてエステル交換反応は、常圧下に約1
30〜240℃の範囲の温度で行うのが好ましい。反応
温度が約130℃よりも低いとエステル交換反応反応が
充分に進行せず次の重縮合反応が遅くなり、一方、約2
40℃よりも高いとテトラヒドロフランの副生量が多く
なり望ましくない。
【0020】また、エステル交換反応に要する時間、次
の減圧下での重縮合反応に要する時間、テトラヒドロフ
ランの副生量の抑制、最終的に得られるポリエステルの
物性等の点から、エステル交換率が約70〜90%の範
囲になった時点でエステル交換反応を停止して次の重縮
合反応に移るのが望ましい。エステル交換率が70%よ
りも低い段階でエステル交換反応を停止して次の重縮合
反応に移行すると、所望の重合度のポリエステルを得る
のに極めて長い重縮合時間を要するようになる。一方、
90%より高いエステル交換率を達成するには、190
℃以上の高い反応温度が必要であり、しかもエステル交
換反応に要する時間が長くなり過ぎ、且つ望ましくない
テトラヒロドフランの副生量が多くなる。
【0021】そして、本発明ではポリエステル先駆体を
製造するための上記したエステル化反応およびエステル
交換反応、または/および次の重縮合反応においてチタ
ン系触媒を使用する。チタン系触媒としては、ポリブチ
レンテレフタレートの製造において通常用いられている
チタン系触媒のいずれをも使用することができ、例えば
式Ti(OR)4(式中、Rは低級アルキル基またはアリル
基を示し、4個のRは同じであっても異なっていてもよ
い)で表されるチタン酸エステル、またはその加水分解
物、酒石酸チタンカリウム、酒石酸チタンナトリウム、
シュウ酸チタンカリウム、シュウ酸チタンナトリウム等
を挙げることができる。そのうちでも、テトラブチルチ
タネート、テトライソプロピルチタネート等のチタン酸
アルキルエステルまたはそれらの加水分解物が好まし
い。
【0022】チタン系触媒の添加時期は、ポリエステル
先駆体を製造するためのエステル化反応またはエステル
交換反応の前が好ましい。 チタン系触媒の使用割合は、ポリブチレンテレフタレー
ト形成用原料の合計重量に基づいて、チタン系触媒中の
チタン金属換算濃度が約15ppm〜約85ppmにな
るようにするのが好ましい。15ppmよりも少ない
と、ポリエステル先駆体の形成反応またはその後の重縮
合反応が行われにくくなり、一方85ppmを超える
と、生成するポリブチレンテレフタレートの着色、耐加
水分解性能の低下等の問題が生じ易くなる。
【0023】エステル化反応またはエステル交換反応に
よって形成したポリエステル先駆体を次に減圧下で重縮
合させて、最終的なポリエステルを製造する。減圧下で
の重縮合反応は、その初期の温度が約245〜260℃
の範囲内になるような加熱条件下で行うのがよく、初期
の反応が260℃に近いほど重縮合反応に要する時間が
短縮され好ましい。初期の温度が260℃を超えると、
得られるポリエステルの着色が大きくなり好ましくな
い。一方、初期の温度が245℃よりも低いと所望の重
合度のポリエステルを得るのに長い時間を必要とする。
また、重縮合反応終了時の温度は約240〜245℃の
範囲になるようにするのがよく、それによって重縮合容
器から最初に取り出した重合体部分と後に取り出した重
合体部分とでその重合度に大きな差が生じなくなる。
【0024】また、重縮合反応は、通常、10mmHg
以下の減圧下で行うのがよい。10mmHgより高い
と、重縮合反応に要する時間が長くなり且つ重合度の高
いポリエステルを得ることが困難になる。減圧下での重
縮合反応によって所望の重合度(粘度)のポリエステル
が得られた時点で重縮合を終了する。重縮合終了時点は
使用目的に応じ適宜選択できる。
【0025】そして、本発明では、重縮合反応の終了直
後に生成した上記ポリエステル中にリン酸を添加する。
上記したように、リン酸は、減圧下での重縮合反応が終
了して、その結果得られたポリエステルが冷却固化され
ずに未だ溶融状態にある間に添加する。リン酸は未だ減
圧下にある反応容器中の溶融ポリエステルに直接加えて
も、反応容器の内圧を常圧に戻した段階で反応容器中の
ポリエステルに加えても、または反応容器から取り出さ
れた溶融状態のポリエステルに加えてもよい。特に、ポ
リエステルが反応容器中にある間にリン酸を直接添加す
るのが添加の容易性、均一分散性等の点から好ましい。
【0026】本発明とは異なり、リン酸を重縮合反応が
終了する前までの、エステル化反応、エステル交換反応
または重縮合反応の前または途中に添加すると、エステ
ル化反応、エステル交換反応および/または重縮合反応
の遅延または停止が生じて、目的とする重合度を有する
高分子量のポリエステルを短時間で高率よく製造するこ
とができない。また、ポリエステルが冷却固化した後に
リン酸を添加した場合(例えばポリエステルチップにリ
ン酸を加えて加熱溶融して成形用組成物を製造した場合
やポリエステルチップを用いて成形を行う溶融時にリン
酸を加えた場合)にも、得られる成形用組成物や成形品
の色調が最初から劣ったものになる。
【0027】リン酸は、液状で直接重縮合反応直後のポ
リエステルに加えることができる。リン酸の添加中また
は添加後にポリエステルをよく撹拌してリン酸をポリエ
ステル中に均一に分散させるのがよい。
【0028】本発明で使用するリン酸としては、オルト
リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ピロ亜リン酸、ピロリ
ン酸、三リン酸、四リン酸等の無機リン酸を挙げること
ができる。そのうちでもオルトリン酸、亜リン酸が耐光
性向上能、重縮合物の着色防止能、低揮発性等の点から
望ましい。有機系のリン化合物は、低沸点のものが多い
ために、揮発・散逸し易く、しかも生成するポリエステ
ルの色調が悪くなるという欠点があり、望ましくない。
【0029】リン酸の添加量は、チタン系触媒に対し
て、下記の式(I): 0.5<[P]/[Ti]<7.5 (I) [P] :リン酸のリン原子のモル濃度 [Ti]:チタン系触媒におけるチタン原子のモル濃度 の範囲内にあるようにするのが望ましく、1.5<
[P]/[Ti]<5.0の範囲内とするのが特に望まし
い。[P]/[Ti]が0.5以下であると、得られるポリブ
チレンテレフタレートやその成形品の耐光性の向上効果
が低くなる。一方[P]/[Ti]が7.5以上であると、リ
ン酸の含有量が多くなり過ぎてポリエステルの加水分解
を生じ、ポリエステルの耐加水分解性が低下する。
【0030】また、上記したエステル化反応、エステル
交換反応および重縮合反応は、必要に応じて、例えばn
−オクタデシル3−(4'−ヒドロキシ−3',5'−ジ
−t−ブチルフェニル)プロピオン酸、テトラキス[メ
チレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシプロ
ピオネート)]メタンのような立体障害フェノール系化
合物からなる酸化防止剤;タルク、マイカ、シリカ、カ
オリナイト、カーボンブラック、ガラス繊維、金属粉末
等の任意の添加剤を適宜添加して行うことができる。
【0031】上記本発明の方法により得られるポリブチ
レンテレフタレート系ポリエステルは、耐光性が極めて
良好であり、長時間光の照射を受けても、色調の低下が
なく、しかも重縮合時の着色がない。その上、チタン系
触媒を失活させないので、得られるポリブチレンテレフ
タレート系ポリエステルは機械的特性等において優れて
おり、自動車用部品、電気用部品、歯車などの種々の用
途に有効に使用することができる。
【0032】
【実施例】以下に本発明を実施例等により具体的に説明
するが、本発明はそれにより限定されない。以下の実施
例等において、部は重量部を表す。また、得られたポリ
ブチレンテレフタレートの重合度は極限粘度[η](d
l/g)により表した。該極限粘度[η]は、フェノー
ル/テトラクロロエタンの混合溶媒(1:1重量比)中
に得られたポリブチレンテレフタレートを溶解し、30
℃で測定した値に基づくものである。
【0033】更に、下記の例中におけるポリブチレンテ
レフタレートチップの耐光性試験は、図1に示した光照
射装置(縦断面図)を使用して以下に記載する方法によ
り行った。
【0034】耐光性試験 (1) ポリエチレン製の蓋無し円筒容器1(直径120
mm、高さ30mm)内に、下記の実施例または比較例
で得られたポリブチレンテレフタレートチップ2を5m
mの深さまで入れて、上部を平坦にならした。このもの
2個を互いに50mmの間隔をあけて、直径500mm
の底板3上に載せた。 (2) 塩化ビニル樹脂製の円筒状の光遮蔽壁4(直径4
00mm、高さ400mm)を用意し、その下端から3
00mmの位置に下記の2本のサークル状蛍光灯5と6
を同心円状に配置して取り付けたものを準備した。 蛍光灯5;NEC ライフルックD40形(FCL40E
X−D/383波長形昼光色)(外径360mm) 蛍光灯6;NEC ライフルックD30形(FCL30E
X−D/383波長形昼光色)(外径220mm) (3) 上記(2)で準備した蛍光灯付きの円筒状光遮蔽壁
を、上記(1)で準備した底板3上のポリブチレンテレフ
タレートチップ入り容器1にかぶせて、30日間継続し
て蛍光灯の光を照射して、その当初、2日後、5日後、
10日後、20日後および30日後のポリブチレンテレ
フタレートチップの色調(b値)を、スガ試験機(株)
製のSMカラーコンピューターを使用して測定した。
【0035】《実施例 1》テレフタル酸ジメチル10
0部、1,4−ブタンジール60部およびテトライソプ
ロピルチタネート0.04部をエステル交換反応槽に仕
込み、常圧下に145℃から230℃まで徐々に昇温し
ながら加熱してエステル交換反応を行わせ、メタノール
が26部が留出した時点でエステル交換反応を停止した
(所要時間:2時間)。ここで系を減圧移行して、減圧
下(0.3mmHg)に樹脂温度を240℃にして、9
0分間重縮合反応を行った。この時点でオルトリン酸
0.03部を減圧下にある反応槽中に添加した([P]
/[Ti]=1.7)。5分間撹拌した後、反応槽を窒
素ガスで加圧して、反応槽底部から生成したポリブチレ
ンテレフタレートを槽外に押出して取り出してチップと
した。反応槽から取り出された重合体チップの極限粘度
[η]は0.9であり、b値は3であった。この重合体
チップを使用して上記した方法により30日間耐光性試
験を行ったところ、下記の表1に示す結果を得た。
【0036】《実施例 2》テレフタル酸100部、
1,4−ブタンジール108部およびテトライソプロピ
ルチタネート0.04部をエステル化反応槽に仕込み、
常圧下に210〜220℃に加熱してエステル化反応を
行わせ、水が21部が留出した時点でエステル化反応を
停止した(所要時間:3時間)。ここで系を減圧移行し
て、以後は実施例1と同様にして、重縮合反応、オルト
オルトリン酸の添加、反応槽底部からのポリブチレンテ
レフタレートの取り出しを行って、極限粘度[η]が
0.9の重合体チップを得た。このチップのb値は3で
あった。この重合体チップを使用して上記した方法によ
り30日間耐光性試験を行ったところ、下記の表1に示
す結果を得た。
【0037】《比較例 1》オルトリン酸を添加しない
以外は、実施例1と全く同様にして、エステル交換反
応、重縮合反応および反応槽からのポリブチレンテレフ
タレートの取り出しを行って、極限粘度[η]が0.9
で、b値が3の重合体チップを得た。 この重合体チップを使用して同様にして30日間耐光性
試験を行ったところ、下記の表1に示す結果を得た。
【0038】《比較例 2》オルトリン酸を添加しない
以外は、実施例2と全く同様にして、エステル化反応、
重縮合反応および反応槽からのポリブチレンテレフタレ
ートの取り出しを行って、極限粘度[η]が0.9で、
b値が0.3の重合体チップを得た。この重合体チップ
を使用して同様にして30日間耐光性試験を行ったとこ
ろ、下記の表1に示す結果を得た。
【0039】《比較例 3》実施例1において、オルト
リン酸の添加時期を重縮合反応前(減圧移行直後)にし
た外は、実施例1と全く同様にして、エステル交換反応
を行った後、実施例1と同様に重縮合反応を行ったが、
150分後でも極限粘度[η]が0.65の重合体しか
得られず、重縮合反応が遅延して目的とする高重合度を
有するポリブチレンテレフタレートを得ることができな
かった。
【0040】《比較例 4》実施例2において、オルト
リン酸の添加時期を重縮合反応前(減圧移行直後)にし
た外は、実施例2と全く同様にして、エステル化反応を
行った後、実施例2と同様に重縮合反応を行ったが、1
60分後でも極限粘度[η]が0.60の重合体しか得
られず、重縮合反応が遅延して目的とする高重合度を有
するポリブチレンテレフタレートを得ることができなか
った。
【0041】《比較例 5》実施例1において、オルト
リン酸の添加時期をエステル交換反応槽への原料仕込み
時にして実施例1と同様にしてエステル交換反応を行っ
たところ、実施例1とほぼ同様のエステル交換率を得る
のに4時間を要し、エステル交換反応が2時間も遅延し
た。またその結果得られたポリエステル先駆体を使用し
て、実施例1と同様に重縮合反応を行ったが、210分
後でも極限粘度[η]が0.50の重合体しか得られ
ず、重縮合反応が遅延して目的とする高重合度を有する
ポリブチレンテレフタレートを得ることができなかっ
た。
【0042】《比較例 6》実施例2において、オルト
リン酸の添加時期をエステル化反応槽への原料仕込み時
にして実施例2と同様にしてエステル化反応を行ったと
ころ、エステル化反応での遅延はなかったが、その結果
得られたポリエステル先駆体を使用して、実施例2と同
様に重縮合反応を行ったところ、200分後でも極限粘
度[η]が0.45の重合体しか得られず、重縮合反応
が遅延して目的とする高重合度を有するポリブチレンテ
レフタレートを得ることができなかった。
【0043】《比較例 7》オルトリン酸を添加しない
以外は実施例1と同様に行って、オルトリン酸を含まな
いポリブチレンテレフタレートチップを得た(極限粘度
[η]=0.9、b値=3)。このチップを水分100
ppm以下に乾燥し、245℃で再溶融後、オルトリン
酸0.03部を添加して、5分後にノズルより重合体を
押出して再度チップ状にした。この重合体チップの極限
粘度[η]は0.88で、b値は5であった。この重合
体チップを使用して同様にして30日間耐光性試験を行
ったところ、下記の表1に示す結果を得た。
【0044】《比較例 8》オルトリン酸を添加しない
以外は実施例2と同様に行って、オルトリン酸を含まな
いポリブチレンテレフタレートチップを得た(極限粘度
[η]=0.9、b値=3)。このチップを水分100
ppm以下に乾燥し、245℃で再溶融後、オルトリン
酸0.03部を添加して、5分後にノズルより重合体を
押出して再度チップ状にした。この重合体チップの極限
粘度[η]は0.88で、b値は5であった。この重合
体チップを使用して同様にして30日間耐光性試験を行
ったところ、下記の表1に示す結果を得た。
【0045】
【表1】 [チップへの光照射によるb値の経時変化] b 値 例 リン酸添加 照射前 2日後 5日後 10日後 20日後 30日後 時 期 実施例1 重縮合直後 3 3 3 3 3 3 実施例2 重縮合直後 3 3 3 3 3 3 比較例1 − 3 5 7 9 9 10 比較例2 − 3 5 7 9 9 10 比較例3 重縮合直前a) − − − − − − 比較例4 重縮合直前b) − − − − − − 比較例5 エステル交換前c) − − − − − − 比較例6 エステル化前d) − − − − − − 比較例7 再溶融後 5 6 6 7 8 8 比較例8 再溶融後 6 6 6 7 8 8 a)、b)、c)、d): 目的とする高重合度ポリエステルが生成せず
【0046】上記表1の結果から、リン酸を重縮合反応
を直後に添加している本発明の実施例1および2の場合
は、ポリブチレンテレフタレートの耐光性が極めて良好
であり、30日間光照射した後もb値が変わらず、色調
の低下がないこと、更に重縮合反応槽から取り出された
重合体チップ自体のb値も低く、得られる重合体に着色
が生じていないことがわかる。
【0047】また、表1の結果から、リン酸を何ら加え
ない比較例1および比較例2の場合には、得られるポリ
ブチレンテレフタレートの耐光性が極めて劣っており、
光照射の10日後にはb値が9にまで上昇して、重合体
の色調が著しく劣ったものになることがわかる。
【0048】更に、リン酸を重縮合直後ではなく、エス
テル交換反応前、エステル化反応前または重縮合直前に
添加している比較例3〜6の場合は、エステル交換反応
および重縮合反応の遅延が生じて、目的とする高重合度
のポリブチレンテレフタレートが効率よく得られないこ
とがわかる。
【0049】そして、上記の比較例7および比較例8の
結果からは、リン酸を冷却固化されたポリブチレンテレ
フタレートの再溶融時に添加した場合には、再溶融によ
り得られるリン酸配合ペレットに光照射試験を行う前か
ら既に着色を生じてb値が高くその色調が劣ること、そ
してそれに光照射を行うとb値が更に上昇してその色調
が一層劣ったものになることがわかる。
【0050】
【発明の効果】本発明の方法による場合は、エステル化
反応、エステル交換反応および重縮合反応の遅延や停止
を生ずることなく、耐光性に優れた高分子量のポリブチ
レンテレフタレート系ポリエステルを極めて円滑に製造
することができる。本発明の方法によって、耐光性が優
れているだけでなく、望ましくない着色や変色のない、
色調の良好な、機械的物性等にも優れたポリエステルを
製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ポリブチレンテレフタレートの耐光性試験を行
うのに使用した装置の縦断面図である。
【符号の説明】
1 蓋無し円筒容器 2 ポリブチレンテレフタレートチップ 3 底板 4 円筒状光遮蔽壁 5 蛍光灯 6 蛍光灯

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 テレフタル酸を主とする二官能性カルボ
    ン酸またはその低級アルキルエステルと1,4−ブタン
    ジオールを主とするグリコールとを、チタン系触媒を用
    いて反応させてポリエステル先駆体を製造し、次いで該
    ポリエステル先駆体を減圧下で重縮合反応させてポリエ
    ステルを製造するに際し、重縮合反応の終了直後にリン
    酸を添加することを特徴とするポリエステルの製造方
    法。
  2. 【請求項2】 リン酸を、チタン系触媒に対して、下記
    の式(I): 0.5<[P]/[Ti]<7.5 (I) [P] :リン酸のリン原子のモル濃度 [Ti]:チタン系触媒におけるチタン原子のモル濃度 で表される範囲内の量で使用する請求項1の製造方法。
JP31150591A 1991-10-31 1991-10-31 耐光性に優れたポリエステルの製造方法 Pending JPH05117379A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7759449B2 (en) 2000-12-15 2010-07-20 Wellman, Inc. Methods for introducing additives into polyethylene terephthalate
US8901272B2 (en) 2007-02-02 2014-12-02 Grupo Petrotemex, S.A. De C.V. Polyester polymers with low acetaldehyde generation rates and high vinyl ends concentration
US8987408B2 (en) 2005-06-16 2015-03-24 Grupo Petrotemex, S.A. De C.V. High intrinsic viscosity melt phase polyester polymers with acceptable acetaldehyde generation rates
US9267007B2 (en) 2005-09-16 2016-02-23 Grupo Petrotemex, S.A. De C.V. Method for addition of additives into a polymer melt

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7759449B2 (en) 2000-12-15 2010-07-20 Wellman, Inc. Methods for introducing additives into polyethylene terephthalate
US8987408B2 (en) 2005-06-16 2015-03-24 Grupo Petrotemex, S.A. De C.V. High intrinsic viscosity melt phase polyester polymers with acceptable acetaldehyde generation rates
US9267007B2 (en) 2005-09-16 2016-02-23 Grupo Petrotemex, S.A. De C.V. Method for addition of additives into a polymer melt
US8901272B2 (en) 2007-02-02 2014-12-02 Grupo Petrotemex, S.A. De C.V. Polyester polymers with low acetaldehyde generation rates and high vinyl ends concentration

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