JPH05104220A - 湾曲型ビレツト連鋳機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目 的】 低級鋼から高級鋼まで幅広い鋼種のビレッ
トを生産性よく製造する。 【構 成】 スプレーノズル12を有するスプレーヘッダ
６を湾曲側および両サイドについては退避させた状態と
して、サポートロール４を有するサポートロールフレー
ム７を揚重機16を用いて、連鋳機ラインに装脱自在とす
る。高級鋼の場合にはサポートロールフレーム７を装着
して連続鋳造して鋳片品質を確保する。低級鋼の場合に
はサポートロールフレーム７を撤去した状態として連続
鋳造し、ブレークアウトが生じても復旧作業を容易にす
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、低級鋼から高級鋼まで
幅広い鋼種のビレットを生産性よく連続鋳造することが
できる湾曲型ビレット連鋳機に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】一般に、ビレット連鋳機で連続鋳造する
ビレットは鋳片サイズが小さく、かつ低級鋼を対象とす
ることが多いため、モールドとピンチロールとの間に配
置する鋳片支持装置がフットロールのみといった非常に
簡略なものとなっている。このためビレット連鋳機で連
続鋳造する場合には、ブレークアウトの発生率がブルー
ムやスラブ連鋳機に比べて高いが、鋳片支持装置が簡素
なだけにブレークアウトにより溶鋼が飛散しても短時間
で復旧できるのでそれほどの支障を来さない。

【０００３】しかしながら最近では高級鋼のビレットを
連続鋳造するチャンスが増加しているが、低級鋼仕様の
簡略な鋳片支持装置を用いて高級鋼を連続鋳造するに
は、鋳片支持装置が簡略なため鋳片の引抜速度を下げざ
るを得ず生産性が著しく低下してしまう。このため高級
鋼仕様のビレット連鋳機または低級鋼から高級鋼まで幅
広い鋼種を鋳造するビレット連鋳機ではブルーム連鋳機
に準ずるしっかりした鋳片支持装置を配置する必要があ
る。

【０００４】図３は従来の高級仕様に相当する湾曲型ビ
レット連鋳機の一般的構成を示す概略側面図である。図
３に示すようにモールド１とピンチロール９の間には上
流側からフットロール３、サポートロール４およびガイ
ドロール５が配置されており、またほぼ全域にわたり配
設されたスプレーヘッダ６にはスプレーノズル12が取付
けてある。モールド１に鋳込まれて形成された鋳片２
は、スプレーノズル12からの散水により冷却されると共
にフットロール３、サポートロール４およびガイドロー
ル５に支持されながらピンチロール９によって引抜かれ
る。８はチャンバを示す。

【０００５】図３に示すよう高級鋼を対象とするビレッ
ト連鋳機では鋳片２の表面品質や内部品質を良好に保つ
ためモールド１から所定長さ範囲に亘り鋳片２を支持す
るためサポートロール４が配置されている。一方、低級
鋼を対象とするビレット連鋳機では図３におけるサポー
トロール４が省略され、鋳片のブレークアウト時の復旧
を短時間に行うことができるようにしてある。

【０００６】前述のようにサポートロール４を配置した
高級鋼仕様の鋳片支持装置により高級鋼ビレットを連続
鋳造する場合には問題がないが、低級鋼ビレットを鋳造
する場合にブレークアウトが発生すると、サポートロー
ル４を省略した簡略な鋳片支持装置による場合に比較し
て復旧作業に余分な時間がかかり、稼動時間が低下する
ので生産性が阻害されるなど一長一短がある。

【０００７】ビレット連鋳機の鋳片支持装置として例え
ば実開昭60−113148号公報には、モールド直下にキャビ
ティ調整可能なフットロールと、フットロールフレーム
の下方にキャビティ調整可能なサポートロールを配置す
るものが開示されているが、このような複雑な鋳片支持
装置を使用すると、低級鋼を連続鋳造する際にブレーク
アウトの発生時に前述のように復旧作業が手間取るとい
う問題点がある。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】対象鋼種が低級鋼から
高級鋼まで幅広い場合には前述のように一方を優先すれ
ば他方が満足できずいずれにしてもビレット連鋳機のト
ータルの生産性が抑制されることになる。本発明はこの
ような問題点を考慮し、サポートロールを有する鋳片支
持装置のみを簡単に着脱できる湾曲型ビレット連鋳機を
提供することを目的とするものである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
の本発明は、モールドとピンチロールとの間に鋳片支持
装置と鋳片二次冷却装置とをそれぞれ所定長さ範囲に亘
って配置した湾曲型ビレット連鋳機において、前記鋳片
支持装置と当該支持装置の範囲に存在する鋳片二次冷却
装置とを切り離した独立構造とする一方、前記鋳片二次
冷却装置は湾曲内側を開閉自在に支持すると共に両サイ
ドを前後進自在に支持し、前記鋳片支持装置は連鋳機ラ
イン内の組み込みによる連続鋳造と、連鋳機ライン外へ
の取り外しによる連続鋳造とに対応するため湾曲内側方
向に装脱自在に配置してなることを特徴とする湾曲型ビ
レット連鋳機である。

【００１０】

【作 用】本発明において、高級鋼を連続鋳造する場合
には、鋳片支持装置を配置してモールド直下から所定範
囲に亘り鋳片を支持して、鋳片表面品質および内部品質
を維持するように連続鋳造する。次に低級鋼を連続鋳造
するに際しては、湾曲内側および両サイドの二次冷却装
置を退避させた後、鋳片支持装置を湾曲内側方向に引出
し、連鋳機のライン外に退避させる。引続き退避した二
次冷却装置を元の位置にセットして、鋳片支持装置の存
在しない状態で連続鋳造するが、万一ブレークアウトが
発生しても復旧作業を容易に行うことができる。

【００１１】再び高級鋼を連続鋳造するに際しては湾曲
内側および両サイドの二次冷却装置を退避させて鋳片支
持装置を連鋳機のライン内に取込んでセットした後、二
次冷却装置をセットして高級鋼の連続鋳造に備える。

【００１２】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図１は本発明装置の概略縦断面図であり、図２は
図１のＡ−Ａ視を示す概略平面図である。図１におい
て、１はモールドであり、モールドカバー10で被われた
モールド１の下部にはフットロール３がフットロールフ
レーム13を介して取付けてある。このフットロール３の
下方にはサポートロール４とスプレーノズル12が配置し
てある。ここでサポートロール４はサポートロールフレ
ーム７に取付けられ鋳片支持装置20を構成しており、ま
たスプレーノズル12はスプレーヘッダ６に取付けられ鋳
片二次冷却装置30を構成している。

【００１３】本発明では、鋳片支持装置20と当該支持装
置20の範囲に存在する鋳片二次冷却装置30とを切り離し
た独立構造にしてある。そして二次冷却装置30は詳細に
は図２に示すように連鋳機湾曲内側のスプレーヘッダ６
ａを具える二次冷却装置30ａと、連鋳機両サイドのスプ
レーヘッダ６ｂを具える二次冷却装置30ｂと連鋳機湾曲
外側のスプレーヘッダ６ｃを具える二次冷却装置30ｃの
３種類からなり、各々のスプレーノズル12からの散水に
よりビレット鋳片２を四方から冷却するようになってい
る。

【００１４】そして、湾曲内側の二次冷却装置30ａは機
外側方の離れた位置に設けられたポール15を支点として
支持された旋回アーム14に取付けてあり、旋回アーム14
を矢印方向に旋回することによって鋳片２の湾曲側前方
のセット位置と点線で示す退避位置との間に開閉自在と
なっている。また両サイドの鋳片二次冷却装置30ｂは矢
印方向に前後進自在に支持されており、側面のセット位
置を機外側方の退避位置との間で前後進するようになっ
ている。なお、湾曲外側の二次冷却装置30ｃは固定式で
ある。

【００１５】鋳片支持装置20は、前述のように鋳片二次
冷却装置30と切り離された独立構造となっていると共
に、湾曲内側方向に装脱自在に配置してあり、鋳片支持
装置20の装脱のため、連鋳機湾曲側の上方には揚重機16
が走行できるホイストビーム11が設置してある。次に本
発明の作用について説明する。

【００１６】高級鋼ビレットを製造する場合には、図１
に示すように連鋳機ライン内に鋳片支持装置20を配置し
てある。モールド１で形成された鋳片２を鋳片支持装置
20に配列されたサポートロール４で支持すると共に、鋳
片二次冷却装置30に配列されたスプレーノズル12からの
散水により冷却することによって鋳片２の表面品質およ
び内部品質等を良好に保持しながら高速で連続鋳造する
ことができる。

【００１７】高級鋼の製造から低級鋼の製造に切替るに
際しては、図２に示すように旋回アーム14に取付けられ
た湾曲内側の鋳片二次冷却装置30ａを旋回して実線で示
すセット位置から点線で示す退避位置に退避させる。ま
た両サイドの鋳片二次冷却装置30ｂを後進して実線で示
すセット位置から点線で示す退避位置に一旦退避させ
る。

【００１８】次に、鋳片支持装置20を連鋳機から切り離
した後、揚重機16で湾曲側前方のライン外に引出して吊
り上げ、保管場所まで搬送する。引続き、湾曲内側の鋳
片二次冷却装置30ａおよび両サイドの鋳片二次冷却装置
30ｂをそれぞれ旋回および前進操作により元のセット位
置に戻せば、低級鋼の連続鋳造の準備が終了する。かく
して低級鋼の連続鋳造に際しては、鋳型支持装置20の存
在しない状態で鋳片品質上に悪影響を及ぼすことなく高
速で連続鋳造される。低級鋼の連続鋳造時に、万一ブレ
ークアウトが発生しても鋳片支持装置20を撤去してある
ので、飛散した溶鋼の付着する箇所が少ないので短時間
で容易に復旧作業を行うことができ、低級鋼の生産能力
を維持することができる。

【００１９】再度、高級鋼を連続鋳造する必要が生じた
場合には、前述と同様の手順により湾曲内側および両サ
イドの鋳片二次冷却装置30ａ、30ｂをそれぞれ旋回およ
び後進により退避させる。次に、保管場所に待機してい
る鋳片支持装置20を揚重機16で吊り上げた後、ホイスト
ビーム11に沿って移動させ連鋳機湾曲内側前方まで搬送
し、連鋳機のライン内に取り込んで所定位置にセットす
る。引続き鋳片二次冷却装置30ａ、30ｂを元のセット位
置に復帰させれば高級鋼の鋳造準備が完了する。

【００２０】ビレット連鋳機により高級鋼50％、低級鋼
50％の割合で、高級鋼、低級鋼共に鋳片支持装置を配置
しない場合（従来例１）、高級鋼、低級鋼共に鋳片支持
装置を配置する場合（従来例２）および高級鋼は鋳片支
持装置を配置し、低級鋼は鋳片支持装置を配置しない場
合（本発明例）について、それぞれ鋳造速度 2.5ｍ／分
の高速鋳造を行った。これら各々の場合の平均稼動率
（％）とブレークアウト率（％）を表１に示す。

【００２１】

【表１】

【００２２】表１に示すように従来例１では高級鋼の場
合のブレークアウト率が高く、このため稼動率が平均80
％に低迷することがある。また従来例２では高級鋼、低
級鋼共にブレークアウト率が低く良好ではあるが、 0.7
％の割合でブレークアウトが発生し、その復旧作業に手
間取るため稼動率が80％に抑制されることがある。これ
に対して本発明によれば低級鋼の場合にブレークアウト
が生じても復旧作業を迅速に行うことができるためトー
タルでは稼動率を90％以上に確保できる。

【００２３】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、鋳
片支持装置の有無の特性を生かすことができるので、低
級鋼から高級鋼まで幅広い鋼種のビレットを生産性よく
製造することができると共に鋳片の品質向上が達成され
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明装置の概略縦断面図である。

【図２】図１のＡ−Ａ矢視断面を示す概略平面図であ
る。

【図３】従来の装置を示す概略側面図である。

【符号の説明】

１ モールド ２ 鋳片 ３ フットロール ４ サポートロール ５ ガイドロール ６ スプレーヘッダ ７ サポートロールフレーム ８ チャンバ ９ ピンチロール 10 モールドカバー 11 ホイストビーム 12 スプレーノズル 13 フットロールフレーム 14 旋回アーム 15 ポール 16 揚重機 20 鋳片支持装置 30 鋳片二次冷却装置

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 モールドとピンチロールとの間に鋳片支
   持装置と鋳片二次冷却装置とをそれぞれ所定長さ範囲に
   亘って配置した湾曲型ビレット連鋳機において、前記鋳
   片支持装置と当該支持装置の範囲に存在する鋳片二次冷
   却装置とを切り離した独立構造とする一方、前記鋳片二
   次冷却装置は湾曲内側を開閉自在に支持すると共に両サ
   イドを前後進自在に支持し、前記鋳片支持装置は連鋳機
   ライン内の組み込みによる連続鋳造と、連鋳機ライン外
   への取り外しによる連続鋳造とに対応するため湾曲内側
   方向に装脱自在に配置してなることを特徴とする湾曲型
   ビレット連鋳機。