JPH0444960Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は蒸気配管系に取り付けてそこに発生す
る復水を自動的に排出するデイスク式スチームト
ラツプに関し、特にバイメタルを用いてエアーロ
ツキングを防止することに関する。

デイスク式スチームトラツプは内外輪弁座から
なる弁座面に対して離着座する弁デイスクを、弁
デイスクの背後に形成した変圧室の圧力変化によ
つて自力的に制御して開閉弁させ復水を自動的に
排出するものである。

このデイスク式スチームトラツプに於いては、
始動時に空気が流入してきても、蒸気の場合と同
様に瞬時に閉弁してしまい、一旦閉弁すると空気
は蒸気と異なり凝縮作用を起こさないので、その
後は開弁できない、いわゆるエアーロツキングが
起こる。

そこで、従来からバイメタルを用いてこのエア
ーロツキングを防止することが行なわれている。
これは、バイメタルの温度変化による湾曲作用を
利用して、低温時に弁デイスクを強制的に押し上
げて開弁させ、高温時に弁デイスクに干渉しない
様にするものである。

従来の技術 この一例が、特公昭50−8809号公報に示されて
いる。これは、外輪弁座の外周にテーパ面を形成
し、このテーパ面にバイメタル環を配置し、バイ
メタル環と弁デイスクの間に環状板を配置したも
のである。

温度変化によるバイメタル環の拡開縮閉作用と
テーパ面との協動でエアーロツキングを防止す
る。すなわち、バイメタル環は低温時に縮閉して
テーパ面に沿つて上動し、環状板を弁座面よりも
上方に位置せしめて弁デイスクを強制的に開弁さ
せ、高温時には拡開してテーパ面に沿つて下動
し、環状板を弁座面よりも下方に位置せしめて弁
デイスクに干渉しない。

本考案が解決しようとする問題点 この場合、バイメタル環が比較的短期間で摩耗
して、エアーロツキングを防止できなくなる問題
がある。すなわち、バイメタル環はその下端内周
縁のみがテーパ面と摺接しながら拡開縮閉するの
で、この部分に力が集中するためである。下端内
周縁が摩耗すると、僅かな温度上昇でバイメタル
環がテーパ面を下動してしまうためである。

本考案の技術的課題は、従つて、バイメタル環
の摩耗を防止して、長期間に渡つて所望のエアー
ロツキング防止機能を維持できるようにすること
である。

問題点を解決するための手段 上記の技術的課題を解決するために講じた本考
案の技術的手段は、外輪弁座の外周を平坦面に形
成してバイメタル環を配置し、バイメタル環の拡
開時の内径よりも小さく縮閉時の外径よりも大き
な外径に形成した環状板を、バイメタル環と弁デ
イスクとの間に配置し、弁デイスクを開弁位置に
付勢する弾性部材を、環状板の下面に配置した、
ものである。

作 用 上記の技術的手段の作用は下記の通りである。

休止時には弾性部材が弁デイスクを持上げて開
弁している。このとき、バイメタル環は環状板の
外径よりも小さく縮閉して環状板の下方に入り込
んでいる。始動時に低温の復水や空気が流入して
きて、空気が弁デイスクの下面を通過すると、弁
デイスクには開弁力が作用して環状板を介して弾
性部材を圧縮するが、環状板の下面がバイメタル
環に当接した後は、それ以上下方に変位できな
い。すなわち、弁デイスクは閉弁できず、エアー
ロツキングを防止する。その後、高温の復水が流
入してきて、温度が上昇すると、バイメタル環は
拡開し始める。そして、内径が環状板の外径より
も大きくなつたときに、環状板の下面から外れ、
弁デイスクに干渉しなくなる。

バイメタル環にはその下面全体に力が掛かるの
で摩耗することが少ない。

以後周知のデイスク式スチームトラツプの作動
原理に基づいて蒸気は逃さず復水のみを排出す
る。

考案の効果 本考案は下記の特有の効果を生じる。

バイメタル環の摩耗を防止できのるで、長期間
に渡つて所望のエアーロツキング防止機能を維持
できる。

従来のものでは弁デイスクが衝撃的に弁座部材
に離着座して弁デイスクや弁座部材が損傷し易か
つたが、本考案では弾性部材が弁デイスクの衝撃
的な離着座を緩衝するので、損傷を防止できる。

実施例 上記の技術的手段の具体例を示す実施例を説明
する。

本体１にほぼ同一軸上に設けた流入口２と流出
口３と、弁座部材４を取り付ける凹部５を形成す
る。流入口２はスクリーン６を通して凹部５の中
央に連通し、流出口３は凹部５の周辺に連通す
る。

凹部５に二条の環状ガスケツトを介して弁座部
材４を配置し、凹部５の内周の側壁に螺着した内
蓋７で本体１に締結する。弁座部材４と内蓋７の
間に変圧室８を形成する。

弁座部材４の中央を貫通して流入孔９を設けて
流入口２と連通させると共に、周辺に環状溝１０
を設けて流出孔１１を通して流出口３に連通さ
せ、流入孔９と環状溝１０の間に環状の内輪弁座
１２を、環状溝１０の外側に環状の外輪座１３を
形成する。変圧室８内に内外輪弁座１２，１３に
同時に離着座する弁デイスク１４を遊置する。内
蓋７の外側に外蓋１５をガスケツトを介して螺着
し、通孔１６を通して流入口２側に連通する保温
室１７を形成する。

外輪弁座１３の外周に平坦面１８を形成し、バ
イメタル環１９を配置する。バイメタル環１９と
弁デイスク１４の間に環状板２０を配置する。環
状板２０の外径はバイメタル環の拡開時の内径よ
りも小さく縮閉時の外径よりも大きく形成し、内
径は外輪弁座１３の外周よりもわずかに大きく形
成している。環状板２０の下面に弁デイスク１４
を開弁方向に付勢するコイルバネ２１を配置す
る。

上記の実施例の作動を説明する。

休止時にはコイルバネ２１が弁デイスク１４を
持上げて開弁している。このとき、バイメタル環
１９は環状板２０の外径よりも小さく縮閉して環
状板２０の下方に入り込んでいる。

始動時に低温の復水や空気が流入してきて、空
気が弁デイスク１４の下面を通過すると、弁デイ
スク１４には閉弁力が作用して環状板２０を介し
てコイルバネ２１を圧縮するが、環状板２０の下
面がバイメタル環１９に当接した後は、それ以上
下方に変位できない。すなわち、弁デイスク１４
は閉弁できず、エアーロツキングを防止する。

その後、高温の復水が流入してきて、温度が上
昇すると、バイメタル環１９は拡開し始める。そ
して、内径が環状板２０の外径よりも大きくなつ
たときに、環状板２０の下面から外れ、弁デイス
ク１４に干渉しなくなる。

以後周知のデイスク式スチームトラツプの作動
原理に基づいて蒸気は逃さず復水のみを排出す
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例のデイスク式スチーム
トラツプの断面図である。 ４……弁座部材、８……変圧式、１０……環状
溝、１２……内輪弁座、１３……外輪弁座、１４
……弁デイスク、１８……平坦面、１９……バイ
メタル環、２０……環状板、２１……コイルバ
ネ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 外輪弁座の外周を平坦面に形成してバイメタル
   環を配置し、バイメタル環の拡開時の内径よりも
   小さく縮閉時の外径よりも大きな外径に形成した
   環状板を、バイメタル環と弁デイスクとの間に配
   置し、弁デイスクを開弁位置に付勢する弾性部材
   を、環状板の下面に配置した、デイスク式スチー
   ムトラツプ。