JPH0479598B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この発明は、原子力発電プラントにおける使用
済み核燃料や放射性廃棄物など貯蔵する核燃料貯
蔵用プールにおける底部ライニングの継手構造に
関するものである。

（従来技術およびその問題点） 一般に使用済みや核燃料や放射能を含む廃液な
どを貯蔵するプールは、鉄筋コンクリート構造の
プール本体の内面に、ステンレスなどの金属板を
用いてライニングを施し、放射能を含む液のプラ
ント系外への漏洩を完全に防止する構造として構
築することが要請される。

しかるに、従来のライニングプレートの施工
は、プール本体であるコンクリート躯体を構築し
たのち、その内面に後張り方式で施工するためラ
イニングプレートの継手溶接部の品質検査がきわ
めて困難である。具体的に言えば片面溶接で、そ
の裏側は厚いコンクリート壁で囲まれているた
め、表面上に現れるアンダーカツトや溶け込み不
良等の外観検査で確認できる範囲の品質検査は充
分徹底されるが、ブロホールやその他の内部的欠
陥の検査はきわめて困難である。

また使用中に溶接部に亀裂等が発生し、その結
果、液が漏洩しコンクリート躯体に浸透したよう
な場合の漏洩検知は仲々困難であるという欠点が
あつた。

そこで、溶接部の裏側に特別の空間を設けて、
そこに漏洩検知機能をもたせるなどいろいろな工
夫がなされているが、いまだこれといつたものは
ない。

（問題点を解決するための手段） 本発明は、このような問題点を解決するため、
ライニングプレートの溶接継手構造に工夫をこら
し、とくに底部ライニングの溶接継手構造をTIG
溶接の特性を生かし、バツクシールドガスを採用
した裏波溶接のできる継手構造とし、しかもその
継手構造を施工後における漏洩検知機構として機
能させることができるよう配慮したことにある。

その発明の要旨とするところは、核燃料貯蔵用
プールにおける底部根太フレームの部材表面にあ
らかじめ溝を形成して、この溝をライニングプレ
ートの突合わせ溶接におけるバツクシールドガス
溜とする裏当材とし、かつ、その突合わせ溶接を
裏波溶接からなる継手構造としたことにある。

さらに、前記溝を円弧状に形成するとともに、
溝の底部附近に一定間隔で小孔を穿設し、この小
孔を介して溝に連通する漏洩検知管を接続し、万
一溶接部より放射性を帯びた貯蔵液が漏洩した場
合、前記漏洩検知管より流れてくる液をセンサー
により検知できるように構成したものである。

（実施例） 以下、実施例図に基づき、さらに具体的に説明
する。

第１図は使用済み核燃料貯蔵用プールの構造を
例示する斜視図である。一般に図示の通り厚い鉄
筋コンクリートからなる角型槽で図示においては
省略したが上部に荷扱設備としての天井走行クレ
ーン等が配備されている。ところでプール本体１
は上述したように厚い鉄筋コンクリート壁２から
構成され、その内面にステンレス鋼板からなるラ
イニングプレート３が内張りされているものであ
る。

さて、本発明は、このステンレス鋼板からなる
ライニングプレート３を底部に内張りする場合の
単位ライニングプレート３同志の突合わせ溶接の
継手構造を第４図で示すように構成したもので、
以下その構成を説明する。

なお、その前に第２図および第３図で底部の構
造を説明すると４は基礎コンクリート壁であり、
５はこの基礎コンクリート壁にあらかじめ埋設し
た型鋼を格子状に組んで配設した根太フレーム
である。

ライニングプレート３は、この根太フレーム５
を構成する縦方向、横方向の型鋼の構成する四
角形のマスに一枚づつ配設し、かつ根太フレーム
５を構成する型を裏当材として、その上に隣接
するライニングプレート３の周縁同志を突合わせ
溶接により展開するものである。

さて、第４図が、上記突合わせ溶接における本
発明の継手構造を示すもので、裏当材となる根太
フレーム５の型鋼表面中央にあらかじめ溝６を
形成しておく。

なお、この溝６は突合わせ溶接するライニング
プレート３のルート間隔の中央部に位置するとこ
ろが一番深く（３〜４mm程度）、左右に浅くなつ
た円弧状の溝となつている。

次にライニングプレート３，３を前記裏当材と
なる 型鋼の溝６を中心にして左右に配設し、し
かるのちライニングプレート３，３と溝６との間
に形成さる空間をバツクシールドガスのガス溜と
する。シールドガスは一般的なアルゴンガスを用
い、その注入方法は後述する。そして突合わせ部
の裏面に裏波ができるよう溶接施工条件を設定し
ていわゆるTIG溶接による溶接をおこなうもので
ある。９はそのTIG溶接による溶接部で１０はそ
の裏波である。

なお実施例においては、裏波溶接部１０を裏当
材に完全に溶着させ、溝６を左右に分割した構造
としている。

すなわち、裏波溶接によつてライニングプレー
ト３と裏当材とを一体的構造とし、底部ライニン
グプレート３に作用する荷重を溶接部９に集中的
に負荷されるのを抑止する構造とした。

図中７は前記型鋼の溝６に穿設した小孔であ
り、第４図で示すように前記溶接で形成された裏
波部１０の左右に２個穿設してある。８はこの小
孔７に連通する漏洩検知管である。もちろんこの
小孔７および漏洩検知管８は、前記溶接施工前に
組込んでおき、前述したバツクシールドガスは、
この漏洩検知管８を利用して溝６内に注入する。

（発明の作用・効果） さて、本発明は、上述した説明から理解される
ように底部に敷設するライニングプレート３，３
同志の溶接を根太フレーム５を構成する型鋼を
裏当材とし、とくにその裏当材にあらかじめ円弧
状の溝６を形成しておき、バツクシールドガスを
用いた裏波溶接による継手構造としたため、溶接
品質が高く保持され、従来の単純な突合わせ溶接
によるライニングプレートの施工に比較して格段
に優れた継手構造となる。すなわち、厳しい安全
性を要求される核燃料貯蔵プールのライニングと
して、きわめて適切な構造となる。次に従来の溶
接によるライニング施工によるものにあつては、
その溶接継手部よりの漏洩に対する検知手段とし
て冒頭にて説明したように、特別な検知機構を組
込ませているが本発明においては、溶接施工段階
においてバツクシールドガス溜として利用する溝
６を設けているので、これを施工後の漏洩検知機
構として利用できる点である。

すなわち、従来の継手構造の場合に比較し、施
工上の経済性さらに機能上の利便性が高い。

なお、溶接時のバツクシールドガスの注入機構
とし、またプールとしての使用時における漏洩検
知機構として機能する溝６に設ける小孔７および
これに連通する漏洩検知管８は、底部に配設され
たライニングプレート３１枚毎に分担してその機
能を発揮できるように構成してある。

それによつて、溶接作業時におけるバツクシー
ルドガスの注入の作業の効率性、さらには漏洩検
知時における漏洩位置の場所的確認をより効率的
にできるよう配慮してある。

なお、本発明の実施例において根太フレーム５
となる型鋼として型鋼を選定したが、フラツト
バーと呼ばれる帯板鋼を適用してある場合もあ
る。

さらに本発明の底部ライニングプレートの継手
構造は、単に核燃料貯蔵用プールにのみ限定され
るものではなく、気密性を厳しく要求される各種
化学プラントに使用される貯槽類に適用できるも
のであることを付記する。

【図面の簡単な説明】

第１図は使用済み核燃料貯蔵用プールを例示す
る斜視図、第２図は一部を破断して示すプール底
部の平面図、第３図は第２図のＡ−Ａ線縦断側面
図、第４図は継手部の詳細を示す拡大縦断側面図
である。 １……プール本体、２……鉄筋コンクリート
壁、３……ライニングプレート、４……基礎コン
クリート、５……根太フレーム、６……溝、７…
…小孔、８……漏洩検知管、９……溶接部、１０
……裏波溶接部。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 基礎上にＬ型鋼、型鋼などの型鋼材を格子
   状に組んで根太フレームを構築し、その上に所定
   サイズのライニングプレートを敷きつめるととも
   に、各ライニングプレートの周縁同志を前記根太
   フレームを裏当材として突合わせ溶接し、核燃料
   貯蔵用プールの底部ライニングを施工するものに
   あつて、前記裏当材となる根太フレームの部材表
   面に、あらかじめ溝を形成し、この溝を前記ライ
   ニングプレートの突合わせ溶接におけるバツクシ
   ールドガス溜とするとともに、その突合わせ溶接
   を裏波溶接からなる継手構造とした核燃料貯蔵用
   プールにおける底部ライニングプレートの継手構
   造。 ２ 裏波を裏当材に溶着してライニングプレート
   と裏当材とを一体構造とした特許請求の範囲第１
   項記載の核燃料貯蔵用プールにおける底部ライニ
   ングプレートの継手構造。 ３ 溝を円弧状とした特許請求の範囲第１項記載
   の核燃料貯蔵用プールにおける底部ライニングプ
   レートの継手構造。 ４ 溝の下面に一定間隔で小孔を穿設し、この小
   孔を介して溝に連通する漏洩検知管を接続した特
   許請求の範囲第１項記載の核燃料貯蔵用プールに
   おける底部ライニングプレートの継手構造。