JPH0449009Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、自動車のニープロテクタ、即ち車室
内におけるフロントシートの前方に備えられて当
該自動車の急停止時等に乗員の膝を保護するニー
プロテクタに関する。

（従来の技術） 自動車の安全対策の一つとして、車室の前部に
おける所定位置に衝撃吸収用のニープロテクタ
（プロテクタ部材）を備え、当該自動車の急停止
等に伴つてフロントシートに着座している乗員の
膝が前方に移動した時に、上記プロテクタにより
該膝を弾性的に受け止めることが行われる。この
ような手段は、特にシートベルトが肩ベルトのみ
でなる２点支持式のものである場合にその機能が
十分に発揮される。つまり、この２点支持式のシ
ートベルトによれば、乗員の上体（胸部）のみが
拘束されて腰部は拘束された状態にないため、車
体に急停止等による衝撃が加わつた時には乗員の
腰部と共に膝も前方に飛び出すことになり、この
飛び出した膝が上記の如くニープロテクタにより
保護されるのである。

そして、上記ニープロテクタの具体的構成とし
ては、インストルメントパネルにおける乗員の膝
に対向位置する周辺部に弾性材料でなるパツドを
固着したものや、或いは実開昭59−23454号公報
に示されているように、助手席前方に備えられる
グローブボツクスのリツド部を中空状の弾性体と
したもの等が種々提案され或いは実用化されてい
る。

（考案が解決しようとする問題点） ところで、上記ニープロテクタの前方、つまり
インストルメントパネル（もしくはグローブボツ
クス）の前方には、比較的大きな空間を介してエ
ンジンルームと車室内とを仕切るダツシユパネル
が配設されている。そして、上記両パネル間の空
間にクーラユニツトが装備されている場合には、
乗員の膝が勢い良くニープロテクタに突き当るこ
とにより該プロテクタが前進しようとしても、上
記クーラユニツトによりその前進動が規制される
ことになるので、乗員の膝は僅かに前方に移動す
るだけで済むことになる。

しかしながら、上記両パネル間にクーラユニツ
トが装備されていない場合には、ニープロテクタ
が規制されることなく乗員の膝と共に前進し、更
に該膝からプロテクタに作用する衝撃力が極めて
大きい時つまり車体に加わる衝撃が極めて大きい
時は、上記プロテクタ及び膝がダツシユパネルに
まで達することになる。そのため、ニープロテク
タが備えられているにも拘わらず、乗員の膝を適
切に受け止めることが困難となり、更には乗員の
着座状態ないし着座姿勢を良好に維持できなくな
るという問題が生じる。

（問題点を解決するための手段） 本考案は自動車のニープロテクタに関する上記
のような問題に対処するもので、自動車の急停止
時等に乗員の膝が勢い良く上記ニープロテクタな
いしプロテクタ部材に突き当つた場合に、該プロ
テクタ部材とダツシユパネルとの両者間にクーラ
ユニツトが介設されていなくとも、上記部材ない
し乗員の膝の前進動を適切に規制し得るように
し、これにより乗員の着座状態を良好に維持する
ことを目的とする。そして、この目的達成のた
め、本考案は次のように構成したことを特徴とす
る。

即ち、ダツシユロアパネルと、その上方に配置
されて後方車室側へ延びるダツシユアツパーパネ
ルとでエンジンルームと車室とを仕切るダツシユ
パネルが構成され、且つ該ダツシユパネルの後方
にインストルメントパネルが配置されていると共
に、該ダツシユパネルとインストルメントパネル
との間の空間にグローブボツクスが設けられた自
動車において、上記インストルメントパネルの下
部に位置するグローブボツクスのリツド部にプロ
テクタ部材を設け、且つ該グローブボツクスの前
方に位置してその相対的前進動を規制するフレー
ム部材を、上記ダツシユパネルとの間に所定の間
隔を確保した状態で、該ダツシユパネルを構成す
るダツシユロアパネルとダツシユアツパーパネル
とにわたつて取付けたことを特徴とする。

（作用） 上記の構成によれば、自動車の急停止等に起因
して車体に大きな衝撃荷重が作用し、これに伴つ
て着座状態にある乗員の膝が勢い良くプロテクタ
部材に衝突した場合には、該プロテクタ部材がダ
ツシユパネル側に向つて前進しようとするが、該
ダツシユパネルと該プロテクタ部材がリツド部に
設けられたグローブボツクスと、ダツシユパネル
に所定の間隔を隔てて取付けられたフレーム部材
が配置されているので、上記プロテクタ部材の前
進動はこのフレーム部材により上記グローブボツ
クスを介して良好に規制されることになる。

これにより、インストルメントパネルとダツシ
ユパネルとの間にクーラユニツトが介設されてい
ない場合においても、上記プロテクタ部材がダツ
シユパネルまで達することはなく、従つて乗員の
膝が良好に保護されるのは勿論のこと、乗員の着
座状態ないし着座姿勢の悪化が防止されることに
なる。また、このような構成は、シートベルトが
肩ベルトのみでなる２点支持式のものである場合
に特に有効となる。そして、上記の構成によれ
ば、乗員の膝がプロテクタ部材に衝突した際の衝
撃がグローブボツクスを介してフレーム部材に受
け止められることになるので、特にその衝撃が大
きい場合に、グローブボツクスの変形や破損によ
つて衝撃が緩和されて、乗員の膝が効果的に保護
されることになり、しかも、この場合にも、上記
フレーム部材により、膝がダツシユパネルにまで
到達することが防止されれ乗員の良好な着座姿勢
が維持されることになるのである。また、上記フ
レーム部材は、ダツシユロアパネルとダツシユア
ツパーパネルとにわたつて取付けられているの
で、これらのパネルで構成されるダツシユパネル
の剛性が高められることになる。

（実施例） 以下、本考案の実施例を図面に基いて説明す
る。

第１図に示すように、自動車１の車体前部に
は、ボンネツト２の後縁とフロントウインドガラ
ス３の下縁との間における下方位置に、エンジン
ルーム４と車室５とを仕切るダツシユパネル６が
配設されている。このダツシユパネル６は、エン
ジンルーム４側から後方の車室５側へ延びて上記
フロントウインドガラス３の下縁前方に設けられ
たカウルパネル７との間でカウルボツクス８を形
成するダツシユアツパーパネル９と、該アツパー
パネル９の前縁から下方に延びるダツシユロアパ
ネル１０とから構成されている。

一方、上記ダツシユパネル６の後方には、第２
図に示すように車室５の前部に配設されて、ドラ
イバシート１１の前方に各種メータの取付部１２
ａやステアリングコラム用の切欠部１２ｂが形成
され且つアシスタントシート１３の前方にグロー
ブボツクス１４等が備えられた車体幅方向に延び
るインストルメントパネル１２が取付けられてい
る。そして、上記インストルメントパネル１２に
おける助手席（アシスタントシート１３）の前方
は、上記第１図に示すように、上面部１２′がフ
ロントウインドガラス３の下縁部から車室５内方
に延び且つ後面部１２″が稍湾曲して下方に延び
て、基材１２₁とクツシヨン材１２₂と表皮１２₃
とを接合してなるインストルメントアツパーパネ
ル１２ｘと、該パネル１２_xの直下方に配置され
てリツド部１４ａの後面が該パネル１２ｘの後面
と略面一状になるように収納保持された上記グロ
ーブボツクス１４と、該ボツクス１４（リツド部
１４ａ）の直下方に配置されたインストルメント
ロアパネル１２ｙとを有する構成とされている。
その場合、上記グローブボツクス１４のリツド部
１４ａは、閉断面が形成された鋼板でなるプロテ
クタ部材１４₁と、該部材１４₁を覆う弾性部材１
４₂とから構成されており、このリツド部１４ａ
が、上記アシスタントシート１３に着座している
乗員の膝が前方に移動した時に該膝を弾性的に受
け止める保護部とされている。また、上記インス
トルメントロアパネル１２ｙにも、鋼板でなる部
材１２₄を覆う弾性部材１２₅が装着されている。

然して、上記グローブボツクス１４の前方位
置、つまりダツシユパネル６とインストルメント
パネル１２との間に形成された空間１５には、ダ
ツシユアツパーパネル９とダツシユロアパネル１
０とに跨つて取付けられたフレーム部材１６が備
えられている。このフレーム部材１６は、中空円
筒状のパイプでなり、一端（上端）がダツシユア
ツパーパネル９の後面部に、また他端（下端）が
ダツシユロアパネル１０の下部に夫々ボルト１
７，１８を用いて固着されていると共に、途中で
屈曲されることにより、上端取付部から下方に延
びる鉛直部分１６ａ（この鉛直部分１６ａも途中
で屈曲されている）と、下端取付部から後方に延
びる水平部分１６ｂ（この水平部分１６ｂも途中
で屈曲されている）とに大別されている。そし
て、このフレーム部材１６の鉛直部分１６ａとダ
ツシツロアパネル１０との間には所定の間隔Ｘが
設けられ、また該鉛直部分１６ａとグローブボツ
クス１４の前端との間にも所定寸法X′の隙間が
設けられている。

そして、この実施例においては、上記グローブ
ボツクス１４（リツド部１４ａ）と、本考案の特
徴部分であるフレーム部材１６とを主要部として
ニープロテクタ２０が構成されている。

上記の構成によれば、自動車１の急停止等に起
因してアシスタントシート１３に着座している乗
員の膝が勢い良くグローブボツクス１４のリツド
部１４ａに設けられたプロテクタ部材１４₁に突
き当り、これに伴つて該ボツクス１４及び膝が前
進しても、該ボツクス１４の前方には所定寸法
X′の隙間を隔ててフレーム部材１６の鉛直部分
１６ａが配置されているので、上記ボツクス１４
（リツド部１４ａ）及び乗員の膝は僅かな寸法
X′だけ前進動された時点で停止状態に保持され
る。また、乗員の膝からプロテクタ部材１４₁な
いしリツド部１４ａに作用する衝撃力が極めて大
きいことに起因して上記グローブボツクス１４が
押し潰された場合においても、乗員の膝は該リツ
ド部１４ａとフレーム部材１６（鉛直部分１６
ａ）との間の寸法もしくはこれよりも短い寸法だ
け前進動された時点でその移動が阻止される。従
つて、この種の自動車１のように、ダツシユパネ
ル６とインストルメントパネル１２との間の空間
１５にクーラユニツトが備えられていなくても、
乗員の膝がダツシユロアパネル１０まで達するこ
となく該パネル１０よりも所定間隔Ｘだけ前方位
置で停止されることになり、これにより該乗員の
膝が効果的に保護されると共に、乗員の着座状態
ないし着座姿勢の悪化が防止され、特に上記のよ
うにプロテクタ部材１４₁はグローブボツクス１
４のリツド部１４ａに設けられているので、乗員
の膝が該プロテクタ部材１４₁に衝突した際の衝
撃がグローブボツクス１４によつて吸収されて、
膝に作用する衝撃が緩和されることになる。そし
て、このようなニープロテクタ２０による乗員
（膝）の保護は、シートベルトとして肩ベルトの
みでなる２点支持式のベルトが用いられる場合に
特にその効果を発揮する。

また、上記フレーム部材１６は、ダツシユアツ
パーパネル９とダツシユロアパネル１０とに跨つ
て取付けられているので、ダツシユパネル６の剛
性が効果的に高められることになる。

（考案の効果） 以上のように本考案によれば、インストルメン
トパネルの下部に位置するグローブボツクスのリ
ツド部にプロテクタ部材を設け、且つ該プロテク
タ部材の前進動を上記グローブボツクスを介して
所定位置で阻止し得るようにフレーム部材をダツ
シユパネルに取付ける構成としたから、当該自動
車の急停止等に起因して乗員の膝が上記プロテク
タ部材に突き当り、該部材を前進された場合にお
いても、その前進動は上記フレーム部材により所
定位置で規制されて、乗員の膝がダツシユパネル
まで達することが防止される。これにより、上記
インストルメントパネルとダツシユパネルとの間
にクーラユニツトが介設されていない場合におい
ても、乗員の膝が良好に保護されると共に、該乗
員の着座姿勢の悪化が効果的に防止ないし抑制さ
れることになり、特に、乗員の膝がプロテクタ部
材に衝突した際の衝撃が大きい場合には、上記グ
ローブボツクスが変形し或は破損することによつ
てこの衝撃が吸収されるので、乗員の着座姿勢を
良好に維持しながら、その膝を一層効果的に保護
することが可能となる。そして、本考案によれ
ば、上記フレーム部材によつてダツシユパネルの
剛性が向上される効果も得られる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示すもので、第１図は
車体前部におけるニープロテクタの構造を示す第
２図−線で切断した端面図、第２図は車室前
部の構成を示す斜視図である。 １……自動車、４……エンジンルーム、５……
車室、６……ダツシユパネル、９……ダツシユア
ツパーパネル、１０……ダツシユロアパネル、１
２……インストルメントパネル、１４……グロー
ブボツクス、１４₁……プロテクタ部材、１４ａ
……リツド部、１６……フレーム部材、２０……
ニープロテクタ、Ｘ……所定の間隔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ダツシユロアパネルと、その上方に配置されて
   後方車室側へ延びるダツシユアツパーパネルとで
   エンジンルームと車室とを仕切るダツシユパネル
   が構成され、且つ該ダツシユパネルの後方にイン
   ストルメントパネルが配置されていると共に、該
   ダツシユパネルとインストルメントパネルとの間
   の空間にグローブボツクスが設けられた自動車に
   おいて、上記インストルメントパネルの下部に位
   置するグローブボツクスのリツド部にプロテクタ
   部材を設け、且つ該グローブボツクスの前方に位
   置してその相対的前進動を規制するフレーム部材
   を、上記ダツシユパネルとの間に所定の間隔を確
   保した状態で、該ダツシユパネルを構成するダツ
   シユロアパネルとダツシユアツパーパネルとにわ
   たつて取付けたことを特徴とする自動車のニープ
   ロテクタ。