JPH0448999B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ＜関連技術分野＞ 蒸気配管又は蒸気機器の内部に発生する復水の
自動排除装置のうち、該復水の温度に感応して、
特定のしかし任意に設定し得る復水温度にて閉弁
し、設定温度より低い復水の選択排水を司る温調
トラツプの改良に関連して、弁子の弁座に対する
自己調心機能を保持したまま、弁子をバイメタル
コラムのガイドステムと一体化した単一弁芯を用
いた構成部品点数を減少させることについての研
究結果を以下に提案する。

＜背景技術＞ 温調トラツプは設定温度に対して忠実な応答の
下で低温復水のみの選択排水を司るため、復水顕
熱の有効利用を図ることができるところに著効が
ある。

＜従来技術＞ 温調トラツプは温度応答の忠実性を確保するた
め、バイメタルコラムによる熱膨張推力とこれに
抗するコイルばねの反力との差によるばね受けの
変位の下に、このばね受けに対し軸方向の移動を
可能として係止した弁子を、専ら排水流動に追従
させ弁座に向けて自動調心的な、復水圧力依存の
閉弁を成就することが特徴であつたので、従来、
バイメタルコラムを串装した支持ステムに弁子を
一体化して構成部品点数を少なくする仕組みの簡
素化は思いもよらなかつたのである。

＜発明の目的＞ 単一の弁芯を用いて自己調心閉弁機能を実現す
る温調トラツプを与えることがこの発明の目的で
ある。

＜発明の構成＞ この発明は、一端に弁座と適合する弁子部を、
中間における鍔状のカラーとともにそなえる弁芯
に、該カラーを軸心方向の間隔をおいて上下に挟
むあごをもつばね受けを組合わせ、このばね受け
に、コイルばねによる開弁方向の偏倚力と、バイ
メタルコラムの熱膨張による推力とを対抗的に作
用させて成る自己調心単一弁芯式温調トラツプで
ある。

さて第１図に上記要旨構成になる温調トラツプ
を断面で図示した。

図中１はボデー、２はカバー、３は弁座であ
り、４は弁芯、５はその弁子部、６は鍔状のカラ
ー、そして７はばね受け、８，９はカラー６を上
下に挟むばね受け７のあご、１０は弁座３を取り
囲む配置のコイルばね、１１は弁芯４にゆるくは
め合わせたバイメタルコラムである。なお図示を
略したが弁芯４に、バイメタルコラム１１の最大
膨張寸法よりも長い薄肉スリーブをかぶせてもよ
く、また弁芯４の上端近くに周溝を設けてこれに
ストツパリング１３をはめ、バイメタルコラム１
１の抜け止めとすることが好ましい。

あご８は、図のように外向きフランジをもつ短
筒の内向きフランジの形にてプレス成形し、この
内向きフランジにてばね受け７の内縁のあご９と
の間に弁芯４のカラー６ゆるくはさんだ状態で外
向きフランジをばね受け７に対してスポツト溶接
により合体すると、弁芯４、ばね受け７、そして
バイメタルコラム１１を単一ユニツトとして、ボ
デイ１に取り付けた弁座３と同心にコイルばねを
挿入したのち弁芯４の弁子部５を弁座３のガイド
１４内に単に差し込むだけのような、弁要部の確
実な組み立てが、簡便に成就されるけれども、ば
ね受け７に対し別体のままの独立したあご８によ
つても機能上はかわりなく、このあご８はとくに
皿ばね状として、あとで述べるバイメタルコラム
１１の過剰膨張推力を吸収するものとすることが
より好ましい。尚、ガイド１４を本実施例では、
弁座３とスポツト溶接により合体しているが、一
体品としてできることは言うまでもない。上記ユ
ニツトの組み込みのあと、弁芯４を保持する盲孔
１５つきの調整ねじ１６をねじばめしたカバー２
を、ボデイ１に慣例に従つて組合わせ、調整ねじ
１６の進退による排水温度の設定を行つてからロ
ツクナツト１７で固定し、キヤツプ１８をかぶせ
て組み立ては完了する。なお図中１９は筒状のス
トレーナー、２０は弁座３にその弁孔に直面して
取り付けた、ボデー保護ブシユ、またｇにてシー
ル類を一括表示した。

＜作用＞ バイメタルコラム１１はそのまわりを満たす復
水温度により膨張し、ばね受け７のあご８を介し
てコイルばね１０を抑圧する結果、弁芯４の弁子
部５は、これに働く腹水圧力と弁座３に対する有
効受圧面積との積に当たる閉弁力をもつて図示の
閉弁状態が維持される。

復水温度が低下すると、上記の閉弁力に打ち勝
つコイルばね１０の復元力が、バイメタルコラム
１１における膨張力の衰退に応じてこれを圧倒
し、その結果あご９が弁芯４のカラー８を吊り上
げることによる開弁が生じて、設定温度よりも低
い復水の排出が行なわれる。

この排水に従つて到来する高温復水がバイメタ
ルコラムを再加熱することによつて、上記コイル
ばね１０の偏倚力とバイメタルコラム１１の熱膨
張による推力との拮抗関係が反転すると、あご９
によるカラー６の係止が解かれるので、弁芯４の
弁子部５は、自己調心的な閉弁を再成就する。

このような開、閉弁作用は、調整ねじ１６によ
るバイメタルコラム１１の熱膨張変位の拘束位置
の変更にて任意に定められる設定温度の下で、復
水温度が設定温度を下まわるか否かによつて自力
的に制御される。

低温復水の急速放出が生じたときなど、高温蒸
気の到来にてバイメタルコラム４に強大な熱膨張
推力を生じる場合があり得るところ、このときあ
ご８を介して直接カラー６に該推力が受け止めら
れるような閉弁状態の下で、バイメタルコラム４
に過剰応力を生じ、その永久変形のおそれがある
場合には、あご８に皿ばね作用を生じる配慮によ
つて、該応力の吸収緩和が、有利に成就される。

＜効果＞ 弁子部が、バイメタルコラムの串差し支持を司
るステムと一体をなす単一弁芯を用いて該弁子部
の自己調心機能を保持することができる上述した
構成によつて、温調トラツプの部品数を減少し、
組み立ての簡素化を有利に成就できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は断面図である。 ３……弁座、４……弁芯、５……弁子部、６…
…カラー、７……ばね受け、８，９……あご、１
０……コイルばね、１１……バイメタルコラム。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 一端に弁座３と適合する弁子部５を、中間に
   おける鍔状のカラー６とともにそなえる弁芯４
   に、該カラー６を軸心方向の間隔をおいて上下に
   挟むあご８，９をもつばね受け７を組み合わせ、
   このばね受け７に、コイルばねによる開弁方向の
   偏倚力と、バイメタルコラム１１の熱膨張による
   推力とを対抗的に作用させて成る自己調心単一弁
   芯式温調トラツプ。 ２ ばね受けのバイメタルコラム１１に面するあ
   ご８が、その過剰膨張推力を吸収する皿ばねであ
   る特許請求の範囲の第１項に記載の自己調心単一
   弁芯式温調トラツプ。 ３ ばね受け７のバイメタルコラム１１に面する
   あご８がばね受け７と分離可能な独立部分である
   特許請求の範囲の第１項又は第２項に記載の自己
   調心単一弁芯式温調トラツプ。